(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120317
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20220810BHJP
G01C 9/32 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
H01Q1/12 Z
G01C9/32
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017136
(22)【出願日】2021-02-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-19
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省、「異システム間の周波数共用技術の高度化に関する研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000232287
【氏名又は名称】日本電業工作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149113
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 謹矢
(72)【発明者】
【氏名】掛札 祐範
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA09
5J047AA15
5J047BG05
5J047BG08
(57)【要約】
【課題】水準器を確認しながら手作業により操作することに比べて、設置場所の起伏に合わせてアンテナ装置を簡単に水平に保つ。
【解決手段】アンテナ装置1は、アンテナ10と、アンテナ10を支持する基台20および積載する台座60と、を備え、台座60は、長さが可変である複数の脚部70と、台座60の傾斜を確認する水準器90と、水準器90を撮像する撮像装置100と、撮像装置100によって撮像された水準器90の撮像画像に基づく、脚部70の長さを特定する情報である、脚部70の調整量を出力する表示部80および情報処理装置200とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、
前記アンテナを支持および積載する積載部と、を備え、
前記積載部は、
長さが可変である複数の脚部と、
前記積載部の傾斜を確認する傾斜確認器と、
前記傾斜確認器を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された前記傾斜確認器の撮像画像に基づく、前記脚部の長さを特定する情報である、当該脚部の調整量を出力する出力部と
を備えることを特徴とする、アンテナ装置。
【請求項2】
前記調整量を表示する表示部をさらに備え、
前記出力部は、前記調整量を視覚的な情報として表示する前記表示部であることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記脚部のそれぞれに設けられて、当該表示部のそれぞれに対応する位置の当該脚部の前記調整量を表示することを特徴とする、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記脚部のそれぞれの前記調整量の一覧を表示することを特徴とする、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記脚部は、目盛りが付されており、
前記表示部に表示される前記調整量は、前記目盛りに基づいて前記脚部の長さを特定する情報であることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記調整量に基づいて前記脚部の長さを自動的に制御する制御機構をさらに備え、
前記出力部は、前記制御機構の制御情報として前記調整量を出力することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アンテナ掲揚装置本体を道路面等の載置面上の試験を行う所定位置にセットする場合には、作業員が台座の上に置いた水準器を見ながら、所要の調整支持部材を回動してこれを伸縮操作することにより、台座を3点支持の状態で水平に調整する構成について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
設置場所の起伏によりアンテナ装置に傾きが生じている場合には、作業員によるアンテナ装置を水平にするための操作が必要となる。かかる場合には、例えば、アンテナ装置に設けられた複数の脚部の長さを手作業により調整して水平を確保する。
しかしながら、水準器により示される水平か否かの情報を参照しながらアンテナ装置の脚の長さを調整する作業は容易ではない。
