(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120365
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】シミュレーション装置、シミュレーション方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20120101AFI20220810BHJP
G06F 30/13 20200101ALI20220810BHJP
G06F 30/18 20200101ALI20220810BHJP
G06F 30/367 20200101ALI20220810BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06F17/50 680B
G06F17/50 650Z
G06F17/50 662G
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017210
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】紙透 航志
【テーマコード(参考)】
5B046
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
5B046AA07
5B046BA04
5B046DA02
5B046DA05
5B046GA01
5B046HA05
5B046JA04
5B146AA04
5B146AA14
5B146AA21
5B146DG02
5B146GG24
5L049DD02
(57)【要約】
【課題】容易に電力線通信ネットワークのシミュレーションを行うことができるシミュレーション装置などを提供する。
【解決手段】シミュレーション装置10は、電力線通信ネットワークの配置を設定する配置設定部20と、電力線通信ネットワークの電気的パラメータを設定するパラメータ設定部30と、シミュレーション実行部40と、シミュレーション実行部40によるシミュレーションによって求められた電気特性を出力する結果出力部50とを備え、配置設定部20は、電力線通信ネットワークが配置される建造物の構造を示す構造情報、及び、電力線通信ネットワークに含まれる1以上の構成要素の位置情報を取得する情報取得部22と、電力線通信ネットワークに係る情報を表示する表示部14に、構造情報に基づく図面を表示させ、かつ、位置情報に基づく電力線通信ネットワークの少なくとも一部を図面に重ねて表示させる表示情報出力部28とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線通信ネットワークの電気特性を計算するシミュレーション装置であって、
前記電力線通信ネットワークの配置を設定する配置設定部と、
前記電力線通信ネットワークの電気的パラメータを設定するパラメータ設定部と、
前記電力線通信ネットワークのシミュレーションを行うシミュレーション実行部と、
前記シミュレーション実行部によるシミュレーションによって求められた前記電気特性を出力する結果出力部とを備え、
前記配置設定部は、
前記電力線通信ネットワークが配置される建造物の構造を示す構造情報、及び、前記電力線通信ネットワークに含まれる1以上の構成要素の位置情報を取得する情報取得部と、
前記電力線通信ネットワークに係る情報を表示する表示部に、前記構造情報に基づく図面を表示させ、かつ、前記位置情報に基づく前記電力線通信ネットワークの少なくとも一部を前記図面に重ねて表示させる表示情報出力部とを有する
シミュレーション装置。
【請求項2】
前記図面は、前記建造物の間取り図を含む
請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記位置情報は、電気配線系統図に対応する情報を含む
請求項1又は2に記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記1以上の構成要素は、1以上の電気機器を含む
請求項1~3のいずれか1項に記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記1以上の電気機器は、電力線通信を行う1以上の電力線通信機器を含む
請求項4に記載のシミュレーション装置。
【請求項6】
前記情報取得部は、前記1以上の構成要素にそれぞれ対応する1以上の識別情報を取得し、
前記パラメータ設定部は、前記配置設定部が取得した前記1以上の識別情報に基づいて、前記1以上の識別情報と、前記1以上の識別情報にそれぞれ対応付けられた前記1以上の構成要素の電気的パラメータとを記憶するパラメータ記憶部から取得した前記1以上の構成要素の電気的パラメータを、前記電力線通信ネットワークの電気的パラメータとして設定する
請求項1~5のいずれか1項に記載のシミュレーション装置。
【請求項7】
前記1以上の識別情報の各々は、前記1以上の構成要素のうち、対応する構成要素の製品名を含む
請求項6に記載のシミュレーション装置。
【請求項8】
前記シミュレーション実行部は、複数のアルゴリズムの各々に基づいて前記シミュレーションを行うことができる
請求項1~7のいずれか1項に記載のシミュレーション装置。
【請求項9】
前記結果出力部は、前記電力線通信ネットワークにおけるスループット及び信号雑音比の少なくとも一方を出力する
請求項1~8のいずれか1項に記載のシミュレーション装置。
【請求項10】
前記結果出力部は、前記電力線通信機器のコストを出力する
請求項5に記載のシミュレーション装置。
【請求項11】
電力線通信ネットワークの電気特性を計算するシミュレーション方法であって、
前記電力線通信ネットワークの配置を設定する配置設定ステップと、
前記電力線通信ネットワークの電気的パラメータを設定するパラメータ設定ステップと、
前記電力線通信ネットワークのシミュレーションを行うシミュレーション実行ステップと、
前記シミュレーション実行ステップによって求められた前記電気特性を出力する結果出力ステップとを含み、
前記配置設定ステップは、
前記電力線通信ネットワークが配置される建造物の構造を示す構造情報、及び、前記電力線通信ネットワークに含まれる1以上の構成要素の位置情報を取得する情報取得ステップと、
前記構造情報に基づく図面を表示させ、かつ、前記位置情報に基づく前記電力線通信ネットワークの少なくとも一部を前記図面に重ねて表示させる表示情報出力ステップとを含む
シミュレーション方法。
【請求項12】
請求項11に記載のシミュレーション方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シミュレーション装置、シミュレーション方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力線を用いて情報通信を行う電力線通信(Power Line Communication;PLC)が行われている。電力線通信ネットワーク(以下、「PLCネットワーク」とも称する)を設計及び構築するために、PLCネットワークの電気特性をシミュレーションによって見積もる技術が提案されている(例えば、非特許文献1~3など参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】水谷幹男,“ホームネットワークにおける電力線通信方式の高速化に関する研究”,九州工業大学博士学位論文,2014年
【非特許文献2】Tooraj Esmailian, Frank R. Kschischang and P. Glenn Gulak, "In-building power lines as high-speed communication channels:channel characterization and a test channel ensemble", INTERNATIONAL JOURNAL OF COMMUNICATION SYSTEMS, 2003; 16:381-400
【非特許文献3】Bernhard Gade, Andreas M. Lehmann, Jorg Deutschmann, and Johannes B. Huber, "A Power Line Communication Topology Module for ns-3 and DCE", IEEE International Conference on Smart Grid Communications 23-26 October 2017, pp.295-301
