(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120349
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】応力伝達装置
(51)【国際特許分類】
F16H 35/00 20060101AFI20220810BHJP
F16H 21/18 20060101ALI20220810BHJP
F16H 21/20 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
F16H35/00 Z
F16H21/18
F16H21/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017188
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(71)【出願人】
【識別番号】304035595
【氏名又は名称】株式会社E・T・I
(72)【発明者】
【氏名】杉山 典男
(72)【発明者】
【氏名】梶村 一成
(72)【発明者】
【氏名】坂田 全弘
(72)【発明者】
【氏名】大城 巧
(72)【発明者】
【氏名】香高 孝之
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AB29
3J062BA31
3J062CB06
3J062CB14
3J062CB42
3J062CB45
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、1つの応力を対象物を収納する容器に加えることで、簡単な構成の応力仲介手段により、容器内の対象物に応力の効果を生じさせる応力伝達装置を提供することである。
【解決手段】
本発明の応力伝達装置は、容器と容器に応力を加える駆動手段と容器の駆動手段のある側とは反対側にある応力仲介手段とを備え、応力仲介手段の棒体が阻止体に当たって、容器内を移動し対象物に効果を及ぼす手段を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を内に収容するための容器と、前記容器の一方から前記容器に応力を加える駆動手段と、前記容器に加わった前記応力を前記容器内の前記対象物に仲介して加える応力仲介手段と、を備え、前記応力仲介手段は、前記容器の前記駆動手段のある側とは反対側の容器下壁に取付いた孔を通じて貫通する棒体、又は、前記棒体による駆動物によって、前記容器の内部の前記対象物に前記応力を及ぼすものであり、前記棒体は、前記棒体の前記容器から離れる側にある下部体と、前記容器下壁と、の間に第一復元体を有し、前記応力により、前記容器が移動することで、前記下部体が、前記下部体の移動をブロックする阻止体に当たることで、当たった以降の応力に対しては、前記棒体が前記容器内に進入することで、前記棒体が前記容器内の前記対象物に前記応力を仲介伝達するものであることを特徴とする応力伝達装置。
【請求項2】
前記容器内の前記棒体の上に前記対象物を載せる載せ台を形成し、前記応力による前記棒体の移動により、前記載せ台が前記容器内で相対的に上り、前記容器の前記容器下壁とは反対側にある容器上壁又は介在面と前記載せ台とで前記対象物を押し、前記応力がなくなった時に前記第一復元体により戻る作用を施すことを特徴とする請求項1記載の応力伝達装置。
【請求項3】
前記容器下壁は、前記容器下壁との間で回転自在の結合した回転体を備え、前記回転体の回転軸と前記棒体はネジ結合をしていることで、前記棒体の直進運動を回転体の回転運動に変えることを特徴とする請求項1記載の応力伝達装置。
【請求項4】
前記駆動手段には、回転手段と前記回転手段の回転を直進運動に変えるクランク機構とを備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の応力伝達装置。
【請求項5】
前記容器の側面に移動ガイドと、前記容器外に前記容器の移動に対して不動のガイド補助片とを設け、前記移動ガイドと前記ガイド補助片との間で移動自在に係累して前記応力による前記容器の移動を円滑にしたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の応力伝達装置。
【請求項6】
前記ガイド補助片には、前記移動ガイドを押し又は引く第二復元体が設けてあることを特徴とする請求項5記載の応力伝達装置。
【請求項7】
前記容器外に、前記阻止体を、前記容器の移動に対して不動である構成物として有する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の応力伝達装置。
【請求項8】
