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特開2022-120139とりわけ時計学的ムーブメントのための傾斜石を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120139
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】とりわけ時計学的ムーブメントのための傾斜石を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   G04B 31/06 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
G04B31/06
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022096283
(22)【出願日】2022-06-15
(62)【分割の表示】P 2020108539の分割
【原出願日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】19188535.9
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599044744
【氏名又は名称】コマディール・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ・ベスッティ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ルトルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ミドル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】時計のための傾斜石を製造するための方法、および該方法を使用して石を製造するためのデバイスを提供する。
【解決手段】とりわけ時計のための傾斜石8を製造するための方法であって、
-粉末形態の少なくとも1つの材料と結合剤の混合物から先駆体を製造するステップと、
-素地を形成するために、頂部金型および突出リブを備える底部金型を使用して先駆体を加圧するステップと、
-少なくとも1つの材料中に将来の石8のボディ30を形成するために素地を焼結するステップであって、ボディ30は、周囲面37と、溝40を備えた底面32とを備える、ステップと、
-溝40の内壁42が石8の周囲面の少なくとも朝顔形に広がった部分を形成するよう、周囲面37を溝40まで平削りするサブステップを含む、ボディ30を機械加工するステップと
を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
とりわけ時計のための傾斜石(8)を製造するための方法(20)であって、
粉末形態の少なくとも1つの材料と結合剤の混合物から先駆体を製造するステップ
(21)と、
素地を形成するために、頂部金型(57)および突出リブ(60)を備える底部金
型(58)を使用して前記先駆体を加圧するステップ(22)と、
前記少なくとも1つの材料中に将来の前記石(8)のボディ(30)を形成するた
めに前記素地を焼結するステップ(23)であって、前記ボディ(30)は、周囲面(3
7)と、溝(40)を備えた底面(32)とを備える、ステップ(23)と、
前記溝の内壁(42)が前記石(8)の周囲面(15)の少なくとも朝顔形に広が
った部分(16)を形成するよう、前記周囲面(37)を前記溝(40)まで平削りする
サブステップを含む、前記ボディ(30)を機械加工するステップ(24)と
を含むことを特徴とする方法(20)。
【請求項2】
前記機械加工ステップ(24)は、前記ボディ(30)の頂面(31)に凹所(45)
を凹ませるサブステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械加工ステップは、前記石(8)に所定の厚さを与える頂面(11)を得るため
に、前記ボディ(30)の前記頂面(31)を切断するサブステップを含むことを特徴と
する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記加圧ステップ(22)は、前記底部金型(58)の押抜き(56)によって孔ブラ
ンク(34)を凹ませるステップを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に
記載の方法。
【請求項5】
前記溝(40)は、円形になり、および/または前記ボディ(30)の前記底面(32
)に集中するように具体化されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項6】
前記突出リブ(60)および前記溝(40)は、実質的に三角形の断面を有し、平削り
の後、前記三角形の辺のうちの一辺が前記石(8)の前記周囲面(15)の前記朝顔形に
広がった部分(16)を形成することになることを特徴とする請求項1~5のいずれか一
項に記載の方法。
【請求項7】
