(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120257
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】熱交換コア及び熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28D 9/02 20060101AFI20220810BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20220810BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20220810BHJP
F28F 1/40 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
F28D9/02
F28D7/16 A
F28F3/08 301Z
F28F1/40 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017039
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金子 毅
(72)【発明者】
【氏名】谷本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】中拂 博之
(72)【発明者】
【氏名】上藤 陽一
(72)【発明者】
【氏名】飯田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
(72)【発明者】
【氏名】畑中 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】北村 仁
(72)【発明者】
【氏名】江口 駿作
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA36
3L103DD03
3L103DD18
(57)【要約】
【課題】コンパクトで熱交換効率に優れた熱交換コアを実現する。
【解決手段】一実施形態に係る熱交換コアは、1方向に延在するヘッダ流路と、ヘッダ流路に接続され、第1方向に対して交差する第2方向に延在する複数の分岐流路と、を備える。ヘッダ流路と複数の分岐流路との仮想的な接続面に対するヘッダ流路のなす第1角度θ1は、接続面に対する分岐流路のなす第2角度θ2より小さい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延在するヘッダ流路と、
前記ヘッダ流路に接続され、前記第1方向に対して交差する第2方向に延在する複数の分岐流路と、
を備え、
前記ヘッダ流路と前記複数の分岐流路との仮想的な接続面に対する前記ヘッダ流路のなす第1角度θ1は、前記接続面に対する前記分岐流路のなす第2角度θ2より小さい
熱交換コア。
【請求項2】
前記複数の分岐流路同士を隔てる隔壁の端部は、前記第2方向に沿って前記接続面から離れた位置に存在する
請求項1に記載の熱交換コア。
【請求項3】
前記端部と前記接続面との距離は、前記ヘッダ流路と前記複数の分岐流路とを含む基準平面に対して直交する方向から見たときの前記ヘッダ流路の流路幅の0.3倍以上2倍以下である
請求項2に記載の熱交換コア。
【請求項4】
前記複数の分岐流路のそれぞれの流路断面積の合計面積は、該複数の分岐流路が接続されている前記ヘッダ流路の流路断面積よりも大きい
請求項1乃至3の何れか一項に記載の熱交換コア。
【請求項5】
複数の前記ヘッダ流路と、前記複数の前記ヘッダ流路のそれぞれに接続される複数の前記分岐流路とを含む流路層、
を備え、
前記流路層に含まれる前記複数の前記分岐流路の流路断面積の合計面積は、前記流路層に含まれる前記複数の前記ヘッダ流路の流路断面積の合計面積よりも大きい
請求項1乃至4の何れか一項に記載の熱交換コア。
【請求項6】
前記複数の前記ヘッダ流路は、前記第2方向における一方側で前記複数の前記分岐流路と接続される複数の一方側ヘッダ流路と、前記第2方向における他方側で前記複数の前記分岐流路と接続される複数の他方側ヘッダ流路とを含み、
前記一方側ヘッダ流路と、該一方側ヘッダ流路に対して接続される前記複数の前記分岐流路と、該一方側ヘッダ流路に対して前記複数の前記分岐流路を介して接続される前記他方側ヘッダ流路との流路長さの合計長さは、前記流路層においていずれも実質的に等しい
請求項5に記載の熱交換コア。
【請求項7】
前記複数の一方側ヘッダ流路における、前記接続面とは反対側の一方側端部は、前記複数の他方側ヘッダ流路における、前記接続面とは反対側の他方側端部に対して、前記他方側端部とは前記第1方向において反対側に位置している
請求項6に記載の熱交換コア。
【請求項8】
前記複数の分岐流路の少なくとも一部は、前記分岐流路を画定する壁部の内、前記ヘッダ流路と前記複数の分岐流路とを含む基準平面に対して直交する方向に沿って対向する一対の壁部のそれぞれに接続される複数のリブが形成されている
請求項1乃至7の何れか一項に記載の熱交換コア。
【請求項9】
前記リブにおける前記第2方向に沿った両端面は、前記第2方向に対して傾斜した傾斜面であり、
前記リブにおいて、前記一対の壁部の内の一方の壁部との接続部と他方の壁部との接続部とでは、前記第2方向に沿った長さが異なる
請求項8に記載の熱交換コア。
【請求項10】
複数の前記ヘッダ流路と、前記複数の前記ヘッダ流路のそれぞれに接続される複数の前記分岐流路と含む流路層
を複数備え、
複数の前記流路層は、前記直交する方向に重ねて配置され、
前記直交する方向で隣り合う2つの前記流路層の一方の前記流路層における前記複数のリブと、前記2つの前記流路層の他方の前記流路層における前記複数のリブとは、前記第2方向に沿った長さが長い方の前記接続部同士、又は、前記第2方向に沿った長さが短い方の前記接続部同士が向かい合うように配置されている
請求項9に記載の熱交換コア。
【請求項11】
前記第1方向から見たときに、前記ヘッダ流路を挟んで前記第2方向に沿って対向する一対の壁部の内、少なくとも何れか一方の壁部は、前記第2方向に対して傾斜した傾斜面、又は湾曲面を有する
請求項1乃至10の何れか一項に記載の熱交換コア。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の熱交換コア
