(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012016
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】遠隔操作用駆動機構
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20220107BHJP
B25J 11/00 20060101ALI20220107BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20220107BHJP
G05G 1/54 20080401ALI20220107BHJP
G05G 7/10 20060101ALI20220107BHJP
B66C 13/56 20060101ALI20220107BHJP
B66C 13/40 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
E02F9/20 N
E02F9/20 L
B25J11/00 A
G05G1/30 Z
G05G1/54
G05G7/10 Z
B66C13/56
B66C13/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113496
(22)【出願日】2020-06-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) 発行日 令和01年07月25日 刊行物 2019年度九州国土交通研究会論文集 九州地方整備局 発行 <資 料>研究会・投稿掲載論文(抜粋) (2) 開催日(公開日) 令和01年07月25日 集会名、開催場所 2019年度九州国土交通研究会 九州地方整備局 主催 福岡第二合同庁舎2F 共用 会議室 <資 料>研究会・開催案内及びプログラム (3) 発行日 令和01年10月9日 刊行物 第19回建設ロボットシンポジウム論文集 建設ロボット研究連絡協議会 発行 <資 料>シンポジウム・投稿掲載論文(抜粋) (4) 開催日(公開日) 令和01年10月09日 集会名、開催場所 第19回建設ロボットシンポジウム 建設ロボット研究連絡協議会 主催 北九州国際会議場 メインホール <資 料>シンポジウム・開催案内及びプログラム (5) 開催日(公開日) 令和01年12月02日 集会名、開催場所 令和元年度 建設施工と建設機械シンポジウム 一般社団法人日本建設機械施工協会 主催 機械振興会館
(71)【出願人】
【識別番号】301003159
【氏名又は名称】国土交通省九州地方整備局長
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】原 堅次
(72)【発明者】
【氏名】黒田 浩章
(72)【発明者】
【氏名】橋住 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】山崎 峻一
(72)【発明者】
【氏名】塙 裕彰
(72)【発明者】
【氏名】田中 真人
(72)【発明者】
【氏名】平野 高嗣
(72)【発明者】
【氏名】川上 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】石坂 仁
【テーマコード(参考)】
2D003
3C707
3J070
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003AC06
2D003BA04
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
3C707AS21
3C707CS10
3C707CU02
3C707CV02
3C707HS27
3J070AA32
3J070AA41
3J070CE10
3J070DA21
(57)【要約】
【課題】従来よりも着脱が容易な遠隔操作用駆動機構を提供する。
【解決手段】フロントガラス付の運転室を備える重機に装着され、当該重機を遠隔操作するための遠隔操作用駆動機構であって、被駆動部を把持する把持ユニットと、該把持ユニットに駆動力を作用させる駆動ユニットと、フロントガラスに吸着し、駆動ユニットを前記フロントガラスに支持させる吸着ユニットとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントガラス付の運転室を備える重機に装着され、当該重機を遠隔操作するための遠隔操作用駆動機構であって、
被駆動部を把持する把持ユニットと、
該把持ユニットに駆動力を作用させる駆動ユニットと、
前記フロントガラスに吸着し、前記駆動ユニットを前記フロントガラスに支持させる吸着ユニットと
を備えることを特徴とする遠隔操作用駆動機構。
【請求項2】
前記駆動ユニットは、垂直姿勢から傾斜して設けられる電動シリンダであることを特徴とする請求項1記載の遠隔操作用駆動機構。
【請求項3】
