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特開2022-120577調合油及び殺虫殺ダニ剤を含有する殺虫殺ダニ剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120577
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】調合油及び殺虫殺ダニ剤を含有する殺虫殺ダニ剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/90 20060101AFI20220810BHJP
   A01N 37/42 20060101ALI20220810BHJP
   A01N 43/58 20060101ALI20220810BHJP
   A01N 43/76 20060101ALI20220810BHJP
   A01N 43/12 20060101ALI20220810BHJP
   A01N 43/54 20060101ALI20220810BHJP
   A01N 43/56 20060101ALI20220810BHJP
   A01N 47/24 20060101ALI20220810BHJP
   A01N 51/00 20060101ALI20220810BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20220810BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20220810BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
A01N43/90 101
A01N37/42
A01N43/58 B
A01N43/76
A01N43/12 Z
A01N43/54 C
A01N43/56 C
A01N47/24 F
A01N51/00
A01P7/02
A01N25/00 101
A01N25/04 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017553
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】310022224
【氏名又は名称】OATアグリオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183461
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】林 直孝
(72)【発明者】
【氏名】泉 進
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 健
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC04
4H011BA02
4H011BB06
4H011BB08
4H011BB09
4H011BB10
4H011BC06
4H011BC22
4H011DA16
4H011DC05
4H011DE15
(57)【要約】
【課題】防除困難な又は防除不可能な害虫を防除するための新規な殺虫殺ダニ剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)調合油、及び
(B)殺虫殺ダニ活性化合物
を含む、殺虫殺ダニ剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)調合油、及び
(B)殺虫殺ダニ活性化合物
を含む、殺虫殺ダニ剤組成物。
【請求項2】
前記(A)調合油が、オリーブ油、ゴマ油、米ぬか油、ベニバナ油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、綿実油、ヤシ油、落花生油、つばき油、アーモンド種子油、アボカド油、及び茶油からなる群から選択される少なくとも2種を含む、請求項1に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
【請求項3】
前記(A)調合油に含まれる少なくとも1種が、ヒマワリ油、ベニバナ油、及びオリーブ油からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
【請求項4】
前記(A)調合油に含まれる少なくとも1種が、ヒマワリ油(高オレイン酸種)、ベニバナ油(高オレイン酸種)、及びエクストラバージンオリーブ油からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
【請求項5】
さらに、(C)ノニオン系界面活性剤を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
【請求項6】
前記(C)ノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸エステルである、請求項5に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
【請求項7】
さらに、(D)グリセリン誘導体を含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
【請求項8】
前記(D)グリセリン誘導体が、グリセリンモノアルキル脂肪酸エステル、グリセリンジアルキル脂肪酸エステル、ポリグリセリンモノアルキル脂肪酸エステル及びポリグリセリンポリアルキル脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である(前記エステルの構成脂肪酸の炭素原子数は12~18である)、請求項7に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
【請求項9】
前記(B)殺虫殺ダニ活性化合物を、前記(A)調合油100質量部に対して、0.017~12.3質量部含有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物を、0.2kg/10aから8kg/10aの範囲となるように作物に散布することを特徴とする殺虫殺ダニ方法。
【請求項11】
0.5kg/10aから3kg/10aの範囲となるように作物に散布することを特徴とする請求項10に記載の殺虫殺ダニ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調合油及び殺虫殺ダニ剤を含有する殺虫殺ダニ剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無農薬、有機、自然農法等といった栽培が、人にも環境にも優しい安全な栽培と考えられ、安全な農作物を栽培する努力が行われている。
しかしながら、これらの栽培では、農作物の大規模生産において、各種害虫による被害を防ぐことが難しく、現状としては、各種殺虫剤又は殺菌剤での防除が必要である。20世紀後半には有機合成化合物を用いた病害虫防除が普及し、生産物の生産効率は飛躍的に向上した。その一方で、化学農薬の大量使用による病害虫の抵抗性が問題となっており、また、薬剤散布は農業従事者にとって大きな負担となっている。よって、この作業を低減することは、安全な栽培というだけでなく、農業従事者の労働負担を減らす(省力化)という労働衛生的観点から、及び農作物生産コストを低減するという経済的観点から強く求められている。
【0003】
このような状況下において、比較的に安価で、かつ、安全な、油脂、界面活性剤等を含む各種の農園芸用殺虫殺ダニ剤組成物が開発されてきた。
例えば、特許文献1には、ピフルブミド又はピフルブミドとフェンピロキシメートとの混合剤と、マシン油、オレイン酸ナトリウム等の気門封鎖剤とを有効成分として含有する農園芸用殺虫殺ダニ剤組成物が記載されている。
また、特許文献2には、炭素数が8~22である脂肪酸とグリセリンとから得られる脂肪酸グリセリドとマクロライド系殺虫剤とを含有する殺虫剤が記載されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の殺虫殺ダニ剤組成物により防除効果が認められたのはナミハダニだけであり(特許文献1の実施例)、特許文献2には、脂肪酸グリセリドとマクロライド系殺虫剤との混用しか記載されていない。
よって、防除対象害虫の種類、生息特性、薬剤抵抗性の発達等により、有効な防除ができない場合があることから、防除困難な又は防除不可能な害虫を防除するための新しい技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-100982号公報
【特許文献2】国際公開第2005/036965号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、防除困難な又は防除不可能な害虫を防除するための新規な殺虫殺ダニ剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、調合油が殺虫殺ダニ活性化合物の防除活性を増強させることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0009】
項1.
(A)調合油、及び
(B)殺虫殺ダニ活性化合物
を含む、殺虫殺ダニ剤組成物。
項2.
前記(A)調合油が、オリーブ油、ゴマ油、米ぬか油、ベニバナ油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、綿実油、ヤシ油、落花生油、つばき油、アーモンド種子油、アボカド油、及び茶油からなる群から選択される少なくとも2種を含む、項1に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
項3.
前記(A)調合油に含まれる少なくとも1種が、ヒマワリ油、ベニバナ油、及びオリーブ油からなる群から選択される、項1又は2に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
項4.
前記(A)調合油に含まれる少なくとも1種が、ヒマワリ油(高オレイン酸種)、ベニバナ油(高オレイン酸種)、及びエクストラバージンオリーブ油からなる群から選択される、項1~3のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
項5.
さらに、(C)ノニオン系界面活性剤を含有する、項1~4のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
項6.
前記(C)ノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸エステルである、項5に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
項7.
さらに、(D)グリセリン誘導体を含有する、項1~6のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
項8.
前記(D)グリセリン誘導体が、グリセリンモノアルキル脂肪酸エステル、グリセリンジアルキル脂肪酸エステル、ポリグリセリンモノアルキル脂肪酸エステル及びポリグリセリンポリアルキル脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である(前記エステルの構成脂肪酸の炭素原子数は12~18である)、項7に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
項9.
前記(B)殺虫殺ダニ活性化合物を、前記(A)調合油100質量部に対して、0.017~12.3質量部含有する、項1~8のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
項10.
項1~9のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物を、0.2kg/10aから8kg/10aの範囲となるように作物に散布することを特徴とする殺虫殺ダニ方法。
項11.
