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特開2022-120290タワークレーンの運搬ユニット及びタワークレーンの運搬方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120290
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】タワークレーンの運搬ユニット及びタワークレーンの運搬方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/26 20060101AFI20220810BHJP
   B66C 23/32 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B66C23/26 C
B66C23/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017095
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599016110
【氏名又は名称】株式会社エスシー・マシーナリ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】藤内 隆
(72)【発明者】
【氏名】坂本 法典
(72)【発明者】
【氏名】栃山 広幸
(72)【発明者】
【氏名】冨永 祐明
(72)【発明者】
【氏名】田畑 宏明
(72)【発明者】
【氏名】高松 馨
(72)【発明者】
【氏名】山浦 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】山 尚史
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AB01
3F205JA10
(57)【要約】
【課題】工期の短縮を図ることができるタワークレーンの運搬ユニット及びタワークレーンの運搬方法を提供する。
【解決手段】タワークレーンの運搬ユニット10は、運搬車3と、運搬車3の荷台部31に設置された架台12と、架台12から上方に延びるマストの下部21bと、マストの下部21bに支持され、揚重装置を有する旋回体と、荷台部31に設けられ、架台12を荷台部31に位置決めする位置決め部4と、備え、位置決め部4は、第一直線部41と第二直線部42と、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬車と、
該運搬車の荷台部に設置された架台と、
該架台から上方に延びるマストの下部と、
該マストの下部に支持され、揚重装置を有する旋回体と、
前記荷台部に設けられ、前記架台を前記荷台部に位置決めする位置決め部と、を備えるタワークレーンの運搬ユニット。
【請求項2】
前記架台は、平面視で十文字状に形成され、
前記位置決め部は、平面視で十字状をなす前記架台の直角部に配置されている請求項1に記載のタワークレーンの運搬ユニット。
【請求項3】
前記位置決め部は、平面視で直線状をなす第一直線部と、該第一直線部と直交し平面視で直線状をなす第二直線部と、を有し、
前記第一直線部及び前記第二直線部は、前記架台の直角部に配置されている請求項1または2に記載のタワークレーンの運搬ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のタワークレーンの運搬ユニットの形態でタワークレーンを運搬するタワークレーンの運搬方法であって、
マストにおけるマストの下部以外の部分を解体して、揚重装置を有する旋回体を前記マストの下部まで下降させるマスト解体工程と、
架台の下方に運搬車を挿入する運搬車挿入工程と、
前記運搬車の荷台部を上昇させて、該荷台部で前記架台を支持し、前記荷台部に設けられた位置決め部で前記架台を前記荷台部に位置決めする位置決め工程と、
前記架台に取り付けられた脚を撤去する脚取り外し工程と、
前記運搬車の荷台部を下降させて、前記タワークレーンの運搬ユニットを次の建設現場に移動させる移動工程と、を備えるタワークレーンの運搬方法。
【請求項5】
前記次の建設現場において、
前記運搬車の荷台部を上昇させて、前記架台に前記脚を取り付ける脚取り付け工程と、
前記運搬車の荷台部を下降させて、該運搬車を前記架台の下方から移動させる運搬車移動工程と、を備える請求項4に記載のタワークレーンの運搬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タワークレーンの運搬ユニット及びタワークレーンの運搬方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、風力発電で使用される風車等の構造物を建設する際には、オールテレーンクレーン等の移動式のクレーンが使用されている。