前記把持ユニットと前記駆動ユニットとの係合位置を可変する第1の可変係合機構をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の遠隔操作用駆動機構。
【請求項4】
前記吸着ユニットと前記駆動ユニットとの係合位置を可変する第2の可変係合機構をさらに備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の遠隔操作用駆動機構。
【請求項5】
前記吸着ユニットの落下を防止する落下防止ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の遠隔操作用駆動機構。
【請求項6】
前記被駆動部は、アタッチメントを操作するアタッチメントペダルであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の遠隔操作用駆動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作用駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、重機の操作杆の動作制御を高精度にでき、重機の高精度な遠隔操作を可能とする重機の遠隔操作装置が開示されている。この遠隔操作装置は、重機の操作杆を動作させる操作装置を備え、当該操作装置は、上記操作杆の動作支点の近傍位置を回転軸として揺動するリンクと、該リンクに接続しその長さ方向に上記操作杆を案内する棒状のガイド部材とを備えた2組の駆動ユニットを有し、当該駆動ユニットは、上記ガイド部材の交差位置で操作杆と接続し、ガイド部材は円弧状に構成されて、一方のガイド部材が他方のガイド部材に沿って移動するものである。なお、特許文献2にも特許文献1と同様に重機の遠隔操作に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-172174号公報
【特許文献2】特許第6180292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記背景技術は、重機の遠隔操作を可能とするものであるが、重機への取付性が良くなく、また取り外しも困難である。すなわち、特許文献1の操作装置は、重機への装着に時間を要するばかりか、一端装着した後に取り外す場合に手間がかかる。重機の遠隔操作が必要となる作業現場では、重機の遠隔操縦が必要な場合と運転手が直接操縦する場合とがあるが、例えば複数の重機を運用する場合には遠隔操作の利便性を向上させるためには着脱性が重要である。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも着脱が容易な遠隔操作用駆動機構の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、遠隔操作用駆動機構に係る第1の解決手段として、フロントガラス付の運転室を備える重機に装着され、当該重機を遠隔操作するための遠隔操作用駆動機構であって、被駆動部を把持する把持ユニットと、該把持ユニットに駆動力を作用させる駆動ユニットと、前記フロントガラスに吸着し、前記駆動ユニットを前記フロントガラスに支持させる吸着ユニットとを備える、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、遠隔操作用駆動機構に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記駆動ユニットは、垂直姿勢から傾斜して設けられる電動シリンダである、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、遠隔操作用駆動機構に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記把持ユニットと前記駆動ユニットとの係合位置を可変する第1の可変係合機構をさらに備える、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、遠隔操作用駆動機構に係る第4の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、前記吸着ユニットと前記駆動ユニットとの係合位置を可変する第2の可変係合機構をさらに備える、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、遠隔操作用駆動機構に係る第5の解決手段として、上記第1~第4のいずれかの解決手段において、前記吸着ユニットの落下を防止する落下防止ユニットをさらに備える、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、遠隔操作用駆動機構に係る第6の解決手段として、上記第1~第5のいずれかの解決手段において、前記被駆動部は、アタッチメントを操作するアタッチメントペダルである、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来よりも着脱が容易な遠隔操作用駆動機構を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態における重機の構成を示す側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る遠隔操作用駆動機構の側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態における把持ユニット1の詳細構成を示す斜視図(a)及び正面図(b)である。
