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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120374
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/36 20060101AFI20220810BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B65D33/36
B65D30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017227
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】山下 香往里
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB11
3E064AB23
3E064BA01
3E064BA22
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA12
3E064EA23
3E064FA04
3E064HA06
3E064HD01
3E064HE02
3E064HM01
3E064HN05
3E064HP02
3E064HS05
(57)【要約】
【課題】材料の一部に紙を使用した収納容器であって、液状の内容物を収容したときに、出口から内容物を排出させやすく、例えば、詰替え用包装袋に好適に適用できる収納容器を提供する。
【解決手段】本開示に係る収納容器は、紙基材及びヒートシール層をそれぞれ含む一対のシートと、一対のシートが重ね合わされた状態で一対のシートの周縁同士が部分的にシールされたシール部と、一対のシートの間に形成された収容部と、収容部と連通し且つ収容部から突出するように設けられている出口部を備える。一対のシートの少なくとも一方が、外方に向けて突出し且つ線状を呈するようにエンボス加工されたエンボス部を有し、エンボス部は出口部から収容部の方向に延びている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材及びヒートシール層をそれぞれ含む一対のシートと、
前記一対のシートが重ね合わされた状態で前記一対のシートの周縁同士が部分的にシールされたシール部と、
前記一対のシートの間に形成された収容部と、
前記収容部と連通し且つ前記収容部から突出するように設けられている出口部と、
を備え、
前記シール部が、前記収容部に沿って形成されている第一のシール部と、前記第一のシール部から連続して前記出口部に沿って形成されている第二のシール部を有し、
前記一対のシートの少なくとも一方が、外方に向けて突出し且つ線状を呈するようにエンボス加工されたエンボス部を有し、
前記エンボス部が、前記出口部から前記収容部の方向に延びている、収納容器。
【請求項2】
前記エンボス部の幅が0.5~5.0mmである、請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
以下の条件を満たす、請求項1又は2に記載の収納容器。
0.025≦Wa/Wb≦0.5
式中、Waは前記エンボス部の幅を示し、Wbは前記第二のシール部から前記出口部に至り、再び前記第二のシール部を通過するラインに沿って前記出口部を切断したときに形成される出口の幅を示す。
【請求項4】
前記第二のシール部から前記出口部に至り、再び前記第二のシール部を通過するラインに沿って傷加工が施されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の収納容器。
【請求項5】
前記紙基材の単位面積あたりの質量が60~120g/mである、請求項1~4のいずれか一項に記載の収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は収納容器に関し、例えば、詰替え用スタンディングパウチに適用し得る収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
収納容器の一例として、スタンディングパウチが挙げられる。スタンディングパウチは、店頭の商品棚で商品を目立たせることが可能で、採用の範囲が広がっている。従来、材料の一部に紙を使用したスタンディングパウチが開発されている(例えば、特許文献1,2参照)。近年、海洋プラスチックごみ問題にみられるようにマイクロプラスチックによって環境汚染に影響を与えることが問題視されている。これに伴って、脱プラスチック運動やプラスチック製品の使用を控える風潮が高まり、紙単体又は紙を含む複合材をした包装材の需要が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-73714号公報
