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特開2022-1201695’S-LNAヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120169
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】5’S-LNAヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/067 20060101AFI20220809BHJP
   C07H 19/167 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
C07H19/067
C07H19/167 CSP
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097742
(22)【出願日】2022-06-17
(62)【分割の表示】P 2019500572の分割
【原出願日】2017-07-24
(31)【優先権主張番号】201641025669
(32)【優先日】2016-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】515129320
【氏名又は名称】ロシュ イノベーション センター コペンハーゲン エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ブライヒャー コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】ダシュメイル ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】サハ グータム
(72)【発明者】
【氏名】シャイク ジューバー アブダルハミド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】糖環の5'位に硫黄原子を有するロックド核酸ホスホラミダイト構築ブロック、構築ブロックの製造方法、およびこの構築ブロックを含むオリゴヌクレオチドの製造方法を提供する。
【解決手段】式(I)の化合物。

(R:リン酸保護基。R、R:一緒に、-CHO-、-CHNH-、-CHS-、などを形成。R:ジアルキルアミノ。R:チオヒドロキシル保護基。Nu:保護一級アミノ基を含んでいてもよい核酸塩基)
式(I)の化合物は、アンチセンス薬物としての5'S-LNAオリゴヌクレオチドの製造において用いることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖環の5'位に硫黄原子を有するLNAホスホラミダイト構築ブロック、この構築ブロックの製造方法、およびこの構築ブロックを含むオリゴヌクレオチドの製造方法に関する。
【0002】
本発明は、したがって、式(I)の化合物に特に関する:
式中、
R1はリン酸保護基であり;
R2およびR4は一緒に、-CH2O-、-CH2NH-、-CH2S-、-CH2N(ORp)-、-CHCH3O-、-C(CH3)2O-、-CH2C(=CH2)-、-CHCH3C(=CH2)-、-CHCH3S-、-CH2NRp-、-CH2CH2O-、-CH2CH2CH2O-、-CH2OCH2-、-CH(CH2OCH3)O-、-CH(CH2CH3)O-、または-CH2OCH2O-を形成し;
R3はジアルキルアミノであり;
R5はチオヒドロキシル保護基であり;
各Rpはアルキルであり;かつ
Nuは保護一級アミノ基を含んでいてもよい核酸塩基である。
【背景技術】
【0003】
相補的RNA鎖を標的とするためにワトソン-クリックハイブリダイゼーションの十分に理解されている原理が利用される、治療剤としてのオリゴデオキシヌクレオチドの使用は、1970年代後期のその開始以来、顕著な進歩を示してきた(P. C. Zamecnik, M. L. Stephenson, P Natl Acad Sci USA 1978, 75, 280-284;S. T. Crooke, Antisense drug technology : principles, strategies, and applications, 2nd ed. ed., Boca Raton, FL : CRC Press, 2008(非特許文献1および2))。
【0004】
合成オリゴヌクレオチドにおいて、例えば、それらの半減期を延ばすため、薬物動態を改善するため、RNアーゼH活性を増強するため、毒性を低減するため、またはミスマッチ識別を増強するために、いくつかの種類の化学修飾が経時的に導入されてきた。
【0005】
最もうまくいった修飾の1つは、非架橋リン酸酸素原子の1つが硫黄原子に置き換えられたホスホロチオエート連結の導入である(F. Eckstein, Antisense and Nucleic Acid Drug Development 2009, 10, 117-121(非特許文献3))。そのようなホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドは、それらの非修飾ホスホジエステル類縁体に比べて、タンパク質結合の増大ならびに核酸分解に対する明らかに高い安定性と、したがって血漿、組織および細胞における実質的に高い半減期を示す。これは、第一世代オリゴヌクレオチド治療薬の開発を可能にし、ロックド核酸(LNA)などのそれ以降の世代の修飾の扉を開いた。
【0006】
しかし、ホスホジエステル連結のホスホロチオエートによる置き換えは、リン原子におけるキラル中心を生ずる。その結果、すべての承認されたオリゴヌクレオチド治療薬はこれまでのところ大量のジアステレオマー化合物の混合物であり、もしかすると異なる(そしておそらくは対立する)物理化学的性質を有する。
【0007】
そのようなオリゴデオキシヌクレオチドのジアステレオマーによる複雑性を低減するために、ホスホロチオエート内の硫黄原子を、理論上、リボース糖の非架橋位置の1つから架橋5'位にシフトさせることができる。この修飾はリンの周りの置換パターンを対称にし、したがってキラル中心を除去して、その結果、分子のジアステレオマーによる複雑性を低減する。
【0008】
そのような2',5'-ジデオキシ-5-メルカプト構築ブロックを含むオリゴヌクレオチドが調製され(R. Cosstick, J. Gaynor, Curr. Org. Chem. 2008, 12, 291-308(非特許文献4)およびその中の引用文献参照)、例えば、部位特異的切断(例えば、K. Jahn-Hofmann, J. W. Engels, Helv. Chim. Acta 2004, 87, 2812-2828(非特許文献5))または化学生物学における機構調査(例えば、S. R. Das, J. A. Piccirilli, Nat Chem Biol 2005, 1, 45-52(非特許文献6))などの多様な状況で調べられている。特にホスホロチオエートオリゴヌクレオチドのジアステレオマーによる複雑性の低減を意図した治療的状況におけるそれらの応用は、しかし、まったく注目されていない。さらに、そのような2',5'-ジデオキシ-5'-メルカプト修飾のロックド核酸(LNA)糖部分との組み合わせはまったく先例がない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】P. C. Zamecnik, M. L. Stephenson, P Natl Acad Sci USA 1978, 75, 280-284;
【非特許文献2】S. T. Crooke, Antisense drug technology : principles, strategies, and applications, 2nd ed. ed., Boca Raton, FL : CRC Press, 2008
【非特許文献3】F. Eckstein, Antisense and Nucleic Acid Drug Development 2009, 10, 117-121
【非特許文献4】R. Cosstick, J. Gaynor, Curr. Org. Chem. 2008, 12, 291-308
【非特許文献5】K. Jahn-Hofmann, J. W. Engels, Helv. Chim. Acta 2004, 87, 2812-2828
【非特許文献6】S. R. Das, J. A. Piccirilli, Nat Chem Biol 2005, 1, 45-52
【発明の概要】
【0010】
本発明者らは、驚くことに、糖環の5'位に硫黄原子を有するLNAホスホラミダイト構築ブロックの入手を可能にする方法を初めて見出し、それらを修飾オリゴヌクレオチドの合成に適用した。本発明は、したがって、そのような5'-メルカプト修飾LNAへの参入を提供する。これは、オリゴヌクレオチドに含まれると、得られる分子のジアステレオマーによる複雑性を低減する。
[本発明1001]
