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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120625
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】燃料電池車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20220810BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20220810BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20220810BHJP
   H01M 8/04664 20160101ALI20220810BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20220810BHJP
   B60L 50/75 20190101ALI20220810BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20220810BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20220810BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20220810BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/00 Z
H01M8/00 A
H01M8/04537
H01M8/04664
B60R16/02 650R
B60L50/75
B60L3/00 S
B60L58/10
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017643
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松浦 章雄
【テーマコード(参考)】
5H125
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H125AA13
5H125AC07
5H125AC12
5H125BC18
5H125CD02
5H125EE23
5H125EE36
5H125FF04
5H125FF08
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AB29
5H127DB90
5H127DB91
5H127DB99
5H127DC99
5H127EE04
5H127FF11
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で漏電の検知を行うこと。
【解決手段】発光ダイオード61は、負極ラインL2と接続ラインL3との間に配置されている。発光ダイオード61は、接続ラインL3の電位が負極ラインL2の電位より高い場合にON状態となる。これにより、漏電状態でない場合、接続ラインL3の電位は負極ラインL2の電位より低いため、発光ダイオード61が負極ラインL2と接続ラインL3とを絶縁する。一方、漏電状態の場合、接続ラインL3の電位が負極ラインL2の電位より高いため、発光ダイオード61がON状態となる。このとき、接続ラインL3と負極ラインL2が導通し、発光ダイオード61に漏電電流I2が流れる。したがって、漏電検知部60は、発光ダイオード61のON状態を検知することにより、簡易な構成で漏電を検知することができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池ユニットと、正極ラインと、負極ラインと、車両負荷と、車両フレームと、接続ラインと、漏電検知部と、を備え、
前記燃料電池ユニットは、蓄電部と、前記蓄電部を搭載する燃料電池フレームと、前記蓄電部からの電力を出力する正極端子及び負極端子と、を備え、
前記燃料電池フレームは、前記正極端子及び前記負極端子と絶縁されており、
前記正極ラインは、前記正極端子と前記車両負荷とを接続し、
前記負極ラインは、前記負極端子と前記車両負荷とを接続し、
前記車両フレームは、前記正極ライン及び前記負極ラインと絶縁されており、
前記接続ラインは、前記燃料電池フレームと前記車両フレームとを接続し、
前記漏電検知部は、前記蓄電部から前記燃料電池フレームへの漏電を検知する、燃料電池車両であって、
前記漏電検知部は、前記負極ラインと前記接続ラインとの間に、前記接続ラインの電位が前記負極ラインの電位より高い場合にON状態となるように配置された通知ダイオードを有している、燃料電池車両。
【請求項2】
前記通知ダイオードは、発光ダイオードであり、
