(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120490
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】冷凍食品及び冷凍食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20220810BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B65D81/34 V
B65D77/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017413
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】513129209
【氏名又は名称】株式会社武蔵野ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 定明
(72)【発明者】
【氏名】安田 信行
(72)【発明者】
【氏名】池田 久則
【テーマコード(参考)】
3E013
3E067
【Fターム(参考)】
3E013BB06
3E013BB12
3E013BC04
3E013BD13
3E013BE01
3E013BE04
3E013BF03
3E013BF22
3E013BF32
3E013BF69
3E013BF74
3E013BG04
3E013BG18
3E067AA11
3E067AB01
3E067AC01
3E067BA10B
3E067BA12C
3E067BB14C
3E067BB16C
3E067BC02B
3E067EA06
3E067EC27
3E067EC36
3E067EE26
3E067EE28
3E067EE48
3E067FA04
3E067FB07
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】冷凍食品の電子レンジによる加熱後においても、冷凍食品のパサパサ感がなく食感を向上させる。
【解決手段】1枚のフィルム11で中華まん20の周囲を筒状に覆い、筒の左右両側開口を封止部12として封止する。左右両側開口が封止された筒の内側には、内部に殺菌水31が貯留されたトレイ容器30と、トレイ容器30の底面の4個所に設けられ、中華まん20の底部を、殺菌水31の水面から離間させつつ当該水面に臨むように支持する支持突起50と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚のフィルムで蒸し食品の周囲を筒状に覆い、筒の両側開口を封止した冷凍食品であって、
前記両側開口が封止された筒の内側に設けられ、内部に保湿水が貯留されたトレイ容器と、
前記トレイ容器の底面の複数個所に設けられ、前記蒸し食品の底部を、前記保湿水の水面から離間させつつ当該水面に臨むように支持する支持突起と、
を有する
ことを特徴とする冷凍食品。
【請求項2】
前記トレイ容器の底面に載置された保水シートをさらに有し、
前記保湿水は、
前記保水シート及びその上部に貯留されている
ことを特徴とする請求項1記載の冷凍食品。
【請求項3】
前記トレイ容器は、
前記蒸し食品の高さ方向寸法よりも小さい、高さ方向寸法を備えており、
前記支持突起は、
その先端が、前記保湿水の水面から突出するように設けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の冷凍食品。
【請求項4】
前記複数の支持突起のうち少なくとも3つは、前記トレイ容器の径方向中央側に所定の突起なし領域を介在させつつ、前記底面に沿う方向に沿って互いに離間して配置されており、
それら少なくとも3つの支持突起は、
前記蒸し食品の底部のうち外周部位に当接して支持する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の冷凍食品。
【請求項5】
前記蒸し食品の前記底部に、蒸気から当該蒸し食品を保護するための保護シートが付着されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の冷凍食品。
【請求項6】
前記蒸し食品は、
中華まんであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の冷凍食品。
【請求項7】
底面の複数個所に支持突起を備えたトレイ容器の内部に、前記支持突起の先端が水面から露出するように保湿水を貯留する貯留工程と、
冷凍用の蒸し食品の底部を、前記水面から離間させつつ当該水面に臨むように前記支持突起上に載置する載置工程と、
フィルムを筒状にする筒状化工程と、
前記筒状化工程により筒状にされた前記フィルムの内部に、筒の両側開口のうちいずれかの開口を介して、前記保湿水を貯留しかつ前記蒸し食品を載置した前記トレイ容器を挿入することで、前記蒸し食品及び前記トレイ容器の周囲を筒状に覆う包囲工程と、
前記包囲工程で前記トレイ容器が挿入された前記筒状のフィルムの、前記両側開口を封止する封止工程と、