式(I)の化合物:
式中、
R1はリン酸保護基であり;
R2およびR4は一緒に、-CH2O-、-CH2NH-、-CH2S-、-CH2N(ORp)-、-CHCH3O-、-C(CH3)2O-、-CH2C(=CH2)-、-CHCH3C(=CH2)-、-CHCH3S-、-CH2NRp-、-CH2CH2O-、-CH2CH2CH2O-、-CH2OCH2-、-CH(CH2OCH3)O-、-CH(CH2CH3)O-、または-CH2OCH2O-を形成し;
R3はジアルキルアミノであり;
R5はチオヒドロキシル保護基であり;
各Rpはアルキルであり;かつ
Nuは保護一級アミノ基を含んでいてもよい核酸塩基である。
[本発明1002]
R1がシアノエチルまたはメチルである、本発明1001の化合物。
[本発明1003]
R2およびR4が一緒に-CH2O-を形成する、本発明1001または1002の化合物。
[本発明1004]
R3がジイソプロピルアミノである、本発明1001~1003のいずれかの化合物。
[本発明1005]
R5が、トリチル、4-メトキシトリチル、4,4'-ジメトキシトリチル、または4,4',4''-トリメトキシトリチルである、本発明1001~1004のいずれかの化合物。
[本発明1006]
各Rpが独立に、メチル、エチル、またはプロピルである、本発明1001~1005のいずれかの化合物。
[本発明1007]
核酸塩基が、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、またはウラシルである、本発明1001~1006のいずれかの化合物。
[本発明1008]
Nuが、(A)、(B)、(C)、または(D):
であり、式中、R6は、水素、またはそれが結合しているアミノ基の保護基である、
本発明1001~1007のいずれかの化合物。
[本発明1009]
アミノ基の保護基が、ベンゾイル、ジメチルホルムアミド、アセチル、またはイソブチリルである、本発明1008の化合物。
[本発明1010]
Nuが、(A1)、(B1)、または(C1):
である、本発明1001~1009のいずれかの化合物。
[本発明1011]
本発明1001~1010のいずれかに定義される式(I)の化合物の製造のための方法であって、
P(R3)2OR1およびオリゴヌクレオチド合成活性化剤の存在下における式(II)の化合物:
の反応を含み、式中R1~R5およびNuが本発明1001~1010のいずれかに定義されるとおりである、方法。
[本発明1012]
R5X1および塩基の存在下における式(III)の化合物:
の反応により、本発明1011に定義される式(II)の化合物が得られ、
式中R2、R4、R5、およびNuが、本発明1001、1003および1005~1010のいずれかに定義されるとおりであり、かつX1が脱離基である、
本発明1011の方法。
[本発明1013]
式(IV)の化合物:
の加水分解により、本発明1012に定義される式(III)の化合物が得られ、
式中、
R7が、アルキル、アリール、アリールアルキル、置換アリール、または置換アリールアルキルであり、ここで置換アリールおよび置換アリールアルキルが、アリール上でアルキル、アルコキシ、およびハロゲンから独立に選択される1~3つの置換基で置換されているアリールおよびアリールアルキルであり;かつ
R2、R4、およびNuが、本発明1001、1003、および1006~1010のいずれかに定義されるとおりである、
本発明1012の方法。
[本発明1014]
R7がフェニルである、本発明1013の方法。
[本発明1015]
R7COSH、ホスフィン、および脱水剤の存在下における式(V)の化合物:
の反応により、本発明1013に定義される式(IV)の化合物が得られ、
式中、R7が本発明1013または1014に定義されるとおりであり、かつR2、R4、およびNuが本発明1001、1003、および1006~1010のいずれかに定義されるとおりである、
本発明1013または1014の方法。
[本発明1016]
式(VI)の化合物:
のヒドロキシル保護基R5の除去により、式(V)の化合物が得られ、
式中、R5がヒドロキシル保護基であり、かつR2、R4、およびNuが、本発明1001、1003および1006~1010のいずれかに定義されるとおりである、
本発明1015の方法。
[本発明1017]
塩基、求核剤、および式(VIII)の化合物:
の存在下における式(VII)の化合物:
の反応により、本発明1011に定義される式(II)の化合物が得られ、
式中、
R8が脱離基であり;
R9がアルキルであり;かつ
R2、R4、R5、およびNuが、本発明1001、1003および1005~1010のいずれかに定義されるとおりである、
本発明1011の方法。
[本発明1018]
R8X2および非求核塩基の存在下における本発明1015に定義される式(V)の化合物の反応により、本発明1017に定義される式(VII)の化合物が得られ、
式中、X2が脱離基であり、かつR8が式(V)の化合物の5'ヒドロキシル酸素原子と一緒に脱離基を形成し得る基である、
本発明1017の方法。
[本発明1019]
R9C(O)SHの存在下におけるR5X3の反応により、本発明1017に定義される式(VIII)の化合物が得られ、
式中、R5が本発明1001または1005に定義されるとおりであり、R9が本発明1017に定義されるとおりであり、かつX3が脱離基である、
本発明1017または1018の方法。
[本発明1020]
オリゴヌクレオチド合成活性化剤がアゾールである、本発明1011~1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
オリゴヌクレオチド合成活性化剤が、1H-テトラゾール、5-ニトロフェニル-1H-テトラゾール(NPT)、5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT)、5-ベンジルチオ-1H-テトラゾール(BTT)、5-メチルチオ-1H-テトラゾール(MTT)、5-メルカプト-テトラゾール(MCT)、または4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)である、本発明1011~1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
求核剤が、NaOH、KOH、NaOMe、KOMe、メチルアミン、またはNH3である、本発明1017~1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
脱水剤が、アゾジカルボン酸ジエチルまたはアゾジカルボン酸ジイソプロピルである、本発明1015~1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
ホスフィンが、トリフェニルホスフィンまたはトリメチルホスフィンである、本発明1012~1023のいずれかの方法。
[本発明1025]
酸の存在下における式(VI)の化合物の反応により、本発明1015に定義される式(VI)の化合物のヒドロキシル保護基R5の除去が行われる、本発明1016~1024のいずれかの方法。
[本発明1026]
酸が、ペルクロロ酢酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、またはトリフルオロ酢酸である、本発明1025の方法。
[本発明1027]
本発明1011に定義される式(II)の化合物。
[本発明1028]
本発明1012に定義される式(III)の化合物。
[本発明1029]
本発明1013に定義される式(IV)の化合物。
[本発明1030]
N-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-({[ビス(プロパン-2-イル)アミノ](2-シアノエトキシ)ホスファニル}オキシ)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド;
3-[({[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-3-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-7-イル]オキシ}[ビス(プロパン-2-イル)アミノ]ホスファニル)オキシ]プロパンニトリル;
N'-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-({[ビス(プロパン-2-イル)アミノ](2-シアノエトキシ)ホスファニル}オキシ)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-N,N-ジメチルメタンイミドアミド;および
N-{1-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-({[ビス(プロパン-2-イル)アミノ](2-シアノエトキシ)ホスファニル}オキシ)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド
から選択される、本発明1001~1010のいずれかの化合物。
[本発明1031]
N-(9-{1-[(ベンゾイルスルファニル)メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル}-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド;
N-{9-[7-ヒドロキシ-1-(スルファニルメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド;
N-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド;
1-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-2,4-ジオン;
N'-(9-{1-[(ベンゾイルスルファニル)メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル}-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)-N,N-ジメチルメタンイミドアミド;
N'-{9-[7-ヒドロキシ-1-(スルファニルメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-N,N-ジメチルメタンイミドアミド;
N'-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-N,N-ジメチルメタンイミドアミド;
N-(1-{1-[(ベンゾイルスルファニル)メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル}-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ベンズアミド;
N-{1-[7-ヒドロキシ-1-(スルファニルメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド;および
N-{1-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド
から選択される化合物。
[本発明1032]
オリゴヌクレオチドの製造のための、本発明1001~1031のいずれかの化合物の使用。
[本発明1033]
式(IX):
の断片を含み、式中、R2、R4、およびNuが、本発明1001、1003、および1006~1010のいずれかに定義されるとおりである、オリゴヌクレオチド。
[本発明1034]
(a)ヒドロキシル基、
ヒドロキシル基を含むヌクレオチド、または
ヒドロキシル基を含むオリゴヌクレオチド
を含む固体支持体を提供する段階;
(b)本発明1001~1009のいずれかの化合物、ヌクレオチド、ロックド核酸ヌクレオチド、2'-糖修飾ヌクレオチド、3'S-DNA、または3'S-LNAを、該固体支持体のヒドロキシル基にカップリングする段階;
(c)(b)から得た生成物を酸化またはチオ酸化する段階;
(d)段階(c)から得た生成物の未反応ヒドロキシル基を任意でキャッピングする段階;
(e)段階(c)または(d)から得た生成物からヒドロキシル保護基またはチオヒドロキシル保護基を任意で除去する段階;
(f)段階(b)~(e)を任意で繰り返す段階;
(g)段階(c)~(f)の任意の1つから得た生成物から任意の残存保護基を任意で除去する段階;および
(h)オリゴヌクレオチドを固体支持体から任意で切断する段階
を含む、本発明1033に定義される式(IX)の断片を含むオリゴヌクレオチドの製造のための方法。
[本発明1035]
前述の発明。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本記載において、「アルキル」なる用語は、単独または組み合わせで、1~8つの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基、特に1~6つの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基、特に1~3つの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。直鎖および分枝鎖C1-C8アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、異性ペンチル、異性ヘキシル、異性ヘプチルおよび異性オクチル、特にメチル、エチル、プロピル、ブチルおよびペンチル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチルおよびイソペンチルである。アルキルの特定の例は、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルである。
【0012】
「アルコキシ」または「アルキルオキシ」なる用語は、単独または組み合わせで、「アルキル」なる用語が前に与えられた意味を有する、式アルキル-O-の基、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシおよびtert-ブトキシを意味する。特定の「アルコキシ」はメトキシおよびエトキシである。
【0013】
「ハロゲン」または「ハロ」なる用語は、単独または組み合わせで、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、特に塩素、臭素またはヨウ素を意味する。「ハロ」なる用語は、別の基との組み合わせで、この基の少なくとも1つのハロゲンによる置換、特に1~5つのハロゲン、特に1~4つのハロゲン、すなわち1、2、3または4つのハロゲンによる置換を示す。
【0014】
「アリール」なる用語は、単独または組み合わせで、フェニルまたはナフチル基を意味する。
【0015】
「ヒドロキシル」および「ヒドロキシ」なる用語は、単独または組み合わせで、-OH基を意味する。
【0016】
「チオヒドロキシル」および「チオヒドロキシ」なる用語は、単独または組み合わせで、-SH基を意味する。
【0017】
「アミノ」なる用語は、単独または組み合わせで、一級アミノ基(-NH2)、二級アミノ基(-NH-)、または三級アミノ基(-N-)を意味する。
【0018】
「オキシ」なる用語は、単独または組み合わせで、-O-基を意味する。
【0019】
「保護基」なる用語は、単独または組み合わせで、その後の化学反応において化学選択性を得るために、官能基の化学修飾により分子に導入される基を意味する。
【0020】
「リン酸保護基」は、リン酸基の保護基である。リン酸保護基の例は2-シアノエチルおよびメチルである。リン酸保護基の特定の例は2-シアノエチルである。
【0021】
「ヒドロキシル保護基」はヒドロキシル基の保護基である。ヒドロキシル保護基の例は、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bn)、β-メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、ジメトキシトリチル(またはビス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル)(DMT)、トリメトキシトリチル(またはトリス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル)(TMT)、メトキシメチルエーテル(MOM)、メトキシトリチル[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(MMT)、p-メトキシベンジルエーテル(PMB)、メチルチオメチルエーテル、ピバロイル(Piv)、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラヒドロフラン(THF)、トリチルまたはトリフェニルメチル(Tr)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル(TOM)およびトリイソプロピルシリル(TIPS)エーテル)、メチルエーテルおよびエトキシエチルエーテル(EE)である。ヒドロキシル保護基の特定の例はDMTおよびTMT、特にDMTである。
【0022】
「チオヒドロキシル保護基」はチオヒドロキシル基の保護基である。チオヒドロキシル保護基の例は「ヒドロキシル保護基」のものである。
【0023】
「脱離基」なる用語は、ヘテロリティック結合開裂において電子対と共に離脱し得る分子断片を意味する。脱離基の例はCl、Br、I、OTs、OTfまたはOMsである。
【0024】
「求核剤]なる用語は、反応中に電子対を別の種に供与して、化学結合を形成し得る化学種を意味する。
【0025】
