(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120559
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】電子カルテ
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20220810BHJP
G16Y 20/40 20200101ALI20220810BHJP
【FI】
G16H10/60
G16Y20/40
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017526
(22)【出願日】2021-02-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】519317479
【氏名又は名称】株式会社ヘンリー
(74)【代理人】
【識別番号】100117226
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 俊一
(72)【発明者】
【氏名】岩永 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】逆瀬川 光人
(72)【発明者】
【氏名】林 太郎
(72)【発明者】
【氏名】関沢 恵介
(72)【発明者】
【氏名】坂口 諒
(72)【発明者】
【氏名】小貫 陽介
(72)【発明者】
【氏名】嶺野 匡史
(72)【発明者】
【氏名】松本 知磨
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】診療テキスト情報や診療報酬点数関連情報を、自由に好きな場所に記入可能とし、記入した情報を効果的に分類・整理して記入者の煩雑さを抑えて使いやすくした電子カルテを提供する。
【解決手段】診療テキスト情報及び診療報酬点数関連情報を含む各種情報を表示画面の単一のカルテ部に入力する入力部と、その各種情報をカルテ部に表示する表示部と、その各種情報と既に記録された記録情報とを照合して紐付けるか否かを判断する照合部とを有する電子カルテであって、システムの入力部は、各種情報をカルテ部内のいずれの位置にも記載可能である。照合部は、各種情報と記録情報とが紐付かない場合にはそのまま表示し、紐付く場合には紐付いた各種情報の関連項目一覧が表示されて関連項目一覧から該当する関連項目が選択されて表示する。表示部は、メモ情報としての診療テキスト情報と、ブロック化して整理された診療報酬点数関連情報とに表示する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキスト情報である診療テキスト情報及び診療報酬点数に関連する情報である診療報酬点数関連情報を含む各種情報を表示画面内の単一のカルテ部に入力する入力手段と、入力された前記各種情報を前記カルテ部に表示する表示手段と、入力された前記各種情報と記録装置に既に記録された記録情報とを照合して紐付けるか否かを判断する照合手段と、を有する電子カルテであって、
前記入力手段は、前記各種情報を前記カルテ部内のいずれの位置にも記載可能であり、
前記照合手段は、前記各種情報と前記記録情報とが紐付かない場合には前記各種情報をそのまま表示し、前記各種情報と前記記録情報とが紐付く場合には紐付いた各種情報の関連項目一覧が表示されて該関連項目一覧から該当する関連項目が選択されて表示し、
前記表示手段は、入力された前記各種情報を、メモ情報としての前記診療テキスト情報と、ブロック化して整理された前記診療報酬点数関連情報とに必要に応じて区分けして表示する、ことを特徴とする電子カルテ。
【請求項2】
前記表示手段は、前記診療テキスト情報と前記診療報酬点数関連情報とを分類する処理部を有する、請求項1に記載の電子カルテ。
【請求項3】
前記関連項目一覧は、前記診療報酬点数関連情報となる情報に対応した項目を少なくとも有する、請求項1又は2に記載の電子カルテ。
【請求項4】
前記診療報酬点数関連情報は、前記カルテ部では入力された前記診療報酬点数関連情報に基づいて診療行為、医薬品及び特定器材の少なくとも3つに分類されて表示され、