前記溝(40)は内面(42)および外面(41)を備え、前記外面(41)は平削り
中に除去されることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記内面(42)は、前記周囲面(15)の前記朝顔形に広がった部分(16)を形成
するために、平削りの間、保持されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記加圧ステップ(22)は、前記頂部金型および前記底部金型(57、58)をケー
シング(59)内で互いに接近する方向に移動させることによって実施されることを特徴
とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記焼結ステップ(23)は熱分解を含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか一
項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記石(8)に仕上げを施すステップ(25)、例えばラップ仕上げおよ
び/またはブラッシングおよび/または研磨を施すステップを含むことを特徴とする請求
項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
粉末形態の前記材料はセラミック系であり、また、少なくとも金属酸化物、金属窒化物
または金属炭化物を含むことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
粉末形態の前記セラミック系材料は酸化アルミニウムを含むことを特徴とする請求項1
2に記載の方法。
【請求項14】
粉末形態の前記セラミック系材料は酸化クロムをさらに含むことを特徴とする請求項1
3に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法を使用して石(8)を製造するためのシス
テム(50)であって、
粉末形態の少なくとも1つの材料と結合剤の混合物から先駆体を製造するためのデ
バイス(51)と、
ケーシング(59)内に移動可能に配置される頂部金型および底部金型(57、5
8)を備え、将来の前記石(8)の素地の形成を促進する、前記先駆体を加圧するための
デバイス(52)であって、前記底部金型(58)が突出リブ(60)を備える、デバイ
ス(52)と、
前記素地を焼結するためのデバイス(53)と、
将来の前記石(8)のボディ(30)を機械加工するためのデバイス(54)と
を備えることを特徴とするシステム(50)。
【請求項16】
前記突出リブ(60)は実質的に円形であり、および/または前記底部金型(58)に
集中していることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記突出リブ(60)は実質的に三角形の断面を有することを特徴とする請求項15ま
たは16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ時計学的ムーブメントのための傾斜石を製造するための方法に関す
る。
【0002】
また、本発明は、該方法を使用するのに適した製造システムに関する。
【背景技術】
【0003】
時計学の従来技術では、とりわけ、ルビーまたはサファイア型の石を使用して、時計に
おける軸受として知られている受石または案内要素が形成されている。これらの受石およ
び案内要素には、ピボットと接触して該ピボットを最小摩擦で回転可能にすることが意図
されている。したがってそれらは、例えば回転可能に固定された軸の軸受ブロックのすべ
てまたは一部を形成している。案内要素は、通常、ピボット軸を挿入するための貫通孔を
備えている。
【0004】
原理的には、時計学的ムーブメントには合成石が使用されている。とりわけ、単結晶石
を製造するためのVerneuil型の方法が知られている。加圧工具を使用して将来の
石の素地を得る観点で先駆体を加圧することによって製造される多結晶型の石も同じく存
在している。石は、次に、最終形状を得るために所望の寸法に機械加工される。
【0005】
詳細には、多結晶石案内要素に関して、加圧工具は、例えば孔ブランクの構築に寄与す
る線を備えている。孔ブランクを得るために、単結晶型の石が最初にレーザ中ぐりされる
。引き続いて機械加工によって孔の最終サイズが得られる。
【0006】
石は、通常、軸受ブロック・アセンブリのベッド内に位置決めされるようにサイズ化さ
れる。とりわけ、衝撃を吸収するのに適した衝撃吸収軸受ブロックが存在している。
【0007】
従来の衝撃吸収軸受ブロック1の構成は図1に示されている。ピボットのための軸方向
の案内要素を形成している、軸受として同じく広く知られているオリーブ・ドーム石2は
、受石4が固定されているセッティング3として広く知られている軸受ブロック・サポー
ト中に駆動されている。セッティング3は、受石4の頂部部分に軸方向の力を付与するよ
うに配置された、一般的には衝撃吸収ばね6である弾性手段によって軸受ブロック5の底
