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特開2022-120496腰痛解析装置、腰痛解析方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120496
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】腰痛解析装置、腰痛解析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20220810BHJP
   A61B 5/11 20060101ALN20220810BHJP
【FI】
A61B10/00 X
A61B5/11 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017422
(22)【出願日】2021-02-05
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構研究成果展開事業 センター・オブ・イノベーションプログラム『さりげないセンシングと日常人間ドックで実現する自助と共助の社会創生拠点』委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(72)【発明者】
【氏名】オウ シコウ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 啓壮
(72)【発明者】
【氏名】永富 良一
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB31
(57)【要約】
【課題】より高い精度で腰痛が発生する確率を推定すること。
【解決手段】本発明の一態様は、家具に取り付けられ、人が前記家具に座っている期間を含む座位期間における重心移動のデータを取得するセンサで取得された前記重心移動のデータをクラスタリングにより分類して得られたパターンの結果を用いて前記パターンの結果と腰痛との関係を得る解析部、を備える腰痛解析装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具に取り付けられ、人が前記家具に座っている期間を含む座位期間における重心移動のデータを取得するセンサで取得された前記重心移動のデータをクラスタリングにより分類して得られたパターンの結果を用いて前記パターンの結果と腰痛との関係を得る解析部、
を備える腰痛解析装置。
【請求項2】
前記パターンの出現頻度を用いて解析対象の人に腰痛が発生する確率を推定する推定部、
をさらに備え、
前記解析部は、前記解析対象の人の重心移動のデータに基づき前記パターンの出現頻度を取得する、
請求項1に記載の腰痛解析装置。
【請求項3】
前記出現頻度は、出現頻度が1番高い出現パターンから出現頻度がN番目(Nは1以上の所定の整数)に高い出現パターンまで、という条件である、
請求項2に記載の腰痛解析装置。
【請求項4】
前記パターンは、変動時系列の解析アルゴリズムを用いて推定された結果である、
請求項2又は3に記載の腰痛解析装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記重心移動のデータを用いた機械学習の方法によって得られた機械学習のモデルを用いて、解析対象の人に腰痛が発生する確率を推定する、
請求項2から4のいずれか一項に記載の腰痛解析装置。
【請求項6】
前記推定部は、腰痛の発生の推定対象である人の重心移動のデータに基づいて、前記人に腰痛が発生する確率を推定する、
請求項2から5のいずれか一項に記載の腰痛解析装置。
【請求項7】
家具に取り付けられ、人が前記家具に座っている期間を含む座位期間における重心移動のデータを取得するセンサで取得された前記重心移動のデータをクラスタリングにより分類して得られたパターンの結果を用いて前記パターンの結果と腰痛との関係を得る解析ステップ、
を有する腰痛解析方法。
【請求項8】
前記パターンの出現頻度を用いて解析対象の人に腰痛が発生する確率を推定する推定ステップ、
をさらに有し、
前記解析ステップでは、前記解析対象の人の重心移動のデータに基づき前記パターンの出現頻度を取得する、
請求項7に記載の腰痛解析方法。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載の腰痛解析装置をコンピュータに機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰痛解析装置、腰痛解析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会においてデスクワークを行う人は非常に多く、腰痛に悩まされる人は多い。そこで姿勢を判定する技術や、判定した姿勢に基づき長時間同じ姿勢が継続した場合に警告を発する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-082165号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0020438号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、デスクワークをしている人にとって、長時間同じ姿勢で座っているという場面が生じることは実際のところ稀である。そのため、これまで提案されてきた技術では、腰痛の発生を防止することができない場合が多かった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、より高い精度で腰痛が発生する確率を推定する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、家具に取り付けられ、人が前記家具に座っている期間を含む座位期間における重心移動のデータを取得するセンサで取得された前記重心移動のデータをクラスタリングにより分類して得られたパターンの結果を用いて前記パターンの結果と腰痛との関係を得る解析部、を備える腰痛解析装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、より高い精度で腰痛が発生する確率を推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の腰痛発生推定システム100の概要を説明する説明図。
図2】実施形態における単位時間情報の一例を示す図。
図3】実施形態における座位状況データ生成モデル取得装置5のハードウェア構成の一例を示す図。
図4】実施形態における制御部51の機能構成の一例を示す図。
図5】実施形態における座位状況データ生成モデル取得装置5が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図6】実施形態における学習データセット生成装置1のハードウェア構成の一例を示す図。
図7】実施形態における制御部11の機能構成の一例を示す図。
図8】実施形態の学習データセット生成装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図9】実施形態における腰痛発生推定モデル取得装置2の構成の一例を示す図。
図10】実施形態における制御部21の機能構成の一例を示す図。
図11】実施形態における腰痛発生推定モデル取得装置2が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図12】実施形態における腰痛発生推定装置3のハードウェア構成の一例を示す図。
図13】実施形態における制御部31の機能構成の一例を示す図。
図14】実施形態における腰痛発生推定装置3が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図15】実験で得られた出現パターン取得処理の結果の第1の例を示す図。
図16】実験で得られた出現パターン取得処理の結果の第2の例を示す図。
図17】実験で得られた出現パターン取得処理の結果の第3の例を示す図。
図18】変形例における腰痛解析装置6の構成のハードウェア構成の一例を示す図。
図19】変形例における制御部61の機能構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
図1は、実施形態の腰痛発生推定システム100の概要を説明する説明図である。腰痛発生推定システム100は、腰痛の発生を推定する機械学習のモデル(以下「腰痛発生推定学習モデル」という。)を、機械学習の方法により、所定の終了条件(以下「学習終了条件」という。)が満たされるまで更新する。腰痛発生推定システム100は学習済みの腰痛発生確率学習モデル(以下「腰痛発生推定モデル」という。)を用いて、解析対象の人(以下「解析対象9」という。)について腰痛が発生する確率を推定する。また、腰痛発生推定システム100は、腰痛発生推定学習モデルに入力するデータを生成する数理モデルを教師無しの機械学習の方法で取得する。以下、学習により更新される数理モデルであって腰痛発生推定学習モデルに入力するデータを生成する数理モデルを座位状況データ生成モデルという。
【0010】
なお、学習済みとは、学習終了条件が満たされたことを意味する。学習終了条件は、例えば機械学習のモデル(以下「機械学習モデル」という。)が所定の回数更新された、という条件である。学習終了条件は、例えば更新による機械学習モデルの変化が所定の変化よりも小さい、という条件であってもよい。
【0011】
なお、機械学習のモデルは、実行される条件と順番と(以下「実行規則」という。)が予め定められた1又は複数の処理を含む集合である。学習とは、機械学習の方法による機械学習モデルの更新を意味する。また、機械学習モデルの更新とは、機械学習モデルにおけるパラメータの値を好適に調整することを意味する。また、機械学習モデルの実行とは、機械学習モデルが含む各処理を実行規則にしたがって実行すること意味する。
【0012】
腰痛発生推定システム100は、学習データセット生成装置1、腰痛発生推定モデル取得装置2、腰痛発生推定装置3、センサ4及び座位状況データ生成モデル取得装置5を備える。センサ4は、家具に取り付けられ、人がその家具に座っている期間を含む期間(以下「座位期間」という。)における座位状況データを取得するために用いられるセンサである。
【0013】
座位状況データは、座位期間の長さと、所定の重心移動共通パターンが座位期間に出現する回数と、を含む情報である。重心移動共通パターンは、座位重心の移動のデータに基づき学習済みの座位状況データ生成モデルによって得られる情報である。具体的には、重心移動共通パターンは、座位重心位置の時間変化の仕方(パターン)を示す情報である。
【0014】
座位重心位置は、家具に座る人の重心の位置である。座位重心位置は、家具に設置された荷重センサ等の荷重を測定可能なセンサを用いて取得される。そのため、センサ4は座位期間における座標重心位置の時間変化を取得するセンサである。以下、説明の簡単のため座位重心位置が家具に設置された荷重センサによって測定される場合を例に腰痛発生推定システム100を説明する。家具は例えば椅子である。以下説明の簡単のため、家具が椅子である場合を例に腰痛発生推定システム100を説明する。
【0015】