前記表示画面を前記カルテ部を含む画面から会計画面に遷移させた場合において、前記分類された診療報酬点数関連情報は、該会計画面において、国の診療報酬識別ルールに基づいて再分類されて表示される、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子カルテ。
【請求項5】
前記表示画面を前記カルテ部を含む画面から会計画面に遷移させた場合において、前記診療報酬点数関連情報となる情報に対応した項目は、最適な保険組み合わせごとに及び/又は診療報酬に適した区分ごとに自動的に分類し整理して集計し表示する会計画面表示処理部を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子カルテ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カルテに関する。さらに詳しくは、電子カルテに入力する診療テキスト情報や診療報酬点数関連情報を、自由に好きな場所に記入可能とし、記入した情報を効果的に分類・整理して記入者の煩雑さを抑えて使いやすくした電子カルテに関する。
【背景技術】
【0002】
電子カルテは、診療情報を記入して、電子情報として編集・管理し、データベースに記録するシステムである。電子カルテには、症状その他の診断内容、処置内容、処方薬剤、病名、検査内容、検査器材等、様々な情報が入力される。こうした電子カルテについては、従来から様々なシステムが提案されている(例えば特許文献1,2等)。
【0003】
症状その他の診断内容等は電子カルテに記入されるが、従来の電子カルテは、ディスプレイ上に記入項目が細かく区分けされており、記入したい内容は、該当する項目欄にカーソルを移動して記入することになっている。例えば、上記した症状その他の診断内容、処置内容、処方薬剤、病名、検査内容、検査器材等は、それぞれディスプレイ上の指定された欄に記入することになっており、記入者は記入する度にカーソルを所定位置に移動して記入していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-304466号公報
【特許文献2】特開2020-21339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、指定された欄に記入しなければならないため、記入の度にそうした欄にカーソルを移動しなければならず、かなり煩雑な操作を日々行っているのが現状であり、一連の流れで記入できない非効率さを伴っていた。本発明者は、こうした課題を解決する電子カルテの開発を進めている過程で、さらに、カルテ編集の自由度をより一層増すことができるように様々な検討を行った。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、電子カルテに入力する診療テキスト情報や診療報酬点数関連情報を、自由に好きな場所に記入可能とし、記入した情報を効果的に分類・整理し、煩雑さを抑えて使いやすくした電子カルテを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る電子カルテは、テキスト情報である診療テキスト情報及び診療報酬点数に関連する情報である診療報酬点数関連情報を含む各種情報を表示画面内の単一のカルテ部に入力する入力手段と、入力された前記各種情報を前記カルテ部に表示する表示手段と、入力された前記各種情報と記録装置に既に記録された記録情報とを照合して紐付けるか否かを判断する照合手段と、を有する電子カルテであって、
前記入力手段は、前記各種情報を前記カルテ部内のいずれの位置にも記載可能であり、
前記照合手段は、前記各種情報と前記記録情報とが紐付かない場合には前記各種情報をそのまま表示し、前記各種情報と前記記録情報とが紐付く場合には紐付いた各種情報の関連項目一覧が表示されて該関連項目一覧から該当する関連項目が選択されて表示し、