を備える熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換コア及び熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、2つの流体間で熱交換を行うための熱交換素子(熱交換コア)では、流体の流れる方向に沿って延在する複数の流路群を有する。そして、2つの流体の間では、複数の流路群を流れる際に、2つの流体間を隔てる隔壁等を介して熱交換が行われる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上記特許文献に記載された熱交換素子における複数の流路群の開口端が面するヘッダ空間を構成し、該ヘッダ空間から複数の流路群に流体を流入させるようにすることが考えられる。熱交換効率を向上させるためには、熱交換素子における流路毎の流路毎の流量のばらつきを抑制する必要がある。
流路毎の流量のばらつきを抑制するためには、ある程度の容積のヘッダ空間が必要となる。しかし、熱交換素子を含み装置の小型化の要請からヘッダ空間の大きさを抑制しつつ、流路毎の流量のばらつきを抑制することが求められている。
【0005】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、コンパクトで熱交換効率に優れた熱交換コアを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換コアは、
第1方向に延在するヘッダ流路と、
前記ヘッダ流路に接続され、前記第1方向に対して交差する第2方向に延在する複数の分岐流路と、
を備え、
前記ヘッダ流路と前記複数の分岐流路との仮想的な接続面に対する前記ヘッダ流路のなす第1角度θ1は、前記接続面に対する前記分岐流路のなす第2角度θ2より小さい。
【0007】
(2)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器は、上記(1)の構成の熱交換コアを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、コンパクトで熱交換効率に優れた熱交換コアを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】幾つかの実施形態に係る熱交換器における熱交換コアの模式的な斜視図である。
【
図4】接続面、第1角度、及び第2角度について説明するための模式的な図である。
【
図5】接続面、第1角度、及び第2角度について説明するための模式的な図である。
【
図6】接続面、第1角度、及び第2角度について説明するための模式的な図である。
【
図8A】
図2のVIII矢視断面図であり、内側ヘッダ流路の断面形状の一例を模式的に示している。
【
図8B】
図2のVIII矢視断面図であり、内側ヘッダ流路の断面形状の他の一例を模式的に示している。
【
図8C】
図2のVIII矢視断面図であり、内側ヘッダ流路の断面形状のさらに他の一例を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0011】
図1は、幾つかの実施形態に係る熱交換器における熱交換コアの模式的な斜視図である。
図2は、
図1におけるII矢視断面図である。
図3は、
図1におけるIII矢視断面図である。
図4は、接続面、第1角度、及び第2角度について説明するための模式的な図である。
図5は、接続面、第1角度、及び第2角度について説明するための模式的な図である。
図6は、接続面、第1角度、及び第2角度について説明するための模式的な図である。
【0012】
図1に示す熱交換コア1は、第1流体と第2流体とが熱交換する熱交換器3に用いられる熱交換コア1である。
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1は、コア筐体2の外部に外側ヘッダ流路4が形成され、コア筐体2の内部に複数の流路層5を備える。
【0013】
幾つかの実施形態に係る外側ヘッダ流路4は、第1外側ヘッダ流路14と、第1外側ヘッダ流路14とは非連通の第2外側ヘッダ流路24とを含む。
複数の流路層5は、複数の第1流路層15と、複数の第2流路層25と、を含む。
なお、
図2に示した模式的な断面図は、第1流路層15の模式的な断面を表す図であり、
図3に示した模式的な断面図は、第2流路層25の模式的な断面を表す図である。
【0014】
幾つかの実施形態に係る流路層5は、複数の第1流路層15と複数の第2流路層25とが各層15、25の積層方向において交互に配置されている。第1流路層15と第2流路層25とは、層間隔壁31によって隔てられている。
幾つかの実施形態に係る流路層5は、外側ヘッダ流路4に接続される複数の内側ヘッダ流路6と、複数の内側ヘッダ流路6のそれぞれに接続される複数の分岐流路7とを含む。
より具体的には、幾つかの実施形態に係る第1流路層15は、第1外側ヘッダ流路14に接続される複数の第1内側ヘッダ流路16と、複数の第1内側ヘッダ流路16のそれぞれに接続される複数の第1分岐流路17とを含む。
同様に、幾つかの実施形態に係る第2流路層25は、第2外側ヘッダ流路24に接続される複数の第2内側ヘッダ流路26と、複数の第2内側ヘッダ流路26のそれぞれに接続される複数の第2分岐流路27とを含む。
【0015】
幾つかの実施形態に係る流路層5は、後述する第1方向Dr1及び第2方向Dr2に延在する基準平面RPに沿って延在する流路層である。すなわち、基準平面RPは、内側ヘッダ流路6と複数の分岐流路とを含む平面であるとも言える。
【0016】
第1流体及び第2流体はそれぞれ、液体でも気体でもよく、通常は両者の温度は異なっている。限定はしないが、熱交換コア1は、コア筐体2の内、例えば第1外側ヘッダ流路14及び第2外側ヘッダ流路24を除いた部分の形状を直方体形状とすることができる。
図1に示す熱交換コア1は、例えば熱交換器3の不図示の筐体に取り付けた状態で用いるようにしてもよい。また、
図1に示す熱交換コア1は、架台に設置するか、熱交換コア1に接続される不図示の配管に支持させる等によって、筐体に取り付けずに用いてもよい。この場合、
図1に示す熱交換コア1そのものが熱交換器3となる。
【0017】
説明の便宜上、実施形態に係る熱交換コア1についての幅方向、高さ方向、及び奥行き方向を次のように規定する。
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、各層15、25の積層方向を幾つかの実施形態に係る熱交換コア1の奥行き方向とする。
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、奥行き方向に直交する方向であって複数の分岐流路7の延在方向である後述する第2方向Dr2を幾つかの実施形態に係る熱交換コア1の高さ方向とする。なお、第1方向DR1についても後で説明する。