「核酸塩基」なる用語は、ヌクレオチドの塩基部分を意味し、天然ならびに非天然変種の両方を含む。したがって、「核酸塩基」は、公知のプリンおよびピリミジン複素環だけでなく、その複素環式類縁体および互変異性体も含む。核酸塩基の例には、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、ヒポキサンチン、5-メチルシトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンが含まれるが、それらに限定されない。
【0026】
本明細書において用いられる「ヌクレオチド」なる用語は、糖部分、塩基部分およびリン酸またはホスホロチオエートヌクレオチド間結合基などの共有結合基(結合基)を含むグリコシドを意味し、DNAまたはRNAなどの天然ヌクレオチドならびに修飾糖および/または塩基部分を含む非天然ヌクレオチドの両方を含む。
【0027】
「固体支持体」なる用語は、特にオリゴマー化合物の固相合成のために用いられる支持体を意味する。固相支持体の例には、架橋ポリスチレン(Primer Support 5GまたはNittoPhaseHL)、制御多孔性ガラス(CPG);オキサリル-制御多孔性ガラス、トリクロロ-[3-(4-クロロメチル)フェニル]プロピルシランと多孔性ガラスビーズとの反応により生成されるものなどの多孔性ガラスビーズおよびシリカゲルなどのシリカ含有粒子(PORASIL E(登録商標))が含まれる。制御多孔性ガラスは特に有用な固相支持体である。
【0028】
「オリゴヌクレオチド合成活性化剤」なる用語は、無保護ヌクレオシドと次に来るヌクレオシドホスホラミダイトモノマーとの反応を活性化することができる化合物を意味する。そのようなオリゴヌクレオチド合成活性化剤の例は、X. Wei, Tetrahedron 2013, 69, 3615-3637に見出すことができる。オリゴヌクレオチド合成活性化剤の例は、1H-テトラゾール、5-ニトロフェニル-1H-テトラゾール(NPT)、5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT)、5-ベンジルチオ-1H-テトラゾール(BTT)、5-メチルチオ-1H-テトラゾール(MTT)、5-メルカプト-テトラゾール(MCT)および4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)のようなアゾール系活性化剤、または塩酸ピリジニウム、イミダゾリウイムトリフレート、ベンズイミダゾリウムトリフレート、5-ニトロベンズイミダゾリウムトリフレート、または2,4-ジニトロ安息香酸もしくは2,4-ジニトロフェノールなどの弱酸のような酸性塩である。5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-テトラゾールは特に有用なオリゴヌクレオチド合成活性化剤である。
【0029】
「キャッピング」または「キャッピング段階」なる用語は、オリゴヌクレオチドカップリング中に反応しなかったヒドロキシルまたはチオヒドロキシル基の保護ヒドロキシルまたはチオヒドロキシル基への変換を意味する。キャッピングは、したがって、次のカップリング段階において前記ヒドロキシルまたはチオヒドロキシル基の反応を妨害する。例えば、キャッピング段階は、例えばTHFまたはアセトニトリル中、例えばピリジンおよびN-メチル-イミダゾールのような活性化剤との組み合わせで、無水酢酸(Ac2O)またはフェノキシ酢酸無水物(Pac-無水物)との反応により都合よく実施される。得られる保護ヒドロキシルまたはチオヒドロキシル基は、例えば、アセテートまたはチオアセテート基である。
【0030】
「糖修飾ヌクレオシド」なる用語は、糖がDNAまたはRNA以外であるヌクレオシドを意味する。
【0031】
したがって、本発明は特に下記に関する:
R1がシアノエチルまたはメチルである、式(I)の化合物;
R2およびR4が一緒に-CH2O-を形成する、式(I)の化合物;
R3がジイソプロピルアミノである、式(I)の化合物;
R5が、トリチル、4-メトキシトリチル、4,4'-ジメトキシトリチル、または4,4',4''-トリメトキシトリチルである、式(I)の化合物;
R5が4,4'-ジメトキシトリチルである、式(I)の化合物;
各Rpが独立に、メチル、エチル、またはプロピルである、式(I)の化合物;
核酸塩基が、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、またはウラシルである、式(I)の化合物;
Nuが、(A)、(B)、(C)、または(D):
であり、式中、R6が水素、またはそれが結合しているアミノ基の保護基である、式(I)の化合物;
アミノ基の保護基が、ベンゾイル、ジメチルホルムアミド、アセチル、またはイソブチリルである、式(I)の化合物;および
Nuが、(A1)、(B1)、または(C1):
である、式(I)の化合物。
【0032】
本発明は下記から選択される式(I)の化合物にさらに関する:
N-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-({[ビス(プロパン-2-イル)アミノ](2-シアノエトキシ)ホスファニル}オキシ)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド;
3-[({[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-3-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-7-イル]オキシ}[ビス(プロパン-2-イル)アミノ]ホスファニル)オキシ]プロパンニトリル;
N'-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-({[ビス(プロパン-2-イル)アミノ](2-シアノエトキシ)ホスファニル}オキシ)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-N,N-ジメチルメタンイミドアミド;および
N-{1-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-({[ビス(プロパン-2-イル)アミノ](2-シアノエトキシ)ホスファニル}オキシ)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド。
【0033】
本発明は特に下記から選択される化合物にさらに関する:
N-(9-{1-[(ベンゾイルスルファニル)メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル}-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド;
N-{9-[7-ヒドロキシ-1-(スルファニルメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド;
N-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド;
1-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-2,4-ジオン;
N'-(9-{1-[(ベンゾイルスルファニル)メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル}-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)-N,N-ジメチルメタンイミドアミド;
N'-{9-[7-ヒドロキシ-1-(スルファニルメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-N,N-ジメチルメタンイミドアミド;
N'-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-N,N-ジメチルメタンイミドアミド;
N-(1-{1-[(ベンゾイルスルファニル)メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル}-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ベンズアミド;
N-{1-[7-ヒドロキシ-1-(スルファニルメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド;および
N-{1-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド。
【0034】
式(I)の化合物の合成は、例えば、以下のスキームに従って行うことができる。特に記載がないかぎり、R1~R9およびNuは前述の定義の意味を有する。
【0035】
スキーム1