また、多段伸縮式のタワークレーンでの建設も提案されている(下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4402923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、風力発電で使用される風車は、発電効率を上げるために高層化及び大型化し、現状のオールテレーンクレーン等の移動式のクレーンでは揚重できない場合がある。このため、揚重可能な規模の自立式のタワークレーンを使用することが考えられる。発電所には複数台の風車が設置されるため、一基の風車を建設する際にタワークレーンを組み立てて、風車の建設完了後にタワークレーンを解体して、次の風車の建設現場まで解体したタワークレーンを運搬して、タワークレーンを再度組み立てると、タワークレーンの解体作業及び組み立て作業に時間がかかり、工期が長期化してしまうという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、工期の短縮を図ることができるタワークレーンの運搬ユニット及びタワークレーンの運搬方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係るタワークレーンの運搬ユニットは、運搬車と、該運搬車の荷台部に設置された架台と、該架台から上方に延びるマストの下部と、該マストの下部に支持され、揚重装置を有する旋回体と、前記荷台部に設けられ、前記架台を前記荷台部に位置決めする位置決め部と、を備える。
【0007】
本構成によれば、使用後のタワークレーンからマストにおける下部以外の部分を解体(撤去)して、旋回体をマストの下部まで下降させて、架台を運搬車の荷台部に設置して、位置決め部で架台を荷台部に位置決めすれば、タワークレーンの運搬ユニットとなる。タワークレーンの運搬ユニットを次の建設現場まで移動させて、運搬車から架台を降ろして、マストの下部に解体したマストの部分を連結して、旋回体を上昇させればタワークレーンが完成する。よって、タワークレーンの解体作業はマストの下部よりも上側の部分のみであるため、タワークレーンの解体作業及び組み立て作業に要する時間が短縮され、工期の短縮を図ることができる。
【0008】
また、本発明に係るタワークレーンの運搬ユニットでは、前記架台は、平面視で十文字状に形成され、前記位置決め部は、平面視で十字状をなす前記架台の直角部に配置されていてもよい。
【0009】
このように構成されたタワークレーンの運搬ユニットでは、位置決め部は平面視十字状をなす架台の直角部に配置され、架台の直角部を形成する二面が位置決め部と当接して、架台の二方向の移動が規制される。
【0010】
また、本発明に係るタワークレーンの運搬ユニットでは、前記位置決め部は、平面視で直線状をなす第一直線部と、該第一直線部と直交し平面視で直線状をなす第二直線部と、を有し、前記位置決め部の前記第一直線部及び前記第二直線部は、前記架台の直角部に配置されていてもよい。
【0011】
このように構成されたタワークレーンの運搬ユニットでは、平面視で直線状をなす第一直線部及び第二直線部が架台の直角部を形成する二面に当接するため、位置決め部と架台との当接面積が大きくなり、架台の位置ずれがより一層抑制される。
【0012】
また、本発明に係るタワークレーンの運搬方法は、上記のいずれか一に記載のタワークレーンの運搬ユニットの形態でタワークレーンを運搬するタワークレーンの運搬方法であって、マストにおけるマストの下部以外の部分を解体して、吊り下げ部を有する旋回体を前記マストの下部まで下降させるマスト解体工程と、架台の下方に運搬車を挿入する運搬車挿入工程と、前記運搬車の荷台部を上昇させて、該荷台部で前記架台を支持し、前記荷台部に設けられた位置決め部で前記架台を前記荷台部に位置決めする位置決め工程と、前記架台に取り付けられた脚を撤去する脚取り外し工程と、前記運搬車の荷台部を下降させて、前記タワークレーンの運搬ユニットを次の建設現場に移動させる移動工程と、を備える。
【0013】
このように構成されたタワークレーンの運搬方法では、マスト解体工程で、マストにおける下部以外の部分を解体(撤去)して、旋回体をマストの下部まで下降させる。位置決め工程で、運搬車の荷台部に設けられた位置決め部で架台を荷台部に位置決めする。脚取り外し工程で、脚を撤去して、タワークレーンの運搬ユニットとなる。移動工程で、タワークレーンの運搬ユニットを次の建設現場まで移動させて、運搬車から架台を降ろして、マストの下部に解体したマストの部分を連結して、旋回体を上昇させればタワークレーンが完成する。よって、タワークレーンの解体作業はマストの下部よりも上側の部分のみであるため、タワークレーンの解体作業及び組み立て作業に要する時間が短縮され、工期の短縮を図ることができる。
【0014】
また、本発明に係るタワークレーンの運搬方法は、前記次の建設現場において、前記運搬車の荷台部を上昇させて、前記架台に前記脚を取り付ける脚取り付け工程と、前記運搬車の荷台部を下降させて、該運搬車を前記架台の下方から移動させる運搬車移動工程と、を備える。
【0015】
