(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120362
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】光学系及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20220810BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20220810BHJP
【FI】
G02B13/04 D
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017206
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 嘉人
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087LA03
2H087PA05
2H087PA06
2H087PA17
2H087PA18
2H087PB05
2H087PB06
2H087PB07
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低温から高温まで幅広い温度範囲において良好な光学性能を確保することが可能な光学系及び撮像装置を提供する。
【解決手段】光学系は、物体側から順に前群と絞りと後群とから構成され、前記前群中に負の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有し、前記前群又は前記後群中に正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有し、正の屈折力を有するレンズのうち最も物体側に位置するレンズをレンズLpとしたとき、所定の条件式を満足する。また、当該光学系と、撮像素子とを備えた撮像装置とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に前群と絞りと後群とから構成され、前記前群中に負の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有し、前記前群又は前記後群中に正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有し、正の屈折力を有するレンズのうち最も物体側に位置するレンズをレンズLpとしたとき、
以下の条件式を満足することを特徴とする光学系。
15.00 < νdLp < 31.00 ・・・(1)
-9.0 < dNdtLp×106 < -2.7 ・・・(2)
但し、
νdLp:前記レンズLpのd線に対するアッベ数
dNdtLp:前記レンズLpのd線に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数
【請求項2】
前記絞りに隣接する正の屈折力を有するレンズを有し、以下の条件式を満足する請求項1に記載の光学系。
-12.0 < dNdtpla×106 < -0.8 ・・・(3)
但し、
dNdtpla:前記絞りに隣接する正の屈折力を有するレンズのなかで、d線に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数が大きいレンズの相対屈折率温度係数
【請求項3】
以下の条件式を満足する請求項1又は請求項2に記載の光学系。
-12.0 < dNdtpmax×106 < -0.2 ・・・(4)
但し、
dNdtpmax:前記前群及び前記後群に含まれる正の屈折力を有するレンズのなかで、d線に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数が最も大きいレンズの相対屈折率温度係数
【請求項4】
以下の条件式を満足する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学系。
0.2 < dNdtnmin×106 < 15.0 ・・・(5)
但し、
dNdtnmin:前記前群及び前記後群に含まれる負の屈折力を有するレンズのなかで、d線に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数が最も小さいレンズの相対屈折率温度係数
【請求項5】
最も物体側に位置するレンズが負の屈折力を有する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項6】
以下の条件式を満足する請求項5に記載の光学系。
-20.00 < fL1/f < -0.30 ・・・(6)
但し、
fL1:前記最も物体側に位置するレンズの焦点距離
f:当該光学系の焦点距離
【請求項7】
以下の条件式を満足する請求項5又は請求項6に記載の光学系。
0.05 < D12/f < 2.00 ・・・(7)
但し、
D12:前記最も物体側に位置するレンズの像側面とその像側に配置されるレンズの物体側面との光軸上の距離
f:当該光学系の焦点距離
【請求項8】
前記絞りより像側に、負の屈折力を有する面を少なくとも1面有し、以下の条件式を満足する請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の光学系。
0.05 < fL1/frn < 3.00 ・・・(8)
但し、
fL1:前記最も物体側に位置するレンズの焦点距離
frn:前記絞りより像側に配置される負の屈折力を有する面の中で最も屈折力の大きな面の焦点距離
【請求項9】
最軸外光線の画角が35度以上であり、
以下の条件式を満足する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光学系。
0.05 < Dmax/Y < 2.00 ・・・(9)
但し、
Dmax:前記最も物体側の面から最も像側の面の間のうち、最も大きな空気間隔の光軸上の距離
Y:前記最軸外光線の前記像面における像高さ
【請求項10】
以下の条件式を満足する請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の光学系。
1.50 < OAL/f < 20.00 ・・・(10)
但し、
OAL:当該光学系の最も物体側の面から像面までの光軸上の距離
f:当該光学系の焦点距離
【請求項11】
以下の条件式を満足する請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の光学系。
0.50 < CrL1f/f < 20.00 ・・・(11)
但し、
CrL1f:当該光学系の最も物体側の面の曲率半径
f:当該光学系の焦点距離
【請求項12】
最も像側に位置するレンズは正の屈折力を有する請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項13】
以下の条件式を満足する請求項12に記載の光学系。
1.20 < fe/f < 5.00 ・・・(12)
但し、
fe:前記最も像側に位置するレンズの焦点距離
f:当該光学系の焦点距離
【請求項14】
以下の条件式を満足する請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の光学系。
0.00 < |f/fGf| < 1.00 ・・・(13)
但し、
f:当該光学系の焦点距離
fGf:前記前群の焦点距離
