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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120424
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】改ざん防止付きヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20220810BHJP
   B65D 41/04 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B65D47/08 110
B65D41/04 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017316
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000161884
【氏名又は名称】アスカカンパニー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】393015184
【氏名又は名称】カウパック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】城野 仁男
(72)【発明者】
【氏名】河原 龍
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA06
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB03
3E084DB09
3E084DB12
3E084DC03
3E084DC04
3E084DC05
3E084FA04
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB01
3E084GB06
3E084GB08
3E084KA12
3E084KB01
3E084LA02
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、未開封時はタンパーバンド部で指かけスペースを塞いでいる改ざん防止付きヒンジキャップを提供する。
【解決手段】本発明は、スパウト2とタンパーバンド部1fを有するヒンジキャップとからなり、前記ヒンジキャップは、本体部1bとヒンジ部1cを介して連結されたつば部1dを有する上蓋部1aと、薄肉部を介して連結された前記タンパーバンド部1fから構成されており、前記タンパーバンド部1fは、突起部1gが設けられ係止部1hと係合するように嵌め込まれて嵌着した時に、前記つば部1d下端側の前記タンパーバンド部1fは、外方へもっとも突出した前記突起部1gの突出よりも更に外方へ突出し、前記タンパーバンド部1fは前記つば部1dと前記係止部1hの間に挟まれることで、未開封時は指かけスペースが塞がっている改ざん防止付きヒンジキャップ1である。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容できる柔軟なフィルムからなる袋体のパウチ容器の開口へ熱溶着することで固定でき、前記内容物を排出するための注出口を有するスパウトと、
前記スパウトに固定され開封時に取り除かれる不正開封防止用のタンパーバンド部を有するヒンジキャップと、
からなる改ざん防止付きヒンジキャップであって、
前記ヒンジキャップは、前記スパウトの注出口に固定される本体部と、
前記本体部とヒンジ部を介して連結されたつば部を有する上蓋部と、
前記上蓋部の側壁下端側に複数の薄肉部を介して連結された前記タンパーバンド部から構成されており、
前記タンパーバンド部は、前記袋体側に延びる突起部が設けられ、
前記突起部が前記本体部に設けた係止部と係合するように嵌め込まれて嵌着している状態の時は、前記つば部下端側の前記タンパーバンド部は前記つば部と同じ突出幅を形成しており、
前記タンパーバンド部は前記つば部と前記係止部の間に挟まれることで、未開封時は指かけスペースが塞がっていることを特徴とする改ざん防止付きヒンジキャップ。
【請求項2】
前記タンパーバンド部の内周壁は、前記上蓋部の外周壁よりも内側に形成することで前記タンパーバンド部は前記本体部の外周壁に密接しており、