このように構成されたタワークレーンの運搬方法では、次の建設現場で、脚取り付け工程で脚を取り付けて、運搬車移動工程で運搬車を移動(撤去)させる。その後、マストの下部に撤去しておいたマストを連結し、旋回体を上昇させれる。このようにして、前の建設現場で使用したタワークレーンをマストの一部(下部以外の部分)だけ解体して次の建設現場で使用することができるため、タワークレーンの組み立てに要する時間が短縮され、工期の短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るタワークレーンの運搬ユニット及びタワークレーンの運搬方法によれば、工期の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るタワークレーンの運搬方法の対象となるタワークレーンにおいて、建設作業時の状態を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るタワークレーンの運搬方法の対象となるタワークレーンにおいて、移動時の状態を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るタワークレーンの下部の構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係るタワークレーンの運搬方法を説明する図である。
図5】本発明の一実施形態に係るタワークレーンの運搬方法を説明する図であり、建設作業後の図4の後工程を示す。
図6】本発明の一実施形態に係るタワークレーンの運搬方法を説明する図であり、建設作業後の図5の後工程を示す。
図7】本発明の一実施形態に係るタワークレーンの運搬方法を説明する図であり、建設作業後の図6の後工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係るタワークレーンの運搬ユニット及びタワークレーンの運搬方法について、図面を用いて説明する。
まず、建設作業時のタワークレーンについて説明する。
【0019】
図1に示すように、タワークレーン100は、例えば風車Wを建設する際に使用される。図1では、風車Wのブレードの図示を省略している。尚、タワークレーン100を使用して建設するものは風車Wに限られず、高層の構造物等でもよい。
【0020】
タワークレーン100は、図1に示す建設作業時の形態(タワークレーン100Aとする)と、図2に示す移動時の形態(タワークレーン100Bとする)とに、形態が変更可能である。
【0021】
建設作業時のタワークレーン100Aは、ベース1と、マスト21と、旋回体22と、斜材26と、を備えている。
【0022】
ベース1は、敷台11と、架台12と、脚13と、を有している。図4に示すように、敷台11は、各脚13の先端部13aの下方に配置されている。本実施形態では、脚13が4本あり、敷台11は4箇所に配置されている。敷台11は、地面等の作業面G上に設置されている。
【0023】
架台12は、マスト21の直下に配置されている。架台12は、例えばH鋼等の鋼材で構成されている。本実施形態では、架台12は、平面視で十文字状に形成されている。架台12は、中央部12aと、中央部12aから四方向に延びる4本の延出部12bと、を有している。直交する延出部12bの角部を、直角部12cとする。架台12の下面12dは、作業面Gから上方に離間している。
【0024】
脚13は、架台12の各延出部12bの先端部に連結されている。脚13の延在方向は、延出部12bの延在方向と略同一である。換言すると、平面視で、延出部12b及び脚13は、中央部12aから一直線上に延びている。脚13は、例えばH鋼等の鋼材で構成されている。脚13の下面13dは、作業面Gから上方に離間しているとともに、架台12の下面12dよりも高い位置に配置されている。
【0025】
架台12と脚13との連結構造、及び脚13と敷台11との連結構造について、図3を用いて説明する。なお、図3に示す連結構造は一例であり、他の構造であってもよい。
【0026】
図3に示すように、脚13の下部は、架台12側に延出する脚支持部13bを有している。架台12の上部は、脚13側に延出する架台連結部12eを有している。架台連結部12eは、脚支持部13bの上方に介装材14を介して設置されている。なお、架台連結部12eは、脚支持部13b上に直接設置されていてもよい。介装材14に替えて、脚13と架台12とを水平方向を向くピン(不図示)によって接合する構成であってもよい。
【0027】
延出部12bの先端部は、第一連結板121を有している。第一連結板121は、板状に形成されている。第一連結板121の板面は、水平方向を向いている。脚13は、第一連結板121と対向するように第二連結板131を有している。第二連結板131は、板状に形成されている。第二連結板131の板面は、第一連結板121と同じ方向を向いている。第一連結板121及び第二連結板131に形成された取付孔にボルト132が挿入され、ナット133に締結されている。これによって、架台12と脚13とは連結されている。架台12及び脚13の上面には、ボルト132及びナット133の取付作業用の開口が形成されていてもよい。
【0028】