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の光学系と、当該光学系が形成する光学像を受光して電気的画像信号に変換する撮像素子とを備えることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、光学系及び撮像装置に関し、特に、固体撮像素子等を用いた小型の撮像装置に好適な光学系及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の固体撮像素子を用いた撮影装置が普及している。また、車載用撮像装置、監視用撮像装置、防犯用撮像装置等の特定の目的で使用される光学系及び撮像装置の普及も進んでいる。これらの撮像装置に用いられる固体撮像素子の高画素化に伴い、光学系には小型軽量を維持しつつ、高い解像性能が求められるようになってきている。
【0003】
また、車載用撮像装置、監視用撮像装置、防犯用撮像装置等の撮像装置は、所定の場所に設置され長期間継続して使用されるため、夜間のように光の量が少ない状況でも撮影をすることが求められている。そのため、車載用撮像装置等には明るい光学系、すなわち大口径レンズが求められている。
【0004】
また、車載用撮像装置、監視用撮像装置、防犯用撮像装置等の撮像装置は、所定の場所に設置され長期間継続して使用されるため、外気の影響を大きく受ける。屋外に駐車された車両内部は氷点下から100度を超える温度範囲に及ぶため、低温から高温まで広い温度範囲で性能劣化の小さい光学系が求められている。車載用撮像装置等では、一般に、低コスト化の観点から、ピント調整のためのアクチュエータを備えていない固定焦点の撮像レンズが用いられることが多い。そのため、車載用撮像装置等の撮像レンズには、雰囲気温度が変化してもピント変動が小さく、且つ、常温下だけでなく、高温環境下及び低温環境下においても長期間に亘って良好な結像性能を維持することが求められる。
【0005】
幅広い温度範囲でピントずれの少ない車載用撮像装置として、例えば、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、負の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズと、正の屈折力を有する第5レンズで構成される光学系が提案されている(「特許文献1」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、広い温度範囲で高い光学性能を確保することが可能な光学系及び撮像装置に対する市場の要求は高い。特許文献1に開示の撮像装置は広い温度範囲で小さなピント変動を実現しているものの、特許文献1に開示の屈折力やガラス配置では、光学系における温度変化時のピント変動が小さくなるが、鏡筒全長が長い撮像装置においては、鏡筒の温度変化による撮像素子の位置変化が大きくなるため、光学系における温度変化時のピント変動と鏡筒の温度変化による撮像素子の位置変化にずれが生じ、光学性能が劣化する点で好ましくない。
【0008】
本件発明の課題は、低温から高温まで幅広い温度範囲において良好な光学性能を確保することが可能な光学系及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る光学系は、物体側から順に前群と絞りと後群とから構成され、前記前群中に少なくとも負の屈折力を有するレンズを1枚有し、前記前群または前記後群中に少なくとも正の屈折力を有するレンズを1枚有し、正の屈折力を有するレンズのうち最も物体側に位置するレンズLpを有し、
以下の条件式を満足することを特徴とする。
15.00 < νdLp < 31.00 ・・・(1)
-9.0 < dNdtLp × 106 < -2.7 ・・・(2)
但し、
νdLp:前記レンズLpのd線に対するアッベ数
dNdtLp:前記レンズLpのd線に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数
【0010】
また、上記課題を解決するため、本件発明に係る撮像装置は、上記記載の光学系と、当該光学系が形成する光学像を受光して電気的画像信号に変換する撮像素子とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低温から高温まで幅広い温度範囲で良好な光学性能を確保することが可能な光学系及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本件発明の実施例1の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
【
図2】本件発明の実施例1の無限遠被写体撮影時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図3】本件発明の実施例2の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
【
図4】本件発明の実施例2の無限遠被写体撮影時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図5】本件発明の実施例3の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
【
図6】本件発明の実施例3の無限遠被写体撮影時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図7】本件発明の実施例4の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
【
図8】本件発明の実施例4の無限遠被写体撮影時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る光学系及び撮像装置の実施の形態を説明する。
【0014】
1.光学系
1-1.光学系の光学構成
まず、本発明に係る光学系の実施の形態を説明する。本実施の形態の光学系は、物体側から順に配置される、前群と、絞りと、正の屈折力を有する後群とから構成される。
【0015】
前群は負の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有する。当該光学系は結像レンズであるため、集光作用を有するが、像面性を補正するためにはペッツバール和を小さくする必要があり、そのためには負の屈折力を有するレンズが必要となる。また、色収差を補正するためにも負の屈折力を有するレンズが必要となる。光学系を負の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚含む構成とすることで、その結果、良好な結像性能を実現することが容易となる。また、前群に負の屈折力を有するレンズを配置することで、絞りより物体側での拡散作用が生じることとなるため、広角化と外径の小型化の両立を実現することが容易となる。
【0016】
以下、当該光学系の光学構成に関してより詳細に説明する。
【0017】
(1)前群
前群は、絞りより物体側に配置されるレンズにより構成される。前群全体の屈折力は正であってもよく、負であってもよい。絞りの物体側に前群を配置することで、メリジオナル断面において主光線が前群では光軸の下側を通り、後群では光軸の上側を通ることとなる。それにより絞り前後での収差打ち消しあいが起きやすくなり、コマ収差と像面湾曲の収差補正が容易となる。その結果、良好な結像性能を実現することが容易となる。
【0018】
前群の具体的な構成は特に限定されるものではない。例えば、前群内の最も大きな空気間隔を境に、物体側を負の屈折力を有する部分群、像側を正の屈折力を有する部分群とすることで、前群の物体側で拡散作用が生じ、入射瞳位置が物体側になることとなる。その結果、広角化と外径の小型化の両立を実現することが容易となる。
【0019】
前群の最も物体側に負の屈折力を有するレンズを配置すると、光学系の物体側が負の屈折力を有することとなる。その場合、物体側で拡散作用が生じて、入射瞳位置が物体側になることとなる。その結果、広角化と外径の小型化の両立を実現することが容易となる。
