(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120428
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】商品提供マシンに用いられる硬貨やメダル等の媒体選別装置
(51)【国際特許分類】
G07F 11/00 20060101AFI20220810BHJP
G07F 11/44 20060101ALI20220810BHJP
G07F 11/54 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
G07F11/00 A
G07F11/44
G07F11/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017326
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】515290527
【氏名又は名称】株式会社マイム・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】榎本 昌三
【テーマコード(参考)】
3E046
【Fターム(参考)】
3E046AA02
3E046BA01
3E046BB01
3E046CB02
3E046DA10
3E046EB05
3E046FA03
(57)【要約】
【課題】構造の簡略化を図ることができる媒体選別装置を提供することを提供する。
【解決手段】
媒体投入口12eを有するベース部11と、ベース部11に回転可能に支持され、かつハンドル軸17に結合された回転制御円盤16とを有し、回転制御円盤16が、媒体投入口12eに通じベース部11の内部で特定媒体を通過させるが特定媒体より大径の大径媒体は通過させない上流側案内路12pと、上流側案内路12pと繋がり投入された特定媒体を保持する保持部16dと、小径媒体Sが投入されると保持部16dを通過して落下する小径媒体Sの排出案内路を有する小径媒体の小径媒体排出部と、外周に形成した一方向歯とを備え、特定媒体が保持部16dに保持されていないときには回転制御円盤16の回転を規制し、特定媒体Mが回転制御円盤16の保持部16dに保持されたときのみ回転制御円盤16の回転を許容する回転制御機構を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のコイン等の特定媒体が投入されたときに、取出口へ商品を送出するためのハンドル回転を許容する機構をもつ商品提供マシンに設けられる、投入された媒体から特定媒体を選別するための媒体選別装置であって、
上方に形成された媒体投入口を有する箱状のベース部と、
前記ベース部に回転可能に支持され、かつハンドル軸に結合された回転制御円盤と、を有し、
前記回転制御円盤が、前記媒体投入口に通じ前記ベース部の内部で特定媒体を通過させるが特定媒体より大径の大径媒体は通過させない上流側案内路と、前記上流側案内路と繋がり投入された特定媒体を保持する保持部と、特定媒体より小径の小径媒体が投入されると前記保持部を通過して落下する小径媒体の排出案内路を有する小径媒体の小径媒体排出部と、外周に形成した一方向歯とを備え、
特定媒体が保持部に保持されていないときには前記回転制御円盤の回転を規制し、特定媒体が前記回転制御円盤の保持部に保持されたときのみ前記回転制御円盤の回転を許容する回転制御機構を有する媒体選別装置。
【請求項2】
前記ベース部は、
特定媒体を外部に排出させるための特定媒体排出口と、
前記保持部に保持された特定媒体を前記特定媒体排出口まで案内して流下させる下流側案内路と、を有し、
前記下流側案内路には、前記特定媒体を前記特定媒体排出口に案内するためのガイド部が形成されている請求項1に記載の媒体選別装置。
【請求項3】
前記回転制御機構は、
前記ベース部に前記回転制御円盤の外周に向けて付勢されて設置された作動板と、
前記保持部に形成した第一保持片と、を有し、
前記作動板は、前記保持部に特定媒体が保持されていない状態で前記回転制御円盤が正転すると前記第一保持片と当接して、前記回転制御円盤の正転を阻止するように設置されている請求項1又は2に記載の媒体選別装置。
【請求項4】