0.5kg/10aから3kg/10aの範囲となるように作物に散布することを特徴とする項10に記載の殺虫殺ダニ方法。
項12.
前記(B)殺虫殺ダニ活性化合物が、
(b1)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、
(b2)GABA作動性塩素イオンチャネルアンタゴニスト剤、
(b3)ナトリウムチャネルモジュレーター剤、
(b4)ニコチン性アセチルコリン受容体拮抗モジュレーター剤、
(b5)ニコチン性アセチルコリン受容体アロステリックモジュレーター剤、
(b6)グルタミン酸作動性塩素イオンチャネルアロステリックモジュレーター剤、
(b7)幼若ホルモンミミック剤、
(b8)その他の非特異的(マルチサイト)阻害剤、
(b9)弦音器官TRPVチャンネルモジュレーター剤、
(b10)ダニ類成育阻害剤、
(b11)微生物由来昆虫中腸破壊剤、
(b12)ミトコンドリアATP生合成酵素阻害剤、
(b13)酸化的リン酸化脱共役剤、
(b14)ニコチン性アセチルコリン受容体チャネルブロッカー剤、
(b15)キチン生合成阻害剤、
(b16)脱皮阻害剤、
(b17)脱皮ホルモン(エクダイソン)受容体アゴニスト剤、
(b18)オクトパミン受容体アゴニスト剤、
(b19)ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤、
(b20)ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤、
(b21)電位依存性ナトリウムチャネルブロッカー剤、
(b22)アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤、
(b23)ミトコンドリア電子伝達系複合体IV阻害剤、
(b24)ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤、
(b25)リアノジン受容体モジュレーター剤、
(b26)弦音器官モジュレーター剤、及び
(b27)作用機構が特定されていない殺虫剤・殺ダニ剤
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、項1~9のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
項13.
前記(B)殺虫殺ダニ活性化合物が、
(b6)グルタミン酸作動性塩素イオンチャネルアロステリックモジュレーター剤、
(b8)臭化メチル、クロロピクリン、クリオライト、フッ化スルフリル、ホウ砂、吐酒石、ダゾメット、メタム、
(b10)ダニ類成育阻害剤、
(b12)ミトコンドリアATP生合成酵素阻害剤、
(b13)酸化的リン酸化脱共役剤、
(b18)オクトパミン受容体アゴニスト剤、
(b19)ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤、
(b20)ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤、
(b22)アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤、
(b24)ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤、
(b27)アザジラクチン、ベンゾキシメート、ブロモプロピレート、キノメチオナート、ジコフォル、ピリダリル、及びアミドフルメット
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、項1~9のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
項14.
前記(B)殺虫殺ダニ活性化合物が、
(b6)グルタミン酸作動性塩素イオンチャネルアロステリックモジュレーター剤、
(b10)ダニ類成育阻害剤、
(b12)ミトコンドリアATP生合成酵素阻害剤、
(b13)酸化的リン酸化脱共役剤、
(b18)オクトパミン受容体アゴニスト剤、
(b19)ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤、
(b20)ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤、
(b22)アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤、
(b24)ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤、及び
(b27)作用機構が特定されていない殺虫剤・殺ダニ剤
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、項1~9のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
項15.
前記(B)殺虫殺ダニ活性化合物が、アバメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、アミトラズ、フェナザキン、テブフェンピラド、シエノピラフェン、シフルメトフェン、アセキノシル、ビフェナゼート、プロパルギット、ジアフェンチウロン、クロルフェナピル、スピロジクロフェン、アシノナピル及びフルペンチオフェノックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、項1~9のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
項16.
前記(B)殺虫殺ダニ活性化合物が、アバメクチン、ミルベメクチン、アミトラズ、フェナザキン、テブフェンピラド、シエノピラフェン、シフルメトフェン、アセキノシル、ビフェナゼート、プロパルギット、ジアフェンチウロン、クロルフェナピル、スピロジクロフェン、アシノナピル及びフルペンチオフェノックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、項1~9のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物。
項17.
項1~9のいずれか一項に記載の相乗的殺ダニ剤組成物を、病害虫の生息場所(ヒトを除く)に処理することを特徴とする虫及びダニの防除方法。
項18.
項1~9のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物を、病害虫の生息場所に処理することを特徴とするダニ防除方法。
項19.
項1~9のいずれか一項に記載の殺虫殺ダニ剤組成物を、病害虫が寄生する植物又はその近傍に処理することを特徴とする植物保護方法。
項20.
殺虫殺ダニ活性増強のための、調合油の使用方法。
項21.
殺虫殺ダニ化合物の殺虫殺ダニ活性を増強させるための、調合油の使用方法(ヒトへの適用を除く)であって、
前記殺虫殺ダニ活性化合物が、アバメクチン、ミルベメクチン、アミトラズ、フェナザキン、テブフェンピラド、シエノピラフェン、シフルメトフェン、アセキノシル、ビフェナゼート、プロパルギット、ジアフェンチウロン、クロルフェナピル、スピロジクロフェン、アシノナピル及びフルペンチオフェノックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、使用方法。
項22.
調合油を含有する殺虫殺ダニ活性増強剤。
項23.