前記発光ダイオードは、作業者が前記発光ダイオードの光を視認できる位置に配置されている、請求項1に記載の燃料電池車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電力を動力源とする車両の1つに燃料電池車両が挙げられる。燃料電池車両は、車両フレームと、車両フレームに搭載された燃料電池ユニットと、同じく車両フレームに搭載された車両負荷と、燃料電池ユニットの電力を車両負荷に伝える正極ライン及び負極ラインと、を備える。燃料電池ユニットは、燃料電池フレームと、燃料電池フレームに搭載された蓄電部と、を備える。
【0003】
燃料電池車両のように、電力を動力源とする車両は、蓄電部から車両フレームへの漏電を検知するための漏電検知部を備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5311421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、燃料電池フレームは、車両フレームと同電位となるように接続されていることがある。さらに、燃料電池車両の中には、負極ラインを車両フレームと絶縁する場合がある。この場合に、蓄電部から燃料電池フレームへの漏電を簡易な構成で検知できることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する燃料電池車両は、燃料電池ユニットと、正極ラインと、負極ラインと、車両負荷と、車両フレームと、接続ラインと、漏電検知部と、を備え、前記燃料電池ユニットは、蓄電部と、前記蓄電部を搭載する燃料電池フレームと、前記蓄電部からの電力を出力する正極端子及び負極端子と、を備え、前記燃料電池フレームは、前記正極端子及び前記負極端子と絶縁されており、前記正極ラインは、前記正極端子と前記車両負荷とを接続し、前記負極ラインは、前記負極端子と前記車両負荷とを接続し、前記車両フレームは、前記正極ライン及び前記負極ラインと絶縁されており、前記接続ラインは、前記燃料電池フレームと前記車両フレームとを接続し、前記漏電検知部は、前記蓄電部から前記燃料電池フレームへの漏電を検知する、燃料電池車両であって、前記漏電検知部は、前記負極ラインと前記接続ラインとの間に、前記接続ラインの電位が前記負極ラインの電位より高い場合にON状態となるように配置された通知ダイオードを有していることを要旨とする。
【0007】
これによれば、蓄電部から燃料電池フレームへの漏電が発生していない場合、通知ダイオードは、負極ラインと接続ラインとを絶縁する。一方、蓄電部から燃料電池フレームへの漏電が発生している場合、接続ラインを介して車両フレームに正極端子の電位が伝わる。そのため、燃料電池フレームの電位が、負極ラインの電位より高くなる。車両フレームは、接続ラインを介して燃料電池フレームと接続されているため、接続ラインの電位及び車両フレームの電位は、当該漏電によって負極ラインの電位よりも高くなる。このような電位の変化により、通知ダイオードがON状態となる。漏電検知部は、通知ダイオードのON状態を検知することにより、当該漏電を検知する。したがって、燃料電池フレームと車両フレームとが接続され、かつ、負極ラインが車両フレームと絶縁されていても、簡易な構成で蓄電部から燃料電池フレームへの漏電を検知できる。
【0008】
上記燃料電池車両について、前記通知ダイオードは、発光ダイオードであり、前記発光ダイオードは、作業者が前記発光ダイオードの光を視認できる位置に配置されていてもよい。
【0009】
これによれば、発光ダイオードは、蓄電部から燃料電池フレームへの漏電によってON状態となる。発光ダイオードは、ON状態となると発光する。作業者は、発光ダイオードの光を視認することで、漏電の発生を認識することができる。したがって、漏電検知部は、発光ダイオードを用いた簡易な構成で漏電の通知を行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成で漏電を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】産業車両の全体斜視図。
図2】産業車両の回路構成の概略図。
図3】蓄電部の回路構成の一例を示す図。
図4】停止部周辺の拡大図。
図5】漏電状態における電流経路を示すための図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<車両構成>
以下、燃料電池車両の一実施形態について説明する。本実施形態の燃料電池車両は、燃料電池を動力源とする産業車両である。
【0013】
図1に示すように、燃料電池車両としての産業車両10は、電力を動力源とする車両、具体的にはカウンタ式のフォークリフトである。産業車両10は、車体11と、2つの駆動輪11aと、2つの操舵輪11bと、運転室15と、荷役装置20と、を備えている。駆動輪11aは、車体11の前下部に配置されている。操舵輪11bは、車体11の後下部に配置されている。
【0014】
車体11は、車両フレームとしての機台フレーム12と、ヘッドガード13と、ピラー14と、を備える。機台フレーム12、ヘッドガード13、及びピラー14のそれぞれの一部または全部は、金属等の導電部材により形成されている。ヘッドガード13及びピラー14は、機台フレーム12と導通している。駆動輪11a及び操舵輪11bは、機台フレーム12と地面とを絶縁している。
【0015】