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PLCネットワークを設計し、非特許文献1~3に記載されたシミュレーション方法などを用いることで、PLCネットワークの電気特性を見積もることは可能である。しかしながら、建造物に適したPLCネットワークを設計するには、PLC、電気配線、及び建築に関する専門的な知識が必要となる。このため、建造物に適したPLCネットワークをシミュレーションすることは容易ではない。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、容易にPLCネットワークのシミュレーションを行うことができるシミュレーション装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係るシミュレーション装置は、電力線通信ネットワークの電気特性を計算するシミュレーション装置であって、前記電力線通信ネットワークの配置を設定する配置設定部と、前記電力線通信ネットワークの電気的パラメータを設定するパラメータ設定部と、前記電力線通信ネットワークのシミュレーションを行うシミュレーション実行部と、前記シミュレーション実行部によるシミュレーションによって求められた前記電気特性を出力する結果出力部とを備え、前記配置設定部は、前記電力線通信ネットワークが配置される建造物の構造を示す構造情報、及び、前記電力線通信ネットワークに含まれる1以上の構成要素の位置情報を取得する情報取得部と、前記電力線通信ネットワークに係る情報を表示する表示部に、前記構造情報に基づく図面を表示させ、かつ、前記位置情報に基づく前記電力線通信ネットワークの少なくとも一部を前記図面に重ねて表示させる表示情報出力部とを有する。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係るシミュレーション方法は、電力線通信ネットワークの電気特性を計算するシミュレーション方法であって、前記電力線通信ネットワークの配置を設定する配置設定ステップと、前記電力線通信ネットワークの電気的パラメータを設定するパラメータ設定ステップと、前記電力線通信ネットワークのシミュレーションを行うシミュレーション実行ステップと、前記シミュレーション実行ステップによって求められた前記電気特性を出力する結果出力ステップとを含み、前記配置設定ステップは、前記電力線通信ネットワークが配置される建造物の構造を示す構造情報、及び、前記電力線通信ネットワークに含まれる1以上の構成要素の位置情報を取得する情報取得ステップと、前記構造情報に基づく図面を表示させ、かつ、前記位置情報に基づく前記電力線通信ネットワークの少なくとも一部を前記図面に重ねて表示させる表示情報出力ステップとを含む。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係るプログラムは、上記シミュレーション方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、容易にPLCネットワークのシミュレーションを行うことができるシミュレーション装置などを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るシミュレーション装置の機能構成の概要を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る配置設定部の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係るパラメータ設定部の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係るシミュレーション実行部の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係るシミュレーション装置の機能をソフトウェアにより実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係るシミュレーション方法の流れを示す第1のフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態に係るシミュレーション方法の流れを示す第2のフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る表示部において表示される建造物の構造を示す画像の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る電力線の位置情報及び識別情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る表示部において表示される電力線及び電気機器の配置を示す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る電気機器の位置情報及び識別情報の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態に係るPLCネットワークに含まれる電力線の識別情報の入力方法の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態に係るPLCネットワークに含まれるPLC機器の識別情報の入力方法の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施の形態に係る家電機器のノイズモデルの入力方法の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施の形態に係るPLCネットワークのトポロジーの一部を示すグラフである。
【
図16】
図16は、実施の形態に係るパラメータ記憶部が記憶するPLCネットワークに含まれる電力線の電気的パラメータを示す図である。
【
図17】
図17は、実施の形態に係るパラメータ記憶部が記憶するPLCネットワークに含まれる電気機器の電気的パラメータを示す図である。
【
図18】
図18は、実施の形態に係るパラメータ記憶部が記憶するPLC機器において設定されたパラメータを示す図である。
【
図19】
図19は、実施の形態に係るパラメータ記憶部が記憶するパワーコントロールIDのパラメータを示す図である。
【
図20】
図20は、実施の形態に係るシミュレーションの条件を入力する際に表示部に表示される画像の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、実施の形態に係るシミュレーションの条件の入力方法の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、実施の形態に係るシミュレーション実行部が出力するシミュレーション結果の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、実施の形態に係るシミュレーション実行部が出力するシミュレーション結果に含まれるスループットの一例を示す図である。
【
図24】
図24は、実施の形態に係るシミュレーション実行部が出力するシミュレーション結果に含まれるSNR(Signal-Noise Ratio)の一例を示す図である。
【
図25】
図25は、実施の形態に係るシミュレーション結果の表示態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、規格、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。
【0012】
(実施の形態)
実施の形態に係るシミュレーション装置、及びシミュレーション方法について説明する。
【0013】
[1.構成]
まず、本実施の形態に係るシミュレーション装置の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係るシミュレーション装置10の機能構成の概要を示すブロック図である。
【0014】
シミュレーション装置10は、PLCネットワークの電気特性を計算する装置である。
図1に示されるように、シミュレーション装置10は、機能的には、GUI(Graphical User Interface)ツール16を備える。本実施の形態では、シミュレーション装置10は、入力部12と、表示部14と、記憶部18とをさらに備える。
【0015】
入力部12は、シミュレーションに必要な情報を入力する機器である。入力部12として、例えば、キーボード、マウスなどの入力機器、信号を受信する通信機器などを用いることができる。
【0016】
表示部14は、PLCネットワークに係る情報を表示する機器である。表示部14は、例えば、PLCネットワークの構成などのシミュレーションに必要な情報、シミュレーション結果、PLCネットワークが配置される建造物の構造を示す図面などを表示する。表示部14として、例えば、液晶表示パネル、有機EL(Electro-Luminescence)表示パネルなどを用いることができる。
【0017】
記憶部18は、シミュレーションに関する情報を記憶する記憶機器である。記憶部18は、例えば、シミュレーションにおいて用いるパラメータ、シミュレーション結果のデータなどを記憶する。本実施の形態では、記憶部18は、入力データ記憶部82と、パラメータ記憶部84と、結果記憶部86とを有する。
【0018】
入力データ記憶部82は、シミュレーションにおいて用いるPLCネットワークの配置を設定するために必要な情報を記憶する。入力データ記憶部82は、例えば、PLCネットワークが配置される建造物の構造を示す構造情報、PLCネットワークに含まれる1以上の構成要素の位置情報などを記憶する。当該構造情報は、建造物の少なくとも一部の形状及び寸法を示す情報を含む。当該構造情報は、例えば、建造物の間取り図などに対応する情報を含む。また、当該位置情報は、例えば、電気配線系統図に対応する情報を含む。なお、構造情報と位置情報とが一体化されていてもよい。例えば、間取り図と、電気配線系統図とが一体化された情報が、構造情報及び位置情報として入力データ記憶部82に記憶されていてもよい。
