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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120348
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】かご組立サポート治具
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20220810BHJP
【FI】
B66B7/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017186
(22)【出願日】2021-02-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 寛
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305DA09
3F305DA12
3F305DA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】かごレールへの設置が容易なかご組立サポート治具を提供する。
【解決手段】本発明は、昇降路内で上下方向に延びてかごの昇降を案内するかごレール10に取り外し可能に固定できる第一部材本体3、及び第一部材本体3から延び且つかごを構成する部材を載置可能な載置部4を有する第一部材と、かごレール10に取り外し可能に固定できる第二部材固定部51、及び第二部材固定部51から延び且つ第一部材の載置部4を下側から支持可能な支持部52を有する第二部材5と、を備える、ことを特徴とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内で上下方向に延びてかごを案内するかごレールに取り外し可能に固定できる第一部材本体、及び前記第一部材本体から延び且つ前記かごを構成する部材を載置可能な載置部を有する第一部材と、
前記かごレールに取り外し可能に固定できる第二部材固定部、及び前記第二部材固定部から延び且つ前記第一部材の前記載置部を下側から支持可能な支持部を有する第二部材と、を備える、かご組立サポート治具。
【請求項2】
前記第一部材本体は、
前記かごレールと該かごレールの裏面側から当接可能な第一部材固定部と、
前記第一部材固定部との間に前記かごレールを挟み込んだ状態で該第一部材固定部に固定されることで該第一部材固定部を該かごレールに固定可能な複数の挟持部と、を有し、
前記複数の挟持部のそれぞれは、前記かごレールを挟み込む力を変更可能に前記第一部材固定部に固定されている、請求項1に記載のかご組立サポート治具。
【請求項3】
前記第一部材固定部は、該第一部材固定部を前記かごレールに当接させたときの該かごレールの幅方向の両端とそれぞれ対応する位置に形成され且つ該幅方向に長い複数の長穴を有し、
前記複数の挟持部のそれぞれは、
前記第一部材固定部との間に前記かごレールを挟み込み可能なクリップと、
前記クリップを貫通した状態で前記長穴に挿入されるボルトと、
前記ボルトと螺合するナットと、を有する、請求項2に記載のかご組立サポート治具。
【請求項4】
前記第一部材固定部において、前記かごレールの裏面側から当接するように該かごレールに固定されたときの前記第二部材側の端縁である第一端縁は、前記上下方向に対して傾斜した方向に延び、
前記第二部材固定部において、前記かごレールの裏面側から当接するように該かごレールに固定されたときの前記第一部材側の端縁である第二端縁は、前記第一端縁と同方向に延び且つ前記第一端縁と当接する、請求項2又は3に記載のかご組立サポート治具。
【請求項5】
前記第一部材において、前記第一部材本体と前記載置部とは、分離可能に接続されており、
前記第一部材本体は、前記第一部材固定部と前記載置部とを接続する接続部を有し、
前記第一部材本体と前記第二部材とにおいて、前記第一部材固定部と前記第二部材固定部とが同じ形状で、且つ、前記接続部と前記支持部とが同じ形状である、請求項2~4のいずれか1項に記載のかご組立サポート治具。
【請求項6】
前記第一部材固定部と前記第二部材固定部とのそれぞれは、前記かごレールと前記裏面側から当接した状態において該裏面に沿って広がる板状である、請求項2~5のいずれか1項に記載のかご組立サポート治具。
【請求項7】
前記かごレールは、
前記上下方向に延びる帯状のレール基部と、
該レール基部の幅方向の中央部から該幅方向及び前記上下方向のそれぞれと直交する方向に突出し且つ前記上下方向に延びる突出片と、を有し、
前記載置部は、前記第一部材が前記かごレールに固定された状態のときに上方を向く載置面を有し、
前記載置面は、前記幅方向の所定位置に印を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のかご組立サポート治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかごを昇降路内で組み立てるときにかごレールに着脱自在に固定されて用いられるかご組立サポート治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エレベータのかごを昇降路内で組み立てるときにかごレールに固定されて用いられるかご枠受台(かご組立サポート治具)が知られている(特許文献1参照)。具体的に、かご枠受台100は、図10に示すように、複数のクリップ101と複数のボルト102とによってかごレール103に固定される取付部材104と、取付部材104と一体となっているかご枠受座部105と、取付部材104にボルト106によって分割自在に固定される部材107と、この部材107に一体となっているかご枠受座部108と、を備える。
【0003】
このかご枠受台100では、取付部材104がかごレール103の裏側(かごが案内される側と反対側)に配置された状態で、各クリップ101が取付部材104との間にかごレール103を挟み込んだ状態でボルト102によってかごレール103の表側(かごが案内される側)から取付部材104に取り付けられることで、取付部材104がかごレール103に固定される。
【0004】
続いて、部材107がボルト106によって取付部材104に固定された後、取付部材104に取り付けられた各ボルト102が緩められた状態で、二つのかご枠受座部105、108の載置面(上面)が所定の高さ位置で水平となるように、かご枠受台100のかごレール103に対する高さ位置と姿勢の調整が行われた後、各ボルト102が締め付けられることで、かご枠受台100がかごレール103に固定される。