運転室15は、機台フレーム12と、ヘッドガード13と、ピラー14とに囲まれた領域である。運転室15には、運転席16が設けられている。運転席16には、産業車両10を用いた作業者が着座可能である。運転室15の前部には、計器盤17が設けられている。計器盤17には、操舵輪を操作するハンドルや、産業車両10の走行状態を示す表示部、例えば、インジケータランプ、などが設けられている。
【0016】
荷役装置20は、荷物の荷役を行うための装置である。
産業車両10は、産業車両10に搭乗した作業者の操作によって走行及び荷役を行う。以下の説明において、作業者とは、産業車両10の作業者である。なお、産業車両10は、運転席16に着座した作業者の操作によって走行及び荷役を行ってもよいし、作業者が運転席16に着座することなく、作業者の遠隔操作によって産業車両10の走行及び荷役を行ってもよい。
【0017】
図2に示すように、産業車両10は、車両負荷Wと、燃料電池ユニット30と、正極ラインL1と、負極ラインL2と、接続ラインL3と、漏電検知部60と、を備える。産業車両10は、停止スイッチSW2と、停止部70と、を備えていてもよい。
【0018】
車両負荷Wは、電力により駆動する機器である。車両負荷Wは、例えば、走行用モータや、荷役モータを含む。
燃料電池ユニット30は、車両負荷Wに電力を供給するユニットである。
【0019】
図1に示すように、燃料電池ユニット30は、機台フレーム12の内部に搭載されている。また、燃料電池ユニット30は、機台フレーム12の内部から取り外し可能に構成されている。
【0020】
図2に示すように、燃料電池ユニット30は、蓄電部31と、正極端子37と、負極端子38と、燃料電池フレーム40と、を備える。燃料電池ユニット30は、負荷スイッチSW1と、燃料電池ECU39と、を備えていてもよい。
【0021】
図3に示すように、蓄電部31は、燃料電池スタック32と、DC/DCコンバータ33と、蓄電装置Bと、を備える。
燃料電池スタック32は、複数の燃料電池セルをスタック化したものである。燃料電池セルは、例えば、固体高分子型燃料電池である。燃料電池スタック32は、燃料ガスと、酸化剤ガスとの化学反応によって発電を行う。
【0022】
DC/DCコンバータ33は、燃料電池スタック32に接続されている。DC/DCコンバータ33は、燃料電池スタック32が発電した直流電力を昇圧して出力する。DC/DCコンバータ33は、正極配線Lpと、負極配線Lnと、6つのスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6と、6つのダイオードD1,D2,D3,D4,D5,D6と、3つのリアクトル34,35,36と、コンデンサCと、を備える。
【0023】
第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2とは直列接続されている。第3スイッチング素子Q3と第4スイッチング素子Q4とは直列接続されている。第5スイッチング素子Q5と第6スイッチング素子Q6とは直列接続されている。第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3、及び第5スイッチング素子Q5は、正極配線Lpに接続されている。第2スイッチング素子Q2、第4スイッチング素子Q4、及び第6スイッチング素子Q6は負極配線Lnに接続されている。第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3、及び第5スイッチング素子Q5は、上アームを構成している。第2スイッチング素子Q2、第4スイッチング素子Q4、及び第6スイッチング素子Q6は下アームを構成している。6つのスイッチング素子Q1~Q6は、任意の構成を用いることができ、例えばMOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistorを用いてもよいし、IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistorを用いてもよい。
【0024】
ダイオードD1~D6は、各スイッチング素子Q1~Q6に並列接続されている。ダイオードD1~D6は、素子であってもよいし、MOSFETの場合にはスイッチング素子Q1~Q6の寄生ダイオードであってもよい。上アームを構成するスイッチング素子Q1,Q3,Q5に並列接続されたダイオードD1,D3,D5のカソードは、正極配線Lpに接続されている。上アームを構成するスイッチング素子Q1,Q3,Q5に並列接続されたダイオードD1,D3,D5のアノードは、互いに直列接続された2つのスイッチング素子Q1~Q6の中点に接続されている。下アームを構成するスイッチング素子Q2,Q4,Q6に並列接続されたダイオードD2,D4,D6のカソードは、互いに直列接続された2つのスイッチング素子Q1~Q6の中点に接続されている。下アームを構成するスイッチング素子Q2,Q4,Q6に並列接続されたダイオードD2,D4,D6のアノードは、負極配線Lnに接続されている。
【0025】
