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特開2022-120522配線基板、及び、配線基板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120522
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】配線基板、及び、配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20220810BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K3/46 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017467
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】額賀 理
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB13
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC17
5E316CC18
5E316CC32
5E316CC39
5E316EE31
5E316FF01
5E316GG15
5E316GG28
5E316HH11
5E338AA03
5E338AA16
5E338AA18
5E338CC10
5E338CD02
5E338CD40
5E338EE27
5E338EE28
(57)【要約】
【課題】配線層の縁部において基板にクラックが発生することを防止し、基板から配線層が剥離することを防止し、信頼性の向上に寄与する配線基板と、この配線基板を製造する製造方法とを提供する。
【解決手段】配線基板1Aは、基板10と、第1配線層20と、非接着部40とを備える。第1配線層20は、上面20Tと、側面20Sと、上面20Tの一部と側面20Sの一部との間に形成された縁部20Eとを有し、基板10上に形成されている。第1樹脂層30は、第1配線層20を覆うように基板10上に形成されている。非接着部40は、第1配線層20と第1樹脂層30との間にて第1配線層20の縁部20Eを含む縁領域20Rに形成され、第1配線層20と第1樹脂層30とを非接着とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
上面と、側面と、前記上面の一部と前記側面の一部との間に形成された縁部とを有し、前記基板上に形成された第1配線層と、
前記第1配線層を覆うように前記基板上に形成された第1樹脂層と、
前記第1配線層と前記第1樹脂層との間にて、前記第1配線層の前記縁部を含む領域に形成され、前記第1配線層と前記第1樹脂層とを非接着とする非接着部と、
を備える、
配線基板。
【請求項2】
前記第1樹脂層上に形成された第2樹脂層と、
前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層を貫通するとともに前記第1配線層に電気的に接続された第2配線層と、
を有し、
前記第1樹脂層と前記第2配線層との間、及び、前記第2樹脂層と前記第2配線層との間には、前記非接着部が形成されていない、
請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記非接着部は、金、パラジウム、プラチナからなる群から選択される少なくとも一つの材料を含む金属層である、
請求項1又は請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記非接着部は、フルオロカーボン系ポリマーを含むポリマー層である、
請求項1又は請求項2に記載の配線基板。
【請求項5】
配線基板の製造方法であって、
上面と、側面と、前記上面の一部と前記側面の一部との間に形成された縁部とを有する第1配線層を基板上に形成し、
金、パラジウム、プラチナからなる群から選択される少なくとも一つの材料を含む金属層を、前記第1配線層の前記縁部を含む領域に形成し、
前記第1配線層及び前記金属層を覆うように前記基板上に第1樹脂層を形成し、
前記第1樹脂層を形成した後、加熱処理を行うことによって、前記金属層を、前記第1配線層と前記第1樹脂層とを非接着とする非接着部とする、
配線基板の製造方法。
【請求項6】
配線基板の製造方法であって、
上面と、側面と、前記上面の一部と前記側面の一部との間に形成された縁部とを有する第1配線層を基板上に形成し、
フルオロカーボン系ポリマーを含むポリマー層を、前記第1配線層の前記縁部を含む領域にパターニングによって選択的に形成することによって、前記領域に非接着部を形成し、
前記第1配線層及び前記ポリマー層を覆うように前記基板上に第1樹脂層を形成する、