に押し付けられている。このような衝撃吸収軸受ブロックは、ピボットの縦方向の軸に沿
った衝撃の吸収を可能にしており、セッティング、ドーム石、および受石で形成されたア
センブリは、衝撃吸収ばね6により移動に適している。
【0008】
セッティング3は、軸受ブロック5の底の周囲に配置された、朝顔形に広がった内壁と
整列して配置された、朝顔形に広がった外壁をさらに含む。セッティングが凸形すなわち
ドーム形の表面を有する外壁を含む代替実施形態も同じく存在している。したがって衝撃
吸収軸受ブロックは、セッティングの朝顔形に広がった壁、および軸受ブロック5の底の
朝顔形に広がった壁によって半径方向の衝撃の吸収を可能にしている。実際、このアセン
ブリは、半径方向および軸方向に同時に移動し得る。
【0009】
しかしながら、案内要素およびセッティングの両方を形成して、要素の構造を単純にし
、かつ、耐衝撃性を改善することができる単一の石を有することが探求されている。その
ためには、少なくとも部分的に朝顔形に広がった周囲壁を有する石を得ることが必要であ
る。しかしながら現在の機械加工方法は、これを達成するためには実現が複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上で説明したように衝撃吸収軸受ブロック中に挿入することができる
ようにするために、少なくとも部分的に朝顔形に広がった周囲面を備えた石を製造するた
めの方法を提供することにより、上で言及した欠点の全て、または一部を除去することで
ある。この文脈においては、このような製造方法は、石を全く損傷することなく、あるい
はこの石を製造するためのシステムを全く損傷することなく反復することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、とりわけ時計のための傾斜石を製造するための方法に関
している。方法は、
- 粉末形態の少なくとも1つの材料と結合剤の混合物から先駆体を製造するステッ
プと、
- 頂部金型および突出リブを備える底部金型を使用して先駆体を加圧するステップ
であって、それにより素地を形成する、ステップと、
- 前記少なくとも1つの材料中に将来の石のボディを形成するために前記素地を焼
結するステップであって、ボディは、周囲面と、溝を備えた底面とを備える、ステップと

- 溝の内壁が石の周囲面の少なくとも朝顔形に広がった部分を形成するよう、周囲
面を溝まで平削りするサブステップを含む、ボディを機械加工するステップと
を含むことを特徴としている。
【0012】
したがってこのような方法によれば、少なくとも部分的に朝顔形に広がった周囲面を備
えた傾斜石を容易に製造することができ、石は、好ましいことには多結晶型の石である。
したがってこのような石は、とりわけ横方向の衝撃を吸収するための、朝顔形に広がった
面に対応する形を有する軸受ブロック中に挿入することができる。
【0013】
本発明の特定の実施形態によれば、機械加工ステップは、ボディの頂面に凹所を凹ませ
るサブステップを含む。
【0014】
本発明の特定の実施形態によれば、機械加工ステップは、石に所定の厚さを与える頂面
を得るために、ボディの頂面を切断するサブステップを含む。
【0015】
本発明の特定の実施形態によれば、加圧ステップは、底部金型の押抜きによって孔ブラ
ンクを凹ませるステップを含む。
【0016】
本発明の特定の実施形態によれば、溝は、円形になり、および/または石の底面に集中
するように具体化される。
【0017】
本発明の特定の実施形態によれば、突出リブおよび溝は、実質的に三角形の断面を有し
ており、平削りの後、三角形の辺のうちの一辺が石の周囲面の朝顔形に広がった部分を形
成することになる。
【0018】
本発明の特定の実施形態によれば、溝は内面および外面を備えており、外面は平削り中
に除去される。
【0019】
本発明の特定の実施形態によれば、内面は、周囲面の朝顔形に広がった部分を形成する
ために、平削りの間、保持される。
【0020】
本発明の特定の実施形態によれば、加圧ステップは、頂部金型および底部金型をケーシ
ング内で互いに接近する方向に移動させることによって実施される。
【0021】
本発明の特定の実施形態によれば、焼結ステップは熱分解を含む。
【0022】
本発明の特定の実施形態によれば、方法は、石に仕上げを施すステップ、例えばラップ
仕上げおよび/またはブラッシングおよび/または研磨を施すステップを含む。
【0023】
本発明の特定の実施形態によれば、粉末形態の材料はセラミック系であり、また、少な
くとも金属酸化物、金属窒化物または金属炭化物を含む。
【0024】
本発明の特定の実施形態によれば、粉末形態のセラミック系材料は酸化アルミニウムを
含む。
【0025】
本発明の特定の実施形態によれば、粉末形態のセラミック系材料は酸化クロムをさらに
含む。
【0026】
また、本発明は、本発明による方法を使用して石を製造するためのシステムに関してい
る。システムは、
- 粉末形態の少なくとも1つの材料と結合剤の混合物から先駆体を製造するための
デバイスと、
- ケーシング内に移動可能に配置される頂部金型および底部金型を備え、将来の石