を有することを特徴とする冷凍食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸し食品を包装して構成された冷凍食品及びその冷凍食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、中華まん等の蒸し食品を冷凍食品化する技術が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。この冷凍食品は、電子レンジで所定時間直接加熱するだけで、短時間かつ簡便に温め、食べることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の冷凍食品では、電子レンジによる加熱時に、蒸し食品の表面からの水分の蒸発によって表面近傍が硬くパサパサとした状態となり、食感を大きく損ねていた。
【0005】
本発明の目的は、電子レンジによる加熱後においてもパサパサ感がなく食感を向上できる冷凍食品及び冷凍食品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の冷凍食品は、1枚のフィルムで蒸し食品の周囲を筒状に覆い、筒の両側開口を封止した冷凍食品であって、前記両側開口が封止された筒の内側に設けられ、内部に保湿水が貯留されたトレイ容器と、前記トレイ容器の底面の複数個所に設けられ、前記蒸し食品の底部を、前記保湿水の水面から離間させつつ当該水面に臨むように支持する支持突起と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の冷凍食品においては、筒状に巻かれたフィルムの両側開口が封止され、その内部空間に、蒸し食品を支持したトレイ容器が配置されている。蒸し食品は、トレイ容器の底部の複数個所に位置する支持突起により支持されている。トレイ容器の内部には保湿水が貯留されており、蒸し食品の底部は、支持突起に支持された状態において、保湿水の水面から離間しつつ当該水面に臨むように配置される。
【0008】
これにより、この冷凍食品を電子レンジに入れて加熱したとき、トレイ容器に貯留された保湿水から水分が蒸発し、フィルム内部に水蒸気を充満させることができる。この結果、従来のように蒸し食品の表面近傍が乾燥し硬くパサパサとした状態になるのを防ぎ、食感を向上させることができる。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明の冷凍食品の製造方法は、底面の複数個所に支持突起を備えたトレイ容器の内部に、前記支持突起の先端が水面から露出するように保湿水を貯留する貯留工程と、冷凍用の蒸し食品の底部を、前記水面から離間させつつ当該水面に臨むように前記支持突起上に載置する載置工程と、フィルムを筒状にする筒状化工程と、前記筒状化工程により筒状にされた前記フィルムの内部に、筒の両側開口のうちいずれかの開口を介して、前記保湿水を貯留しかつ前記蒸し食品を載置した前記トレイ容器を挿入することで、前記蒸し食品及び前記トレイ容器の周囲を筒状に覆う包囲工程と、前記包囲工程で前記トレイ容器が挿入された前記筒状のフィルムの、前記両側開口を封止する封止工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の冷凍食品の製造方法においては、上述したのと同様に、保湿水が貯留されたトレイ容器が配置される。この製造方法による冷凍食品を電子レンジに入れて加熱したとき、トレイ容器に貯留された保湿水から水分が蒸発し、フィルム内部に水蒸気を充満させることができる。この結果、従来のように蒸し食品の表面近傍が乾燥し硬くパサパサとした状態になるのを防ぎ、食感を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、冷凍食品の電子レンジによる加熱後においても、パサパサ感がなく食感を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による冷凍食品の外観構成を表す斜視図である。
【
図3】
図1に示す冷凍食品のトレイ容器、支持突起等の外観構成を表す斜視図である。
【
図4】
図1に示す冷凍食品のトレイ容器、支持突起等の縦断面図である。
【
図5】
図1に示す冷凍食品を製造するための一連の工程を表すフローチャートである。
【
図6】貯留工程、及び、載置工程において、
図1に示す冷凍食品が製造されていく様子を説明するための図である。
【
図7】筒状化工程、包囲工程、及び、封止工程において、
図1に示す冷凍食品が製造されていく様子を説明するための図である。
【
図8】筒状化工程、包囲工程、及び、封止工程において、本発明の他の実施形態による冷凍食品が製造されていく様子を説明するための図である。
【
図9】本発明の他の実施形態による冷凍食品のトレイ容器、支持突起等の外観構成を表す斜視図である。
【
図10】本発明の他の実施形態による冷凍食品の外観構成を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1及び
図2に、本発明の一実施形態による冷凍食品100を示す。なお、以下の説明において、上下方向、前後方向、左右方向は、各図に示すように、冷凍食品100の製造者から見た上下方向、手前奥手方向、左右方向に相当しており、各図中に適宜される矢印の方向に対応している。
【0015】
<冷凍食品の構成>