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、奥行き方向及び高さ方向に直交する方向を幾つかの実施形態に係る熱交換コア1の幅方向とする。
なお、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、奥行き方向、すなわち各層15、25の積層方向を第3方向Dr3とも称する。
【0018】
(外側ヘッダ流路4)
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、外側ヘッダ流路4は、熱交換コア1の奥行き方向(第3方向Dr3)に沿って延在するヘッダ流路である。幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、外側ヘッダ流路4は、直方体形状を有するコア筐体2の第1方向Dr1に沿って離間して対向する2つの側面のそれぞれにおいて、第2方向Dr2に沿った両端の近傍に形成されている。
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、
図2及び
図3において、第1外側ヘッダ流路14は、図示右上及び左下に形成され、第2外側ヘッダ流路24は、図示左上及び右下に形成されている。
【0019】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、何れの第1外側ヘッダ流路14及び第2外側ヘッダ流路24も同様の構成を有する。そこで、以下の説明では、何れの第1外側ヘッダ流路14又は第2外側ヘッダ流路24であるかを区別する必要がない場合には、単に外側ヘッダ流路4と称して説明をする。
【0020】
幾つかの実施形態に係る外側ヘッダ流路4は、第3方向Dr3から見たときに半円形状の断面を有するヘッダ流路である。外側ヘッダ流路4を形成する流路形成壁部41は、円管を長手方向に半割したような形状を有する。
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、例えば積層造形法によって形成されたコア筐体2に流路形成壁部41を溶接で接合してもよい。
【0021】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、第3方向Dr3における外側ヘッダ流路4の端部に外側ヘッダ流路4と熱交換コア1の外部とを連通する開口43が形成されている。開口43は、外側ヘッダ流路4と熱交換コア1の外部の空間との間で流体を流通させるための連通口である。なお、使用に供しない開口43は、不図示の蓋によって閉止される。
【0022】
(内側ヘッダ流路6)
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、複数の内側ヘッダ流路6のそれぞれは、各層15、25の積層方向に対して交差する第1方向Dr1に延在するヘッダ流路である。すなわち、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、第1内側ヘッダ流路16及び第2内側ヘッダ流路26のそれぞれは、第1方向Dr1に延在する。
なお、
図2及び
図3に示すように、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、第1方向Dr1は、各層15、25の積層方向(第3方向Dr3)に対して直交する方向であるとよい。以下の説明では、第1方向Dr1は、第3方向Dr3に対して直交する方向であるものとして説明する。
【0023】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、内側ヘッダ流路6は、各流路層5のそれぞれにおいて、熱交換コア1の高さ方向(第2方向Dr2)の両端側のそれぞれに複数形成されている。内側ヘッダ流路6は、各流路層5のそれぞれにおいて、第2方向Dr2に並んでいる。第2方向Dr2で隣り合う内側ヘッダ流路6同士は、第1方向Dr1に延在する流路間隔壁51によって隔てられている。以下の説明では、該流路間隔壁51のことを第1流路間隔壁51とも称する。
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、各内側ヘッダ流路6は、層間隔壁31と流路間隔壁51とによって画定されている。
【0024】
それぞれの内側ヘッダ流路6において、外側ヘッダ流路4に面した開口端61を有する。幾つかの実施形態に係る各々の内側ヘッダ流路6は、開口端61を介して外側ヘッダ流路4に連通している。
すなわち、幾つかの実施形態に係る各々の第1内側ヘッダ流路16は、開口端61を介して第1外側ヘッダ流路14に連通している。同様に、幾つかの実施形態に係る各々の第2内側ヘッダ流路26は、開口端61を介して第2外側ヘッダ流路24に連通している。
【0025】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、第1内側ヘッダ流路16と第2内側ヘッダ流路26とは、同様の構成を有する。そこで、以下の説明では、第1内側ヘッダ流路16と第2内側ヘッダ流路26とを区別する必要がない場合には、単に内側ヘッダ流路6と称して説明をする。
【0026】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、それぞれの内側ヘッダ流路6における開口端61とは反対側の端部には、以下に述べる分岐流路7が接続されている。
図2及び
図3に示すように、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、第1方向Dr1は、各分岐流路7の延在方向である第2方向Dr2に対して直交する方向であるとよい。以下の説明では、第1方向Dr1は、第2方向Dr2に対して直交する方向であるものとして説明する。なお、第1方向Dr1は、第2方向Dr2に対して直交する方向でなくてもよい。
【0027】
(分岐流路7)
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、複数の分岐流路7のそれぞれは、第1方向に対して交差する第2方向Dr2に延在する。
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、第1分岐流路17及び第2分岐流路27のそれぞれは、第2方向Dr2に延在する。
なお、説明の便宜上、各層15、25の積層方向を第3方向Dr3とする。
第1方向Dr1、第2方向Dr2及び第3方向Dr3は互いに直交する。