【0005】
一対のかごレール103のそれぞれに、かご枠受台100が固定されると、各かご枠受台100のかご枠受座部105、108上にかご枠109が載置され、かごの組み立てが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭56-23913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のかご枠受台100をかごレール103に取り付けるときの前記かごレール103に対する高さ位置や姿勢の調整の際には、各クリップ101を取付部材104に固定しているボルト102を緩めた状態でかご枠受台100全体を動かすことによって前記高さ位置及び前記姿勢の調整を行わなければならなかった。
【0008】
このかご枠受台100では、かごが組み立てられる際に該かご枠受台100に加わるかごの自重を、複数のクリップ101が取付部材104との間にかごレール103を挟み込むことによって支持しているため、取付部材104には、複数(図10に示す例では六つ)のクリップ101を配置できる十分な大きさが必要であり、自重も大きかった。このため、昇降路内の狭い作業スペースでのかご枠受台100のかごレール103への取付作業は、困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、かごレールへの設置が容易なかご組立サポート治具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のかご組立サポート治具は、
昇降路内で上下方向に延びてかごを案内するかごレールに取り外し可能に固定できる第一部材本体、及び前記第一部材本体から延び且つ前記かごを構成する部材を載置可能な載置部を有する第一部材と、
前記かごレールに取り外し可能に固定できる第二部材固定部、及び前記第二部材固定部から延び且つ前記第一部材の前記載置部を下側から支持可能な支持部を有する第二部材と、を備える。
【0011】
このように、載置部上で組み立てられるかごの自重を支持する部材(即ち、載置部に加わる下向きの力を受けた状態でかごレールに固定される部材)を二つにして、一つの部材によって前記自重を支持する構成に比べて各部材(第一部材、第二部材)の小型化及び軽量化を図った上で、一方の部材(第一部材)のかごレールへの固定時に該部材のみで載置部の姿勢及び上下位置の調整を行えるようにすることで、かご組立サポート治具のかごレールへの設置が容易になる。
【0012】
前記かご組立サポート治具では、
前記第一部材本体は、
前記かごレールと該かごレールの裏面側から当接可能な第一部材固定部と、
前記第一部材固定部との間に前記かごレールを挟み込んだ状態で該第一部材固定部に固定されることで該第一部材固定部を該かごレールに固定可能な複数の挟持部と、を有し、
前記複数の挟持部のそれぞれは、前記かごレールを挟み込む力を変更可能に前記第一部材固定部に固定されてもよい。
【0013】
このように、各挟持部において前記かごレールを挟み込む力を変更可能とすることで、第一部材をかごレールへ仮止めした状態(かごレールから落下しない状態)で、第一部材のかごレールに対する姿勢及び上下方向の位置の微調整、即ち、第一部材本体から延びる載置部の姿勢及び上下方向の位置の微調整が行い易くなる。
【0014】
この場合、例えば、前記かご組立サポート治具において、
前記第一部材固定部は、該第一部材固定部を前記かごレールに当接させたときの該かごレールの幅方向の両端とそれぞれ対応する位置に形成され且つ該幅方向に長い複数の長穴を有し、
前記複数の挟持部のそれぞれは、
前記第一部材固定部との間に前記かごレールを挟み込み可能なクリップと、
前記クリップを貫通した状態で前記長穴に挿入されるボルトと、
前記ボルトと螺合するナットと、を有してもよい。
【0015】
このように、クリップを貫通した状態のボルトを第一部材固定部の長穴に挿通させた状態でナットを螺合させるといった簡素な構成によって、第一部材本体をかごレールに対して仮止めした状態で該第一部材本体のかごレールに対する姿勢及び上下方向の位置の微調整を容易に行うことができる。
【0016】
また、前記かご組立サポート治具では、
前記第一部材固定部において、前記かごレールの裏面側から当接するように該かごレールに固定されたときの前記第二部材側の端縁である第一端縁は、前記上下方向に対して傾斜した方向に延び、
前記第二部材固定部において、前記かごレールの裏面側から当接するように該かごレールに固定されたときの前記第一部材側の端縁である第二端縁は、前記第一端縁と同方向に延び且つ前記第一端縁と当接してもよい。
【0017】
このように、互いに当接する第一端縁と第二端縁とが上下方向に対して傾斜しているため、載置部を通じて第一部材固定部に加わる下向きの力(組立られるかごの自重)が、第一端縁及び第二端縁の延びる方向(前記傾斜した方向)と該方向に対して直交する方向とに分散され(図9の矢印F、α、β参照)、これにより、第一部材がかごレールに固定されている位置からずり落ち難くなる。
【0018】
また、前記かご組立サポート治具では、
前記第一部材において、前記第一部材本体と前記載置部とは、分離可能に接続されており、
前記第一部材本体は、前記第一部材固定部と前記載置部とを接続する接続部を有し、
前記第一部材本体と前記第二部材とにおいて、前記第一部材固定部と前記第二部材固定部とが同じ形状で、且つ、前記接続部と前記支持部とが同じ形状であってもよい。
【0019】
このように、第一部材本体と第二部材とを同じ形状にすることで、かご組立サポート治具を構成する部品の種類を抑えることができる。
【0020】
また、前記かご組立サポート治具では、
前記第一部材固定部と前記第二部材固定部とのそれぞれは、前記かごレールと前記裏面側から当接した状態において該裏面に沿って広がる板状であってもよい。
【0021】
かかる構成によれば、かごレールと、該かごレールの裏面側の壁(昇降路を規定する壁等)又は部材との間隔が小さくても、かごレールに裏面側から当接するように第一部材固定部及び第二部材固定部を配置することができる。
【0022】
また、前記かご組立サポート治具では、
前記かごレールが、
前記上下方向に延びる帯状のレール基部と、
該レール基部の幅方向の中央部から該幅方向及び前記上下方向のそれぞれと直交する方向に突出し且つ前記上下方向に延びる突出片と、を有する場合に、