5'-保護ヌクレオシド1(例えば、5'-DMT)ならびに塩基保護LNA構築ブロック(例えば、Nu=保護A、GまたはC)から出発して、対応するLNA 5'/3'ジオール2を、酸促進脱保護により得る。硫黄を3の5'位に、例えば、求核剤としてチオ安息香酸を用いて光延反応により導入する。得られたチオエステルのその後の加水分解により、遊離チオール4を得、これを次いで、例えば、DMT基で保護して、5を得る。最後に、固相オリゴヌクレオチド合成のための所望のホスホラミダイト構築ブロック(I)を、適切なホスホラミダイトを酸性活性化剤としてのテトラゾール誘導体と一緒に用いて3'-ヒドロキシル基の亜リン酸化により得る。
【0036】
スキーム2
LNA 5'/3'ジオール1(例えば、Nu=T)を対応する5'-メシレート2に、例えば、ピリジン中、例えば、DMAP存在下、塩化メタンスルホニルでの処理により変換する。この中間体を、次いで、塩基および、例えば、求核剤としてのナトリウムメトキシド存在下、保護チオアセテート(例えば、DMTクロリドのチオ酢酸との反応により得られる、DMT保護チオアセテート)と反応させて、3を得る。得られた生成物を、次いで、酸性テトラゾール活性化剤存在下、3'-ヒドロキシル基のホスホラミダイトでの亜リン酸化により、所望のホスホラミダイト構築ブロック(I)に変換する。
【0037】
本発明は、したがって、下記にも関する:
P(R3)2OR1およびオリゴヌクレオチド合成活性化剤の存在下における式(II)の化合物:
の反応を含み、式中R1~R5およびNuが前述の定義のとおりである、式(I)の化合物の製造のための方法:
R5X1および塩基の存在下における式(III)の化合物:
の反応により、前述の定義の式(II)の化合物が得られ、式中R2、R4、R5、およびNuが、前述の定義のとおりであり、かつX1が脱離基である、本発明の方法;
X1が、Cl、Br、I、OTs、OTf、またはOMsである、本発明の方法;
式(IV)の化合物:
の加水分解により、前述の定義の式(III)の化合物が得られ、式中、R7が、アルキル、アリール、アリールアルキル、置換アリール、または置換アリールアルキルであり、ここで置換アリールおよび置換アリールアルキルが、アリール上でアルキル、アルコキシ、およびハロゲンから独立に選択される1~3つの置換基で置換されているアリールおよびアリールアルキルであり、かつR2、R4およびNuは前述の定義のとおりである、本発明の方法;
式(IV)の化合物の加水分解を、例えばNaOH、KOH、NaOMe、KOMe、メチルアミン、またはNH3のような求核剤、特にNaOH存在下で行う、本発明の方法;
置換アリールおよび置換アリールアルキルが、アリール上でメチル、メトキシ、塩素、臭素、およびヨウ素から独立に選択される1~3つの置換基で置換されているアリールおよびアリールアルキルである、本発明の方法;
R7が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、フェニル、置換ベンジル、または置換フェニルであり、ここで置換フェニルおよび置換ベンジルはフェニル上でメチル、メトキシ、塩素、臭素、およびヨウ素から独立に選択される1~3つの置換基で置換されているフェニルおよびベンジルである、本発明の方法;
R7がフェニルである、本発明の方法;
R7COSH、ホスフィン、および脱水剤の存在下における式(V)の化合物:
の反応により、前述の定義の式(IV)の化合物が得られ、式中R2、R4、R7、およびNuが、前述の定義のとおりである、本発明の方法;
式(VI)の化合物:
のヒドロキシル保護基R5の除去により、式(V)の化合物が得られ、式中R5がヒドロキシル保護基であり、かつR2、R4、およびNuが前述の定義のとおりである、本発明の方法;
塩基、求核剤、および式(VIII)の化合物:
の存在下における式(VII)の化合物:
の反応により、前述の定義の式(II)の化合物が得られ、式中、R8が脱離基であり、R9がアルキルであり、かつR2、R4、R5、およびNuが前述の定義のとおりである、本発明の方法;
R9がメチルである、本発明の方法;
R8X2および非求核塩基の存在下における前述の定義の式(V)の化合物の反応により、前述の定義の式(VII)の化合物が得られ、式中、X2が脱離基であり、かつR8が式(V)の化合物の5'ヒドロキシル酸素原子と一緒に脱離基を形成し得る基である、本発明の方法;
X2が、Cl、Br、I、OTs、OTf、またはOMsである、本発明の方法;
R9C(O)SHの存在下におけるR5X3の反応により前述の定義の式(VIII)の化合物が得られ、式中R5およびR9が前述の定義のとおりであり、かつX3が脱離基である、本発明の方法;
X3が、Cl、Br、I、OTs、OTf、またはOMsである、本発明の方法;
オリゴヌクレオチド合成活性化剤がアゾールである、本発明の方法;
オリゴヌクレオチド合成活性化剤が1H-テトラゾール、5-ニトロフェニル-1H-テトラゾール(NPT)、5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT)、5-ベンジルチオ-1H-テトラゾール(BTT)、5-メチルチオ-1H-テトラゾール(MTT)、5-メルカプト-テトラゾール(MCT)、または4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)である、本発明の方法;
前述の定義の式(II)の化合物を得るために用いる求核剤が、NaOH、KOH、NaOMe、KOMe、メチルアミン、またはNH3である、本発明の方法;
前述の定義の式(II)の化合物を得るために用いる求核剤がNaOMeである、本発明の方法;
脱水剤が、アゾジカルボン酸ジエチルまたはアゾジカルボン酸ジイソプロピルである、本発明の方法;
脱水剤がアゾジカルボン酸ジエチルである、本発明の方法;
ホスフィンが、トリフェニルホスフィンまたはトリメチルホスフィンである、本発明の方法;
ホスフィンがトリフェニルホスフィンである、本発明の方法;
酸の存在下における式(VI)の化合物の反応により、前述の定義の式(VI)の化合物のヒドロキシル保護基R5の除去が行われる、本発明の方法;
酸が、ペルクロロ酢酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、またはトリフルオロ酢酸である、本発明の方法;
酸がペルクロロ酢酸である、本発明の方法;
前述の定義の式(II)の化合物;
前述の定義の式(III)の化合物;および
前述の定義の式(IV)の化合物。
【0038】
本発明は、オリゴヌクレオチドの製造のための本発明の化合物の使用にさらに関する。
【0039】
本発明は、式(IX)の断片を含むオリゴヌクレオチドも目的とする:
式中、R2、R4およびNuは前述の定義のとおりである。
【0040】
本発明は、以下の段階を含む、前述の定義の式(IX)の断片を含むオリゴヌクレオチドの製造のための方法にも関する:
(a)ヒドロキシル基、
ヒドロキシル基を含むヌクレオチド、または
ヒドロキシル基を含むオリゴヌクレオチド
を含む固体支持体を提供する段階;
(b)本発明の化合物、ヌクレオチド、ロックド核酸ヌクレオチド、2'-糖修飾ヌクレオチド、3'S-DNA、または3'S-LNAを、該固体支持体のヒドロキシル基にカップリングする段階;
(c)(b)から得た生成物を酸化またはチオ酸化する段階;
(d)段階(c)から得た生成物の未反応ヒドロキシル基を任意でキャッピングする段階;
(e)段階(c)または(d)から得た生成物からヒドロキシル保護基またはチオヒドロキシル保護基を任意で除去する段階;
(f)段階(b)~(e)を任意で繰り返す段階;
(g)段階(c)~(f)の任意の1つから得た生成物から任意の残存保護基を任意で除去する段階;および
(h)オリゴヌクレオチドを固体支持体から任意で切断する段階。
【0041】
本発明は、本発明の式(IX)の断片を含むオリゴヌクレオチドの製造のための方法に特に関し、本方法は、段階(b)において少なくとも1つの本発明の化合物、特に式(I)の化合物をカップリングさせる段階を含む。
【0042】
本発明をここで以下の実施例によって例示するが、実施例は限定的ではない。
【実施例0043】
略語:
AcOH=酢酸、CAS RN=ケミカルアブストラクツ登録番号、DMAP=4-ジメチルアミノピリジン、DME=ジメトキシエタン、DMF=N,N-ジメチルホルムアミド、DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン、dppf=1,1ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、EI=電子衝撃、ESI=エレクトロスプレーイオン化、h=時間、HATU=1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム-3-オキシドヘキサフルオロホスフェート、HPLC=高性能液体クロマトグラフィ、ISP=イオンスプレーポジティブ(モード)、ISN=イオンスプレーネガティブ(モード)、min=分、LAH=水素化アルミニウムリチウム、LiHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、MPLC=中圧液体クロマトグラフィ、MS=質量分析、PG=保護基、Pd-C=パラジウム活性炭、PdCl2(dppf)-CH2Cl2=1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体、RT=室温、S-PHOS=2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシビフェニル、TFA=トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン、TMEDA=N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、HBTU=O-ベンゾトリアゾール-N,N,N',N'-テトラメチル-ウロニウム-ヘキサフルオロ-ホスフェート、DMEDA=N,N'-ジメチルエチレンジアミン、ACN=アセトニトリル、TBAI=テトラブチルアンモニウムヨージド、DME=ジメトキシエタン、DEAD=アゾジカルボン酸ジエチル、DMTrCl=4,4'-ジメトキシトリチルクロリド。