前記回転制御円盤は、前記保持部が形成された一方の面に小径媒体を排出案内孔まで案内する第一排出案内路と、他方の面に前記排出案内孔から下方に形成された第二排出案内路とを有し、
前記排出案内孔には、小径媒体を前記第一排出案内路から前記排出案内孔を通って前記第二排出案内路に案内するガイド部が形成されている請求項1~3の何れか一項に記載の媒体選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の硬貨やメダル等の媒体が投入口に投入されたときに、ハンドルを回転させることができるようにする硬貨やメダル等の媒体選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、メダル等の媒体が投入されるとマシン前面のハンドルを回転させることができ、このハンドルの回転操作によって種々の形態の小型商品を収容した球状や筒状のカプセルが、ハンドルのやや下方の設けた受け皿に提供されるようになっている商品提供マシンは、多数の提案がなされている(例えば特許文献1~3参照)。
【0003】
従来の商品提供マシンでは、特定のメダルが投入されたときだけハンドルの回転が許容されるようにするため、投入されるメダル等(以下、媒体という)が特定の条件を満たしているかどうかを機械的に選別するために媒体選別装置が配置されている。
【0004】
媒体選別装置としては、様々なものが提案されており、例えば、特許文献4のものは、投入物品として、それぞれ円盤状に形成され、所定の直径寸法を有するコインC1と、第1コインの直径寸法よりも小さな直径寸法を有するコインC2と、第2コインの直径寸法よりも小さな直径寸法を有するコインC3を選別するための投入物品選別装置が提案されている。この特許文献4の投入物品選別装置によれば、投入されたコインC1~C3からコインC1とC2を機械的に選別できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3267512号公報
【特許文献2】特許第3967724号公報
【特許文献3】特許第4534316号公報
【特許文献4】特許第6302022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献4の投入物品選別装置は、投入されたコインC1~C3からコインC1とC2を機械的に選別できるが、そもそも、このように複数種類の対象物を抽出する必要がない場合もある。
また、特許文献4の投入物品選別装置は、構造の簡略化することを目的としてされたものであるが、まだ構造は複雑である。
【0007】
従って本発明が解決しようとする課題は、機械的に投入物品の選別ができ、構造の簡略化を図ることができる媒体選別装置を提供することを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためになされた本発明の媒体選別装置は、特定のコイン等の特定媒体が投入されたときに、取出口へ商品を送出するためのハンドル回転を許容する機構をもつ商品提供マシンに設けられる、投入された媒体から特定媒体を選別するための媒体選別装置であって、上方に形成された媒体投入口を有する箱状のベース部と、前記ベース部に回転可能に支持され、かつハンドル軸に結合された回転制御円盤と、を有し、前記回転制御円盤が、前記媒体投入口に通じ前記ベース部の内部で特定媒体を通過させるが特定媒体より大径の大径媒体は通過させない上流側案内路と、前記上流側案内路と繋がり投入された特定媒体を保持する保持部と、特定媒体より小径の小径媒体が投入されると前記保持部を通過して落下する小径媒体の排出案内路を有する小径媒体の小径媒体排出部と、外周に形成した一方向歯とを備え、特定媒体が保持部に保持されていないときには前記回転制御円盤の回転を規制し、特定媒体が前記回転制御円盤の保持部に保持されたときのみ前記回転制御円盤の回転を許容する回転制御機構を有することを特徴とする。
【0009】
前記ベース部は、特定媒体を外部に排出させるための特定媒体排出口と、前記保持部に保持された特定媒体を前記特定媒体排出口まで案内して流下させる下流側案内路と、を有し、前記下流側案内路には、前記特定媒体を前記特定媒体排出口に案内するためのガイド部が形成されていることが好ましい。
【0010】