上アームを構成するスイッチング素子Q1,Q3,Q5と下アームを構成するスイッチング素子Q2,Q4,Q6との中点には、リアクトル34,35,36が1つずつ接続されている。リアクトル34,35,36は、燃料電池スタック32に接続されている。
【0026】
コンデンサCは、正極配線Lpと負極配線Lnに接続されている。
上記したDC/DCコンバータ33では、スイッチング素子Q1~Q6のスイッチング動作により昇圧が行われる。DC/DCコンバータ33は、例えば、蓄電装置Bの電圧帯の直流電圧、例えば48[V]を出力する。
【0027】
蓄電装置Bは、DC/DCコンバータ33に並列接続されている。蓄電装置Bは、充放電可能であれば、どのようなものを用いてもよい。蓄電装置Bとしては、例えば、二次電池及びキャパシタを挙げることができる。燃料電池スタック32の発電電力が車両負荷Wの要求電力を下回っている場合、不足分の電力が蓄電装置Bから放電される。燃料電池スタック32の発電電力が車両負荷Wの要求電力を上回っている場合、余剰の電力は蓄電装置Bに充電される。特に、産業車両10が停止し、車両負荷Wからの要求電力が0となる場合には、産業車両10の停止から燃料電池スタック32の発電が停止するまでに時間を要することがある。この間に燃料電池スタック32が発電した余剰電力は、各スイッチング素子Q1~Q6がOFFであっても、ダイオードD1,D3,D5を介して蓄電装置Bに充電される。これにより、産業車両10の停止時の燃料電池スタック32の電圧が高くなることを回避し、燃料電池スタック32の劣化を抑制することができる。
【0028】
図2に示すように、正極端子37は、正極配線Lpに接続されている。負極端子38は、負極配線Lnに接続されている。
負荷スイッチSW1は、車両負荷Wに直列接続されているコンタクタである。
【0029】
燃料電池ECU39は、燃料電池ユニット30の各部材を制御する電子制御ユニット:Electronic Control Unitである。燃料電池ECU39は、正極ラインL1と負極ラインL2との間に設けられている。このとき、燃料電池ECU39は、車両負荷Wと負荷スイッチSW1との直列接続体に並列接続されている。燃料電池ECU39は、負荷スイッチSW1の開閉を制御する。これにより、燃料電池ECU39は、蓄電部31の電力を車両負荷Wに供給するか否かを制御する。
【0030】
燃料電池フレーム40は、燃料電池ユニット30の筐体である。燃料電池フレーム40の全部または一部は、金属等の導電部材で形成されている。燃料電池フレーム40は、蓄電部31を収容している。燃料電池フレーム40は、燃料電池ECU39と、負荷スイッチSW1と、を収容していてもよい。燃料電池フレーム40は、正極端子37及び負極端子38を燃料電池ユニット30の外部と接続可能に構成されている。このとき、燃料電池フレーム40は、正極端子37及び負極端子38と絶縁されている。
【0031】
正極ラインL1は、正極端子37と車両負荷Wとを接続している。そのため、正極ラインL1は、負荷スイッチSW1を介して、正極端子37と車両負荷Wとを接続している。
負極ラインL2は、負極端子38と車両負荷Wとを接続している。そのため、負極ラインL2は、負荷スイッチSW1を介して、負極端子38と車両負荷Wとを接続している。
【0032】
正極ラインL1及び負極ラインL2は、機台フレーム12と絶縁されている。また、正極ラインL1及び負極ラインL2は、正極端子37及び負極端子38と絶縁されている。
接続ラインL3は、機台フレーム12と燃料電池フレーム40とを接続している。産業車両10に異常が生じていない場合、接続ラインL3の電位、すなわち、機台フレーム12及び燃料電池フレーム40の電位は、負極ラインL2の電位より低い。なお、産業車両10の異常とは、産業車両10の動力源、例えば、蓄電部31から燃料電池フレーム40への漏電などが挙げられる。
【0033】
正極ラインL1、負極ラインL2、及び接続ラインL3は、1つのワイヤーハーネス50としてまとめられている。
停止スイッチSW2は、蓄電部31から車両負荷Wへの電力供給を停止するためのリレースイッチである。停止スイッチSW2は、正極ラインL1において、負荷スイッチSW1と車両負荷Wとの直列接続体に直列接続されている。
【0034】
漏電検知部60は、蓄電部31から燃料電池フレーム40への漏電を検知するための部材である。漏電検知部60は、通知ダイオードとしての発光ダイオード61と、抵抗62と、を備える。抵抗62は、発光ダイオード61と直列接続されている。漏電検知部60は、負極ラインL2と接続ラインL3との間に配置されている。このとき、漏電検知部60は、接続ラインL3から負極ラインL2に向かう方向が発光ダイオード61の順方向と一致するように配置されている。すなわち、発光ダイオード61は、負極ラインL2と接続ラインL3との間に、接続ラインL3の電位が負極ラインL2の電位より高い場合にON状態となるように配置されているといえる。なお、ON状態とは、順方向電圧の印加によって、ダイオードが導通している状態を意味する。
【0035】
産業車両10に異常が生じていない場合、発光ダイオード61には逆方向電圧が印加される。そのため、発光ダイオード61は、負極ラインL2から接続ラインL3に向かって電流が流れることを抑止している。