前記タンパーバンド部の一方の端部は、前記つば部の下端近傍に形成し、前記端部の反対側の端部はつまみ部を有し、前記つまみ部の裏面には摩擦力を高める凹凸が形成され、前記つまみ部から引き剥がしを開始することで前記薄肉部と、前記係止部に嵌め込まれた突起部の上端に形成の第二薄肉部とが切断され、前記タンパーバンド部が取り除かれることを特徴とする請求項1に記載の改ざん防止付きヒンジキャップ。
【請求項3】
前記スパウトは円筒状の本体を形成しており、
前記円筒状の外周側壁面に螺合のネジと環状の突部を形成し、
前記ネジには水抜きスリットが設けられており、
前記ヒンジキャップの本体部の側壁の内側には前記水抜きスリットに嵌り込むように少なくとも1つ以上の突出した第一リブを形成し、
前記第一リブと隣接する内周壁には少なくとも1つ以上の凹んだ第二水抜きスリットを形成し、
前記ヒンジキャップの本体部の下端内側の周壁には前記突部と係合するための複数の第二リブが円周状に沿って形成し、
前記スパウトの注出口に前記ヒンジキャップを被せて打栓することで、前記第二リブが前記突部を乗り越えて嵌め込みできることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の改ざん防止付きヒンジキャップ。
【請求項4】
前記本体部の天面の中心位置から外方向に下方へ傾斜する天板部を形成し、
前記天板部の外周縁には前記天板部よりも下端へ落とし込む段差部が設けられ、
前記段差部1bcは内から外方向へと下方に傾斜するとともに、前記段差部1bcの一部には外方向へ通路となる凹んだ第三水抜きスリットを複数形成していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の改ざん防止付きヒンジキャップ。
【請求項5】
前記本体部の内側上端の内周壁の円周に、均等間隔に複数の第三リブを形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の改ざん防止付きヒンジキャップ。
【請求項6】
前記突起部と接する面の前記係止部と前記係止部と接する面の前記突起部には、一方に凹部が形成され、他方に凸部が形成することで、互いに嵌着し合うことを特徴する請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の改ざん防止付きヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミシートやフィルムシートなどの包装材で加工されたパウチ容器の開口部に熱溶着された注出口を有するスパウトへ被せる改ざん防止付きヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
軽量で収縮性があり、容器としてかさ張らず、内容物が空気に触れにくく保存性が高いなどの利点から、近年アルミシートやフィルムシートなどの基材を加工した軟包装、いわゆるパウチ容器にレトルト食品や、飲料、ゼリー、調味料、詰め替えの洗剤やシャンプーなどの内容物を詰めた商品が多く店頭に陳列されている。パウチ容器には、内容物を注ぎやすくするために、特許文献1に記載のようなプラスチックで成形したスパウトが袋体を有するパウチ容器の開口部分に熱溶着されているものがある。
【0003】
このようなスパウトには、キャップと螺合するように、スパウトの外周側壁面にネジが形成されている。また、前記スパウトのネジには水抜きスリットが形成されているものがあり、前記水抜きスリットの役目としては、特許文献2に記載のように、パウチに内容物を充填しキャップで開口部を閉じた後、レトルト(加圧滅菌用釜)に入れ、湯煎などの加熱殺菌を行う場合があり、レトルトを行うことでスパウトとキャップの間に入りこんだ水を水抜きスリットから下方へ流し出すためである。
【0004】
通常、スパウトはキャップと螺合しあうことで封鎖することができるが、特許文献3に記載のヒンジキャップ付き包装体は、ヒンジキャップの本体部に、抽出口部(スパウト)の外周面に形成した環状突部と係合するための突条を内側面に備えており、当該突条が前記環状突部を乗り越えることで、前記本体部が前記抽出口部に打栓できるものとして考案されている。また特許文献3に記載のヒンジキャップ付き包装袋は、タンパーバンドをつまんで切り取るだけで迅速かつ容易に開封することができるバリアフリー製品として考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3118860号公報
