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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120583
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】電磁波炉
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/80 20060101AFI20220810BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
H05B6/80 Z
H05H1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017562
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】502030271
【氏名又は名称】石川 泰男
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 泰男
【テーマコード(参考)】
2G084
3K090
【Fターム(参考)】
2G084AA15
2G084CC27
3K090AA01
3K090AB20
3K090BA07
3K090LA09
(57)【要約】
【課題】加熱により発生する電磁波を増大させつつ熱を外部に取出す。
【解決手段】筒形のケーシング1内にカーボン筒Cを内張りし、その内側に同心状に複数のカーボン筒4、6、7を配設し、これらカーボン筒間に、ドーナツ状の反応空間10、11、12を形成し、これら反応空間10、11、12内に気体状又は液体状の増幅材を供給し、最小径の第1カーボン筒4から放射された電磁波のエネルギーを増幅させつつ熱取出部に熱を供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形ケーシングと、このケーシング内に同心状に定常波を放射するように間隔を配して設置した複数のカーボン筒と、前記ケーシング内のほぼ中心に位置する最小径のカーボン内に電磁波を放射するように配設された加熱装置と、前記ケーシングの外側に設けられ、カーボン筒の熱を取出すための熱取出部とからなり、前記カーボン筒間の断面ドーナツ状の反応空間内に気体状又は液体状の増幅材を供給してプラズマ空間を形成した電磁波炉。
【請求項2】
前記各カーボン筒の間隔は、ケーシングの半径方向が増大するに従い漸次狭くなっている請求項1記載の電磁波炉。
【請求項3】
前記増幅材は、りん、水銀、臭素、硫黄、CO2ガス、ナトリウム、カリウム、亜鉛である請求項1記載の電磁波炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱により発生する電磁波のエネルギーを増幅させて熱エネルギーとして取出すための電磁波炉に関する。
【背景技術】
【0002】
本件発明者は、従来、ステンレス容器にカセイソーダとステンレス材を入れ、500~600℃に加熱して水から水素を分離したり、CO2ガスを水素に変換したりしていた。このようなエネルギーを発生させる原理は加熱により発生する電磁波であることを近年認識していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】PCT/JP2020/13061
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、プラズマ反応により高エネルギーが不確定原理に基づいて発生し、発生する電磁波もエネルギーの大きな定常波であることも認識されているが、プラズマ反応の目的は水から水素を大量に採集することである。また、ステンレス炉の内壁に黒煙膜を形成して壁面へ酸化膜の形成を防止し壁面からの電磁の発生に支障がないようにすることも開示されている。
【0005】
しかしながら、ステンレス炉から熱を取り出すことは、何ら着目していないし、前記黒煙膜を厚みを有したカーボン筒として熱伝達媒体として使用することについて開示も示唆もされていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電磁波炉は、筒状ケーシングと、このケーシング内に定常波を放射するように同心状に間隔を配して放置した複数のカーボン筒と、前記ケーシング内のほぼ中心に位置する最小径のカーボン筒内に配設された加熱装置と、前記筒形ケーシングの外側に設けられ、最大径のカーボン筒の熱を取り出すための熱取出部からなり、前記カーボン筒間の断面ドーナツ状の反応空間に増幅材を供給して反応空間の温度を上昇させるようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、各カーボン筒は加熱により電磁波を放射し、電磁波を受けるとそれを吸収し温度が上昇すると同時に反射波を放射し、特に、ケーシングの中間部分に位置するカーボン筒は、その入射側の面で電子振動が起り、エネルギーの吸収により温度が上昇すると同時に反射波を放射する。一方、温度が上昇した反対側の面からは、その温度に対応する周波数の電磁波を放射し、加熱装置からの熱を熱取出部に伝達する。