【
図4】本発明の一実施形態における駆動ユニット2及び吸着ユニット3の詳細構成を示す斜視図(a)及び吸着ユニット3の背面図(b)である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る遠隔操作用駆動機構の動作及び第1の可変係合機構の作用を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る遠隔操作用駆動機構Aは、
図1に示すように重機Mに装着され、当該重機Mの遠隔操作に供される。
【0015】
重機Mは、例えばドラグショベルであり、下部走行体m1、上部旋回体m2及び作業装置m3を備えている。このような重機Mの構成について周知なので詳細な説明を省略するが、下部走行体m1は無限軌道を備え、上部旋回体m2は運転席(運転室)を備え、また作業装置m3はブーム、アーム及びアタッチメントを備えている。
【0016】
このような重機Mは、運転手が手動操作する複数の操作レバーや操作ペダルが運転席に設けられている。また、重機Mは、種々のアタッチメントが選択的に装着されることにより、アタッチメントに応じた各種作業を工事現場で行う。上記アタッチメントは、アームの先端に着脱自在に装着される作業具であり、つかみ具、ブレーカ(打撃式破砕具)、切断具あるいは圧砕具等がある。
【0017】
この遠隔操作用駆動機構Aは、このような重機Mを遠隔操作するためにフロントガラス付の運転席に設けられる。より具体的には、遠隔操作用駆動機構Aは、運転席に設けられた複数の操作レバーや操作ペダルのうち、アタッチメントを操作する操作ペダル(アタッチメントペダル)を遠隔操作するためのものである。すなわち、この遠隔操作用駆動機構Aは、重機Mを遠隔操作するための総合遠隔操作用駆動機構の一部を構成するものである。
【0018】
このような遠隔操作用駆動機構Aは、
図2に示すように、把持ユニット1、駆動ユニット2、吸着ユニット3及び落下防止ユニット4を備える。すなわち、本実施形態に係る遠隔操作用駆動機構Aは、アタッチメントペダルm4を被駆動部とし、またフロントガラスm5を備える重機Mに装着される。
【0019】
上記アタッチメントペダルm4は、運転席(運転室)において略水平な床面に対して所定角度で傾斜する姿勢で設けられた操作ペダルである。このアタッチメントペダルm4は、先端部に下方向きの駆動力を作用させることにより後端部が支点となって傾斜角(踏込量)が変化する。
【0020】
フロントガラスm5は、略垂直姿勢で運転席(運転室)に設けられている。このフロントガラスm5は、運転席(運転室)において重機Mの前方側つまりアタッチメントペダルm4の前側に略垂直姿勢で設けられている。
【0021】
把持ユニット1は、上記アタッチメントペダルm4の先端部を把持する機械要素であり、
図3に示すように第1ブロック1a、第2ブロック1b、一対の着脱部材1c、中継ブロック1d、張出量調整部材1e、第1ロックピン1f及び第2ロックピン1gを備えている。
【0022】
第1ブロック1aは、両端が直角に立ち上がった板状部材であり、一面(上面)に中継ブロック1dが固定され、他面(下面)にゴムシートが設けられている。このゴムシートの表面(下面)は、アタッチメントペダルm4の上面に当接する第1当接面である。第2ブロック1bは、上記第1ブロック1aに平行対峙すると共に両端が直角に立ち上がった板状部材であり、一面(上面)にゴムシートが設けられている。このゴムシートの表面(上面)は、アタッチメントペダルm4の下面に当接する第2当接面である。
【0023】
一対の着脱部材1cは、上記第1ブロック1a及び第2ブロック1bの両端部に各々設けられている。すなわち、一方の着脱部材1cは第1ブロック1a及び第2ブロック1bの一端側に設けられ、他方の着脱部材1cは第1ブロック1a及び第2ブロック1bの他端側に設けられている。
【0024】
このような一対の着脱部材1cは、第1ブロック1a及び第2ブロック1bの対向距離を可変設定するものである。すなわち、一対の着脱部材1cは、第1ブロック1a及び第2ブロック1bの対向距離を比較的狭い状態に保持することにより、上述した一対の当接面(第1当接面及び第2当接面)でアタッチメントペダルm4を把持ユニット1で把持した状態となり、また第1ブロック1a及び第2ブロック1bの対向距離を比較的広い状態に設定することにより、アタッチメントペダルm4の把持状態を解除する。
【0025】