殺虫殺ダニ活性化合物の殺虫殺ダニ活性を増強させる、調合油を含有する殺虫殺ダニ活性増強剤であって、
前記殺虫殺ダニ活性化合物が、アバメクチン、ミルベメクチン、アミトラズ、フェナザキン、テブフェンピラド、シエノピラフェン、シフルメトフェン、アセキノシル、ビフェナゼート、プロパルギット、ジアフェンチウロン、クロルフェナピル、スピロジクロフェン、アシノナピル及びフルペンチオフェノックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、殺虫殺ダニ活性増強剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、防除困難な又は防除不可能な害虫を防除するための新規な殺虫殺ダニ剤組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物について詳細に説明する。
【0012】
本発明の殺虫殺ダニ剤組成物は、
(A)調合油、及び
(B)殺虫殺ダニ活性化合物
を含む。
【0013】
本発明の殺虫殺ダニ剤組成物の成分(A)の調合油は、2種類以上の油を配合して調製したものである。調合油は、食用調合油という場合もある。
【0014】
配合可能な油として、例えば、例えば、オリーブ油、ゴマ油、米ぬか油、ベニバナ(サフラワー)油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、綿実油、ヤシ油、落花生油、つばき油、アーモンド種子油、アボカド油、茶油等の植物油が挙げられる。植物油は、植物油脂、食用油等という場合もある。
よって、調合油は、オリーブ油、ゴマ油、米ぬか油、ベニバナ油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、綿実油、ヤシ油、落花生油、つばき油、アーモンド種子油、アボカド油、及び茶油からなる群から選択される少なくとも2種を含むものであり、ヒマワリ油、ベニバナ油、及びオリーブ油からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0015】
調合油に含まれる少なくとも1種が、構成脂肪酸としてオレイン酸を50質量%以上、好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上含有する植物油であることが好ましい。このような植物油の具体例としては、オリーブ油(オレイン酸含有量60~80質量%)、エクストラバージンオリーブ油(60~80質量%)、つばき油(約85質量%)、アーモンド種子油(60~70質量%)、アボカド油(64~94質量%)、茶油(約88質量%)、ベニバナ(サフラワー)油(高オレイン酸種)(70~80質量%)、ヒマワリ油(高オレイン酸種)(75~80質量%)、及び他の高オレイン酸植物油などが挙げられる。ヒマワリ油(高オレイン酸種)、ベニバナ油(高オレイン酸種)、及びエクストラバージンオリーブ油が好ましく、ベニバナ油(高オレイン酸種)がより好ましい。
【0016】
調合油としては、前記の構成脂肪酸としてオレイン酸を50質量%以上含有する植物油、及び、構成脂肪酸としてオレイン酸を50質量%以上含有する植物油に該当しない植物油を含むものが好ましい。
構成脂肪酸としてオレイン酸を50質量%以上含有する植物油に該当しない植物油として、前記配合可能な油を使用することができ、ベニバナ油、大豆油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、及び綿実油が好ましく、大豆油、及び綿実油がより好ましい。
【0017】
前記の構成脂肪酸としてオレイン酸を50質量%以上含有する植物油と、構成脂肪酸としてオレイン酸を50質量%以上含有する植物油に該当しない植物油とは、前記の構成脂肪酸としてオレイン酸を50質量%以上含有する植物油100質量部に対して、構成脂肪酸としてオレイン酸を50質量%以上含有する植物油に該当しない植物油を1~99質量部、好ましくは3~70質量部、より好ましくは5~50質量部の割合で配合すればよい。
【0018】
成分(A)は、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物100質量部中に、10~99.9質量部、好ましくは50~99.9質量部、さらに好ましくは90~99.9質量部含まれる。本発明の殺虫殺ダニ剤組成物において調合油の含有量が90~99.9質量部であると、殺虫殺卵効果が発現しやすいため好ましい。
【0019】
本発明の殺虫殺ダニ剤組成物は、(B)殺虫殺ダニ活性化合物を含む。(B)殺虫殺ダニ活性化合物には、殺虫活性化合物及び殺ダニ活性化合物からなる群から選択される少なくとも1種が含まれる。殺虫活性化合物及び/又は殺ダニ活性化合物としては、農業害虫に対して防除効果を有する化合物として既知の化合物であれば特に限定はない。また、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物は本発明の効果を奏する限りにおいて、農薬原体としてその他の殺ダニ活性化合物、殺菌剤を適宜併用することもできる。
【0020】
(B)殺虫殺ダニ活性化合物
(B)殺虫殺ダニ活性化合物としては、特に限定はなく、例えば、IRAC(Insecticide Resistance Action Committee;殺虫剤抵抗性対策委員会)による作用分類において、グループ1~29、グループUNに属する化合物等が挙げられる。中でも、下記グループ1~14、21~28及びUNが好ましく、下記グループ1~6、9~14、21~25、28及びUNがより好ましく、下記グループ1~4、9、14、及び25が特に好ましい。
【0021】
(b1)グループ1:アセチルコリンエステラーゼ阻害剤
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤としては、例えば、アラニカルブ(alanycarb)、アルジカルブ(aldicarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ブトカルボキシム(butocarboxim)、ブトキシカルボキシム(butoxycarboxim)、カルバリル(carbaryl:NAC)、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、フェノブカルブ(fenobucarb:BPMC)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)、ホルメタネート(formetanate)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ(isoprocarb:MIPC)、メチオカルブ(methiocarb)、メソミル(methomyl)、メトルカルブ(metolcarb)、オキサミル(oxamyl)、ピリミカーブ(pirimicarb)、プロポキスル(propoxur:PHC)、チオジカルブ(thiodicarb)、チオファノックス(thiofanox)、トリアザメート(triazamate)、トリメタカルブ(trimethacarb)、キシリルカルブ(xylylcarb)等のカーバメート系化合物(1A);アセフェート(acephate)、アザメチホス(azamethiphos)、アジンホスエチル(azinphos-ethyl)、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、カズサホス(cadusafos)、クロレトキシホス(chlorethoxyfos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、クロルメホス(chlormephos)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、クマホス(coumaphos)、シアノホス(cyanophos:CYAP)、デメトン-S-メチル(demeton-S-methyl)、ダイアジノン(diazinon)、ジクロルボス(dichlorvos:DDVP)、ジクロトホス(dicrotophos)、ジメトエート(dimethoate)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジスルホトン(disulfoton)、EPN、エチオン(ethion)、エトプロホス(ethoprophos)、ファンフル(famphur)、フェナミホス(fenamiphos)、フェニトロチオン(fenitrothion:MEP)、フェンチオン(fenthion:MPP)、ホスチアゼート(fosthiazate)、ヘプテノホス(heptenophos)、イミシアホス(imicyafos)、イソフェンホス(isofenphos)、イソプロピル-O-(メトキシアミノチオホスホリル)サリチラート又はイソカルボホス(isopropyl-O-(methoxyaminothiophosphoryl)salicylate or