【特許文献2】特開2006-273425号公報
【特許文献3】実用新案登録第3214023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に記載のヒンジキャップ付き包装袋では、不正開封を防止するためのタンパーバンドを備えたヒンジキャップであるが、ツバとタンパーバンドの間に手指を引っ掛ける隙間があいているため、未開封の状態のままで無理やりツバを手指に引っ掛けて上方向(開封方向)に開けようとした場合に、係止部に嵌り込んでいた突起部は上方向へ引っ張られて前記係止部から外れてしまう問題が発生している。また、特許文献3のヒンジキャップはタンパーバンドと本体部との間に隙間を形成することで、タンパーバンドの引きちぎりを開始する時に、手指でつまみやすくするように隙間をあけている。しかし、特許文献3のヒンジキャップのキャップを閉じた状態にセットしてから梱包箱へバラ入れして輸送する時に、輸送時の振動等でタンパーバンドと本体部の隙間に他のタンパーバンドが入り込み、タンパーバンド同士が引きちぎれてしまう問題が発生している。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決し、上蓋部がヒンジ部を介して本体部へセットされた状態で梱包箱にバラ入れし輸送される時に、タンパーバンド同士が引っかかりにくい形状である改ざん防止付きヒンジキャップを提供することである。また、本発明の改ざん防止付きヒンジキャップをスパウト付きパウチ容器に打栓した未開封状態で、タンパーバンド部を引きちぎることなく前記上蓋部を無理やり開封できないようにするために、未開封時は指かけスペースをなくすために、前記タンパーバンド部で前記指かけスペースを塞いでいる改ざん防止付きヒンジキャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、内容物を収容できる柔軟なフィルムからなる袋体のパウチ容器の開口へ熱溶着することで固定でき、前記内容物を排出するための注出口を有するスパウトと、前記スパウトに固定され開封時に取り除かれる不正開封防止用のタンパーバンド部を有するヒンジキャップと、からなる改ざん防止付きヒンジキャップであって、前記ヒンジキャップは、前記スパウトの注出口に固定される本体部と、前記本体部とヒンジ部を介して連結されたつば部を有する上蓋部と、前記上蓋部の側壁下端側に複数の薄肉部を介して連結された前記タンパーバンド部から構成されており、前記タンパーバンド部は、前記袋体側に延びる突起部が設けられ、前記突起部が前記本体部に設けた係止部と係合するように嵌め込まれて嵌着している状態の時は、前記つば部下端側の前記タンパーバンド部1fは前記つば部1dと同じ突出幅を形成しており、前記タンパーバンド部は前記つば部と前記係止部の間に挟まれることで、未開封時は指かけスペースが塞がっている改ざん防止付きヒンジキャップである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記タンパーバンド部の内周壁は、前記上蓋部の外周壁よりも内側に形成することで前記タンパーバンド部は前記本体部の外周壁に密接しており、前記タンパーバンド部の一方の端部は、前記つば部の下端近傍に形成し、前記端部の反対側の端部はつまみ部を有し、前記つまみ部の裏面には摩擦力を高める凹凸が形成され、前記つまみ部から引き剥がしを開始することで前記薄肉部と、前記係止部に嵌め込まれた突起部の上端に形成の第二薄肉部とが切断され、前記タンパーバンド部が取り除かれる改ざん防止付きヒンジキャップである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記スパウトは円筒状の本体を形成しており、前記円筒状の外周側壁面に螺合のネジと環状の突部を形成し、前記ネジには水抜きスリットが設けられており、前記ヒンジキャップの本体部の側壁の内側には前記水抜きスリットに嵌り込むように少なくとも1つ以上の突出した第一リブを形成し、前記第一リブと隣接する内周壁には少なくとも1つ以上の凹んだ第二水抜きスリットを形成し、前記ヒンジキャップの本体部の下端内側の周壁には前記突部と係合するための複数の第二リブが円周状に沿って形成し、前記スパウトの注出口に前記ヒンジキャップを被せて打栓することで、前記第二リブが前記突部を乗り越えて嵌め込みできる改ざん防止付きヒンジキャップである