図1に示すように、冷凍食品100は、ピローパウチ状の包装袋10にて、その内部空間に中華まん20(蒸し食品に相当)を収容する構成となっている。包装袋10は、中華まん20の周囲を筒状に覆う1枚のフィルム11を、備えている。筒の左右両側開口の端部は、2箇所の封止部12として封止されており、後述するフィルム11の長辺端11aに対応している(
図7参照)。包装袋10の下方であって前後方向の略中央にて、貼り合わせ部13として、フィルム11の短辺端11bが重ねて貼り合わされている(
図7参照)。
【0016】
図1に示すように、封止された筒の内側において、正姿勢にある中華まん20の下方に、トレイ容器30が設けられている。トレイ容器30は、直方体状の頂面部位が開放された箱型形状を呈している。正姿勢にある中華まん20の底部には、保護シート40が付着されている。保護シート40は、中華まん20を蒸気から保護するためのものである。トレイ容器30の底面には、支持突起50が設けられており、支持突起50は、保護シート40を介して中華まん20の底部外周部位を支持するようになっている。トレイ容器30には、殺菌水31(保湿水に相当)が貯留されている。
【0017】
図1の左右方向のA-A切断線に沿った縦断面図(A-A断面)である
図2に示すように、中華まん20は、包装袋10の内部空間の下方に、トレイ容器30を介して正姿勢で配置されている。より具体的には、中華まん20は、トレイ容器30の内側における底面30aの左右方向略中央から所定の高さをもって、複数の支持突起50にて底部21の外周部位が支持されるよう配置されている。各支持突起50の上面は、保護シート40の下面と接している。トレイ容器30の底面30aには、その底面30aに沿うように保水シート60が載置されている。トレイ容器30の内部においては、保水シート60およびその上部に殺菌水31が貯留されている。支持突起50の支持により、中華まん20の底部21は、殺菌水31の水面から離間しつつ当該水面に臨むようになっている。即ち、保護シート40が付着した底部21は、水面に直接対向している。
【0018】
図2に示すように、包装袋10は、左右端が各封止部12としてそれぞれ封止されている。封止部12および貼り合わせ部13により、包装袋10の内部空間が外部と区画され、中華まん20、トレイ容器30、殺菌水31、保護シート40、及び、保水シート60が、包装袋10にてそれぞれ密閉される。
【0019】
<トレイ容器の構成>
図3に示すように、箱型形状のトレイ容器30は、底面30a、及び、側面30bを有している。底面30aは、正方形状を呈しており、その一辺は、左右端の各封止部12間の距離よりも短い(
図2参照)。側面30bは、底面30aの四辺縁部にて、底面30aと垂直をなすよう立設している。底面30aおよび側面30bの内側に、殺菌水31が貯留されるようになっている。
【0020】
底面30aにおいては、四角柱状の支持突起50が、4つ設置されている。4つの支持突起50は、底面30aの1つの対角線上に2つずつ配置されている。各支持突起50は、上端50aがそれぞれ同じ高さとなるよう、上側に向かって伸長する(
図4参照)。
図3において、4つの支持突起50を結ぶ線で構成される仮想平面は、底面30aよりも小さく底面30aと相似である。各支持突起50は、この仮想平面に対応するように、トレイ容器30の径方向中央側に突起がない領域を介在させて配置される。また、各支持突起50は、底面30aの各辺方向に沿って、互いに離間して配置される。
【0021】
図3の左右方向のB-B切断線に沿った縦断面図(B-B断面)である
図4に示すように、各支持突起50は、左右方向に、距離Dだけ離間するように配置される。なお、前後方向においても同様である。中華まん20が支持突起50に支持される場合、支持突起50の上端50aが、中華まん20の底部21のうち外周部位に当接する。このように、各支持突起50における距離Dが調整されている。
【0022】
トレイ容器30の側面30b、支持突起50、及び、貯留状態の殺菌水31(保水シート60を含む)においては、高さ方向の寸法として、上下方向における高さH1、H2、及び、H3がそれぞれ規定される。これらの大小関係は、H1>H2>H3となっている。このため、各支持突起50の上端50aは、殺菌水31の水面から突出する。また、側面30bの上端が、各支持突起50の上端50aよりも上側に位置する。このため、上端50aと当接する中華まん20の底部21は、側面30bにて囲われる。更に、中華まん20においても、高さ方向の寸法として、上下方向における高さH0が規定される。中華まん20および側面30bの上下方向における高さH0、及び、H1の大小関係は、H0>H1となっている。
【0023】
保水シート60は、各支持突起50の設置部位以外の底面30aを、上から覆うように載置されている。保水シート60を構成する材料は、本例では不織布又は紙材であるが、保水機能を有する材料であればよく、これらに限定されない。
【0024】
<冷凍食品の製造方法>
上述のように構成されるトレイ容器30、及び、フィルム11を用い、中華まん20を収納した冷凍食品100を製造する方法を説明する。
図5のフローチャートに示すように、冷凍食品100の製造方法は、貯留工程501と、載置工程502と、筒状化工程503と、包囲工程504と、封止工程505と、を備えている。本実施形態においては、一連の工程により、正ピロー包装が達成される(