本発明は、水準器を確認しながら手作業により操作することに比べて、設置場所の起伏に合わせてアンテナ装置を簡単に水平に保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、アンテナと、前記アンテナを支持および積載する積載部と、を備え、前記積載部は、長さが可変である複数の脚部と、前記積載部の傾斜を確認する傾斜確認器と、前記傾斜確認器を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された前記傾斜確認器の撮像画像に基づく、前記脚部の長さを特定する情報である、当該脚部の調整量を出力する出力部とを備えることを特徴とする、アンテナ装置である。
請求項2に係る発明は、前記調整量を表示する表示部をさらに備え、前記出力部は、前記調整量を視覚的な情報として表示する前記表示部であることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置である。
請求項3に係る発明は、前記表示部は、前記脚部のそれぞれに設けられて、当該表示部のそれぞれに対応する位置の当該脚部の前記調整量を表示することを特徴とする、請求項2に記載のアンテナ装置である。
請求項4に係る発明は、前記表示部は、前記脚部のそれぞれの前記調整量の一覧を表示することを特徴とする、請求項2に記載のアンテナ装置である。
請求項5に係る発明は、前記脚部は、目盛りが付されており、前記表示部に表示される前記調整量は、前記目盛りに基づいて前記脚部の長さを特定する情報であることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のアンテナ装置である。
請求項6に係る発明は、前記調整量に基づいて前記脚部の長さを自動的に制御する制御機構をさらに備え、前記出力部は、前記制御機構の制御情報として前記調整量を出力することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、水準器を確認しながら手作業により操作することに比べて、設置場所の起伏に合わせてアンテナ装置を簡単に水平に保つことができる。
請求項2の発明によれば、水準器を確認しながら手作業により操作することに比べて、アンテナ装置の脚部の長さを調整する作業が容易である。
請求項3の発明によれば、アンテナ装置の脚部の長さを調整する作業しながら、アンテナ装置の脚部の長さの調整量を確認できる。
請求項4の発明によれば、アンテナ装置の複数の脚部の長さの調整量を一目で確認できる。
請求項5の発明によれば、調整量が目盛りに対応しない場合に比べて、アンテナ装置の脚部の長さを調整する作業が容易である。
請求項6の発明によれば、水準器を確認しながら手作業により操作することに比べて、アンテナ装置を設置した後もアンテナ装置を水平に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施の形態に係るアンテナ装置の外観の一例を示した図である。
【
図2】本実施の形態に係るアンテナ装置の構成の一例を示した図である。
【
図3】本実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
【
図4】情報処理装置の機能構成の一例を示したブロック図である。
【
図5】表示部の配置および表示画面の一例を示した図である。
【
図6】表示部の配置および表示画面の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<アンテナ装置の構成>
まず、本実施の形態に係るアンテナ装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係るアンテナ装置の外観の一例を示した図である。
図2は、本実施の形態に係るアンテナ装置の構成の一例を示した図である。本実施の形態に係るアンテナ装置1は、例えば、電波を送信または受信するアンテナ10と、アンテナ10を支持する基台20と、基台20を水平に保つ台座60とを備える。さらに、アンテナ10および基台20を覆うレドーム40を備えてもよい。基台20は、取り付け板50により、台座60に固定される。基台20およびレドーム40は、取り付け用ボルトや固定具等を用いて取り付け板50に取り付けられる。アンテナ装置1は屋外で使用されることが想定されており、設置場所としては、起伏のある地面等を例示することができる。
【0009】
アンテナ10は、一例として、
図2に示す例では、特定の方向に強い感度を示す指向性アンテナであり、電波源の探知に用いられる。例えば、第5世代移動通信システム(5G)などの基地局を設置するため、同システムと使用周波数帯が重なる電波源を探索する場合、同システムで用いられる周波数帯である準ミリ波帯やミリ波帯の電波を受信可能なアンテナ10が用いられる。
【0010】
基台20は、アンテナ10を支持する支持部材であり、取り付け用ボルトと固定具とを用いて取り付け板50に取り付けられる。また、基台20は、アンテナ10の向きを動的に制御する駆動機構30を備えている。基台20は、アンテナ10を支持および積載する積載部の一例である。
駆動機構30は、例えば、2軸回転機構であり、各軸の周りに回転駆動することで、アンテナ10を左右および上下に振り、3次元空間の様々な方向へ向けることができる。基台20の内部には、駆動機構30を動作させるためのモータ(図示せず)が組み込まれている。
【0011】
レドーム40は、アンテナ10および基台20を覆うドームであり、レドーム下部41とレドーム上部42とで構成される。