の素地の形成を促進する、先駆体を加圧するためのデバイスであって、底部金型が突出リ
ブを備える、デバイスと、
- 前記素地を焼結するためのデバイスと、
- 将来の石のボディを機械加工するためのデバイスと
を備えることを特徴としている。
【0027】
本発明の特定の実施形態によれば、突出リブは実質的に円形であり、および/または底
部金型に集中している。
【0028】
本発明の特定の実施形態によれば、突出リブは、実質的に三角形の断面を有している。
【0029】
他の特徴および利点は、添付の図面を参照してなされる、単なる非限定の表明として以
下で与えられる説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来技術で知られている実施形態による衝撃吸収軸受ブロックの略横断面図である。
図2】本発明による方法を使用して得られる石を示す図である。
図3】本発明による石を製造するための方法に関する論理線図である。
図4】本発明による方法の加圧ステップの後に得られる素地の一部を示す略図である。
図5】本発明による方法の第1の機械加工サブステップの後の石の一部を示す略図である。
図6】本発明による方法の第2の機械加工サブステップの後の石の一部を示す略図である。
図7】本発明による方法の第3の機械加工サブステップの後の石の一部を示す略図である。
図8】本発明による石を製造するためのシステムを示す略図である。
図9】本発明によるシステムの加圧デバイスの略図である。
図10】本発明によるシステムの加圧デバイスの底部金型の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
上で説明したように、本発明は、時計の案内要素を形成するのに適した石を製造するた
めの方法に関している。石には、例えばピボットと接触して該ピボットを最小摩擦で回転
可能にすることが意図されている。したがって本発明は、とりわけ、回転可能に固定され
た軸の軸受ブロックの全てまたは一部を形成するのに適した石の製造を可能にすることが
理解される。
【0032】
図2は、本発明による方法によって得られる傾斜石8の例である。有利には、石8は、
トラニオンとして同じく知られているピボットを受け取ることが意図された孔9が貫通し
ている。石8は頂面11および底面12を含み、底面12は、機能要素、ここでは貫通孔
9と連絡している円錐13を備えている。言い換えると、孔9は、頂面11と連絡し、ま
た、底面12に画定された実質的に円錐の中空と同じく連絡している。この中空は、次に
、中ぐりされた石8の係合円錐13を形成する。
【0033】
説明に際しては、図を参照して頂面および底面という用語が参照されており、とりわけ
それらを区別している。しかしながら頂面および底面は逆であってもよい。
【0034】
また、孔9の高さに画定されたこの石のボディの内壁は、ピボットとの接触を最小にし
、かつ、あらゆる潤滑を容易にすることが意図された丸いゾーン14を含むことに留意さ
れたい。ピボットとの接触を最小にすることにより、とりわけピボットとの摩擦を低減す
ることができることに留意されたい。
【0035】
傾斜石8は、部分的に朝顔形に広がった周囲面15をさらに有しており、表面積がより
狭い底面12を表面積がより広い頂面11に接続している。朝顔形に広がった部分16に
は、横方向の衝撃を吸収するよう、軸受ブロックの内壁と接触することが意図されており
、石は、図1の例の場合のように、朝顔形に広がった壁によってブロックの壁の上をスラ
イドすることができる。
【0036】
石8は、多結晶型鉱物性ボディから形成されることが好ましく、ボディは、例えばal
2O3Cr型ポリルビーまたはZrO2型酸化ジルコニウムを含む。
【0037】
このような石の製造方法20は図3に示されており、6つのステップを含む。
【0038】
第1のステップ21は、粉末形態の少なくとも1つの材料と結合剤の混合物から先駆体
を製造するステップからなっている。この材料は、非制限的および非網羅的にセラミック
であってもよい。このステップには、結合剤中のセラミック系粉末セットから先駆体を形
成することが意図されている。
【0039】
この文脈では、セラミック系粉末は、少なくとも金属酸化物、金属窒化物または金属炭
化物を含むことができる。一例として、セラミック系粉末は、合成サファイアを形成する
ために酸化アルミニウムを含むことができ、あるいは合成ルビーまたは実際に酸化ジルコ
ニウムを形成するために酸化アルミニウムと酸化クロムの混合物を含むことができる。さ
らに、結合剤は、例えば重合体タイプまたは有機タイプなどの様々なタイプの結合剤であ
ってもよい。
【0040】
方法は、次に、将来の石の素地を形成するために、図9に示されている加圧デバイスの
頂部金型および底部金型を使用して先駆体を加圧する第2のステップ22を含む。
【0041】
方法は、上で言及したようにセラミックであってもよい材料中に図4に示されているボ
ディ30を形成するために素地を焼結する第3のステップ23を含む。言い換えると、こ
のステップ23には、中ぐりされた将来の石のセラミック・ボディ30を形成するために