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記本体部の天面の中心位置から外方向に下方へ傾斜する天板部を形成し、前記天板部の外周縁には前記天板部よりも下端へ落とし込む段差部が設けられ、前記段差部1bcは内から外方向へと下方に傾斜するとともに、前記段差部1bcの一部には外方向へ通路となる凹んだ第三水抜きスリットを複数形成している改ざん防止付きヒンジキャップである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記本体部の内側上端の内周壁の円周に、均等間隔に複数の第三リブを形成した改ざん防止付きヒンジキャップである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記突起部と接する面の前記係止部と前記係止部と接する面の前記突起部には、一方に凹部が形成され、他方に凸部が形成することで、互いに嵌着し合う改ざん防止付きヒンジキャップである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の改ざん防止付きヒンジキャップの上蓋部がヒンジ部を介して本体部へセットされた状態で梱包箱にバラ入れし輸送される時に、タンパーバンド同士が引っかかりにくい形状である改ざん防止付きヒンジキャップを提供することである。また、本発明の改ざん防止付きヒンジキャップをスパウト付きパウチ容器に打栓した未開封状態で、タンパーバンド部を引きちぎることなく前記上蓋部を無理やり開封できないようにするために、未開封時は指かけスペースをなくすために、前記タンパーバンド部で前記指かけスペースを塞いでいる改ざん防止付きヒンジキャップを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の改ざん防止付きヒンジキャップを成形して取り出した状態を示す斜視図である。
図2図1を真横からみた状態を示す平面図である。
図3図1の本発明の改ざん防止付きヒンジキャップの上蓋部を本体部へセットした状態を示す斜視図である。
図4図3を反対斜め方向からみたから斜視図である。
図5図3を裏側斜め方向から見上げた状態を示す斜視図である。
図6】スパウトの斜視図である。
図7図3を真上からみた状態を示す平面図である。
図8図7のA-A方向にカットした状態を示す断面図である。
図9図7のB-B方向にカットした状態を示す断面図である。
図10図8の状態からタンパーバンド部を取り外した状態を示す断面図である。
図11図9の状態からタンパーバンド部を取り外した状態を示す断面図である。
図12図9のy部分を拡大した拡大図である。
図13】段差部の位置で図12と同じようにカットした断面を拡大した拡大図である。
図14図1を真上からみた状態を示す平面図である。
図15図14のz部分を拡大した拡大図である。
図16】本発明の改ざん防止付きヒンジキャップを示すイメージ図である。
図17図16の状態からタンパーバンド部を取り外した状態を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の改ざん防止付きヒンジキャップ1は図14に示すように、液体やペースト状の食品などの内容物を収容できるナイロン及びポリエチレンなどの柔軟なフィルムからなる袋体のパウチ容器3と、前記パウチ容器3の開口へ熱溶着して取り付けられたプラスチック樹脂製のスパウト2に、打栓して取り付けできるヒンジキャップであり、前記ヒンジキャップは、開封時に取り除かれる不正開封防止用のタンパーバンド部1fを有する改ざん防止付きヒンジキャップ1である。本発明の改ざん防止付きヒンジキャップ1は、ポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチック樹脂を用いて、射出成形法により成形されたものである。
【0017】
前記スパウト2は、図6に示すように、ポリエチレンなどの鋼性を備えた前記内容物を排出するための注出口2aを有する円筒状の本体2bと、前記本体2bの下端側に形成され前記注出口2aと貫通した菱形状の溶着部2fが袋状のパウチ容器3の開口部分に熱溶着して固定されている。また、前記本体2bの外周には螺合のネジ2cと、前記改ざん防止付きヒンジキャップ1を打栓してセットした時に、前記改ざん防止付きヒンジキャップ1が前記スパウト2から外れないように嵌着させるための突部2dが前記本体2bの周壁に外方へ突出して形成している。更に、前記スパウト2は前記ネジ2cの下端側に環状の突部2dを形成しており、前記ネジ2cには、入りこんだ水を下方へ誘導するための水抜きスリット2eが上から下へと一通になるように、複数個所に設けられている。