配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、及び、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、複数の樹脂層と、伝送線路を形成する複数の配線層とが基板上に交互に積層された配線基板を備えるデバイスが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-124223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガラス等の脆弱な材料で基板が形成されている場合、配線層とガラス基板との両方が樹脂層で覆われていると、デバイスの周囲における温度変化により、配線層の縁部における応力が増大する。この応力は、樹脂層とガラス基板との線膨張係数の差異に起因する。この結果、配線層の縁部においてガラス基板にクラックが発生したり、ガラス基板から配線層が剥離したりするという問題があった。このため、配線基板の信頼性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされ、配線層の縁部において基板にクラックが発生することを防止し、基板から配線層が剥離することを防止し、信頼性の向上に寄与する配線基板と、この配線基板を製造する製造方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る配線基板は、基板と、上面と、側面と、前記上面の一部と前記側面の一部との間に形成された縁部とを有し、前記基板上に形成された第1配線層と、前記第1配線層を覆うように前記基板上に形成された第1樹脂層と、前記第1配線層と前記第1樹脂層との間にて、前記第1配線層の前記縁部を含む領域に形成され、前記第1配線層と前記第1樹脂層とを非接着とする非接着部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る配線基板によれば、配線基板が非接着部を備えるので、第1配線層と第1樹脂層とが接着しない状態が維持される。基板及び第1配線層に対して第1樹脂層が相対的に膨張したとしても、線膨張係数の差異に起因する応力が第1配線層の縁部に生じない。したがって、第1配線層の縁部において基板にクラックが発生することを防止し、基板から第1配線層が剥離することを防止し、配線基板の信頼性が向上する。
【0008】
本発明の一態様に係る配線基板は、前記第1樹脂層上に形成された第2樹脂層と、前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層を貫通するとともに前記第1配線層に電気的に接続された第2配線層と、を有する。前記第1樹脂層と前記第2配線層との間、及び、前記第2樹脂層と前記第2配線層との間には、前記非接着部が形成されていなくてもよい。
【0009】
本発明の一態様に係る配線基板においては、前記非接着部は、金、パラジウム、プラチナからなる群から選択される少なくとも一つの材料を含む金属層であってもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る配線基板においては、前記非接着部は、フルオロカーボン系ポリマーを含むポリマー層であってもよい。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る配線基板の製造方法は、上面と、側面と、前記上面の一部と前記側面の一部との間に形成された縁部とを有する第1配線層を基板上に形成し、金、パラジウム、プラチナからなる群から選択される少なくとも一つの材料を含む金属層を、前記第1配線層の前記縁部を含む領域に形成し、前記第1配線層及び前記金属層を覆うように前記基板上に第1樹脂層を形成し、前記第1樹脂層を形成した後、加熱処理を行うことによって、前記金属層を、前記第1配線層と前記第1樹脂層とを非接着とする非接着部とする。
【0012】
本発明の一態様に係る配線基板の製造方法によれば、第1樹脂層を形成した後に加熱処理を行うことによって、第1配線層と第1樹脂層とを非接着とする非接着部を形成することができる。このため、第1配線層と第1樹脂層とが接着しない状態が維持される。したがって、上述した本発明の一態様に係る配線基板と同様の効果が得られる。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る配線基板の製造方法は、上面と、側面と、前記上面の一部と前記側面の一部との間に形成された縁部とを有する第1配線層を基板上に形成し、フルオロカーボン系ポリマーを含むポリマー層を、前記第1配線層の前記縁部を含む領域にパターニングによって選択的に形成することによって、前記領域に非接着部を形成し、前記第1配線層及び前記ポリマー層を覆うように前記基板上に第1樹脂層を形成する。
【0014】
本発明の一態様に係る配線基板の製造方法によれば、ポリマー層をパターニングすることによって、第1配線層の縁部を含む領域に非接着部を選択的に形成することができる。この非接着部は、第1配線層と第1樹脂層とを非接着とする。このため、第1配線層と第1樹脂層とが接着しない状態が維持される。したがって、上述した本発明の一態様に係る配線基板と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記態様によれば、配線層の縁部において基板にクラックが発生することを防止し、基板から配線層が剥離することを防止し、信頼性の向上に寄与する配線基板と、この配線基板を製造する製造方法とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る配線基板を示す拡大断面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る配線基板を示す拡大断面図である。