前記回転制御機構は、前記ベース部に前記回転制御円盤の外周に向けて付勢されて設置された作動板と、前記保持部に形成した第一保持片と、を有し、前記作動板は、前記保持部に特定媒体が保持されていない状態で前記回転制御円盤が正転すると前記第一保持片と当接して、前記回転制御円盤の正転を阻止するように設置されていることが好ましい。
【0011】
前記回転制御円盤は、前記保持部が形成された一方の面に小径媒体を排出案内孔まで案内する第一排出案内路と、他方の面に前記排出案内孔から下方に形成された第二排出案内路とを有し、前記排出案内孔には、小径媒体を前記第一排出案内路から前記排出案内孔を通って前記第二排出案内路に案内するガイド部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の媒体選別装置によれば、機械的に投入物品の選別ができ、構造の簡略化を図ることができる媒体選別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の媒体選別装置と媒体選別装置が組み込まれる商品提供マシンを分解した状態の説明図。
【
図2】本実施形態の媒体選別装置を組み込んだ状態の商品提供マシンの説明図。
【
図5】
図3に記載の媒体選別装置の前面プレートの背面斜視図。
【
図6】
図3に記載の媒体選別装置の背面プレートの正面図。
【
図7】
図3に記載の媒体選別装置に特定媒体を投入して、背面プレートを外した状態の説明図。
【
図8】(a)は
図7に記載の回転制御円盤の背面図、(b)は(a)の回転制御円盤のA-A線断面図、(c)は(a)の回転制御円盤のB-B線断面図。
【
図10】
図7に記載の説明図の、回転制御円盤が正転している状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の媒体選別装置10は、
図1に示すように、商品提供マシン1の利用者と対向する前面に取り付けられて用いられる。
商品提供マシン1は、商品提供マシン1を所定の位置に設置させ、利用者がカプセル状の商品(球状又は筒状のカプセル内にフィギア等を収容したもの、以下、単に「カプセルC」という)を受け取るための商品受皿23bを有する商品受取部23を有する支持基台20と、支持基台20に載架され、カプセルCを収納可能な商品収容部50と、商品収容部50と商品受取部23を繋ぐ可撓管60と、面状部材であり、その前面に、メッセージ等の文字や記号を含む動画や静止画等の表示部として利用することが出来るマシンパネル70と、を有する。
媒体選別装置10は、コインやメダルや硬貨などの媒体のうち、所望の媒体(以下、特定媒体M)が投入されたときに、商品提供マシン1に商品収容部50からカプセルCを排出させる動作をさせるためのものでる。
まず、商品提供マシン1について説明し、次に、媒体選別装置10について説明する。
なお、商品提供マシン1の利用者と対向する面側を前面側とし、反対側の面側を背面側として説明する。
【0015】
[支持基台20]
支持基台20は、
図1及び
図2に示すように、媒体選別装置10が固定される基枠体21と、基枠体21の上面に形成された凹部21aの中で回転可能に支持される円盤体22と、商品収容部50から排出されたカプセルCを利用者が受け取るための商品受皿23bを有する商品受取部23と、商品落下穴から商品受皿までカプセルCを案内するガイド部24と、媒体選別装置10により選別された特定媒体Mを収容する媒体収容部25と、基枠体21を支持するための脚部26と、を有する。
【0016】
[基枠体21]
基枠体21は、
図1及び
図2に示すように、本実施形態では、大略浅底の箱を伏せたような外観を呈する略箱状に形成されている。
基枠体21は、その前面に媒体選別装置10を取り付けるための略矩形状の切欠き状
の開口部21fと、上面に商品収容部50を取り付けるための取付溝21eと、取付溝21eの内側に円盤体22を回転自在に納めるための凹部21aと、凹部21aの略中心に円盤体22が有する軸受部22cを支持する支持軸部21bと、円盤体22に設けたカプセル抽出穴22bに対面できる部位に、カプセルCを落下させる商品落下穴21cと、凹部21aにおいて軸受部22cにより回転自在に支持された円盤体22の上において商品落下穴21cに対応する部位に架設される2本のバネ状の掻き均し部材21gと、を有する。
掻き均し部材21gは、商品収容部50に収容された複数のカプセルCの中から、1個のカプセルCを商品落下穴21cに導くための部材である。