前記表示手段は、入力された前記各種情報を、メモ情報としての前記診療テキスト情報と、ブロック化して整理された前記診療報酬点数関連情報とに必要に応じて区分けして表示する、ことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、(a)入力手段は各種情報をカルテ部内のいずれの位置にも記載可能であるので、記入者は表示画面のカルテ部内の好きな場所に自由に記入することができる。その結果、指定された欄にカーソルを移動して記入しなければならないという従来の煩雑さが解消され、一連の流れで自由に記入することができる。(b)入力した各種情報と予め記憶された記録情報とが紐付かない場合にはテキスト情報がそのまま表示され、テキスト情報と予め記憶された記録情報とが紐付く場合にはテキスト情報の関連項目一覧から該当する関連項目が選択されてテキスト情報に相当する関連項目が表示されるので、記入者は診療内容を好きな箇所に自由に記載できる。(c)表示画面には、入力された各種情報が、メモ情報としての診療テキスト情報と、ブロック化して整理された診療報酬点数関連情報とに必要に応じて区分けして表示されるので、単一のカルテ部内にグルーピングされた区分け状態で見やすく表示される。本発明では(b)(c)の機能を有するので、(a)の自由な入力を、その後のカルテ部内の分類・整理を気にすることなく行うことができる。なお、診療報酬点数関連情報は、診療行為、特定器材、医薬品等が含まれる。
【0009】
(2)本発明に係る電子カルテにおいて、前記表示手段は、前記診療テキスト情報と前記診療報酬点数関連情報とを分類する処理部を有する。
【0010】
この発明によれば、処理部を有するので、入力された各種情報をメモ情報としての診療テキスト情報とブロック化して整理された診療報酬点数関連情報とに区分けして表示することができる。したがって、記入者が自由な位置に記入した場合でも、最終的に分類整理して表示することができる。
【0011】
(3)本発明に係る電子カルテにおいて、前記関連項目一覧は、前記診療報酬点数関連情報となる情報に対応した項目を少なくとも有する。
【0012】
この発明によれば、関連項目一覧は診療報酬点数関連情報となる情報に対応した項目を少なくとも有するので、入力した診療内容のうち、診療報酬、調剤報酬、訪問看護療養費等の保険適用診療報酬と、それ以外の保険適用外診療報酬とを含む会計関連情報(医科診療報酬、歯科診療報酬、介護報酬等の保険適用診療報酬と、それ以外の保険適用外療養費とを含む。)とを、項目から選択してカルテ部内に表示することができる。その結果、自由に記載した各種情報から会計関連情報としてカルテ部内に表示することができる。
【0013】
(4)本発明に係る電子カルテにおいて、前記診療報酬点数関連情報は、前記カルテ部では入力された前記診療報酬点数関連情報に基づいて診療行為、医薬品及び特定器材の少なくとも3つに分類されて表示され、前記表示画面を前記カルテ部を含む画面から会計画面に遷移させた場合において、前記分類された診療報酬点数関連情報は、該会計画面において、国の診療報酬識別ルールに基づいて再分類されて表示される。
【0014】
この発明によれば、診療報酬点数関連情報は、カルテ部では入力された診療報酬点数関連情報に基づいて診療行為、医薬品及び特定器材の少なくとも3つに分類されて表示されるので、医師、看護師等の医療スタッフにとっての情報として便利である。一方、会計画面に遷移させた場合においては、診療報酬点数関連情報が国の診療報酬識別ルールに基づいて再分類されて表示されるので、会計処理を行うスタッフ等にとって便利である。
【0015】
(5)本発明に係る電子カルテにおいて、前記表示画面を前記カルテ部を含む画面から会計画面に遷移させた場合において、前記診療報酬点数関連情報となる情報に対応した項目は、最適な保険組み合わせごとに及び/又は診療報酬に適した区分ごとに自動的に分類し整理して集計し表示する会計画面表示処理部を有する。
【0016】
カルテ部の画面は医療スタッフに医師が指示を出すための分類で整理されていることが好ましいが、会計画面では点数計算が可能且つ容易な分類になっていることが望ましい。これら2つの分類は目的やその内容が異なるが、その上でカルテ部で分類された表示内容から、会計画面での分類を点数計算ルールや適切な類推アルゴリズムに基づき自動的に導き出すことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電子カルテに入力する診療テキスト情報や診療報酬点数関連情報を、自由に好きな場所に記入可能とし、記入した情報を効果的に分類・整理し、煩雑さを抑えて使いやすくした電子カルテを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る電子カルテの概要説明図である。
【
図2】本発明に係る電子カルテの基本的なシステム構成図である。
【