図3A】本発明の第2実施形態に係る配線基板を製造する製造方法を説明するための拡大断面図である。
図3B】本発明の第2実施形態に係る配線基板を製造する製造方法を説明するための拡大断面図である。
図3C】本発明の第2実施形態に係る配線基板を製造する製造方法を説明するための拡大断面図である。
図4A】本発明の第2実施形態に係る配線基板を製造する製造方法を説明するための拡大断面図である。
図4B】本発明の第2実施形態に係る配線基板を製造する製造方法を説明するための拡大断面図である。
図4C】本発明の第2実施形態に係る配線基板を製造する製造方法を説明するための拡大断面図である。
図5A】本発明の第2実施形態に係る配線基板を製造する製造方法を説明するための拡大断面図である。
図5B】本発明の第2実施形態に係る配線基板を製造する製造方法を説明するための拡大断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る配線基板を示す拡大断面図である。
図7A】本発明の第3実施形態に係る配線基板を製造する製造方法を説明するための拡大断面図である。
図7B】本発明の第3実施形態に係る配線基板を製造する製造方法を説明するための拡大断面図である。
図7C】本発明の第3実施形態に係る配線基板を製造する製造方法を説明するための拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る配線基板について、図面を参照して詳細に説明する。
以下の説明で用いる図面は、各構成要素を図面上で認識し得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法及び比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0018】
本発明の実施形態に係る配線基板は、例えば、インターポーザーや、高周波部品等のデバイスを構成する配線基板に用いられる。
【0019】
(第1実施形態に係る配線基板)
(配線基板の構造)
図1に示すように、第1実施形態に係る配線基板1Aは、基板10と、第1配線層20と、第1樹脂層30と、非接着部40とを有する。
【0020】
(基板)
基板10は、ガラス、セラミックス等の誘電体で構成されている。基板10の構成材料としては、石英ガラスなどのガラスが好適である。
基板10の鉛直方向から見て、基板10は、第1配線層20が形成されている配線形成領域10Wと、第1配線層20が形成されていない非配線形成領域10Hとを有する。
【0021】
(第1配線層)
第1配線層20は、基板10上に形成されている。第1配線層20は、上面20Tと、側面20Sと、上面20Tの一部と側面20Sの一部との間に形成された縁部20Eを有する。ここで、縁部20Eは、上面20Tの一部と側面20Sの一部とによって形成された角部であってもよい。この場合、角部は、丸みを有する形状であってもよい。また、縁部20Eは、上面20Tの一部と側面20Sの一部とが交わる部位、あるいは、上面20Tの一部と側面20Sの一部との境界部分と称されてもよい。
換言すると、第1配線層20は、縁部20Eを含む縁領域20R(領域)を有する。
第1配線層20は、導電性材料、例えば、銅、銀、これらの合金などの金属で構成される。
【0022】
(第1樹脂層)
第1樹脂層30は、絶縁性を有する樹脂材料、例えば、ポリイミド、エポキシ樹脂等の有機物で構成されている。第1樹脂層30は、第1配線層20を覆うように基板10上に形成されている。
第1樹脂層30には、第1樹脂層30を貫通するとともに第1配線層20の上面20Tを露出させる第1貫通孔30Pが形成されている。この第1貫通孔30Pには、後述するように、ビルドアップ配線群21を構成する第1貫通導体22が形成される。第1樹脂層30の上面30Tには、後述するように、第2樹脂層31が形成される。
【0023】
(非接着部)
非接着部40は、第1配線層20と第1樹脂層30との間に位置する。非接着部40は、第1配線層20の縁領域20Rに形成されており、第1配線層20と第1樹脂層30とを非接着とする。
本実施形態において、非接着部40は、金、パラジウム、プラチナからなる群から選択される少なくとも一つの材料を含む金属層で構成されている。
【0024】
ここで、非接着部40とは、第1配線層20と第1樹脂層30とを互いに接着させない部位(層)であり、第1配線層20と第1樹脂層30との非接着状態を維持する部位(層)である。換言すると、非接着部40は、第1配線層20と第1樹脂層30との間に接着力を生じさせない機能を有する層である。つまり、非接着部40は、接着力非活性層であり、非接着部40は、第1樹脂層30に生じる応力を第1配線層20に作用させない部位(層)である。