【0019】
パラメータ記憶部84は、シミュレーションにおいて用いるパラメータを記憶する。本実施の形態では、パラメータ記憶部84は、電力線通信ネットワークに含まれる1以上の構成要素の電気的パラメータを記憶する。具体的には、パラメータ記憶部84は、1以上の構成要素にそれぞれ対応する1以上の識別情報を記憶する。また、パラメータ記憶部84は、1以上の識別情報にそれぞれ対応付けられた1以上の構成要素の電気的パラメータを記憶する。
【0020】
結果記憶部86は、シミュレーション結果のデータを記憶する。結果記憶部86は、例えば、シミュレーションによって得られるPLCネットワークの伝送特性、スループットなどを記憶する。
【0021】
GUIツール16は、シミュレーションに関する情報を表示部14に表示させ、かつ、シミュレーションを実行する処理部である。GUIツール16は、配置設定部20と、パラメータ設定部30と、シミュレーション実行部40と、結果出力部50とを有する。
【0022】
配置設定部20は、PLCネットワークの配置を設定する処理部である。配置設定部20は、入力部12から入力された情報に基づいて、PLCネットワークの配置を設定する。配置設定部20について、
図2を用いて説明する。
図2は、本実施の形態に係る配置設定部20の機能構成を示すブロック図である。なお、
図2には、入力部12、表示部14、入力データ記憶部82、及びパラメータ設定部30も併せて示されている。
図2に示されるように、配置設定部20は、情報取得部22と、ネットワーク設定部24と、建造物設定部26と、表示情報出力部28とを有する。
【0023】
情報取得部22は、PLCネットワークが配置される建造物の構造を示す構造情報、及び、PLCネットワークに含まれる1以上の構成要素の位置情報を取得する。また、1以上の構成要素には、1以上の電力線が含まれる。また、1以上の構成要素には、1以上の電気機器が含まれてもよい。1以上の電力線の位置情報には、1以上の電力線の各々の配置及び長さに対応する情報が含まれる。例えば、1以上の電力線の位置情報には、1以上の電力線の各々の端点及び経由点の座標などが含まれてもよい。1以上の電気機器は、電力線通信を行う1以上の電力線通信機器(以下、「PLC機器」とも称する)、電力線通信を行わない1以上の家電機器などを含んでもよい。
【0024】
また、情報取得部22は、PLCネットワークに含まれる1以上の構成要素にそれぞれ対応する1以上の識別情報を取得する。具体的には、情報取得部22は、PLCネットワークに含まれる電力線、PLC機器、家電機器などの構成要素を識別するための製品名、型番などの識別情報を取得する。
【0025】
情報取得部22は、入力部12から情報を取得してもよいし、入力データ記憶部82から情報を取得してもよい。また、入力部12からの指示に基づいて、入力データ記憶部82に記憶された情報を取得してもよい。例えば、入力部12から情報取得部22へ、入力データ記憶部82に記憶された特定の構造情報を取得するように指示してもよい。また、入力部12から情報取得部22へ、入力データ記憶部82に記憶された電気配線系統図に対応する情報を位置情報として取得するように指示してもよい。このように、位置情報は、電気配線系統図に対応する情報を含んでもよい。情報取得部22は、取得した1以上の電力線の位置情報、及び1以上の電気機器の位置情報を、ネットワーク設定部24に出力する。また、情報取得部22は、取得した構造情報を、建造物設定部26に出力する。
【0026】
ネットワーク設定部24は、情報取得部22によって取得されたPLCネットワークに含まれる1以上の構成要素の位置情報に基づいて、PLCネットワークの構成を設定する。つまり、ネットワーク設定部24は、PLCネットワークに含まれる1以上の構成要素の各々の配置と、1以上の構成要素の各々と他の構成要素との接続関係とを決定する。ネットワーク設定部24は、設定したPLCネットワークの情報を表示情報出力部28及びパラメータ設定部30に出力する。
【0027】
建造物設定部26は、情報取得部22によって取得された構造情報に基づいて、PLCネットワークが配置される建造物の構造を設定する。例えば、建造物設定部26は、PLCネットワークが配置される建造物の間取りなどを決定する。建造物設定部26は、設定した建造物の構造の情報を表示情報出力部28に出力する。
【0028】
表示情報出力部28は、PLCネットワークに係る情報を表示する表示部14に、構造情報に基づく図面を表示させ、かつ、位置情報に基づくPLCネットワークの少なくとも一部を図面に重ねて表示させる。例えば、表示情報出力部28は、建造物設定部26から入力された建造物の構造情報に基づく図面を、表示部14に表示させる。構造情報に基づく図面は、例えば、建造物の間取り図を含む。また、表示情報出力部28は、ネットワーク設定部24から入力されたPLCネットワークの情報に基づいて、PLCネットワークの少なくとも一部を間取り図に重ねて表示させる。
【0029】
図1に示されるパラメータ設定部30は、PLCネットワークの電気的パラメータを設定する処理部である。パラメータ設定部30は、配置設定部20において設定されたPLCネットワークの1以上の構成要素の各々の電気的パラメータを設定する。より具体的には、パラメータ設定部30は、配置設定部20が取得した1以上の識別情報に基づいて、パラメータ記憶部84から取得した1以上の構成要素の電気的パラメータを、PLCネットワークの電気的パラメータとして設定する。パラメータ設定部30について、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施の形態に係るパラメータ設定部30の機能構成を示すブロック図である。なお、
図3には、配置設定部20、パラメータ記憶部84、及びシミュレーション実行部40も併せて示されている。
図3に示されるように、パラメータ設定部30は、電気的パラメータ取得部32と、トポロジー作成部34と、パラメータ決定部36とを有する。
【0030】
電気的パラメータ取得部32は、配置設定部20が取得した1以上の識別情報に基づいて、パラメータ記憶部84から1以上の構成要素の電気的パラメータを取得する。
【0031】
トポロジー作成部34は、配置設定部20が設定したPLCネットワークの配置に係る情報に基づいて、PLCネットワークのトポロジーを作成する。具体的には、トポロジー作成部34は、PLCネットワークの配置に係る情報に基づいて、電力線によって構成されるPLCネットワークの各ブランチの長さ及び他のブランチとの接続関係を含むトポロジーを作成する。
【0032】
パラメータ決定部36は、電気的パラメータ取得部32によって取得された電気的パラメータと、トポロジー作成部34によって作成されたPLCネットワークのトポロジーとに基づいて、シミュレーションにおいて用いるパラメータを決定する。パラメータ決定部36は、決定したパラメータをシミュレーション実行部40に出力する。
【0033】
図1に示されるシミュレーション実行部40は、PLCネットワークのシミュレーションを行う処理部である。シミュレーション実行部40は、PLCネットワークのシミュレーションにおいて用い得る複数のアルゴリズムに基づいてシミュレーションを行うことができてもよい。シミュレーション実行部40は、例えば、複数のアルゴリズムのうち、指定された一つのアルゴリズムに基づいてシミュレーションを行ってもよい。PLCネットワークにおいて用い得るアルゴリズムとして、例えば、PLCネットワークを集中定数回路で近似する方法(signal lumped RLC model)、Fマトリックスの計算を縦続接続して積み重ねて計算する方法(非特許文献2、非特許文献3など参照)、分岐モデル減衰量推定法(BMAE)(非特許文献1など参照)などがある。
【0034】
シミュレーション実行部40について、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施の形態に係るシミュレーション実行部40の機能構成を示すブロック図である。なお、
図4には、入力部12、表示部14、結果記憶部86、パラメータ設定部30、及び結果出力部50も併せて示されている。
図4に示されるように、シミュレーション実行部40は、条件取得部42と、実行部44とを有する。
【0035】
条件取得部42は、パラメータ設定部30からシミュレーションにおいて用いるパラメータを取得する。条件取得部42は、入力部12から入力されたシミュレーションの条件を取得してもよい。例えば、条件取得部42には、シミュレーションで用いるアルゴリズムに係る情報を入力部12から取得してもよい。また、条件取得部42は、例えば、シミュレーションで用いることができる複数のアルゴリズムを表示部14に表示させてもよい。ユーザは、表示部14に表示された複数のアルゴリズムのうち一つを、入力部12を用いて指定してもよい。条件取得部42は、シミュレーションで用いるパラメータ及び条件に対応する情報を実行部44に出力する。
【0036】
