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特開2022-120491冷凍食品、包装材、及び、冷凍食品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120491
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】冷凍食品、包装材、及び、冷凍食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20220810BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D85/50 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017414
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】513129209
【氏名又は名称】株式会社武蔵野ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 定明
(72)【発明者】
【氏名】安田 信行
(72)【発明者】
【氏名】池田 久則
【テーマコード(参考)】
3E013
3E035
【Fターム(参考)】
3E013BB11
3E013BC04
3E013BD13
3E013BE01
3E013BF03
3E013BF24
3E013BF69
3E035AB04
3E035BA08
3E035BB02
3E035BC02
(57)【要約】
【課題】冷凍食品の電子レンジによる加熱後においても、冷凍食品のパサパサ感がなく食感を向上させる。
【解決手段】1枚のフィルム11で中華まん20の周囲を筒状に覆い、筒の左右両側開口を封止部12として封止する。このフィルム11の内周面11aには、加湿済みの保水シート30が設けられている。保水シート30には予め加湿がなされており、中華まん20がフィルム11内に配置されたとき、保水シート30はある程度の水分を含んでいる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚のフィルムで蒸し食品の周囲を筒状に覆い、筒の両側開口を封止した冷凍食品であって、
前記フィルムの内周面に、加湿済みの保水シートが設けられている
ことを特徴とする冷凍食品。
【請求項2】
前記保水シートは、
不織布又は紙材により構成され、前記フィルムの内周面に接着されている
ことを特徴とする請求項1記載の冷凍食品。
【請求項3】
前記保水シートは、
前記フィルムのうち、前記両側開口をそれぞれ封止した2つの封止部及びその近傍には設けられていない
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の冷凍食品。
【請求項4】
前記保水シートは、
前記フィルムのうち、少なくとも、正姿勢にある前記蒸し食品の底部の下方部位の前記内周面に、設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の冷凍食品。
【請求項5】
前記保水シートは、
前記フィルムのうち、前記下方部位と、前記正姿勢にある前記蒸し食品の上部及び側部にそれぞれ臨む上方部位及び側方部位と、を含む、略全面の内周面に設けられている
ことを特徴とする請求項4記載の冷凍食品。
【請求項6】
正姿勢にある前記蒸し食品の底部に、蒸気から当該蒸し食品を保護するための保護シートが付着されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の冷凍食品。
【請求項7】
前記保水シートは、
その少なくとも一部が、前記蒸し食品との間に前記保護シートを介在させるように配置されている
ことを特徴とする請求項6記載の冷凍食品。
【請求項8】
前記蒸し食品は、
中華まんであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の冷凍食品。
【請求項9】
長方形のフィルムにより構成され、蒸し食品の周囲を筒状に覆って包装するために用いられる包装材であって、
内周面のうち、筒の両側開口を形成する前記長方形の2つの長辺及びその近傍以外の所望の部位に、保水シートが接着されている
ことを特徴とする包装材。
【請求項10】
保水シートが貼られたフィルムを搬送する搬送工程と、
前記搬送工程により搬送される前記フィルムの前記保水シートに対して加湿を行う加湿工程と、
前記加湿工程で前記保水シートに加湿された前記フィルムを、当該保水シートが内側になるように筒状にする筒状化工程と、
前記筒状化工程により筒状にされた前記フィルムの内部に、筒の両側開口のうちいずれかの開口を介して冷凍用の蒸し食品を挿入することで、前記蒸し食品の周囲を筒状に覆う包囲工程と、
前記包囲工程で前記蒸し食品が挿入された前記筒状のフィルムの、前記両側開口を封止する封止工程と、