図3】本発明に係る電子カルテの表示画面の一例であり、カルテ部(カルテ編集エリア)の説明図である。
【
図5】カルテ部に記載した内容と、その記載内容に応じた項目一覧が表示された一例である。
【
図6】選択された項目の関連事項がさらに表示され、その中から選択する場合の一例である。
【
図7】項目を選択した後に表示されたカルテ部の一例である
【
図8】新しいテンプレートを挿入して診療情報を記入する場合の一例である。
【
図9】テンプレートに種々の診療情報を記入する場合に、その記入内容に応じた項目一覧が表示される一例である。
【
図10】本発明に係る電子カルテ全体のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る電子カルテについて、図面を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範圍に含まれる他の形態、変形例、応用例を包含する。
【0020】
本発明に係る電子カルテは、
図1及び
図2に示すように、テキスト情報である診療テキスト情報及び診療報酬点数に関連する情報である診療報酬点数関連情報を含む各種情報を表示画面内の単一のカルテ部に入力する入力手段と、入力された前記各種情報を前記カルテ部に表示する表示手段と、入力された前記各種情報と記録装置に既に記録された記録情報とを照合して紐付けるか否かを判断する照合手段と、を有する。
【0021】
そして、その特徴は、入力手段については、各種情報をカルテ部内のいずれの位置にも記載可能であり、照合手段については、各種情報と記録情報とが紐付かない場合には各種情報をそのまま表示し、各種情報と記録情報とが紐付く場合には紐付いた各種情報の関連項目一覧が表示されてその関連項目一覧から該当する関連項目が選択されて表示し、表示手段については、入力された各種情報を、メモ情報としての診療テキスト情報と、ブロック化して整理された前記報酬点数関連情報とに必要に応じて区分けして表示する、ことにある。
【0022】
こうした電子カルテは、(a)入力手段は各種情報をカルテ部内のいずれの位置にも記載可能であるので、記入者は表示画面のカルテ部内の好きな場所に自由に記入することができる。その結果、指定された欄にカーソルを移動して記入しなければならないという従来の煩雑さが解消され、一連の流れで自由に記入することができる。(b)入力した各種情報と予め記憶された記録情報とが紐付かない場合にはテキスト情報がそのまま表示され、テキスト情報と予め記憶された記録情報とが紐付く場合にはテキスト情報の関連項目一覧から該当する関連項目が選択されてテキスト情報に相当する関連項目が表示されるので、記入者は診療内容を好きな箇所に自由に記載できる。(c)表示画面には、入力された各種情報が、メモ情報としての診療テキスト情報と、ブロック化して整理された診療報酬点数関連情報とに必要に応じて区分けして表示されるので、単一のカルテ部内にグルーピングされた区分け状態で見やすく表示される。本発明では(b)(c)の機能を有するので、(a)の自由な入力を、その後のカルテ部内の分類・整理を気にすることなく行うことができる。
【0023】
以下、本発明に係る電子カルテの構成要素を詳しく説明する。
【0024】
[全体構成]
本発明に係る電子カルテは、
図10に示すように、その全体構成として、入力部(入力手段ともいう。)と表示部(表示手段ともいう。)を含む利用部(アプリケーション)と、照合部(照合手段ともいう。)を含むサーバーと、患者・施設情報・カルテ情報等を保存する第1保存部(第1保存手段ともいう。)及び診療情報等を保存する第2保存部(第2保存手段ともいう。)を含むデータベースとを備えている。利用部は、通常は、端末装置等として医療機関の診療現場に設置されているか、端末装置等上のアプリケーションやWEBブラウザで入力を行い、サーバーとデータベースにデータを保存して運用される。
【0025】
利用部は、受付画面、カルテ部を含む画面、会計画面等、表示されている画面及び入力できる画面全部を備える端末装置等であり、少なくともディスプレイと入力装置とを有する。サーバーは、カルテ部に記載された入力情報を受けて、診療情報を類推する照合部を有し、照合した類推項目をカルテ部に表示する。また、サーバーは、カルテ部に表示された情報から、会計項目を類推する照合部を有し、照合した会計項目を会計画面に表示する。データベースには、照合部で類推するために基礎情報(診療情報や会計情報)が予め記憶されている。