isocarbophos)、イソキサチオン(isoxathion)、マラチオン(malathion)、メカルバム(mecarbam)、メタミドホス(methamidophos)、メチダチオン(methidathion:DMTP)、メビンホス(mevinphos)、モノクロトホス(monocrotophos)、ナレッド(naled:BRP)、オメトエート(omethoate)、オキシジメトンメチル(oxydemeton-methyl)、パラチオン(parathion)、パラチオンメチル(parathion-methyl)、フェントエート(phenthoate:PAP)、ホレート(phorate)、ホサロン(phosalone)、ホスメット(phosmet:PMP)、ホスファミドン(phosphamidon)、ホキシム(phoxim)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、プロフェノホス(profenofos)、プロペタムホス(propetamphos)、プロチオホス(prothiofos)、ピラクロホス(pyraclofos)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、キナルホス(quinalphos)、スルホテップ(sulfotep)、テブピリムホス(tebupirimfos)、テメホス(temephos)、テルブホス(terbufos)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、チオメトン(thiometon)、トリアゾホス(triazophos)、トリクロルホン(trichlorfon:DEP)、バミドチオン(vamidothion)等の有機リン系化合物(1B)等が挙げられる。
【0022】
(b2)グループ2:GABA作動性塩素イオンチャネルアンタゴニスト剤
GABA作動性塩素イオンチャネルアンタゴニスト(ブロッカー)剤としては、例えば、クロルデン(chlordane)、エンドスルファン(endosulfan)、ジエノクロル(dienochlor)等の環状ジエン有機塩素系化合物(2A);エチプロール(ethiprole)、フィプロニル(fipronil)、フルフィプロール(flufiprole)等のフェニルピラゾール化合物(2B)等が挙げられる。
【0023】
(b3)グループ3:ナトリウムチャネルモジュレーター剤
ナトリウムチャネルモジュレーター剤としては、例えば、アクリナトリン(acrinathrin)、アレスリン(allethrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、カッパビフェントリン(kappa-bifenthrin)、ビオアレスリン(bioallethrin)、ビオレスメトリン(bioresmethrin)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、ベータ-シフルトリン(beta-cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、ガンマシハロトリン(gamma-cyhalothrin)、ラムダシハロトリン(lambda-cyhalothrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、アルファシペルメトリン(alpha-cypermethrin)、べータシペルメトリン(beta-cypermethrin)、シータシペルメトリン(theta-cypermethrin)、ゼータシペルメトリン(zeta-cypermethrin)、シグマシペルメトリン(sigma-cypermethrin)、シフェノトリン(cyphenothrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、エンペントリン(empenthrin)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、エトフェンプロックス(etofenprox)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルメトリン(flumethrin)、フルバリネート(fluvalinate)、タウフルバリネート(tau-fluvalinate)、ハルフェンプロックス(halfenprox)、ヘプタフルトリン(heptafluthrin)、イミプロトリン(imiprothrin)、カデスリン(kadethrin)、メペルフルトリン(meperfluthrin)、モンフルオロトリン(momfluorothrin)、ペルメトリン(permethrin)、フェノトリン(phenothrin)、プラレトリン(prallethrin)、ピレトリン(pyrethrins)、レスメトリン(resmethrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、テフルトリン(tefluthrin)、カッパテフルトリン(kappa- tefluthrin)、テトラメトリン(tetramethrin)、テトラメチルフルトリン(tetramethylfluthrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、トランスフルトリン(transfluthrin)、ベンフルトリン(benfluthrin)、フルフェンプロックス(flufenoprox)、フルメスリン(flumethrin)、フラメトリン(furamethrin)、メトフルトリン(metofluthrin)、プロフルトリン(profluthrin)、ジメフルトリン(dimefluthrin)等のピレスロイド系(ピレトリン系)化合物(3A)等が挙げられる。
【0024】
(b4)グループ4:ニコチン性アセチルコリン受容体拮抗モジュレーター剤
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)拮抗モジュレーター剤としては、例えば、アセタミプリド(acetamiprid)、クロチアニジン(clothianidin)、ジノテフラン(dinotefuran)、イミダクロプリド(imidacloprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、チアクロプリド(thiacloprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、シクロキサプリド(cycloxaprid)、ジクロロメソチアズ(dicloromezotiaz)等のネオニコチノイド系化合物(4A);フルピラジフロン(flupyradifurone)等のブテノライド系化合物(4D);スルホキサフロル(sulfoxaflor)等のスルホキシイミン系化合物(4C);トリフルメゾピリム(triflumezopyrim)等のメソイオン系化合物(4E)等が挙げられる。
【0025】
(b5)グループ5:ニコチン性アセチルコリン受容体アロステリックモジュレーター剤
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)アロステリックモジュレーター剤としては、例えば、スピノサド(spinosad)、スピネトラム(spinetoram)のスピノシン系化合物等が挙げられる。
【0026】
(b6)グループ6:グルタミン酸作動性塩素イオンチャネルアロステリックモジュレーター剤
グルタミン酸作動性塩素イオンチャネル(GluCl)アロステリックモジュレーター剤としては、例えば、アバメクチン(abamectin)、エマメクチン安息香酸塩(emamectin-benzoate)、レピメクチン(lepimectin)、ミルベメクチン(milbemectin)等が挙げられる。
【0027】
(b7)グループ7:幼若ホルモンミミック剤
幼若ホルモンミミック(類似)剤としては、例えば、ヒドロプレン(hydroprene)、キノプレン(kinoprene)、メトプレン(methoprene)等の幼若ホルモン類縁化合物(7A);フェノキシカルブ(fenoxycarb)(7B);ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)(7C)等が挙げられる。
【0028】
(b8)グループ8:その他の非特異的(マルチサイト)阻害剤
その他の非特異的(マルチサイト)阻害剤としては、例えば、臭化メチル(methyl bromide)等のハロゲン化アルキル(8A);クロロピクリン(chloropicrin)(8B);クリオライト(cryolite)、フッ化スルフリル(sulfuryl fluoride)等のフルオライド系化合物(8C);ホウ砂、ホウ酸等のホウ酸塩(8D);吐酒石(8E);ダゾメット(dazomet)、メタム(metam)等のメチルイソチオシアネートジェネレーター(8F)等が挙げられる。
【0029】
(b9)グループ9:弦音器官TRPVチャンネルモジュレーター剤
弦音器官TRPVチャンネルモジュレーター剤としては、例えば、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazon)等のピリジン アゾメチン誘導体(9B)等が挙げられる。
【0030】
(b10)グループ10:ダニ類成育阻害剤