を有することを特徴とする冷凍食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸し食品を包装して構成された冷凍食品、及び、その包装材、並びに冷凍食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、中華まんの蒸し食品を冷凍食品化する技術が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。この冷凍食品は、電子レンジで所定時間直接加熱するだけで、短時間かつ簡便に温め、食べることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭54-62475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の冷凍食品では、電子レンジによる加熱時に、蒸し食品の表面からの水分の蒸発によって表面近傍が硬くパサパサとした状態となり、食感を大きく損ねていた。
【0005】
本発明の目的は、電子レンジによる加熱後においてもパサパサ感がなく食感を向上できる冷凍食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の冷凍食品は、1枚のフィルムで蒸し食品の周囲を筒状に覆い、筒の両側開口を封止した冷凍食品であって、前記フィルムの内周面に、加湿済みの保水シートが設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の冷凍食品においては、筒状に巻かれたフィルムの両側開口が封止され、その内部空間に蒸し食品が配置されている。このとき、そのフィルムの内周面に保水シートが設けられている。この保水シートには予め加湿がなされており、蒸し食品がフィルム内に配置されたとき、保水シートはある程度の水分を含んでいる。これにより、この冷凍食品を電子レンジに入れて加熱したとき、保水シートから上記水分が蒸発し、フィルム内部に水蒸気を充満させることができる。この結果、従来のように蒸し食品の表面近傍が乾燥し硬くパサパサとした状態になるのを防ぎ、食感を向上させることができる。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明の包装材は、長方形のフィルムにより構成され、蒸し食品の周囲を筒状に覆って包装するために用いられる包装材であって、内周面のうち、筒の両側開口を形成する前記長方形の2つの長辺及びその近傍以外の所望の部位に、保水シートが接着されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の包装材においては、上述したのと同様に、保水シートが設けられる。この包装材で蒸し食品を包装した冷凍食品を、電子レンジに入れて加熱したとき、保水シートにより水蒸気を内部空間に充満させることができる。この結果、従来のように蒸し食品の表面近傍が乾燥し硬くパサパサとした状態になるのを防ぎ、食感を向上させることができる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明の冷凍食品の製造方法は、保水シートが貼られたフィルムを搬送する搬送工程と、前記搬送工程により搬送される前記フィルムの前記保水シートに対して加湿を行う加湿工程と、前記加湿工程で前記保水シートに加湿された前記フィルムを、当該保水シートが内側になるように筒状にする筒状化工程と、前記筒状化工程により筒状にされた前記フィルムの内部に、筒の両側開口のうちいずれかの開口を介して冷凍用の蒸し食品を挿入することで、前記蒸し食品の周囲を筒状に覆う包囲工程と、前記包囲工程で前記蒸し食品が挿入された前記筒状のフィルムの、前記両側開口を封止する封止工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の冷凍食品の製造方法においては、上述したのと同様に、フィルムに保水シートが設けられる。この製造方法による冷凍食品を電子レンジに入れて加熱したとき、保水シートにより水蒸気を内部空間に充満させることができる。この結果、従来のように蒸し食品の表面近傍が乾燥し硬くパサパサとした状態になるのを防ぎ、食感を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、冷凍食品の電子レンジによる加熱後においても、パサパサ感がなく食感を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による冷凍食品の外観構成を表す斜視図である。
図2図1に示す冷凍食品の縦断面図である。
図3図1に示す冷凍食品の包装袋の展開図である。
図4図1に示す冷凍食品を製造するための一連の工程を表すフローチャートである。
図5】搬送工程、加湿工程、及び、筒状化工程において、図1に示す冷凍食品が製造されていく様子を説明するための図である。
図6】包囲工程、及び、封止工程において、図1に示す冷凍食品が製造されていく様子を説明するための図である。
図7】本発明の他の実施形態による冷凍食品の縦断面図である。
図8図7に示す冷凍食品の包装袋の展開図である。
図9】搬送工程、加湿工程、及び、筒状化工程において、本発明の他の実施形態による冷凍食品が製造されていく様子を説明するための図である。