【特許文献2】特開2008-81196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、紙基材とヒートシール層とを含む積層シートを使用してスタンディングパウチを試作した。試作したスタンディングパウチに水を密封した後、出口部を切り取り、スタンディングパウチを逆さにして出口から水を排出させた。その結果、滴り落ちる程度の速さでしか水が排出されないという課題があった。
【0005】
本開示は、材料の一部に紙を使用した収納容器であって、液状の内容物を収容したときに、出口から内容物を排出させやすい収納容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る収納容器は、紙基材及びヒートシール層をそれぞれ含む一対のシートと、一対のシートが重ね合わされた状態で一対のシートの周縁同士が部分的にシールされたシール部と、一対のシートの間に形成された収容部と、収容部と連通し且つ収容部から突出するように形成されている出口部とを備える。上記シール部は、収容部に沿って形成されている第一のシール部と、第一のシール部から連続して出口部に沿って形成されている第二のシール部を有する。一対のシートの少なくとも一方が外方に向けて突出し且つ線状を呈するようにエンボス加工されたエンボス部を有する。このエンボス部は出口部から収容部の方向に延びている。
【0007】
シートに線状のエンボス部を設けたことで、液状の内容物を収容した当該容器の出口から内容物を排出させやすいという効果が奏される。このため、当該容器は、例えば、詰替え用スタンディングパウチに好適に適用し得る。また、紙基材が使用されているため、プラスチックの使用量を大幅に削減でき、地球環境保全に貢献することができる。
【0008】
紙基材は、合成樹脂基材と比較して延伸性が低いため、幅の太いエンボス部を形成しにくいという特徴がある。本発明者らの検討によると、エンボス部の幅が比較的細くても内容物の排出性の向上効果が認められる。すなわち、エンボス部の幅は、0.5~5.0mm程度であればよい。紙基材を含むシートに線状のエンボス部が形成されると、紙のデッドホールド性(形状が保持される性質)によって、収容部から出口に至る細い流路がエンボス部によって安定的に形成される。このような細い流路が維持された状態で収納容器を逆さにすると、内容物が細い流路に流れ込むとともに内容物の重さで出口が開かれ、これにより、設計通りの速度で内容物が排出されると推察される。かかる観点から、上記収納容器は以下の条件を満たすものであってもよい。
0.025≦Wa/Wb≦0.5
式中、Waはエンボス部の幅を示し、Wbは第二のシール部から出口部に至り、再び第二のシール部を通過するラインに沿って出口部を切断したときに形成される出口の幅を示す。
【0009】
上記ラインに沿って傷加工が施されていることが好ましい。傷加工を施しておくことで、使用者がハサミなどを使用せず、指の力で収納容器を開封しやすい。紙基材の単位面積あたりの質量は、例えば、60~120g/mである。この値が60g/m以上であることで、十分なデッドホールド性を確保できる傾向にあり、他方、120g/m以下であることで、使用者が指の力で開封できる傾向にある。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、材料の一部に紙を使用した収納容器であって、液状の内容物を収容したときに、出口から内容物を排出させやすい収納容器が提供される。当該容器は、例えば、詰替え用スタンディングパウチに好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本開示に係る収納容器の一実施形態を模式的に示す正面図である。
図2図2図1に示す収納容器の構成を模式的に示す断面図である。
図3図3図1に示す収納容器を構成する一対のシートと、底テープとを模式的に示す斜視図である。
図4図4図1に示す収納容器の出口部の切断後の断面を模式的に示す正面図である。
図5図5図4に示す出口が開いた状態を模式的に示す正面図である。
図6図6図1に示す収納容器を構成する積層シートを模式的に示す断面図である。
図7図7は本開示に係る収納容器の他の実施形態を模式的に示す部分正面図である。
図8図8は本開示に係る収納容器の他の実施形態を模式的に示す部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。ここでは、収納容器の一例としてスタンディングパウチについて説明する。スタンディングパウチは、シャンプー、ハンドソープ、洗剤などの詰め替え用パウチや、スープ、調味料などのパウチとして使用されるものである。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