【0026】
[入力部(入力手段)]
入力部は、
図1に示すように、診療テキスト情報と、診療報酬点数関連情報(診療行為、特定器材、医薬品等)とを含む各種情報を、単一のカルテ部に入力する部分である。具体的には、一般的な手入力キーボード、表示画面を共有するタッチペン形タブレット、音声入力等の1又は2以上の入力手段で構成することができる。また、
図4に示すように、記入箇所を表示画面のカルテ部内の所定箇所に特定するため、カーソルを動作させるマウス又はマウスと同様の機能を持つ部品が用いられる。
【0027】
こうした入力部により、記入箇所を特定するカーソルをカルテ部内の任意に位置に移動し、その位置に各種情報を記載することができる。したがって、本発明に係る電子カルテでは、カルテ部内のいずれの位置にも各種情報を記載可能であり、従来のように指定された欄にカーソルを移動して記入しなければならないという煩雑さが解消され、カルテ部内の好きな場所に、一連の流れで自由に記入することができる。
【0028】
なお、「単一のカルテ部」とは、カルテに入力するエリアが一つであることを意味している。従来の電子カルテでは、上記した診療テキスト情報と診療報酬点数関連情報とをそれぞれのカルテ部に記入しており、記入者は記入箇所が制約されて自由に記載ができず、診療時の一連の流れの中での記載ができていなかった。
【0029】
[表示部(表示手段)]
表示部は、入力された各種情報をカルテ部に表示するものであり、入力された各種情報を、メモ情報としての診療テキスト情報と、ブロック化して整理された診療報酬点数関連情報とに必要に応じて区分けして表示する。詳しくは、
図2に示すように、カルテ部を含む表示画面においては、画面診断の際に入力したテキスト情報をそのまま表示する表示部と、診断情報が分類して区分けされた複数の表示部とを有している。一方、カルテ部を含む表示画面から会計画面に遷移した後は、会計処理目的で再分類された会計画面が表示される。会計画面は、カルテ部を含む表示画面に分類表示されている複数の診断情報を、保険・診断点数情報に再分類する処理部を備え、その処理部によって、会計処理目的で再分類されて表示される。本願において、「必要に応じて区分け」とは、そうした区分けは任意に選択できる手段であり、必須ではないが、好ましくは区分けされることが好ましい。
【0030】
なお、「診療テキスト情報」とは、患者情報、症状、施設情報、その他診療歴として残しておきたい種々の事項であり、「診療報酬点数関連情報」とは、診療行為、特定器材、医薬品等の会計情報であり、会計処理に活用する情報である。
【0031】
(カルテ部を含む表示画面)
カルテ部を含む表示画面には、
図3に示すように、入力された各種情報が、メモ情報としての診療テキスト情報と、ブロック化して整理された診療報酬点数関連情報とに必要に応じて区分けして表示される。こうした表示画面により、入力自由度の高い単一のカルテ部内に、グルーピングされた区分け状態で見やすく表示される。表示画面は
図3に例示した表示形態に限定されず、各種の形態であってもよい。なお、
図3の例では、左半分には、例えば診察歴、傷病名、検査等の選択画面を備えたエリア(診療歴等のエリア)が表示されている。このエリアは、診療日毎に時系列で表示され、過去の診察歴等を参照することができる。
【0032】
図3に例示された表示画面の右半分には、カルテ部であるカルテ編集エリアが表示されている。こうしたカルテ部は、本発明に係る電子カルテでは一つだけであり、記入者が複数の記入エリアに記載し、確認する場合にも複数のエリアをそれぞれ見なければならないという従来の電子カルテでの煩雑さを解消できる。
図3の例では、右半分には、診察時のカルテとして、症状、所見、処置、処方医薬、検査項目、検査日程、その他看護師への指示事項、臨床検査技師等の医療スタッフへの指示事項等が表示されている。こうした表示事項は、上記入力手段により、カルテ部内の自由な部位に記入できる。なお、
図3に例示されたカルテ部の下側には、「手術」、「初診・再診」等の項目が表示され、それぞれの項目には、手術名称や初診料についての項目が表示されている。こうした項目をクリックすると、詳しい内容が表示される。なお、
図3に示した表示項目はあくまで一例であり、これらに限定されない。