図10】本発明の他の実施形態による冷凍食品の外観構成を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1及び図2に、本発明の一実施形態による冷凍食品100を示す。なお、以下の説明において、上下方向、前後方向、左右方向は、各図に示すように、冷凍食品100の製造者から見た上下方向、手前奥手方向、左右方向に相当しており、各図中に適宜される矢印の方向に対応している。
【0016】
<冷凍食品の構成>
図1に示すように、冷凍食品100は、ピローパウチ状の包装袋10にて、その内部空間に中華まん20(蒸し食品に相当)を収容する構成となっている。包装袋10は、中華まん20の周囲を筒状に覆う1枚のフィルム11を、備えている。筒の左右両側開口の端部は、2箇所の封止部12として封止されており、後述するフィルム11の長辺端11bに対応している(図6参照)。フィルム11の内周面11aには、加湿済みの保水シート30が、設けられている。正姿勢にある中華まん20の底部には、保護シート40が付着されている。保護シート40は、中華まん20を蒸気から保護するためのものである。
【0017】
冷凍食品100の縦断面図である図2に示すように、中華まん20は、包装袋10の内部空間の下方であって、内側底面の略中央に正姿勢で配置されている。保水シート30は、内周面11aのうち、正姿勢にある中華まん20の底部21の下方部位に設けられている。保水シート30は、中華まん20との間に、保護シート40を介在させるように配置されている。
【0018】
図1の前後方向のA-A切断線に沿った縦断面図(A-A断面)である図2(a)に示すように、包装袋10の下方であって前後方向の略中央にて、貼り合わせ部13として、フィルム11の短辺端11cが重ねて貼り合わされている。より具体的には、貼り合わせ部13では、包装袋10の最下部から上方向に向かって、フィルム11の一端部、保水シート30の一端部、フィルム11の他端部、および、保水シート30の他端部が、この順で重ねられている。即ち、貼り合わせ部13において、包装袋10の外側にはフィルム11が露出し、内部空間に向かって保水シート30が遮蔽されている。このため、保水シート30は、包装袋10の下方底面の内側において、貼り合わせ部13を含んで、前後方向に包装袋10の前後端まで伸長するよう配置される。
【0019】
図1の左右方向のB-B切断線に沿った縦断面図(B-B断面)である図2(b)に示すように、包装袋10は、左右端が各封止部12としてそれぞれ封止されている。封止部12、および、貼り合わせ部13により、包装袋10の内部空間が外部と区画され、中華まん20、保水シート30(水分も含む)、保護シート40が、包装袋10にてそれぞれ密閉される。また、保水シート30は、包装袋10の下方底面の内側において、左右方向に各封止部12まで伸長するよう配置される。このため、保水シート30が配置される内周面11aの一部は、正姿勢にある中華まん20の底部21の下方部位であって、包装袋10の下方底面の内側となる。
【0020】
<包装袋の構成>
上述した構成の冷凍食品100を達成するため、包装袋10は、図3の展開図に示す態様をとる。包装袋(包装材に相当)10は、1枚のフィルム11と、2枚の保水シート30とを備えている。フィルム11を構成する材料は、本例ではポリプロピレンであるが、包装機能を有する材料であればよく、これに限定されない。フィルム11は長方形状を呈しており、長辺端11bおよび短辺端11cが規定される。各長辺端11bは、筒の左右両側開口をそれぞれ形成し、各封止部12に対応している(図6参照)。短辺端11cは、貼り合わせ部13に対応している(図5参照)。
【0021】
保水シート30を構成する材料は、本例では不織布又は紙材であるが、保水機能を有する材料であればよく、これらに限定されない。2つの保水シート30は、フィルム11よりも小さい長方形状をそれぞれ呈しており、両方とも同じ寸法である。2つの保水シート30は、フィルム11の一面における前側および後側に、それぞれ離間するように接着されている。このフィルム11の一面は、ピローパウチが形成された場合における内周面11aに対応する。なお、フィルム11の他面には、保水シート30は接着されていない。
【0022】
長辺端11bに対向する保水シート30の短辺は、長辺端11bから距離Dだけ離れて位置している。距離Dは、封止部12の圧着代よりも若干長い。短辺端11cに対向する保水シート30の長辺は、フィルム11の前側および後側において、各短辺端11c上にそれぞれ位置している。フィルム11の一面(内周面11a)において、上述のように保水シート30が接着されることで、長辺端部11bおよび距離Dで規定される長方形部位と、略中心部位とは、フィルム11のポリプロピレン素材が、露出するようになっている。
【0023】
<冷凍食品の製造方法>
上述のように構成される包装袋10を用い、中華まん20を収納した冷凍食品100を製造する方法を説明する。図4のフローチャートに示すように、冷凍食品100の製造方法は、搬送工程401と、加湿工程402と、筒状化工程403と、包囲工程404と、封止工程405と、を備えている。本実施形態においては、一連の工程により、正ピロー包装が達成される(図2及び図5参照)。
【0024】