【0020】
前群の最も像側に正の屈折力を有するレンズを配置すると、すなわち絞りの物体側に正の屈折力を有することとなる。その場合、絞りに入射する光線高さを低くする作用が生じることとなる。その結果、大口径化しながら製造誤差により発生する収差量を小さくすることと共に、球面収差の補正が容易となる。その結果、光学系の大口径化と良好な結像性能の両立を実現することが容易となる。
【0021】
前群に含まれるレンズに非球面を少なくとも1面配置すると、少ないレンズ枚数で良好な結像性能を実現することが容易となる。さらに、物体側に凸面を向けたレンズ面に非球面を有し、近軸での屈折力を弱くするような非球面形状とすることで球面収差や像面湾曲及びコマ収差の補正が容易となる。その結果、光学系の良好な結像性能を実現することが容易となる。
【0022】
(2)後群
後群は、絞りより像側に配置されるレンズにより構成される。後群全体で正の屈折力を有することが好ましい。絞りより像側に集光作用を持たせることで大口径化が容易となる。後群全体で負の屈折力を有する場合、全長を短くすることが容易となり、小型化の点で好ましい。
【0023】
後群の具体的な構成は特に限定されるものではない。例えば、後群の最も物体側に正の屈折力を有するレンズを配置すると、すなわち絞りの像側に正の屈折力のレンズが配置されることとなり、後群内の光線高さを低くする作用が生じることとなる。それにより後群内の製造誤差により発生する収差量を小さくすることが容易となる。その結果、光学系の良好な結像性能の実現することが容易となる。
【0024】
後群の最も像側に正の屈折力を有するレンズを配置すると、この最も像側に位置するレンズにより光学系を明るくする作用を得ることができる。この場合、最も像側に負の屈折力を有するレンズを配置するときと比べて、最も像側のレンズを除いたレンズによる合成Fnoを大きくすることができるため、より少ない枚数で収差補正が容易となる。その結果、大口径化を実現しつつ、当該光学系を少ない枚数で構成することができるため低コスト化を実現することが容易となる。
【0025】
後群に負の屈折力を有する面を少なくとも1面配置すると、像面湾曲の補正が容易となる。その結果、光学系の良好な結像性能を実現することが容易となる。
【0026】
(3)絞り
当該光学系の絞り(開口絞り)は、前群と後群との間に配置される。前群と後群との間に絞りを配置することで、メリジオナル断面において主光線が前群で光軸の下側を通り、後群で光軸の上側を通ることとなる。それにより絞り前後での収差打ち消しあいが起きやすくなり、コマ収差と像面湾曲の収差補正が容易となる。その結果、良好な結像性能を実現することが容易となる。なお、前群の最も像側に配置されるレンズの像側面の面頂が絞り面の像側に位置していてもよい。また、後群の最も物体側に配置されるレンズの物体側面の面頂が絞り面の物体側に位置していてもよい。
【0027】
(4)レンズ硝材
当該光学系を構成するレンズは、すべてガラスレンズであることが好ましい。ガラスレンズは、プラスチックレンズと比較して、熱的安定性が高く、雰囲気温度の変化に伴う膨張・収縮の程度が小さい。そのため、当該光学系を構成する全てのレンズをガラスレンズとすることで、雰囲気温度が変化してもピント(焦点位置)変動や画角変動を良好に抑制することができる。
【0028】
(5)レンズ構成枚数
前群及び後群の構成は限定されないが、レンズの構成枚数が多くなるとコストが上昇し、低コスト化の点で好ましくない。そのため、実質的に構成されるレンズ枚数は光学系で合計して7枚以下であることが好ましい。ここで、「実質的に構成される」とは、実質的に屈折力を持たないレンズや、カバーガラス等のレンズ以外の光学要素を備えることは許容されることを意味する。光学系のレンズ構成枚数のうち、前群のレンズ構成枚数を3枚以下とし、後群のレンズ構成枚数を4枚以下とすることで、低コスト化と良好な結像性能の両立を実現することが容易となる。
【0029】
1-2.条件式
当該光学系では、上述した構成を採用すると共に、次に説明する条件式を満足することが好ましい。
【0030】
1-2-1.条件式(1)
当該光学系は以下の条件式を満足することが好ましい。
15.00 < νdLp < 31.00 ・・・(1)
但し、
νdLp:レンズLpのd線に対するアッベ数
【0031】
上記条件式(1)は、当該光学系に含まれる正の屈折力を有するレンズのうち、最も物体側に位置するレンズLpのd線(587.56nm)に対するアッベ数を規定する式である。広角レンズでは、負の屈折力を物体側に配置すると入射瞳位置が物体側になることにより小型化が達成される。さらに、屈折率の高いガラスを物体側の負の屈折力のレンズに使用することで、小型化や像面性の補正に対しより効果的となる。ここで、最も物体側の正の屈折力を有する前記レンズLpが条件式(1)を満足する場合、負の屈折力を有するレンズとの色収差の打ち消しあいが容易となるため、色収差の良好な光学系が達成できる。
【0032】
これに対し、上記条件式(1)の数値が上限以上となると、倍率色収差が補正不足となり、高性能化の点で好ましくない。上記条件式(1)の数値が下限以下となると、軸上色収差が過補正となり、高性能化の点で好ましくない。
【0033】
上記効果を得る上で、上記条件式(1)の上限値は30.10であることが好ましく、29.20であることがより好ましく、28.50であることがさらに好ましく、27.90であることがよりさらに好ましく、26.60であることが一層好ましい。また、上記条件式(1)の下限値は16.40であることが好ましく、17.30であることがより好ましく、17.80であることがさらに好ましく、18.60であることがよりさらに好ましく、19.20であることが一層好ましい。
【0034】
1-2-2.条件式(2)
当該光学系は以下の条件式を満足することが好ましい。
-9.0 < dNdtLp×106 < -2.7 ・・・(2)
但し、
dNdtLp:レンズLpのd線に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数
【0035】
上記条件式(2)は、当該光学系に含まれる正の屈折力を有するレンズのうち、最も物体側に配置されるレンズLpのd線(587.56nm)に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数を規定する式である。レンズの硝材の屈折率は、温度によって変化する。ここで、相対屈折率温度係数とは、空気中(101.325kPa)におけるd線(587.56nm)での単位温度当たりの屈折率変化のことである。温度が上昇すると鏡筒部品は膨張するため、像面が常温の時に比べて光学系から離れる方向に変化する。そのため温度上昇時には光学系のバックフォーカスを大きくする必要がある。また、正の屈折力を有するレンズの屈折率が低くなると集光作用が弱くなるため、光学系のバックフォーカスは大きくなる。そのため、正の屈折力を有するレンズの硝材は、高温時に屈折率が小さくなるような硝材、すなわち相対屈折率温度係数がマイナスの硝材とすることで、鏡筒による像面変化と、光学系によるバックフォーカスの変化の方向が一致し、ピントずれの補正が容易となる。ここで、正の屈折力を有するレンズのうち最も物体側に位置するレンズLpが条件式(2)を満足する場合、鏡筒による像面変化と、光学系によるバックフォーカスの変化の打ち消しあいが容易となるため、ピントずれの少ない高性能な光学系が達成できる。
【0036】