前記載置部は、前記第一部材が前記かごレールに固定された状態のときに上方を向く載置面を有し、
前記載置面は、前記幅方向の所定位置に印を有してもよい。
【0023】
かかる構成によれば、かごレールの延びる方向から見て、前記幅方向における載置面の印とかごレールの突出片との位置を合わせることで、載置部の前記幅方向の位置合わせができる。即ち、載置面のかごレールに対する前記幅方向の位置合わせが容易になる。
【発明の効果】
【0024】
以上より、本発明によれば、かごレールへの設置が容易なかご組立サポート治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本実施形態に係るかご組立サポート治具の斜視図である。
図2図2は、前記かご組立サポート治具の分解斜視図である。
図3図3は、前記かご組立サポート治具が備える第一部材本体の正面図である。
図4図4は、前記第一部材本体の平面図である。
図5図5は、前記かご組立サポート治具が備える第一部材の正面図である。
図6図6は、前記第一部材の平面図である。
図7図7は、前記かご組立サポート治具の正面図である。
図8図8は、前記かご組立サポート治具の平面図である。
図9図9は、載置部に加わる下向きの力が第一部材固定部の第一端縁と第二部材固定部の第二端縁との当接によって分散される状態を説明するための模式図である。
図10図10は、従来のかご枠受台の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について、図1図9を参照しつつ説明する。
【0027】
本実施形態のかご組立サポート治具(以下、単に「サポート治具」とも称する。)は、昇降路内を上下方向に延びてかごを案内するかごレールに着脱自在に固定され、昇降路内でのかごの組み立てに用いられる。以下では、サポート治具が着脱自在に固定されるかごレールの構成を説明した後、サポート治具の具体的な構成を説明する。また、以下の説明において、サポート治具及び各構成の上下左右等は、該サポート治具がかごレールに取り付けられた状態(図7及び図8参照)を基準にしている。
【0028】
かごレールは、エレベータの昇降路内において、一つのかごに対して一対配置されている。これら一対のかごレールは、昇降路内においてかごの幅方向(出入り方向と直交する方向)の両側に配置され、昇降するかごを案内する。具体的には図7及び図8に示すように、一対のかごレール10のそれぞれは、上下方向に延びる帯状のレール基部11と、レール基部11の幅方向の中央部からかご側(即ち、レール基部11の幅方向及び上下方向のそれぞれと直交する方向)に突出し且つ上下方向に延びる突出片12と、を有する。このレール基部11は、昇降路を規定する壁面等に固定される部位であり、突出片12は、かごが備えるローラガイドのローラによって厚さ方向から挟み込まれる部位である。尚、以下の説明において、レール基部11の裏面(突出片12が突出する面と反対側の面)11aをかごレール10の裏面とも称する。
【0029】
サポート治具1は、図1図8に示すように、それぞれがかごレール10に着脱自在で且つ互いに分離可能な第一部材2及び第二部材5を備える。また、サポート治具1は、第一部材2と第二部材5とを連結する連結部材を有する。本実施形態のサポート治具1において、第一部材2と第二部材5とを連結する連結部材は、ボルトB及び該ボルトBに螺合するナットNである。
【0030】
第一部材2は、かごレール10に取り外し可能に固定できる第一部材本体3と、第一部材本体3から延び且つかごを構成する部材を載置可能な載置部4と、を有する。第一部材2において、第一部材本体3と載置部4とは、分離可能に接続されている。また、第一部材2は、第一部材本体3と載置部4とを連結する連結部材を有する。本実施形態の第一部材2において、第一部材本体3と載置部4とを連結する連結部材は、第一部材2と第二部材5とを連結する連結部材と同じ構成であり、ボルトB及び該ボルトBに螺合するナットNである。
【0031】
第一部材本体3は、かごレール10と該かごレール10の裏面11a側から当接可能な第一部材固定部31と、第一部材固定部31と載置部4とを接続する接続部32と、第一部材固定部31をかごレール10に取り外し可能に固定するための複数の第一挟持部(挟持部)35と、を有する。本実施形態の第一部材本体3において、第一部材固定部31と接続部32とは、一体であり、所定形状の板状の部材が折り曲げられることによって形成されている。
【0032】
第一部材固定部31は、接続部32からかごレール10、詳しくは、レール基部11の幅方向(図3における左右方向:以下、単に「幅方向」と称する。)に延び、該第一部材固定部31をかごレール10(レール基部11)に裏面11a側から当接させたときの該レール基部11の幅方向の両端とそれぞれ対応する位置に形成され且つ該幅方向に長い複数の長穴311を有する。本実施形態の第一部材固定部31は、かごレール10の裏面11aに沿って広がる板状(換言すると、幅方向及び上下方向に広がる板状)の部位であり、突出片12の突出方向(以下、単に「突出方向」と称する。)に該第一部材固定部31を貫通する三つの長穴311を有する。また、第一部材固定部31は、幅方向に間隔をあけて配置される二つの貫通孔(印)313を有する。
【0033】
第一部材固定部31において、突出方向から見て、第二部材5側の端縁である第一端縁312は、上下方向に対して傾斜した方向に延びている。詳しくは、第一端縁312は、幅方向における接続部32側の端部から反対側の端部に向かうに伴って上方に位置するように傾斜している。本実施形態の第一端縁312は、上下方向に対して45°の方向に延びている。
【0034】
本実施形態の第一部材固定部31は、第一端縁312を含む三角状の部位31aと、三角状の部位31aから上方に延び且つ幅方向に長尺な矩形状の部位31bと、三角状の部位31aから接続部32側に延び且つ上下方向に長尺な矩形状の部位31cと、を有する(図3参照)。
【0035】