【0025】
非接着部40は、端面非接着部40Aと上面非接着部40Bとを有する。
端面非接着部40Aは、第1配線層20の側面20S(端面)と、基板10上に設けられた第1樹脂層30との間に形成されている。端面非接着部40Aは、基板10の配線形成領域10Wと非配線形成領域10Hとの間の境界に位置する。上面非接着部40Bは、第1配線層20の上面20Tと、第1配線層20の上面20Tに積層された第1樹脂層30との間に形成されている。
【0026】
なお、図1に示す構造では、第1配線層20の側面20S及び端面非接着部40Aは、基板10の表面に対して垂直に形成されているが、側面20S及び端面非接着部40Aは、基板10の表面に対して傾斜してもよい。基板10の表面に対する側面20Sの傾斜角は、第1配線層20をエッチングする際の処理条件などによって変更可能である。
【0027】
次に、以上のように構成された第1実施形態に係る配線基板1Aの作用及び効果について説明する。
第1実施形態によれば、配線基板1Aが非接着部40を備えるので、第1配線層20と第1樹脂層30とが接着しない状態が維持される。このため、配線基板1Aを備える高周波部品等のデバイスの使用環境において温度変化が生じた際、基板10及び第1配線層20に対して第1樹脂層30が相対的に膨張したとしても、線膨張係数の差異に起因する応力が第1配線層20の縁部20Eに生じない。したがって、第1配線層20の縁部20Eにおいて基板10にクラックが発生することを防止し、基板10から第1配線層20が剥離することを防止し、配線基板1Aの信頼性が向上する。
【0028】
(第2実施形態に係る配線基板)
(配線基板の構造)
図2に示すように、第2実施形態に係る配線基板1Bは、上述した第1実施形態に係る配線基板1Aを構成する基板10、第1配線層20、第1樹脂層30、及び非接着部40を備える。さらに、配線基板1Bは、ビルドアップ配線群21、第2樹脂層31、及び第3樹脂層32を有する。
つまり、図2に示す配線基板1Bは、複数の配線層と複数の樹脂層とが交互に積層されて構成されたビルドアップ構造を有する。
図2において、第1実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0029】
(第2樹脂層及び第3樹脂層)
第2樹脂層及び第3樹脂層を構成する材料は、第1樹脂層を構成する材料と同様である。
第2樹脂層31は、第1樹脂層30の上面30Tに積層されている。第2樹脂層31には、第2樹脂層31を貫通する第2貫通孔31Pが形成されている。
第3樹脂層32は、第2樹脂層31の上面31Tに積層されている。第3樹脂層32には、第3樹脂層32を貫通する第3貫通孔32Pが形成されている。
図2に示す例では、基板10の鉛直方向において、第1貫通孔30Pの位置と第2貫通孔31Pの位置とが一致している。第2貫通孔31Pの位置と第3貫通孔32Pの位置とがずれている。
【0030】
(ビルドアップ配線群)
ビルドアップ配線群21は、第1貫通導体22、第2配線層23、第2貫通導体24、及び第3配線層25によって構成されている。ビルドアップ配線群21は、第1配線層20と同様に、導電性材料、例えば、銅、銀、これらの合金などの金属で構成される。
【0031】
第1貫通導体22は、第1貫通孔30Pの内部を埋めるように形成され、第1配線層20に電気的に接続されている。
第2配線層23は、第1樹脂層30の上面30Tに形成され、第1貫通導体22に電気的に接続されている。
【0032】
第2貫通導体24は、第2貫通孔31Pの内部を埋めるように形成され、第2配線層23に電気的に接続されている。
第3配線層25は、第2樹脂層31の上面31Tに形成され、第2貫通導体24に電気的に接続されている。
つまり、ビルドアップ配線群21は、第1樹脂層30及び第2樹脂層31を貫通するとともに第1配線層20に電気的に接続されている。
【0033】
図2に示す例では、第3配線層25は第3貫通孔32Pによって開口しているが、第3配線層25は第3貫通孔32Pに埋め込まれた貫通導体(不図示)と電気的に接続されてもよい。
【0034】
(非接着部)
第2実施形態に係る非接着部40は、上述した第1実施形態と同様の構成を有する。つまり、非接着部40は、第1配線層20と第1樹脂層30との間に位置する。非接着部40は、第1配線層20の縁領域20Rに形成されており、第1配線層20と第1樹脂層30とを非接着とする。特に、第1樹脂層30と第2配線層23との間、第2樹脂層31と第2配線層23との間、第2樹脂層31と第3配線層25との間、及び第3樹脂層32と第3配線層25との間には、非接着部は形成されていない。
【0035】
(第2実施形態に係る配線基板の製造方法)
次に、図3A図5Bを参照し、第2実施形態に係る配線基板1Bの製造方法を説明する。なお、第2実施形態に係る配線基板1Bを構成する第1配線層20、第1樹脂層30、ビルドアップ配線群21、第2樹脂層31、及び第3樹脂層32の形成方法としては、成膜工程やマスクを介したエッチング工程等の公知のパターニング方法が採用される。このため、各層の説明において、各層を形成する形成方法は省略する。
【0036】