ダニ類成育阻害剤としては、例えば、クロフェンテジン(clofentezine)、ジフロビダジン(diflovidazin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、エトキサゾール(etoxazole)等が挙げられる。
【0031】
(b11)グループ11:微生物由来昆虫中腸破壊剤
微生物由来昆虫中腸破壊剤としては、例えば、バチルス・チューリンゲンシス菌(Bacillus thuringiensis、BD#32株、AQ52株等、アイザワイ亜種(subsp. aizawai、ABTS-1857 株等)、クリスターキ亜種(subsp. kurstaki、HD-1株、BMP 123株等)、テネブリオシス亜種(subsp. tenebriosis、NB 176株等)、イスラエレンシス変種(var. israelensis)、アエジプチ変種(var.aegypti)、コルメリ変種(var. colmeri)、ダームスタデインシス変種(var. darmstadiensis)、デンドロリムス変種(var. dendrolimus)、ガレリア変種(var. galleriae)、ジャポネンシス変種(var. japonensis)、モリソニ亜種(subsp. morrisoni)、サンディエゴ変種(var. san diego)、チューリンゲンシス亜種(subsp. thuringiensis、MPPL002株等)、7216変種(var. 7216)、T36変種(var. T36) )、鱗翅目昆虫に対する耐性を付与するデルタ-エンドトキシン(Cry1A、Cry1Ab、改変されたCry1Ab(一部を欠損したCry1Ab)、Cry1Ac、Cry1Ab-Ac(Cry1AbとCry1Acが融合されたハイブリッドタンパク質)、Cry1C、Cry1F、Cry1Fa2(修飾されたcry1F)、moCry1F(修飾されたCry1F)、Cry1A.105(Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1Fが融合されたハイブリッドタンパク質)、Cry2Ab2、Cry2Ae、Cry9C、Vip3A、Vip3Aa20等)、鞘翅目昆虫に対する耐性を付与するデルタ-エンドトキシン(Cry3A、mCry3A(修飾されたCry3A)、Cry3Bb1、Cry34Ab1、Cry35Ab1等)等のBacillus thuringiensisと生産殺虫タンパク質(11A);バチルス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)(11B)等が挙げられる。
【0032】
(b12)グループ12:ミトコンドリアATP生合成酵素阻害剤
ミトコンドリアATP生合成酵素阻害剤としては、例えば、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)(12A);アゾシクロチン(azocyclotin)、シヘキサチン(cyhexatin)、酸化フェンブタスズ(fenbutatin oxide)等の有機スズ系殺ダニ剤(12B);プロパルギット(propargite)(12C);テトラジホン(tetradifon)(12D)等が挙げられる。
【0033】
(b13)グループ13:酸化的リン酸化脱共役剤
酸化的リン酸化脱共役剤としては、例えば、クロルフェナピル(chlorfenapyr)等のピロール系化合物;DNOC等のジニトロフェノール化合物;スルフルラミド(sulfluramid)等が挙げられる。
【0034】
(b14)グループ14:ニコチン性アセチルコリン受容体チャネルブロッカー剤
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)チャネルブロッカー剤としては、例えば、ベンスルタップ(bensultap)、カルタップ(cartap)、カルタップ塩酸塩(cartap hydrochloride)、チオシクラム(thiocyclam)、チオスルタップ-2ナトリウム塩又はビスルタップ(thiosultap-disodium or bisultap)、チオスルタップ-1ナトリウム塩又はモノスルタップ(thiosultap-monosodium or monosultap)等のネライストキシン化合物等が挙げられる。
【0035】
(b15)グループ15及び16:キチン生合成阻害剤
キチン生合成阻害剤としては、例えば、ビストリフルロン(bistrifluron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、トリフルムロン(triflumuron)、ブプロフェジン(buprofezin)等のベンゾイル尿素系化合物等が挙げられる。
【0036】
(b16)グループ17:脱皮阻害剤
脱皮阻害剤としては、例えば、シロマジン(cyromazine)等が挙げられる。
【0037】
(b17)グループ18:脱皮ホルモン(エクダイソン)受容体アゴニスト剤
脱皮ホルモン(エクダイソン)受容体アゴニスト剤としては、例えば、クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、テブフェノジド(tebufenozide)等のジアシル-ヒドラジン系化合物等が挙げられる。
【0038】
(b18)グループ19:オクトパミン受容体アゴニスト剤
オクトパミン受容体アゴニスト剤としては、例えば、アミトラズ(amitraz)等が挙げられる。
【0039】
(b19)グループ20:ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤
ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤としては、例えば、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、アセキノシル(acequinocyl)、フルアクリピリム(fluacrypyrim)、ビフェナゼート(bifenazate)等が挙げられる。
【0040】
(b20)グループ21:ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤
ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤としては、例えば、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、ピリダベン(pyridaben)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、フェナザキン(fenazaquin)、ピリミジフェン(pyrimidifen)等のMETI剤(21A);ロテノン(rotenone)(21B)等が挙げられる。
【0041】
(b21)グループ22:電位依存性ナトリウムチャネルブロッカー剤
電位依存性ナトリウムチャネルブロッカー剤としては、例えば、インドキサカルブ(indoxacarb)等のオキサジアジン化合物(22A);メタフルミゾン(metaflumizone)等のセミカルバゾン化合物(22B)等が挙げられる。
【0042】
(b22)グループ23:アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤
アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤としては、例えば、スピロジクロフェン(spirodiclofen)、スピロメシフェン(spiromesifen)、スピロテトラマト(spirotetramat)等のテトロン酸又はテトラミン酸誘導体等が挙げられる。
【0043】
(b23)グループ24:ミトコンドリア電子伝達系複合体IV阻害剤
ミトコンドリア電子伝達系複合体IV阻害剤としては、例えば、リン化アルミニウム、リン化カルシウム、リン化水素、リン化亜鉛等のホスフィン系化合物(24A);シアニド塩等のシアニド系化合物(24B)等が挙げられる。
【0044】
(b24)グループ25:ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤
ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤としては、例えば、シフルメトフェン(cyflumetofen)、シエノピラフェン(cyenopyrafen)等のβ-ケトニトリル誘導体(25A);ピフルブミド(pyflubumide)等のカルボキサニリド系化合物等が挙げられる。
【0045】
(b25)グループ28:リアノジン受容体モジュレーター剤
リアノジン受容体モジュレーター剤としては、例えば、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シアントラニリプロール(cyantraniliprole)、シクラニリプロール(cycloniliprole)、フルベンジアミド(flubendiamide)、テトラニリプロール(tetraniliprole)、シハロジアミド(cyhalodiamide)等のジアミド系化合物等が挙げられる。
【0046】
(b26)グループ29:弦音器官モジュレーター剤
弦音器官モジュレーター剤としては、例えば、フロニカミド(flonicamid)等が挙げられる。