【0033】
表示部は、診療テキスト情報と診療報酬点数関連情報とを分類する処理部を有する。こうした処理部により、
図3に例示したカルテ部に示すように、入力された各種情報をメモ情報としての診療テキスト情報と、ブロック化して整理された診療報酬点数関連情報とに必要に応じて区分けして表示することができる。したがって、記入者が自由な位置に記入した場合でも、最終的に分類整理して表示することができる。
【0034】
なお、療報酬点数関連情報は、カルテ部では入力された診療報酬点数関連情報に基づいて診療行為、医薬品及び特定器材の少なくとも3つに分類されて表示される。その後、表示画面をカルテ部を含む画面から会計画面に遷移させた場合においては、分類された診療報酬点数関連情報は、会計画面において、国の診療報酬識別ルールに基づいて再分類されて表示される。こうすることにより、医師、看護師等の医療スタッフにとっての情報としては便利である。一方、会計画面に遷移させた場合においては、診療報酬点数関連情報が国の診療報酬識別ルールに基づいて再分類されて表示されるので、会計処理を行うスタッフ等にとって便利である。
【0035】
(会計画面)
会計画面は、会計情報の確認や会計処理の際に表示される。表示画面を、カルテ部を含む画面から会計画面に遷移させた場合において、会計画面には、診療報酬点数関連情報に対応した項目が表示される。このときの表示は、最適な保険組み合わせごとに及び/又は診療報酬に適した区分ごとに、自動的に分類し整理して集計し表示される。この場合での分類、整理、集計、表示の各処理は、会計画面表示処理部で行われる。
【0036】
会計画面表示処理部は、入力された情報を会計情報の基礎となる保険点数情報として予め記憶されたデータベースにアクセスして照合が行われ、入力された情報が診療報酬点数関連情報である場合には、その情報が診療報酬点数関連情報として分類される。こうして個々の入力情報が照合されて診療報酬点数関連情報として分類された複数の情報がグルーピングされて整理される。表示画面には、整理された情報が診療報酬点数関連情報として表示される。
【0037】
カルテ部の画面では、医療スタッフに医師が指示を出すための分類で整理されていることが好ましいが、会計画面では、点数計算が可能且つ容易な分類になっていることが望ましい。これら2つの分類は、目的やその内容が異なるが、その上でカルテ部で分類された表示内容から、会計画面での分類を点数計算ルールや適切な類推アルゴリズムに基づき自動的に導き出すことができる。なお、こうした会計画面においては、会計画面の基礎情報となるカルテ部を併せて表示させるようにすることもできる。こうすることにより、カルテ部の診療内容を見ながら、会計内容を直すことができる。
【0038】
[照合部(照合手段)]
図10に示すように、本発明に係る電子カルテはサーバーを備えており、サーバーは、カルテ部に記載された入力情報を受けて、診療情報を類推する照合部を有している。この照合部で照合された類推項目は、上記した表示画面のカルテ部に表示される。こうした照合部は、入力された各種情報と、記録装置に既に記録された記録情報とを照合して紐付けるか否かを判断する。
【0039】
照合部は、各種情報と記録情報とが紐付かない場合には、各種情報がそのまま表示される。一方、各種情報と記録情報とが紐付く場合には、紐付いた各種情報の関連項目一覧が表示されて、その関連項目一覧から該当する関連項目が選択されて表示される。こうした照合部の機能により、記入者は診療内容を好きな箇所に自由に記載できる。特に本発明では、表示部の機能と照合部の機能を有するので、入力部での自由な入力を、その後のカルテ部内の分類・整理を気にすることなく行うことができる。
【0040】
関連項目一覧については、診療報酬点数関連情報となる情報に対応した項目を少なくとも有する。こうすることにより、入力した診療内容のうち、診療報酬、調剤報酬、訪問看護療養費等の保険適用診療報酬と、それ以外の保険適用外診療報酬とを含む会計関連情報(医科診療報酬、歯科診療報酬、介護報酬等の保険適用診療報酬と、それ以外の保険適用外療養費とを含む。)を、項目から選択してカルテ部内に表示することができる。その結果、自由に記載した各種情報から会計関連情報としてカルテ部内に表示することができる。
【0041】