これに対し、上記条件式(2)の数値が上限以上となると、鏡筒による像面変化に対する光学系のバックフォーカスの変化量が補正不足となるため、ピントずれが大きくなり、高性能化の点で好ましくない。上記条件式(2)の数値が下限以下となると、鏡筒による像面変化に対する光学系のバックフォーカスの変化量が過補正となるため、ピントずれが大きくなり、高性能化の点で好ましくない。
【0037】
上記効果を得る上で、上記条件式(2)の上限値は-2.8であることが好ましい。また、上記条件式(2)の下限値は-7.0であることが好ましく、-5.0であることがより好ましい。
【0038】
1-2-3.条件式(3)
当該光学系は、絞りに隣接する正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有し、以下の条件式を満足することが好ましい。
-12.0 < dNdtpla×106 < -0.8 ・・・(3)
但し、
dNdtpla:絞りに隣接する正の屈折力を有するレンズのなかで、d線に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数が大きいレンズの相対屈折率温度係数
【0039】
上記条件式(3)は、当該光学系の絞りに隣接する正の屈折力を有するレンズのなかで、d線(587.56nm)に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数が大きいレンズの相対屈折率温度係数を規定する式である。当該光学系は、前群と後群との間に絞りが配置されている。その様な構成の場合、他の位置に配置されるレンズと比較すると、絞り近傍のレンズの屈折率変化によりバックフォーカスの変化が大きくなる。すなわち、他の位置に配置されるレンズと比較すると当該位置に配置されるレンズは温度変化によるピント位置変化に対して敏感である。そこで、絞りに隣接する正の屈折力を有するレンズの硝材をマイナスの相対屈折率温度係数の硝材とすることで、高温時において、光学系のバックフォーカスをより大きくすることが可能となる。これにより、鏡筒全長が長い場合でも、像面位置の補正が達成できる。絞りの物体側及び像側にそれぞれ正の屈折力を有するレンズが隣接する場合は、その2枚のレンズのうち相対屈折率温度係数が大きなレンズが、光学系のバックフォーカスを変化せる効果が小さいほうのレンズとなる。その2枚のレンズのうち相対屈折率温度係数が大きなレンズが条件式(3)を満足すると、鏡筒による像面変化と、光学系によるバックフォーカスの変化の打ち消しあいが容易となるため、ピントずれの少ない高性能な光学系が達成できる。絞りの物体側又は像側のいずれか一方にのみ正の屈折力を有するレンズが隣接する場合は、そのレンズの相対屈折率温度係数が条件式(3)を満足すると、鏡筒による像面変化と、光学系によるバックフォーカスの変化の打ち消しあいが容易となるため、ピントずれの少ない高性能な光学系が達成できる。
【0040】
これに対し、上記条件式(3)の数値が上限以上となると、鏡筒による像面変化に対する光学系のバックフォーカスの変化量が補正不足となるため、ピントずれが大きくなり、高性能化の点で好ましくない。上記条件式(3)の数値が下限以下となると、鏡筒による像面変化に対する光学系のバックフォーカスの変化量が過補正となるため、ピントずれが大きくなり、高性能化の点で好ましくない。
【0041】
上記効果を得る上で、上記条件式(3)の上限値は-1.2であることが好ましく、-1.6であることがより好ましく、-2.0であることがさらに好ましい。また、上記条件式(3)の下限値は-9.0であることが好ましく、-7.0であることがより好ましい。
【0042】
1-2-4.条件式(4)
当該光学系は以下の条件式を満足することが好ましい。
-12.0 < dNdtpmax×106 < -0.2 ・・・(4)
但し、
dNdtpmax:前群と後群に含まれる正の屈折力を有するレンズのなかで、d線に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数が最も大きいレンズの相対屈折率温度係数
【0043】
上記条件式(4)は、当該光学系に含まれる正の屈折力を有するレンズのなかで、d線(587.56nm)に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数が最も大きいレンズの相対屈折率温度係数を規定する式である。温度が上昇すると鏡筒部品は膨張するため、像面が常温の時に比べて光学系から離れる方向に変化する。そのため温度上昇時には光学系のバックフォーカスを大きくする必要がある。また、正の屈折力を有するレンズの屈折率が低くなると集光作用が弱くなるため、光学系のバックフォーカスは大きくなる。そのため、高温時に屈折率が小さくなるような硝材、すなわちすべての正の屈折力を有するレンズの硝材を相対屈折率温度係数がマイナスの硝材をとすることで、温度変化に伴う鏡筒による像面変化と、光学系によるバックフォーカスの変化の方向が一致し、ピントずれの補正が容易となる。高温時における屈折率変化の最も小さな正の屈折力のレンズに、バックフォーカスを大きくする効果を持たせることで、鏡筒全長の長い光学系でも、鏡筒による像面変化と、光学系によるバックフォーカスの変化の方向が一致し、ピントずれの補正が容易となる。ここで、光学系に含まれる正の屈折力を有するレンズのなかで、d線(587.56nm)に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数が最も大きいレンズが条件式(4)を満足する場合、温度変化に伴う鏡筒による像面変化と、光学系によるバックフォーカスの変化の打ち消しあいが容易となるため、ピントずれの少ない高性能な光学系が達成できる。
【0044】
これに対し、上記条件式(4)の数値が上限以上となると、鏡筒による像面変化に対する光学系のバックフォーカスの変化量が補正不足となるため、ピントずれが大きくなり、高性能化の点で好ましくない。上記条件式(4)の数値が下限以下となると、鏡筒による像面変化に対する光学系のバックフォーカスの変化量が過補正となるため、ピントずれが大きくなり、高性能化の点で好ましくない。
【0045】
上記効果を得る上で、上記条件式(4)の上限値は-0.5であることが好ましく、-0.8であることがより好ましく、-1.6であることがさらに好ましく、-2.0であることがよりさらに好ましい。また、上記条件式(4)の下限値は-9.0であることが好ましく、-7.0であることがより好ましい。
【0046】
1-2-5.条件式(5)
当該光学系は以下の条件式を満足することが好ましい。
0.2 < dNdtnmin×106 < 15.0 ・・・(5)
但し、
dNdtnmin:前群と後群に含まれる負の屈折力を有するレンズのなかで、d線に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数が最も小さいレンズの相対屈折率温度係数
【0047】
上記条件式(5)は、当該光学系に含まれる負の屈折力を有するレンズのなかで、d線(587.56nm)に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数が最も小さいレンズの相対屈折率温度係数を規定する式である。温度が上昇すると鏡筒部品は膨張するため、像面が常温の時に比べて光学系から離れる方向に変化する。そのため温度上昇時には光学系のバックフォーカスを大きくする必要がある。また、負の屈折力を有するレンズの屈折率が高くなると集光作用が弱くなるため、光学系のバックフォーカスは大きくなる。そのため、高温時に屈折率が大きくなるような硝材、すなわち相対屈折率温度係数がプラスの硝材をすべての負の屈折力を有するレンズに使用することで、鏡筒による像面変化と、光学系によるバックフォーカスの変化の方向が一致し、ピントずれの補正が容易となる。高温時に最も屈折率変化の小さな負の屈折力のレンズに、バックフォーカスを大きくする効果を持たせることで、鏡筒全長の長い光学系でも、鏡筒による像面変化と、光学系によるバックフォーカスの変化の方向が一致し、ピントずれの補正が容易となる。ここで、光学系に含まれる負の屈折力を有するレンズのなかで、d線(587.56nm)に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数が最も小さいレンズが条件式(5)を満足する場合、鏡筒による像面変化と、光学系によるバックフォーカスの変化の打ち消しあいが容易となるため、ピントずれの少ない高性能な光学系が達成できる。