腰痛発生推定システム100では例えば、椅子の座位面の裏側に4個の荷重センサを設置した状態における4個の荷重センサの測定の結果が用いられる。4個の荷重センサの配置について説明する。4個の荷重センサは、座位面の中心位置の座標を(0,0)とし、座標が(1,1)、(1、-1)、(-1,1)、(-1、-1)の位置になるよう正方形に配置される。本発明の一態様では、4個の荷重センサそれぞれの位置での荷重A(1,1)、A(1、-1)、A(-1,1)、A(-1、-1)が測定される。重心は、例えば以下の式(1)で算出される。
【0016】
【数1】
【0017】
腰痛発生推定システム100では例えば、座標重心位置を、前後方向の座標重心位置と、左右方向の座標重心位置に分けた状態でデータが取得されるのが好ましい。なぜなら、腰痛発生推定システム100が複数の荷重センサの測定結果を用いる場合には、後述するランダムマルコフ過程等を用いて解析する際に多次元量の解析が必要になり、クラスタリングが複雑になるからである。また、前後方向、左右方向のみで解析すると、例えば、椅子から立ち上がった時などの行動がわかりやすくなる。このように、重心位置を前後方向と左右方向でわけることで、腰痛発生推定システム100は、解析結果の判定を容易に行うことができる。
【0018】
なお荷重センサの設置位置や個数等は、座標重心位置を取得可能な位置であればどのような設置位置や個数であってもよい。椅子を使用するユーザの椅子での座位状況が得られる形であれば、どのようにセンサを配置しても問題ない。
【0019】
センサ4は必ずしも荷重センサである必要は無い。センサ4は荷重センサに代えて加速度センサが用いられてもよい。加速度センサを用いる場合、取得されるデータは重心の変位データに代えて加速度データが取得される。それにより、重心移動があったかがわかることによって、重心移動共通パターンが得られる。そこで、荷重センサに代えて加速度センサが用いられる場合に腰痛発生推定システム100は、加速度データ等の重心移動の取得に係る量を考慮して予め導出済みの式を用いて重心移動に関連するデータを導く。荷重センサに代えて加速度センサが用いられる場合に腰痛発生推定システム100は、このようにして、重心移動の取得に用いられるセンサが荷重センサである場合と同様の解析を行う。
【0020】
学習済みの座位状況データ生成モデルは、座位期間における重心移動のデータである重心移動情報を座位状況データに変換する数理モデルである。重心移動情報は、より具体的には、センサ4が得た座位重心位置の変化を示す情報である。重心移動情報は、さらに具体的には座位期間における座位重心位置の時間変化を示す時系列である。そのため重心移動情報は、座位期間の長さを示す情報も含む。
【0021】
ここで、腰痛発生推定システム100において実行される処理であって、座位状況データ生成モデルの学習時と学習済みの座位状況データ生成モデルの実行時との少なくとも一方で実行される処理について説明する。
【0022】
具体的には、単位時間情報生成処理、単位分類処理、出現パターン取得処理、共通パターン決定処理、共通パターン出現回数取得処理、座位状況データ生成処理及び学習データ生成処理についてそれぞれ説明する。
【0023】
単位時間情報生成処理は、重心移動情報が示す時系列を単位時間ごとに分割する処理である。以下、単位時間情報生成処理による分割後の各時系列をそれぞれ単位時間情報という。単位時間は予め定められた所定の時間である。単位時間は例えば5秒である。単位時間は例えば10秒であってもよい。単位時間は1種類である必要は無く複数種類であってもよい。
【0024】
例えば単位時間が第1単位時間と第2単位時間との2種類である場合、単位時間情報生成処理により、重心移動情報を第1単位時間で分割した結果と、重心移動情報を第2単位時間で分割した結果との2種類の結果が生成される。このように単位時間情報は、重心移動情報が示す時系列の少なくとも一部の時系列であって単位時間の時系列である。
【0025】
図2は、実施形態における単位時間情報の一例を示す図である。図2の横軸は時間を表す。図2の縦軸は、座位重心位置(座位面の中心位置からの変位)を示す。“Left and right”は、椅子の左右方向の座位重心位置の測定結果を意味する。“forward and backward”は、椅子の前後方向の座位重心位置の測定結果を意味する。そのため、図2は、椅子の左右方向の座位重心位置の測定結果と椅子の前後方向の座位重心位置の測定結果との一例を示す。図2においてΔtが単位時間の一例である。
【0026】
そのため、図2の第1-1期間、第1-2期間、第1-3期間、第1-4期間、第1-5期間はいずれも単位時間情報の一例である。なお、図2の例では各単位情報は、左右方向の座位重心位置の時間変化の時系列と前後方向の座位重心位置の時間方向の時系列との2つの時系列を有する情報である。そのため図2の例の単位時系列は、例えば要素の一方が左右方向の座位重心位置を表し要素の他方が前後の座位重心位置を表す2次元ベクトルをサンプルとする時系列である。
【0027】
単位分類処理は、単位時間情報生成処理によって生成された単位時間の集合に対してクラスタリングを行い、分類の条件を定める処理である。すなわち単位分類処理は、クラスタリングを行うことで分類の条件を取得する処理である。なお、分類の条件とはクラスタリングで得られる各クラスタが満たす条件を意味する。クラスタリングはクラスタリングの方法であればどのような方法であってもよく、例えばk-means法であってもよい。クラスタリングの方法は、例えばランダムマルコフ過程を用いたクラスタリングの方法であってもよい。ランダムマルコフ過程を用いたクラスタリングの方法は、例えば以下の参考文献1に示すTICC(Toeplitz inverse covariance-based clustering)である。
【0028】
参考文献1:D.Hallac, S Vare, et al. "Toeplitz inverse covariance-based clustering of multivariate time series data." Proceedings of the 23rd ACM SIGKDD International Conference on Knowledge Discovery and Data Mining. 2017.
【0029】
なお、単位分類処理の実行前にはダウンサンプリング等の重心移動情報又は単位時間時系情報が示す時系列のサンプルを間引く処理(以下「間引き処理」という。)が実行されてもよい。
【0030】
出現パターン取得処理は、重心移動情報と単位分類処理の結果とに基づき、各重心移動情報における単位分類の出現の仕方(以下「出現パターン」という。)を推定する処理である。単位分類は、単位分類処理の結果の各分類(すなわち各クラスタ)を意味する。
【0031】
出現パターン取得処理は、与えられた情報における所定の情報の出現の仕方を推定する方法であればどのような方法であってもよい。出現パターン取得処理は、例えば重心移動情報の単位時間情報ごとに各単位時間情報がいずれの単位分類に属するかを判定する処理である。出現パターン取得処理は、例えば隠れマルコフ過程を用いて、与えられた情報における所定の情報の出現の仕方を推定する方法であってもよい。隠れマルコフ過程を用いて、与えられた情報における所定の情報の出現の仕方を推定する方法は、例えば以下の参考文献2に示すMASA(Motif-Aware State Assignment)(雑音を含んだ時系列データからモチーフ(パターン、規則性)を意識した状態割当て)である。
【0032】
参考文献2:S.Jain, D.Hallac, et al. "MASA: Motif-Aware State Assignment in Noisy Time Series Data. " arXiv preprint arXiv:1809.01819 (2018).
【0033】
参考文献2に記載のMASAはより具体的には、変動時系列の隠れマルコフ過程に基づくMASAである。変動時系列の隠れマルコフ過程に基づくMASAが用いられることで、例えば、参考文献1に記載のTICCにより得られた各分類のうち、分類A、分類B、分類Cという順番の出現パターンと分類A、分類A、分類B、分類B、分類D、分類C、分類Cという出現パターンとが同一の出現パターンとして分類される。
【0034】
すなわち、分類A、分類A、分類B、分類B、分類D、分類C、分類Cという出現パターンのうち時間の短い分類Dを無かったものとして扱うことができる。分類Dもまた分類A、分類B、分類Cと同様の単位分類処理の結果である。なお、変動時系列の隠れマルコフ過程に基づくMASAは変動時系列の解析アルゴリズムの一例である。
【0035】
ところで、人が椅子に座る場合、さまざまな動作をするため、同じ分類であっても実行される重心移動に時間の長短が生じる場合、またそれぞれの分類間の時間間隔にも長短が生じる場合がある。また、実験によれば、分類A、分類B、分類Cの出現パターンであれば、各分類の時間の長短や出現時間間隔が異なっても腰痛への影響は同様である。したがって、例えば出現パターンA1と出現パターンA2との腰痛に対する影響が異なると判定される場合の腰痛発生推定システム100の腰痛の発生の推定の精度は、そうでない場合よりも低い。
【0036】
腰痛発生推定システム100がMASAを用いる場合、腰痛発生推定システム100は動作の特徴をパターン認識できる。そのためMASAを用いる腰痛発生推定システム100は、MASAを用いない腰痛発生推定システム100よりもパターンの検出精度が高い。なお、出現パターンA1は、分類A、分類A、分類B、分類B、分類D、分類C、分類Cの順番の出現パターンである。出現パターンA2は、分類A、分類B、分類Cの順番の出現パターンである。
【0037】
共通パターン決定処理は、出現パターン取得処理の実行によって得られた出現パターンのうち、出現頻度の高さに関する条件(以下「出現頻度条件」という。)を満たす出現パターンを決定する処理である。共通パターン決定処理によって決定された出現パターンは、重心移動共通パターンの一例である。すなわち、出現頻度条件を満たす出現パターンは、重心移動共通パターンの一例である。
【0038】
出現頻度条件は、例えばある期間における、出現頻度が1番高い出現パターンから出現頻度がN番目(Nは1以上の所定の整数)に高い出現パターンまで、という条件である。出現頻度条件は、例えば出現頻度が1番高いという条件であってもよい。ある期間は、予め定められた所定の期間である。ある期間は、実際、使用する場合は、例えば、約1時間であり、その期間の出現頻度を用いる。なお、座位状況データ生成モデルを形成する初期設定として、出現頻度条件を設定する期間は、約1日分のデータが用いられてもよい。約1日分のデータは、例えば椅子に座る時間、座り方は、制御されたものではなく様々で、1回あたり、約1時間から約30分程度であり、それらが約1日分収集されたデータである。
【0039】
ここで腰痛発生推定システム100において、腰痛発生推定学習モデルの更新に用いられる学習データ(以下「第1学習データ」という。)の具体的な一例について説明する。腰痛発生推定学習モデルの更新には教師有りの機械学習の方法が用いられる。そこで、腰痛発生推定システム100における腰痛発生推定学習モデルの学習に際しては、腰痛関連クラスタであるか否かを示す情報を正解データとして含む第1学習データが用いられる。