実行部44は、条件取得部42から入力されたパラメータ及び条件を用いてシミュレーションを実行する。実行部44は、シミュレーション結果を結果記憶部86及び結果出力部50の少なくとも一方に出力する。具体的には、実行部44は、シミュレーションによって求められたPLCネットワークの電気特性を出力する。
【0037】
図1に示される結果出力部50は、シミュレーション実行部40によるシミュレーションによって求められた電気特性を出力する処理部である。結果出力部50は、例えば、表示部14にシミュレーションによって求められた電気特性を出力することで、表示部14に当該電気特性を表示させる。結果出力部50は、例えば、PLCネットワークにおけるスループット及び信号雑音比(Signal-Noise Ratio;SNR)の少なくとも一方を出力してもよい。また、結果出力部50は、PLC機器のコストを出力してもよい。なお、結果出力部50は、入力部12によって指定された電気特性を表示部14に出力してもよい。具体的には、結果出力部50は、出力し得る電気特性のリストを表示部14に表示させ、ユーザは、表示部14に表示された複数の電気特性のうち少なくとも一つを入力部12を用いて指定してもよい。結果出力部50は、結果記憶部86からシミュレーションによって求められた電気特性を取得してもよい。
【0038】
[2.ハードウェア構成]
次に、本実施の形態に係るシミュレーション装置10のハードウェア構成について、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態に係るシミュレーション装置10の機能をソフトウェアにより実現するコンピュータ1000のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0039】
コンピュータ1000は、
図5に示されるように、入力装置1001、出力装置1002、CPU1003、内蔵ストレージ1004、RAM1005、読取装置1007、送受信装置1008及びバス1009を備える。入力装置1001、出力装置1002、CPU1003、内蔵ストレージ1004、RAM1005、読取装置1007及び送受信装置1008は、バス1009により接続される。
【0040】
入力装置1001はキーボード、マウス、入力ボタン、タッチパッド、タッチパネルディスプレイなどといったユーザインタフェースとなる装置であり、ユーザの操作を受け付ける。なお、入力装置1001は、ユーザの接触操作を受け付ける他、音声での操作、リモコン等での遠隔操作を受け付ける構成であってもよい。入力装置1001は、シミュレーション装置10の入力部12の一例である。
【0041】
出力装置1002は、コンピュータ1000からの信号を出力する装置であり、信号出力端子の他、ディスプレイ、スピーカなどのユーザインタフェースとなる装置であってもよい。出力装置1002は、シミュレーション装置10の表示部14の一例である。
【0042】
内蔵ストレージ1004は、フラッシュメモリなどである。また、内蔵ストレージ1004は、シミュレーション装置10の機能を実現するためのプログラム、及び、シミュレーション装置10の機能構成を利用したアプリケーションの少なくとも一方が、予め記憶されていてもよい。内蔵ストレージ1004は、シミュレーション装置10の記憶部18の一例である。なお、記憶部18の少なくとも一部は、コンピュータ1000に含まれなくてもよい。
【0043】
RAM1005は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory)であり、プログラム又はアプリケーションの実行に際してデータ等の記憶に利用される。
【0044】
読取装置1007は、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体から情報を読み取る。読取装置1007は、上記のようなプログラムやアプリケーションが記録された記録媒体からそのプログラムやアプリケーションを読み取り、内蔵ストレージ1004に記憶させる。シミュレーション装置10の記憶部18の少なくとも一部は、例えば、読取装置1007に接続されるUSBメモリなどの外部ストレージで実現されてもよい。
【0045】
送受信装置1008は、無線又は有線で通信を行うための通信回路である。送受信装置1008は、例えばネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置から上記のようなプログラムやアプリケーションをダウンロードして内蔵ストレージ1004に記憶させる。シミュレーション装置10の記憶部18の少なくとも一部は、例えば、ネットワークに接続されたサーバ装置で実現されてもよい。
【0046】
CPU1003は、中央演算処理装置(Central Processing Unit)であり、内蔵ストレージ1004に記憶されたプログラム、アプリケーションなどをRAM1005にコピーし、コピーしたプログラム、アプリケーションなどに含まれる命令をRAM1005から順次読み出して実行する。
【0047】
[3.シミュレーション方法]
次に、本実施の形態に係るシミュレーション装置10において用いるシミュレーション方法について
図6及び
図7を用いて説明する。
図6及び
図7は、それぞれ、本実施の形態に係るシミュレーション方法の流れを示す第1及び第2のフローチャートである。
【0048】
図6に示されるように、まず、入力部12から、PLCネットワークが配置される建造物の構造を示す構造情報が入力される(S10)。構造情報は、例えば、ユーザによって入力部12を用いて入力される。入力部12から構造情報そのものが入力されてもよいし、入力データ記憶部82に記憶された構造情報を特定する情報が入力されてもよい。
【0049】
続いて、配置設定部20の情報取得部22は、構造情報を取得する(S12)。情報取得部22は、入力部12から構造情報を取得してもよいし、入力部12から入力された構造情報を特定する情報に基づいて入力データ記憶部82から構造情報を取得してもよい。
【0050】
続いて、配置設定部20は、表示部14に、構造情報に基づく図面を表示させる(S14)。具体的には、配置設定部20の建造物設定部26は、構造情報に基づいて、PLCネットワークが配置される建造物の構造を設定し、表示情報出力部28は、表示部14に、構造情報に基づいて設定された建造物の構造を示す図面を表示させる。ここで、配置設定部20が表示部14に表示させる画像について
図8を用いて説明する。
図8は、本実施の形態に係る表示部14において表示される建造物の構造を示す画像の一例を示す図である。
図8に示されるように、表示部14には、作図選択ウィンドウ14wsと描画ウィンドウ14wdとが表示される。描画ウィンドウ14wdは、建造物の構造、及び、PLCネットワークが描画される表示領域である。
図8に示されるように、表示部14の描画ウィンドウ14wdには、例えば、構造情報に基づいて建造物の間取り
図14fが表示される。作図選択ウィンドウ14wsは、PLCネットワークの構成要素を選択するための表示領域である。作図選択ウィンドウ14wsには、PLCネットワークの構成要素となり得る電力線、電気機器などを選択して描画するための選択ボタン14s1~14s7が表示されている。
図8に示される例では、作図選択ウィンドウ14wsには、電力線を選択するための選択ボタン14s1、分電盤を選択するための選択ボタン14s2、配電盤を選択するための選択ボタン14s3、PLC機器を選択するための選択ボタン14s4、コンセントを選択するための選択ボタン14s5、ジョイントボックス(登録商標)を選択するための選択ボタン14s6、及び、家電機器を選択するための選択ボタン14s7が表示されている。
【0051】
図6に戻り、ステップS14に続いて、入力部12から、PLCネットワークに含まれる1以上の構成要素の位置情報が配置設定部20に入力される。1以上の構成要素として、例えば、1以上の電力線の位置情報が入力される(S16)。具体的には、ユーザが、入力部12に含まれるマウスなどを用いて、
図8に示される作図選択ウィンドウ14wsの選択ボタン14s1を選択することで、電力線の位置情報を入力してもよい。例えば、電力線の配線位置のうち始点と終点とが、入力部12に含まれるキーボードなどを用いて入力されてもよいし、マウスなどを用いて入力されてもよい。また、入力データ記憶部82に1以上の電力線の位置情報が記憶されている場合には、入力部12から、入力データ記憶部82に記憶された位置情報を特定する情報が入力されてもよい。例えば、入力データ記憶部82に、1以上の電力線の位置情報を含む電気配線系統図に対応する情報が記憶されている場合には、当該電気配線系統図を特定する情報が入力部12から入力されてもよい。
【0052】
ここで、電力線の位置情報について
図9を用いて説明する。
図9は、本実施の形態に係る電力線の位置情報及び識別情報の一例を示す図である。
図9に示される電力線の位置情報の例には、電力線IDと、電力線の配置位置の始点及び終点と、電力線モデルIDとが含まれる。電力線IDは、PLCネットワークに含まれる電力線を特定するためのIDである。電力線モデルIDは、電力線の電気的パラメータを識別するための識別情報である。電力線モデルIDは、例えば、電力線の製品名、型番などを含んでもよい。電力線モデルIDなどの識別情報の入力については後述する。
【0053】