【0017】
商品落下穴21cは、
図2に示すように、円盤体22の回転により回転してくるカプセル抽出穴22bに対応する箇所で、下方に向けて筒状に1つ形成されている。
商品落下穴21cの周縁から下方に、落下筒部21dが延設されている。
【0018】
[円盤体22]
円盤体22は、
図1及び
図2に示すように、基礎円盤22dと、基礎円盤22dの外周下面に媒体選別装置10のハンドル軸17が備える駆動歯車15に噛合する従動歯車22aと、基礎円盤22dの略中心に、回転中心になる軸受部22cと、軸受部22cから基枠体21の商品落下穴21cと対面できるだけ外側の位置にカプセル抽出穴22bと、軸受部22cに取付けた幅狭の略翼状の撹拌部材22eと、を有している。
【0019】
カプセル抽出穴22bは、カプセルCが収まる大きさに形成されている。
カプセル抽出穴22bは、基礎円盤22dに少なくとも1個あれば足りるが、2個或いは4個であってもよい。
本実施形態では、カプセル抽出穴22bは、略等ピッチ(略120度単位)で3個設けられている。因みに、駆動歯車15と従動歯車22aの回転比は、本実施形態では、駆動歯車15の1回転で従動歯車22aは1/3回転に設定されている。それにより、後述する媒体選別装置10のハンドル操作盤14を1回転させると、円盤体22が1/3回転して、次のカプセル抽出穴22bが商品落下穴21cと対面する。
【0020】
撹拌部材22eは、ハンドル1bの回転による円盤体22の回転時にカプセルCをかき回すために用いられるものであり、基礎円盤22dの回転のみでカプセルCをかき回すことができるのであれば、撹拌部材22dを設けなくてもよい。
【0021】
[商品受取部23]
商品受取部23は、
図1及び
図2に示すように、ガイド部24の可撓管60に接続される略水平な筒状のカプセル導入口23aと、カプセル導入口23aと繋がり、利用者がカプセルCを受け取る商品受皿23bと、を有している。
【0022】
[ガイド部24]
ガイド部24は、フレキシブルな可撓管により形成されている。
ガイド部24は、
図2に示すように、一端側が基枠体21の商品落下穴21cと一体の落下筒体21dに接続され、他端側が、商品受取部23のカプセルCの導入口23bに接続される。
【0023】
[媒体収容部25]
媒体収容部25は、
図2に示すように、媒体選別装置10の後方に位置し、その上部には、図示しないが、後述する媒体選別装置10の下流側案内路12iと繋がる開口部を有する。この開口部は、媒体収容部25の内部に形成された特定媒体Mを保管できる空間に繋がっている。
【0024】
[脚部26]
脚部26は、本実施形態では、一対の門型部材26aと、一対の門型部材26aを結合させる貫材26bと、を有する。
門型部材26aは、側面から見て略門型であり、上端部が基枠体21に結合される上部横棧部材26cと、下端部の水平な接地部材26dと、上部横棧部材26c及び接地部材26dをそれらの前後において結合する一対の縦部材26eと、により形成される。
接地部材26dは、前端側に、設けたマシンパネル70を係止させるための係止用凸部26fが形成されている。
【0025】
[商品収容部50]
商品収容部50は、
図2に示すように、底部が全面解放された、ここでは透明板で形成した箱状体51により形成される。
箱状体51は、その下端51aの外形が、基枠体21の上面に形成された取付溝21eに嵌まる形状に形成されている。
箱状体51の上面には、図示しないが、開閉自在の蓋を備えたカプセル投入口が形成されている。この箱状体51は通常、その下端部8aが前記基枠体21の取付溝21eに嵌まった状態で基枠体21にセットされており、カプセルCが上部の蓋付の投入口から投入、補充するようにして商品収容部50を形成している。
【0026】
[媒体選別装置10]
媒体選別装置10は、
図3~7に示すように、基枠体21の開口部21fに固定されるベース部11と、ベース部11の前面に配置されるハンドル操作盤14と、ベース部11の背面に円盤体22の従動歯車22aに噛合するように配置される駆動歯車15と、ベース部11の内部に配置される回転制御円盤16と、中程で回転制御円盤16が貫通した状態で、一端でハンドル操作盤14と繋がり、他端で駆動歯車15と繋がり、ハンドル操作盤14の回転を駆動歯車15と回転制御円盤16に伝達するハンドル軸17と、所定の条件を満たすまで回転制御円盤16の正転(