【0040】
正解データは、腰痛判定期間の開始の時点から終わりの時点(以下「期間終了時点」という。)までの間における被験者回答情報である。腰痛判定期間は、座位期間を含む予め定められた所定の期間である。被験者回答情報は、被験者から得た評価の結果であって、腰痛の痛みの程度を11段階(痛みの全くない0を含む)で被験者が評価した結果である。なお、被験者は、学習データの提供者の一例である。
【0041】
このように、正解データは座位状況データに対応する腰痛に関連するクラスタに基づく情報である。上記のように定めた、正解データ及び座位状況データを用いた学習により得られた数理モデル(すなわち腰痛発生推定学習モデル)を用いて、センサの測定で得られる重心移動共通パターンと比較することで、腰痛の推定が可能となる。
【0042】
このように、第1学習データの一例は、出現パターンの頻度と例えば被験者回答情報とが予め対応付けられたものである。第1学習データが出現パターンの頻度と被験者回答情報とが予め対応付けられたものであるため、腰痛発生推定システム100は、学習段階において、出現パターン頻度から得られる特徴的なクラスタと腰痛との相関を示す情報を得ることができる。
【0043】
なお、腰痛関連クラスタは、腰痛との相関の高さに関する所定の条件を満たすクラスタである。腰痛との相関の高さに関する所定の条件は、例えば、後述する分類A”Stable State”及び、分類B”Slight sway”のクラスタの出現頻度である。
【0044】
以下説明の簡単のため共通パターン決定処理によって得られた出現パターンが重心移動共通パターンである場合を例に、腰痛発生推定システム100を説明する。また、以下説明の簡単のため、第1学習データが腰痛関連クラスタを正解データとして含む場合を例に、腰痛発生推定システム100を説明する。
【0045】
共通パターン出現回数取得処理は、重心移動情報ごとに重心移動共通パターンの出現回数を取得する処理である。共通パターン出現回数取得処理は、例えば重心移動情報ごとに回数カウント処理を実行する処理である。回数カウント処理は、比較対象の時系列と重心移動共通パターンとの違いである時系列違いを取得する処理を比較対象の変更をしながら繰り返し実行した後、時系列違いが所定の違い未満である比較対象の数を得る処理である。回数カウント処理における比較対象の時系列は、具体的には重心移動情報が示す時系列の一部である。
【0046】
座位状況データ生成処理は、重心移動情報に対する共通パターン出現回数取得処理の実行により得られた重心移動共通パターンの出現回数と、重心移動情報が示す座位期間の長さとを1対のデータとして得る処理である。座位状況データ生成処理の実行によって得られた1対のデータが、座位状況データの一例である。このようにして腰痛発生推定システム100では、重心移動情報ごとに各重心移動情報について座位状況データが取得される。
【0047】
学習データ生成処理は、座位状況データ生成処理により得られた座位状況データと重心移動情報ごとに予め対応付けられた正解データとの1対のデータを生成する処理を含む。学習データ生成処理は、少なくとも座位状況データ生成処理により得られた座位状況データと重心移動情報ごとに予め対応付けられた正解データとに基づき、重心移動情報ごとに第1学習データを生成する。
【0048】
以下、学習データ生成処理によって生成された第1学習データの集合を学習データセットという。なおデータセットはデータの集合を意味する。学習データセットが含む第1学習データは1つであってもよいし複数であってもよい。
【0049】
学習データセット生成装置1、腰痛発生推定モデル取得装置2、腰痛発生推定装置3、センサ4及び座位状況データ生成モデル取得装置5について説明する。まずは、座位状況データ生成モデル取得装置5について説明する。
【0050】
座位状況データ生成モデル取得装置5は、腰痛発生推定学習モデルの更新に用いられる座位状況データを生成する数理モデル(すなわち座位状況データ生成モデル)を、1又は複数の重心移動情報に基づいて得る。
【0051】
座位状況データ生成モデルは、1又は複数の重心移動情報を用いた教師無しの機械学習により得られる。座位状況データ生成モデルは、例えば、重心移動情報に対して、単位分類処理と、出現パターン取得処理と、共通パターン決定処理と、共通パターン出現回数取得処理と、を少なくとも含む処理を実行する数理モデルである。座位状況データ生成モデルは、座位状況データ生成処理を含んでもよい。以下、座位状況データ生成モデルの学習に用いられる学習データを第2学習データという。座位状況データ生成モデルは1又は複数の重心移動情報を用いた教師無しの機械学習により得られるため、重心移動情報は第2学習データの一例である。
【0052】
座位状況データ生成モデルを教師無しの機械学習で得る際には、学習のたびに単位分類処理で得られる分類の条件が更新される。その結果、出現パターン取得処理で取得されるパターンと、共通パターン決定処理で決定されるパターンと、も更新される。したがって、座位状況データ生成モデルが学習により更新されることで、重心移動情報と座位状況データとの関係が更新される。
【0053】
座位状況データ生成モデル取得装置5が取得した学習済みの座位状況データ生成モデルは、学習データセット生成装置1と腰痛発生推定装置3とによって用いられる。
【0054】
学習データセット生成装置1は、学習済みの座位状況データ生成モデルを用いて腰痛発生推定学習モデルの更新に用いられる学習データセットを生成する。すなわち、学習データセット生成装置1は、学習済みの座位状況データ生成モデルを用いて第1学習データを生成する。学習データセット生成装置1は、重心移動情報に基づき座位状況データを生成する。より具体的には学習データセット生成装置1は、重心移動情報を座位状況データに変換する。
【0055】
なお、座位期間の長さは、必ずしも全ての重心移動情報について同じである必要は無い。すなわち、少なくとも1つの重心移動情報における座位期間の長さが他の重心移動情報における座位期間の長さと異なってもよいし、全ての重心移動情報について座位期間の長さが同じであってもよい。
【0056】
学習データセット生成装置1は、学習済みの座位状況データ生成モデルの実行により座位状況データを生成する。より具体的には、学習データセット生成装置1は、例えば単位時間情報生成処理と、出現パターン取得処理と、共通パターン出現回数取得処理と、座位状況データ生成処理と、学習データ生成処理とを少なくとも実行することで座位状況データを生成する。
【0057】
学習データセット生成装置1は学習済みの座位状況データ生成モデルを用いる。そのため、学習データセット生成装置1による座位状況データの生成に際しては、単位分類処理で決定される分類の条件は既に座位状況データ生成モデル取得装置5によって決定済みである。したがって、学習データセット生成装置1は、単位分類処理は実行しない。このことは腰痛発生推定装置3についても同様である。
【0058】
学習データセット生成装置1は学習済みの座位状況データ生成モデルを用いる。そのため、学習データセット生成装置1による座位状況データの生成に際しては、共通パターン決定処理で決定されるパターンは既に座位状況データ生成モデル取得装置5によって決定済みである。したがって、学習データセット生成装置1は、共通パターン決定処理は実行しない。このことは腰痛発生推定装置3についても同様である。
【0059】
腰痛発生推定モデル取得装置2は、学習データセットを用いた学習により腰痛発生推定学習モデルを更新する。具体的には、腰痛発生推定モデル取得装置2は、学習データセットが含む第1学習データを用いて腰痛発生推定学習モデルを更新する。より具体的には、腰痛発生推定モデル取得装置2は、第1学習データが含む座位状況データと正解データとに基づき、機械学習の方法によって腰痛発生推定学習モデルを更新する。すなわち、腰痛発生推定モデル取得装置2は、座位状況データと座位状況データに対応する正解データとに基づき、機械学習の方法によって腰痛発生推定学習モデルを更新する。
【0060】
腰痛発生推定モデル取得装置2は、学習終了条件が満たされるまで腰痛発生推定学習モデルを更新する。学習終了条件が満たされた時点の腰痛発生推定学習モデルが、腰痛発生推定モデルである。このようにして、腰痛発生推定モデル取得装置2は、腰痛発生推定モデルを取得する。
【0061】
腰痛発生推定装置3は、座位状況データ生成モデル及び腰痛発生推定モデルを用い、腰痛の発生の予測の対象である解析対象9の重心移動情報に基づいて、解析対象9についての腰痛発生確率を推定する。より具体的には、腰痛発生推定装置3は、まず腰痛の発生の予測の対象である解析対象9の重心移動情報に基づき座位状況データ生成モデルを用いて解析対象9の座位状況データを生成する。腰痛発生推定装置3は、次に、生成した座位状況データに基づき腰痛発生推定モデルを用いて解析対象9の腰痛発生確率を推定する。
【0062】
腰痛発生確率は、腰痛判定期間の終わりの時点以降に腰痛が発生する確率である。そのため解析対象9についての腰痛発生確率とは、腰痛判定期間の終わりの時点以降に解析対象9に腰痛が発生する確率である。腰痛判定期間は、座位期間を含む予め定められた所定の期間である。
【0063】
座位期間を含む予め定められた所定の期間は、例えば座位期間そのものである。座位期間を含む予め定められた所定の期間は、例えば仕事でデスクワークを行う解析対象9の勤務時間であってもよい。座位期間を含む予め定められた所定の期間は、例えば学校で座学を受ける解析対象9が学校に到着してから帰宅するまでの期間であってもよい。
【0064】
図3は、実施形態における座位状況データ生成モデル取得装置5のハードウェア構成の一例を示す図である。座位状況データ生成モデル取得装置5は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ97とメモリ98とを備える制御部51を備え、プログラムを実行する。座位状況データ生成モデル取得装置5は、プログラムの実行によって制御部51、通信部52、入力部53、記憶部54及び出力部55を備える装置として機能する。
【0065】
より具体的には、座位状況データ生成モデル取得装置5は、プロセッサ97が記憶部54に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ98に記憶させる。プロセッサ97が、メモリ98に記憶させたプログラムを実行することによって、座位状況データ生成モデル取得装置5は、制御部51、通信部52、入力部53、記憶部54及び出力部55を備える装置として機能する。
【0066】
制御部51は、座位状況データ生成モデル取得装置5が備える各機能部の動作を制御する。制御部51は、例えば座位状況データ生成モデルの学習を行う。制御部51は、座位状況データ生成モデルの学習によって生じた各種情報を記憶部54に記録する。制御部51は、例えば通信部52の動作を制御する。
【0067】