【0047】
(b27)グループUN:作用機構が特定されていない殺虫剤・殺ダニ剤
作用機構が特定されていない殺虫剤・殺ダニ剤としては、例えば、アザジラクチン(azadirachtin)、ベンゾキシメート(benzoximate)、ブロモプロピレート(bromopropylate)、キノメチオナート(quinomethionat)、ジコフォル(dicofol)、ピリダリル(pyridalyl)、アミドフルメット(amidoflumet)、アシノナピル(acynonapyr)、フルペンチオフェノックス(flupentiofenox)等が挙げられる。
【0048】
(B-1)殺虫活性化合物
(B-1)殺虫活性化合物は、公知化合物であり、市販品であるため、容易に入手できる。
【0049】
(B-1)殺虫活性化合物として好ましくは、
(b1)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、
(b2)GABA作動性塩素イオンチャネルアンタゴニスト剤、
(b3)ナトリウムチャネルモジュレーター剤、
(b4)ニコチン性アセチルコリン受容体拮抗モジュレーター剤、
(b8)臭化メチル、クロロピクリン、クリオライト、フッ化スルフリル、ホウ砂、吐酒石、ダゾメット、メタム、
(b9)弦音器官TRPVチャンネルモジュレーター剤、
(b14)ニコチン性アセチルコリン受容体チャネルブロッカー剤、
(b20)ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤、及び
(b25)リアノジン受容体モジュレーター剤
(b27)アザジラクチン、ベンゾキシメート、ブロモプロピレート、キノメチオナート、ジコフォル、ピリダリル、及びアミドフルメット
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、より好ましくは
(b1)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、
(b2)GABA作動性塩素イオンチャネルアンタゴニスト剤、
(b3)ナトリウムチャネルモジュレーター剤、
(b4)ニコチン性アセチルコリン受容体拮抗モジュレーター剤、
(b9)弦音器官TRPVチャンネルモジュレーター剤、
(b14)ニコチン性アセチルコリン受容体チャネルブロッカー剤、
(b20)ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤、及び
(b25)リアノジン受容体モジュレーター剤
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0050】
中でも、さらに好ましい殺虫活性化合物は、ベンフラカルブ、BPMC、イミダクロプリド、ジノテフラン、ニテンピラム、チアメトキサム、カルタップ、シアントラニリプロール、フィプロニル、エトフェンプロックス、シペルメトリン、ラムダシハロトリン、シラフルオフェン、トルフェンピラド、クロルフェナピル、カルボフラン、エチプロール、フルベンジアミド、ピレトリン、ペルメトリン、クロチアニジン、チオシクラム、及びピメトロジンである。
【0051】
より一層好ましい殺虫活性化合物は、ベンフラカルブ、BPMC、イミダクロプリド、ジノテフラン、ニテンピラム、チアメトキサム、カルタップ、シアントラニリプロール、フィプロニル、エトフェンプロックス、シペルメトリン、ラムダシハロトリン、シラフルオフェン、及びピメトロジンである。
【0052】
(B-2)殺ダニ活性化合物
(B-2)殺ダニ活性化合物は、公知化合物であり、市販品であるため、容易に入手できる。
【0053】
(B-2)殺ダニ活性化合物として好ましくは、
(b6)グルタミン酸作動性塩素イオンチャネルアロステリックモジュレーター剤、
(b10)ダニ類成育阻害剤、
(b12)ミトコンドリアATP生合成酵素阻害剤、
(b13)酸化的リン酸化脱共役剤、
(b18)オクトパミン受容体アゴニスト剤、
(b19)ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤、
(b20)ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤、
(b22)アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤、
(b24)ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤、及び
(b27)作用機構が特定されていない殺虫剤・殺ダニ剤
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0054】
中でも、より好ましい殺ダニ活性化合物は、アバメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、アミトラズ、フェナザキン、テブフェンピラド、シエノピラフェン、シフルメトフェン、アセキノシル、ビフェナゼート、プロパルギット、ジアフェンチウロン、クロルフェナピル、スピロジクロフェン、アクリナトリン、アミドフルメット、アゾシクロチン、ベンゾキシメート、ブロモプロピレート、ジコフォル、ジエノクロル、エトキサゾール、酸化フェンブタスズ、フェノチオカルブ、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、フルアクリピリム、ホルメタネート、ハルフェンプロックス、ヘキシチアゾクス、ピフルブミド、ピリダベン、ピリミジフェン、スピロテトラマト、アシノナピル及びフルペンチオフェノックスである。
【0055】
さらに好ましい殺ダニ活性化合物は、アバメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、アミトラズ、フェナザキン、テブフェンピラド、シエノピラフェン、シフルメトフェン、アセキノシル、ビフェナゼート、プロパルギット、ジアフェンチウロン、クロルフェナピル、スピロジクロフェン、アシノナピル及びフルペンチオフェノックスである。
【0056】
本発明においては、成分(A)100質量部に対して、成分(B)を通常0.0001~99.9量部、好ましくは0.001~20重量部、より好ましくは0.017~12.3重量部配合する。
成分(B)は、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物100質量部中に、1~99質量部、好ましくは3~70質量部、より好ましくは5~50質量部含まれる。
【0057】
本発明の殺虫殺ダニ剤組成物は、他の成分を加えず、成分(A)と成分(B)とを配合するだけでよいが、必要に応じて界面活性剤、その他の製剤用補助剤を添加して、通常の製剤化方法に従い、油剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤、粒剤、粉剤、エアゾール、煙霧剤等に製剤して使用するのがよい。
本発明の殺虫殺ダニ剤組成物は、成分(C)、又は成分(C)及び(D)を含む助剤を含有することができる。
助剤成分(C)はノニオン系界面活性剤であり、好ましくは脂肪酸エステル、及びアミノ酸誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル等が挙げられる。
ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンヒマシ油、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。ポリオキシエチレンヒマシ油が最も好ましい。
【0058】
ポリオキシエチレン基の付加モル数は、好ましくは5~80モル、さらに好ましくは10~60モル、最も好ましくは、20~50モルである。
アミノ酸誘導体としては、ピログルタミン酸エステルが好ましく、N-アシルグルタミン酸エステルがより好ましい。
助剤成分(C)は、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物100質量部中に、0.1~80質量部、好ましくは0.1~10質量部、更に好ましくは0.1~5質量部含まれる。
【0059】
本発明の殺虫殺ダニ剤組成物は、さらに助剤成分(D)のグリセリン誘導体を含有することが好ましい。成分(D)のグリセリン誘導体の具体例としては、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。さらに具体的には、グリセリンモノアルキル脂肪酸エステル、グリセリンジアルキル脂肪酸エステル、ポリグリセリンモノアルキル脂肪酸エステル、ポリグリセリンポリアルキル脂肪酸エステル等が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、ジグリセリン脂肪酸エステルが更に好ましい。これらのエステルの構成脂肪酸としては炭素原子数12~18の脂肪酸、例えば、オレイン酸、ラウリン酸等が好ましい。
具体例としては、ジグリセリンオレート(DO-100)、ジグリセリンラウレート(DL-100)、テトラグリセリンオレート(J-4581)、ヘキサグリセリンラウレート(J-6021)、デカグリセリンオレート(J-0381)、ポリグリセリンオレート(AG-7520)等が挙げられる。