【0008】
また、各カーボン筒内の断面ドーナツ状の反応空間には、気体又は液体状のリン、CO2等が増幅材として供給され、これら増幅材の原理はハイデルベルグの不確定性原理に基づいて短時間高エネルギーを発生させ、この高エネルギーの発生に伴って前記原子はプラズマ崩壊して高エネルギーを吸収し、この段階では温度は上昇しないが、次の再結合、すなわち、プラズマ崩壊により分離した陽子、中性、電子が陽子と中性子、中性子同士、陽子と電子の組合せで再結合するので、この段階で反応空間の温度が上昇する(100℃以上)。各反応空間に供給する増幅材の種類と量によって熱取出部に与える熱量がコントロールされる。
【0009】
また、各反応空間を往復動する電磁波は、定常波であり、通常の電磁波に比較してエネルギー(E=hγ)が大きい(周波数(γ)の2乗)で、大量の熱を熱取出部に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の電磁波炉の縦断面図である。
図2】本発明の電磁波炉の横断面図である。
図3】カーボン筒の作用説明図である。
図4】各カーボン筒のエネルギーの強度関係説明図である。
図5】定常波の説明図である。
図6】増幅材の作用説明図である。
図7】中間に位置するカーボン筒の熱伝達状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1、2において、本発明の電磁波炉Mは、円筒状のステンレス製のケーシング1を有し、このケーシング1内壁には、カーボン筒Cが内張りされ、ケーシング1の端板1a、1bには、カーボン板2a、2bが内張りされている。前記ケーシング1の中央には、軸方向にステンレス製の内筒3(加熱筒)が設けられ、この加熱筒3の外側に小径の第1カーボン筒4が外接している。そして、第1カーボン筒4内に電気ヒータ5が設けられ、この電気ヒータ5及び加熱筒3が加熱装置hを形成している。なお、電気ヒータ5の代わりにバーナを設置して、排気手段を設けて熱ガスで第1カーボン筒4を加熱してもよい。
【0012】
前記第1カーボン筒4の外側には、半径方向間隔Laを介して第2カーボン筒6が、その外側には、第3カーボン筒7が間隔Lbを介して同心状に設けられ、更にその外側に前記カーボン筒Cが間隔Lcを介して同心状に設けられている。そしてケーシング2の外側には熱媒ジャケット8が形成され、この熱媒ジャケット8内には、水又は溶融塩が流通して、加熱されたケーシング1の熱を外側に取り出す熱取出部を形成している。
【0013】
前記各カーボン筒4、6、7、Cは、同心状に配設され、第2、第3カーボン筒は、各々ケーシング1の端板1a、1bに突設されていた支持突起S、S…Sによって支持されている。前記各カーボン筒間はドーナツ状の反応空間10、11、12をなし、これら反応空間10、11、12は装置作動前は真空に引かれており、これら空間の温度を高めるために、気体状又は液体状の増幅材が注入されると、イオンと電子からなるプラズマ空間となる。
【0014】
前記加熱装置hのヒータ5の作動により第1カーボン筒4が加熱されると、このカーボン筒4の表面からはカーボン筒の半径方向に加熱温度に対応して電磁波が放射される。加熱温度150~250℃においては、主としてマイクロ波(109~1012Hz)が、温度250~350℃では、主として遠赤外線(1013Hz)が、温度350~500℃では遠赤外線(1014Hz)が放射される。これらの電磁波は定常波であるが、この定常波のエネルギーがどのようにして最大径のカーボン筒Cに伝達されるかについて説明する。
【0015】
図3、4において、前記各カーボン筒の軸方向長さは等しく半径方向長さのみが異なるのであるので、カーボン筒の中心軸0からの半径方向基準b0と任意の半径方向面b1における各カーボン筒の切取り面積S1、S2、S3、S4の面積比率は、各カーボン筒の半径L1、L2、L3、L4に比例する。
【0016】
一般に、定常波とは、図5に示すように両端が固定され、半波長の整数倍(n)が、両端間の距離Lとなる波を言い、本装置の場合、両端に相当するのが各カーボン筒の表面であり、その間を電磁波wが往復動する。電磁波がカーボン筒の表面に当たると、そのエネルギー(hγ)は熱として吸収されてカーボン筒を加熱するとともに、そこに存在する電子e-を振動させる。この電子e-の振動が反射波として放射され、対向壁に当たる。この対向壁は加熱されると同時に反射波を放射し、この往復動作が光の速度で行われる。
【0017】
更に、具体的に説明すると、図7において、第1カーボン筒4が200℃に加熱装置hによって加熱されるとマイクロ波(109Hz)に相当する電磁波w1が放射されるが、この電磁波w1は定常波なので、そのエネルギーは、
hγ2=h×109×2=1018hに相当する。
【0018】
この電磁波w1は第2カーボン筒6の内壁に当たって、その部分の電子e-がエネルギーを得るとともに電子e-を壁面方向に振動させる。これにより壁面の温度が上昇するとともに電子e-の振動により反射波w2を放射する。このときの入射波と反射波の振動軸は共通しエネルギーは大きくなる。したがって、第2カーボン筒6は加熱され、定常波w3を第3カーボン筒7に対して放射し、第3カーボン筒7は定常波w4を反射波として第2カーボン筒6に対して放射する。こうして、各カーボン筒間を電磁波が往復動して第1カーボン筒4の熱エネルギーがケーシング内側カーボン筒Cに伝達される。