【0028】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、複数の分岐流路7のそれぞれは、各流路層5のそれぞれにおいて、第1方向Dr1に並んでいる。第1方向Dr1で隣り合う分岐流路7同士は、第2方向Dr2に延在する流路間隔壁53によって隔てられている。以下の説明では、該流路間隔壁53のことを第2流路間隔壁53とも称する。
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、各分岐流路7は、層間隔壁31と流路間隔壁53とによって画定されている。
【0029】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、複数の分岐流路7のそれぞれは、第2方向Dr2に沿った一方側及び他方側で内側ヘッダ流路6に接続されている。
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、第1方向で隣り合う複数の分岐流路7が第2方向Dr2に沿った一方側及び他方側でそれぞれ同じ内側ヘッダ流路6に接続されている。換言すると、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、1つの内側ヘッダ流路6に対し、複数の分岐流路7が接続されている。具体的には、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、1つの内側ヘッダ流路6に対し、第1方向で隣り合う2つの分岐流路7が接続されている。なお、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、1つの内側ヘッダ流路6に対し、第1方向で隣り合う3つの分岐流路7が接続されていてもよい。
【0030】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、
図2及び
図3に示すように、第1流路層15と第2流路層25とは、
図2及び
図3において図示左右方向を反転させたような構造とされている。
【0031】
(流体の流れについて)
上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、第1流体及び第2流体は、以下のように熱交換コア1の内部を流通する。なお、説明の便宜上、第1流体は、
図1、
図2及び
図3における図示上方の第1外側ヘッダ流路14に流入するものとする。また、第2流体は、
図1、
図2及び
図3における図示下方の第2外側ヘッダ流路24に流入するものとする。この場合、熱交換コア1内での第1流体及び第2流体の流れは、以下で説明するように対向流となる。
【0032】
(第1流体の流れ)
第1流体は、コア筐体2の
図1における図示上部に形成された開口43から
図1、
図2及び
図3における図示上方の第1外側ヘッダ流路14に流入する。
該第1外側ヘッダ流路14に流入した第1流体は、第1流路層15のそれぞれにおいて、該第1外側ヘッダ流路14に面した各々の開口端61から
図2における図示上方の各々の第1内側ヘッダ流路16に流入する。すなわち、該第1外側ヘッダ流路14に流入した第1流体は、各第1流路層15に分配され、各第1流路層15において各々の第1内側ヘッダ流路16に分配される。
【0033】
各々の第1内側ヘッダ流路16に流入した第1流体は、各々の第1内側ヘッダ流路16において、
図2における図示上方の各々の端部から各々の第1分岐流路17に流入する。すなわち、各々の第1内側ヘッダ流路16に流入した第1流体は、さらに各々の第1分岐流路17に分配される。
【0034】
各々の第1分岐流路17に流入した第1流体は、各々の第1分岐流路17を
図2における図示下方に向かって流通し、
図2における図示下方の各々の端部から、
図2における図示下方の第1内側ヘッダ流路16に流入する。第1内側ヘッダ流路16に流入した第1流体は、図示下方の第1外側ヘッダ流路14に面した各々の開口端61から該第1外側ヘッダ流路14に流入する。
【0035】
該第1外側ヘッダ流路14に流入した第1流体は、コア筐体2の
図1における図示下部に形成された何れかの開口43から外部に流出する。
【0036】
(第2流体の流れ)
第2流体は、コア筐体2の
図1における図示下部に形成された開口43から
図1、
図2及び
図3における図示下方の第2外側ヘッダ流路24に流入する。
該第2外側ヘッダ流路24に流入した第2流体は、第2流路層25のそれぞれにおいて、該第2外側ヘッダ流路24に面した各々の開口端61から
図3における図示下方の各々の第2内側ヘッダ流路26に流入する。すなわち、該第2外側ヘッダ流路24に流入した第2流体は、各第2流路層25に分配され、各第2流路層25において各々の第2内側ヘッダ流路26に分配される。
【0037】
各々の第2内側ヘッダ流路26に流入した第2流体は、各々の第2内側ヘッダ流路26において、
図3における図示下方の各々の端部から各々の第2分岐流路27に流入する。すなわち、各々の第2内側ヘッダ流路26に流入した第2流体は、さらに各々の第2分岐流路27に分配される。
【0038】
各々の第2分岐流路27に流入した第2流体は、各々の第2分岐流路27を
図3における図示上方に向かって流通し、
図3における図示上方の各々の端部から、
図3における図示上方の第2内側ヘッダ流路26に流入する。第2内側ヘッダ流路26に流入した第2流体は、図示上方の第2外側ヘッダ流路24に面した各々の開口端61から該第2外側ヘッダ流路24に流入する。
【0039】
該第2外側ヘッダ流路24に流入した第2流体は、コア筐体2の
図1における図示上部に形成された何れかの開口43から外部に流出する。
【0040】
なお、第2流体が
図1、
図2及び
図3における図示上方の第2外側ヘッダ流路24に流入する場合、熱交換コア1内での第1流体及び第2流体の流れは並流となる。
【0041】
(熱交換コア1における熱交換について)
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、各々の第1分岐流路17を
図1、
図2及び
図3における図示下方に向かって流通する第1流体と、各々の第2分岐流路27を
図1、
図2及び
図3における図示上方に向かって流通する第2流体とは、層間隔壁31を介して熱交換する。
さらに、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、各々の第1内側ヘッダ流路16を流通する第1流体は、層間隔壁31を介して各々の第2内側ヘッダ流路26を流通する第2流体と熱交換する。
【0042】