図6に戻り、ステップS16に続いて、配置設定部20の情報取得部22は、1以上の電力線の位置情報を取得する(S18)。情報取得部22は、入力部12から位置情報を取得してもよいし、入力部12から入力された位置情報を特定する情報に基づいて入力データ記憶部82から位置情報を取得してもよい。
【0054】
続いて、配置設定部20は、表示部14に、1以上の電力線の位置情報に基づく図面を表示させる(S20)。具体的には、配置設定部20のネットワーク設定部24は、位置情報を情報取得部22から入力され、位置情報をPLCネットワークの一部として、表示情報出力部28に出力する。表示情報出力部28は、表示部14に、位置情報に基づいて設定された1以上の電力線の位置を示す図を、建造物の構造情報に基づく図面に重ねて表示させる。ここで、1以上の電力線の位置を示す図について、
図10を用いて説明する。
図10は、本実施の形態に係る表示部14において表示される電力線及び電気機器の配置を示す図である。
図10に示されるように、表示部14の描画ウィンドウ14wdに表示された間取り
図14fに重ねて、PLCネットワーク14dsに含まれる電力線WR0001~WR0008が表示される。なお、
図10に示される描画ウィンドウ14wdには、後述する電気機器DV001~DV006、DV100~DV103、DV201~DV206も併せて表示されている。このように、間取り
図14fと電力線WR0001~WR0008とを重ねて表示させながら、各電力線の位置情報を入力できるため、各電力線の建造物における配置を容易に設定できる。例えば、各電力線の配線位置の一端を建造物の壁のうち、コンセントを配置する位置などを容易に設定できる。
【0055】
図6に戻り、ステップS20に続いて、入力部12から、PLCネットワークに含まれる電力線以外の1以上の構成要素の位置情報が配置設定部20に入力される。1以上の構成要素として、例えば、1以上の電気機器の位置情報が入力される(S22)。具体的には、ユーザが、入力部12に含まれるマウスなどを用いて、
図8に示される作図選択ウィンドウ14wsの選択ボタン14s2~14S7のいずれかを選択して、電気機器の位置情報を入力してもよい。例えば、電気機器の位置が、入力部12に含まれるキーボードなどを用いて入力されてもよいし、マウスなどを用いて入力されてもよい。また、入力データ記憶部82に1以上の電気機器の位置情報が記憶されている場合には、入力部12から、入力データ記憶部82に記憶された位置情報を特定する情報が入力されてもよい。
【0056】
ここで、電気機器の位置情報について
図11を用いて説明する。
図11は、本実施の形態に係る電気機器の位置情報及び識別情報の一例を示す図である。
図11に示される電気機器の位置情報の例には、電気機器IDと、電気機器の配置位置を示す座標と、電気機器モデルIDとが含まれる。電気機器IDは、PLCネットワークに含まれる各電気機器を特定するためのIDである。電気機器モデルIDは、電気機器の電気的パラメータを識別するための識別情報である。電気機器モデルIDは、例えば、電気機器の製品名、型番などである。
【0057】
図6に戻り、ステップS22に続いて、配置設定部20の情報取得部22は、1以上の電気機器の位置情報を取得する(S24)。情報取得部22は、入力部12から位置情報を取得してもよいし、入力部12から入力された位置情報を特定する情報に基づいて入力データ記憶部82から位置情報を取得してもよい。
【0058】
続いて、配置設定部20は、表示部14に、1以上の電気機器の位置情報に基づく図面を表示させる(S26)。具体的には、配置設定部20のネットワーク設定部24は、位置情報を情報取得部22から入力され、位置情報をPLCネットワークの一部として、表示情報出力部28に出力する。表示情報出力部28は、表示部14に、位置情報に基づいて設定された1以上の電気機器の位置を示す図を、建造物の構造情報に基づく図面に重ねて表示させる。ここで、1以上の電気機器の位置を示す図について、
図10を用いて、説明する。
図10に示されるように、表示部14の描画ウィンドウ14wdに表示された間取り
図14fに重ねて、電気機器DV001~DV006、DV100~DV103、DV201~DV206が表示されている。このように、表示部14に間取り
図14fと各電気機器とを重ねて表示させながら、各電気機器の位置情報を入力できるため、各電気機器の建造物における配置を容易に設定できる。例えば、電気機器のうち、コンセント(
図10に示される電気機器DV201~DV206参照)の位置を、建造物の壁などに対応する位置に容易に設定できる。また、電気機器のうち、家電機器(
図10に示される電気機器DV000参照)の位置を、建造物の間取りに合わせて直観的に設定できる。
【0059】
図6に戻り、ステップS26に続いて、入力部12から、PLCネットワークに含まれる1以上の構成要素の識別情報が配置設定部20に入力される(S28)。例えば、ユーザが、入力部12に含まれるマウスなどを用いて、表示部14に表示された各構成要素を選択し、選択した構成要素の識別情報を入力する。これに伴い、配置設定部20は、入力された識別情報を取得する(S30)。
【0060】
ここで、構成要素の例として、電力線及びPLC機器の識別情報の入力方法について、
図12及び
図13を用いて説明する。
図12及び
図13は、それぞれ、本実施の形態に係るPLCネットワークに含まれる電力線及びPLC機器の識別情報の入力方法の一例を示す図である。
【0061】
電力線の識別情報を入力する場合、例えば、表示部14に表示されたPLCネットワークに含まれる一つの電力線をマウスなどを用いて選択すると、
図12に示されるような電力線属性編集ウィンドウW11が表示される。電力線属性編集ウィンドウW11には、電力線モデル入力欄などの、電力線の属性を設定するための入力欄が表示される。電力線属性編集ウィンドウW11内の電力線モデル入力欄をマウスなどを用いて選択すると、
図12に示されるような電力線モデル選択ウィンドウW12が表示される。電力線モデル選択ウィンドウW12には、識別情報の一例である1以上の電力線モデルIDが表示される。なお、1以上の電力線モデルIDの情報は、例えば、入力データ記憶部82に記憶されており、配置設定部20は、入力データ記憶部82から当該情報を取得する。
【0062】
続いて、選択した電力線に対応する電力線モデルIDを電力線モデル選択ウィンドウW12からマウスなどを用いて選択することで、当該電力線の識別情報である電力線モデルIDを入力できる。なお、電力線モデルIDを選択した場合に、
図12に示されるような電力線モデル編集ウィンドウW13が表示されてもよい。電力線モデル編集ウィンドウW13は、電力線の電気的パラメータを編集するための入力欄である。これにより、電力線に一致する電力線モデルIDが電力線モデル選択ウィンドウW12内に表示されない場合に、他の電力線モデルIDの電気的パラメータを編集することで、当該電力線の電気的パラメータを適切な値に編集できる。電力線モデル編集ウィンドウW13には、例えば、外部ファイル入力欄、モデルパラメータ欄などが含まれる。外部ファイル入力欄は、例えば、入力データ記憶部82などに記憶されたファイルを指定することで、電力線の電気的パラメータを、当該ファイルに記録された電気的パラメータに設定することができる。モデルパラメータ欄には、電気的パラメータが表示されており、各電気的パラメータを入力部12から編集することができる。
【0063】
PLC機器の識別情報を入力する場合、例えば、表示部14に表示されたPLCネットワークに含まれる一つのPLC機器をマウスなどを用いて選択すると、
図13に示されるようなPLC機器属性編集ウィンドウW21が表示される。PLC機器属性編集ウィンドウW21には、PLCモデル入力欄などの、PLC機器の属性を設定するための入力欄が表示される。PLC機器属性編集ウィンドウW21には、
図13に示されるように、パワーコントロール設定、マスター/ターミナル設定、マルチホップオン/オフ、遅延などのPLC機器の設定を入力する入力欄が含まれてもよい。
【0064】
PLC機器属性編集ウィンドウW21内のPLCモデル入力欄をマウスなどを用いて選択すると、
図13に示されるようなPLCモデル選択ウィンドウW22が表示される。PLCモデル選択ウィンドウW22には、識別情報の一例である1以上のPLCモデルIDが表示される。選択したPLC機器に対応するPLCモデルIDをPLCモデル選択ウィンドウW22からマウスなどを用いて選択することで、当該PLC機器の識別情報であるPLCモデルIDを入力できる。なお、PLCモデルIDを選択した場合に、
図13に示されるようなPLCモデル編集ウィンドウW23が表示されてもよい。PLCモデル編集ウィンドウW23は、PLC機器の電気的パラメータを編集するための入力欄である。これにより、PLC機器に一致するPLCモデルIDがPLCモデル選択ウィンドウW22内に表示されない場合に、他のPLCモデルIDの電気的パラメータを編集することで、当該PLC機器の電気的パラメータを適切な値に編集できる。PLCモデル編集ウィンドウW23には、
図12に示される電力線モデル編集ウィンドウW13と同様に、外部ファイル入力欄、モデルパラメータ欄などが含まれる。PLC機器の電気的パラメータも、電力線の電気的パラメータと同様に編集することができる。