【0018】
前記改ざん防止付きヒンジキャップ1は、図1乃至図5に示すように、前記スパウト2へ打栓して取り付けできる円筒状の本体部1bと、前記本体部1bとヒンジ部1cを介して連結された有底円筒状の上蓋部1aと、前記上蓋部1aの側壁下端側の少なくとも2つ以上に形成された薄肉部1eを介して固定された不正開封防止用のタンパーバンド部1fとから構成させている。また、前記ヒンジ部1cと反対側の前記上蓋部1aの側壁の下端近傍には、ひさし状のつば部1dが形成され、前記上蓋部1aを開けるときに前記つば部1dに手指を引っ掛けてやすくしている。更に、図8及び図14に示すように前記つば部1dの下端の位置にある前記タンパーバンド部1fには、前記パウチ容器3側に延びる方向であって、前記タンパーバンド部1を前記つば部1dと挟み込むような位置に突起部1gが設けられている。前記突起部1gは、前記本体部1bに設けた係止部1hに差し込まれて係合するように嵌め込み固定できるようになっている。
【0019】
前記突起部1gと前記係止部1hの嵌め込み状態を図8に示している。前記係止部1hに形成している凸部1tを前記突起部1gに形成している凹部1sへ差し込むことで、前記凸部1tと前記凹部1sが篏合し固定できるようになる。また、前記タンパーバンド部1fと前記突起部1gの間は、薄肉となる第二薄肉部1mが形成されている。これは、前記タンパーバンド部1fを取り除きやすくするために設けたものである。
【0020】
更に図1及び図4に示すように、前記タンパーバンド部1fの端部1kには、前記タンパーバンド部1fの引きちぎりを開始するため、手指でつまむためのつまみ部1lが設けられている。前記つまみ部1lと前記上蓋部1aは薄肉部1eで連結しているが、前記つまみ部1lと連結している前記薄肉部1eの形状は、前記上蓋部1aと連結している薄肉部1eを幅狭とした場合に、前記つまみ部1lと連結している薄肉部1eは、それよりも幅広となるように形成している。すなわち、前記つまみ部1lと連結している前記薄肉部1eは台形状となっている。これにより、前記タンパーバンド部1fを取り除いた後、前記薄肉部1eの残存は前記つまみ部1l側に残り、前記上蓋部1a側には残りにくくなっている。また、手指で前記つまみ部1lをつまんで最初に引き剥がす時のユーザーのブチっと引きちぎるバージン性を実感することもできる。更に、前記上蓋部1aが前記本体部1bに封止して未開封状態になった時に、前記本体部1bの外周壁面と前記つまみ部1lの内周壁面の一部が密着しすぎないように、前記つまみ部1lの裏面には、縦方向に細かな凸状の縦筋が複数本形成されている。
【0021】
図7は本発明の改ざん防止付きヒンジキャップ1を上からみた平面図である。また、図8図7をA-A方向にカットした断面図である。図7及び図8に示すように、前記突起部1gが前記本体部1bに設けた前記係止部1hと係合するように嵌め込まれて嵌着した時に、前記つば部1d下端側の前記タンパーバンド部1fは、前記つば部1dと同じ突出幅にすることで、前記タンパーバンド部1fの突出が邪魔となり未開封時は前記つば部1dへの手指を引っ掛けることができなくなる。すなわち、未開封時は図9に示すように、前記タンパーバンド部1fは前記つば部1dと前記係止部1hの間に挟まれることで、前記タンパーバンド部1fが指かけスペース1iを塞いでいる状態になっている。しかし、開封するため前記タンパーバンド部1fを取り除くと、図10に示すように、指かけスペース1iが現れることになる。
【0022】
図9図7をB-B方向にカットした断面図であり、図15図14のz部分を拡大した拡大図であるが、図9及び図14図15に示すように、前記タンパーバンド部1fの内周壁1faは、前記上蓋部1aの外周壁1baよりも内側に形成することで、前記タンパーバンド部1fは図7に示すように、より前記本体部1bの外周壁に密着した状態で封止することができる。これにより、本発明の改ざん防止付きヒンジキャップ1を梱包箱へバラ入れして輸送した場合でも、前記タンパーバンド部1f同士の引っかかりを防ぐことができ、輸送時における前記タンパーバンド部1fの引きちぎれ不良をなくすことができる。尚、前記タンパーバンド部1fの内周壁1faを、前記上蓋部1aの外周壁1baよりも内側に形成した状態で、前記タンパーバンド部1fの引き剥がしを可能な構造にするためには、図1及び図2に示すように、前記薄肉部1eが形成されていない箇所に空間となる隙間部1tを形成すると良い。前記隙間部1tと前記薄肉部1eなどを形成するためには、射出成形時に製品を金型から取り出しやすくするために、金型を割型で構成すると良い。