<スタンディングパウチ>
図1は本実施形態に係るスタンディングパウチを模式的に示す正面図である。図2は本実施形態に係るスタンディングパウチの構成を模式的に示す断面図である。これらの図に示すスタンディングパウチ50は、一対の側胴部10,20(一対のシート)と、底テープ30と、側胴部10,20の周縁同士が部分的にシールされたシール部5a,5b(第一及び第二のシール部)と、側胴部10,20の周縁と底テープ30の周縁がシールされたシール部6と、側胴部10,20の間に形成された収容部7と、収容部7から突出するように設けられている出口部8とを備える。
【0014】
スタンディングパウチ50は、底部の両サイドに融着部9をそれぞれ有する(図1参照)。融着部9は側胴部10と側胴部20とを接合している。融着部9は、底テープ30に設けられた切り欠き部9aを通じて側胴部10,20のヒートシール層3同士が局所的に融着している箇所である。図3に示されたように、底テープ30の切り欠き部9aは、山折り部30aと底辺30b,30bとの間の領域であり且つ底テープ30の側部に設けられている。
【0015】
本実施形態において、一対の側胴部10,20及び底テープ30はいずれも、紙基材1と、印刷層2と、ヒートシール層3とを含む積層シートで構成されている(図2参照)。印刷層2は紙基材1の表面1a側(スタンディングパウチ50の外面側)に形成されている。ヒートシール層3は紙基材1の裏面1b側(スタンディングパウチ50の内面側)に形成されている。なお、スタンディングパウチに印刷を施す必要がない場合は、印刷層2は設けなくてもよい。
【0016】
シール部5aは、収容部7の周縁に沿って形成されている。他方、シール部5bは、出口部8の周縁に沿って形成されている。シール部5bは、シール部5aと連続して形成されている。シール部5a,5bは、側胴部10,20をそれぞれ構成する一対のシートが重ね合わされた状態で一対のシートの周縁同士を部分的にシールしている。側胴部10,20の上辺の一部はシールされておらず、入口50aが設けられている。入口50aを通じて収容部7に内容物を注入した後、入口50aをシールすることによってスタンディングパウチ50が密閉される。シール部5a,5bの幅は、例えば、5~18mmであり、7~15mmであってもよい。シール部5a,5bの幅が5mm以上であることで十分なシール強度を達成できる傾向にあり、他方、18mm以下であることでスタンディングパウチ50の十分な内容量を確保しやすい傾向にある。
【0017】
底テープ30は一つの山折り部30aを有する。すなわち、スタンディングパウチ50が自立した状態において、底テープ30は逆V字状に配置されている(図2,3参照)。スタンディングパウチ50の底部は、図2に示すように、シール部6によって構成されている。シール部6は、側胴部10,20を構成するシートと底テープ30の底部とをヒートシールした部分である。
【0018】
出口部8は、密閉されたスタンディングパウチ50使用者が開封する際に切断される箇所である。すなわち、出口部8は、シール部5bから出口部8に至り、再びシール部5bを通過するように切断される。出口部8は、切断が予定されているラインを含む領域8aに傷加工が施されている。出口部8に傷加工を施しておくことで、使用者がハサミなどを使用せず、指の力でスタンディングパウチ50を開封しやすい。
【0019】
側胴部10は、出口部8から収容部7の方向に延びているエンボス部11を有する(図1,3参照)。側胴部20は、出口部8から収容部7の方向に延びているエンボス部21を有する(図3参照)。エンボス部11,21は、外方(スタンディングパウチ50の外側)に向けて突出し且つ線状を呈するようにそれぞれ形成されている。図4は出口部8の切断後の断面を模式的に示す正面図である。この図に示すように、エンボス部11,21は互いが対面するように設けられており、エンボス部11,21によって流路Pが構成される。エンボス部11,21の断面形状は、例えば、略半円形である。この場合、流路Pの断面形状は略円形である。エンボス部11,21は、その形状に対応する表面を有する部材を、側胴部10,20を構成するシートの内面側に押し当てることによって形成することができる。
【0020】
出口部8の切断後の断面において、エンボス部11,21は出口8bの幅方向の中央部に設けられていることが好ましい(図4参照)。なお、図4は、側胴部10,20の内面(エンボス部11,21を除く)同士が接している状態を示している。エンボス部11,21の幅(図4における幅Wa)は、0.5~5.0mm程度(より好ましくは0.5~3.0mm程度)であればよい。側胴部10,20は紙基材1をそれぞれ含むため、紙基材1のデッドホールド性によって、収容部7から出口8bに至る流路Pがエンボス部11,21によって安定的に形成される。流路Pの形状が維持されていることで内容物の排出性が高まる。すなわち、内容物が密封されたスタンディングパウチ50の出口部8を切断した後、スタンディングパウチ50を逆さにすると、内容物が流路Pに流れ込むとともに内容物の重さで出口8bが開かれる(図5参照)。このため、出口8bから内容物を安定的に排出することができる。