複数の長穴311のそれぞれは、板状の第一部材固定部31を厚さ方向(突出方向)に貫通し、レール基部11の幅方向の端縁を含む範囲で該幅方向に延びている。本実施形態の第一部材固定部31では、二つの長穴311がレール基部11の幅方向の一方の端縁と対応する位置において上下方向に間隔をあけて配置され、一つの長穴311がレール基部11の幅方向の他方の端縁と対応する位置に配置されている。そして、レール基部11の一方の端縁と対応する位置における上側の長穴311と、レール基部11の他方の端縁と対応する位置の長穴311とは、上下方向の同じ位置に配置されている。これら上下方向の同じ位置にある二つの長穴311は、接続部32より上側の位置に配置されている。具体的に、前記二つの長穴311は、第一部材固定部31において三角状の部位31aから上方に延びている矩形状の部位(第一部材固定部31の上端部)31bに配置されている。
【0036】
二つの貫通孔313は、第一部材固定部31の上端部に配置されている。具体的に、二つの貫通孔313は、第一部材固定部31の上端部(矩形状の部位)31bにおいて、レール基部11の幅方向の一方の端縁と他方の端縁とに対応する位置に配置されている。これら二つの貫通孔313は、第一部材本体3がレール基部11に取り付けられるときの幅方向の位置決めの目印として利用される。本実施形態の二つの貫通孔313は、矩形状の部位31bにおいて、二つの長穴311より上側に配置されている。尚、貫通孔313は、位置決めの目印として利用できれば他の構成(凹部や凸部等)でもよい。
【0037】
接続部32は、第一部材固定部31から突出方向に延び、幅方向に貫通する少なくとも一つの長穴321を有する。具体的に、接続部32は、第一部材固定部31の矩形状の部位31cから突出方向に延びている。この接続部32は、突出方向及び上下方向に広がる板状の部位である。本実施形態の接続部32は、矩形板状の部位であり、二つの長穴321を有する。
【0038】
二つの長穴321は、上下方向に間隔をあけて配置され、各長穴321は、上下方向に延びている。本実施形態の接続部32では、二つの長穴321は、先端部(突出方向における第一部材固定部31側と反対側の端部)に配置されている。
【0039】
複数の第一挟持部35のそれぞれは、第一部材固定部31との間にかごレール10(詳しくは、レール基部11)を挟み込んだ状態で第一部材固定部31に固定されることで該第一部材固定部31をかごレール10に固定する。この第一挟持部35は、かごレール10を挟み込む力を変更可能に第一部材固定部31に固定(配置)されている。
【0040】
具体的に、複数の第一挟持部35のそれぞれは、第一部材固定部31との間にかごレール10(詳しくは、レール基部11)を挟み込み可能なクリップ36と、クリップ36を貫通した状態で第一部材固定部31の長穴311に挿入されるボルト37と、ボルト37と螺合するナット38と、を有する。このボルト37のナット38に対する締め込み具合(又はナット38のボルト37に対する締め込み具合)が調整されることで、第一挟持部35がかごレール10を挟み込む力が変更(調整)される。
【0041】
クリップ36は、いわゆるリジットクリップであり、ボルト37が挿通される貫通孔361を有する板状の部材である。本実施形態のクリップ36は、貫通孔361の貫通方向(突出方向)から見て矩形状であり、第一部材固定部31との間にレール基部11の幅方向の端部を挟み込むことにより生じる摩擦力(詳しくは、クリップ36とレール基部11との間の摩擦力、及び、レール基部11と第一部材固定部31との間の摩擦力)によってかごレール10に第一部材固定部31(第一部材本体3)を固定する。
【0042】
載置部4は、第一部材2がかごレール10に固定された(取り付けられた)状態で上方を向く載置面410を有する。この載置部4の載置面410には、かごが組み立てられるときに該かごの一部(かごを構成する部材)が載置される。具体的に、載置部4は、載置面410を有する載置板41と、載置板41を第一部材本体3と第二部材5とに接続可能な接続部材42と、を有する。
【0043】
載置板41は、水平方向に広がる板状の部材であり、この載置板41の上面(上側を向いた面)が載置面410を構成する。この載置板41は、上下方向から見て、矩形状であり、かごレール10側の端縁41aに、突出方向に凹む凹部411を有する。この凹部411は、載置板41とかごレール10とが接触しないように載置板41に設けられた部位である。本実施形態の凹部411は、幅方向の寸法がレール基部11より大きく且つ突出方向の寸法が突出片12より大きい矩形状に凹んでいる。
【0044】
載置面410は、幅方向の所定位置に印410aを有する。即ち、載置板41は、載置面410における幅方向の所定位置に少なくとも一つの印410aを有する。本実施形態の印410aは、穴又は凹部であり、載置面410(載置板41)に二つ配置されている。具体的に、二つの印410aは、載置面410における幅方向の中央位置において突出方向に間隔をあけて配置されている。
【0045】
また、載置板41は、載置板41と接続部材42とを連結するのに用いられる複数の連結用穴412と、載置板41(サポート治具1)にかごを構成する部材を固定するのに用いられる複数の固定用長穴413と、を有する。
【0046】
複数の連結用穴412は、載置板41における幅方向の両端部のそれぞれにおいて突出方向に間隔をあけて配置されている。また、複数の固定用長穴413のそれぞれは、突出方向に延びている。具体的に、載置板41において、幅方向に間隔をあけて配置される固定用長穴413の対が、突出方向に複数配置されている。各固定用長穴413の対において、幅方向の間隔は異なっている。
【0047】
接続部材42は、幅方向に延びる接続部材本体421と、接続部材本体421の両端部からそれぞれ垂下する一対の垂下部422、423と、を有する。本実施形態の接続部材本体421と一対の垂下部422,423とは、一体であり、接続部材42は矩形帯板状の部材の両端部が折り曲げられることによって構成されている。
【0048】
接続部材本体421は、水平方向に広がる矩形板状の部位であり、載置板41の各連結用穴412と対応する位置に連結用穴421aと、載置板41の各固定用長穴413と対応する位置に固定用長穴421bと、を有する。即ち、接続部材本体421は、複数の連結用穴421aと複数の固定用長穴421bとを有する。本実施形態の接続部材本体421の連結用穴421aは、ねじ穴であり、接続部材本体421の固定用長穴421bは、突出方向の延びる長穴である。
【0049】
一対の垂下部422、423のそれぞれは、突出方向及び上下方向に広がる矩形板状の部位であり、厚さ方向(幅方向)に貫通する貫通孔422a、423aを有する。第一部材本体3の接続部32側の垂下部422は、接続部32の二つの長穴321のうちの上側の長穴321と対応する位置に貫通孔422aを有する。また、第二部材5と接続される側(接続部32側と反対側)の垂下部423は、反対側の垂下部422の貫通孔422aと同じ高さ位置、即ち、幅方向からみて貫通孔422aと重なる位置に貫通孔423aを有する。これら二つの貫通孔422a、423aは、上下方向に延びる長穴である。