(内側ヘッダ流路6と分岐流路7との接続状態について)
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、内側ヘッダ流路6と分岐流路7とが以下で説明するような状態で接続されている。
ここで、内側ヘッダ流路6と分岐流路7との仮想的な接続面について説明する。
図4、
図5、及び
図6では、第3方向Dr3から見た内側ヘッダ流路6と分岐流路7との接続状態が模式的に表されている。
なお、
図4では、内側ヘッダ流路6と分岐流路7との交差角度が90度である場合について示している。
図5では、内側ヘッダ流路6と分岐流路7との交差角度が90度以外の角度である場合の一例について示している。
図6では、内側ヘッダ流路6を画定する流路間隔壁51と分岐流路7を画定する流路間隔壁53とが曲面によってなだらかに接続されている場合について示している。
なお、
図5及び
図6では、1つの内側ヘッダ流路6と、該内側ヘッダ流路6に接続された2つの分岐流路とについてだけ図示している。
【0043】
図4及び
図5に示すように、内側ヘッダ流路6と分岐流路7との仮想的な接続面81は、内側ヘッダ流路6を挟むように位置する2つの第1流路間隔壁51と、これら2つの流路間隔壁51と接続されている2つの第2流路間隔壁53とが交差する2つの交差部55を含み、第3方向Dr3に沿って延在する仮想面とする。
なお、
図6に示すように、第1流路間隔壁51と第2流路間隔壁53とが曲面によってなだらかに接続されている場合、接続面81は次のように規定する。すなわち、内側ヘッダ流路6を挟むように位置する2つの第1流路間隔壁51を第1方向Dr1に沿って延長した仮想的な直線Lv1を考える。また、これら2つの流路間隔壁51と接続されている2つの第2流路間隔壁53を第2方向Dr2に沿って延長した仮想的な直線Lv2を考える。そして、直線Lv1と直線Lv2との2つの交差部55vを含み、第3方向Dr3に沿って延在する仮想面を接続面81とする。
【0044】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、内側ヘッダ流路6と複数の分岐流路7との仮想的な接続面81に対する内側ヘッダ流路6のなす第1角度θ1は、接続面81に対する分岐流路7のなす第2角度θ2より小さい。
このように、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、上記第1角度θ1を上記第2角度θ2より小さくすることで、接続面81に接続されている複数の分岐流路7のそれぞれの流路幅W2の合計(例えば2×W2)よりも該接続面81に接続されている内側ヘッダ流路6の流路幅W1を小さくすることができる。これにより、コア筐体2の第2方向Dr2の大きさを抑制して、熱交換コア1の小型化を図れる。
また、内側ヘッダ流路6から流体が複数の分岐流路7のそれぞれに流入する際には、接続面81に接続されている複数の分岐流路7のそれぞれの流路幅W2の合計の方が該接続面81に接続されている内側ヘッダ流路6の流路幅W1よりも大きいので、複数の分岐流路7のそれぞれにおける流量のばらつきを抑制し易く、熱交換効率を向上させ易い。
したがって、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1によれば、コンパクトで熱交換効率に優れた熱交換コア1の実現に資する。
【0045】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1を備える熱交換器3によれば、コンパクトで熱交換効率に優れた熱交換器3を実現できる。
【0046】
(第2流路間隔壁53の流路内端部53aの位置について)
幾つかの実施形態では、第2流路間隔壁53の内、一つの内側ヘッダ流路6に接続されている複数の分岐流路7同士を隔てる第2流路間隔壁53については、その端部(流路内端部53a)は、第2方向Dr2に沿って接続面81から離れた位置に存在するとよい。
発明者らが鋭意検討した結果、流路内端部53aが第2方向Dr2に沿って接続面81から離れた位置に存在すると、内側ヘッダ流路6から各分岐流路7に流入する流体の流量の分岐流路毎の差を抑制できることが判明した。
したがって、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1によれば、分岐流路7毎の流量の差を抑制できる。
【0047】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、流路内端部53aと接続面81との距離Lは、内側ヘッダ流路6と複数の分岐流路7とを含む基準平面PRに対して直交する方向、すなわち第3方向Dr3から見たときの内側ヘッダ流路6の流路幅W1の0.3倍以上2倍以下であるとよい。
発明者らが鋭意検討した結果、流路内端部53aと接続面81との距離Lは、第3方向Dr3から見たときの内側ヘッダ流路6の流路幅W1の0.3倍以上2倍以下であると、内側ヘッダ流路6から各分岐流路7に流入する流体の流量の分岐流路7毎の差を効果的に抑制できることが判明した。
したがって、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1によれば、分岐流路7毎の流量の差を効果的に抑制できる。
【0048】
上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1によれば、さらに以下の作用効果を奏することができる。
例えば、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、複数の分岐流路7のそれぞれの流路断面積S2の合計面積(例えば2×S2)は、該複数の分岐流路7が接続されている内側ヘッダ流路6の流路断面積S1よりも大きいとよい。
これにより、複数の分岐流路7のそれぞれにおける流量のばらつきを抑制し易くなる。
【0049】
また、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、各流路層5において、流路層5に含まれる複数の分岐流路7の流路断面積S2の合計面積ΣS2は、流路層5に含まれる複数の内側ヘッダ流路6の流路断面積S1の合計面積ΣS1よりも大きいとよい。
これにより、熱交換コア1における熱交換効率の向上と熱交換コア1の小型化を両立できる。
【0050】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、複数の内側ヘッダ流路6は、第2方向Dr2における一方側で複数の分岐流路7と接続される複数の一方側ヘッダ流路6X(例えば