【0021】
エンボス部11,21の幅Waと、図4に示した状態の出口8bの幅(図4における幅Wb)は以下の条件を満たすことが好ましい。
0.025≦Wa/Wb≦0.5
Wa/Wbの値が0.025以上であることで、エンボス部11,21によって構成される流路Pに内容物が流れ込みやすい傾向にあり、他方、0.5以下であることでエンボス加工時に紙基材1にクラックが入ったり破断することを抑制できる傾向にある。Wa/Wbの値はより好ましくは0.05~0.45であり、更に好ましくは0.075~0.4である。図1に示すように、本実施形態におけるエンボス部11は傷加工が施された領域8aから収容部7の方向に延びている。つまり、エンボス部11の起点11aは領域8a内に位置している。エンボス部は領域8aよりも出口部8の先端側を起点とし、この起点から領域8aを通過して収容部7に至るように形成されていてもよい。エンボス部は、領域8aの近傍であって収容部7側を起点として収容部7に至るように形成されていてもよい。
【0022】
<積層シート>
スタンディングパウチ50は紙を含む積層シートで構成されている。図6は本実施形態に係る積層シートを模式的に示す断面図である。この図に示す積層シート40は、外側から内側に向けて、印刷層2と、紙基材1と、ヒートシール層3とをこの順序で含む。
【0023】
紙基材1として使用し得るシートの具体例として、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙及びクラフト紙が挙げられる。紙基材1の単位面積あたりの質量は、例えば、60~120g/mである。この値が60g/m以上であることで、十分なデッドホールド性を確保できる傾向にあり、他方、120g/m以下であることで、使用者が指の力で開封できる傾向にある。この値は、より好ましくは70~120g/mであり、更に好ましくは80~120g/mである。
【0024】
印刷層2は、例えば、インキ層2aとニス層2bとによって構成されている。インキ層2aは紙基材1の表面1a上に直接形成されている。ニス層2bはインキ層2aを覆うように、表面1a上に形成されている。ニス層2bが積層シート40の最表面を構成している。インキ層2a及びニス層2bはいずれも、ニトロセルロースと、合成樹脂とを含み、インキ層2aは、顔料を更に含む。なお、環境配慮の観点から、塩素を含まないインキや植物油インキを使用してインキ層2aを形成することが好ましい。
【0025】
ヒートシール層3は、例えば、ヒートシール性を有する樹脂フィルムで構成されている。ヒートシール層3を構成する樹脂材料として、ポリエチレン樹脂(例えば、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)やポリプロピレン樹脂(例えば、無延伸ポリプロピレン(CPP))を使用することができる。ヒートシール層3の厚さは、例えば、40~150μmである。なお、ヒートシール層3として、バイオマス由来のエチレンを原材料に用いたバイオマスポリエチレンを一部又は全部に含むシーラントフィルムを使用してもよい。このようなシーラントフィルムは例えば特開2013-177531号に開示されている。また、ヒートシール層3は、使用済みのポリエチレン製品やポリエチレン製品の製造過程で発生した樹脂(いわゆるバリ)を原料とするメカニカルリサイクルポリエチレンを含んでいてもよい。
【0026】
積層シートは、上述の層以外の層を更に含んでもよい。例えば、積層シートは、紙基材1とヒートシール層3との間に接着層(不図示)を備えていてもよい。接着層を構成する接着剤は、接着方法に合わせて選定することができるが、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤などを用いることができる。このような接着層を設けることで、紙基材1とヒートシール層3の層間密着性を高くしてデラミネーションしにくくなり、パウチとしての耐圧性や耐衝撃性を保持することができる。
【0027】
接着層は、塩素を含まないことが好ましい。接着層が塩素を含まないことで、接着剤やリサイクル後の再生樹脂が着色したり、加熱処理によって臭いが発生したりすることを防ぐことができる。接着層は、バイオマス材料を使用すると環境配慮の観点から好ましい。また、ポリエチレンにはバイオマスポリエチレンを使用することができる。環境配慮の観点から、接着剤には溶剤を含まないものが好ましい。
【0028】