前記応力が加わってない状態の前記下部体と前記阻止体の距離を零、すなわち、接触した状態にしたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の応力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に存在する対象物に応力を伝達する応力伝達装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物に応力を伝達する装置は、例えば、混合装置、粉砕装置、切削装置など多くのものが例を挙げれば無数にある。対象物に応力を伝達する場合、作業効率が良さから対象物に直接応力を加えることが一般には行われる。
例えば、その例として、特許文献1の攪拌具は、容器内の対象物を直接攪拌(応力を加える)、する攪拌具である。通常の要求は、攪拌するという1つなので、これがもっとも妥当なものである。ところが、これとは違う要求がある場合がある。すなわち、これに、もう一つの要求が加わった場合を想定してみる。「対象物とともに、容器も同一の応力で動かすなどの対応をしたい」ということが遡上する。上記の例では、対応はできないので、一般には、駆動モータを追加するか、回転動作を分岐する機械要素と併進運動に変換する機械要素を別に付けて、容器を揺らす操作をすることになる。
しかしながら、同一の応力により比較的簡単な機械要素により容器とその中の対象物に作用を与える(応力を伝達する)、簡単で効率の良い対処手段がないだろうか。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、従来の課題に対処すべく、同一の応力により比較的簡単な機械要素により、容器とその中の対象物に作用を与える(応力を伝達する)、簡単で効率の良い、応力伝達装置を提供することである。なお、このような要求のある例も本願の応用例の中で後述する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、応力伝達装置であって、
対象物を内に収容するための容器と、前記容器の一方から前記容器に応力を加える駆動手段と、前記容器に加わった前記応力を前記容器内の前記対象物に仲介して加える応力仲介手段と、を備え、前記応力仲介手段は、前記容器の前記駆動手段のある側とは反対側の容器下壁に取付いた孔を通じて貫通する棒体、又は、前記棒体による駆動物によって、前記容器の内部の前記対象物に前記応力を及ぼすものであり、前記棒体は、前記棒体の前記容器から離れる側にある下部体と、前記容器下壁と、の間に第一復元体を有し、前記応力により、前記容器が移動することで、前記下部体が、前記下部体の移動をブロックする阻止体に当たることで、当たった以降の応力に対しては、前記棒体が前記容器内に進入することで、前記棒体が前記容器内の前記対象物に前記応力を仲介伝達するものであることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の応力伝達装置において、
前記容器内の前記棒体の上に前記対象物を載せる載せ台を形成し、前記応力による前記棒体の移動により、前記載せ台が前記容器内で相対的に上り、前記容器の前記容器下壁とは反対側にある容器上壁又は介在面と前記載せ台とで前記対象物を押し、前記応力がなくなった時に前記第一復元体により戻る作用を施すことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の応力伝達装置において、
前記容器下壁は、前記前記容器下壁との間で回転自在の結合した回転体を備え、前記回転体の回転軸と前記棒体はネジ結合をしていることで、前記棒体の直進運動を回転体の回転運動に変えることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の応力伝達装置において、前記駆動手段には、回転手段と前記回転手段の回転を直進運動に変えるクランク機構とを備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の応力伝達装置において、前記容器の側面に移動ガイドと、前記容器外に前記容器の移動に対して不動のガイド補助片とを設け、前記移動ガイドと前記ガイド補助片との間で移動自在に係累して前記応力による前記容器の移動を円滑にしたことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の応力伝達装置において、
前記ガイド補助片には、前記移動ガイドを押し又は引く第二復元体が設けてあることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の応力伝達装置において、前記容器外に、前記阻止体を、前記容器の移動に対して不動である構成物として有することを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の応力伝達装置において、前記応力が加わってない状態の前記下部体と前記阻止体の距離を零、すなわち、接触した状態にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上の様に構成されているので、本発明による応力伝達装置では、1つの応力を対象物を収納する容器に加えることで、簡単な構成の応力仲介手段により、容器内の対象物に応力の効果を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明にかかる応力伝達装置の一実施態様を示す図である。