【0048】
これに対し、上記条件式(5)の数値が上限以上となると、鏡筒による像面変化に対する光学系のバックフォーカスの変化量が過補正となるため、ピントずれが大きくなり、高性能化の点で好ましくない。上記条件式(5)の数値が下限以下となると、鏡筒による像面変化に対する光学系のバックフォーカスの変化量が補正不足となるため、ピントずれが大きくなり、高性能化の点で好ましくない。
【0049】
上記効果を得る上で、上記条件式(5)の上限値は12.0であることが好ましく、9.5であることがより好ましく、8.9であることがさらに好ましく、8.0であることがよりさらに好ましい。また、上記条件式(5)の下限値は0.5であることが好ましい。
【0050】
1-2-6.条件式(6)
当該光学系において最も物体側に位置するレンズは負の屈折力を有し、以下の条件式を満足することが好ましい。
-20.00 < fL1/f < -0.30 ・・・(6)
但し、
fL1:最も物体側に位置するレンズの焦点距離
f:当該光学系の焦点距離
【0051】
上記条件式(6)は、当該光学系の最も物体側に配置されるレンズの焦点距離と、当該光学系の焦点距離との比を規定する式である。当該光学系の最も物体側に負の屈折力を有するレンズが配置されると、物体側での拡散作用が生じて、入射瞳位置が物体側になることとなる。その結果、広角化と外径の小型化の両立を実現することが容易となる。この最も物体側に位置するレンズが条件式(6)を満足する場合、当該レンズが適正な範囲となり、径の小型化が達成されると共に、当該レンズの低コスト化が達成される。さらには良好な結像性能が達成されることになり、高性能な光学系が達成できる。
【0052】
これに対し、上記条件式(6)の数値が上限以上となると、この最も物体側に位置するレンズの屈折力が強くなり、当該レンズの小型化を図る上では好ましいが、像面湾曲やコマ収差の補正が困難となり、当該光学系の高性能化の点で好ましくない。一方、上記条件式(6)の数値が下限以下となると、この最も物体側に位置するレンズの屈折力が弱くなるため、当該レンズの小型化を図ることが困難となる点で好ましくない。
【0053】
上記効果を得る上で、上記条件式(6)の上限値は-0.50であることが好ましく、-0.70であることがより好ましく、-0.90であることがさらに好ましく、-1.05であることがよりさらに好ましく、-1.18であることが一層好ましい。また、上記条件式(6)の下限値は-10.00であることが好ましく、-5.00であることがより好ましく、-3.00であることがさらに好ましく、-2.50であることがよりさらに好ましく、-2.00であることが一層好ましい。
【0054】
1-2-7.条件式(7)
当該光学系において最も物体側に位置するレンズは負の屈折力を有し、以下の条件式を満足することが好ましい。
0.05 < D12/f < 2.00 ・・・(7)
但し、
D12:最も物体側に位置するレンズの像側面とその像側に配置されるレンズの物体側面との光軸上の距離
f:当該光学系の焦点距離
【0055】
上記条件式(7)は、最も物体側に位置するレンズとその像側のレンズとの空気間隔の長さと、当該光学系の焦点距離との比を規定する式である。この「D12」の値は、当該光学系において最も物体側に位置するレンズである第1レンズの像側面と、その像側に配置されるレンズである第2レンズの物体側面との光軸上の距離のことであり、第1レンズと第2レンズとにより形成される空気レンズの厚みに相当する。条件式(7)を満足する場合、負の屈折力を有する第1レンズで発散された光束が、光線高さが高くなりすぎる前に第2レンズに入射させることができるようになる。そのため、製造誤差により発生する収差量を小さくすることができ、当該光学系の小型化が達成される。
【0056】
これに対し、上記条件式(7)の数値が上限以上となると、第1レンズと第2レンズとの空気間隔が当該光学系の焦点距離に対して大きくなり、第2レンズの外径が大きくなると共に光学全長も長くなるため、当該光学系の小型化を図る上で好ましくない。さらには、第2レンズへ入射する光線高さが高くなることで、製造誤差により発生する収差量が増え高性能化の点で好ましくない。一方、上記条件式(7)の数値が下限以下となると、第1レンズと第2レンズとの空気間隔が当該光学系の焦点距離に対して小さくなり、第1レンズと第2レンズとにより形成される空気レンズによる収差補正効果が小さくなるため、当該光学系の高性能化を図る上で好ましくない。さらに、第1レンズの像側面と第2レンズの物体側面との距離が近くなると強い収差の打ち消しあいが起きやすくなるため、製造誤差により発生する収差量が増え、当該光学系の高性能化を図る上で好ましくない。
【0057】
上記効果を得る上で、上記条件式(7)の上限値は1.50であることが好ましく、1.20であることがより好ましく、0.90であることがさらに好ましく、0.70であることがよりさらに好ましく、0.60であることが一層好ましい。また、上記条件式(7)の下限値は0.10であることが好ましく、0.15であることがより好ましく、0.20であることがさらに好ましく、0.25であることがよりさらに好ましく、0.30であることが一層好ましい。
【0058】
1-2-8.条件式(8)
当該光学系は絞りより像側に、負の屈折力を有する面を少なくとも1面有し、以下の条件式を満足することが好ましい。
0.05 < fL1/frn < 3.00 ・・・(8)
但し、
fL1:最も物体側に位置するレンズの焦点距離
frn:絞りより像側に配置される負の屈折力を有する面の中で最も屈折力の大きな面の焦点距離
【0059】
上記条件式(8)は、最も物体側に位置するレンズの焦点距離と、絞りより像側に配置される負の屈折力を有する面の中で最も屈折力の大きな面の焦点距離との比を規定する式である。当該光学系は、物体側から順に前群・絞り・後群で構成されるため、メリジオナル断面において主光線が前群では光軸の下側を通り、後群では光軸の上側を通る。ここで、主光線が光軸の下側を通るときと光軸の上側を通るときとで、負の屈折力で発生する収差が逆方向となるため、絞りを境に同符号の屈折力を有することで収差の打ち消しあいが容易となる。そこで、絞りより像側に配置される負の屈折力を有する面が1面の場合はその面の焦点距離が、また絞りより像側に配置される負の屈折力を有する面が複数存在する場合はその中で最も屈折力の大きな面の焦点距離が、条件式(8)を満足することにより、コマ収差を良好に補正することができ、結像性能の高い光学系が達成できる。
【0060】
これに対し、上記条件式(8)の数値が上限以上となると、最も物体側に位置するレンズの焦点距離が大きくなり、外径方向の小型化が困難となる。または、絞りより像側に配置される負の屈折力を有する面の焦点距離が小さくなりすぎて、コマ収差の補正が困難となり、高性能化の点で好ましくない。一方で上記条件式(8)の数値が下限以下になると、最も物体側に位置するレンズの焦点距離が小さくなりすぎて、コマ収差の補正が困難となると共に、最も物体側に位置するレンズが偏芯した時に発生する収差が大きくなり、高性能化の点で好ましくない。
【0061】