レドーム下部41は、基台20の下部を覆う。レドーム下部41は、下面に取り付け用ボルトを通す貫通孔を有する。そして、この貫通孔を通った取り付け用ボルトを用いて基台20が取り付けられると、基台20に挟み付けられることにより、レドーム下部41が取り付け板50に固定される。
レドーム上部42は、アンテナ10および基台20の上部を覆う。レドーム上部42の縁は、レドーム下部41の縁の外側に重なり、樹脂製のねじ等で固定される。レドーム上部42の縁をレドーム下部41の縁の外側に重ねることにより、レドーム40の内部への雨滴等の侵入を防ぐことができる。
【0012】
取り付け板50は、レドーム下部41および基台20を、台座60に取り付ける部材である。また、取り付け板50は、レドーム下部41、基台20などと一体にしてもよい。
台座60は、アンテナ10を積載する積載部材であり、取り付け板50が固定される。台座60は、
図1および
図2に示す例では、脚部70と、表示部80と、水準器90と、撮像装置100とを備える。またさらに、図示しないが、調整量を出力する情報処理装置200を備える。この「調整量」は、アンテナ装置1を水平に調整するための情報である。本実施の形態では、複数の脚部70の長さを調節することにより、台座60の設置場所による傾斜を調整してアンテナ装置1を水平に保つ。調整量は、例えば、台座60の水平を確保するために必要となる、複数の脚部70の各々の脚部70の長さを特定する情報を示すものである。
【0013】
脚部70は、台座60の下部で、地面等の設置場所に接触する部位である。また、脚部70は、長さを可変に構成している。
図1および
図2に示す例では、台座60に雌ねじを形成した貫通孔を設け、この貫通孔に対して軸部に雄ねじを形成した棒状の部材を通して台座60の下側へ突出させることにより、脚部70としている。このようにすれば、脚部70を構成する棒状部材を軸周りに回転させることで、脚部70と台座60の貫通孔に形成されたねじにより脚部70が進退するため、脚部70の長さを調整することができる。ただし、脚部70は、台座60に対して個別に長さを調整できれば良く、脚部70の構成は上記のものに限定されない。
【0014】
図1および
図2に示す例では、3本の脚部70が設けられているが、脚部70の数はこれに限らない。ただし、アンテナ装置1を安定させて設置するためには、少なくとも3本以上の脚部70を設ける必要がある。また、4本以上の脚部70を設ける場合、設置の際に一部の脚部70が浮いてしまう場合があるため、ここでは3本の脚部70を採用している。
また、脚部70には、長さを調整するための目安とする目盛りを付しても良い。脚部70の長さを目盛りで表す場合、例えば、単位をミリメートル(mm)等とし得る。
【0015】
表示部80は、脚部70の調整量の情報を表示する。表示部80に表示される情報は、脚部70の調整量を視覚的に表現する情報であり、数字や文字、絵などを用いて良い。表示部80は、脚部の調整量を出力する出力部の一例である。
具体的には、例えば、台座60の水平を確保するために必要な、個々の脚部70の長さを示す数値を表示することが考えられる。脚部70に目盛りを付した場合、この目盛りに対応させた数値を表示しても良い。
【0016】
また、他の表示方法として、個々の脚部70に関して、台座60の水平を確保するために必要な伸縮量を示す数値を表示することが考えられる。伸縮量は、現在の脚部70の長さと、台座60の水平を確保するために必要な脚部70の長さとの差分を計算することにより得られる。脚部70に目盛りを付した場合、この目盛りに対応させて、伸縮量を「+1」、「-2」等と表示しても良い。
さらに、上述したように、ねじを形成した棒状部材による脚部70を軸周りに回転させて長さを調整する構成とした場合、脚部70を構成する棒状部材の回転数や回転角度を示す数値を調整量として表示しても良い。
さらにまた、調整量の情報として、脚部70をどれだけ伸ばすかまたは縮めるかを説明するテキストを表示したり、静止画や動画を用いて調整方法と共に調整量の情報を提示したりしても良い。例えば、脚部70に目盛りを付した場合、目盛りのどの印の位置まで脚部70を伸ばせば良いかまたは縮めれば良いかを画像で示す表示を行っても良い。
【0017】
水準器90は、台座60に取り付けされ、台座60が水平か否かを示す。水準器90は、積載部の傾斜を確認する傾斜確認器の一例である。
撮像装置100は、撮影部101と、支柱102とを備える。撮影部101は、所謂カメラであり、水準器90を撮像する。撮影部101は、水準器90を上から撮像した撮像画像データを情報処理装置200に送信する。支柱102は、水準器90を撮像可能な位置に撮影部101を設置するための部材である。支柱102は、下端を台座60に取り付けられており、上端側の適当な位置に撮影部101が取り付けられる。これにより、撮影部101は水準器90を上から撮影することができる。
情報処理装置200は、撮影部101によって撮像された水準器90の撮像画像データに基づいて脚部70の調整量を算出する。情報処理装置200は、脚部の調整量を出力する出力部の一例である。
【0018】
なお、本実施の形態では、台座60に脚部70を設けてアンテナ装置1を水平に調整しているが、他の部材において調整できる構成を設けてもよい。その一例として、脚部70、水準器90、および撮像装置100を、基台20に設けてもよい。