通信部52は、座位状況データ生成モデル取得装置5を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部52は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。通信部52の通信先の外部装置は、例えば学習データセット生成装置1及び腰痛発生推定装置3である。通信部52は、例えば学習データセット生成装置1及び腰痛発生推定装置3に座位状況データ生成モデルを送信する。通信部52は、例えば座位状況データ生成モデルを更新するための学習データとして入力される1又は複数の重心移動情報の送信元と通信する。通信部52は、例えば座位状況データ生成モデルを更新するための学習データとして入力される1又は複数の重心移動情報の送信元との通信により、座位状況データ生成モデルを更新するための学習データとして入力される1又は複数の重心移動情報を取得する。
【0068】
入力部53は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部53は、これらの入力装置を座位状況データ生成モデル取得装置5に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部53は、座位状況データ生成モデル取得装置5に対する各種情報の入力を受け付ける。入力部53には、例えば座位状況データ生成モデルを更新するための学習データとして、1又は複数の重心移動情報が入力されてもよい。
【0069】
記憶部54は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの非一時的コンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部54は座位状況データ生成モデル取得装置5に関する各種情報を記憶する。記憶部54は、例えば座位状況データ生成モデル取得装置5が備える各機能部の動作を制御するプログラムを予め記憶する。記憶部54は、例えば予め、学習開始前の座位状況データ生成モデルを記憶する。
【0070】
なお、座位状況データ生成モデルを更新するための学習データとして入力される1又は複数の重心移動情報は、必ずしも通信部52だけに入力される必要もないし、入力部53だけに入力される必要もない。座位状況データ生成モデルを更新するための学習データとして入力される1又は複数の重心移動情報は、通信部52と入力部53とのどちらから入力されてもよい。また、座位状況データ生成モデルを更新するための学習データとして入力される1又は複数の重心移動情報は必ずしも通信部52又は入力部53から取得される必要はなく、予め記憶部54が記憶済みであってもよい。
【0071】
出力部55は、各種情報を出力する。出力部55は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部55は、これらの表示装置を座位状況データ生成モデル取得装置5に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部55は、例えば通信部52又は入力部53に入力された情報を表示してもよい。
【0072】
図4は、実施形態における制御部51の機能構成の一例を示す図である。制御部51は、通信制御部501、入力制御部502、出力制御部503、座位状況データ生成モデル取得部504及び記録部505を備える。
【0073】
通信制御部501は、通信部52の動作を制御する。通信制御部501の制御により通信部52は、取得した学習済みの座位状況データ生成モデルを学習データセット生成装置1及び腰痛発生推定装置3に送信する。通信制御部501は、通信部52が受信した情報を取得する。入力制御部502は、入力部53の動作を制御する。入力制御部502は、入力部53に入力された情報を取得する。出力制御部503は、出力部55の動作を制御する。
【0074】
座位状況データ生成モデル取得部504は、通信部52又は入力部53に入力された重心移動情報に基づき、所定の終了条件が満たされるまで座位状況データ生成モデルの学習を行う。座位状況データ生成モデル取得部504は、具体的には、入力された重心移動情報ごとに、単位時間情報生成処理と、単位分類処理と、出現パターン取得処理と、共通パターン決定処理と、共通パターン出現回数取得処理と、座位状況データ生成処理とを実行する。
【0075】
このように、座位状況データ生成モデルは、座位状況データ生成処理を含む。座位状況データ生成モデル取得部504は、学習のたびに、単位分類処理で得られる分類の条件が更新される。また、座位状況データ生成モデルは共通パターン決定処理を含むため、座位状況データ生成モデルが学習により更新されるたびに、共通パターンがより適切なパターンに更新される。その結果、学習により、座位状況データ生成モデルの生成する座位状況データの精度が向上する。所定の終了条件が満たされた時点の座位状況データ生成モデルが学習済みの座位状況データ生成モデルである。
【0076】
なお、予め重心移動情報が記憶部54に記憶済みの場合には、座位状況データ生成モデル取得部504は、記憶部54から重心移動情報を読み出し、読み出した重心移動情報に基づき座位状況データ生成モデルの学習を行ってもよい。
【0077】
記録部506は、更新後の座位状況データ生成モデル等の各種情報を記憶部14に記録する。
【0078】
図5は、実施形態における座位状況データ生成モデル取得装置5が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。通信部52又は入力部53に学習用の重心移動情報が入力される(ステップS101)。次に座位状況データ生成モデル取得部504が、単位時間情報生成処理を実行する(ステップS102)。次に座位状況データ生成モデル取得部504が、単位分類処理を実行する(ステップS103)。単位分類処理の実行により、分類の条件が更新される。次に座位状況データ生成モデル取得部504が、出現パターン取得処理を実行する(ステップS104)。次に、座位状況データ生成モデル取得部504が、共通パターン決定処理を実行する(ステップS105)。共通パターン決定処理の実行により、重心移動共通パターンが更新される。
【0079】
次に座位状況データ生成モデル取得部504が、共通パターン出現回数取得処理を実行する(ステップS106)。共通パターン出現回数取得処理の実行により、重心移動情報ごとに、重心移動共通パターンの出現回数が取得される。次に座位状況データ生成モデル取得部504が、座位状況データ生成処理を実行する(ステップS107)。座位状況データ生成処理の実行により重心移動情報ごとに座位状況データが取得される。次に座位状況データ生成モデル取得部504は所定の終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS108)。終了条件が満たされた場合、処理が終了する。処理が終了した時点の座位状況データ生成モデルが学習済みの座位状況データ生成モデルである。一方、終了条件が満たされない場合、ステップS101の処理に戻る。
【0080】
なお、ステップS107の処理は必ずしも実行される必要は無く、ステップS106の次にステップS108の処理が実行されてもよい。
【0081】
図6は、実施形態における学習データセット生成装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。学習データセット生成装置1は、バスで接続されたCPU等のプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部11を備え、プログラムを実行する。学習データセット生成装置1は、プログラムの実行によって制御部11、通信部12、入力部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
【0082】
より具体的には、学習データセット生成装置1は、プロセッサ91が記憶部14に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ92に記憶させる。プロセッサ91が、メモリ92に記憶させたプログラムを実行することによって、学習データセット生成装置1は、制御部11、通信部12、入力部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
【0083】
制御部11は、学習データセット生成装置1が備える各機能部の動作を制御する。制御部11は、例えば学習済みの座位状況データ生成モデルを実行する。学習済みの座位状況データ生成モデルの実行は具体的には、単位時間情報生成処理、出現パターン取得処理、共通パターン出現回数取得処理及び座位状況データ生成処理の実行である。制御部11は、例えば学習データ生成処理を実行する。制御部11は、例えば学習済みの座位状況データ生成モデルの実行の結果と、学習データ生成処理の実行の結果とを記憶部14に記録する。制御部11は、例えば通信部12の動作を制御する。
【0084】
通信部12は、学習データセット生成装置1を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部12は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。通信部12の通信先の外部装置は、例えば腰痛発生推定モデル取得装置2である。通信部12は、例えば腰痛発生推定モデル取得装置2に学習データセットを送信する。
【0085】
通信部12の通信先の外部装置は、例えば座位状況データ生成モデル取得装置5である。通信部12は、座位状況データ生成モデル取得装置5との通信により学習済みの座位状況データ生成モデルを取得する。
【0086】
通信部12の通信先の外部装置は、例えば重心移動情報と各重心移動情報に予め対応付けられた正解データとの送信元の装置であってもよい。このような場合、通信部12は、重心移動情報と各重心移動情報に予め対応付けられた正解データとの送信元の装置との間の通信によって、重心移動情報と各重心移動情報に予め対応付けられた正解データとを受信する。
【0087】
入力部13は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部13は、これらの入力装置を学習データセット生成装置1に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部13は、学習データセット生成装置1に対する各種情報の入力を受け付ける。入力部13には、例えば重心移動情報と各重心移動情報に予め対応付けられた正解データとが入力されてもよい。
【0088】
記憶部14は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの非一時的コンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部14は学習データセット生成装置1に関する各種情報を記憶する。記憶部14は、例えば学習データセット生成装置1が備える各機能部の動作を制御するプログラムを予め記憶する。記憶部14は、例えば学習済みの座位状況データ生成モデルを記憶する。
【0089】