冷凍食品100を製造する場合、先ず、搬送工程401にて、図5に示すように、保水シート30が貼られたフィルム11を搬送する。例えば、ロール状や束状に多数の包装袋10がまとめられた状態から、図3に示す展開状態の包装袋10の単体が抽出されて、保水シート30が下側となるよう、コンベヤ等に平置きされた状態で搬送される。
【0025】
次いで、加湿工程402に進み、搬送工程401により搬送されるフィルム11の保水シート30に対して、加湿を行う。加湿においては、例えば、散水可能な所定のスプレーノズルが用いられる。搬送されるフィルム11の保水シート30が、スプレーノズルを通過するタイミング毎に、保水シート30に向けて散水される(図5参照)。保水シート30は、不織布又は紙材であるので、散水された水分が保水シート30に浸透して、加湿が達成される。
【0026】
次いで、筒状化工程403に進み、加湿工程402で保水シート30に加湿されたフィルム11を、当該保水シート30が内側になるように筒状にする。本例では、フィルム11の前後方向の略中央部位を保持した状態で、長辺端11bを湾曲させつつ、2つの短辺端11cをそれぞれ下方へ取り回す。一方の短辺端11c近傍の内側が、他方の短辺端11c近傍の外側に重ねられて、貼り合わせられる(図5参照)。これにより、下方部位にて貼り合わせ部13が形成されて、保水シート30が内側となり、かつ、左右両側開口14を有する筒が形成される。この開口端は、フィルム11の長辺端11bに対応している。
【0027】
次いで、包囲工程404に進み、図6に示すように、筒状化工程403により筒状にされたフィルム11の内部に、筒の左右両側開口14のうちいずれかを介して、冷凍用の中華まん20を挿入することで、中華まん20の周囲を筒状に覆う。より具体的には、筒状のフィルム11の下方内側には、保水シート30が配置されている。中華まん20は正姿勢で挿入され、その底部21には、予め保護シート40が貼り付けられている。このため、中華まん20は、保水シート30の上に、保護シート40を介して配置される。
【0028】
そして、封止工程405に進み、包囲工程404で中華まん20が挿入された筒状のフィルム11の、左右両側開口14を封止する。本例では、中華まん20の挿入後、左右両側開口14の前後方向の両端部が折られて、長辺端11bに沿って上下方向からホットプレスされる(図6参照)。長辺端11bの近傍は、保水シート30が貼られておらず、フィルム11のポリプロピレン素材が露出している(図3参照)。このため、左右両側開口14のホットプレスにより、ポリプロピレン素材が溶けつつ圧着されて、封止部12が形成される。
【0029】
上述のように、図4のフローチャートに示す各工程(図5および図6参照)を経て、貼り合わせ部13が下方部位に形成された正ピロー包装が達成され、図1に示す冷凍食品100が完成する。
【0030】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の冷凍食品100においては、筒状に巻かれたフィルム11の左右両側開口14が封止部12として封止され、その内部空間に中華まん20が配置されている。このとき、そのフィルム11の内周面11aに保水シート30が設けられている。この保水シート30には予め加湿がなされており、中華まん20がフィルム11内に配置されたとき、保水シート30はある程度の水分を含んでいる。これにより、この冷凍食品100を電子レンジに入れて加熱したとき、保水シート30から上記水分が蒸発し、フィルム11内部に水蒸気を充満させることができる。この結果、従来のように蒸し食品の表面近傍が乾燥し硬くパサパサとした状態になるのを防ぎ、食感を向上させることができる。
【0031】
また、本実施形態では特に、保水シート30として、不織布又は紙材が用いられている。このように安価かつ容易に入手可能な材料で、保水シート30を構成することにより、製造コストを低減し量産することができる。
【0032】
また、本実施形態では特に、フィルム11の長辺端11bおよび距離Dで規定される長方形部位において、ポリプロピレン素材が露出している。すなわち、保水シート30は、フィルム11のうち、左右両側開口14をそれぞれ封止した2つの封止部12及びその近傍には設けられていない。これにより、本実施形態の冷凍食品100の製造時において、加湿済みの保水シート30を含んだ状態で筒状のフィルム11の両側開口14を封止するとき、水分の存在によって封止部12のシール性が低下するのを防止できる。
【0033】
また、本実施形態では特に、保水シート30は、内周面11aのうち、正姿勢にある中華まん20の底部21の下方部位であって、包装袋10の下方底面の内側に設けられている。これにより、冷凍食品100を電子レンジに入れて加熱したとき、保水シート30から蒸発する水分を、中華まん20のうち下側部分の表面へも確実に導くことができる。従って、中華まん20全体の表面が硬くなるのを、確実に防止することができる。
【0034】
また、本実施形態では特に、正姿勢にある中華まん20の底部21に、蒸気から当該中華まん20を保護するための保護シート40が付着されている。本実施形態においては、上記したように、保水シート30から蒸発する水分によって中華まん20の表面が乾燥するのを防止することができる。その一方、中華まん20の底部21に保護シート40が付着されることにより、当該底部21に過剰な水分が供給されることで、柔らかくなりすぎるのを防止することができる。以上の結果、本実施形態においては、中華まん20の全体にほどよい水分が行き渡った状態とすることができるので、食感を確実に向上させ、さらにおいしく味わうことができる。