【0065】
また、例えば、PLCネットワークに含まれる電気機器の識別情報以外のパラメータが入力されてもよい。例えば、家電機器のノイズモデルが入力されてもよい。ここで、家電機器のノイズモデルの入力方法について、
図14を用いて説明する。
図14は、本実施の形態に係る家電機器のノイズモデルの入力方法の一例を示す図である。家電機器のノイズモデルを入力する場合、例えば、表示部14に表示されたPLCネットワークに含まれる一つの家電機器をマウスなどを用いて選択すると、
図14に示されるような家電機器属性編集ウィンドウW31が表示される。家電機器属性編集ウィンドウW31には、ノイズモデル入力欄などの、家電機器のパラメータを設定するための入力欄が表示される。
【0066】
家電機器属性編集ウィンドウW31内のノイズモデル入力欄をマウスなどを用いて選択すると、
図14に示されるようなノイズモデル選択ウィンドウW32が表示される。ノイズモデル選択ウィンドウW32には、1以上のノイズモデルIDが表示される。選択した家電機器に対応するノイズモデルIDをノイズモデル選択ウィンドウW32からマウスなどを用いて選択することで、当該家電機器のノイズモデルに対応するノイズモデルIDを入力できる。なお、ノイズモデルIDを選択した場合に、
図14に示されるようなノイズモデル編集ウィンドウW33が表示されてもよい。ノイズモデル編集ウィンドウW33は、家電機器のノイズモデルIDに対応するノイズモデルを編集するための入力欄である。これにより、家電機器のノイズモデルに対応するノイズモデルIDがノイズモデル選択ウィンドウW32内に表示されない場合に、他のノイズモデルIDに対応するパラメータを編集することで、当該家電機器のノイズモデルを適切なモデルに編集できる。ノイズモデル編集ウィンドウW33には、
図14に示される電力線モデル編集ウィンドウW13と同様に、外部ファイル入力欄、モデルパラメータ欄などが含まれる。家電機器のノイズモデルIDも、電力線の電気的パラメータと同様に編集することができる。
【0067】
各以上では、電力線及びPLC機器の識別情報の入力方法例について説明したが、他の電気機器の識別情報なども同様に入力することができる。
【0068】
図6に戻り、ステップS30に続いて、配置設定部20は、取得した位置情報、識別情報などに基づいてPLCネットワークの配置を設定する(S32)。具体的には、PLCネットワークに含まれる1以上の構成要素の識別情報と、各構成要素の位置情報と、各構成要素間の接続状態とを設定する。配置設定部20は、設定したPLCネットワークの配置に係る情報をパラメータ設定部30に出力する。なお、上述したように、各構成要素の電気的パラメータなどを編集した場合には、当該編集した電気的パラメータも併せてパラメータ設定部30に出力される。
【0069】
続いて、
図7に示されるように、パラメータ設定部30は、PLCネットワークの配置に係る情報を配置設定部20から取得する(S34)。
【0070】
続いて、パラメータ設定部30は、PLCネットワークの配置に係る情報に基づいて、PLCネットワークのトポロジーを作成する(S36)。具体的には、パラメータ設定部30のトポロジー作成部34は、PLCネットワークの配置に係る情報に基づいて、電力線によって構成されるPLCネットワークの各ブランチの長さ及び他のブランチとの接続関係を含むトポロジーを作成する。ここで、トポロジー作成部34によって作成されるトポロジーについて
図15を用いて説明する。
図15は、本実施の形態に係るPLCネットワークのトポロジーの一部を示すグラフである。トポロジー作成部34は、
図15に示されるように、トポロジーに含まれるブランチを示すブランチIDと、電力線長と、当該ブランチの各端部に接続される電気機器又はブランチと、当該ブランチを構成する電力線の識別情報の一例である電力線モデルIDとを設定する。
【0071】
続いて、パラメータ設定部30は、PLCネットワークに含まれる1以上の構成要素の各々の電気的パラメータを取得する(S38)。具体的には、パラメータ設定部30の電気的パラメータ取得部32は、配置設定部20が取得した1以上の識別情報に基づいて、パラメータ記憶部84から1以上の構成要素の電気的パラメータを取得する。ここで、パラメータ記憶部84に記憶される電気的パラメータについて
図16及び
図17を用いて説明する。
図16及び
図17は、それぞれ、本実施の形態に係るパラメータ記憶部84が記憶するPLCネットワークに含まれる電力線及び電気機器の電気的パラメータを示す図である。
図16及び
図17に示されるように、パラメータ記憶部84は、1以上の識別情報にそれぞれ対応付けられた1以上の構成要素の電気的パラメータを記憶する。電力線の電気的パラメータとして、例えば、
図16に示されるようにABCDパラメータ(言い換えると、Fパラメータ)が記憶される。電気機器の電気的パラメータとして、例えば、
図17に示されるように、インピーダンス、S(Scattering)パラメータ、ノイズ式などが記憶される。なお、パラメータ記憶部84は、
図17に示されるように、電気機器の機器種別情報も併せて記憶してもよい。例えば、
図17に示される機器モデルIDがDM000及びDM001である電気機器の機器種別情報として、それぞれ、エアコン及びテレビが記憶されている。
【0072】
また、パラメータ設定部30の電気的パラメータ取得部32は、各電気機器において設定されたパラメータを取得してもよい。例えば、PLC機器において設定されたパラメータを取得してもよい。ここで、パラメータ記憶部84に記憶されるPLC機器において設定されたパラメータについて
図18及び
図19を用いて説明する。
図18は、本実施の形態に係るパラメータ記憶部84が記憶するPLC機器において設定されたパラメータを示す図である。
図19は、本実施の形態に係るパラメータ記憶部84が記憶するパワーコントロールIDのパラメータを示す図である。
【0073】
図18に示されるように、PLC機器において設定されたパラメータとして、例えば、パワーコントロールIDと、マスター又はターミナルの設定状態と、マルチホップのオン又はオフの設定状態とが、パラメータ記憶部84に記憶される。これらのパラメータは、入力部12などから変更できてもよい。また、パワーコントロールIDは、
図19に示されるように、各キャリアにおける送信パワーの組み合わせを示すIDである。
【0074】
以上のようにパラメータ記憶部84に記憶された電気的パラメータを、電気的パラメータ取得部32が取得する。
【0075】
図7に戻り、ステップS38に続いて、パラメータ設定部30は、PLCネットワークのパラメータを決定する(S40)。具体的には、パラメータ設定部30のパラメータ決定部36は、取得した電気的パラメータと、作成したトポロジーとに基づいて、PLCネットワークのトポロジーと電気的パラメータとを含むパラメータを決定する。
【0076】
続いて、シミュレーション実行部40は、パラメータ設定部30からPLCネットワークのパラメータを取得する(S42)。具体的には、シミュレーション実行部40の条件取得部42は、パラメータ設定部30からシミュレーションにおいて用いるパラメータを取得する。
【0077】
続いて、入力部12からシミュレーション実行部40に、シミュレーションの条件が入力される(S44)。具体的には、シミュレーションの条件として、シミュレーションにおいて用いるアルゴリズム、PLCネットワークの要求仕様などが含まれる。なお、シミュレーション条件として、PLC機器などの電気機器において設定されるパラメータが含まれてもよい。ここで、シミュレーション条件の入力方法について、
図20及び
図21を用いて説明する。
図20は、本実施の形態に係るシミュレーションの条件を入力する際に表示部14に表示される画像の一例を示す図である。
図21は、本実施の形態に係るシミュレーションの条件の入力方法の一例を示す図である。
【0078】
本実施の形態では、
図20に示されるように、シミュレーション実行部40によって、表示部14に、シミュレーションの条件の入力を開始するためのボタンであるシミュレーション条件設定ボタンなどが表示される。ユーザは、例えば、マウスなどを用いてシミュレーション条件設定ボタンを選択することで、シミュレーションの条件の入力を開始できる。シミュレーション条件設定ボタンが選択された場合、シミュレーション実行部40は、表示部14に、例えば、
図21に示されるような条件設定ウィンドウを表示させる。条件設定ウィンドウには、シミュレーションの各種条件が表示される。
図21に示される例では、シミュレーションにおいて用いるアルゴリズム、要求スループットが表示される。例えば、
図21に示される例では、条件設定ウィンドウには、アルゴリズムのリストと、要求スループットとが表示されている。
図21に示されるアルゴリズムのリストには、シミュレーションで使用し得る三つのアルゴリズムが含まれる。
図21に示されるようなアルゴリズムのリストのうち一つを、例えばマウスなどを用いて選択することで、シミュレーションで使用するアルゴリズムを指定できる。また、要求スループット入力欄をマウスなどを用いて選択すると、要求スループットの数値を入力できる状態となり、キーボードなどを用いて所望の数値を入力できる。