上記効果を得る上で、上記条件式(8)の上限値は2.00であることが好ましく、1.50であることがより好ましく、1.40であることがさらに好ましく、1.30であることがよりさらに好ましい。また、上記条件式(8)の下限値は0.10であることが好ましく、0.19であることがより好ましく、0.25であることがさらに好ましく、0.30であることがよりさらに好ましく、0.40であることが一層好ましい。
【0062】
1-2-9.条件式(9)
当該光学系は最軸外光線の画角が35度以上であり、以下の条件式を満足することが好ましい。
0.05 < Dmax/Y < 2.00 ・・・(9)
但し、
Dmax:最も物体側の面から最も像側の面の間のうち、最も大きな空気間隔の光軸上の距離
Y:最軸外光線の像面における像高さ
【0063】
上記条件式(9)は、当該光学系の最も大きな空気間隔の光軸上の距離と、最軸外光線の像面における像高さとの比を規定する式である。光学系の広角化を図るには、物体側に負の屈折力、像側に正の屈折力を配置することが好ましい。それにより、径の小型化と広角化の両立が図りやすくなる。また、負の屈折力と正の屈折力の主点間隔を広げればより広角化が容易となる。しかしながら、主点間隔を広げることは全長の増大を招くため小型化の点で好ましくない。そこで、条件式(9)を満足させることにより最大空気間隔が最適な範囲となり、光学全長の小型化と広角化の両立を図ることが容易となる。
【0064】
ここで最軸外光線の画角が35度以上であることが広角レンズとして好ましいが、上記条件式(9)を満足するうえで、最軸外光線の画角が40度以上であることがより好ましく、45度以上であることがさらに好ましく、50度以上であることがよりさらに好ましく、55度以上であることが一層好ましい。
【0065】
これに対し、上記条件式(9)の数値が上限以上となると、当該光学系の最も大きな空気間隔の長さが大きくなるため、光学全長の増大を招き、小型化の点で好ましくない。一方で、上記条件式(9)の数値が下限以下となると、当該光学系の最も大きな空気間隔の長さが小さくなるため、小型化の点で好ましいが、主点間隔を広げることが困難となり広角化が困難となると共に、強すぎる屈折力配置を招き、製造誤差により発生する収差量が増え、当該光学系の高性能化を図る上で好ましくない。
【0066】
上記効果を得る上で、上記条件式(9)の上限値は1.50であることが好ましく、1.20であることがより好ましく、1.00であることがさらに好ましく、0.85であることがよりさらに好ましく、0.75であることが一層好ましい。また、上記条件式(9)の下限値は0.10であることが好ましく、0.20であることがより好ましく、0.25であることがさらに好ましく、0.30であることがよりさらに好ましく、0.40であることが一層好ましい。
【0067】
1-2-10.条件式(10)
当該光学系は以下の条件式を満足することが好ましい。
1.50 < OAL/f < 20.00 ・・・(10)
但し、
OAL:当該光学系の最も物体側の面から像面までの光軸上の距離
f:当該光学系の焦点距離
【0068】
上記条件式(10)は、当該光学系の最も物体側の面から像面までの距離と、当該光学系の焦点距離との比を規定する式である。例えば光学系の鏡筒をアルミで構成する場合、線膨張係数が約24.0×10-6(/K)程度なため、鏡筒全長が30mmで基準温度から温度が100度上昇すると、72μm程度鏡筒が伸びることとなる。鏡筒が伸びた分だけ像面位置が光学系から遠くなるため、全長が増大すればするほど、光学系の温度変化に対するバックフォーカスの変化量を大きくしていかなければ、ピントずれが大きくなってしまうため、高性能化の点で好ましくない。このように、光学系の全長と、光学系の温度に対するバックフォーカスの変化量には最適な範囲が存在することとなる。そこで、条件式(10)を満足させることにより光学全長が最適な範囲となり、温度変化時のピント変化を小さくすることが容易となり、結像性能の高い光学系が達成できる。
【0069】
これに対し、上記条件式(10)の数値が上限以上となると、鏡筒による像面位置変化が大きくなりすぎ、これに対する光学系のバックフォーカスの変化量が補正不足となるため、ピントずれが大きくなり、高性能化の点で好ましくない。上記条件式(10)の数値が下限以下となると、鏡筒による像面位置変化が小さくなりすぎ、これ対する光学系のバックフォーカスの変化量が過補正となるため、ピントずれが大きくなり、高性能化の点で好ましくない。
【0070】
上記効果を得る上で、上記条件式(10)の上限値は15.00であることが好ましく、10.00であることがより好ましく、8.00であることがさらに好ましく、7.50であることがよりさらに好ましく、7.00であることが一層好ましい。また、上記条件式(10)の下限値は2.00であることが好ましく、2.50であることがより好ましく、3.00であることがさらに好ましく、3.50であることがよりさらに好ましく、4.00であることが一層好ましい。
【0071】
1-2-11.条件式(11)
当該光学系は以下の条件式を満足することが好ましい。
0.50 < CrL1f/f < 20.00 ・・・(11)
但し、
CrL1f:当該光学系の最も物体側の面の曲率半径
f:当該光学系の焦点距離
【0072】
上記条件式(11)は、当該光学系の最も物体側の面の曲率半径と、当該光学系の焦点距離との比を規定する式である。条件式(11)を満足する場合、当該光学系の最も物体側の面は、物体側に凸面となる。条件式(11)を満足させることにより、当該光学系の最も物体側の面の曲率半径が最適な範囲となり、当該光学系に入射した光線が像面において反射し、その反射光が当該光学系の最も物体側の面で再反射し、その再反射光線が像面に到達するのをより有効に防ぐことが可能となるため、ゴースト光の発生を良好に抑制することが可能となる。また、当該光学系の最も物体側の面が物体側に凸面となることで、コマ収差や像面湾曲の発生を小さくすることが容易となり、結像性能の高い光学系が達成できる。
【0073】
これに対し、上記条件式(11)の数値が上限以上となると、当該光学系の最も物体側の面の曲率半径が平面に近くなり、像面で反射した光線が当該光学系の最も物体側の面で再反射し、像面で再結像するような共役の関係となり、ゴーストの発生を有効に抑制することが困難になる。一方で、上記条件式(11)の数値が下限以下となると、当該光学系の最も物体側の面の曲率半径が小さくなりすぎて、コマ収差や像面湾曲が増大し、高性能化の点で好ましくない。
【0074】
上記効果を得る上で、上記条件式(11)の上限値は10.00であることが好ましく、8.00であることがより好ましく、6.00であることがさらに好ましく、4.00であることがよりさらに好ましく、3.00であることが一層好ましい。また、上記条件式(11)の下限値は0.60であることが好ましく、0.70であることがより好ましく、0.80であることがさらに好ましく、0.90であることがよりさらに好ましい。
【0075】
1-2-12.条件式(12)
当該光学系において最も像側に位置するレンズは正の屈折力を有し,以下の条件式を満足することが好ましい。
1.20 < fe/f < 5.00 ・・・(12)
但し、
fe:最も像側に位置するレンズの焦点距離
f:当該光学系の焦点距離
【0076】