素地を焼結することが意図されている。優先的には、本発明によれば、焼結ステップ23
は熱分解を含むことができる。
【0042】
本発明によれば、ボディ30は、周囲面37と、溝40を備えた底面32を備えている
図4は、焼結ステップの後の石のボディ30、および製造方法における様々なボディ機
械加工ステップを経た後の最後に得られる、重畳した最終的な石8を示したものである。
ボディは頂面31および底面32を備えている。ボディ30は、形が異なる頂部部分およ
び底部部分36、35を備えた孔ブランク34をさらに備えている。実際、機能要素のブ
ランクを形成している底部部分35は円錐の形を有しており、また、孔34のブランクを
備えている頂部部分36は円筒の形を有している。このような孔34は、ボディ30の中
に画定され、このボディ30の底面32へ開いている第1の開口37を同じく備えている
【0043】
このようなブランクは、とりわけ石8の係合円錐13の形成を可能にしており、とりわ
け、この例では案内要素を形成している中ぐりされた石の中に同じブラインドを篏合させ
る際のピボットの篏合をより容易にしていることに留意されたい。したがって貫通孔9の
形状は、加圧デバイスの底部金型の押抜きの形状によって提供されることが理解される。
したがって図3におけるデバイスを加圧するこのようなステップ22には、将来の石8の
前記素地を形成するために、頂部金型および底部金型を使用して先駆体を圧縮することが
意図されている。
【0044】
本発明によれば、図4のボディ30は、ボディ30の底面32に溝40を備えている。
溝40は、孔ブランク34を中心とする円形通路を形成していることが好ましい。溝40
は、実質的に三角形の断面を有していることが好ましい。しかしながら他の形状も可能で
あり、例えばわずか凸状または凹状であってもよい。図に示されているように、溝40の
円形通路の直径は、最終的な石の幅を決定している。
【0045】
溝40は円形であり、石の底面に集中している。溝は実質的に三角形の断面を有してい
る。溝は、溝の三角形の断面の2つの辺を形成している内面42および外面41を備えて
おり、第3の辺43はボディの底面上に開いている。内面42は、周囲面の朝顔形に広が
った部分を形成することになり、一方、外面41は、次に除去されることになる。最終的
な石の周囲は溝40によって画定される。溝40は、図9および図10に示されている加
圧デバイスの底部金型によって形成され、底部金型は、環状突出リブなどの溝40のネガ
形状を含む。
【0046】
図3では、方法20は、図4の将来の石8のボディ30を機械加工する第4のステップ
24を含む。第4のステップ24は、ボディ30の頂面31に凹所45を凹ませる第1の
サブステップを含む。凹所45は、図5から分かるように実質的に半球状であることが好
ましい。このサブステップの間に、底部部分35の円錐を凹所45に接続するのに適した
開口46が孔34のブランク中に構築される。したがって孔34のブランクは、ボディの
中に画定され、このボディ30の頂面31に開いている第2の開口46を備えている。
【0047】
また、機械加工ステップ24は、ボディ30の周囲壁37を平削りするために回転させ
る第2のサブステップを同じく含む。図6に示されているように、材料は、少なくとも部
分的に朝顔形16に広がった周囲壁15を得るために、溝の頂点47まで除去されること
が好ましい。したがって外面41は平削りの間に除去される。一方、内面42は、将来の
石の周囲面15の朝顔形に広がった部分16を形成するために保持される。朝顔形に広が
った部分16は、石8の底面12から延びている。周囲壁15の他の部分48は実質的に
直線状であり、頂面31の朝顔形に広がった部分16を好ましくは溝40の頂点47から
接続している。この実質的に直線状の部分48は、ボディ30を平削りしている間に形成
されたものである。石8の底面12の寸法は溝40によって決定され、詳細にはボディ3
0の底面32への内面42の接合49によって決定される。
【0048】
図には示されていない代替実施形態によれば、周囲面は、その全体が朝顔形に広がって
いてもよい。その場合、朝顔形に広がった部分は、直径がより小さい底面から直径がより
大きい頂面へ延びる。
【0049】
機械加工ステップ24は、図7に示されているような所定の厚さを石8に与える頂面1
1を得るために、ボディ30の頂面31を切断する第3のサブステップをさらに含む。石
8の厚さは、軸受ブロックの構成に応じて選択される。
【0050】
機械加工ステップ24は、極めて正確なエッチングを得るために、優先的にレーザ型破
壊放射を使用して実施される。しかしながらこのステップ24は、他のタイプのプロセス
、例えば機械的中ぐりまたは高圧水ブランキングなどの機械的に凹ませるステップなどを
使用して得ることができる。
【0051】
最後に、第5の仕上げステップ25により、その使用と両立する表面粗さを石8に与え
ることができる。したがってこのような仕上げステップ25は、最終寸法の調整、および
/または縁の除去、および/または粗さの局所修正を可能にするラップ仕上げおよび/ま