【
図2】本発明にかかる応力伝達装置の作用を示す図である。
【
図3】本発明にかかる応力伝達装置の駆動部の一実施態様を示す図である。
【
図4】本発明にかかる応力伝達装置の対象物への作用の一実施態様を示す図である。
【
図5】本発明にかかる応力伝達装置の変形例の一実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明にかかる応力伝達装置の一実施態様を示す図である。
対象物を内に収容するための容器110と、容器110の一方から容器110に応力を加える駆動手段120と、前記容器110に加わった応力を前記容器内の前記対象物に仲介して加える応力仲介手段130と、を備え、応力仲介手段130は、
容器の駆動手段120のある側とは反対側の容器下壁111(図面で下側の壁という意味)に取付いた孔112を通じて貫通する棒体131(又は、これによる駆動物)によって容器110の内部の対象物に応力を及ぼすものであり、棒体131は、棒体131の容器110から離れる側(図面で下方向)にある下部体132と、容器下壁111との間にバネ等の復元体S2:133(圧縮バネが好ましい)を有し、応力により、容器が移動することで、下部体132が、下部体132の移動をブロックする阻止体140に当たることで、それ以上の応力に対しては、棒体131が容器内に進入することで、棒体131が容器110内の対象物に応力を仲介伝達するものである。尚、壁の用語は、面という表現も可能であり、平面、曲面も可能であり、固さや厚みは、容器によって変わるものである。
尚、阻止体140は、固定のものであればよいので、必ずしも応力伝達装置100の構成として含まなくともよい。
【0016】
以上が、応力伝達装置100の主たる構成であるが、
図1では、更に、応力による容器110の移動を容易(円滑)にするために、容器110の側面に移動ガイド113を設け、ガイド補助片150との間で移動自在に係累している。尚、ガイド補助片150は、容器外にあり、容器の移動に対して不動である。ガイド補助片150には、移動ガイド113を押すバネ等の復元体S1:151が設けてあり、この事情を含め、作用全体を
図2で説明する。尚、移動ガイド113に着ける復元体S1:151は、ガイド補助片150の上の方との間に付けると、復元体は引きバネになる。
【0017】
図2は、本発明にかかる応力伝達装置の作用を示す図である。
図1では、応力仲介手段130の下部体132は、応力無しの状態の初期条件では、阻止体140との間にLの距離があった。これに応力を加え押すと、
図2の2-A、更に押すと2-Bの状態に変わる。先ず、2-Aでは、応力による容器110の移動量がLより
小さく、従って、下部体132は、阻止体140に接触してないので、棒体131の容器110内への特別の移動はない状態を示す。2-Bでは、応力による容器110の移動量がLより大きく、従って、下部体132は、阻止体140に接触し、棒体131の容器110内へ進入した状態である。この状態では、容器110の対象物に、応力を仲介し、その効果を伝達することができる。応力による容器の移動量D、容器内の棒体131の移動量Mと、初期間隔Lとの関係は、D=L+Mとなり、2-Cに示すグラフとなる。従って、DがL以下では、M=0で、容器内の対象物への応力の伝達はない。DがL以上でM≧0で、棒体131の移動により、容器内の対象物への応力の伝達ができる。
そして、2-Fに示すように、初期間隔L=0にもともと設計したものは、2-Eに沿った作用になり、常にD=Mであって、応力による容器110の移動とおなじ移動量だけ、棒体131が容器内に進入し、対象物に応力の効果を伝達する(例えば、押す、混ぜるなど)ことができる。2-Dには設定条件を示す。
なお、本装置に復元体S1:151、S2:133を有するのは、駆動手段120への応力がなくなれば、容器110や棒体131の状態は、初期状態に復帰し、応力を加えることと、なくすことを繰り返すことで繰り返し動作が可能だからである。
【0018】
図3は、本発明にかかる応力伝達装置の駆動部の一実施態様を示す図である。
駆動手段120を併進(直進)運動させる場合、手動でもよいが、モータ等の回転手段310を直進運動に変えるクランク機構320を駆動手段120に連結した例である。ここでは、駆動手段120は、ガイド補助片150の延長上にあるガイド管330に沿って移動するような図になっている。