図7では反時計回り方向)を阻止にするための作動板18と、回転制御円盤16の逆転(
図7では時計回り方向)を阻止するための逆回転防止レバー19と、を有する。
【0027】
ベース部11は、
図4に示すように、ハンドル操作盤14と当接する前面プレート12と、前面プレート12と対向する背面プレート13とを有する。
ベース部11は、本実施形態では、背面プレート2dのビス穴2gに挿通されたビスにより、基枠体21の開口部21fにビス止めすることにより装着される。この装着においては、ハンドル軸17の先端部の駆動歯車15を、基枠体21に回転自在に支持されている円盤体22の外周下面に形成された従動歯車22aに噛合させて取付けられる。
【0028】
[前面プレート12]
前面プレート12は、
図5に示すように、板部12aと、板部12aの略中央に、背面プレート13と対向する面に開口を有し、回転制御円盤16を回転自在に納めるために形成された凹部12bと、板部12aの周縁に、前面側から背面側に伸びる周壁部12kと、を有する。
【0029】
凹部12bは、
図5に示すように、その上側の側面に前面プレート12の前面側から媒体を凹部12bの内部に投入できるように形成された媒体投入口12eと、底面の略中心にハンドル軸11が通る軸穴12cと、後述する背面プレート13の特定媒体排出口13dに対向する位置の側面と底面に、媒体を特定媒体排出口13dに案内する第一ガイド部12dと、下側の底面に小径媒体排出部12fと、を有する。
【0030】
媒体投入口12eは、所望の媒体が通過できる大きさに形成されている。具体的には、媒体選別装置10を正面から見た場合に、媒体投入口12eの左右方向の幅が、所望の媒体の直径と略等しく形成され、媒体投入口12eの前後方向の幅が、所望の媒体の厚さと略等しく形成されている。これにより、所望の媒体より大径の大径媒体は、媒体投入口12eを通過するのを防ぐことができない。
一方、媒体投入口12eから投入された特定媒体と特定媒体よりも小径の媒体(以下、小径媒体Sという)は、後述するように停止位置の回転制御円盤の保持部16dに到達する。
【0031】
また凹部12bに、回転制御円盤16が配置されると、
図7に示すように、媒体投入口12eを通過した媒体が保持部16dに到達するための上流側案内路12pと、特定媒体Mが背面プレート13の特定媒体排出口13dにまで移動する下流側案内路12iが形成される。
具体的には、回転制御円盤16が特定媒体Mが投入されて正転するまで停止している停止位置において、媒体投入口12eと保持部16dが上下方向に対向して、媒体投入口12eと保持部16dの間に上流側案内路12pが形成される。
また、回転制御円盤16が停止位置から正転したときに、特定媒体Mを停止位置に位置した状態から特定媒体排出口12にまで案内できるように、周壁部12kと回転制御円盤16の間に形成されている。
【0032】
第一ガイド部12dは、
図5に示すように、下流側案内路12iの内部で、特定媒体Mを特定媒体排出口13dに案内できるように形成されている。
具体的には、凹部12bの底面から、下流側案内路12iの中程から背面プレート13の特定媒体排出口13dに対向する箇所に向けて、次第に高くなるように形成されている。これにより回転制御円盤16が停止位置から正転したときに、特定媒体Mが、特定媒体排出口13dに向かって移動し、第一ガイド部12dに案内されて、特定媒体排出口13dから特定媒体M収容部70に移動することができる。
【0033】
小径媒体排出部12fは、
図5に示すように、凹部12bの底面に、表裏を貫通して形成された小径媒体排出口12gと、小径媒体排出口12gと連通して前面プレート12の前方側に形成された小径媒体受皿12hと、を有する。
特定媒体Mよりも小径の小径媒体Sについては、媒体投入口12eからベース部12の内部に入ることができるが、後述する回転制御円盤16の第一排出案内路16gを経て小径媒体排出口12gに排出される。これにより、利用者が誤って投入した媒体は、小径媒体受皿12hに到達して、利用者が再び取得することができる。
【0034】
周壁部12kは、
図5に示すように、板部12aの外周縁の全周で、前面側から背面側に伸びて形成されている。