たはブラッシングおよび/または研磨を含むことができる。例えばRa=0.025μm
の表面粗さを得ることが探求されている。したがってこのような仕上げステップ25は、
最終寸法の調整、および/または縁の除去、および/または粗さの局所修正を可能にする
ラップ仕上げおよび/またはブラッシングおよび/または研磨を含むことができる。
【0052】
図8を参照すると、本発明は、石を製造するためのシステム50に同じく関している。
このシステム50は、以下の様々なデバイスを備えている。
- 粉末形態の少なくとも1つの材料と結合剤の混合物から先駆体を製造するための
デバイス51
- ケーシング59内に移動可能に配置された頂部金型および底部金型57、58を
備え、将来の石8の素地の形成を促進する、先駆体を加圧するためのデバイス52
- 前記素地を焼結するためのデバイス53
- 素地を焼結することによって得られた将来の石8のボディ30を機械加工するた
めのデバイス54
【0053】
これらのデバイス51~54のうちの少なくとも2つは、まとめてシステム50の単一
の構成要素を形成することができることに留意されたい。このようなシステム50は、図
2に示されている石8を図4乃至図7のステップを介して製造するための方法を実施する
のに適している。
【0054】
図9および図10に示されている加圧デバイス52では、個々の型57、58は、二重
作用加圧のために締め付けられる。本発明によれば、将来の石8のボディ30の頂面およ
び底面31、32だけでなく、このボディ30の周囲面37を同じく形成するために、金
型57、58のうちの一方(または両方)が、この加圧デバイス52のケーシング59内
を方向Aに沿ってもう一方の金型のより近くへ移動される。この加圧デバイス52では、
金型57、58は実質的に平らであり、底部金型58は、片目空洞34をボディ30の中
に形成することが意図された押抜き56を含む。この押抜き56は、円錐の形を有する主
要部分、およびポイントを備える実質的に円筒状の遠位部分を備えている。主要部分およ
び遠位部分には、それぞれ片目空洞34の底部部分35および頂部部分36を形成するこ
とが意図されている。
【0055】
本発明によれば、底部金型58は、ボディ30の底面32に溝40を形成するように構
成された突出リブ60をさらに含む。突出リブ60は、円形であり、底部金型58に集中
していることが好ましい。突出リブ60は、ボディ30の底面に溝40を形成するため、
溝40の寸法および形状に対応する寸法および形状を有している。したがって突出リブ6
0は、好ましくは実質的に三角形の断面を同じく有している。底部金型58は、突出リブ
60によって範囲が定められた、石8の底面12の寸法に対応する面62を備えている。
加圧している間、押抜き56および突出リブ60を備えた底部金型58は、その形をボデ
ィ30の底面32に転写する。このシステム50によれば、探求される素地が得られ、引
き続いてこの素地が焼結されてボディ30が形成され、このボディ30を機械加工するこ
とによって石8を得ることができる。
【0056】
本発明は、例証された例に限定されず、当業者には明白である様々な代替実施形態およ
び変更態様のために適していることは明らかである。詳細には、他の幾何構造の突出リブ
および/または金型57、58によって形成される他のタイプの機能要素を本発明に従っ
て有利に想定することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 従来の衝撃吸収軸受ブロック
2 オリーブ・ドーム石
3 セッティング
4 受石
5 軸受ブロック
6 衝撃吸収ばね
8 傾斜石
9 孔(貫通孔)
11 頂面
12 底面
13 円錐(係合円錐)
14 丸いゾーン
15 朝顔形に広がった周囲面(周囲壁)
16 朝顔形に広がった部分
20 石の製造方法
21 第1のステップ(先駆体を製造するステップ)
22 第2のステップ(先駆体を加圧するステップ)
23 第3のステップ(素地を焼結するステップ)
24 第4のステップ(ボディを機械加工するステップ)
25 仕上げステップ
30 セラミック・ボディ
31 頂面
32 底面
34 孔ブランク(孔、片目空洞)
35 底部部分
36 頂部部分
37 周囲面(周囲壁)
37 第1の開口
40 溝
41 外面
42 内面
45 凹所
46 開口(第2の開口)
47 溝の頂点
48 周囲壁15の他の部分(実質的に直線状の部分)
49 ボディ30の底面32への内面42の接合
50 石を製造するためのシステム
51 先駆体を製造するためのデバイス
52 先駆体を加圧するためのデバイス
53 素地を焼結するためのデバイス
54 ボディ30を機械加工するためのデバイス
56 押抜き
57 頂部金型
58 底部金型
59 ケーシング
60 突出リブ
62 突出リブ60によって範囲が定められた、石8の底面12の寸法に対応する面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-06-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜石(8)を製造するための方法(20)であって、