【0050】
以上のように構成される載置板41と接続部材42とは、複数の連結部材43によって連結されている。即ち、載置部4は、載置板41と接続部材42とを連結する複数の連結部材43を有する。本実施形態の複数の連結部材43のそれぞれは、ねじであり、載置板41の連結用穴412を挿通した状態で接続部材本体421の連結用穴421aに螺入されることによって、載置板41と接続部材42とを連結する。
【0051】
第二部材5は、かごレール10に取り外し可能に固定できる第二部材固定部51と、第二部材固定部51から延び且つ第一部材2の載置部4を下側から支持可能な支持部52と、第二部材固定部51をかごレール10に取り外し可能に固定するための複数の第二挟持部53と、を有する。本実施形態の第二部材5において、第二部材固定部51と支持部52とは、一体であり、所定形状の板状の部材が折り曲げられることによって形成されている。本実施形態の第二部材5は、第一部材本体3と同じ形状(構成)である。即ち、第二部材5と第一部材本体3とにおいて、第二部材固定部51と第一部材固定部31とが同じ形状で、且つ、支持部52と接続部32とが同じ形状である。具体的には、以下に説明する。
【0052】
第二部材固定部51は、かごレール10と該かごレール10の裏面11a側から当接可能な部位である。この第二部材固定部51は、支持部52から幅方向に延び、該第二部材固定部51をかごレール10に裏面11a側から当接させたときの該レール基部11の幅方向の両端とそれぞれ対応する位置に形成され且つ該幅方向に長い複数の長穴511を有する。本実施形態の第二部材固定部51は、かごレール10の裏面11aに沿って広がる板状(換言すると、幅方向及び上下方向に広がる板状)の部位であり、突出方向に該第二部材固定部51を貫通する三つの長穴511を有する。
【0053】
第二部材固定部51において、突出方向から見て、第一部材2(詳しくは、第一部材本体3)側の端縁である第二端縁512は、第一部材固定部31の第一端縁312と同方向に延び且つ第一端縁312と当接している。即ち、第二端縁512は、上下方向に対して傾斜した方向に延びている。詳しくは、第二端縁512は、かごレール10の幅方向における支持部52側の端部から反対側の端部に向かうに伴って下方に位置するように傾斜している。本実施形態の第二端縁512は、上下方向に対して45°の方向に延びており、該第二端縁512の延びる方向の全域において第一端縁312と当接している。
【0054】
尚、第二部材固定部51の第二端縁512は、該第二端縁512の延びる方向の全域において第一部材固定部31の第一端縁312と当接する必要はなく、製造誤差やかごレール10への取付状態等によって、該第二端縁512の前記延びる方向における一部のみが第一端縁312と当接していてもよい。また、第二部材固定部51の第二端縁512と第一部材固定部31の第一端縁312との間に、前記延びる方向の全域において隙間が生じていてもよい。
【0055】
本実施形態の第二部材固定部51は、第二端縁512を含む三角状の部位51aと、三角状の部位51aから下方に延び且つ幅方向に長尺な矩形状の部位51bと、三角状の部位51aから支持部52側に延び且つ上下方向に長尺な矩形状の部位51cと、を有する(図7参照)。
【0056】
複数の長穴511のそれぞれは、板状の第二部材固定部51を厚さ方向(突出方向)に貫通し、レール基部11の幅方向の端縁を含む範囲で該幅方向に延びている。本実施形態の第二部材固定部51では、二つの長穴511がレール基部11の幅方向の他方の端縁と対応する位置において上下方向に間隔をあけて配置され、一つの長穴511がレール基部11の幅方向の一方の端縁と対応する位置に配置されている。そして、レール基部11の他方の端縁と対応する位置における下側の長穴511と、レール基部11の一方の端縁と対応する位置の長穴511とは、上下方向の同じ位置に配置されている。これら上下方向の同じ位置にある二つの長穴511は、支持部52より下側の位置に配置されている。具体的に、前記二つの長穴511は、第二部材固定部51において三角状の部位51aから下方に延びている矩形状の部位(第二部材固定部51の下端部)51bに配置されている。
【0057】
支持部52は、第二部材固定部51から突出片12の突出方向に延び、幅方向に貫通する少なくとも一つの長穴521を有する。具体的に、支持部52は、第二部材固定部51の矩形状の部位51cから突出方向に延びている。この支持部52は、突出方向及び上下方向に広がる板状の部位である。本実施形態の支持部52は、矩形板状の部位であり、二つの長穴521を有する。
【0058】
二つの長穴521は、上下方向に間隔をあけて配置され、各長穴521は、上下方向に延びている。本実施形態の支持部52では、二つの長穴521は、先端部(突出方向における第二部材固定部51側と反対側の端部)に配置されている。
【0059】
複数の第二挟持部53のそれぞれは、第二部材固定部51との間にかごレール10(詳しくは、レール基部11)を挟み込んだ状態で該第二部材固定部51に固定されることで第二部材固定部51をかごレール10に固定する。この第二挟持部53は、かごレール10を挟み込む力を変更可能に第二部材固定部51に固定(配置)されている。本実施形態の複数の第二挟持部53のそれぞれは、第一挟持部35と同じ構成である。
【0060】
即ち、複数の第二挟持部53のそれぞれは、第二部材固定部51との間にかごレール10(詳しくは、レール基部11)を挟み込み可能なクリップ56と、クリップ56を貫通した状態で第二部材固定部51の長穴511に挿入されるボルト57と、ボルト57と螺合するナット58と、を有する。このボルト57のナット58に対する締め込み具合(又はナット58のボルト57に対する締め込み具合)が調整されることで、第二挟持部53がかごレール10を挟み込む力が変更(調整)される。
【0061】
クリップ56は、いわゆるリジットクリップであり、ボルト57が挿通される貫通孔561を有する板状の部材である。本実施形態のクリップ56は、貫通孔561の貫通方向(突出方向)から見て矩形状であり、第二部材固定部51との間にレール基部11の幅方向の端部を挟み込むことにより生じる摩擦力(詳しくは、クリップ56とレール基部11との間の摩擦力、及び、レール基部11と第二部材固定部51との間の摩擦力)によってかごレール10に第二部材固定部51(第二部材5)を固定する。