周壁部12kは、先端の内周縁に、特定媒体排出口13dと対向する部分を除き、背面プレートの12の板部13aの外周縁が嵌る溝12mが形成されている。
周壁部12kは、特定媒体排出口13dと対向する部分に、第二ガイド部12nと、特定媒体排出口13dの上下方向に沿う縁と対向するように、壁12sを有する。
第二ガイド部12nは、下流側案内路12iを第一ガイド部12dにより特定媒体排出口13dが形成されている背面プレート13側に移動してきた特定媒体Mを、特定媒体排出口13dに案内するために形成されている。
壁12sは、下流側案内路12iを流下してきた特定媒体Mが小径媒体排出口12gに到達するのを防ぐためのものである。
【0035】
[背面プレート13]
背面プレート13は、
図4及び
図6に示すように、板部13aと、板部13aの略中央に、前面プレート12と対向する面とは反対側の面に、開口を有する凸部13bと、を有する。
【0036】
凸部13bは、
図6に示すように、下側に円弧部13cと、特定媒体排出口13dと、を有する。
円弧部13cは、前面プレート12と背面プレート13を組み合わせてベース部11を形成させたときに、特定媒体M以外の媒体を排出させる排出案内路の一部を形成させるためのものである。
具体的には、回転制御円盤16の保持部16dに繋がる第一排出案内路16gと、回転制御円盤16の排出案内孔16hを介して第一排出案内路16gと繋がる第二排出案内路16kとを有し、さらに、前面プレート12と背面プレート13の間に、第二排出案内路16kと、小径媒体排出口12gとを繋ぐ第三排出案内路12rが形成される。
【0037】
特定媒体排出口13dは、
図4に示すように、第一ガイド部12dと対向するように形成されている。特定媒体排出口13dは、特定媒体M収容部70に繋がっている。
【0038】
[回転制御円盤16]
回転制御円盤16は、
図8(a)に示すように、板部16aと、板部16aの前後の主面の略中央にハンドル軸17が挿通される挿通孔16bと、板部16aの背面に肉盛部16cと、板部16aの背面の上側に、媒体投入口12eに投入された媒体のうち特定媒体Mを収容する保持部16dと、保持部16dに繋がり、特定媒体Mよりも小径の小径媒体Sを排出案内孔16hまで案内する第一排出案内路16gと、板部16aの前面で排出案内孔16hから下方に形成された第二排出案内路16kと、その外周に、回転制御円盤16の逆転(
図7の時計回り方向)を阻止するために、保持部16dから時計回り方向に略90度離れた部分に、正面視略V状の第一制御溝16mと、反時計回り方向に略90度離れた部分に、正面視略V状の第二制御溝16nと、を有する。
【0039】
肉盛部16cは、
図8(b)に示すように、板部16aの背面から、前面側から背面側の方向に隆起して形成されている。
肉盛部16cが板部16aよりも盛り上がっていることにより、回転制御円盤16に、収容部15bと、第一排出案内路16gが形成されている。
また、肉盛部16cは、特定媒体Mが特定媒体排出口13dから排出されたあと、作動板18が当接した状態となり、回転制御円盤16の正転の継続が許容されるように形成されている。
【0040】
保持部16dは、特定媒体Mを保持するためものである。
保持部16dは、
図8(a)に示すように、一対の保持片を有する。具体的には、正転方向の後方側に第一保持片16eと、第一保持片16eよりも正転方向の前方側に第二保持片16fと、を有する。
第一保持片16eは、特定媒体Mが投入されていないときに、回転制御円盤16が正転すると、作動板18の規制突起18bと当接する。これにより、特定媒体Mが投入されていないときに回転制御円盤16が回転するのを阻止することができる。
なお、第一保持片16eは、
図7に示すように、特定媒体Mが投入されたときには、保持部16dに位置した特定媒体Mが回転制御円盤16の正転とともに移動するために支持する支持部として機能する。
第二保持片16fは、本実施例では、
図7に示すように、回転制御円盤16が正転したときに、特定媒体Mが作動板18と当接できるように形成されている。
【0041】
保持部16dは、
図8(a)に示すように、下側で第一排出案内路16gと繋がっている。つまり、投入された媒体が特定媒体Mよりも径が小さい小径媒体Sは、保持部16dに留まることができず、第一排出案内路16gを経て小径媒体受皿12hに到達する。