中継ブロック1dは、所定間隔を隔てて対向すると共に上記第1ブロック1aから直交する方向に延出する一対の板状部材である。この中継ブロック1dには、第1ブロック1aから直交する方向における同一位置に一対の丸穴が形成されている。この一対の丸穴は、図示するように第1ロックピン1fが挿入される挿入孔である。
【0026】
張出量調整部材1eは、平行対峙すると共に途中部位で所定角度で屈曲する一対の屈曲板部と、当該一対の屈曲板部の両端をそれぞれ接続する一対の接続板部とを備える。図示するように一対の屈曲板部のうち、第1直線部には丸穴が所定間隔で複数(図では3つ)形成され、また第2直線部にも丸穴が所定間隔で複数(図では2つ)形成されている。
【0027】
第1直線部における複数の丸穴は、図示するように第1ロックピン1fが挿入される挿入孔である。また、第2直線部における複数の丸穴は、図示するように第2ロックピン1gが挿入される挿入孔である。なお、第1直線部と第2直線部との接続箇所に形成された丸穴は、第1ロックピン1fあるいは第2ロックピン1gのいずれかが挿入され得る共通の挿入孔である。
【0028】
第1ロックピン1fは、中継ブロック1dの挿入孔及び張出量調整部材1eにおける第1直線部の挿入孔に挿入される係止部材である。すなわち、この第1ロックピン1fは、どの挿入孔に挿入されるかによって、中継ブロック1dに対する張出量調整部材1eの位置関係つまり第1ブロック1a及び第2ブロック1bの直交方向における張出量調整部材1eの突出量を設定する。
【0029】
第2ロックピン1gは、張出量調整部材1eにおける第2直線部の挿入孔に挿入される係止部材である。このような第2ロックピン1g、上述した中継ブロック1d、張出量調整部材1e及び第1ロックピン1fは、把持ユニット1と駆動ユニット2との係合位置を可変する第1の可変係合機構を構成している。すなわち、本実施形態に係る遠隔操作用駆動機構Aは、第1の可変係合機構を備えるものである。
【0030】
駆動ユニット2は、上述した把持ユニット1に駆動力を作用させる構成要素であり、
図2に示すように垂直姿勢から傾斜して設けられる電動シリンダである。この駆動ユニット2は、
図4(a)に示すように、直動シリンダ2a、モータ2b、中間プレート2c及び揺動ホルダ2dを備えている。
【0031】
直動シリンダ2aは、図示するように垂直姿勢から若干傾斜した姿勢で設けられる棒状部材である。この直動シリンダ2aは、下端部から可動棒であるロッドが伸縮する。このロッドの先端部は、上述した第2ロックピン1gによって把持ユニット1の張出量調整部材1eに回動自在に係止されている。
【0032】
モータ2bは、このような直動シリンダ2aの駆動源であり、直動シリンダ2aの上端近傍に設けられている。このモータ2bは、図示しない遠隔操作制御装置から駆動電流が供給されることにより作動するものであり、本実施形態に係る遠隔操作用駆動機構Aにおける唯一の駆動部である。
【0033】
上記遠隔操作制御装置は、重機Mの外部に設けられた遠隔操作装置と無線通信自在に接続されている。すなわち、本実施形態に係る遠隔操作用駆動機構Aは、モータ2bが遠隔操作制御装置を介いて遠隔操作装置に遠隔制御されることによってアタッチメントペダルm4(被駆動部)を操作する。
【0034】
中間プレート2cは、直動シリンダ2aの左右に一対設けられた平板である。この中間プレート2cは、直動シリンダ2aの左右側面にネジ止め固定されており、中央部に円柱状の係合ピンが突設している。これら一対の係合ピンは、揺動ホルダ2dに係合する。
【0035】
揺動ホルダ2dは、図示するように平行対峙する一対の平板部と、当該一対の平板部の片端を接続する接続板部とを備える。一対の平板部には、接続板部に対して同一距離の位置に中間プレート2cの係合ピンに係合する係合孔がそれぞれ形成されている。
【0036】
すなわち、この揺動ホルダ2dは、平行対峙する一対の平板部における一対の係合孔が直動シリンダ2aの左右に突出する一対の係合ピン(中間プレート2c)と係合するので、直動シリンダ2aの直動軸に直交する回動軸周りに回動自在である。なお、揺動ホルダ2dの接続板部には、吸着ユニット3を装着するための貫通孔が形成されている。
【0037】
図4(b)に示すように、吸着ユニット3は、運転席(運転室)のフロントガラスm5に吸着し、駆動ユニット2をフロントガラスm5に支持させる構成要素であり、吸盤3a、取合板3b、一対のシャフト3c、上下揺動板3d及び固定ネジ3eを備えている。なお、この吸着ユニット3及び駆動ユニット2における中間プレート2c及び揺動ホルダ2dは、駆動ユニット2の本体部を構成する直動シリンダ2a及びモータ2bを重機Mに位置自在及び姿勢自在に支持させる支持ユニットを構成している。
【0038】
吸盤3aは、図示するように円板状部材であり、一面(表面)が吸着面、また他面(背面)が取合板3bとの取付部になっている。すなわち、吸盤3aの表面は平坦な面(平面)であり、フロントガラスm5に真空吸着する。これに対して、吸盤3aの背面は、上記表面(吸着面)に平行な平面であり、垂直方向に突設すると共に所定距離を隔てて平行対峙すると共に二対の挿通孔が形成された一対の取付板が設けられている。