【0044】
すべての実施例および中間体は、特に記載がないかぎり、アルゴン雰囲気下で調製した。
【0045】
実施例1
N-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-({[ビス(プロパン-2-イル)アミノ](2-シアノエトキシ)ホスファニル}オキシ)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド
5-エチルメルカプト-1H-テトラゾール(1.3g、9.97mmol、38.4mL無水ACN中0.25M溶液、CAS RN 89797-68-2)の溶液を、無水DCM(120mL)中のN-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド(3.5g、4.99mmol)の撹拌溶液に、アルゴン雰囲気下、室温で加え、続いて2-シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアモダイト(3.17mL、9.98mmol、CAS RN 102691-36-1)を加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌した。次いで、反応混合物をDCM(300mL)で希釈し、飽和NaHCO3溶液(100mL)に加えた。有機層を分離し、水層をDCM(70mL×2)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。得られた粗製化合物をcombiflash(DCM中10~20%ACN)で精製して、(2.7g)の不純物を含む化合物を得た。同じプロトコルを用い、さらに1gバッチを実施して、0.6gの不純物を含む化合物を得た。同じプロトコルを用い、さらに2.5gを行って、1gの(純粋な)化合物および1.5gの不純物を含む化合物を得た。異なるバッチからこのようにして得た不純物を含む化合物を混合し、再精製して表題生成物(3.0g)を得、これを純粋な化合物(1g)と混合して、表題化合物(4.0g、44%)を白色固体で得た。MS: (ESI): m/z = 901.6 [M+H]+
【0046】
実施例1.1
N-{9-[7-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド
DCM(150ml)中のCl3CCOOH(2.98g、18.23mmol、CAS RN 76-03-9)の溶液に、N-[9-(1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル)-9H-プリン-6-イル]ベンズアミド(10g、14.58mmol)を25℃で加えた。次いで、反応混合物を25℃で3時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、得られた粗生成物をcombiflash(DCM中10%MeOH)で精製して、表題生成物(2)(5g、89%)を白色固体で得た。MS: (ESI): m/z = 383.8 [M+H]+
【0047】
実施例1.2
N-(9-{1-[(ベンゾイルスルファニル)メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル}-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド
無水THF(150.0mL)中のPPh3(10.26g、39.13mmol、CAS RN 603-35-0)の氷冷溶液に、DEAD(6.14mL、39.13mmol、CAS RN 1972-28-7)を加え、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。PhCOSH(4.62mL、39.13mmol、CAS RN 98-91-9)を反応混合物に滴加し、0℃でさらに30分間撹拌した。N-{9-[7-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド(5.0g、13.04mmol)を撹拌反応混合物に0℃で2時間かけて加えた。次いで、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を水(200mL)で希釈し、酢酸エチル(120mL×3)で抽出した。合わせた有機部分をNaHCO3(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させて、表題生成物(25g、粗製)を黄色粘稠油状物で得た。MS: (ESI): m/z = 504.3 [M+H]+
【0048】
実施例1.3
N-{9-[7-ヒドロキシ-1-(スルファニルメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド
アルゴンをNaOH(0.5M、238mL)ならびにTHF-MeOH溶液(6:4、250mL)に30分間通気した。N-(9-{1-[(ベンゾイルスルファニル)メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル}-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(20g、粗製)をTHF-MeOHのアルゴンパージした溶液(6:4、250mL)にアルゴン雰囲気下で溶解し、0℃~-5℃で冷却した。この溶液にNaOH溶液(0.5M、238mL、119.16mmol)を加え、反応混合物を0℃~-5℃で30分間撹拌した。次いで、クエン酸(30.04g、142.98mmol)の溶液を0℃で加えた。飽和NaHCO3溶液(300mL)を反応混合物に加え、混合物を酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させて、表題生成物(20g、粗製)をオフホワイト粘稠油状物で得た。MS: (ESI): m/z = 400.2 [M+H]+
【0049】
実施例1.4
N-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド
無水ピリジン(20mL、アルゴンパージ)中のN-{9-[7-ヒドロキシ-1-(スルファニルメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド(20g、粗製)の溶液に、DMTrCl(5.09g、15.02mmol、CAS RN 40615-36-9)を25℃で加え、反応混合物を25℃で4時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、反応混合物をDCM(300mL)で希釈した。DCM層をNaHCO3溶液(100mL×2)と、続いて食塩水(100mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。得られた粗生成物をcombiflash(0.5%TEAを含むDCM中2%MeOH)で精製して、表題生成物(5g、3段階で68%)を淡黄色固体で得た。MS: (ESI): m/z = 702.14 [M+H]+
【0050】
実施例2
3-[({[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-3-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-7-イル]オキシ}[ビス(プロパン-2-イル)アミノ]ホスファニル)オキシ]プロパンニトリル