【0042】
第一排出案内路16gは、
図8(a)に示すように、特定媒体Mの直径よりも小さい幅で形成されている。
第一排出案内路16gは、
図8(b)に示すように、回転制御円盤16の厚さ方向で板部16aより低くなるように形成されている。
第一排出案内路16gは、下側で排出案内孔16hと繋がっている。
【0043】
排出案内孔16hは、
図8(c)に示すように、板部16aの表裏を貫通して形成されている。
排出案内孔16hには、背面側から前面側に媒体を案内するガイド部16iが形成されている。具体的には、
図8(c)に示すように、背面側から前面側に向けて、次第に肉厚になるように形成されて、傾斜面が形成されている。これにより、第一排出案内路16gを落下してガイド部16iに到達した媒体は、排出案内孔16hを通り、第二排出案内路16kに案内される。
【0044】
第二排出案内路16kは、
図8(c)に示すように、上端で排出案内孔16hと繋がっている。
第二排出案内路16kは、第一排出案内路16gと同様に、特定媒体Mの直径よりも小さい幅で形成されている。
第二排出案内路16kを通過した媒体は、回転制御円盤16から落下して、前面プレート12と背面プレート13の間に形成された第三排出案内路12rを経て、小径媒体受皿12hに達する。
【0045】
第一制御溝16mは、
図7に示すように、回転制御円盤16が停止位置の状態のときに、支持ピン19cで揺動可能に支持されて、バネ18bで回転制御円盤16側に向け付勢されている逆回転防止レバー19の爪19aが係合するように形成されている。これにより、この回転制御円盤16の逆転を阻止している。つまり、逆回転防止レバー19と第一制御溝16mで逆回転防止機構が構成されている。
【0046】
第二制御溝16nは、
図7に示すように、回転制御円盤16が略180度だけ正転した状態のときに、逆回転防止レバー19の爪19aが係合するように形成されている。これにより、この回転制御円盤16の逆転を阻止している。つまり、逆回転防止レバー19と第二制御溝16nで逆回転防止機構が構成されている。
【0047】
逆回転防止レバー19の爪19aの第一制御溝16mや第二制御溝16nからの離脱は、回転制御円盤16が正転することにより、バネ19bによる付勢方向(回転制御円盤16に向けた付勢)とは反対方向に変位(後退)させたられることにより実現される。
【0048】
[作動板18]
作動板18は、
図7に示すように、本体18aと、本体18aの先端側に、特定媒体Mが投入されていないときに回転制御円盤16が正転されると、回転制御円盤16の第一保持片16eと当接する規制突起18bと、本体18aの基端側を揺動可能に支持する支持ピン18cと、本体18aを回転制御円盤16側に向け付勢するためのバネ18dと、を有する。
作動板18は、上記構成により、特定媒体Mが投入されていないときに回転制御円盤16が正転すると、規制突起18bが第一保持片16eと当接して、回転制御円盤16が正転するのを阻止することができる。
一方、特定媒体Mが投入されたときに回転制御円盤16が正転すると、
図10に示すように、特定媒体Mにより規制突起18bが第一保持片16eと当接するのを阻止されることにより、回転制御円盤16が特定媒体Mを特定媒体排出口13dから排出させるまで正転するのを許容することができる。
さらに、特定媒体Mを特定媒体排出口13dから排出された後は、作動板18は、本体18aが肉盛部16cと当接した状態となり、回転制御円盤16の正転の継続が許容される。
そして、このまま回転制御円盤16が1回転(ハンドル操作盤14もハンドル軸17も同じく1回転)して停止位置に戻ると、作動板18は元の位置に戻ってスタンバイ状態になる。
このように、回転制御円盤16と作動板18により、回転制御機構が構成されている。
【0049】
[媒体選別装置10の操作について]
次に、媒体選別装置10の操作について、媒体を投入していない場合、特定媒体Mより小径の小径媒体Sを媒体投入口12eに投入した場合、特定媒体Mを媒体投入口12eに投入した場合の順に説明する。
なお、媒体選別装置10は、支持基台20の基枠体21に固定されているものとする。
【0050】
まず、媒体を挿入していない場合について説明する。