脚13の先端部13aは、上面に位置する上面板136と、下面に位置する下面板137と、を有している。上面板136と下面板137とは、上下方向に離間して配置されている。上面板136及び下面板137は、板状に形成されている。上面板136及び下面板137の板面は、上下方向を向いている。上面板136及び下面板137に形成された取付孔にボルト138が挿入され、敷台11に締結されている。これによって、脚13は、敷台11に連結されている。
【0029】
図1に示すように、マスト21は、複数のマスト部材21aが上下方向に分離可能に連結されている。例えば、マスト部材21aは鉄骨造であり、上下に隣接するマスト部材21aはボルト及びナット等の連結手段によって連結及び分離可能な構成である。
【0030】
マスト部材21aのうち、最下部に位置するものを底部マスト部材(マストの下部)21bと称する。底部マスト部材21bの下端部は、架台12に連結されている。
【0031】
旋回体22は、旋回台23と、ジブ24と、揚重装置25と、を有している。旋回台23は、マスト部材21aのうち最上部に位置する最上部マスト部材21cに支持されている。旋回台23は、最上部マスト部材21cに上下方向を軸線方向として軸線回りに回動可能に支持されている。旋回台23に着席したオペレーターがタワークレーン100を操縦するようになっている。なお、旋回台23にオペレーターがいなくて、遠隔操作でタワークレーン100を操縦可能であってもよい。ジブ24は、旋回台23に取り付けられている。ジブ24の基端部は、旋回台23に揺動可能に軸支されている。揚重装置25は、ウインチ25aと、ワイヤー25bと、フック25cと、を有している。ウインチ25aは、旋回台23に設けられている。ワイヤー25bは、ウインチ25aによって巻上げ及び巻下げ可能とされ、ジブ24の先端部に係合されている。フック25cは、ワイヤー25bの先端部に設けられ、風車Wの構成部材を吊り下げ可能とされている。
【0032】
上記のタワークレーン100Aは、移動時には図2に示すようにタワークレーン100Bに形態を変更して、運搬車3に設置される。タワークレーン100Bが運搬車3に設置されたものをタワークレーンの運搬ユニット10と称する。タワークレーンの運搬ユニット10は、運搬車3と、位置決め部(図4参照)4と、タワークレーン100Bと、を備えている。タワークレーン100Bは、架台12と、底部マスト部材21bと、旋回体22と、を備えている。
【0033】
運搬車3は、重量物を設置可能で、走行可能なものであれば適宜採用可能である。本実施形態では、運搬車3として、リフトアップが可能な多軸ドーリー車が採用されている。
【0034】
図4(旋回体22の図示を省略している)に示すように、運搬車3は、複数の走行可能な車輪30と、荷台部31と、リフト部32と、を有している。荷台部31は、平板状に形成され、上面に重量物を設置可能である。荷台部31は、リフト部32を介して車輪30と接続されている。リフト部32は、荷台部31を上下に昇降可能である。
【0035】
荷台部31には、設置板34が固定されている。設置板34は、荷台部31の上面に配置される上面板部34aと、荷台部31の側面に配置される側面板部34bと、を有している。側面板部34bは、荷台部31にボルト及びナットの連結手段34cによって連結されている。
【0036】
位置決め部4は、設置板34の上面34uに固定されている。本実施形態では、4個の位置決め部4は、運搬するタワークレーン100Bの架台12の直角部12cに対応した位置に配置されている。位置決め部4は、設置板34の上面34uに溶接やボルト及ナット等の連結手段によって固定されている。
【0037】
位置決め部4は、平面視L字状に形成されている。位置決め部4は、第一直線部41と、第二直線部42と、を有している。第一直線部41及び第二直線部42は、平面視で直線状をなすように形成されている。第一直線部41と第二直線部42とは、平面視で直交配置されている。図7に示すように、第一直線部41と第二直線部42との交差部43は、架台12の直角部12cに配置されている。タワークレーン100自体は自重で自立可能であり、位置決め部4によって架台12が設置板34の上に位置決めされている。
【0038】
図2に示すように、タワークレーンの運搬ユニット10では、ベース1のうち敷台11及び脚13は撤去され架台12のみが設置されている。複数のマスト部材21aのうち底部マスト部材21b以外のマスト部材21aは撤去されている。旋回体22は、底部マスト部材21bに支持されている。
【0039】
次に、タワークレーンの運搬方法について説明する。
一の風車Wの建設完了後に、次の風車Wの建設現場に、タワークレーン100を移動させるに際し、まず、マスト解体工程を行う。
建設作業完了時の形態のタワークレーン100Aにおいて、マスト21のうち底部マスト部材21bを残して他のマスト部材21aを解体する。旋回体22を下方のマスト部材21aに下降させて、上側のマスト部材21aを撤去する作業を順次行い、旋回体22を底部マスト部材21bまで下降させる。その際、斜材26は旋回体22の下降の支障になる前に撤去する。