図1における図示上方の内側ヘッダ流路6)と、第2方向Dr2における他方側で複数の分岐流路7と接続される複数の他方側ヘッダ流路6Y(例えば
図1における図示下方の内側ヘッダ流路6)とを含むとよい。一方側ヘッダ流路6Xと、該一方側ヘッダ流路6Xに対して接続される複数の分岐流路7と、該一方側ヘッダ流路6Xに対して複数の分岐流路7を介して接続される他方側ヘッダ流路6Yとの流路長さの合計長さLtは、流路層5における何れの流路においても実質的に等しいとよい
これにより、流路層の全体にわたって分岐流路毎の流量の差を抑制できる。
【0051】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、複数の一方側ヘッダ流路6Xにおける、接続面81とは反対側の一方側端部(一方側開口端61X)は、複数の他方側ヘッダ流路6Yにおける、接続面81とは反対側の他方側端部(他方側開口端61Y)に対して、他方側端部(他方側開口端61Y)とは第1方向Dr1において反対側に位置しているとよい。
これにより、一方側ヘッダ流路6Xと分岐流路7と他方側ヘッダ流路6Yとの流路長さの合計長さを流路層5の全体にわたって実質的に等しくするのに合理的な流路のレイアウトになるので、熱交換コア1の大きさを抑制しつつ、圧損を抑制できる。
【0052】
図7は、
図2のVII-VII矢視断面図である。
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、
図7に示すように、複数の分岐流路7の少なくとも一部は、分岐流路7を画定する壁部の内、第3方向Dr3に沿って対向する一対の層間隔壁31のそれぞれに接続される複数のリブ90が形成されているとよい。
これにより、リブ90によって流体との接触面積を増やすことができ、熱交換効率を向上できる。また、リブ90によって流体の流れが適度に乱れて層間隔壁31や第2流路間隔壁53の壁面における境界層の発達を抑制する等して、流体と分岐流路7を画定する層間隔壁31や第2流路間隔壁53との間の熱伝達率が向上するので、熱交換効率を向上できる。さらに、リブ70が層間隔壁31の補強部材として機能するので、層間隔壁31の耐圧性能を向上できる。
【0053】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、
図7に示すように、リブ90における第2方向Dr2に沿った両端面91は、第2方向Dr2に対して傾斜した傾斜面であるとよい。また、リブ90において、一対の層間隔壁31の内の一方の層間隔壁31との接続部92と他方の層間隔壁31との接続部92とでは、第2方向Dr2に沿った長さが異なるとよい。
これにより、例えば熱交換コア1を積層造形法によって形成する際に、第2方向Dr2を積層造形における積層方向とした場合に、上記両端面91の一方がオーバーハング部となるが、積層造形における積層方向に対して傾斜することになる。したがって、積層造形の際にサポート部を形成しなくても上記両端面91を形成できる。
【0054】
なお、第1方向Dr1から見たときに、両端面91の延在方向が第2方向Dr2と一致したときの両端面91のオーバーハング角度を0度とし、両端面91の延在方向が第3方向Dr3と一致したときの両端面91のオーバーハング角度θaを90度とする。幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、両端面91のオーバーハング角度θaは30度以上60度以下、好ましくは、40度以上50度以下、より好ましくは45度であるとよい。
【0055】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、
図7に示すように、第3方向Dr3で隣り合う2つの流路層5の一方の流路層5におけるリブ90と、2つの流路層5の他方の流路層5におけるリブ90とは、第2方向Dr2に沿った長さLrが長い方の接続部92同士、又は、第2方向Dr2に沿った長さLrが短い方の接続部92同士が向かい合うように配置されているとよい。
これにより、一方の流路層5と他方の流路層5を隔てる層間隔壁31には、一方の流路層5及び他方の流路層5における何れのリブ90も第2方向Dr2に沿った長さLrが長い方の接続部92で接続されるか、何れのリブ90も第2方向Dr2に沿った長さが短い方の接続部92で接続されることとなる。そのため、該層間隔壁31において、一方の流路層5側での接続部92の合計面積と、他方の流路層5側での接続部92の合計面積との差を抑制できる。よって、例えば熱交換コア1を積層造形法によって形成する場合、積層造形時に一方の流路層5における複数のリブ90の熱収縮によって該層間隔壁31が受ける影響と、他方の流路層5における複数のリブ90の熱収縮によって該層間隔壁31が受ける影響との差が比較的小さくなる。これにより、該層間隔壁31の歪みを抑制できる。
【0056】
図8Aは、
図2のVIII矢視断面図であり、内側ヘッダ流路6の断面形状の一例を模式的に示している。
図8Bは、
図2のVIII矢視断面図であり、内側ヘッダ流路6の断面形状の他の一例を模式的に示している。
図8Cは、
図2のVIII矢視断面図であり、内側ヘッダ流路6の断面形状のさらに他の一例を模式的に示している。
【0057】
幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、
図8A、
図8B及び
図8Cに示すように、第1方向Dr1から見たときに、内側ヘッダ流路6を挟んで第2方向Dr2に沿って対向する一対の第1流路間隔壁51の内、少なくとも何れか一方の第1流路間隔壁51は、第2方向Dr2に対して傾斜した傾斜面62、又は湾曲面63を有するとよい。
これにより、例えば熱交換コア1を積層造形法によって形成する際に、第2方向Dr2を積層造形における積層方向とした場合に、上記何れか一方の第1流路間隔壁51がオーバーハング部となっても、積層造形の際にサポート部を形成しなくても該第1流路間隔壁51を形成できる。
【0058】
なお、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、例えば、
図8Aに示すように、第2方向Dr2の一方から他方(例えば
図8Aにおける図示上方)に向かうにつれて、第3方向Dr3の一方から他方(例えば
図8Aにおける図示右方)に向かう傾斜面62Aと他方から一方(例えば
図8Aにおける図示左方)に向かう傾斜面62Bとによって第1流路間隔壁51に三角形状の内壁凹部65が形成されるようにしてもよい。
また、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、例えば、