上記条件式(12)は、当該光学系の最も像側に位置するレンズの焦点距離と、当該光学系の焦点距離との比を規定する式である。条件式(12)を満足させることにより、当該光学系の最も像側に位置するレンズの焦点距離が最適な範囲となり、低コスト化及び小型化が容易となる。最も像側に正の屈折力を有するレンズを配置すると、この最も像側に位置するレンズにより光学系を明るくする作用を得ることができる。この場合、最も像側に負の屈折力を有するレンズを配置するときと比べて、最も像側のレンズを除いたレンズによる合成Fnoを大きくすることができるため、より少ない枚数で収差補正が容易となる。その結果、大口径化を実現しつつ、当該光学系を少ない枚数で構成することができるため低コスト化を実現することが容易となる。また、最も像側に正の屈折力を有するレンズを配置すると射出瞳位置が像面から遠くなる。射出瞳位置が像面から遠くなるにつれ、最終レンズの有効径が大きくなるため、最も像側のレンズの焦点距離を最適な範囲にすることで、小型化が達成される。
【0077】
これに対し、上記条件式(12)の数値が上限以上となると、最も像側に位置するレンズによる光学系を明るくする作用が小さくなり、この最も像側のレンズを除いたレンズによる合成Fnoを小さくしなければならず、収差補正不足となる。または、高性能化のために多くのレンズ枚数が必要となり、低コスト化を達成することが困難となり好ましくない。一方で、上記条件式(12)の数値が下限以下となると、最も像側の正の屈折力を有するレンズの焦点距離が短くなりすぎて、射出瞳位置が像面から遠くなる。その結果、最終レンズの有効径の大型化を招き、当該光学系の小型化を図ることが困難となり、好ましくない。
【0078】
上記効果を得る上で、上記条件式(12)の上限値は4.60であることが好ましく、4.40であることがより好ましく、4.10であることがさらに好ましく、3.90であることがよりさらに好ましく、3.70であることが一層好ましい。また、上記条件式(12)の下限値は1.40であることが好ましく、1.60であることがより好ましく、1.80であることがさらに好ましく、2.00であることがよりさらに好ましく、2.20であることが一層好ましい。
【0079】
1-2-13.条件式(13)
当該光学系は以下の条件式を満足することが好ましい。
0.00 < |f/fGf| < 1.00 ・・・(13)
但し、
f:当該光学系の焦点距離
fGf:前群の焦点距離
【0080】
上記条件式(13)は、当該光学系の焦点距離と、前群の焦点距離との比を規定する式である。当該光学系は、物体側から順に前群・絞り・後群で構成されるため、条件式(13)の値は、後群の横倍率に相当する。条件式(13)を満足させることによって、後群の横倍率が最適な範囲となり、大口径化しながら、レンズ枚数を多くすることなく諸収差を良好に補正することが容易となる。
【0081】
これに対し、上記条件式(13)の数値が満足しないと、すなわち後群の倍率が大きくなると、光学系で発生する収差が後群の倍率分だけ拡大されることになるため、球面収差やコマ収差等の補正が困難となり、高性能化の点で好ましくない。または、高性能化のために多くのレンズ枚数が必要となり、低コスト化を達成することが困難となり好ましくない。
【0082】
上記効果を得る上で、上記条件式(13)の上限値は0.95であることが好ましく、0.92であることがより好ましく、0.89であることがさらに好ましく、0.87であることがよりさらに好ましく、0.86であることが一層好ましい。
【0083】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係る光学系と、当該光学系が形成する光学像を受光して電気的画像信号に変換する撮像素子とを備えることを特徴とする。
【0084】
ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCDセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子等も用いることができる。本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ、監視カメラ、車載カメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよいし、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。
【0085】
ここで、本件発明に係る撮像装置は、鑑賞目的で被写体を撮像するために用いられる一般の撮像装置の他、車載用撮像装置や監視撮像装置等のように、車両あるいは建造物等に据付固定され、監視、或いはセンシング等の特定の目的の下で使用される据付固定型の撮像装置に用いることができる。本件発明に係る撮像レンズは、小型で大口径、且つ、高い結像性能を有している。さらに幅広い温度範囲で、高い結像性能を有するため、温度が変化する状況下で使用される撮像装置に好適である。特に、各種移動体(陸上移動体、空中移動体、海上移動体)に搭載され、各移動体の進行方向前方及び周囲の物体を検出或いは認識するために用いられるセンシングカメラに特に好適である。なお、上記移動体には自動車、飛行機、船舶等の乗り物の他、無人航空機(ドローン等)或いは無人探査機等、さらには、自立二足歩行型ロボット等の自立移動機能を備えたロボット(掃除ロボット等含む)の各種移動体を含むものとする。また、建造物等に据付固定されて使用される監視撮像装置にも特に好適で、可視光だけでなく赤外等の可視光波長以外の波長領域でも使用も可能である。
【0086】
また、本発明を応用した別発明として、以下の発明が考えられる。
物体側から順に前群と絞りと後群とから構成され、前記前群又は前記後群に負の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚と正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有し、
以下の条件式を満足することを特徴とする光学系。
-12.0 < dNdtpmax×106 < -0.8 ・・・(4)’
0.2 < dNdtnmin×106 < 15.0 ・・・(5)
但し、
dNdtpmax:前記前群及び前記後群に含まれる正の屈折力を有するレンズのなかで、d線に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数が最も大きいレンズの相対屈折率温度係数
dNdtnmin:前記前群と前記後群に含まれる負の屈折力を有するレンズのなかで、d線に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数が最も小さいレンズの相対屈折率温度係数
【0087】
次に、実施例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、各レンズ断面図において、図面に向かって左方が物体側、右方が像側である。
【実施例0088】
(1)光学系のレンズ構成
図1は、本件発明に係る実施例1の光学系の構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に負の屈折力を有する前群Gf、絞りS、正の屈折力を有する後群Grで構成されている。前群Gfは物体側から順に、物体側が凸面であり、負の屈折力を有する第1レンズL1と、物体側が凹面であり、正の屈折力を有する第2レンズL2とで構成されている。後群Grは物体側から順に、正の屈折力を有する第3レンズL3と、像面側が凹面であり、負の屈折力を有する第4レンズL4と、正の屈折力を有する第5レンズL5とで構成されている。開口絞りSは、第2レンズL2の像側に配置されている。第1レンズL1の両面、第3レンズL3の両面はそれぞれ非球面である。
【0089】