【0062】
以上のように構成されるサポート治具1は、以下のようにかごレール10に取り付けられる。
【0063】
先ず、図3及び図4に示すように、第一部材本体3の第一部材固定部31が、幅方向の一方側からかごレール10のレール基部11と壁(昇降路を規定する壁面)との隙間に差し込まれる。このとき、第一部材固定部31の上端部(矩形状の部位)31bの二つの長穴311が、レール基部11の幅方向の各端部と対応する位置となるように、第一部材固定部31(第一部材本体3)のかごレール10に対する位置が調整される。この位置調整において、第一部材本体3の上端部(矩形状の部位)31bに設けられた二つの貫通孔313を目印にして、レール基部11に対する第一部材本体3の幅方向の位置が調整される。
【0064】
この位置の調整後、第一部材固定部31における上端部(矩形状の部位)31bの二つの長穴311に、第一挟持部35がそれぞれ取り付けられる。具体的には、第一部材固定部31との間にレール基部11の幅方向の端部が挟み込まれた状態で第一部材固定部31の長穴311と貫通孔361とが重なる位置に配置されたクリップ36の該貫通孔361と該長穴311とにボルト37が挿通され、この挿通されたボルト37にナット38が取り付けられる。このとき、第一部材固定部31に取り付けられた各第一挟持部35において、第一部材本体3がレール基部11から落下しない程度に、ボルト37又はナット38が締め込まれ、これにより、第一部材本体3がかごレール10に仮止めされる。
【0065】
次に、図5及び図6に示すように、第一部材本体3に載置部4(即ち、連結された状態の載置板41と接続部材42)が取り付けられる。具体的には、載置面410を上方に向けた状態で、第一部材本体3における接続部32の上側の長穴321と載置部4における垂下部422の貫通孔422aとが重なるように該垂下部422が接続部32に内側(かごレール10の突出片12側)から当接した状態で、ボルトBが長穴321及び貫通孔422aとに挿通され、この挿通したボルトBにナットNが取り付けられる。これにより、第一部材本体3の接続部32に載置部4が接続される。
【0066】
このとき、載置板41の突出方向側の端縁(凹部411が設けられた端縁41aと反対側の端縁)41bが、突出方向における接続部32の先端と一致するように、載置部4が第一部材本体3に接続される。
【0067】
次に、第一挟持部35のボルト37が緩められた状態で、載置面410が水平な状態でかごレール10に対して所望の高さ位置(例えば、組み立てるかごのシル(かご出入口の下端を規定する部材)の上端と、最下階のフロアレベルとが合う位置)となり、且つ、載置面410の二つの印410aを結ぶ仮想線上にかごレール10の突出片12が位置するように、第一部材2のかごレール10に対する位置と姿勢とが調整され、この調整後に、各第一挟持部35のボルト37が締め付けられる。
【0068】
続いて、第一部材固定部31の残りの長穴(三角状の部位31aの長穴)311に第一挟持部35が取り付けられ、これにより、第一部材2がかごレール10に固定される。尚、サポート治具1の載置部4上で組み立てられるかごの自重が小さいときには、第一部材固定部31の三角状の部位31aの長穴311に対し、第一挟持部35が取り付けられなくてもよい。
【0069】
次に、図7及び図8に示すように、第二部材5の第二部材固定部51が、幅方向の他方側からかごレール10のレール基部11と壁(昇降路を規定する壁面)との隙間に差し込まれる。このとき、第二部材固定部51の第二端縁512が第一部材固定部31の第一端縁312と当接し、且つ、第二部材5における支持部52の上側の長穴521と載置部4における垂下部423の貫通孔423aとが重なった状態で支持部52が垂下部423に内側(かごレール10の突出片12側)から当接するように、第二部材固定部51が前記隙間に差し込まれる。この状態で、ボルトBが長穴521及び貫通孔423aに挿通され、この挿通されたボルトBにナットNが取り付けられると共に、各第二挟持部53が、第二部材固定部51の下端部(矩形状の部位)51bの各長穴511に取り付けられる。
【0070】
続いて、第二部材固定部51の残りの長穴(三角状の部位51aの長穴)511に第二挟持部53が取り付けられ、これにより、第二部材5がかごレール10に固定される。尚、サポート治具1の載置部4上で組み立てられるかごの自重が小さいときには、第二部材固定部51の三角状の部位51aの長穴511に対し、第二挟持部53が取り付けられなくてもよい。
【0071】
以上のようにして、一対のかごレール10のそれぞれにサポート治具1が取り付けられる(固定される)と、これら二つのサポート治具1の載置部4上でかごの組み立てが行われる。このとき、各サポート治具1の載置板41の固定用長穴413が用いられる。具体的に、かごを構成する部品が、例えば、ボルトB1及びナットN1によって載置板41(載置部4)に固定された状態で、かごの組み立てが行われる。
【0072】
かごの組み立てが完成すると、ローピングが行われた後、各かごレール10からサポート治具1が取り外される。続いて、かごにおけるサポート治具1の載置板41に固定されていた部位にガイドローラが取り付けられ、かごの組み立て作業及び設置作業が完了する。
【0073】
以上のサポート治具1のように、載置部4上で組み立てられるかごの自重を支持する部材(即ち、載置部4に加わる下向きの力を受けた状態でかごレール10に固定される部材)を二つにして、一つの部材によって前記自重を支持する構成に比べて各部材(第一部材2、第二部材5)の小型化及び軽量化を図った上で、一方の部材(本実施形態の例では、第一部材2)のかごレール10への固定時に該部材(第一部材)2のみで載置部4の姿勢及び上下方向の位置の調整を行えるようにすることで、サポート治具1のかごレール10への設置が容易になる。
【0074】
また、本実施形態のサポート治具1では、第一部材本体3が、かごレール10と裏面11a側から当接可能な第一部材固定部31と、第一部材固定部31との間にかごレール10を挟み込んだ状態で該第一部材固定部31に固定されることで該第一部材固定部31を該かごレール10に固定可能な複数の第一挟持部35と、を有する。そして、複数の第一挟持部35のそれぞれが、かごレール10を挟み込む力を変更可能に第一部材固定部31に固定されている。このように、各第一挟持部35においてかごレール10を挟み込む力を変更可能とすることで、第一部材2をかごレール10へ仮止めした状態(かごレール10から落下しない状態)で、第一部材2のかごレール10に対する姿勢及び上下方向の位置の微調整、即ち、第一部材本体3から延びる載置部4の姿勢及び上下方向の位置の微調整が行い易くなる。