図8Bに示すように、第2方向Dr2の一方から他方(例えば
図8Aにおける図示上方)に向かうにつれて、第3方向Dr3の一方から他方(例えば
図8Aにおける図示右方)に向かう傾斜壁66Aと他方から一方(例えば
図8Aにおける図示左方)に向かう傾斜壁66Bとによって第1流路間隔壁51を構成してもよい。
【0059】
なお、第1方向Dr1から見たときに、傾斜面62A、62Bの延在方向が第2方向Dr2と一致したときの傾斜面62A、62Bのオーバーハング角度を0度とし、傾斜面62A、62Bの延在方向が第3方向Dr3と一致したときの傾斜面62A、62Bのオーバーハング角度θbを90度とする。幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、傾斜面62A、62Bのオーバーハング角度θbは30度以上60度以下、好ましくは、40度以上50度以下、より好ましくは45度であるとよい。
【0060】
また、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、例えば、
図8Aに示した三角形状の内壁凹部65に代えて、
図8Cに示すように、円弧形状の凹面を有する内壁凹部67が形成されるようにしてもよい。
【0061】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0062】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換コア1は、第1方向Dr1に延在するヘッダ流路としての内側ヘッダ流路6と、ヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)に接続され、第1方向Dr1に対して交差する第2方向Dr2に延在する複数の分岐流路7と、を備える。ヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)と複数の分岐流路7との仮想的な接続面81に対するヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)のなす第1角度θ1は、接続面81に対する分岐流路7のなす第2角度θ2より小さい。
【0063】
上記(1)の構成によれば、第1角度θ1を第2角度θ2より小さくすることで、接続面81に接続されている複数の分岐流路7のそれぞれの流路幅W2の合計よりも該接続面81に接続されている内側ヘッダ流路6の流路幅W1を小さくすることができる。これにより、熱交換コア1の小型化を図れる。
また、内側ヘッダ流路6から流体が複数の分岐流路7のそれぞれに流入する際には、接続面81に接続されている複数の分岐流路7のそれぞれの流路幅W2の合計の方が該接続面81に接続されている内側ヘッダ流路6の流路幅W1よりも大きいので、複数の分岐流路7のそれぞれにおける流量のばらつきを抑制し易く、熱交換効率を向上させ易い。
したがって、上記(1)の構成によれば、コンパクトで熱交換効率に優れた熱交換コア1の実現に資する。
【0064】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、複数の分岐流路7同士を隔てる隔壁(第2流路間隔壁53)の端部(流路内端部53a)は、第2方向に沿って接続面81から離れた位置に存在するとよい。
【0065】
発明者らが鋭意検討した結果、流路内端部53aが第2方向に沿って接続面81から離れた位置に存在すると、内側ヘッダ流路6から各分岐流路7に流入する流体の流量の分岐流路7毎の差を抑制できることが判明した。
上記(2)の構成によれば、分岐流路7毎の流量の差を抑制できる。
【0066】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、上記端部(流路内端部53a)と接続面81との距離Lは、ヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)と複数の分岐流路7とを含む基準平面PRに対して直交する方向から見たときのヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)の流路幅W1の0.3倍以上2倍以下であるとよい。
【0067】
発明者らが鋭意検討した結果、流路内端部53aと接続面81との距離Lは、基準平面PRに対して直交する方向(第3方向Dr3)から見たときの内側ヘッダ流路6の流路幅W1の0.3倍以上2倍以下であると、内側ヘッダ流路6から各分岐流路7に流入する流体の流量の分岐流路7毎の差を効果的に抑制できることが判明した。
上記(3)の構成によれば、分岐流路7毎の流量の差を効果的に抑制できる。
【0068】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、複数の分岐流路7のそれぞれの流路断面積S2の合計面積は、該複数の分岐流路7が接続されているヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)の流路断面積S1よりも大きいとよい。
【0069】
上記(4)の構成によれば、複数の分岐流路7のそれぞれにおける流量のばらつきを抑制し易い。
【0070】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、複数のヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)と、複数のヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)のそれぞれに接続される複数の分岐流路7とを含む流路層5、を備えるとよい。流路層5に含まれる複数の分岐流路7の流路断面積ΣS2の合計面積は、流路層5に含まれる複数のヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)の流路断面積S1の合計面積ΣS1よりも大きいとよい。
【0071】
上記(5)の構成によれば、熱交換コア1における熱交換効率の向上と熱交換コア
の小型化を両立できる。
【0072】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、複数のヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)は、第2方向Dr2における一方側で複数の分岐流路7と接続される複数の一方側ヘッダ流路6Xと、第2方向Dr2における他方側で複数の分岐流路7と接続される複数の他方側ヘッダ流路6Yとを含むとよい。一方側ヘッダ流路6Xと、該一方側ヘッダ流路6Xに対して接続される複数の分岐流路7と、該一方側ヘッダ流路6Xに対して複数の分岐流路7を介して接続される他方側ヘッダ流路6Yとの流路長さの合計長さLtは、流路層5における何れの流路においても実質的に等しいとよい。