【0079】
図7に戻り、ステップS44に続いて、シミュレーション実行部40の条件取得部42が入力部から入力されたシミュレーションの条件を取得する(S46)。
【0080】
続いて、シミュレーション実行部40の実行部44は、条件取得部42が取得したPLCネットワークのパラメータ、及び、シミュレーションの条件に基づいて、シミュレーションを実行する(S48)。
【0081】
続いて、シミュレーション実行部40の実行部44は、シミュレーション結果を結果記憶部86及び結果出力部50の少なくとも一方に出力する(S50)。本実施の形態では、実行部44は、結果記憶部86及び結果出力部50の両方にシミュレーションによって得られた電気特性を出力する。ここで、実行部44が出力するシミュレーション結果について、
図22~
図24を用いて説明する。
図22は、本実施の形態に係るシミュレーション実行部40が出力するシミュレーション結果の一例を示す図である。
図23及び
図24は、それぞれ、本実施の形態に係るシミュレーション実行部40が出力するシミュレーション結果に含まれるSNR及びスループットの一例を示す図である。
図22に示されるように、シミュレーションを行った条件を示すシミュレーション条件ID毎に結果が出力され、当該結果には、結果を特定するための結果IDが付与されている。
図22に示される例では、シミュレーション結果には、SNRとスループットとが含まれる。例えば、シミュレーション条件IDがCD001の場合のシミュレーション結果の結果IDは、S001である。当該シミュレーション結果に含まれるSNRには、SNRIDとして、SN001が付与され、当該シミュレーション結果に含まれるスループットには、スループットIDとして、TH001が付与される。
図23に示されるように、シミュレーション結果に含まれるSNRは、SNRIDと対応付けられている。また、
図23に示される例では、一対のPLC機器間のSNRのシミュレーション結果がSNRIDと対応付けられている。SNRは、シグナル及びノイズの各周波数におけるパワー(dBm)として示されている。また、
図24に示されるように、シミュレーション結果に含まれるスループットは、スループットIDと対応付けられている。
図24に示される例では、一対のPLC機器間のスループットのシミュレーション結果がスループットIDと対応付けられている。このように、結果ID、シミュレーション条件ID、SNRID、及び、スループットIDが互いに対応付けられたテーブルと、具体的なシミュレーション結果であるSNR及びスループットを示すテーブルとが、シミュレーション結果として出力される。なお、他のシミュレーション結果が出力されてもよい。例えば、スループットが要求スループット未満である場合には、要求スループットを満足するために追加する必要があるPLC機器の台数が出力されてもよい。当該PLC機器の台数は、例えば、シミュレーション実行部40によって求められる。シミュレーション実行部は、要求スループットを満足しない一対のPLC機器間のブランチにPLC機器を追加し、再度シミュレーションを行うことを、要求スループットを満足するまで繰り返すことで、必要なPLC機器の台数及びそれらの配置を求めてもよい。
【0082】
また、シミュレーション条件にPLC機器の配置が含まれない場合には、シミュレーション実行部40において、PLC機器の配置を決定し、決定したPLC機器の配置をシミュレーション結果の一部として出力してもよい。例えば、シミュレーション実行部は、PLCネットワークに含まれるブランチ毎に1台のPLC機器を配置して、シミュレーションを行い、要求スループットを満足しない一対のPLC機器間のブランチにPLC機器を追加することを、要求スループットを満足するまで繰り返すことで、必要なPLC機器の台数及びそれらの配置を求めてもよい。なお、シミュレーション結果として、PLC機器のコストなどが出力されてもよい。
【0083】
続いて、結果出力部50は、シミュレーション実行部40からシミュレーション結果を取得する(S52)。結果出力部50は、シミュレーション実行部40からシミュレーション結果を取得してもよいし、結果記憶部86から取得してもよい。
【0084】
続いて、結果出力部50は、表示部14に、シミュレーションによって求められた電気特性のリストを含む結果リストを表示させる(S54)。例えば、結果出力部50は、SNR、スループット、PLC機器台数、PLC機器コストなどを含む結果リストを表示する。
【0085】
続いて、入力部12から、結果リストのうち、表示させる結果の項目が選択される(S56)。具体的には、ユーザは、表示部14に表示された結果リストに含まれる電気特性などをマウスなどを用いて選択することで、表示させる結果の項目を選択できる。
【0086】
続いて、結果出力部50は、入力部12から選択された結果を表示部14に表示させる(S58)。例えば、結果リストからスループットが選択された場合には、結果出力部50は、シミュレーション実行部40が出力した結果の中からスループットを選択して表示部14に表示させる。なお、結果出力部50は、シミュレーション結果を、表、グラフなどの形式で表示させてもよいし、PLCネットワークの図面と併せて表示させてもよい。ここで、シミュレーション結果の表示態様について、
図25を用いて説明する。
図25は、本実施の形態に係るシミュレーション結果の表示態様の一例を示す図である。
図25に示されるように、PLCネットワークの図面と、シミュレーション結果とを合わせて表示部14に表示させてもよい。
図25に示される例では、PLCネットワークの各ブランチに、当該ブランチにおけるスループットの値が表示されている。このような表示により、スループットと、PLCネットワークとの関係を容易に把握することができる。また、
図25の電力線IDがWR001及びWR002である各電力線のように、スループットが要求スループット未満である電力線にマークを付してもよい。
図25では、マークとして、電力線に沿って破線が表示されている。また、
図25に示されるように、スループットの値のうち、要求スループット未満である値に下線などのマークを付してもよい。これにより、要求仕様を満足していない箇所を容易に見つけることができる。
【0087】
また、要求スループットを満足していない場合、PLC機器を追加すべき位置が表示されてもよい。
図25では、分電盤(電気機器DV101)の付近に追加すべきPLC機器(電気機器DV007)が表示されている。また、追加すべきPLC機器は、すでに配置されているPLC機器と異なる表示態様で表示されてもよい。
図25ではすでに配置されているPLC機器は実線枠を含み、追加すべきPLC機器は破線枠を含む。
【0088】
また、
図25に示されるように、表示部14に、要求スループットを満足するために必要なPLC機器の台数、及び、そのコストを表示させてもよい。
【0089】
以上のように、本実施の形態に係るシミュレーション方法によれば、PLCネットワーク、電気配線、建築などに関する深い知識を有していないユーザでも容易にPLCネットワークのシミュレーションを行うことができる。
【0090】
[3.まとめ]
以上のように、本実施の形態に係るシミュレーション装置10は、PLCネットワークの電気特性を計算する。シミュレーション装置10は、PLCネットワークの配置を設定する配置設定部20と、PLCの電気的パラメータを設定するパラメータ設定部30と、PLCネットワークのシミュレーションを行うシミュレーション実行部40と、シミュレーション実行部40によるシミュレーションによって求められた電気特性を出力する結果出力部50とを備える。配置設定部20は、PLCネットワークが配置される建造物の構造を示す構造情報、及び、PLCネットワークに含まれる1以上の構成要素の位置情報を取得する情報取得部22と、PLCネットワークに係る情報を表示する表示部14に、構造情報に基づく図面を表示させ、かつ、位置情報に基づくPLCネットワークの少なくとも一部を当該図面に重ねて表示させる表示情報出力部28とを有する。
【0091】
このように、建造物の構造情報に基づく図面にPLCネットワークを重ねて表示させることができるため、PLCネットワークの建造物における配置を容易に設定できる。したがって、電気配線、建築などに関する深い知識を有さないユーザでも容易にシミュレーションを行うことができる。
【0092】
また、本実施の形態に係るシミュレーション装置10において、構造情報に基づく図面は、建造物の間取り図を含んでもよい。
【0093】
これにより、間取り図と電力線などのPLCネットワークの構成要素とを重ねて表示させながら、各構成要素の位置情報を入力できるため、各構成要素の建造物における配置を容易に設定できる。
【0094】
また、本実施の形態に係るシミュレーション装置10において、PLCネットワークに含まれる1以上の構成要素は、1以上の電気機器を含んでもよい。
【0095】
これにより、電力線以外の電気機器を含むPLCネットワークのシミュレーションを行うことができるため、より正確なシミュレーション結果を得ることができる。
【0096】
また、本実施の形態に係るシミュレーション装置10において、PLCネットワークに含まれる1以上の電気機器は、1以上のPLC機器を含んでもよい。
【0097】