【0040】
次に、運搬車挿入工程を行う。
図4に示すように、運搬車3に設置板34を固定した状態で、ベース1の下方に運搬車3を挿入する。この状態では、設置板34の上面34uと架台12の下面12dとの間には隙間が生じている。
【0041】
次に、位置決め工程を行う。
脚13と敷台11とを連結しているボルト138(図3参照。)を取り外す。図5に示すように、運搬車3のリフト部32を駆動して、荷台部31を上昇させる。荷台部31に固定された設置板34の上面34uが架台12の下面12dに当接するとともに、脚13が敷台11から浮く高さまで荷台部31を上昇させる。
【0042】
脚13と敷台11との間には、フィラー15bを配置する。脚13の下面13dは架台12の下面12dよりも高い位置に配置されているため、脚13の下面13dと荷台部31に固定された設置板34の上面34uとの間にもフィラー15aを配置して、高さを調整する。このようにして、荷台部31でベース1を支持する。
【0043】
このとき、設置板34に設けられた位置決め部4の交差部43を架台12の直角部12cに配置して、架台12を設置板34の上に位置決めする。
【0044】
次に、脚取り外し工程を行う。
架台12と脚13とを連結しているボルト132及びナット133を取り外す。図6に示すように、脚13を他のクレーン等の揚重機械で吊り上げて撤去する。4本全ての脚13を撤去する。その後、敷台11も必要に応じて撤去する。
【0045】
次に、移動工程を行う。
図7に示すように、運搬車3のリフト部32を駆動して、荷台部31を下降させる。タワークレーンの運搬ユニット10を次の建設現場に移動させる。
【0046】
次の建設現場では、タワークレーンの運搬ユニット10を建設時のタワークレーン100Aに組み立て直す。
脚取り付け工程を行う。
運搬車3のリフト部32を駆動して、荷台部31を所定の高さまで上昇させる。図6に示すように、設置される脚13の先端部13aの下方に敷台11及びフィラー15bを配置するととともに、設置板34上にもフィラー15aを配置しておく。架台12と脚13とをボルト132及びナット133で締結して、4本の脚13を架台12に取り付ける。
【0047】
次に、運搬車移動工程を行う。
運搬車3のリフト部32を駆動して、荷台部31を下降させる。脚13と敷台11とをボルト138で締結する。運搬車3を架台12の下方から移動させる。その後、底部マスト部材21bの上側に他のマスト部材21aを順次連結して、旋回体22を所定の位置まで上昇させ、建設作業時のタワークレーン100Aが完成する。
【0048】
本実施形態によれば、建設作業時のタワークレーン100Aからマスト21における底部マスト部材21b以外のマスト部材21aを解体(撤去)して、旋回体22を底部マスト部材21bまで下降させる。架台12を運搬車3の荷台部31に固定された設置板34に設置して、設置板34に設けられた位置決め部4で架台12を設置板34に位置決めする。これによって、移動時の形態のタワークレーン100Bを有するタワークレーンの運搬ユニット10となる。タワークレーンの運搬ユニット10を次の建設現場まで移動させて、運搬車3から架台12を降ろして、底部マスト部材21bに解体したマスト部材21aを連結して、旋回体22を上昇させれば、建設作業時のタワークレーン100Aが完成する。よって、タワークレーン100の解体はマスト21における底部マスト部材21b以外のマスト部材21aのみであるため、タワークレーン100の解体及び組み立てに要する時間が短縮され、工期の短縮を図ることができる。
【0049】
また、位置決め部4は平面視十字状をなす架台12の直角部12cに配置され、架台12の直角部12cを形成する二面が位置決め部4と当接して、架台12の二方向の移動が規制される。
【0050】
また、平面視で直線状をなす第一直線部41及び第二直線部42が架台12の直角部12cを形成する二面に当接するため、位置決め部4と架台12との当接面積が大きくなり、架台12の位置ずれがより一層抑制される。
【0051】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0052】
例えば、位置決め部4によって、架台12が設置板34に位置決めされているが、本発明はこれに限られない。ボルト及びナットによって架台12を運搬車3の荷台部31に固定して、架台12を荷台部31に位置決めする構成であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 ベース
3 運搬車
4 位置決め部
10 タワークレーンの運搬ユニット
12 架台
12c 直角部
13 脚
21 マスト
21b 底部マスト部材(マストの下部)
22 旋回体
25 揚重装置
31 荷台部
41 第一直線部
42 第二直線部
100 タワークレーン
100A 建設作業時のタワークレーン
100B 移動時のタワークレーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7