【0075】
また、本実施形態のサポート治具1において、第一部材固定部31が、該第一部材固定部31をかごレール10に当接させたときの該かごレール10の幅方向の両端とそれぞれ対応する位置に形成され且つ該幅方向に長い複数の長穴311を有する。そして、複数の第一挟持部35のそれぞれが、第一部材固定部31との間にかごレール10を挟み込み可能なクリップ36と、クリップ36を貫通した状態で長穴311に挿入されるボルト37と、ボルト37と螺合するナット38と、を有している。このように、クリップ36を貫通した状態のボルト37を第一部材固定部31の長穴311に挿通させた状態でナット38を螺合させるといった簡素な構成によって、第一部材本体3をかごレール10に対して仮止めした状態で該第一部材本体3のかごレール10に対する姿勢及び上下方向の位置の微調整を容易に行うことができる。
【0076】
また、本実施形態のサポート治具1では、第一部材固定部31において、かごレール10の裏面11a側から当接するように該かごレール10に固定されたときの第一端縁312は、上下方向に対して傾斜した方向に延び、第二部材固定部51において、かごレール10の裏面11a側から当接するように該かごレール10に固定されたときの第二端縁512は、第一端縁312と同方向に延び且つ第一端縁312と当接している(図7参照)。このように、互いに当接する第一端縁312と第二端縁512とが上下方向に対して傾斜しているため、載置部4を通じて第一部材固定部31に加わる下向きの力(組立られるかごの自重)が、第一端縁312及び第二端縁512の延びる方向(前記傾斜した方向)と該方向に対して直交する方向とに分散される(図9の矢印F、α、β参照)。これにより、第一部材2がかごレール10に固定されている位置からずり落ち難くなる。
【0077】
また、本実施形態のサポート治具1では、第一部材2において、第一部材本体3と載置部4とが分離可能に接続され、第一部材本体3は、第一部材固定部31と載置部4とを接続する接続部32、を有する。そして、第一部材本体3と第二部材5とが同じ形状である。即ち、第一部材固定部31と第二部材固定部51とが同じ形状で、且つ、接続部32と支持部52とが同じ形状である。このように、第一部材本体3と第二部材5とを同じ形状にすることで、サポート治具1を構成する部品の種類を抑えることができる。
【0078】
また、本実施形態のサポート治具1では、第一部材固定部31と第二部材固定部51とのそれぞれが、かごレール10と裏面11a側から当接した状態において該裏面11aに沿って広がる板状である。このため、かごレール10と、該かごレール10の裏面11a側の壁(昇降路を規定する壁等)又は部材との間隔が小さくても、かごレール10に裏面11a側から当接するように第一部材固定部31及び第二部材固定部51を配置することができる。
【0079】
また、本実施形態のサポート治具1では、載置部4が上方を向いた載置面410を有し、この載置面410が、レール基部11の幅方向の所定位置に印410aを有している。これにより、かごレール10の延びる方向から見て、前記幅方向における載置面410の印410aとかごレール10の突出片12との位置を合わせることで、載置部4の幅方向の位置合わせができる。即ち、載置面410のかごレール10に対する幅方向の位置合わせが容易になる。
【0080】
尚、本発明のかご組立サポート治具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0081】
上記実施形態のサポート治具1では、第一部材本体3と第二部材5とが同じ形状であるが、この構成に限定されない。第一部材本体3と第二部材5とは、異なる形状であってもよい。また、上記実施形態のサポート治具1では、第一部材2と第二部材5とがかごレール10に固定され且つ第二部材5が第一部材2の載置部4を下側から支持した状態で、第一部材固定部31と第二部材固定部51とが当接しているが、この構成に限定されない。第一部材2と第二部材5とは、かごレール10に固定され且つ且つ第二部材5が第一部材2の載置部4を下側から支持した状態で、第一部材固定部31と第二部材固定部51とが離間している構成でもよい。即ち、第一部材2と第二部材5とは、それぞれがかごレール10に固定された状態で、第二部材5が第一部材2の載置部4を下側から支持する構成であればよい。
【0082】
また、上記実施形態のサポート治具1では、第一部材固定部31の第一端縁312と第二部材固定部51の第二端縁512とは、上下方向に対して同方向に傾斜し且つそれぞれが真っ直ぐに延びているが、この構成に限定されない。第一端縁312と第二端縁512とは、同じ方向に延びていなくてもよく、上下方向に対して傾斜していなくてもよい。また、第一端縁312と第二端縁512とは、真っ直ぐに延びていなくてもよい、即ち、第一端縁312又は第二端縁512の全部又は一部が曲がっていてもよい。
【0083】
また、上記実施形態のサポート治具1では、第一挟持部35と第二挟持部53とが同じ構成であるが、この構成に限定されない。第一挟持部35と第二挟持部53とは、異なる構成であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態のサポート治具1では、第一挟持部35と第二挟持部53とは、かごレール10の一部(端部)をクリップ36、56と第一部材固定部31又は第二部材固定部51との間に挟み込む構成であるが、この構成に限定されない。第一挟持部35と第二挟持部53とは、クリップ36、56自体でかごレール10の一部を挟持力を調整可能に挟み込み、該クリップ36、56を第一部材固定部31又は第二部材固定部51に固定する構成等であってもよい。
【0085】
また、上記実施形態のサポート治具1では、載置面410(載置板41)が凹部411を有する矩形状であるが、この構成に限定されない。載置面410の具体的な形状は、限定されない。かごを組み立てるときに、該かごを構成する部材を載置可能な形状であればよい。
【0086】