【0036】
図2に示すように、停止部70は、作業者の操作によって停止スイッチSW2を開放するボタンである。停止部70は、内部を視認できる材料、例えば透明な材料、によって形成されている。停止部70の色は、発光ダイオード61の光を透過するものであれば任意である。
【0037】
図1及び図4に示すように、発光ダイオード61は、停止部70を介して、外部から視認できる位置に配置されている。停止部70は、緊急電源遮断ボタンとして、計器盤17に設けられている。具体的には、作業者が停止部70を操作した場合、停止部70は、停止スイッチSW2を開放し、蓄電部31から車両負荷Wへの電力の供給を遮断する。このとき、発光ダイオード61は、計器盤17の内部に収容されている。したがって、発光ダイオード61は、停止部70を介して運転席16から視認できる位置に配置されている。
【0038】
<作用>
以下、本実施形態の作用について説明する。
図5に示すように、蓄電部31から燃料電池フレーム40への漏電が生じている場合、特に、正極配線Lpから燃料電池フレーム40への漏電が生じている場合、正極配線Lpと燃料電池フレーム40との間に漏電経路80が形成される。漏電経路80は、正極配線Lpと燃料電池フレーム40とを導通する。
【0039】
このとき、燃料電池フレーム40の電位は、正極配線Lpの電位と等しくなる。なお、漏電経路80の有する抵抗は考慮しないものとする。このとき、機台フレーム12は、接続ラインL3を介して燃料電池フレーム40と接続されているため、燃料電池フレーム40の電位及び接続ラインL3の電位は、機台フレーム12の電位と等しくなる。このとき、接続ラインL3の電位は、負極ラインL2の電位より高くなる。したがって、漏電検知部60の発光ダイオード61には、順方向電圧が印加される。このような順方向電圧によって発光ダイオード61はON状態となる。したがって、蓄電部31からの電流I1の一部が漏電経路80に流れ込む。以下の説明では、漏電経路80に流れ込む電流I2を「漏電電流I2」と称することがある。
【0040】
漏電電流I2は、正極配線Lpから、漏電経路80及び接続ラインL3を介して漏電検知部60に流れる。漏電検知部60において、漏電電流I2は、発光ダイオード61及び抵抗62に流れる。漏電電流I2の大きさは、正極ラインL1と負極ラインL2との電位差、すなわち、蓄電部31の出力電圧と、抵抗62の抵抗値に基づいて定まる。したがって、抵抗62は、発光ダイオード61に流れ込む漏電電流I2の大きさを調整するものとして機能する。発光ダイオード61は、漏電電流I2が流れることにより発光する。これにより、漏電検知部60は、発光ダイオード61の発光によって漏電電流I2を検知する。また、発光ダイオード61の光は、停止部70の筐体を透過する。漏電検知部60は、作業者に発光ダイオード61の直接光を視認させることにより、作業者に産業車両10が漏電状態であることを通知する。漏電検知部60による漏電状態の通知は、作業者に停止部70の操作を促す。作業者が停止部70を操作した場合、停止部70は、停止スイッチSW2を開放し、蓄電部31から車両負荷Wへの電力の供給を遮断する。当該電力の供給の遮断に伴い、燃料電池ECU39は、燃料電池スタック32の発電を停止する。
【0041】
<効果>
以下、本実施形態の効果について説明する。
(1)発光ダイオード61は、負極ラインL2と接続ラインL3との間に、接続ラインL3の電位が負極ラインL2の電位より高い場合にON状態となるように配置されている。これにより、漏電状態でない場合、接続ラインL3の電位は負極ラインL2の電位より低いため、発光ダイオード61が負極ラインL2と接続ラインL3とを絶縁する。一方、漏電状態の場合、接続ラインL3の電位が負極ラインL2の電位より高いため、発光ダイオード61がON状態となる。このとき、接続ラインL3と負極ラインL2が導通し、発光ダイオード61に電流が流れる。したがって、燃料電池フレーム40と機台フレーム12とが接続ラインL3により接続され、かつ、負極ラインL2が機台フレーム12と絶縁されていても、発光ダイオード61のON状態を検知することにより、簡易な構成で蓄電部31から燃料電池フレーム40への漏電を検知できる。
【0042】
(2)通知ダイオードとして、発光ダイオード61が用いられている。これにより、漏電状態で発光ダイオード61に漏電電流I2が流れると、発光ダイオード61が発光する。そして、発光ダイオード61は、作業者が発光ダイオード61の光を視認できる位置に配置されている。漏電状態における発光ダイオード61の発光を作業者が視認することにより、作業者は漏電状態を把握することができる。すなわち、発光ダイオード61によって、漏電電流I2の検出と漏電状態の通知が行われる。そのため、発光ダイオード61が複数の機能を発揮することにより、簡易な構成で作業者に漏電状態の通知を行うことができる。
【0043】
(3)発光ダイオード61は、停止部70を介して視認できる位置に配置されている。これにより、停止部70は、漏電状態において、発光ダイオード61の光によって強調される。そのため、漏電状態の場合に作業者が停止部70の位置をひと目で把握できる。したがって、漏電状態での産業車両10の停止を容易にすることができる。