助剤成分(D)は、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物100質量部中に、0.1~80質量部、好ましくは0.1~10質量部、更に好ましくは0.1~5質量部含まれる。
【0060】
本発明の殺虫殺ダニ剤組成物には、任意成分(E)として低級アルコールを含有させることができる。このような低級アルコールとしては、炭素原子数1~4の脂肪族アルコール、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール等が例示でき、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールが好ましく、より好ましくは1-プロパノールおよび2-プロパノールである。
成分(E)は、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物100質量部中に、0.1~80質量部、好ましくは0.1~10質量部、更に好ましくは0.1~5質量部含まれる。
【0061】
本発明の殺虫殺ダニ剤組成物は、好ましくは100~10000倍、さらに好ましくは200~5000倍に水で希釈し、有効成分(A)及び(B)の合計量が、好ましくは0.01~1質量%、さらに好ましくは0.02~0.5質量%程度となるようにして散布することが好ましい。
本発明の殺虫殺ダニ剤組成物は、有効成分(A)及び(B)の合計量が、好ましくは0.2kg/10aから8kg/10a、さらに好ましくは0.5kg/10aから3kg/10aの範囲で作物に散布することが望ましい。
【0062】
本発明の殺虫殺ダニ剤組成物の散布時期は害虫の種類によっても異なるが、通常は、産卵の発生初期から終期まで散布できる。より早い時期の散布が効果的であるが、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物は殺卵性が高いので産卵を確認した後に散布しても有効である。
【0063】
本発明の殺虫殺ダニ剤組成物は、あらゆる農作物害虫に対し殺虫の効果があり、且つ農作物害虫の卵に対して殺卵効果がある。対象害虫として、例えば、以下のものが挙げられる。
翅チョウ目類:ヨトウムシ(Mamestra brassicae)、アワヨトウ(Leucania separata)、コナガ(Plutella maculipennis)、
ハダニ類:ミカンハダニ(Panonychus citri)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、
フシダニ類:ミカンサビダニ(Aculus pelekassi)、トマトサビダニ(Aculops lycopersici)
ホコリダニ類:チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)、
コナダニ類:ホウレンソウケナガコナダニ(Tyrophagus similes)、
アブラムシ類:ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、
コナジラミ類:オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorus)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、
カイガラムシ類:フジコナカイガラムシ(Planococcus kuraunhiae)、イセリヤカイガラムシ(Icerya purchasi)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)、ツノロウムシ(Ceroplastes pseudoceriferus)、
アザミウマ類:ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)。
【0064】
以上において、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物に成分(A)~(E)を全て含有させ、それを使用することを説明したが、成分(A)を含む組成物と成分(B)を含む組成物とを別個を調製しておき、ダニの防除の際にこれら2種の組成物を順次又は同時に、好ましくは同時に使用してもよい。この場合、成分(A)及び成分(B)は、上記と同様の割合で併用するのがよい。また、成分(C)~(E)は、成分(A)を含む組成物及び成分(B)を含む組成物のいずれか一方に含まれていればよいが、両方に含まれていてもかまわない。
【実施例0065】
以下、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。なお、以下において、単に「部」とあるのは「質量部」を意味する。
【0066】
<成分(A)を含む組成物>
製剤A
調合油(サフラワー油及び綿実油)を含む乳剤として、OATアグリオ(株)製のサフオイル(登録商標)乳剤を用意した。この製剤を「製剤A」とする。
【0067】
<成分(B)を含む組成物>
製剤B
ミルベメクチンを含む乳剤として、三井化学アグロ(株)製のコロマイト(登録商標)乳剤(ミルベメクチンを1.0質量%含む乳剤)を用意した。この製剤を「製剤B」とする。
【0068】
製剤C
シフルメトフェンを含む水和剤(フロアブル剤)として、OATアグリオ(株)製のダニサラバ(登録商標)フロアブル(シフルメトフェンを20.0質量%含むフロアブル剤)を用意した。この製剤を「製剤C」とする。
【0069】
製剤D
ピリダベンを含む水和剤(フロアブル剤)として、日産化学(株)製のサンマイト(登録商標)フロアブル(ピリダベン20質量%を含むフロアブル剤)を用意した。この製剤を「製剤D」とする。
【0070】
製剤E
エトキサゾールを含む水和剤(フロアブル剤)として、協友アグリ(株)製のバロック(登録商標)フロアブル(エトキサゾール10質量%を含むフロアブル剤)を用意した。この製剤を「製剤E」とする。
【0071】
製剤F
スピロメシフェンを含む水和剤(フロアブル剤)として、バイエルクロップサイエンス(株)製のダニゲッター(登録商標)フロアブル(スピロメシフェン30質量%を含むフロアブル剤)を用意した。この製剤を「製剤F」とする。
【0072】
製剤G
ピフルブミドを含む水和剤(フロアブル剤)として、日本農薬(株)製のダニコング(登録商標)フロアブル(ピフルブミド20質量%を含むフロアブル剤)を用意した。この製剤を「製剤G」とする。
【0073】
製剤H
エマメクチン安息香酸塩を含む乳剤として、シンジェンタジャパン(株)製のアファーム(登録商標)乳剤(エマメクチン安息香酸塩を1.0質量%含む乳剤)を用意した。この製剤を「製剤H」とする。
【0074】
製剤I
トルフェンピラドを含む乳剤として、OATアグリオ(株)製のハチハチ(登録商標)乳剤(トルフェンピラドを15.0質量%含む乳剤)を用意した。この製剤を「製剤I」とする。
【0075】
製剤J
トルフェンピラドを含む水和剤(フロアブル剤)として、OATアグリオ(株)製のハチハチ(登録商標)フロアブル(トルフェンピラドを15.0質量%含むフロアブル剤)を用意した。この製剤を「製剤J」とする。
【0076】
製剤K
アラニカルブを含む水和剤として、OATアグリオ(株)製のオリオン(登録商標)水和剤40(アラニカルブを40.0質量%含む水和剤)を用意した。この製剤を「製剤K」とする。
【0077】
製剤L
イミダクロプリドを含む水和剤(フロアブル剤)として、バイエルクロップサイエンス(株)製のアドマイヤー(登録商標)フロアブル(イミダクロプリド20質量%を含むフロアブル剤)を用意した。この製剤を「製剤L」とする。
【0078】
<本発明の殺虫殺ダニ剤組成物>
実施例1~4
製剤A(サフオイル(登録商標)乳剤)と製剤B(ミルベメクチン乳剤)とを表1に記載の希釈倍率で希釈し(比較例1~4)、それらを混合することにより、表1に記載の供試濃度の製剤A+B(実施例1~4)をそれぞれ製造した。
【0079】
実施例5
製剤A(サフオイル(登録商標)乳剤)と製剤C(シフルメトフェン水和剤)とを表1に記載の希釈倍率で希釈し(比較例1~2及び5)、それらを混合することにより、表1に記載の供試濃度の製剤A+C(実施例5)を製造した。
【0080】
実施例6
製剤A(サフオイル(登録商標)乳剤)と製剤D(ピリダベン水和剤)とを表2に記載の希釈倍率で希釈し(比較例7~8)、それらを混合することにより、表2に記載の供試濃度の製剤A+D(実施例6)を製造した。
【0081】
実施例7
製剤A(サフオイル(登録商標)乳剤)と製剤E(エトキサゾール水和剤)とを表3に記載の希釈倍率で希釈し(比較例10~11)、それらを混合することにより、表3に記載の供試濃度の製剤A+E(実施例7)を製造した。
【0082】
実施例8~9
製剤A(サフオイル(登録商標)乳剤)と製剤F(スピロメシフェン水和剤)とを表3に記載の希釈倍率で希釈し(比較例12~13)、それらを混合することにより、表3に記載の供試濃度の製剤A+F(実施例8~9)をそれぞれ製造した。
【0083】
実施例10~11
製剤A(サフオイル(登録商標)乳剤)と製剤G(ピフルブミド水和剤)とを表4に記載の希釈倍率で希釈し(比較例15~17)、それらを混合することにより、表4に記載の供試濃度の製剤A+G(実施例10~11)をそれぞれ製造した。