【0019】
図5において井戸形ポテンシャル内を往復動する定常波の波長(λ)の半分が井戸の幅Lに等しい場合をn(量子数)=1とし、波長λ=幅Lの時をn=2とし、3/2λ=Lとの時をn=3とすれば、nとLと運動エネルギーEとの関係はシュレディンガーの波動方程式から
【0020】
【数1】
【0021】
となり、運動エネルギーはn2に正比例し、(γ2に正比例)、L2に反比例することとなる。
【0022】
(1)式は、質量を持つ場合の運動エネルギーであるが、ド・ブロイの物質波の理論から質量を持たないカーボン筒から放射される電磁波にも適用し得る。すなわち、本発明の電磁波の定常波は、周波数の2乗に比例するとともに、カーボン筒間の距離の2乗に反比例することとなる。したがって、マイクロ波が第1カーボン筒4の表面から放射された場合、そのエネルギーは、周波数109×2~1012×2の周波数のエネルギーに相当することとなり、結局X線~γ線のエネルギーに相当することとなる。第1カーボン筒4から放射された電磁波のエネルギーは、第2カーボン筒6を加熱するが、このとき、第2カーボン筒6の表面積は第1カーボン筒のそれのL2/L1倍であるので、第1カーボン筒4からの全エネルギーは分散され、第2カーボン筒6の温度は、第1カーボン筒4のそれのL1/L2倍に減少する。同様に、第2カーボン筒6と第3カーボン筒7との温度比はL2/L3倍、L3/L4となり、次第に温度が下降していく。したがって、温度の下降比率を小さくするには、各カーボン筒の間隔を次第に小さくする必要がある。なお、各カーボン筒間の距離を次第に小さくすると、電磁波の筒間の往復動する数が増大するので、温度降下をある程度抑えることが出来る。
【0023】
前記断面ドーナツ状の反応空間10、11、12には、外部から図1に示す端板1aに形成された注入管20、21、22を介して増幅材が供給され、増幅材の反応結果として生じる水素ガスが、排出管23、24、25を介して排出される。増幅材は気体であることが好ましく、例えば、臭素(沸点59℃)、リン(沸点280℃)、水銀(沸点356℃)、硫黄(沸点445℃)が、沸点が低く気体に変え易いので使い易い。また、CO2は気体なのでそのまま注入される。なお、液体で供給することも可能であり、この場合には、ナトリウム(融点98℃)、カリウム(融点64℃)、亜鉛(融点419℃)が好適である。これらの増幅材は、同様の作用をするが、特にアルカリ金属(Na、K)は、イオン化エネルギーが低く、活性でクオンタムジャンプによる周波数の増大、誘導放出による電磁波の数の増加が大きくなる。これらの原子状の増幅材に高エネルギーの定常波が当たると、定常波のエネルギーは増幅され、更に増幅された電磁波が光速でカーボン筒間を往復動すると、確率的に高エネルギーが発生し、図6に示すように、ハイデルベルグの不確定性原理に従って極く短時間(Δt)だけ高エネルギー(ΔE)が継続する。この高エネルギーの電磁波が当たった増幅材の原子の原子核a・nはプラズマ崩壊し、陽子Pと中性子nと電子e-に分離する。なお、増幅材の原子は、電磁波炉内に供給されると電磁波によって直ちに電離して原子の陽イオンと、電子e-に分離し、各反応空間はプラズマ空間を形成し、プラズマ空間内では、電離していない中性の原子と、電離した陽イオンと、電子e-とに分離しているので、発生した高エネルギー電磁波は、中性子、陽イオンを分離し、更には電子e-にもエネルギーを与えることとなる。プラズマ崩壊して高速で飛び交う陽子、中性子、電子は、互いに接近したり離れたりするが、陽子と中性子、中性子同士、陽子と電子は再結合し、この時に熱を発生し、各プラズマ空間の温度を高めることとなる。この再結合の熱発生が、各プラズマ空間で起きると、第1カーボン筒4の電磁波のエネルギーを著しく増幅するので熱取出部8の熱量が著しく増加する。すなわち、第1カーボン筒4の電磁波のエネルギーは、プラズマ空間10の作用により増幅されるので、第2カーボン筒6の温度が上昇し、この上昇は第2カーボン筒6から放射される電磁波の周波数を増加し、この増加は電磁波のエネルギーを周波数の比率の2乗で増大せしめ、各カーボン筒間の距離の減少の効果と増幅材の増幅効果とが相俟って熱取出部8の熱量を著しく増大せしめる。また、プラズマ崩壊の発生熱を増大させるためには、再結合する陽子と中性子の数を増大せしめれば良いが、崩壊エネルギーは不必要で電離エネルギー(イオン化エネルギー)のみで済む水素ガスを供給するのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、小型の熱発生装置として蒸気タービンを介して小型発電機に接続でき、発電分野に適用できる。
【符号の説明】
【0025】
1…ケーシング
2a、2b…端板
3、6、7、C…カーボン筒
8…熱取出部
10、11、12…プラズマ空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7