媒体を投入していない場合には、ハンドル操作盤14を正転させようとすると、規制突起18bが第一保持片16eと当接して、回転制御円盤16が正転するのを阻止される。
また、ハンドル操作盤14を逆転させようとすると、逆回転防止レバー19の爪19aが第一制御溝16mに係合することにより、回転制御円盤16が正転するのを阻止される。なお、逆転が阻止されるのは、後述する特定媒体Mよりも径の小さな媒体を投入した場合、特定媒体Mを投入した場合も同様である。
【0051】
次に、小径媒体Sを媒体投入口12eに投入した場合について説明する。
媒体投入口12eに投入された小径媒体Sは、上流側案内路12pを通過して、回転制御円盤16の保持部16dに到達する。保持部16dに到達した小径媒体Sは、特定媒体Mよりも径が小さいことにより、保持部16dに留まることが出来ず、第一排出案内路16g、排出案内孔16h、第二排出案内路16k、第三排出案内路12rを経て、小径媒体受皿12hに到達する。これにより、小径媒体Sを利用者に返すことができる。
【0052】
次に、特定媒体Mを媒体投入口12eに投入した場合について説明する。
媒体投入口12eに投入された特定媒体Mは、上流側案内路12pを通過して、保持部16dに到達する。保持部16dに到達した特定媒体Mは、保持部16dに保持される。
特定媒体Mが保持部16dに保持された状態でハンドル操作盤14を正転させると、特定媒体Mが作動板18と当接し、さらにハンドル操作盤14を正転させると、特定媒体Mにより規制突起18bが第一保持片16eと当接するのを阻止されることにより、回転制御円盤16が特定媒体Mを特定媒体排出口13dから排出させるまで正転させることができる。
さらに、ハンドル操作盤14を正転させると、作動板18は、本体18aが肉盛部16cと当接した状態となり、回転制御円盤16の正転の継続が許容されて、ハンドル操作盤14をスタンバイの位置に戻すことができる。
これにより、商品収容部50に収容された1つのカプセルCを商品受皿23bに到達させることができる。
【0053】
[媒体選別装置10により奏する効果について]
次に、媒体選別装置10により奏する効果について説明する。
本実施形態の媒体選別装置10は、箱状のベース部11と、ベース部11の上方に形成された媒体投入口12eと、媒体投入口12eに通じ、ベース部11の内部で特定媒体Mが通過する上流側案内路12pと、上流側案内路12pと繋がり投入された特定媒体Mを保持する保持部16dと、特定媒体Mよりも小径の小径媒体が保持部を通過して落下する第一排出案内路16g及び第二排出案内路16kと、第二排出案内路16kに繋がり、小径媒体を利用者が受け取れるように排出する小径媒体排出部12fと、を備え、ベース部11に回転可能に支持される回転制御円盤16と、特定媒体Mが保持部16dに保持されていないときには回転制御円盤16の回転を規制し、特定媒体Mが回転制御円盤16の保持部16dに保持されたときには回転制御円盤16の回転規制を解除するように形成された回転制御機構と、を有する。
媒体選別装置10は、上記の構成により、機械的に投入物品の選別ができ、構造の簡略化を図ることができる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
例えば、上述した実施例では、回転制御円盤16の背面に第一排出案内路16gが形成され、前面に第二排出案内路16kが形成されているが、本発明はこれに限定されない。
回転制御円盤16の前面に第一排出案内路16gと第二排出案内路16kが形成されていてもよい。この場合は、排出案内孔16hを設けなくてもよい。
【0055】
また、上述した実施例では、ベース部11は、第一ガイド部12dと第二ガイド部12nを有するが本発明はこれに限定されない。特定媒体Mを特定媒体排出口13dから排出できるのであれば、どちらか一方でも足りる。
【0056】
さらに、上述した実施形態では、逆回転防止レバー19及び第一制御溝16mと、逆回転防止レバー19及び第二制御溝16nの2つの逆回転防止機構を有しているが、本発明はこれに限定されない。制御溝の数は1つでもよく、3以上でもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 商品提供マシン
10 媒体選別装置
11 ベース部
16 回転制御円盤
20 支持基台
M 特定媒体
S 小径媒体