5-エチルメルカプト-1H-テトラゾール(1.77g、13.59mmol、55.3mLの無水ACN中0.25M溶液、CAS RN 89797-68-2)の溶液および2-シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアモダイト(4.31mL、13.59mmol、CAS RN 102691-36-1)を、無水DCM(150mL)中の1-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-2,4-ジオン(4.0g、6.80mmol)の撹拌溶液にアルゴン雰囲気下、25℃で逐次加え、反応混合物を25℃で4時間撹拌した。次いで、反応混合物をDCM(200mL)で希釈し、飽和NaHCO3溶液(200mL)に加えた。有機層を分離し、水層をDCM(70mL×2)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。得られた粗製化合物をアルゴン雰囲気下、FCC(DCM中10~20%ACN)で精製して、表題化合物(TM-6)(2.45g、46%)をオフホワイト固体で得た。MS: (ESI): m/z = 789.4 [M+H]+
【0051】
実施例2.1
[7-ヒドロキシ-3-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル]メチルメタンスルホネート
無水ピリジン(100.0mL、CAS RN 110-86-1)中の1-[7-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-2,4-ジオン(10g、37.00mmol)の撹拌溶液に、DMAP(0.452g、3.7mmol)および塩化メタンスルホニル(3.15mL、40.71mmol)を0℃~-5℃で逐次加えた。次いで、反応混合物を0℃でさらに3時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、得られた粗生成物をcombiflash(DCM中5%MeOH)で精製して、表題生成物(2)(8g、62%)をペールホワイト固体で得た。MS: (ESI): m/z = 348.97 [M+H]+
【0052】
実施例2.2
1-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-2,4-ジオン
無水DMF(80mL)中の1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}エタン-1-オン(10.43g、27.56mmol)のアルゴンパージ溶液に、新しく調製したNaOMe溶液(ナトリウム(0.758g、34.45mmol)を24mLの無水メタノールに加え、続いて得られた溶液をDMF(8mL)で希釈することにより調製)をアルゴン雰囲気下、25℃で滴加した。得られた反応混合物にDMF(32mL)中の[7-ヒドロキシ-3-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル]メチルメタンスルホネート(4.0g、11.48mmol)および1,1,3,3テトラメチルグアニジン(3.03mL、24.12mmol、CAS RN 80-70-6)の溶液を速やかに加えた。反応混合物を25℃で3時間撹拌した。次いで、反応混合物をDCM(400mL)で希釈し、飽和NaHCO3溶液(200mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。粗製化合物をcombiflash(0.5%TEAを含む酢酸エチル)で精製して、表題生成物(3.3g、49%)を淡褐色固体で得た。MS: (ESI): m/z = 588.89 [M+H]+
【0053】
実施例2.3
1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}エタン-1-オン
無水DCM(100.0mL)中のDMTrCl(10.0g、29.51mmol、CAS RN 40615-36-9)の溶液に、CH3COSH(6.24ml、88.54mmol、CAS RN 507-09-5)を0℃~-5℃で滴加し、反応混合物を0℃でさらに30分間撹拌した。反応完了後、反応混合物をTEA(12.2mL、88.54mmol)の0℃での滴加により中和した。次いで、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(200mL×2)および食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、表題化合物(11g、98%)を淡褐色ろう状固体で得た。
【0054】
実施例3
N'-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-({[ビス(プロパン-2-イル)アミノ](2-シアノエトキシ)ホスファニル}オキシ)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-N,N-ジメチルメタンイミドアミド
5-エチルメルカプト-1H-テトラゾール(2.65g、20.34、87.5mLの無水ACN中0.25M溶液、CAS RN 89797-68-2)の溶液および2-シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアモダイト(6.45mL、20.34mmol、CAS RN 102691-36-1)を、無水DCM(200mL)中のN'-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-N,N-ジメチルメタンイミドアミド(6.8g、10.17mmol)の撹拌溶液に25℃で逐次加え、反応混合物を25℃で4時間撹拌した。次いで、反応混合物をDCM(250mL)で希釈し、飽和NaHCO3溶液(200mL)に加えた。有機層を分離し、水層をDCM(2×100mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。得られた粗製化合物をcombiflash(DCM中90%ACN)で精製して、表題化合物(4.2g、48%)を得た。MS: (ESI): m/z =869.0 [M+H]+
【0055】
実施例3.1
N'-{9-[7-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-N,N-ジメチルメタンイミドアミド
DMF(100mL)中の2-アミノ-9-[7-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-6-オン(10g、33.87mmol)の溶液に、DMF-DMA(9.0mL、67.74mmol、CAS RN 4637-24-5)を25℃で加えた。混合物を25℃で4時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、得られた粗製化合物をn-ヘキサン(50mL×3)で洗浄し、乾燥して、表題化合物(13g、粗製)を白色固体で得た。MS: (ESI): m/z = 350.7 [M+H]+
【0056】
実施例3.2
N'-(9-{1-[(ベンゾイルスルファニル)メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル}-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)-N,N-ジメチルメタンイミドアミド
無水THF(400mL)中のPPh3(29.20g、111.32mmol、CAS RN 603-35-0)の氷冷溶液に、DEAD(17.46mL、111.32mmol、CAS RN 1972-28-7)を加え、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。PhCOSH(13.15mL、37.11mmol、CAS RN 98-91-9)を反応混合物に滴加し、撹拌を0℃でさらに30分間続けた。N'-{9-[7-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-N,N-ジメチルメタンイミドアミド(13g、粗製)を加え、撹拌を0℃で2時間続けた。次いで、反応混合物を室温で2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、得られた粗製化合物をcombiflash(DCM中5%MeOH)で精製して、表題生成物(18g、粗製)を淡黄色固体で得た。MS: (ESI): m/z = 470.83 [M+H]+
【0057】
実施例3.3
N'-{9-[7-ヒドロキシ-1-(スルファニルメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-N,N-ジメチルメタンイミドアミド
無水MeOH(300mL)中のN'-(9-{1-[(ベンゾイルスルファニル)メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル}-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)-N,N-ジメチルメタンイミドアミド(18g、粗製)の氷冷溶液に、K2CO3(42.30g、306.05mmol、CAS RN 584-08-7)を加え、反応混合物を0℃で2時間と、25℃で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて、表題化合物(60g、粗製)を淡褐色固体で得た。MS: (ESI): m/z = 366.6 [M+H]+