なお、重心移動情報と各重心移動情報に予め対応付けられた正解データとは、必ずしも通信部12だけに入力される必要もないし、入力部13だけに入力される必要もない。重心移動情報と各重心移動情報に予め対応付けられた正解データとは、通信部12と入力部13とのどちらから入力されてもよい。例えば重心移動情報は通信部12に入力され、通信部12に入力された重心移動情報に対応する正解データは入力部13に入力されてもよい。また、重心移動情報と各重心移動情報に予め対応付けられた正解データとは必ずしも通信部12又は入力部13から取得される必要はなく、予め記憶部14が記憶済みであってもよい。
【0090】
出力部15は、各種情報を出力する。出力部15は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部15は、これらの表示装置を学習データセット生成装置1に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部15は、例えば入力部13に入力された情報を出力する。出力部15は、例えば通信部12又は入力部13に入力された情報を表示してもよい。出力部15は、例えば生成した座位状況データを表示してもよい。出力部15は、例えば生成した第1学習データを表示してもよい。
【0091】
図7は、実施形態における制御部11の機能構成の一例を示す図である。制御部11は、通信制御部101、入力制御部102、出力制御部103、座位状況データ生成部104、学習データ生成部105及び記録部106を備える。
【0092】
通信制御部101は、通信部12の動作を制御する。通信制御部101の制御により通信部12は、生成した学習データセットを腰痛発生推定モデル取得装置2に送信する。通信制御部101の制御により通信部12は、学習済みの座位状況データ生成モデルを座位状況データ生成モデル取得装置5から取得する。通信制御部101は、通信部12が受信した情報を取得する。入力制御部102は、入力部13の動作を制御する。入力制御部102は、入力部13に入力された情報を取得する。出力制御部103は、出力部15の動作を制御する。
【0093】
座位状況データ生成部104は、通信部12又は入力部13に入力された重心移動情報に基づき、座位状況データを生成する。座位状況データ生成部104は、例えば単位時間情報生成処理と、出現パターン取得処理と、共通パターン出現回数取得処理と、座位状況データ生成処理とを実行することで、重心移動情報に基づき、座位状況データを生成する。なお、予め重心移動情報が記憶部14に記憶済みの場合には、座位状況データ生成部104は、記憶部14から重心移動情報を読み出し、読み出した重心移動情報に基づき座位状況データを生成してもよい。
【0094】
学習データ生成部105は、学習データ生成処理を実行する。学習データ生成部105は、学習データ生成処理の実行により、少なくとも座位状況データ生成処理により得られた座位状況データと重心移動情報ごとに予め対応付けられた正解データとを用いて、重心移動情報ごとに第1学習データを生成する。
【0095】
記録部108は、各種情報を記憶部14に記録する。
【0096】
図8は、実施形態における学習データセット生成装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、ステップS201の実行前に記憶部14は、学習済みの座位状況データ生成モデルを記憶済みである。
【0097】
通信部12又は入力部13に重心移動情報と重心移動情報に予め対応付けられた正解データとが入力される(ステップS201)。次に座位状況データ生成部104が、単位時間情報生成処理を実行する(ステップS202)。次に座位状況データ生成部104が、出現パターン取得処理を実行する(ステップS203)。
【0098】
次に座位状況データ生成部104が、共通パターン出現回数取得処理を実行する(ステップS204)。共通パターン出現回数取得処理の実行により、ステップS201で取得された重心移動情報について、重心移動共通パターンの出現回数が取得される。次に座位状況データ生成部104が、座位状況データ生成処理を実行する(ステップS205)。座位状況データ生成処理の実行により重心移動情報ごとに座位状況データが取得される。次に学習データ生成部105が、重心移動情報ごとに学習データ生成処理を実行する(ステップS206)。学習データ生成処理の実行により、第1学習データが生成される。図8に記載の処理の流れを繰り返すことで、学習データセットが生成される。
【0099】
図9は、実施形態における腰痛発生推定モデル取得装置2の構成の一例を示す図である。腰痛発生推定モデル取得装置2は、バスで接続されたCPU等のプロセッサ93とメモリ94とを備える制御部21を備え、プログラムを実行する。腰痛発生推定モデル取得装置2は、プログラムの実行によって制御部21、通信部22、入力部23、記憶部24及び出力部25を備える装置として機能する。
【0100】
より具体的には、腰痛発生推定モデル取得装置2は、プロセッサ93が記憶部24に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ94に記憶させる。プロセッサ93が、メモリ94に記憶させたプログラムを実行することによって、腰痛発生推定モデル取得装置2は、制御部21、通信部22、入力部23、記憶部24及び出力部25を備える装置として機能する。
【0101】
制御部21は、腰痛発生推定モデル取得装置2が備える各機能部の動作を制御する。制御部21は、例えば腰痛発生推定学習モデルの学習を行う。制御部21は、例えば学習の結果を記憶部24に記録する。制御部21は、例えば通信部22の動作を制御する。
【0102】
通信部22は、腰痛発生推定モデル取得装置2を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部22は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。通信部22の通信先の外部装置は、例えば学習データセット生成装置1である。通信部22は、例えば学習データセット生成装置1が送信した学習データセットを受信する。通信部22の通信先の外部装置は、例えば腰痛発生推定装置3である。通信部22は、例えば腰痛発生推定装置3に、腰痛発生推定モデルを送信する。
【0103】
入力部23は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部23は、これらの入力装置を腰痛発生推定モデル取得装置2に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部23は、腰痛発生推定モデル取得装置2に対する各種情報の入力を受け付ける。入力部23には、例えば学習データセットが入力されてもよい。
【0104】
記憶部24は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの非一時的コンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部24は腰痛発生推定モデル取得装置2に関する各種情報を記憶する。記憶部24は、例えば腰痛発生推定モデル取得装置2が備える各機能部の動作を制御するプログラムを予め記憶する。記憶部24は、例えば予め腰痛発生推定学習モデルを記憶する。記憶部24は、例えば更新後の腰痛発生推定学習モデルを記憶する。
【0105】
なお、学習データセットは、必ずしも通信部22だけに入力される必要もないし、入力部23だけに入力される必要もない。学習データセットが含む各情報は、通信部22と入力部23とのどちらから入力されてもよい。
【0106】
出力部25は、各種情報を出力する。出力部25は、例えばCRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部25は、これらの表示装置を腰痛発生推定モデル取得装置2に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部25は、例えば入力部23に入力された情報を出力する。出力部25は、例えば通信部22又は入力部23に入力された学習データセットを表示してもよい。出力部25は、例えば腰痛発生推定学習モデルの実行結果を表示してもよい。
【0107】
図10は、実施形態における制御部21の機能構成の一例を示す図である。制御部21は、通信制御部201、入力制御部202、出力制御部203、学習データセット取得部204、対応関係取得部205及び記録部206を備える。
【0108】
通信制御部201は、通信部22の動作を制御する。通信制御部201の制御により通信部22は、学習済みの腰痛発生推定学習モデルを、腰痛発生推定装置3に送信する。入力制御部202は、入力部23の動作を制御する。出力制御部203は、出力部25の動作を制御する。
【0109】
学習データセット取得部204は、通信部22又は入力部23に入力された学習データセットを取得する。学習データセット取得部204は、予め記憶部24に学習データセットが記録済みの場合には、記憶部24から学習データセットを読み出してもよい。
【0110】
対応関係取得部205は、学習データセットを用いて腰痛発生推定モデルを取得する。腰痛発生推定学習モデル実行部251、更新部252及び終了判定部253を備える。
【0111】
腰痛発生推定学習モデル実行部251は、学習データセット取得部204が取得した学習データセットの第1学習データに含まれる座位状況データに対して腰痛発生推定学習モデルを実行する。腰痛発生推定学習モデルの実行により、腰痛発生推定学習モデル実行部251は、座位状況データが示す状況が発生した場合の腰痛発生確率を推定する。
【0112】
更新部252は、腰痛発生推定学習モデル実行部251の推定結果と腰痛発生推定学習モデル実行部251の推定対象の座位状況データに対応する正解データとの違いである推定損失に基づき、腰痛発生推定学習モデルを更新する。
【0113】
終了判定部253は、学習終了条件が満たされたか否かを判定する。記録部206は、各種情報を記憶部24に記録する。
【0114】
図11は、実施形態における腰痛発生推定モデル取得装置2が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。通信部12又は入力部13に学習データセットが入力され、入力された学習データセットを学習データセット取得部204が取得する(ステップS301)。
【0115】
次に腰痛発生推定学習モデル実行部251がステップS301で取得された学習データセットの第1学習データが含む座位状況データに対して腰痛発生推定学習モデルを実行する(ステップS302)。腰痛発生推定学習モデルの実行により腰痛発生推定学習モデル実行部251は、推定対象の座位状況データが示す状況が発生した場合における腰痛発生確率を推定する。
【0116】
次に更新部252が、ステップS302で得られた推定結果とステップS302の推定対象の座位状況データに対応する正解データとの違いに基づき、違いを小さくするように腰痛発生推定学習モデルを更新する(ステップS303)。
【0117】
次に終了判定部253が、学習終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS304)。学習終了条件が満たされた場合(ステップS304:YES)、処理が終了する。処理が終了した時点における腰痛発生推定学習モデルが腰痛発生推定モデルの一例である。一方、学習終了条件が満たされない場合(ステップS304:NO)、ステップSS301の処理に戻る。