【0023】
前記タンパーバンド部1fの一方の端部1jには、前記つば部1dの下端近傍に形成し、前記端部1jの反対側の端部1kはつまみ部1lを有し、前記つまみ部1lの裏面には摩擦力を高めるための凹凸からなる凸条1wが形成されている。前記凸条1wは、上下方向に線状に延びる複数本の凸形状からなっている。また、前記つまみ部1lから引き剥がしを開始することで前記薄肉部1eと、前記係止部1hに嵌め込まれた突起部1gの上端に形成の第二薄肉部1mとが切断され、前記タンパーバンド部1fを取り除くことができる。前記薄肉部1eと前記第二薄肉部1mは、複数個所に分かれて設置していても良く、設置位置や数は特に限定されるものではない。更に、前記つまみ部1lの外面には、前記タンパーバンド部1fを前記上蓋部1aから引き剥がす方向を示した矢印記号1uが形成されている。
【0024】
図5及び図8図9に示すように、前記改ざん防止付きヒンジキャップ1の内側側壁には、前記水抜きスリット2eの溝に嵌り込むように、少なくとも1つ以上の突出したレールの構造を有する第一リブ1nが形成されている。これはレトルト(加圧滅菌用釜)に入れ加熱殺菌をした時に生じる前記改ざん防止付きヒンジキャップ1や前記スパウト2の樹脂の収縮が生じた場合であっても、前記第一リブ1nと前記水抜きスリット2eは互いに嵌り込んだ状態であるので、横回転方向の位置ずれする問題を発生させることはなくなる。
【0025】
前記第一リブ1nは、水抜きスリット2eが一通として形成されている通路数と、同じ本数、形成することが望ましいが、前記第一リブ1nが1つだけ形成しても、機能は発揮できるものである。尚、すべての前記水抜きスリット2eへ前記第一リブ1nを嵌め込む仕様にした場合は、図5及び図8図9に示すように、前記第一リブ1nと隣接する位置に、凹状に窪ませた縦筋となる第二水抜きスリット1oを前記改ざん防止付きヒンジキャップ1の内側側壁へ形成しても良い。第二水抜きスリット1oを設ける意味合いとしては、レトルト(加圧滅菌用釜)に入れ加熱殺菌で熱処理をした場合に、前記本体部1bの内側に水が浸入してしまうため、前記水抜きスリット2eが前記第一リブnによってすべて塞がっていても、前記第二水抜きスリット1oから侵入した水を素早く外へ排出できる効果を有している。
【0026】
図12図9のy部分を拡大した断面図であり、図13は前記本体部1bの天面の外周壁に設けた段差となる段差部1bcの断面を拡大した拡大図であるが、レトルト(加圧滅菌用釜)に入れ加熱殺菌で熱処理をした場合は、前記上蓋部1aの内側にも水が浸入してしまう。前記上蓋部1aの内側に侵入した水を外へ流し出すために、図12または図13に示すように、前記本体部1bの天面が中心位置から外方向に向かって下方へ傾斜する天板部1bbを形成している。また、前記天板部1bbの外周縁には下端へ落とし込む段差部1bcが設けられており、前記段差部1bcは内から外方向へと下方に傾斜している。更に、前記段差部1bcには図1乃至図3図13に示すように、外方向へ通路となる凹んだ第三水抜きスリット1wを複数形成している。これにより、前記上蓋部1aの内側に侵入した水は前記天板部1bbの傾斜によって下方向へ流れ落ち前記段差部1bcに移動し、前記段差部1bcに流れ落ちた水は前記段差部1bcの傾斜から、前記第三水抜きスリット1wへ流れ落ち、前記上蓋部1aの内側に侵入した水を外へ排出することができるようになる。尚、前記第三水抜きスリット1wは、円周状に均等間隔に四本形成することで、バランスよく水抜きが開始され、より早く水抜きすることができる。しかしながら、前記第三水抜きスリット1wを形成する本数は四本に限定されるものではない。
【0027】