【0084】
実施例12~15
製剤A(サフオイル(登録商標)乳剤)と製剤H(エマメクチン安息香酸塩乳剤)とを表5に記載の希釈倍率で希釈し(比較例19~22)、それらを混合することにより、表5に記載の供試濃度の製剤A+H(実施例12~15)をそれぞれ製造した。
【0085】
実施例16~17
製剤A(サフオイル(登録商標)乳剤)と製剤I(トルフェンピラド乳剤)とを表6に記載の希釈倍率で希釈し(比較例24~26)、それらを混合することにより、表6に記載の供試濃度の製剤A+I(実施例16~17)をそれぞれ製造した。
【0086】
実施例18~19
製剤A(サフオイル(登録商標)乳剤)と製剤J(トルフェンピラド水和剤)とを表6に記載の希釈倍率で希釈し(比較例24及び27~28)、それらを混合することにより、表6に記載の供試濃度の製剤A+J(実施例18~19)をそれぞれ製造した。
【0087】
実施例20~21
製剤A(サフオイル(登録商標)乳剤)と製剤K(アラニカルブ水和剤)とを表6に記載の希釈倍率で希釈し(比較例24及び29~30)、それらを混合することにより、表6に記載の供試濃度の製剤A+K(実施例20~21)をそれぞれ製造した。
【0088】
実施例22~24
製剤A(サフオイル(登録商標)乳剤)と製剤L(イミダクロブリド水和剤)とを表7に記載の希釈倍率で希釈し(比較例32~35)、それらを混合することにより、表7に記載の供試濃度の製剤A+L(実施例22~24)をそれぞれ製造した。
【0089】
実施例25~30
製剤A(サフオイル(登録商標)乳剤)と製剤C(シフルメトフェン水和剤)とを表8に記載の希釈倍率で希釈し(比較例37~41)、それらを混合することにより、表8に記載の供試濃度の製剤A+C(実施例25~30)をそれぞれ製造した。
【0090】
実施例31~32
製剤A(サフオイル(登録商標)乳剤)と製剤C(シフルメトフェン水和剤)とを表9に記載の希釈倍率で希釈し(比較例43~45)、それらを混合することにより、表9に記載の供試濃度の製剤C+A(実施例31~32)をそれぞれ製造した。
【0091】
試験例1(ナミハダニ雌成虫に対する効力試験)
供試薬剤として上記製剤A(比較例1~2、7、10及び15~16)、製剤B(比較例3~4)、製剤C(比較例5)、製剤D(比較例8)、製剤E(比較例11)、製剤F(比較例12~13)、製剤G(比較例17)、製剤A+B(実施例1~4)、製剤A+C(実施例5)、製剤A+D(実施例6)、製剤A+E(実施例7)、製剤A+F(実施例8~9)、及び製剤A+G(実施例10~11)を使用した。
下部から吸水できるようにした不織布にインゲンマメ葉片(約3.5×4.5cm)を載せ、その上にナミハダニ雌成虫を約30個体放虫し、25±2℃、湿度50%の恒温室内に静置した。翌日、上記の供試薬剤を150L/10a相当にて散布した後、風乾し、恒温室内(25±2℃、湿度50%)で静置し、処理3日後にナミハダニの死亡率を調査した。なお、死亡率(%)は、Abbott(Abbott、1925)方法により算出した。[E=(X―Y)/X×100,ここで、Eは補正死亡率(以下、死亡率)で、Xは無処理区の生存率、Yは処理区の生存率である]。
また、理論値はコルビーの式(Colby S.R.1967,Weeds15,20&#8722;22)にて算出した。[F=(A+B)―(A×B)/100,ここで、Fは理論値、AはAのみを処理した場合の死亡率、BはBのみを処理した場合の死亡率である]。上記で算出した実測値と理論値において、得られた結果が、理論値よりも実測値が大きければ相乗作用、実測値と理論値が同じであれば相加作用と解析される。その結果を表1~表4に示す。
【0092】
試験例2(ナミハダニ卵に対する効力試験)
供試薬剤として上記製剤A(比較例1~2)、製剤B(比較例3~4)、製剤C(比較例5)、製剤A+B(実施例1~4)、及び製剤A+C(実施例5)を使用した。
下部から吸水できるようにした不織布にインゲンマメ葉片(約3.5×4.5cm)を載せ、その上にナミハダニ雌成虫を約20個体放虫し、25±2℃、湿度50%、16L8Dの恒温室内に静置した。翌日、雌成虫を除去し、上記の供試薬剤を150L/10a相当にて散布した後、風乾し、恒温室内(25±2℃、湿度50%)で静置し、処理6日後にナミハダニの殺卵率を調査した。その結果を表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
<結果>
表1~4より、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物(実施例1~11)は、調合油のみ(製剤A)又は既存の殺虫殺ダニ剤のみ(製剤B~G)に比べて、ナミハダニに対する防除効果が向上したことがわかった。
【0098】
試験例3(ミカンキイロアザミウマに対する効力試験)
供試薬剤として上記製剤A(比較例19~20及び24)、製剤H(比較例20~21)、製剤I(比較例25~26)、製剤J(比較例27~28)、製剤K(比較例29~30)、製剤A+H(実施例12~15)、製剤A+I(実施例16~17)、製剤A+J(実施例18~19)、及び製剤A+K(実施例20~21)を使用した。
下部から吸水できるようにした不織布(4.5×5.5cm)上に、インゲンマメ葉片(約3.5×4.5cm)をのせ、その上にミカンキイロアザミウマ一齢幼虫15個体を放虫し、25±2℃、湿度50%の恒温室内に静置した。翌日、上記の供試薬剤を150L/10a相当にて散布した後に風乾し、25±2℃、湿度50%の恒温室内に静置した。処理2日後にミカンキイロアザミウマの死虫率を調査した。その結果を表5及び表6に示す。
【0099】
【表5】
【0100】
【表6】
【0101】
<結果>
表5及び6より、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物(実施例12~21)は、調合油のみ(製剤A)又は既存の殺虫殺ダニ剤のみ(製剤H~K)に比べて、ミカンキイロアザミウマに対する防除効果が向上したことがわかった。
【0102】
試験例4(ワタアブラムシ)に対する試験)
供試薬剤として上記製剤A(比較例32)、製剤L(比較例33~35)、及び製剤A+L(実施例22~24)を使用した。
下部から吸水できるようにした不織布にキュウリ葉片を載せ、その上にワタアブラムシを約20体放虫し、25±2℃、湿度50%の恒温室内に静置した。上記の供試薬剤を150L/10aにて散布した後、風乾し、恒温室内(25±2℃、湿度50%)で静置し、処理3日後にワタアブラムシの死虫率を調査した。その結果を表7に示す。
【0103】
【表7】
【0104】
<結果>
表7より、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物(実施例22~24)は、調合油のみ(製剤A)又は既存の殺虫殺ダニ剤のみ(製剤L)に比べて、ワタアブラムシに対する防除効果が向上したことがわかった。
【0105】
試験例5(ミカンハダニ雌成虫に対する効力試験)
供試薬剤として上記製剤A(比較例37~39)、製剤C(比較例40~41)、及び製剤A+C(実施例25~30)を使用した。
下部から吸水できるようにした不織布にカンキツ葉片を載せ、その上にミカンハダニを約12個体放虫し、25±2℃、湿度50%の恒温室内に静置した。上記の供試薬剤を150L/10aにて散布した後、風乾し、恒温室内(25±2℃、湿度50%)で静置し、処理3日後にミカンハダニの死虫率を調査した。その結果を表8に示す。
【0106】
試験例6(ミカンハダニ卵に対する効力試験)
供試薬剤として上記製剤A(比較例37~39)、製剤C(比較例40~41)、及び製剤A+C(実施例25~30)を使用した。
下部から吸水できるようにした不織布にカンキツ葉片を載せ、その上にミカンハダニを約12個体放虫し、25±2℃、湿度50%、16L8Dの恒温室内に静置した。翌日、雌成虫を除去し、上記の供試薬剤を150L/10aにて散布した後、風乾し、恒温室内(25±2℃、湿度50%)で静置し、処理12日後にミカンハダニの殺卵率を調査した。その結果を表8に示す。
【0107】
【表8】
【0108】
<結果>
表8より、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物(実施例25~30)は、調合油のみ(製剤A)又は既存の殺虫殺ダニ剤のみ(製剤C)に比べて、ミカンハダニに対する防除効果が向上したことがわかった。
【0109】
試験例7(ミカンハダニに対するカンキツポットでの防除効果)
供試薬剤として上記製剤A(比較例44~45)、製剤C(比較例43)、及び製剤C+A(実施例31~32)を使用した。
ミカンハダニが寄生したカンキツポット苗に、上記の供試薬剤を150L/10aにて散布した。散布後、3、7、14、21、28及び35日後に20葉あたりのミカンハダニ雌成虫を計数した。また、補正密度指数及び防除価を計算した。その結果を表9に示す。
【0110】
【表9】
【0111】
<結果>
表9より、本発明の殺虫殺ダニ剤組成物(実施例31~32)は、調合油のみ(製剤A)又は既存の殺虫殺ダニ剤のみ(製剤C)に比べて、ミカンハダニに対する防除効果が向上したことがわかった。