積層シートは、ガスバリア層を更に含んでもよい。ガスバリア層(不図示)は、紙基材1とヒートシール層3との間に設けられてもよく、紙基材1と印刷層2との間に設けられてもよい。積層シートの水蒸気透過量は、例えば、5g/m・day以下であり、1g/m・day以下又は0.5g/m・day以下であってもよい。積層シートの酸素透過量は、例えば、1cc/m・atm・day以下であり、0.5g/m・atm・day以下又は0.2g/m・atm・day以下であってもよい。積層シートがガスバリア層を含むことで、内容物を水蒸気や酸素による劣化から保護し、長期的に品質を保持しやすくなる。
【0029】
ガスバリア層の例として、金属箔、あるいは、無機酸化物又は金属の蒸着層が挙げられる。金属箔として、例えば、アルミニウム箔が挙げられる。無機酸化物として、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化錫等が挙げられる。金属として、例えば、アルミニウムが挙げられる。蒸着層は、例えば物理気相成長法、化学気相成長法等によって形成することができる。
【0030】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、側胴部10,20及び底テープ30がいずれも同じ積層シートで構成されている場合を例示したが、例えば、耐落下性向上の観点から、底テープ30において、紙基材1の代わりに、耐衝撃性に優れる樹脂基材(例えば、ナイロンフィルム)を採用してもよい。
【0031】
また、上記実施形態においては、側胴部10,20の両方にエンボス部を設ける場合を例示したが、一方の側胴部のみにエンボス部を設けてもよい。更に、上記実施形態においては、一つの側胴部に一本の線状のエンボス部を設ける場合を例示したが、一つの側胴部に複数のエンボス部を設けてもよい。例えば、図7に示すスタンディングパウチ60は、エンボス部11の他に、エンボス部12を有する。エンボス部12は、出口部8の先端側から、まず、エンボス部11に並行して延びており、途中から湾曲してエンボス部11から遠ざかるようにして入口60aの方向に延びている。図8に示すスタンディングパウチ70は、エンボス部11を挟む位置に、複数本のエンボス部13,14を有する。
【0032】
上記実施形態においては、収納容器の一例として、スタンディングパウチを例示したが、紙基材を使用したピロー包装袋や三方シール包装袋に本開示に係るエンボス部を形成してもよい。エンボス部を形成することで、これらの包装袋から十分に高い速度で液状の内容物を排出させることができ、例えば、飲料などの容器にも適用し得る。
【実施例0033】
以下、実施例により本開示を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
以下の積層シートを準備した。
(1)側胴部用積層シート
・層構成:紙(100g/m)/アルミニウム蒸着ナイロンフィルム/LLDPE(厚さ60μm)
(2)底テープ用積層シート
ナイロン(厚さ25μm)/LLDPE(厚さ60μm)
【0035】
[実施例]
図1に示すスタンディングパウチと同様の構成のスタンディングパウチを作製した。
スタンディングパウチのサイズは以下のとおりとした。
・高さ:175mm
・幅:120mm
・底テープの幅:60mm(底テープの底辺から山折り部までに距離:30mm)
出口部及びエンボス部の態様は以下のとおりとした。
・エンボス部の幅Wa:2.0mm
・出口の幅Wb:10.0mm
・Wa/Wb:0.2
・エンボス部の長さ:40mm
【0036】
実施例に係るスタンディングパウチの入口から130ccの水を入れた。その後、入口をシールすることによってスタンディングパウチを密閉した。その後、傷加工が施された領域に沿って出口部を切り取り、そして、スタンディングパウチを逆さにして出口から水を自由落下させた。130ccの水を排出するのに要した時間は10秒であった。
【0037】
[比較例]
一対の側胴部にエンボス部を設けなかったことの他は、実施例と同様にしてスタンディングパウチを作製し、水を排出するのに要する時間を測定した。その結果、逆さにしてから60秒が経過しても130ccの水の排出は完了しなかった。
【符号の説明】
【0038】
1…紙基材、1a…表面、1b…裏面、2…印刷層、2a…インキ層、2b…ニス層、3…ヒートシール層、5a…シール部(第一のシール部)、5b…シール部(第二のシール部)、6…シール部、7…収容部、8…出口部、8a…傷加工が施された領域、8b…出口、9…融着部、9a…切り欠き部、10,20…側胴部(一対のシート)、11,12,13,14…エンボス部、21…エンボス部、30…底テープ、30a…山折り部、30b…底辺、40…積層シート、50,60,70…スタンディングパウチ、50a,60a…入口、P…流路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8