【0118】
図12は、実施形態における腰痛発生推定装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。腰痛発生推定装置3は、バスで接続されたCPU等のプロセッサ95とメモリ96とを備える制御部31を備え、プログラムを実行する。腰痛発生推定装置3は、プログラムの実行によって制御部31、通信部32、入力部33、記憶部34及び出力部35を備える装置として機能する。
【0119】
より具体的には、腰痛発生推定装置3は、プロセッサ95が記憶部34に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ96に記憶させる。プロセッサ95が、メモリ96に記憶させたプログラムを実行することによって、腰痛発生推定装置3は、制御部31、通信部32、入力部33、記憶部34及び出力部35を備える装置として機能する。
【0120】
制御部31は、腰痛発生推定装置3が備える各機能部の動作を制御する。制御部31は、例えば座位状況データ生成モデルを実行する。制御部31は、例えば座位状況データ生成モデルの実行結果を記憶部34に記録する。制御部31は、例えば腰痛発生推定モデルを実行する。制御部31は、例えば腰痛発生推定モデルの実行結果を記憶部34に記録する。制御部31は、例えば通信部32の動作を制御する。
【0121】
通信部32は、腰痛発生推定装置3を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部32は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。通信部32の通信先の外部装置は、例えば腰痛発生推定モデル取得装置2である。通信部32は、例えば腰痛発生推定モデル取得装置2が送信した腰痛発生推定モデルを受信する。
【0122】
通信部32の通信先の外部装置は、例えば座位状況データ生成モデル取得装置5である。通信部32は、座位状況データ生成モデル取得装置5との通信により学習済みの座位状況データ生成モデルを取得する。
【0123】
外部装置は、例えば解析対象9の重心移動情報の送信元の装置であってもよい。このような場合、通信部32は、解析対象9の重心移動情報の送信元の装置との間の通信によって、解析対象9の重心移動情報を受信する。
【0124】
入力部33は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部33は、これらの入力装置を腰痛発生推定装置3に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部33は、腰痛発生推定装置3に対する各種情報の入力を受け付ける。入力部33には、例えば解析対象9の重心移動情報が入力されてもよい。
【0125】
記憶部34は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの非一時的コンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部34は腰痛発生推定装置3に関する各種情報を記憶する。記憶部34は、例えば腰痛発生推定装置3が備える各機能部の動作を制御するプログラムを予め記憶する。記憶部34は、例えば腰痛発生推定モデル取得装置2が取得した腰痛発生推定モデルを記憶する。記憶部34は、例えば腰痛発生推定モデルによる推定結果を記憶する。記憶部34は、例えば学習済みの座位状況データ生成モデルを記憶する。
【0126】
なお、腰痛発生推定モデルと、学習済みの座位状況データ生成モデルと、解析対象9の重心移動情報とは、必ずしも通信部32だけに入力される必要もないし、入力部33だけに入力される必要もない。腰痛発生推定モデルと、学習済みの座位状況データ生成モデルと、解析対象9の重心移動情報とは、通信部32と入力部33とのどちらから入力されてもよい。また、学習済みの座位状況データ生成モデルは必ずしも通信部32又は入力部33から取得される必要はなく、予め記憶部34が記憶済みであってもよい。
【0127】
出力部35は、各種情報を出力する。出力部35は、例えばCRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部35は、これらの表示装置を腰痛発生推定装置3に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部35は、例えば入力部33に入力された情報を出力する。出力部35は、例えば通信部32又は入力部33に入力された状況データを表示してもよい。出力部35は、例えば腰痛発生推定モデルの実行結果を表示してもよい。
【0128】
図13は、実施形態における制御部31の機能構成の一例を示す図である。制御部31は、通信制御部301、入力制御部302、出力制御部303、解析対象データ取得部304、解析対象座位状況データ生成部305、推定部306及び記録部307を備える。
【0129】
通信制御部301は、通信部32の動作を制御する。入力制御部302は、入力部33の動作を制御する。出力制御部303は、出力部35の動作を制御する。
【0130】
解析対象データ取得部304は、通信部32又は入力部33に入力された解析対象9の重心移動情報を取得する。
【0131】
解析対象座位状況データ生成部305は、解析対象データ取得部304が取得した解析対象9の重心移動情報に基づき学習済みの座位状況データ生成モデルを実行することで解析対象9の座位状況データを取得する。すなわち、解析対象座位状況データ生成部305は、学習済みの座位状況データ生成モデルの実行により、解析対象9の重心移動情報を座位状況データに変換する。解析対象座位状況データ生成部305は、例えば解析対象9の重心移動情報に対して共通パターン出現回数取得処理及び座位状況データ生成処理を実行することで、解析対象9の座位状況データを生成する。
【0132】
推定部306は、解析対象9の座位状況データに対して腰痛発生推定モデルを実行する。腰痛発生推定モデルの実行により、推定部306は、解析対象9の座位状況データが示す状況が生じた場合における解析対象9についての腰痛発生確率を推定する。なお、推定部306は、出現パターンの出現頻度を求め、出現頻度と腰痛に相関のある出現パターンの頻度とに基づき腰痛を推定してもよい。なお、推定部306は、腰痛の発生の予測の対象である解析対象である人に関する座位状況データに基づいて、腰痛判定期間の終わりの時点以降に解析対象に腰痛が発生する確率を推定してもよい。
【0133】
記録部307は、各種情報を記憶部34に記録する。記録部307は、例えば通信部32又は入力部33に入力された解析対象9の重心移動情報を記憶部34に記録する。記録部307は、例えば学習済みの座位状況データ生成モデルの実行結果を記憶部34に記録する。記録部307は、例えば腰痛発生推定モデルの実行結果を記憶部34に記録する。
【0134】
図14は、実施形態における腰痛発生推定装置3が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、ステップS401の実行前に記憶部34は、腰痛発生推定モデルと学習済みの座位状況データ生成モデルとを記憶済みである。
【0135】
通信部22又は入力部23に解析対象9の重心移動情報が入力され、入力された解析対象9の重心移動情報を解析対象データ取得部304が取得する(ステップS401)。
【0136】
次に、解析対象座位状況データ生成部305が、ステップS401で取得された解析対象9の重心移動情報に基づき、解析対象9の座位状況データを生成する(ステップS402)。
【0137】
次に、推定部306が、腰痛発生推定モデルを用いて、ステップS402で生成された座位状況データが示す状況が生じた場合における解析対象9についての腰痛発生確率を推定する(ステップS403)。
【0138】
次に、出力制御部303がステップS403で推定された推定結果を出力部35に表示させる(ステップS404)。ステップS404では、記録部307が記憶部34に推定結果を記録する処理が実行されてもよい。
【0139】
腰痛発生推定システム100で実行される処理の一例をまとめる。腰痛発生推定システム100では、ステップS101~ステップS108の処理が実行される。腰痛発生推定システム100では、ステップS101~ステップS108の実行後に、ステップS201~S206の処理が実行される。腰痛発生推定システム100では、ステップS201~S206の処理によって得られた学習データセットを用いたステップS301~ステップS304の処理が実行される。腰痛発生推定システム100では、ステップS301~ステップS304の処理の実行後と、ステップS101~ステップS108の処理の実行後とに、ステップS401~ステップS404の処理が実行される。
【0140】
このように構成された実施形態の腰痛発生推定システム100は、座位状況データを用いて腰痛発生推定モデルを取得する腰痛発生推定モデル取得装置2を備える。腰痛発生推定モデルは、座位状況データと座位状況データに対応する正解データとの対応関係の一例である。座位状況データは、所定の重心移動共通パターンが座位期間に出現する回数を示す情報を含む。そして正解データは、腰痛判定期間の終了時点以降に腰痛が発生する確率の変化を示す情報である。
【0141】
ところで、椅子に座ることで発生する腰痛は、人の座位時の動き方に応じて発生の確率が変化する現象である。したがって、人の動き方と腰痛の発生確率の変化との対応関係を得ることができれば、より高い精度で腰痛の発生の確率を推定することが可能であると発明者らは推測した。重心移動共通パターンは、椅子に座っている人の重心の位置の変化の一例を示す情報であり、椅子に座っている人の重心の位置の変化は人の動き方を反映する情報である。発明者らは、腰痛発生推定モデル取得装置2を備える腰痛発生推定システム100を用いて、人の動き方と腰痛の発生確率の変化との対応関係の相関を求めたところ、腰痛の発生と、重心移動共通パターンに強い相関があることを発見した。その腰痛発生推定モデルを腰痛発生推定学習モデルとして機械学習させることで腰痛発生推定システム100は、より高い精度で腰痛が発生する確率を推定することができる。
【0142】
また、このように構成された実施形態の腰痛発生推定システム100は、腰痛発生推定モデルを用いて解析対象9の腰痛を推定する。そのため、腰痛発生推定システム100は、より高い精度で腰痛が発生する確率を推定することができる。
【0143】
(変形例)
なお、腰痛発生推定学習モデルは、例えば入力層と、複数の中間層と、出力層とを有するニューラルネットワークで表現される。ニューラルネットワークのパラメータは、目的関数の値(すなわち損失)に基づいて好適に調整される。ネットワークのパラメータは、表現する機械学習モデルのパラメータである。またネットワークのパラメータは、ネットワークを構成する回路のパラメータである。
【0144】
腰痛発生推定学習モデルは、例えば参考文献3等に記載の確率ニューラルネットワークである。
【0145】
参考文献3:Specht, Donald F. "Probabilistic neural networks." Neural networks 3.1 (1990): 109-118.