【0044】
(4)正極ラインL1、負極ラインL2、及び接続ラインL3は、1つのワイヤーハーネス50を構成している。これにより、正極ラインL1及び負極ラインL2が構成するワイヤーハーネス50と異なる部材として、接続ラインL3を設けた場合に比べて、産業車両10の配線を簡易にすることができる。
【0045】
<変形例>
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
○発光ダイオード61は、発光ダイオード61の直接光によって漏電状態を通知しなくてもよい。例えば、発光ダイオード61は、発光ダイオード61の反射光や散乱光によって漏電状態を通知してもよい。
【0047】
また、例えば、発光ダイオード61は、作業者が直接視認できる位置に設けられていなくてもよい。発光ダイオード61自体が外部から視認できない場合であっても、ミラーや光ファイバー等によって、発光ダイオード61の光を外部に導く光路が形成されていればよい。要は、発光ダイオード61は、作業者が発光ダイオード61の光を視認できる位置に配置されていればよい。
【0048】
○漏電状態の通知方法は、発光ダイオード61の発光に限らない。通知方法は、例えば、光、音など任意の態様を採用できる。
○想定される漏電電流I2が発光ダイオード61の定格電流を超えない場合、抵抗62は設けられていなくてもよい。
【0049】
○負荷スイッチSW1及び停止スイッチSW2は、実施形態のものに限られない。負荷スイッチSW1及び停止スイッチSW2としては、例えば、トランジスタ、MOSFET、IGBTなど、任意のスイッチを用いることができる。
【0050】
○車両フレームは、機台フレーム12に限らず、ヘッドガード13やピラー14など、接続ラインL3以外で機台フレーム12と導通している部位を含んでもよい。
○通知ダイオードは、負極ラインL2と接続ラインL3とを絶縁することができれば、発光ダイオード61に限られない。発光ダイオード61以外のダイオードを通知ダイオードとして採用する場合、例えば、通知ダイオードの電流を検知する電流計を用いて漏電電流I2を検出してもよい。この場合、漏電検知部60は、例えば、通知ダイオードと、通知ダイオードに流れる電流を検出する電流計と、を備えていればよい。電流計は、シャント抵抗器やホール素子など任意である。また、抵抗62の電圧を測定する電圧計から間接的に通知ダイオードに流れる漏電電流I2を検知してもよい。この場合、漏電検知部60は、通知ダイオードと、電圧計と、を備えていればよい。これらの場合、漏電検知部60は、制御装置を備えている。制御装置は、プロセッサと、記憶部と、を備える。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びDSP(Digital Signal Processor)を挙げることができる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び書き換え可能な不揮発性メモリを含む。不揮発性メモリとしては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)及びフラッシュメモリを挙げることができる。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0051】
制御装置は、機能部として、取得部と、判定部と、通知部と、を備える。取得部は、電流計や電圧計の検出結果を取得する。判定部は、取得部の取得結果に基づき産業車両10が漏電状態か否かを判定する。判定部は、例えば、漏電電流I2が所定の閾値より大きい場合に産業車両10が漏電状態であると判定する。漏電状態であると判定部が判定した場合、通知部は、作業者に漏電状態であることを通知する。作業者は、通知部の通知に基づき、産業車両10が漏電状態であることを知ることができる。
【0052】
○正極ラインL1、負極ラインL2、及び接続ラインL3は、1つのワイヤーハーネス50としてまとめられていなくてもよい。
○蓄電部31の構成はあくまで一例であり、直流電力を出力するものであれば任意である。例えば、蓄電部31のDC/DCコンバータ33は、絶縁型のDC/DCコンバータであってもよい。
【0053】
○産業車両10は、カウンタ式フォークリフトに限られない。例えば、産業車両10は、リーチ式のフォークリフトであってもよいし、フォークリフト以外の産業車両、例えば、トーイングトラクター、であってもよい。
【0054】
○燃料電池車両は、産業車両10に限られず、燃料電池を動力源とする乗用車両であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…燃料電池車両としての産業車両、12…車両フレームとしての機台フレーム、30…燃料電池ユニット、31…蓄電部、37…正極端子、38…負極端子、40…燃料電池フレーム、60…漏電検知部、61…通知ダイオードとしての発光ダイオード、L1…正極ライン、L2…負極ライン、L3…接続ライン、車両負荷…W。
図1
図2
図3
図4
図5