ここで、開口絞りSは第2レンズL2の像側面の面頂よりも物体側に配置されているが、第2レンズL2の物体側面より像側に配置されていることから、第2レンズL2は開口絞りSより物体側に配置されていることに相当する。なお、物理的にも第2レンズL2、開口絞りSの順序で配置されている。当該光学系における正の屈折力を有するレンズのうち最も物体側に位置するレンズLpは、第2レンズL2が相当する。また、開口絞りSに隣接する正の屈折力を有するレンズは、第2レンズL2及び第3レンズL3であり、そのうち相対屈折率温度係数が大きいレンズは、第3レンズL3である。また、後群に含まれる負の屈折力を有する面の中で、最も屈折力の大きな面は、第4レンズL4の像側面である。
【0090】
なお、図中の「IMG」は像面を示す。上述した、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子の撮像面である。当該光学系の物体側から入射した光は、像面に結像する。固体撮像素子は受光した光学像を電気的画像信号に変換する。撮像装置等が備える画像処理部(画像処理プロセッサ等)により、撮像素子から出力された電気的画像信号に基づき、被写体の像に対応したデジタル画像が生成される。当該デジタル画像は、例えば、HDD(Hard Disk Device)やメモリカード、光ディスク、磁気テープなどの記録媒体に記録することが可能である。なお、像面は、銀塩フィルムのフィルム面であってもよい。
【0091】
また、図中の「CG」は光学ブロックである。当該光学ブロックCGは、光学フィルタや、フェースプレート、水晶ローパスフィルタ、赤外カットフィルタ等に相当する。これらの符号(IMG、CG)は、他の実施例で示す各図においても同様のものを示すため、以下では説明を省略する。
【0092】
(2)数値実施例
実施例1で採用した光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表1に当該撮像レンズのレンズデータを示す。表1において、「面番号」は物体側から数えたレンズ面の番号、「r」はレンズ面の曲率半径(mm)(但し、rの値がINFである面は、その面が平面であることを示す。)、「d」は物体側からi番目(iは自然数)のレンズ面と、i+1番目のレンズ面とのレンズ面の光軸上の間隔(mm)、「Nd」はd線(波長λ=587.56nm)に対する屈折率、「νd」はd線に対するアッベ数、「h」は有効半径(mm)、「dNdt」はd線に対する0℃から20℃までの温度範囲における空気中の相対屈折率温度係数(10-6/K)を示している。但し、レンズ面が非球面である場合、表中の面番号の横に「ASP」を付している。また、非球面である場合には、「r」の欄にはその近軸曲率半径を示している。
【0093】
表2に、当該光学系の諸データを示す。具体的には、当該撮像レンズの焦点距離(mm)、Fナンバー(F値)、半画角(°)、像高(mm)、レンズ全長(mm)、バックフォーカス(BF(in air))(mm)を示している。ここで、レンズ全長は、第1レンズの物体側面から像面までの光軸上の距離である。また、バックフォーカスは最も像側に配置された第nレンズの像側面から像面までの光軸上の距離を空気換算した値である。
【0094】
表3に、非球面データを示す。非球面データとして、表1に示した非球面について、その形状を下記式で定義した場合の非球面係数を示す。なお、非球面係数は、光軸からの高さhの位置での光軸方向の変位量を面頂点基準として、以下の非球面式により表すことができる。
【0095】
z=ch2/[1+{1-(1+k)c2h2}1/2]+A4h4+A6h6+A8h8+・・・
但し、cが曲率(1/r)、hが光軸からの高さ、kが円錐係数(コーニック定数)、A4、A6、A8、・・・が各次数の非球面係数である。また、非球面係数及びコーニック定数の数値における「E±m」(mは整数を表す。)という表記は、「×10±m」を意味している。
【0096】
表4に、当該光学系を構成する各レンズの焦点距離を示す。
【0097】
表5に、当該光学系を構成する各レンズ群の焦点距離を示す。
【0098】
また、表21に当該光学系の各条件式の数値を示す。これらの各表に関する事項は、他の実施例で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0099】
図2に、当該光学系の無限遠合焦時における縦収差図を示す。
図2に示す縦収差図は、図面に向かって左側から順に、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)である。球面収差を表す図において、縦軸は開放F値(Fno)を表す。実線はd線(波長587.56nm)における球面収差、点線はC線(波長656.27nm)における球面収差、一点鎖線はg線(波長435.84nm)における球面収差を示している。非点収差を表す図において、縦軸は画角(°)を表す。実線はd線(波長587.56nm)におけるサジタル方向を示し、点線はd線におけるメリディオナル方向を示している。歪曲収差を表す図において、縦軸に画角(°)を取り、d線(波長587.56nm)における歪曲収差(%)を示している。これらの縦収差図に関する事項は、他の実施例で示す縦収差図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0100】
[表1]
面番号 r d Nd vd h dN/dt
1 ASP 10.2009 1.000 1.84820 39.96 3.615 7.4
2 ASP 3.8218 1.870 2.662
3 -7.3960 5.080 1.77830 23.91 2.430 -4.1
4 -7.2032 -0.480 2.678
5 S INF 2.460 2.670
6 ASP 6.6895 2.933 1.61881 63.85 2.935 -2.8
7 ASP -10.3776 0.250 2.750
8 14.5970 0.710 1.94595 17.98 2.788 3.9
9 5.6855 1.550 2.707
10 16.7923 2.190 1.49700 81.61 3.255 -5.9
11 -8.2925 2.541 3.488
12 INF 0.500 1.51680 64.20 3.797
13 INF 3.000 3.827
【0101】
[表2]
焦点距離 4.776
Fナンバー 1.714
半画角 60.000
像高 4.105
レンズ全長 23.604
BF(in air) 5.870
【0102】
[表3]
面番号 1 2 6 7
k 0.00000 -0.63390 0.00000 0.00000
A4 -2.06923E-03 -4.57214E-04 -6.35264E-04 7.73837E-04
A6 -2.11059E-04 -5.93838E-04 3.26309E-05 -5.17980E-05
A8 3.97350E-05 1.13518E-04 -1.32886E-05 4.48147E-06
A10 -2.45518E-06 -3.50124E-06 1.52698E-06 -2.71503E-07
A12 5.35794E-08 -1.67513E-07 -6.66821E-08 2.34497E-10
【0103】
[表4]
レンズ 面番号 焦点距離
L1 1-2 -7.764
L2 3-4 28.330
L3 6-7 7.035
L4 8-9 -10.242
L5 10-11 11.503
【0104】
[表5]
群 面番号 焦点距離
Gf 1-4 -21.352
Gr 6-11 8.343
ここで、当該光学系における正の屈折力を有するレンズのうち最も物体側に位置するレンズLpは、第3レンズL3が相当する。また、開口絞りSに隣接する正の屈折力を有するレンズは、第3レンズL3と第4レンズL4であり、そのうち相対屈折率温度係数が大きいレンズは、第4レンズL4である。また、後群に含まれる負の屈折力を有する面の中で、最も屈折力の大きな面は、第6レンズL6の像側面である。