図7参照)。
【0025】
冷凍食品100を製造する場合、先ず、貯留工程501にて、
図6に示すように、トレイ容器30の内部に殺菌水31を貯留する。具体的には、
図3及び
図4に示す支持突起50および保水シート60を備えたトレイ容器30の内部に、各支持突起50の上端50aが水面から露出するように殺菌水31を貯留する。1つのトレイ容器30に対し、注水可能なノズルを介して、殺菌水31の水位が上述した高さH3となる量だけ殺菌水31を注水する。
【0026】
次いで、載置工程502に進み、貯留工程501により殺菌水31が貯留されたトレイ容器30に、中華まん20を正姿勢で載置する。具体的には、保護シート40が付着した冷凍用の中華まん20の底部21を、殺菌水31の水面から離間させつつ水面に臨むように、支持突起50上に載置する(
図4参照)。即ち、底部21の外周部位は、各支持突起50の上端50aに当接し、保護シート40を介して水面に直接対向する。
【0027】
次いで、筒状化工程503に進み、
図7に示すように、フィルム11を筒状にする。筒状化前のフィルム11は長方形状を呈しており、長辺端11aおよび短辺端11bが規定される。フィルム11を構成する材料は、本例ではポリプロピレンであるが、包装機能を有する材料であればよく、これに限定されない。フィルム11の前後方向の略中央部位を保持した状態で、長辺端11aを湾曲させつつ、2つの短辺端11bをそれぞれ下方へ取り回す。一方の短辺端11b近傍の内側が、他方の短辺端11b近傍の外側に重ねられて、貼り合わせられる。これにより、下方部位にて貼り合わせ部13が形成されて、左右両側開口14を有する筒が形成される。この開口端は、フィルム11の長辺端11aに対応している。
【0028】
次いで、包囲工程504に進み、筒状化工程503により筒状にされたフィルム11の内部に、筒の左右両側開口14のうち何れかを介してトレイ容器30を挿入し、周囲を筒状に覆う。挿入されるトレイ容器30は、貯留工程501にて殺菌水31が内部に貯留されており、かつ、載置工程502にて正姿勢で中華まん20が載置された状態のものである。挿入されたトレイ容器30は、筒状のフィルム11の下方内側に配置される。これにより、中華まん20、及び、殺菌水31が貯留されたトレイ容器30の周囲が、筒状に覆われる。
【0029】
そして、封止工程505に進み、包囲工程504でトレイ容器30および中華まん20が挿入された筒状のフィルム11の、左右両側開口14を封止する。本例では、中華まん20およびトレイ容器30の挿入後、左右両側開口14の前後方向の両端部が折られて、長辺端11aに沿って上下方向からホットプレスされる。これにより、長辺端11aの近傍のポリプロピレン素材が溶けつつ圧着されて、封止部12が形成される。
【0030】
上述のように、
図5のフローチャートに示す各工程(
図6および
図7参照)を経て、貼り合わせ部13が下方部位に形成された正ピロー包装が達成され、
図1に示す冷凍食品100が完成する。
【0031】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の冷凍食品100においては、筒状に巻かれたフィルム11の左右両側開口14が封止部12として封止され、その内部空間に、中華まん20を支持したトレイ容器30が配置されている。中華まん20は、トレイ容器30の底面30aの4個所に位置する支持突起50により支持されている。トレイ容器30の内部には殺菌水31が貯留されており、中華まん20の底部21は、支持突起50に支持された状態において、殺菌水31の水面から離間しつつ当該水面に臨むように配置される。
【0032】
これにより、この冷凍食品100を電子レンジに入れて加熱したとき、トレイ容器30に貯留された殺菌水31から水分が蒸発し、フィルム11内部に水蒸気を充満させることができる。この結果、従来のように中華まん20の表面近傍が乾燥し硬くパサパサとした状態になるのを防ぎ、食感を向上させることができる。
【0033】
また、本実施形態では特に、トレイ容器30の底面30aに保水シート60が載置され、殺菌水31は、保水シート60及びその上部に貯留されている。これにより、トレイ容器30内において、殺菌水31を確実に且つ安定的に貯留しておくことができる。
【0034】
また、本実施形態では特に、トレイ容器30の側面30bの高さH1は、中華まん20の高さH0よりも小さい。このため、製造時に、中華まん20を円滑にトレイ容器30上に載置することができる。更に、支持突起50の高さH2は、貯留状態の殺菌水31の水面の高さH3よりも大きい(
図4参照)。即ち、支持突起50は、その上端50aが殺菌水31の水面から突出するように設けられている。これにより、中華まん20の底部21を、確実に殺菌水31の水面から離間するように支持することができる。
【0035】
また、本実施形態では特に、4つの支持突起50は、トレイ容器30の底面30aの1つの対角線上に2つずつ配置され、トレイ容器30の径方向中央側に、突起がない領域を介在させて配置されている(
図3参照)。各支持突起50は、底面30aの各辺方向に沿って、距離Dをもって互いに離間して配置され、支持突起50の上端50aが、中華まん20の底部21のうち外周部位に当接するよう支持する(