【0019】
図4は、本発明にかかる応力伝達装置の対象物への作用の一実施態様を示す図である。
4-Aでは、容器110内の棒体131の上が対象物400を載せる載せ台134を形成し、棒体131の移動により、載せ台134が容器110内で相対的に上がって、容器110の容器上壁114(駆動手段120がある側でこれに押される壁)と載せ台134とで対象物400を押しつけたり(繰り返しでは、揉む)やつぶす作用をさせるものである。
なお、容器上壁114の側に介在物を付加すれば、この介在物との間で押しつけることも可能である。
4-Bでは、棒体131の容器110内の移動により、容器110内の回転体を動かすことで、対象物の攪拌や混合、破砕等の作用をさせるものである。棒体131の容器110内の直進運動を回転体の回転運動に変える手段を拡大した図を4-Cに示す。
4-Cにおいて、棒体131の容器110内の側面には第一のネジ切部135があり、棒体131を内包(囲む)ように回転体410の回転軸411があり、回転軸411の内面には、第二のネジ切部412があり、回転軸411の延長部413は、容器110の容器下壁111との間で回転自在に結合している。第一のネジ切部135は、第二のネジ切部412に係合しているので、棒体131が直進運動をすると、両ネジの結合により回転体410が回転することになる。従って、回転体410に取付けた羽根や刃により、対象物400の混合、破砕等の作用ができることになる。なお、ネジ切の結合は、ラックとピニオンも利用できる。
【0020】
図5は、本発明にかかる応力伝達装置の変形例の一実施態様を示す図である。
先ず5-Aを初期のものとして、変更例を挙げると、5-Bでは、容器110の一分が無いものとなっている。更に5-Cでは、ガイド補助片150をなくし、装置自体が自立型になっている。これは、手動など手に持つ場合は、ガイド補助片150をなくしても可能だからである。更に、この事情は、5-Dではっきりする。駆動手段120は、常に容器上壁114を押し、或いは戻る場合に一緒になって移動し離れる必要はないので、容器110と駆動手段120を一体とすることができ、さらに、下部体132を当てる阻止体140は、当てる対象があればよいので、構成から取ってしまうことができる。
尚、5-Aには、
図2の2-Fの状態に、
図4の4-Bの状態を付加した応力伝達装置の例で示しているが、他のものでも同じである。
【0021】
次に本願の応力伝達装置が応用される条件を述べる。背景技術でも述べたことを再度記述すると、一つの応力で対象物自体に応力の効果を利かせる場合は、従来行われた直接の応力伝達が好ましい。しかしながら、対象物と収容する容器をともに応力の効果を利かせる場合は、駆動モータを追加するか、回転動作を分岐する機械要素と併進運動に変換する機械要素を別に付ける必要があった。この面倒なことをしたくない場合が本願の応力伝達装置の応用される条件になる。すなわち、1つの応力で容器に応力を加え移動させ、移動の結果、応力仲介手段130が動いて、容器内の対象物に応力を伝達することで、対象物への効果が、容器の移動と対象物に応力伝達というの二つの作用が連携又は相乗することが効果的な場合に相当し、例えば、洗濯の例を取ると、一般には、洗濯槽内の洗濯液の回転は、逆の見方からは、液流を洗濯物に与えるものであり、通常は、これでよい。しかし、細やかな洗濯をするには、手で揉むことが効果的であるように、洗濯物自体を押引することがあり、細やかなことを望む場合は、水流の効果と揉む効果が両方加わる方がよい(相乗効果)。このような事態は、繊細な或いは均等で斑が少ない染色や塗し、攪拌、混合或いは、粉砕、殺菌、紙漉きなどの作業で想定され、本願の応力伝達装置が応用されると好都合である条件を備えている。
【0022】
尚、図面は、平面図のみを記述したが、例えば、容器他の要素が箱や円筒などのように奥行があるものである。請求項の記述では、復元体S2を第一復元体、復元体S1を第二復元体と表示し区別する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように本発明にかかる応力伝達装置は、1つの応力を対象物を収納する容器に加えることで、簡単な構成の応力仲介手段により、容器内の対象物に応力の効果を生じさせるので、産業上利用して極めて好都合である。
【0024】
100 応力伝達装置
110 容器
111 容器下壁
112 孔
113 移動ガイド
114 容器上壁
120 駆動手段
130 応力仲介手段
131 棒体
132 下部体
133 復元体S2(第一復元体)
134 載せ台
135 第一のネジ切部
140 阻止体
150 ガイド補助片
151 復元体S1(第二復元体)
310 回転手段
320 クランク機構
330 ガイド管
400 対象物
410 回転体
411 回転軸
412 第二のネジ切部
413 延長部