【0019】
<情報処理装置200のハードウェア構成>
次に、本実施の形態に係る情報処理装置200のハードウェア構成について説明する。
図3は、本実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。本実施の形態に係る情報処理装置200は、制御部210と、通信部220、記憶部230とを備える。
【0020】
制御部210は、情報処理装置200の各部の動作を制御する。この制御部210は、プロセッサの一例として装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)210aと、CPU210aにより実行されるプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)210bと、CPU210aによる演算に際して作業エリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)210cと、を有する。
【0021】
ここで、プロセッサの一例としてのCPU210aによって実行されるプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、制御部210へ提供される。記録媒体としては、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。
また、CPU210aによって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて制御部210にダウンロードしてもよい。
【0022】
なお、本実施形態において、プロセッサとは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。
【0023】
通信部220は、例えばネットワークに接続される通信用のインタフェースである。通信部220は、撮影部101や表示部80等と情報通信を行う。通信部220が受信する情報は、例えば、水準器90の撮像画像データなどがある。通信部220が送信する情報は、例えば、脚部70の調整量などがある。
記憶部230は、ハードディスクドライブや半導体メモリなどにより構成され、ジョブ情報や画像情報や各装置から送信された情報等を記憶する。
【0024】
<制御部210の機能構成>
次に、脚部の調整量の出力の処理に従い、制御部210の機能構成について説明する。
図4は、情報処理装置200の機能構成の一例を示したブロック図である。制御部210は、画像処理部211と、演算部212とを有する。この
図4では、
図3に示す通信部220について、その機能により、水準器90の撮像画像データを受信する受信部220aと、脚部70の調整量の数値データを表示部へ送信する送信部220bとに分けて表記している。
【0025】
まず、
図4に示す撮影部101によって撮像された水準器90の撮像画像データを受信部220aが受信する。記憶部230は、受信部220aが受信した水準器90の撮像画像データを、記憶する。
【0026】
画像処理部211は、記憶部230から水準器90の撮像画像データを取り出して処理する。この「処理」とは、撮影部101により撮像された現在の水準器90の画像と、台座60が水平の状態の水準器90の画像との差異を特定することである。具体的には、例えば、台座60が水平の状態における水準器90の気泡の位置を基準として、現在の水準器90の気泡の位置を特定する。
演算部212は、画像処理部211により特定された現在の水準器90の画像と台座60が水平の状態の水準器90の画像との差異に基づき、台座60の傾きの方向および量を演算する。また、演算部212は、求めた台座60の傾きに基づき、台座60を水平にするために必要となる個々の脚部70の調整量を算出する。これらの演算は、既存の幾何学的な計算方法を用いて行って良い。演算された調整量を示す数値データは送信部220bに出力されて、送信部220bから表示部80に送信される。
【0027】
表示部80の配置および表示画面について説明する。
図5(A)、(B)は、表示部の配置および表示画面の一例を示した図である。
図5(A)は表示部の配置の一例を示し、
図5(B)は表示部の表示画面の一例を示している。
【0028】
図1および
図2に示す表示部80は、
図5(A)に示すように、複数の脚部70の近傍にそれぞれに設けられる。ここでは、3本の脚部70に添え字を付し、脚部70a、70b、70cと表記して区別する。また、各脚部70a、70b、70cに対応する各表示部80には、対応する脚部70と同じ添え字を付して各々を区別すると共に、各脚部70a、70b、70cとの対応を示す。
表示部80aには、
図5(B)に示すように、表示部80aに対応する位置の脚部70aの調整量を伝えるような個々の表示画面81が表示される。
図5(B)に示した例では、表示部80aに、台座60の水平を確保するために必要な脚部70aの長さの変化値である「+2」を示す、表示画面81が表示されている。かかる場合には、脚部70aを、脚部70aに付されている目盛りの2つ分の長さだけ長くなるように調整する。脚部70bに対応して設けられる表示部80b、脚部70cに対応して設けられる表示部80cにも、同様にして対応する脚部70b、70cに対する長さの変化値が表示される。