【0146】
腰痛悪化推定は確率ニューラルネットワークによる深層学習を用いる。ニューラルネットワーク出力の最適化関数は例えばSSA(Social Spider Algorithm)であってもよい。またそれに加えて損失関数クロスエントロピーを用いると、用いない場合よりも、より高い精度と特異度での腰痛悪化推定ができる。腰痛悪化推定とは、腰痛が悪くなった(腰痛が生じた)ことと、腰痛が変わらない(腰痛が起きなかった。)ことと、を意味する。
【0147】
なお機械学習モデルの精度が高いとは、機械学習モデルによる推定の結果が正しい確率が高いことを意味する。特異度とは、例えば肩こり悪化ではなく、腰痛悪化を予測できることを意味する。
【0148】
なお、腰痛の発生には座位状況データが示す内容以外の様々な要因が影響する場合がある。そのため、腰痛の発生には座位状況データが示す内容以外の様々な要因が影響する場合における学習データは、座位状況データと正解データとの対だけでなく、座位状況データの提供者の性別の情報や、生活習慣、体調の情報を含んでもよい。また、学習データは、座位状況データの提供者の、腰痛に関する主観的な評価結果を示す情報を含んでもよい。腰痛に関する主観的な評価結果を示す情報は、例えば腰の痛みの感じ方を示す情報である。学習データが含む、座位状況データと正解データとの対以外の他の情報が多いほど、腰痛発生推定モデル取得装置2は高い精度の腰痛発生推定モデルを生成することができる。
【0149】
(実験結果)
ここで、図15図17を用いて、腰痛発生推定システム100を用いた腰痛の発生確率の予測について実験の結果の一例を説明する。実験は、30名の被験者に対して4か月にわたって行なった。実験では、実験用の椅子(以下「実験椅子」という。)に被験者が座っている期間の被験者の重心の位置の変化が測定される。実験椅子は、荷重センサが取り付けられた椅子である。実験椅子は具体的には、椅子の座面下の4箇所に荷重センサが設置され、座面下1箇所に3軸加速度計が設置された椅子である。実験では、具体的には、荷重センサ及び3軸加速度計の測定結果に基づき重心の位置の時間変化を算出した。算出した重心の位置の時間変化は、重心移動情報の一例である。荷重センサのサンプリングレートは100Hzとした。
【0150】
実験において被験者は、毎日、午前9時、午前11時30分、午後2時、午後5時の4回、2つの所定の作業を行った。所定の作業の1つは、自分自身の眠気の程度を評価する作業である。眠気は、カロリンスカ眠気尺度で回答を得た。所定の作業の残り1つは、眠気自己評価、痛み自己評価及び作業自己評価の3つを評価する作業である。痛みについては、全身と、肩と、腰とについて回答を得た。回答は、Visual Analogue Scaleで回答を得た。
【0151】
実験において被験者は、1週間に一度、気分尺度であるPOMS2と不眠尺度であるアテネ不眠尺度とを回答した。
【0152】
実験において被験者は、毎日、就業時に実験椅子に座った。実験において被験者は就業時に実験椅子に座った後は、通常業務を行った。通常業務中に椅子に座る場合、座る椅子は実験椅子である。実験椅子に座っている間は、重心の位置の変化を測定した。
【0153】
実験において被験者は、腕時計型の活動量計を入浴時以外は装着した。活動量計は具体的には加速度センサを用いた活動量計であった。なお、腰痛以外の測定や。肺活量計等の測定は、座位の重心位置などのデータとの他の相関についても測定を行ったものである。
【0154】
実験では、このような実験環境において、被験者30名から、重心移動情報等の実験の結果が取得された。
【0155】
図15図17は、実験で得られた出現パターン取得処理の結果の被験者から得られた重心位置の例を示す図である。図15図17の縦軸は、重心の位置の変位、横軸は、測定時間を示す。図15図17の点線のグラフ(すなわち”left and right“のグラフ)は、前後方向の変位を示す。図15図17の実線のグラフ(すなわち”forward and backward“のグラフ)は左右方向の変位を示す。図15図17は、分類Aと分類Bとが交互に出現することを示す。なお、実験において分類Aは”Stable State”であり、分類Bは”Slight sway”であった。分類Aは“重心がほぼ一定の位置で安定している状態(じっとしている)”ことを意味する。分類Bは”身体を揺らすなどして重心が少し動く状態”を意味する。
【0156】
その他、一時的に実行される行動として、大きく、腰を浮かすなどして重心に大きな変化がある状態(分類C)、椅子から立ち上がり椅子から離れるなどした状態(分類D)などの分類が実験では行われた。
【0157】
図15図17は、分類A、分類Bのパターンが交互にあらわれていることを示す。図15図17は、分類A、分類Bが交互に現れるパターンが基礎的なパターンであることと、このパターンが所定期間の間で現れる頻度が多い場合には被験者が腰痛になることは少ないこととを示す。
【0158】
一方、図15図17は、所定期間で、分類A、分類Bの出現頻度が少ない場合に腰痛になることが高い結果を示す。例えば、分類Aの期間が長く続いた後、分類Bが現れ、またしばらく分類Aの期間が長く続くなど、所定期間において、分類A、分類Bの出現頻度が少ない場合や、分類A、分類Bのパターンに、分類Cが何度も出現し、分類A、分類Bの出現が何度も続かず、所定期間全体としてみたときの分類A,分類Bの出現頻度が少ない時などに、腰痛を発生する割合が高いことを示す。
【0159】
実験者が腰痛発生推定システム100をSSA-PNNモデルを用いて計算し、上記の分類A,分類Bの出現頻度の割合について判定したところ、腰痛の判定精度は、約63%であり、また、特異性の判断においても、約69%という高い精度を得ることができた。この結果は、腰痛発生推定システム100は、様々な椅子の座り方をするユーザに対して、高い精度で、非常に高い確率で、腰痛になるか否かを判定することができる、ことを示す。
【0160】
なお、腰痛発生推定システム100は上述のように、腰痛の発生を推定することができるが、腰痛を起こさないようにユーザに注意を促すことで、腰痛の発生を防ぐこともできる。
【0161】
所定期間において、分類A、分類Bの出現頻度の割合が少なく、このままでは、腰痛になることが推定される場合、ユーザに警告等を行い、姿勢の改善を促す、あるいは、所定の運動をさせるなどすることで、腰痛になることを防ぐ、あるいは、腰痛の度合いを軽減することができることが、実験結果から得られている。なお、このままとは、同じ座り方が継続することを意味する。
【0162】
以上のように、本発明の腰痛発生推定システム100は、座位の重心位置における、座位の状況を分類し、そのパターンを解析することで、所定のパターンの頻度(分類A,分類B)の出現頻度から、腰痛になる(悪化する)、ならない等の腰痛の発生の可能性を推定できる。
【0163】
また、この推定は、機械学習により、より高精度の推定となり、また、推定もより早くなる。腰痛発生推定システム100は、最初に椅子を使用するユーザが一時間程度座りデータが得られれば、その後は、数分で、他のユーザの判定を得ることができる。
【0164】
なお、通信部12、通信部22及び通信部32は、各種情報を記憶するUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の外部記憶装置に接続するためのインタフェースを含んで構成されてもよい。このような場合、通信部12、通信部22及び通信部32は情報を接続先の外部記憶装置に出力してもよい。
【0165】
なお、学習データセット生成装置1と腰痛発生推定モデル取得装置2とは、必ずしも異なる装置として実装される必要は無い。学習データセット生成装置1と腰痛発生推定モデル取得装置2とは、例えば両者の機能を併せ持つ1つの装置として実装されてもよい。
【0166】
例えば腰痛発生推定モデル取得装置2の制御部21が、座位状況データ生成部104及び学習データ生成部105もさらに備え、制御部21が単位時間情報生成処理と、出現パターン取得処理と、共通パターン出現回数取得処理と、座位状況データ生成処理と、学習データ生成処理とを実行してもよい。このような場合、通信部22又は入力部23には、重心移動情報と各重心移動情報に予め対応付けられた正解データとが入力される。また、このような場合、腰痛発生推定システム100は学習データセット生成装置1を備える必要は無い。
【0167】
なお、腰痛発生推定モデル取得装置2と腰痛発生推定装置3とは、必ずしも異なる装置として実装される必要は無い。腰痛発生推定モデル取得装置2と腰痛発生推定装置3とは、例えば両者の機能を併せ持つ1つの装置として実装されてもよい。
【0168】
例えば腰痛発生推定装置3の制御部31が、学習データセット取得部204、腰痛発生推定学習モデル実行部251、更新部252及び終了判定部253もさらに備え、制御部31が腰痛発生推定学習モデルを更新することと、腰痛発生推定モデルを取得することともさらに行ってもよい。このような場合、通信部32又は入力部33には、学習データセットも入力される。
【0169】
なお、腰痛発生推定システム100は、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いたシステムとして実装されてもよい。この場合、学習データセット生成装置1と腰痛発生推定モデル取得装置2と腰痛発生推定装置3とが備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。
【0170】
なお、腰痛発生推定システム100は例えば腰痛解析装置6として1つの装置で実装されてもよい。
【0171】
図18は、変形例における腰痛解析装置6の構成のハードウェア構成の一例を示す図である。腰痛解析装置6は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ99とメモリ90とを備える制御部61を備え、プログラムを実行する。腰痛解析装置6は、プログラムの実行によって制御部61、通信部62、入力部63、記憶部64及び出力部65を備える装置として機能する。
【0172】
より具体的には、腰痛解析装置6は、プロセッサ99が記憶部64に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ90に記憶させる。プロセッサ99が、メモリ90に記憶させたプログラムを実行することによって、腰痛解析装置6は、制御部61、通信部62、入力部63、記憶部64及び出力部65を備える装置として機能する。
【0173】
制御部61は、腰痛解析装置6が備える各機能部の動作を制御する。制御部61は、例えば座位状況データ生成モデルの学習を行う。制御部61は、例えば腰痛発生推定学習モデルの学習を行う。制御部61は、例えば腰痛発生推定モデルを用いて、解析対象9についての腰痛発生確率を推定する。
【0174】
通信部62は、腰痛解析装置6を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部62は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。通信部62の通信先の外部装置は、例えば解析対象9の重心移動情報の送信元の装置であってもよい。このような場合、通信部62は、解析対象9の重心移動情報の送信元の装置との間の通信によって、解析対象9の重心移動情報を受信する。
【0175】
入力部63は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部63は、これらの入力装置を腰痛解析装置6に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部63は、腰痛解析装置6に対する各種情報の入力を受け付ける。入力部63には、例えば解析対象9の重心移動情報が入力されてもよい。