【0039】
取合板3bは、一対のシャフト3cを介して吸盤3aの背面に接続されており、吸盤3aの背面に平行対峙する平板部と、当該平板部の裏面と吸盤3aとの間に設けられる一対のクランク板部とを備えている。上記平板部は、表面が上下揺動板3dに当接する当接面であり、また中央部に上下方向に延在する長孔が形成され、上部左右に一対の丸孔が形成されている。上記クランク板部は、正面視でクランク形状の平板状であり、上記平板部の裏面に所定距離を隔てて平行対峙すると共に二対の挿通孔が形成されている。
【0040】
一対のシャフト3cは、吸盤3aの取付板における二対の挿通孔及び取合板3bのクランク板部における二対の挿通孔に挿通される棒状部材である。一対のシャフト3cの両端部は雄ネジとして機能するようにネジ溝が形成されており、各々の雄ネジにナットが装着される。このような一対のシャフト3cは、吸盤3aと取合板3bとを剛結合させる。
【0041】
上下揺動板3dは、固定ネジ3eを介して取合板3b及び駆動ユニット2の揺動ホルダ2dに接続される矩形板材である。この上下揺動板3dは、中央に固定ネジ3eが挿通する挿通孔を備える。
【0042】
固定ネジ3eは、取合板3bの長孔及び上下揺動板3dの挿通孔に挿通され、また揺動ホルダ2dの貫通孔に旋回用カラーを介して挿通される。このような固定ネジ3eは、取合板3bと上下揺動板3dとを固定的に接続し、また揺動ホルダ2dについては取合板3b及び上下揺動板3dに対して中心軸周りに旋回自在に接続する。
【0043】
すなわち、固定ネジ3eは、駆動ユニット2を吸着ユニット3に対して旋回自在に支持させる。また、このような固定ネジ3eは、上下方向に延在する取合板3bの長孔に挿通されるので、吸着ユニット3に対する駆動ユニット2の相対高さを調整することが可能である。
【0044】
このような固定ネジ3e、また上述した取合板3b及び上下揺動板3dは、吸着ユニット3と駆動ユニット2との係合位置を可変する第2の可変係合機構を構成している。すなわち、本実施形態に係る遠隔操作用駆動機構Aは、第2の可変係合機構を備えている。
【0045】
図2の落下防止ユニット4は、吸着ユニット3の落下を防止する構成要素であり、係合具とワイヤからなる一対の吊具である。係合具は、取合板3bにおける一対の丸孔に着脱自在に係合する部材であり、ワイヤの一端に設けられている。ワイヤは、金属撚線であり、一端に係合具が設けられ、他端が運転席(運転室)内の構造物に固定されている。
【0046】
このような落下防止ユニット4は、吸着ユニット3及び駆動ユニット2を吊持し得る機械的許度を備える。なお、上記構造物は、例えば運転席(運転室)内においてフロントガラスm5に対峙するように平行に設けられた棒状部材である。
【0047】
次に、本実施形態に係る遠隔操作用駆動機構Aの動作について、
図5をも参照して詳しく説明する。
【0048】
上述したように遠隔操作用駆動機構Aは、モータ2bが遠隔操作制御装置を介いて遠隔操作装置に遠隔制御されることによってアタッチメントペダルm4(被駆動部)を操作する。遠隔操作制御装置が遠隔操作装置からアタッチメントペダルm4に関する遠隔制御信号を受信していない状態では、遠隔操作制御装置からモータ2bに駆動電流が供給されないので、
図5(a)に実線で示すようにアタッチメントペダルm4は既定状態にある。
【0049】
一方、この遠隔操作用駆動機構Aは、遠隔操作制御装置が遠隔操作装置からアタッチメントペダルm4の踏込みを指示する遠隔制御信号を受信すると、
図5(a)に仮想線で示すように、モータ2bが回転して直動シリンダ2aのロッドを下方に延出させる。この結果、アタッチメントペダルm4は、直動シリンダ2aによって先端部が押し下げられてアタッチメントを作動させる。
【0050】
すなわち、本実施形態に係る遠隔操作用駆動機構Aによれば、遠隔操作制御装置が遠隔操作装置から無線受信する遠隔指示信号に基づいて駆動ユニット2が作動し、以って把持ユニット1がアタッチメントペダルm4(被駆動部)を操作する。
【0051】
そして、遠隔操作用駆動機構Aにおいて、駆動ユニット2を駆動する駆動ユニット2は、吸着ユニット3を介して運転席(運転室)のフロントガラスm5に支持される。すなわち、本実施形態によれば、フロントガラスm5に対して着脱が自在な吸着ユニット3によって駆動ユニット2を支持するので、従来よりも着脱が容易な遠隔操作用駆動機構を提供することが可能である。
【0052】
また、遠隔操作用駆動機構Aでは、駆動ユニット2がフロントガラスm5の近傍において垂直姿勢から傾斜して設けられる電動シリンダなので、フロントガラスm5の近傍における比較的狭い空間に駆動ユニット2を配置することが可能である。したがって、本実施形態によれば、重機Mの手動運転の際に運転手によるアタッチメントペダルm4の操作を妨害することがない。
【0053】
また、遠隔操作用駆動機構Aでは、把持ユニット1と駆動ユニット2との係合位置を可変する第1の可変係合機構を備えるので、