これにより、PLC機器を含むPLCネットワークのシミュレーションを行うことができるため、PLC機器の電気特性を反映した正確なシミュレーション結果を得ることができる。
【0098】
また、本実施の形態に係るシミュレーション装置10において、配置設定部20の情報取得部22は、1以上の構成要素にそれぞれ対応する1以上の識別情報を取得してもよい。パラメータ設定部30は、配置設定部20が取得した1以上の識別情報に基づいて、1以上の識別情報と、1以上の識別情報にそれぞれ対応付けられた1以上の構成要素の電気的パラメータとを記憶するパラメータ記憶部84から取得した1以上の構成要素の電気的パラメータを、PLCネットワークの電気的パラメータとして設定してもよい。
【0099】
これにより、ユーザは、各構成要素の電気的パラメータを入力することなく、識別情報だけを入力することでPLCネットワークの電気的パラメータを設定できる。したがって、容易にシミュレーションを行うことができる。
【0100】
また、本実施の形態に係るシミュレーション装置10において、1以上の識別情報の各々は、1以上の構成要素のうち、対応する構成要素の製品名を含んでもよい。
【0101】
これにより、ユーザは、識別情報として製品名を入力するだけで、PLCネットワークに含まれる構成要素の電気的パラメータを設定できる。したがって、容易にシミュレーションを行うことができる。
【0102】
また、本実施の形態に係るシミュレーション装置10において、シミュレーション実行部40は、複数のアルゴリズムの各々に基づいてシミュレーションを行うことができてもよい。
【0103】
これにより、PLCネットワークの構成などに応じて、より適切なアルゴリズムを選択してシミュレーションを行うことができる。
【0104】
また、本実施の形態に係るシミュレーション装置10において、結果出力部50は、PLCネットワークにおけるスループット及びSNRの少なくとも一方を出力してもよい。
【0105】
これにより、PLCネットワークの構成がPLCを行うために適切な構成を有しているか否かを検証することができる。
【0106】
また、本実施の形態に係るシミュレーション装置10において、結果出力部50は、PLC機器のコストを出力してもよい。
【0107】
これにより、シミュレーションによって、PLCネットワークの電気特性だけでなくコストも見積もることができる。
【0108】
また、本実施の形態に係るシミュレーション方法は、PLCネットワークの電気特性を計算するシミュレーション方法であって、PLCネットワークの配置を設定する配置設定ステップと、PLCネットワークの電気的パラメータを設定するパラメータ設定ステップと、PLCネットワークのシミュレーションを行うシミュレーション実行ステップと、シミュレーション実行ステップによって求められた電気特性を出力する結果出力ステップとを含む。配置設定ステップは、PLCネットワークが配置される建造物の構造を示す構造情報、及び、PLCネットワークに含まれる1以上の構成要素の位置情報を取得する情報取得ステップと、構造情報に基づく図面を表示させ、かつ、位置情報に基づくPLCネットワークの少なくとも一部を図面に重ねて表示させる表示情報出力ステップとを含む。
【0109】
このように、建造物の構造情報に基づく図面にPLCネットワークを重ねて表示させることができるため、PLCネットワークの建造物における配置を容易に設定できる。したがって、電気配線、建築などに関する深い知識を有さないユーザでも容易にシミュレーションを行うことができる。
【0110】
(変形例など)
以上、本開示に係るシミュレーション装置10などについて、各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を各実施の形態に施したものや、各実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0111】
例えば、上記実施の形態では、シミュレーション装置10は、入力部12と、表示部14と、記憶部18とを備えたが、シミュレーション装置10は、これらを備えなくてもよい。例えば、シミュレーション装置10は、外部の入力部、表示部、及び、記憶部に接続されて使用されてもよい。
【0112】
また、本実施の形態のシミュレーション方法では、電力線及び電気機器の各位置情報が順に入力されたが、これらの位置情報の入力の順序は特に限定されない。また、電力線及び電気機器の各位置情報の入力時に、併せて識別情報も入力されてもよい。
【0113】
また、本実施の形態のシミュレーション方法では、PLCネットワークに含まれる電力線及び電気機器のすべてが入力部12から入力されたが、PLCネットワークに含まれる電力線及び電気機器の少なくとも一部が入力データ記憶部82から入力されてもよい。例えば、入力データ記憶部82は、電気配線系統図に対応する情報を記憶し、配置設定部20の情報取得部22が取得する位置情報は、電気配線系統図に対応する情報を含んでもよい。これにより、入力部12から入力する位置情報を削減することができるため、容易にシミュレーションを行うことができる。
【0114】
また、本実施の形態では、結果出力部50は、表示部14にシミュレーション結果を出力したが、結果出力部50の出力態様はこれに限定されない。例えば、結果出力部50は、プリンターなどにシミュレーション結果を出力してもよい。
【0115】
また、以下に示す形態も、本開示の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0116】
(1)上記のシミュレーション装置10に含まれる構成要素の一部は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムであってもよい。前記RAM又はハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0117】
(2)上記のシミュレーション装置10に含まれる構成要素の一部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0118】
(3)上記のシミュレーション装置10に含まれる構成要素の一部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカード又は前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカード又は前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカード又は前記モジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0119】
(4)また、上記のシミュレーション装置10に含まれる構成要素の一部は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0120】
また、上記のシミュレーション装置10に含まれる構成要素の一部は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0121】
(5)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。さらに、本開示は、そのコンピュータプログラムを記録したCD-ROM等である非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現してもよい。
【0122】
(6)また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0123】
(7)また、前記プログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記プログラム又は前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0124】
(8)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本開示は、例えば、建造物に配置するPLCネットワークを設計するためのシミュレーション装置などとして利用できる。
【符号の説明】
【0126】
10 シミュレーション装置
12 入力部
14 表示部
14ds PLCネットワーク
14f 間取り図
14s1、14s2、14s3、14s4、14s5、14s6、14s7 選択ボタン
14wd 描画ウィンドウ
14ws 作図選択ウィンドウ
16 GUIツール
18 記憶部
20 配置設定部
22 情報取得部
24 ネットワーク設定部
26 建造物設定部
28 表示情報出力部
30 パラメータ設定部
32 電気的パラメータ取得部
34 トポロジー作成部
36 パラメータ決定部
40 シミュレーション実行部
42 条件取得部
44 実行部
50 結果出力部
82 入力データ記憶部
84 パラメータ記憶部
86 結果記憶部
1000 コンピュータ
1001 入力装置
1002 出力装置
1003 CPU
1004 内蔵ストレージ
1005 RAM
1007 読取装置
1008 送受信装置
1009 バス
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