粉末形態の少なくとも1つの材料と結合剤の混合物から先駆体を製造するステップ(21)と、
素地を形成するために、頂部金型(57)および突出リブ(60)を備える底部金型(58)を使用して前記先駆体を加圧するステップ(22)と、
前記少なくとも1つの材料中に将来の前記石(8)のボディ(30)を形成するために前記素地を焼結するステップ(23)であって、前記ボディ(30)は、周囲面(37)と、溝(40)を備えた底面(32)とを備える、ステップ(23)と、
前記溝の内壁(42)が前記石(8)の周囲面(15)の少なくとも朝顔形に広がった部分(16)を形成するよう、前記周囲面(37)を前記溝(40)まで平削りするサブステップを含む、前記ボディ(30)を機械加工するステップ(24)であって、前記周囲面(15)は表面積がより狭い底面(12)を表面積がより広い頂面(11)に接続するものであり、前記朝顔形に広がった部分(16)には、横方向の衝撃を吸収するよう、時計の軸受ブロックの内壁と接触する、ステップ(24)と
を含むことを特徴とする方法(20)。
【請求項2】
前記機械加工ステップ(24)は、前記ボディ(30)の頂面(31)に凹所(45)を凹ませるサブステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械加工ステップは、前記石(8)に所定の厚さを与える頂面(11)を得るために、前記ボディ(30)の前記頂面(31)を切断するサブステップを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記加圧ステップ(22)は、前記底部金型(58)の押抜き(56)によって孔ブランク(34)を凹ませるステップを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記溝(40)は、円形になり、および/または前記ボディ(30)の前記底面(32)に集中するように具体化されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記突出リブ(60)および前記溝(40)は、実質的に三角形の断面を有し、平削りの後、前記三角形の辺のうちの一辺が前記石(8)の前記周囲面(15)の前記朝顔形に広がった部分(16)を形成することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記溝(40)は内面(42)および外面(41)を備え、前記外面(41)は平削り中に除去されることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記内面(42)は、前記周囲面(15)の前記朝顔形に広がった部分(16)を形成するために、平削りの間、保持されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記加圧ステップ(22)は、前記頂部金型および前記底部金型(57、58)をケーシング(59)内で互いに接近する方向に移動させることによって実施されることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記焼結ステップ(23)は熱分解を含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記石(8)に仕上げを施すステップ(25)、例えばラップ仕上げおよび/またはブラッシングおよび/または研磨を施すステップを含むことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
粉末形態の前記材料はセラミック系であり、また、少なくとも金属酸化物、金属窒化物または金属炭化物を含むことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
粉末形態の前記セラミック系材料は酸化アルミニウムを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
粉末形態の前記セラミック系材料は酸化クロムをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法を使用して石(8)を製造するためのシステム(50)であって、
粉末形態の少なくとも1つの材料と結合剤の混合物から先駆体を製造するためのデバイス(51)と、
ケーシング(59)内に移動可能に配置される頂部金型および底部金型(57、58)を備え、将来の前記石(8)の素地の形成を促進する、前記先駆体を加圧するためのデバイス(52)であって、前記底部金型(58)が突出リブ(60)を備える、デバイス(52)と、
前記素地を焼結するためのデバイス(53)と、
将来の前記石(8)のボディ(30)を機械加工するためのデバイス(54)と
を備えることを特徴とするシステム(50)。
【請求項16】
前記突出リブ(60)は実質的に円形であり、および/または前記底部金型(58)に集中していることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【外国語明細書】