まず、図3Aに示すように、基板10上に、縁部20Eを有する第1配線層20を形成する。第1配線層20の縁部20Eは、上面20Tの一部と側面20Sの一部との間に形成された部位である。
【0037】
次に、図3Bに示すように、第1配線層20の縁部20Eを含む縁領域20Rに金属層(非接着部40)を形成する。ここで、金属層は、金、パラジウム、プラチナからなる群から選択される少なくとも一つの材料を含む。
【0038】
次に、図3Cに示すように、第1配線層20及び金属層を覆うように基板10上に第1樹脂層30を形成する。第1樹脂層30は、第1配線層20の位置に対応する位置に形成された第1貫通孔30Pを有する。
【0039】
次に、図4Aに示すように、第1樹脂層30の上面30Tの一部を覆う第2配線層23と、第1貫通孔30Pに埋め込まれた第1貫通導体22とを形成する。第2配線層23及び第1貫通導体22は、第1配線層20と電気的に接続される。
【0040】
次に、図4Bに示すように、第1樹脂層30及び第2配線層23を覆うように第2樹脂層31を形成する。第2樹脂層31は、第1貫通導体22の位置に対応する位置に形成された第2貫通孔31Pを有する。
【0041】
次に、図4Cに示すように、第2樹脂層31の上面31Tの一部を覆う第3配線層25と、第2貫通孔31Pに埋め込まれた第2貫通導体24とを形成する。第3配線層25及び第2貫通導体24は、第1貫通導体22と電気的に接続される。
【0042】
次に、図5Aに示すように、第2樹脂層31及び第3配線層25を覆うように第3樹脂層32を形成する。第3樹脂層32は、鉛直方向から見て、第2貫通導体24の位置からずれた位置に形成された第3貫通孔32Pを有する。
【0043】
次に、図5Bに示すように、第3樹脂層32が形成された後、すなわち、第1樹脂層30が形成された後、加熱処理を行う。つまり、3つの樹脂層30、31、32が加熱される。このとき、第1樹脂層30が加熱され、第1樹脂層30と金属層との間の界面において第1樹脂層30に熱応力が生じる。これにより、金属層と第1樹脂層30とを非接着とする。加熱処理としては、公知の加熱方法が採用される。
【0044】
これによって、第1配線層20と第1樹脂層30との間にて、第1配線層20の縁部20Eを含む縁領域20Rに、第1配線層20と第1樹脂層30とを非接着とする非接着部40が形成される。
【0045】
次に、以上のように構成された第2実施形態に係る配線基板1Bの作用及び効果について説明する。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、配線基板1Bが金属層で構成された非接着部40を備えるので、第1配線層20の縁部20Eと第1樹脂層30とが接着しない状態が維持される。このため、配線基板1Bを備える高周波部品等のデバイスの使用環境において温度変化が生じた際、基板10及び第1配線層20に対して第1樹脂層30が相対的に膨張したとしても、線膨張係数の差異に起因する応力が第1配線層20の縁部20Eに生じない。したがって、第1配線層20の縁部20Eにおいて基板10にクラックが発生することを防止し、基板10から第1配線層20が剥離することを防止し、配線基板1Bの信頼性が向上する。
【0046】
さらに、第2実施形態によれば、第1樹脂層30と第2配線層23との間、第2樹脂層31と第2配線層23との間、第2樹脂層31と第3配線層25との間、及び第3樹脂層32と第3配線層25との間には、非接着部は形成されていない。このため、非接着部を形成する工程を削減することができる。
特に、第1樹脂層30が形成された後に加熱処理を行うだけで、非接着部40を容易に形成することができ、配線基板1Bの内部に非接着部40を形成するための複雑な工程が不要となる。
【0047】
(第3実施形態に係る配線基板)
(配線基板の構造)
図6に示すように、第3実施形態に係る配線基板1Cは、上述した第2実施形態と同様に、第1配線層20、第1樹脂層30、ビルドアップ配線群21、第2樹脂層31、及び第3樹脂層32が基板10上に積層された構造を有する。
つまり、図6に示す配線基板1Cは、複数の配線層と複数の樹脂層とが交互に積層されて構成されたビルドアップ構造を有する。
ただし、第3実施形態に係る配線基板1Cは、非接着部の構成の点で、第2実施形態に係る配線基板1Bとは相違する。
図2において、第1実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0048】
(第3実施形態に係る非接着部)
第3実施形態に係る非接着部40は、フルオロカーボン系ポリマーを含むポリマー層で構成されている。フルオロカーボン系ポリマーの具体例として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene,PTFE)といった材料が挙げられる。このポリマー層は、第1配線層20の縁部20Eを含む縁領域20Rに形成されている。
【0049】
(第3実施形態に係る配線基板の製造方法)