また、前記本体部1bの内面に、前記スパウト2に形成した前記突部2dと係合する第二リブ1pを形成している。前記第二リブ1pの断面は図8に示すような外方向に突出した略直角三角形を形成した凸状を環状につなげてもよく、また、前記第二水抜きスリット1oを形成している場合は、前記第二水抜きスリット1oを形成していない箇所に、部分的に前記第二リブ1pを形成するでも良い。前記改ざん防止付きヒンジキャップ1を前記スパウト2へ打栓して嵌め込んだ時に、前記突部2dを乗り越えることで前記第二リブ1pと前記突部2dが嵌着することで嵌め殺し作用となり、容易にスパウト2から前記改ざん防止付きヒンジキャップ1を取り外すことができなくなる。本発明の改ざん防止付きヒンジキャップ1に、不正開封防止用のタンパーバンド部1fが形成されているので、店頭に陳列された場合でも、安心して消費者に商品を提供することができる。
【0028】
図5及び図8に示すように、前記第一リブ1nの下端は、略Vの字を形成しており、略Vの字の左右対称となる端面の傾斜は、ネジ2cの上端側の傾斜と面し接する傾斜を形成することで、お互いの面が滑り合い、スパウト2に形成した水抜きスリット2eに前記第一リブ1nが挿入しやすくしている。また、前記第一リブ1nは、上端から下端にかけて緩やかなハの字を形成しているため、前記ハの字を形状した前記第1リブ1nの側壁面が前記水抜きスリット2eへ押し込むことで、嵌り込むと抜けにくい構造となっている。
【0029】
図5及び図8に示すように、前記本体部1bの上端内側の内周壁には均等間隔に複数の突出した第三リブ1qを形成している。これは、改ざん防止付きヒンジキャップ1を前記スパウト2へ打栓して嵌め込んだ時に、前記スパウト2の注出口2aの周壁を前記本体部1bの内側に形成しているインナーリング1vと前記本体部1bの内壁に形成した前記第三リブ1qとで挟み込むことで、前記スパウト2の注出口2aの周壁が外に広がらないように押えるために設けている。これにより、気密保持でき、液漏れしない製品を提供することができる。
【0030】
また、図8及び図10に示すように、前記突起部1gと接する面の前記係止部1hと前記係止部1hと接する面の前記突起部1gは、一方に凹部1rが形成され、他方に凸部1sを形成することで、互いに嵌着し合う改ざん防止付きヒンジキャップ1を提供することができる。これにより、図8及び図9図16の未開封時の状態から、図10及び図11図17の前記タンパーバンド部1fを取り除き開封した状態になっても、図10に示すように前記突起部1gは前記係止部1hと篏合しあったままの状態で、前記係止部1hに残り保持することができる。また、前記本体部1bと前記上蓋部1aの外径は同一であり、前記タンパーバンド部1fを取り除いた後は、図11及び図17に示すとおり、一体的でスッキリとした外観となる。
【0031】
内容物を充填した前記スパウト2付きのパウチ容器3に本発明の改ざん防止付きヒンジキャップ1をキャッピングする時に、キャッパーを使用して移動させたり打栓したりする場合でも、前記タンパーバンド部1fが邪魔にならずにキャッパーを使用することができる形状を有している。
【0032】
本発明の改ざん防止付きヒンジキャップ1を取り付けたパウチ容器3に充填する内容物は、ジャムやソース、ゼリーや飲料、調味料などの液体やペースト状の食品や、シャンプーやボディーソープ、接着剤、化粧水、またはレトルト(加圧滅菌用釜)に入れ、湯煎などの加熱殺菌を行う必要がある製品などにも利用することができる。更に、本発明の改ざん防止付きヒンジキャップ1は、開封が容易でかつ衛生的で、使用時におけるキャップの開閉が容易である。また、本発明の改ざん防止付きヒンジキャップ1はスパウト2へ打栓し嵌め込みできるタイプのものであるが、気密性が高く内容物の酸化劣化を制御することができる改ざん防止付きヒンジキャップ1を提供することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 改ざん防止付きヒンジキャップ
1a 上蓋部
1b 本体部
1ba外周壁
1bb天板部
1bc段差部
1c ヒンジ部
1d つば部
1e 薄肉部
1f タンパーバンド部
1fa内周壁
1g 突起部
1h 係止部
1i 指かけスペース
1j 端部
1k 端部
1l つまみ部
1m 第二薄肉部
1n 第一リブ
1o 第二水抜きスリット
1p 第二リブ
1q 第三リブ
1r 凹部
1s 凸部
1t 隙間部
1u 矢印記号
1v インナーリング
1w 第三水抜きスリット
2 スパウト
2a 注出口
2b 本体
2c ネジ
2d 突部
2e 水抜きスリット
2f 溶着部
3 パウチ容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17