また、上記実施形態のサポート治具1では、第一部材本体3と載置部4とが分離可能に接続されているが、この構成に限定されない。第一部材本体3と載置部4とは、一体であってもよい。この場合、載置面410(載置板41)は、第一部材固定部31がかごレール10の裏面11a側に差し込まれる際にかごレール10の突出片12と当接しない形状を有する。
【0087】
また、上記実施形態のサポート治具1では、第一部材本体3をかごレール10に固定する部材(上記実施形態の例では、第一挟持部35)は、三つであるが、二つでもよい。また、第二部材5をかごレール10に固定する部材(上記実施形態の例では、第二挟持部53)は、四つ以上でもよい。第一部材2をかごレール10に固定する部材(上記実施形態の例では、第一挟持部35)の数が抑えられることで、載置部4のかごレール10に対する位置及び姿勢の調整が容易になる。
【符号の説明】
【0088】
1…かご組立サポート治具、2…第一部材、3…第一部材本体、4…載置部、5…第二部材、10…かごレール、11…レール基部、11a…裏面、12…突出片、31…第一部材固定部、31a…三角状の部位、31b…幅方向に長尺な矩形状の部位、31c…上下方向に長尺な矩形状の部位、311…長穴、312…第一端縁、313…貫通孔、32…接続部、321…長穴、35…第一挟持部(挟持部)、36…クリップ、361…貫通孔、37…ボルト、38…ナット、41…載置板、41a、41b…端縁、410…載置面、410a…印、411…凹部、412…連結用穴、413…固定用長穴、42…接続部材、421…接続部材本体、421a…連結用穴、422、423…垂下部、422a、423a…貫通孔、43…連結部材、51…第二部材固定部、51a…三角状の部位、51b…幅方向に長尺な矩形状の部位、51c…上下方向に長尺な矩形状の部位、511…長穴、512…第二端縁、52…支持部、521…長穴、53…第二挟持部、56…クリップ、561…貫通孔、57…ボルト、58…ナット、100…かご枠受台、101…クリップ、102、106…ボルト、103…かごレール、104…取付部材、105、108…かご枠受座部、107…部材、109…かご枠、B、B1…ボルト、N、N1…ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内で上下方向に延びてかごを案内するかごレールに取り外し可能に固定できる第一部材本体、及び前記第一部材本体から延び且つ前記かごを構成する部材を載置可能な載置部を有する第一部材と、
前記かごレールに取り外し可能に固定できる第二部材固定部、及び前記第二部材固定部から延び且つ前記第一部材の前記載置部を下側から支持可能な支持部を有する第二部材と、を備え
前記第一部材本体は、
前記かごレールと該かごレールの裏面側から当接可能な第一部材固定部と、
前記第一部材固定部との間に前記かごレールを挟み込んだ状態で該第一部材固定部に固定されることで該第一部材固定部を該かごレールに固定可能な複数の挟持部と、を有し、
前記複数の挟持部のそれぞれは、前記かごレールを挟み込む力を変更可能に前記第一部材固定部に固定されており、
前記第一部材固定部において、前記かごレールの裏面側から当接するように該かごレールに固定されたときの前記第二部材側の端縁である第一端縁は、前記上下方向に対して傾斜した方向に延び、
前記第二部材固定部において、前記かごレールの裏面側から当接するように該かごレールに固定されたときの前記第一部材側の端縁である第二端縁は、前記第一端縁と同方向に延び且つ前記第一端縁と当接する、かご組立サポート治具。
【請求項2】
昇降路内で上下方向に延びてかごを案内するかごレールに取り外し可能に固定できる第一部材本体、及び前記第一部材本体から延び且つ前記かごを構成する部材を載置可能な載置部を有する第一部材と、
前記かごレールに取り外し可能に固定できる第二部材固定部、及び前記第二部材固定部から延び且つ前記第一部材の前記載置部を下側から支持可能な支持部を有する第二部材と、を備え
前記第一部材において、前記第一部材本体と前記載置部とは、分離可能に接続されており、
前記第一部材本体は、
前記かごレールと該かごレールの裏面側から当接可能な第一部材固定部と、
前記第一部材固定部との間に前記かごレールを挟み込んだ状態で該第一部材固定部に固定されることで該第一部材固定部を該かごレールに固定可能な複数の挟持部と、
前記第一部材固定部と前記載置部とを接続する接続部と、を有し、
前記複数の挟持部のそれぞれは、前記かごレールを挟み込む力を変更可能に前記第一部材固定部に固定されており、
前記第一部材本体と前記第二部材とは、同じ形状である、かご組立サポート治具。
【請求項3】
前記第一部材固定部は、該第一部材固定部を前記かごレールに当接させたときの該かごレールの幅方向の両端とそれぞれ対応する位置に形成され且つ該幅方向に長い複数の長穴を有し、
前記複数の挟持部のそれぞれは、
前記第一部材固定部との間に前記かごレールを挟み込み可能なクリップと、
前記クリップを貫通した状態で前記長穴に挿入されるボルトと、
前記ボルトと螺合するナットと、を有する、請求項1又は2に記載のかご組立サポート治具。
【請求項4】
前記第一部材固定部において、前記かごレールの裏面側から当接するように該かごレールに固定されたときの前記第二部材側の端縁である第一端縁は、前記上下方向に対して傾斜した方向に延び、
前記第二部材固定部において、前記かごレールの裏面側から当接するように該かごレールに固定されたときの前記第一部材側の端縁である第二端縁は、前記第一端縁と同方向に延び且つ前記第一端縁と当接する、請求項2に記載のかご組立サポート治具。
【請求項5】
前記第一部材において、前記第一部材本体と前記載置部とは、分離可能に接続されており、
前記第一部材本体は、前記第一部材固定部と前記載置部とを接続する接続部を有し、
前記第一部材本体と前記第二部材とにおいて、前記第一部材固定部と前記第二部材固定部とが同じ形状で、且つ、前記接続部と前記支持部とが同じ形状である、請求項に記載のかご組立サポート治具。
【請求項6】
前記第一部材固定部と前記第二部材固定部とのそれぞれは、前記かごレールと前記裏面側から当接した状態において該裏面に沿って広がる板状である、請求項~5のいずれか1項に記載のかご組立サポート治具。
【請求項7】
記載置部は、前記第一部材が前記かごレールに固定された状態のときに上方を向く載置面を有し、
前記載置面は、該載置面における幅方向の所定位置に印を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のかご組立サポート治具。