次に、図7A図7Cを参照し、第3実施形態に係る配線基板1Cの製造方法を説明する。なお、第3実施形態に係る配線基板1Cを構成する第1配線層20、第1樹脂層30、ビルドアップ配線群21、第2樹脂層31、及び第3樹脂層32の形成方法としては、成膜工程やマスクを介したエッチング工程等の公知のパターニング方法が採用される。このため、各層の説明において、各層を形成する形成方法は省略する。
【0050】
まず、図7Aに示すように、基板10上に、縁部20Eを有する第1配線層20を形成する。
【0051】
次に、図7Bに示すように、フルオロカーボン系ポリマーを含む材料を第1配線層20の上面を含む基板10の全面に成膜する。これによって、基板10の全面にポリマー全面膜42Eを形成する。
【0052】
次に、図7Cに示すように、第1配線層20の縁部20Eを含む縁領域20Rにポリマー層(非接着部40)を選択的に形成するために、ポリマー全面膜42Eにパターニングを施す。これによって、第1配線層20の縁部20Eを含む縁領域20Rにポリマー層からなる非接着部40が選択的に形成される。
【0053】
ポリマー層からなる非接着部40の形成方法について、具体的に説明する。
まず、縁部20Eを含む縁領域20Rが遮蔽されるように開口されたパターンを有するマスクを準備する。
次に、このマスクを介して、ポリマー全面膜42Eに対してArガスを用いたプラズマ処理を施す。これによって、開口パターンに対応するパターンを有するポリマー層、すなわち、非接着部40が形成される。
【0054】
なお、本発明において、パターニングによってポリマー層を形成する方法(非接着部40を形成する方法)は、プラズマ処理に限定されず、マスクを介した紫外線照射処理をポリマー全面膜42Eに施すことにより、ポリマー層をパターニングしてもよい。
なお、第1配線層20の縁部20Eを含む縁領域20Rにポリマー層を形成することが可能であれば、上述したパターニング方法以外の方法が採用されてもよい。
【0055】
その後、上述した第2実施形態と同様に、図3C図5Bに示す工程が行われる。
すなわち、ポリマー層からなる非接着部40が形成された第1配線層20を覆うように、第1貫通孔30Pを有する第1樹脂層30が形成される。
その後、第2配線層23及び第1貫通導体22の形成、第2貫通孔31Pを有する第2樹脂層31の形成、第3配線層25及び第2貫通導体24の形成、及び第3貫通孔32Pを有する第3樹脂層32の形成が、順次、行われる。
【0056】
次に、以上のように構成された第3実施形態に係る配線基板1Cの作用及び効果について説明する。
第3実施形態によれば、配線基板1Cがポリマー層で構成された非接着部40を備えるので、第1配線層20の縁部20Eと第1樹脂層30とが接着しない状態が維持される。このため、配線基板1Cを備える高周波部品等のデバイスの使用環境において温度変化が生じた際、基板10及び第1配線層20に対して第1樹脂層30が相対的に膨張したとしても、線膨張係数の差異に起因する応力が第1配線層20の縁部20Eに生じない。したがって、第1配線層20の縁部20Eにおいて基板10にクラックが発生することを防止し、基板10から第1配線層20が剥離することを防止し、配線基板1Cの信頼性が向上する。
【0057】
さらに、第3実施形態によれば、第1樹脂層30と第2配線層23との間、第2樹脂層31と第2配線層23との間、第2樹脂層31と第3配線層25との間、及び第3樹脂層32と第3配線層25との間には、非接着部は形成されていない。このため、非接着部を形成する工程を削減することができる。
特に、第1配線層20が形成された後に、パターニングによってポリマー層を形成するだけで、配線基板1Cに非接着部40を容易に形成することができる。このため、配線基板1Cの内部に非接着部40を形成するための複雑な工程が不要となる。
【0058】
特に、第2実施形態とは異なり、第3実施形態においては3つの樹脂層30、31、32を形成した後に、加熱処理を行っていない。したがって、熱履歴による素子劣化が生じやすい機能素子が配線基板1Cに形成されている構成では、機能素子に対する熱履歴を低減することができ、機能素子の劣化を防止できるという効果が得られる。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明し、上記で説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、及びその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0060】
1A、1B、1C…配線基板、10…基板、10H…非配線形成領域、10W…配線形成領域、20…第1配線層、20E…縁部、20R…縁領域、20S…側面、20T…上面、21…ビルドアップ配線群、22…第1貫通導体、23…第2配線層、24…第2貫通導体、25…第3配線層、30…第1樹脂層、30P…第1貫通孔、30T…上面、31…第2樹脂層、31P…第2貫通孔、31T…上面、32…第3樹脂層、32P…第3貫通孔、40…非接着部(金属層、ポリマー層)、40A…端面非接着部、40B…上面非接着部、42E…ポリマー全面膜
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C