関連項目一覧は、記入した各種情報の内容に対応した項目を割り当てたモーダルウインドウとして表示される。こうすることにより、表示されたモーダルウインドウで表示された項目から適切な項目を素早く選択することができる。
【0042】
[カルテ部への記入による表示例]
図3~
図9に基づいて、カルテ部への記入例について説明する。
図3は、電子カルテの表示画面の一例であり、カルテ部の説明図である。既に説明したように、
図3の右半分には、診察時のカルテとして、自由な部位に記入した症状、所見、処置、処方医薬、検査項目、検査日程、その他看護師への指示事項、臨床検査技師等の医療スタッフへの指示事項等が表示されている。
【0043】
図4は、
図3に示すカルテ部の「初診料」の下方に新しいテキストを記載しようとする表示画面であり、
図5は、その位置に仮に「風邪の症状あり」と記入した例である。その記入の後、右端に現れる「+」表示にカーソルを移動すると、その記入項目に関連した項目が表れる。「診療行為を追加」をクリックし、
図6に示す記入欄に「初診」と入力することにより、「初診」に関連した項目がモーダルウインドウとして表れる。こうした記入操作を繰り返すことにより、
図7に例示するように、例えば「検査・病理」「精密眼圧」等の新しい項目がカルテ部に表示される。
【0044】
なお、関連項目がない場合や、カルテ部に記入した内容を項目としてそのまま登録したい場合には、
図8及び
図9に示すテンプレート機能を活用できる。新しいテンプレートをカルテ部に挿入することにより、従来型の画一的な電子カルテとは違い、自由自在に診療情報を記入したテンプレートを挿入できる。テンプレートの挿入時にも、関連した項目がモーダルウインドウとして表れるので、モーダルウインドウから選択等する操作を繰り返すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る電子カルテは、病院やクリニック等の医療現場で使用される。入力する診療テキスト情報や診療報酬点数関連情報を自由に好きな場所に記入可能とし、記入した情報を効果的に分類・整理して記入者の煩雑さを抑えて使いやすくした電子カルテである。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキスト情報である診療テキスト情報及び診療報酬点数に関連する情報である診療報酬点数関連情報を含む各種情報を表示画面内の単一のカルテ部に入力する入力手段と、入力された前記各種情報を前記カルテ部に表示する表示手段と、入力された前記各種情報と記録装置に既に記録された記録情報とを照合して紐付けるか否かを判断する照合手段と、を有する電子カルテであって、
前記入力手段は、前記各種情報を前記カルテ部内のいずれの位置にも記載可能であり、
前記照合手段は、前記各種情報と前記記録情報とが紐付かない場合には前記各種情報をそのまま表示し、前記各種情報と前記記録情報とが紐付く場合には紐付いた各種情報の関連項目一覧が表示されて該関連項目一覧から該当する関連項目が選択されて表示し、
前記表示手段は、入力された前記各種情報を、メモ情報としての前記診療テキスト情報と、ブロック化して整理された前記診療報酬点数関連情報とに区分けして表示し、
前記診療報酬点数関連情報は、前記カルテ部では入力された前記診療報酬点数関連情報に基づいて診療行為、医薬品及び特定器材の少なくとも3つに分類されて表示され、
前記表示画面を前記カルテ部を含む画面から会計画面に遷移させた場合において、前記分類された診療報酬点数関連情報は、該会計画面において、国の診療報酬識別ルールに基づいて再分類されて表示される、ことを特徴とする電子カルテ。
【請求項2】
前記表示手段は、前記診療テキスト情報と前記診療報酬点数関連情報とを分類する処理部を有する、請求項1に記載の電子カルテ。
【請求項3】
前記関連項目一覧は、前記診療報酬点数関連情報となる情報に対応した項目を少なくとも有する、請求項1又は2に記載の電子カルテ。
【請求項4】
前記表示画面を前記カルテ部を含む画面から会計画面に遷移させた場合において、前記診療報酬点数関連情報となる情報に対応した項目は、最適な保険組み合わせごとに及び/又は診療報酬に適した区分ごとに自動的に分類し整理して集計し表示する会計画面表示処理部を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子カルテ。