【0035】
また、本実施形態では特に、保水シート30は、中華まん20との間に保護シート40を介在させるように配置されている。これにより、中華まん20の下側部分の表面への確実な水分供給と、中華まん20の底面21への過剰な水分供給の抑制と、の両立を図ることができる。
【0036】
また、本実施形態では特に、冷凍食品100の蒸し食品として、中華まん20が用いられている。これにより、冷凍により中華まん20としての風味を維持しつつ、電子レンジでの加熱時に表面近傍がパサパサに乾燥するのを防ぎ、食感を向上させることができる。
【0037】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。変形例において、上記実施形態と同一・等価である部位については、図1図2図3、及び図5に記載の番号と同番号を付して説明を省略する。上記実施形態においては、図2に示すように、保水シート30は、内周面11aのうち、正姿勢にある中華まん20の底部21の下方部位であって、包装袋10の下方底面の内側に設けられている。この保水シート30の配置は、図3に示すように、2つの保水シート30が、それぞれ離間するようフィルム11の前側および後側にてそれぞれ接着されることで、達成される。
【0038】
これに代えて、例えば、図7に示すように、保水シート30が、フィルム11のうち、下方部位と、正姿勢にある中華まん20の上部及び側部にそれぞれ臨む上方部位及び側方部位とを含む、内周面11aの略全面に設けられてもよい。図7は、図2に対応する縦断面図である。この場合、図8に示すように、1つの保水シート30が、シート11に接着される。より具体的には、この保水シート30は長方形状を呈し、その長辺は、シート11の長辺端11bと同じ長さである。この保水シート30の短辺は、シートの短辺端11cより短く、短辺端11cの上に位置する。長辺端部11bおよび距離Dで規定される長方形部位以外、シート11の一面は、保水シート30で被覆されて、図7に示す冷凍食品100を達成できる。これにより、この冷凍食品100を電子レンジに入れて加熱したとき、保水シート30から蒸発する水分を中華まん20の略全表面へ確実に導くことができるので、中華まん20全体の表面が硬くなるのをさらに確実に防止することができる。
【0039】
また、上記実施形態においては、図5に示すように、筒状化工程403にて、貼り合わせ部13が下方部位に形成されて、正ピロー包装が達成される。これに代えて、例えば、図9に示すように、筒状化工程403にて、貼り合わせ部13が上方部位に形成されて、逆ピロー包装が達成されるようにしてもよい。
【0040】
この場合、図9に示すように、先ず、搬送工程401にて、保水シート30が上側となるよう、コンベヤ等に平置きされた状態で搬送される。次いで、加湿工程402による保水シート30への加湿を経て、筒状化工程403に進み、フィルム11を、当該保水シート30が内側になるように筒状にする。本例では、フィルム11の前後方向の略中央部位を保持した状態で、長辺端11bを湾曲させつつ、2つの短辺端11cをそれぞれ上方へ取り回す。一方の短辺端11c近傍の内側が、他方の短辺端11c近傍の外側に重ねられて、貼り合わせられる。これにより、上方部位にて貼り合わせ部13が形成される。以降、包囲工程404および封止工程405では、正姿勢の中華まん20の上方に、貼り合わせ部13が位置する点のみ、上記実施形態の製造方法と異なる。
【0041】
また、上記実施形態においては、図1に示すように、冷凍食品100の包装袋10が密閉されており、電子レンジに入れて加熱したとき、水蒸気が内部空間に留まるようになっている。これに代えて、例えば、図10に示すように、フィルム11のうち、正姿勢にある中華まん20の上部に臨む上方部位に、抜圧部50が備えられ、電子レンジに入れて加熱したとき、抜圧部50を介して水蒸気を若干逃すようにしてもよい。これにより、加熱に伴う水蒸気の圧力上昇により、フィルム11が破損する事態を抑制することができる。
【0042】
また、上記実施形態においては、冷凍食品100の蒸し食品として、中華まん20が用いられているが、これに代えて、例えば、シューマイ、饅頭、飲茶等が用いられてもよい。
【0043】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0044】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0045】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0046】
100 冷凍食品
10 包装袋
11 フィルム
11a 内周面
11b 長辺端
12 封止部
14 左右両側開口
20 中華まん
21 底部
30 保水シート
40 保護シート
401 搬送工程
402 加湿工程
403 筒状化工程
404 包囲工程
405 封止工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10