このように、個々の脚部70に対して個別に表示部80を設けることにより、脚部70を調整する場合に、複数の脚部70のうち、調整する脚部70の調整量を確認することができる。
【0029】
図5に示した例では、表示部80を脚部ごとにそれぞれ設けた。これに対し、表示部80を複数設けず、一つの表示部80に各脚部70a、70b、70cの調整量を表示する構成としても良い。
図6(A)、(B)は、表示部の配置および表示画面の一例を示した図である。
図6(A)は表示部の配置の一例を示し、
図6(B)は表示部の表示画面の一例を示している。
【0030】
図6(A)に示す例では、表示部80が水準器90の近傍に設けられている。
図6(B)に示すように、表示部80の表示画面82には、各脚部70a、70b、70cの調整量が、各脚部70a、70b、70cを表す記号「a」、「b」、「c」に対応付けて一覧表示されている。以下、
図6(B)に示す各脚部70a、70b、70cの調整量を一覧表示した画面を一覧表示画面82と呼ぶ。
図6(B)に示す例では、脚部70aの調整量として「+2」、脚部70bの調整量として「-1」、脚部70cの調整量として「+3」を示す、一覧表示画面82が表示されている。かかる場合には、脚部70aを、脚部70aに付されている目盛りの2つ分の長さだけ長くすればよい。同様にして、脚部70bを目盛りの1つ分の長さだけ短く、図示しない脚部70cを目盛りの3つ分の長さだけ長くすればよい。
このように、一つの表示部80に各脚部70a、70b、70cの調整量を一覧表示することにより、複数の脚部70の調整量をまとめて確認することができる。
【0031】
次に、水準器90について説明する。
図7(A)、(B)は、水準器の一例を示した図である。
図7(A)は二次元の水平を示す水準器の一例を示し、
図7(B)は一次元の水平を示す水準器の一例を示している。以下、
図7(A)に示す水準器を円形水準器91と呼び、
図7(B)に示す水準器を管型水準器92と呼ぶ。
【0032】
図7(A)に示す円形水準器91は、円盤の中に液体と気泡が封入された水準器である。この円形水準器91は、1つの水準器で、二次元平面の傾きの方向および量を特定することができる。したがって、一つの円形水準器91の画像に基づいて、脚部70の調整量を演算するために必要な情報が得られる。この「必要な情報」は、アンテナ装置1、言い換えると、台座60が水平な状態からどちらの方向にどれだけ傾いているかを示す情報である。
【0033】
図7(B)に示す管型水準器92は、管型の容器の中に液体と気泡が封入された水準器である。この管型水準器92は、一次元方向の傾きの量を特定することができる。したがって、水準器90として管型水準器92を用いる場合、
図7(B)に示すように、複数の管型水準器92を、測定方向が異なるように設置して用いる。
図7(B)に示した例では、二つの管型水準器92が、測定方向が直角に交わるようにして、破線で示した領域内に収まるように配置されている。この破線で示した領域は、撮像装置100の撮影部101による撮影範囲に対応するものとする。このようにすれば、二つの管型水準器92を同時に撮像できるため、一つの画像に基づいて、脚部70の調整量を演算するために必要な情報が得られる。
【0034】
<外部装置への表示>
さらに、上述した例では、脚部70の調整量を台座60に設けられた表示部80に表示するようにしたが、このような構成に限られない。
その一例として、無線接続可能な、例えばスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末やPC等の外部端末装置(図示せず)を、アンテナ装置1の出力部として利用する態様がある。この外部端末装置の表示部は、表示部80の代替として機能し、
図5や
図6に示す表示画面を表記する。
なお、情報処理装置200として、無線接続可能な、例えばスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末やPC等の外部端末装置を用いてもよい。
【0035】
<アンテナ装置1の自動水平化>
さらに、上述した例では、表示部80に表示された脚部70の調整量をもとに、手作業により脚部70を操作するようにしたが、このような構成に限られない。
その一例として、脚部70の調整量に基づいて脚部70の長さを自動的に調整するように制御する制御機構(図示せず)をさらに備える態様がある。
出力部の一例である情報処理装置200は、制御機構の制御情報として脚部70の調整量を出力する。この「調整量」は、アンテナ装置1を水平に調整するための情報である。本実施の形態では、調整量は、台座60の水平を確保するために必要となる、複数の脚部70の各々の脚部70の長さを特定する情報を示すものである。
制御機構は、制御情報に基づいて、脚部70の長さを制御することでアンテナ装置1を水平に保つ。
【符号の説明】
【0036】
1…アンテナ装置、10…アンテナ、20…基台、60…台座、70…脚部、80…表示部、90…水準器、100…撮像装置、101…撮影部、211…画像処理部、212…演算部