【0176】
また、通信部62又は入力部63には、腰痛解析装置6の動作モードを示す情報(以下「動作モード指示情報」という。)が入力される。腰痛解析装置6の動作モードは、座位状況データ生成モデル学習モード、腰痛発生推定学習モデル学習モード及び解析モードである。
【0177】
座位状況データ生成モデル学習モードは、腰痛解析装置6が、通信部62又は入力部63に入力されたデータを用いて座位状況データ生成モデルの学習を行う動作モードである。腰痛発生推定学習モデル学習モードは、腰痛解析装置6が、通信部62又は入力部63に入力されたデータを用いて腰痛発生推定学習モデルの学習を行う動作モードである。解析モードは、腰痛解析装置6が、通信部62又は入力部63に入力されたデータを用いて、解析対象9についての腰痛発生確率を推定する動作モードである。
【0178】
通信部62又は入力部63に入力される動作モード指示情報は、座位状況データ生成モデル学習モード、腰痛発生推定学習モデル学習モード又は解析モードのいずれか1つを示す。
【0179】
通信部62又は入力部63には、重心移動情報が入力される。通信部62又は入力部63には、正解データが入力される。通信部62又は入力部63には、解析対象9の重心移動情報が入力される。
【0180】
腰痛解析装置6は、座位状況データ生成モデル学習モードを示す動作モード指示情報と重心移動情報とが入力された場合には、座位状況データ生成モデル学習モードで動作し、座位状況データ生成モデルを更新する。
【0181】
腰痛解析装置6は、腰痛発生推定学習モデル学習モードを示す動作モード指示情報と重心移動情報及び正解データが入力された場合には、腰痛発生推定学習モデル学習モードで動作し、腰痛発生推定学習モデルを更新する。
【0182】
腰痛解析装置6は、解析モードを示す動作モード指示情報と重心移動情報が入力された場合には、解析モードで動作し、入力された重心移動情報に基づいて入力された重心移動情報が示す座位重心位置を行った人の腰痛発生確率を推定する。
【0183】
記憶部64は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの非一時的コンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部64は腰痛解析装置6に関する各種情報を記憶する。記憶部64は、例えば腰痛解析装置6が備える各機能部の動作を制御するプログラムを予め記憶する。記憶部64は、例えば予め、学習開始前の座位状況データ生成モデルを記憶する。記憶部64は、例えば予め、腰痛発生推定学習モデルを記憶する。
【0184】
出力部65は、各種情報を出力する。出力部65は、例えばCRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部65は、これらの表示装置を腰痛解析装置6に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部65は、例えば通信部62又は入力部63に入力された情報を表示してもよい。
【0185】
図19は、変形例における制御部61の機能構成の一例を示す図である。制御部61は、通信制御部601、入力制御部602、出力制御部603、解析部604、推定部306及び記録部605を備える。以下、図1図18に記載の機能部と同様の機能を有するものについては図1図18と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0186】
通信制御部601は、通信部62の動作を制御する。通信制御部601は、通信部62が受信した情報を取得する。入力制御部602は、入力部63の動作を制御する。入力制御部602は、入力部63に入力された情報を取得する。出力制御部603は、出力部65の動作を制御する。
【0187】
解析部604は、座位状況データ生成部104、学習データ生成部105、対応関係取得部205、解析対象座位状況データ生成部305及び座位状況データ生成モデル取得部504を備える。そのため、解析部604は、座位状況データ生成モデルの更新と、座位状況データの生成と、腰痛発生推定学習モデルの更新と、を行うことができる。すなわち、解析部604は、センサ4で取得された重心移動情報をクラスタリングにより分類して得られたパターンの結果を用いて、パターンの結果と腰痛との関係を得ることができる。なお、センサ4は、座位期間における重心移動情報を取得する装置の一例である。
【0188】
記録部605は、各種情報を記憶部64に記録する。記録部605は、例えば通信部62又は入力部63に入力された情報を記憶部64に記録する。記録部605は、例えば解析部604の動作によって生じた各種情報を記憶部64に記録する。
【0189】
腰痛解析装置6は解析部604を備えるため、入力された動作モード指示情報に応じて、ステップS101~ステップS108,ステップS201~S206、ステップS301~ステップS304及びステップS401~ステップS402の各処理を、腰痛発生推定システム100と同様に実行することができる。
【0190】
なお、学習データセット生成装置1と腰痛発生推定モデル取得装置2と腰痛発生推定装置3と座位状況データ生成モデル取得装置5と腰痛解析装置6との各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0191】
なお、座位状況データと座位状況データに対応する正解データとの対応関係は必ずしも機械学習モデルである必要は無い。対応関係は、座位状況データを座位状況データに対応する正解データに変換する変換を表す写像であってもよい。このような場合、座位状況データを座位状況データに対応する正解データに変換する変換を表す写像は、例えばパラメータを含む予め与えられた関数を、量子アニーリングやゲート方式の量子コンピュータ等の最適化の方法による最適化の結果得られた写像であってもよい。
【0192】
なお、正解データは、腰痛判定期間の開始の時点から終わりの時点までの変化であって、座位状況データが示す重心移動を行う人に期間終了時点以降に腰痛が発生する確率の変化を示す情報であってもよい。
【0193】
(その他、別の観点)
別言すれば、前述の本発明の一つの側面に係る装置、方法、プログラムは、以下のようにも表すことができる。
【0194】
人が椅子に座っている期間である座位期間の長さと、前記椅子に座る前記人の重心の位置の所定の時間変化の仕方である重心移動共通パターンが前記座位期間に出現する回数とを含む情報である座位状況データと、前記座位期間を含む予め定められた所定の期間である腰痛判定期間の開始の時点から終わりの時点までの変化であって前記座位状況データが示す重心移動を行う人に前記終わりの時点以降に腰痛が発生する確率の変化を示す情報である正解データと、に基づき、前記座位状況データと前記座位状況データに対応する正解データとの対応関係を取得する対応関係取得部、を備える腰痛発生推定モデル取得装置である。また、この腰痛発生推定モデル取得装置をコンピュータに機能させるためのプログラムである。
【0195】
また、人が椅子に座っている期間である座位期間の長さと、前記椅子に座る前記人の重心の位置の所定の時間変化の仕方である重心移動共通パターンが前記座位期間に出現する回数とを含む情報である座位状況データと、前記座位期間を含む予め定められた所定の期間である腰痛判定期間の開始の時点から終わりの時点までの変化であって前記座位状況データが示す重心移動を行う人に前記終わりの時点以降に腰痛が発生する確率の変化を示す情報である正解データと、に基づき、前記座位状況データと前記座位状況データに対応する正解データとの対応関係を取得する対応関係取得ステップ、を有する腰痛発生推定方法である。
【0196】
また、上記の腰痛発生推定モデル取得装置であって、前記重心移動共通パターンは、座位期間における人の重心の位置の時間変化を示す時系列を重心移動情報とし、重心移動情報が示す時系列の少なくとも一部の時系列であって単位時間の時系列を単位時間情報とし、前記単位時間情報の集合に対するクラスタリングの結果である各分類を単位分類とし、重心移動情報における前記単位分類の出現の仕方を出現パターンとして、前記重心移動共通パターンは、1又は複数の重心移動情報に出現する出現パターンのうち出現頻度の高さに関する条件である出現頻度条件を満たす出現パターンである。
【0197】
また、上記の腰痛発生推定モデル取得装置であって、前記出現頻度条件は、出現頻度が1番高い出現パターンから出現頻度がN番目(Nは1以上の所定の整数)に高い出現パターンまで、という条件である。
【0198】
また、上記の腰痛発生推定モデル取得装置であって、前記出現パターンは、隠れマルコフ過程を用いて推定された結果である。
【0199】
また、上記の腰痛発生推定モデル取得装置であって、座位状況データと前記座位状況データに対応する正解データとに基づき、機械学習の方法によって得られる。
【0200】
また、本発明の一態様として、人が椅子に座っている期間である座位期間の長さと、前記椅子に座る前記人の重心の位置の所定の時間変化の仕方である重心移動共通パターンが前記座位期間に出現する回数とを含む情報である座位状況データと、前記座位期間を含む予め定められた所定の期間である腰痛判定期間の開始の時点から終わりの時点までの変化であって前記座位状況データが示す重心移動を行う人に前記終わりの時点以降に腰痛が発生する確率の変化を示す情報である正解データと、に基づき、前記座位状況データと前記座位状況データに対応する正解データとの対応関係を取得する対応関係取得部、を備える腰痛発生推定モデル取得装置が取得した前記対応関係を用い、腰痛の発生の予測の対象である解析対象に関する座位状況データに基づいて、腰痛判定期間の終わりの時点以降に前記解析対象に腰痛が発生する確率を推定する推定部を備える腰痛発生推定装置である。
【0201】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0202】
100…腰痛発生推定システム、 1…学習データセット生成装置、 2…腰痛発生推定モデル取得装置、 3…腰痛発生推定装置、 4…センサ、 5…座位状況データ生成モデル取得装置、 6…腰痛解析装置、 11…制御部、 12…通信部、 13…入力部、 14…記憶部、 15…出力部、 101…通信制御部、 102…入力制御部、 103…出力制御部、 104…座位状況データ生成部、 105…学習データ生成部、 106…記録部、 21…制御部、 22…通信部、 23…入力部、 24…記憶部、 25…出力部、 201…通信制御部、 202…入力制御部、 203…出力制御部、 204…学習データセット取得部、 205…対応関係取得部、 206…記録部、 251…腰痛発生推定学習モデル実行部、 252…更新部、 253…終了判定部、 31…制御部、 32…通信部、 33…入力部、 34…記憶部、 35…出力部、 301…通信制御部、 302…入力制御部、 303…出力制御部、 304…解析対象データ取得部、 305…解析対象座位状況データ生成部、 306…推定部、 307…記録部、 51…制御部、 52…通信部、 53…入力部、 54…記憶部、 55…出力部、 501…通信制御部、 502…入力制御部、 503…出力制御部、 504…座位状況データ生成モデル取得部、 505…記録部、 61…制御部、 62…通信部、 63…入力部、 64…記憶部、 65…出力部、 601…通信制御部、 602…入力制御部、 603…出力制御部、 604…解析部、 605…記録部、 91…プロセッサ、 92…メモリ、 93…プロセッサ、 94…メモリ、 95…プロセッサ、 96…メモリ、 97…プロセッサ、 98…メモリ、 99…プロセッサ、 90…メモリ
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