図5(a)~(c)に示すようにアタッチメントペダルm4とフロントガラスm5との距離の違いに柔軟に対応することができ、また駆動ユニット2の駆動力を最小化してアタッチメントペダルm4を効果的に操作することが可能である。
【0054】
すなわち、この遠隔操作用駆動機構Aでは、
図5(a)に示すようにアタッチメントペダルm4がフロントガラスm5に比較的近い位置にある場合、張出量調整部材1eにおける第2直線部の挿入孔のうち、第1直線部により近い挿入孔に第2ロックピン1gを挿入することにより、直動シリンダ2aのロッド先端部をアタッチメントペダルm4のより近い位置に係合させる。
【0055】
また、この場合には、
図5(a)に示すように張出量調整部材1eにおける第1直線部の挿入孔のうち、第2直線部により近い挿入孔に第1ロックピン1fを挿入することにより、直動シリンダ2aのロッド先端部をアタッチメントペダルm4のより近い位置に係合させる。
【0056】
この場合において、
図5(a)に示すように、把持ユニット1の傾動支店である第1支持点aと把持ユニット1と駆動ユニット2との係合位置である第2支持点bとを結ぶ線分と第2支持点bと駆動ユニット2と吸着ユニット3との係合位置である第3支持点cとを結ぶ線分との成す角度は90°近くであり、駆動ユニット2の駆動力がアタッチメントペダルm4に効果的に作用する。
【0057】
これに対して、遠隔操作用駆動機構Aでは、
図5(b)に示すようにアタッチメントペダルm4がフロントガラスm5から比較的遠い位置にある場合には、張出量調整部材1eにおける第2直線部の挿入孔のうち、第1直線部からより遠い挿入孔に第2ロックピン1gを挿入することにより、直動シリンダ2aのロッド先端部をアタッチメントペダルm4からより離れた位置に係合させる。
【0058】
また、この場合には、
図5(b)に示すように張出量調整部材1eにおける第1直線部の挿入孔のうち、第2直線部により遠い挿入孔に第1ロックピン1fを挿入することにより、直動シリンダ2aのロッド先端部をアタッチメントペダルm4のより遠い位置に係合させる。
【0059】
この場合において、
図5(b)に示すように、第1支持点aと第2支持点bとを結ぶ線分と第2支持点bと第3支持点cとを結ぶ線分との成す角度は90°近くであり、駆動ユニット2の駆動力がアタッチメントペダルm4に効果的に作用する。
【0060】
ここで、アタッチメントペダルm4がフロントガラスm5から比較的遠い位置にある場合において、
図5(c)に示すように第2ロックピン1gを第2直線部の挿入孔ではなく第1直線部の挿入孔に挿入した場合、第1支持点aと第2支持点bとを結ぶ線分と第2支持点bと第3支持点cとを結ぶ線分との成す角度は180°に近づく。このような場合には、駆動ユニット2の駆動力がアタッチメントペダルm4に効果的に作用しなくなるので、より大きな駆動力が必要になり好ましくない。
【0061】
また、遠隔操作用駆動機構Aでは、吸着ユニット3と駆動ユニット2との係合位置を可変する第2の可変係合機構を備えるので、駆動ユニット2の高さを調節することが可能である。重機Mの機種によってアタッチメントペダルm4(被駆動部)の形状や大きさが若干異なるので、これに応じて駆動ユニット2の設置高さを調節する必要が発生し得るが、本実施形態によれば、駆動ユニット2の高さを容易に調節することができる。
【0062】
また、遠隔操作用駆動機構Aでは落下防止ユニット4が設けられているので、吸着ユニット3の不具合による駆動ユニット2の落下を確実に防止することが可能である。すなわち、本実施形態によれば、駆動ユニット2の落下に起因する機能不全を確実に防止することができる。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、アタッチメントを操作するアタッチメントペダルm4を被駆動部としたが、本発明はこれに限定されない。重機Mにおける他の操作レバーや操作ペダルを被駆動部としてもよい。
【0064】
(2)上記実施形態では、単一の吸着ユニット3を設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数の吸着ユニット3で駆動ユニット2をフロントガラスm5に支持させてもよい。
【0065】
(3)上記実施形態では、駆動ユニット2として電動シリンダを採用したが、本発明はこれに限定されない。例えば、電動シリンダに代えて油圧シリンダやエアーシリンダを用いてもよい。
【符号の説明】
【0066】
A 遠隔操作用駆動機構
M 重機
m1 下部走行体
m2 上部旋回体
m3 作業装置
m4 アタッチメントペダル(被駆動部)
m5 フロントガラス
1 把持ユニット
1a 第1ブロック
1b 第2ブロック
1c 着脱部材
1d 中継ブロック
1e 張出量調整部材
1f 第1ロックピン
1g 第2ロックピン
2 駆動ユニット
2a 直動シリンダ
2b モータ
2c 中間プレート
2d 揺動ホルダ
3 吸着ユニット
3a 吸盤
3b 取合板
3c シャフト
3d 上下揺動板
3e 固定ネジ
4 落下防止ユニット