【0058】
実施例3.4
N'-{9-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-N,N-ジメチルメタンイミドアミド
アルゴンで脱気した無水ピリジン(80mL、CAS RN 110-86-1)中のN'-{9-[7-ヒドロキシ-1-(スルファニルメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-N,N-ジメチルメタンイミドアミド(60g、粗製)の溶液に、DMTrCl(19.42g、57.32mmol、CAS RN 40615-36-9)を25℃で加え、反応混合物を25℃で4時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、粗製反応混合物を水(200mL)で希釈した。水相を酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。合わせた有機部分をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。得られた粗生成物をcombiflash(0.5%TEAを含むDCM中5%MeOH)で精製して、表題生成物(6.8g、4段階で30%)を淡黄色固体で得た。MS: (ESI): m/z = 668.6 [M+H]+
【0059】
実施例4
N-{1-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-({[ビス(プロパン-2-イル)アミノ](2-シアノエトキシ)ホスファニル}オキシ)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド
DCM(50mL)中のN-{1-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド(4.8g、6.938)の氷冷溶液に、アセトニトリル(35mL)中の5-エチルチオ-1H-テトラゾール(1.8g、13.87mmol、CAS RN 89797-68-2)の溶液と、続いて2-シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(6.6mL、20.18mmol、CAS RN 102691-36-1)をアルゴン雰囲気下、25℃で加え、反応混合物を25℃で4時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(50mL)に加え、有機層を分離した。次いで、水層をDCM(25mL×2)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。得られた粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィ(DCM中20%アセトニトリル)で精製して、表題生成物(3.0g、収率48%)をオフホワイト固体で得た。前記プロトコルを用いて、さらに3gのバッチを実施し、このバッチと混合して、送達可能な量を得た。MS: (ESI): m/z = 892.1 [M+H]+
【0060】
実施例4.1
N-{1-[7-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド
DCM(100mL)中のCCl3CO2H(4.5g、27.74mmol、CAS RN 76-03-9)の撹拌溶液に、N-[1-(1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル)-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル]ベンズアミド(15g、22.19mmol)を25℃で加え、反応混合物を25℃で2時間撹拌した。完了後、揮発性物質を減圧下で除去して、粗製残渣を得、これをcombiflash(DCM中10%MeOH)で精製して、表題生成物(5.8g、69%)をオフホワイト固体で得た。MS: (ESI): m/z = 373.9 [M+H]+
【0061】
実施例4.2
N-(1-{1-[(ベンゾイルスルファニル)メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル}-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ベンズアミド
無水THF(150mL)中のPPh3(11.1g、42.58mmol、CAS RN 603-35-0)の氷冷溶液に、DEAD(6.7mL、42.58mmol、CAS RN 1972-28-7)を滴加し、反応混合物をアルゴン雰囲気下、0℃で30分間撹拌した。これにPhCOSH(5.03mL、42.58mmol、CAS RN 98-91-9)を加え、撹拌を0℃で30分間続けた。得られた反応混合物にN-{1-[7-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド(5.3g、14.19mmol)を加え、撹拌を0℃で2時間と、25℃で2時間続けた。次いで、反応混合物を水(200mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、減圧下で蒸発させた。得られた粗生成物をcombiflashクロマトグラフィ(ヘキサン中50%酢酸エチル)で精製して、表題生成物(7.2g、粗製、PPh3O混入)をオフホワイト固体で得、これをそれ以上精製せずに次の段階でそのまま用いた。MS: (ESI): m/z = 493.6 [M+H]+
【0062】
実施例4.3
N-{1-[7-ヒドロキシ-1-(スルファニルメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド
アルゴン雰囲気下、THF/MeOH(6:4)(40mL)中のN-(1-{1-[(ベンゾイルスルファニル)メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル}-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ベンズアミド(2.0g、4.052mmol)の脱気溶液に、NaOH溶液(0.5M、24.3mL)を-5℃で加え、反応混合物を0~-5℃で30分間撹拌した。得られた反応混合物に、10%クエン酸水溶液(30mL)を0℃で加えた。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)を反応混合物に加え、化合物を酢酸エチル(70mL×3)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(100mL×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、表題化合物(1.7g、粗製)を白色固体で得、これをそれ以上精製せずに次の段階でそのまま用いた。MS: (ESI): m/z = 390.2 [M+H]+
【0063】
実施例4.4
N-{1-[1-({[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル]スルファニル}メチル)-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド
無水ピリジン(20mL、CAS RN 110-86-1)中の粗製N-{1-[7-ヒドロキシ-1-(スルファニルメチル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イル]-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド(5.5g、14.123mmol)のアルゴンパージ溶液に、DMTrCl(7.1g、21.18mmol、CAS RN 40615-36-9)を25℃で加え、反応混合物を25℃で16時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、このようにして得た粗製反応混合物をDCM(200mL)で希釈した。有機部分を飽和NaHCO3溶液(50mL×2)と、続いて食塩水(50mL×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させた。得られた粗生成物をcombiflashクロマトグラフィ(0.5%TEAを含むヘキサン中35%酢酸エチル)で精製して、不純物を含む化合物を得、これをcombiflash(30%酢酸エチル/ヘキサン)で再精製して、表題化合物(4.8g、収率49%)を得た。MS: (ESI): m/z = 690.7 [M+H]+