【0073】
上記(6)の構成によれば、流路層5の全体にわたって分岐流路7毎の流量の差を抑制できる。
【0074】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、複数の一方側ヘッダ流路6Xにおける、接続面81とは反対側の一方側端部(一方側開口端61X)は、複数の他方側ヘッダ流路6Yにおける、接続面81とは反対側の他方側端部(他方側開口端61Y)に対して、他方側端部(他方側開口端61Y)とは第1方向Dr1において反対側に位置しているとよい。
【0075】
上記(7)の構成によれば、一方側ヘッダ流路6Xと分岐流路7と他方側ヘッダ流路6Yとの流路長さの合計長さを流路層5の全体にわたって実質的に等しくするのに合理的な流路のレイアウトになるので、熱交換コア1の大きさを抑制しつつ、圧損を抑制できる。
【0076】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかの構成において、複数の分岐流路7の少なくとも一部は、分岐流路7を画定する壁部の内、ヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)と複数の分岐流路7とを含む基準平面PRに対して直交する方向(第3方向Dr3)に沿って対向する一対の壁部(層間隔壁31)のそれぞれに接続される複数のリブ90が形成されているとよい。
【0077】
上記(8)の構成によれば、リブ90によって流体との接触面積を増やすことができ、熱交換効率を向上できる。また、リブ90によって流体の流れが適度に乱れて上記壁部の壁面における境界層の発達を抑制する等して、流体と分岐流路7を画定する壁部である層間隔壁31や第2流路間隔壁53との間の熱伝達率が向上するので、熱交換効率を向上できる。さらに、リブ90が層間隔壁31の補強部材として機能するので、層間隔壁31の耐圧性能を向上できる。
【0078】
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)の構成において、リブ90における第2方向Dr2に沿った両端面91は、第2方向Dr2に対して傾斜した傾斜面であり、リブ90において、一対の壁部(層間隔壁31)の内の一方の壁部(層間隔壁31)との接続部92と他方の壁部(層間隔壁31)との接続部92とでは、第2方向Dr2に沿った長さが異なるとよい。
【0079】
上記(9)の構成によれば、例えば熱交換コア1を積層造形法によって形成する際に、第2方向Dr2を積層造形における積層方向とした場合に、上記両端面91の一方がオーバーハング部となるが、積層造形における積層方向に対して傾斜することになる。したがって、上記(9)の構成によれば、積層造形の際にサポート部を形成しなくても上記両端面91を形成できる。
【0080】
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)の構成において、複数のヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)と、複数のヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)のそれぞれに接続される複数の分岐流路7と含む流路層5を複数備えるとよい。複数の流路層5は、上記直交する方向(第3方向Dr3)に重ねて配置され、上記直交する方向(第3方向Dr3)で隣り合う2つの流路層5の一方の流路層5における複数のリブ90と、2つの流路層5の他方の流路層5における複数のリブ90とは、第2方向Dr2に沿った長さLrが長い方の接続部92同士、又は、第2方向Dr2に沿った長さが短い方の接続部92同士が向かい合うように配置されているとよい。
【0081】
上記(10)の構成によれば、一方の流路層5と他方の流路層5を隔てる壁部(層間隔壁31)には、一方の流路層5及び他方の流路層5における何れのリブ90も第2方向Dr2に沿った長さが長い方の接続部92で接続されるか、何れのリブ90も第2方向Dr2に沿った長さが短い方の接続部92で接続されることとなる。そのため、該壁部(層間隔壁31)において、一方の流路層5側での接続部92の合計面積と、他方の流路層5側での接続部92の合計面積との差を抑制できる。よって、例えば熱交換コア1を積層造形法によって形成する場合、積層造形時に一方の流路層5における複数のリブ90の熱収縮によって該壁部(層間隔壁31)が受ける影響と、他方の流路層5における複数のリブ90の熱収縮によって該壁部(層間隔壁31)が受ける影響との差が比較的小さくなる。これにより、該壁部(層間隔壁31)の歪みを抑制できる。
【0082】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れかの構成において、第1方向DR1から見たときに、ヘッダ流路(内側ヘッダ流路6)を挟んで第2方向Dr2に沿って対向する一対の壁部(第1流路間隔壁51)の内、少なくとも何れか一方の壁部(第1流路間隔壁51)は、第2方向Dr2に対して傾斜した傾斜面62、又は湾曲面63を有するとよい。
【0083】
上記(11)の構成によれば、例えば熱交換コア1を積層造形法によって形成する際に、第2方向Dr2を積層造形における積層方向とした場合に、上記何れか一方の壁部(第1流路間隔壁51)がオーバーハング部となっても、積層造形の際にサポート部を形成しなくても該壁部(第1流路間隔壁51)を形成できる。
【0084】
(12)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器3は、上記構成(1)乃至(11)の何れかの熱交換コア1を備える。
【0085】
上記(12)の構成によれば、コンパクトで熱交換効率に優れた熱交換器3を実現できる。
【符号の説明】
【0086】
1 熱交換コア
2 コア筐体
3 熱交換器
4 外側ヘッダ流路
5 流路層
6 内側ヘッダ流路(ヘッダ流路)
6X 一方側ヘッダ流路
6Y 他方側ヘッダ流路
7 分岐流路
15 第1流路層
25 第2流路層
31 層間隔壁(壁部)
51 第1流路間隔壁(流路間隔壁、壁部)
53 第2流路間隔壁(流路間隔壁、隔壁)
53a 流路内端部(端部)
61 開口端
61X 一方側開口端(一方側端部)
61Y 他方側開口端(他方側端部)
81 接続面
90 リブ
91 両端面
92 接続部