図4参照)。これにより、底部21の外周部位を支持しつつ、上述した突起なし領域においては、下方に満たされている殺菌水31からの水分を直接中華まん20の底部21へと導き、中華まん20の下側部分に確実に湿度を与えることができる。
【0036】
また、本実施形態では特に、正姿勢にある中華まん20の底部21に、蒸気から当該中華まん20を保護するための保護シート40が付着されている。本実施形態においては、上記したように、殺菌水31から蒸発する水分によって中華まん20の表面が乾燥するのを防止することができる。その一方中華まん20の底部21に保護シート40が付着されることにより、当該底部21に過剰な水分が供給されることで柔らかくなりすぎるのを防止することができる。以上の結果、本実施形態においては、中華まん20表面全般への水分供給と、中華まん20の底部21への過剰な水分供給の抑制と、の両立を図り、中華まん20全体にほどよい水分が行き渡った状態とすることができる。この結果、食感を確実に向上させ、さらにおいしく味わうことができる。
【0037】
また、本実施形態では特に、冷凍食品100の蒸し食品として、中華まん20が用いられている。これにより、冷凍により中華まん20としての風味を維持しつつ、電子レンジでの加熱時に表面近傍がパサパサに乾燥するのを防ぎ、食感を向上させることができる。
【0038】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。変形例において、上記実施形態と同一・等価である部位については、
図1、
図3、及び、
図7に記載の番号と同番号を付して説明を省略する。上記実施形態においては、
図7に示すように、筒状化工程503にて、貼り合わせ部13が下方部位に形成されて、正ピロー包装が達成される。これに代えて、例えば、
図8に示すように、筒状化工程503にて、貼り合わせ部13が上方部位に形成されて、逆ピロー包装が達成されるようにしてもよい。
【0039】
この場合、
図8に示すように、筒状化工程503にて、シート11の長辺端11aを湾曲させつつ、2つの短辺端11bをそれぞれ上方へ取り回す。一方の短辺端11b近傍の内側が、他方の短辺端11b近傍の外側に重ねられて、貼り合わせられる。これにより、上方部位にて貼り合わせ部13が形成される。以降、包囲工程504および封止工程505では、正姿勢の中華まん20の上方に、貼り合わせ部13が位置する点のみ、上記実施形態の製造方法と異なる。
【0040】
また、上記実施形態においては、
図3に示すように、4つの支持突起50が、トレイ容器30の底面30aの1つの対角線上に2つずつ配置されている。これに代えて、例えば、
図9に示すように、支持突起50が3つ、又は、5つ配置されていてもよい。支持突起50が3つ配置される場合、例えば、
図9(a)に示すように、トレイ容器30の底面30aが円形を呈し、3つの支持突起50は、径方向中央側に突起なし領域が介在するように、周方向に沿って互いに離間して配置される。また、支持突起50が5つ配置される場合、例えば、
図9(b)に示すように、
図3に示す上記実施形態のトレイ容器30の底面30aに、更に、5つ目の支持突起50を追加してもよい。この場合、5つ目の支持突起50は、底面30aの中心部位に配置され、中華まん20の底部21の外周部位に加え、底部21の中心部位も支持される。
【0041】
また、上記実施形態においては、トレイ容器30の底面30aが正方形状を呈し、その底面30aに4つの支持突起50が配置されているが、これに代えて、底面30aが長方形、円形等を呈していてもよい。各形状の底面30aに対し、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の個数の支持突起50が、配置されていてもよい。
【0042】
また、上記実施形態においては、
図1に示すように、冷凍食品100の包装袋10が密閉されており、電子レンジに入れて加熱したとき、水蒸気が内部空間に留まるようになっている。これに代えて、例えば、
図10に示すように、フィルム11のうち、正姿勢にある中華まん20の上部に臨む上方部位に、抜圧部70が備えられ、電子レンジに入れて加熱したとき、抜圧部70を介して水蒸気を若干逃すようにしてもよい。これにより、加熱に伴う水蒸気の圧力上昇により、フィルム11が破損する事態を抑制することができる。
【0043】
また、上記実施形態においては、冷凍食品100の蒸し食品として、中華まん20が用いられているが、これに代えて、例えば、シューマイ、饅頭、飲茶等が用いられてもよい。
【0044】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0045】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0046】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0047】
10 包装袋
11 フィルム
12 封止部
14 左右両側開口
20 中華まん
21 底部
30 トレイ容器
30a 底面
31 殺菌水
40 保護シート
50 支持突起
50a 上端
60 保水シート
100 冷凍食品
501 貯留工程
502 載置工程
503 筒状化工程
504 包囲工程
505 封止工程
H0 高さ
H1 高さ