特開 2022-120632 通蒸型パウチ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022120632

(43)【公開日】2022-08-18

(54)【発明の名称】通蒸型パウチ

(51)【国際特許分類】

   B65D 81/34 20060101AFI20220810BHJP

【ＦＩ】

B65D81/34 U

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021017655

(22)【出願日】2021-02-05

(71)【出願人】

【識別番号】000003193

【氏名又は名称】凸版印刷株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100105957

【弁理士】

【氏名又は名称】恩田 誠

(74)【代理人】

【識別番号】100068755

【弁理士】

【氏名又は名称】恩田 博宣

(72)【発明者】

【氏名】青木 和美

(72)【発明者】

【氏名】森田 佐保

【テーマコード（参考）】

3E013

【Ｆターム（参考）】

3E013BA30

3E013BB12

3E013BB13

3E013BC13

3E013BC14

3E013BE01

3E013BF03

3E013BF27

3E013BF36

(57)【要約】

【課題】加熱時に好適な通蒸が実施される通蒸型パウチを提供する。
【解決手段】通蒸型パウチ１０は、紙層およびシーラント層を含む層構造を備えるシート２０により構成され、収容空間Ｓを備えるパウチ本体１１と、前記パウチ本体１１を支持する底部１２と、を含む。前記パウチ本体１１は、前記収容空間Ｓの圧力が上昇した場合に開口する通蒸部５０を備え、前記通蒸部５０を含む第１所定領域において、前記層構造は前記紙層に積層される熱剥離層を含む。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

紙層およびシーラント層を含む層構造を備えるシートにより構成され、収容空間を備えるパウチ本体と、
前記パウチ本体を支持する底部と、を含む通蒸型パウチであって、
前記パウチ本体は、前記収容空間の圧力が上昇した場合に開口する通蒸部を備え、
前記通蒸部を含む第１所定領域において、前記層構造は前記紙層に積層される熱剥離層を含む
通蒸型パウチ。

【請求項2】

前記シートは、第１シートおよび第２シートを含み、
前記熱剥離層は、前記第１シートおよび前記第２シートの少なくとも一方に設けられる
請求項１に記載の通蒸型パウチ。

【請求項3】

前記層構造は、前記シーラント層および前記紙層と前記シーラント層との間に設けられる中間層を含み、
前記熱剥離層は、前記紙層と前記中間層との間に設けられる
請求項１または２に記載の通蒸型パウチ。

【請求項4】

前記通蒸部は、通蒸シール部および未シール部を含む
請求項１～３のいずれか一項に記載の通蒸型パウチ。

【請求項5】

前記パウチ本体は、前記熱剥離層が形成されていない第２所定領域を含む
請求項１～４のいずれか一項に記載の通蒸型パウチ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、通蒸型パウチに関する。

【背景技術】

【0002】

複数の層を有するシートにより構成されるパウチが知られている。複数の層の少なくとも１つに紙で構成される紙層を設ける場合がある。特許文献１は、紙層を含むパウチの構成の一例を開示する。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１６－１０８０２４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記のようなパウチにおいて、内容物が加熱処理を必要とする場合、加熱に伴い発生する水蒸気を放出するための通蒸部が設けられる。しかし、一般的なパウチを構成する材料である樹脂で構成される層と比較すると、紙は熱膨張率が低い。このため、通蒸部が構成される部分から好適に通蒸できない恐れがある。

【課題を解決するための手段】

【0005】

本開示の通蒸型パウチは、紙層およびシーラント層を含む層構造を備えるシートにより構成され、収容空間を備えるパウチ本体と、前記パウチ本体を支持する底部と、を含む通蒸型パウチであって、前記パウチ本体は、前記収容空間の圧力が上昇した場合に開口する通蒸部を備え、前記通蒸部を含む第１所定領域において、前記層構造は、紙層および前記紙層に積層される熱剥離層を含む。

【発明の効果】

【0006】

上記通蒸型パウチによれば、加熱時に好適な通蒸が実施される。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】実施形態の通蒸型パウチの正面図。

【図2】図１の通蒸型パウチを構成するシートの層構造を示す模式断面図。

【図3】第１所定領域が設けられる通蒸型パウチにおける位置の一例を示す正面図。

【図4】第１所定領域が設けられる通蒸型パウチにおける位置の一例を示す正面図。

【図5】第１所定領域が設けられる通蒸型パウチにおける位置の一例を示す正面図。

【図6】加熱時の通蒸型パウチの通蒸部を含む部分の状態を示す模式断面図。

【図7】加熱時の通蒸型パウチの通蒸部を含む部分の状態を示す模式断面図。

【図8】変形例の通蒸型パウチを構成するシートの層構造を示す模式断面図。

【発明を実施するための形態】

【0008】

（通蒸型パウチが取り得る形態の一例）
（１）本発明に従う通蒸型パウチは、紙層およびシーラント層を含む層構造を備えるシートにより構成され、収容空間を備えるパウチ本体と、前記パウチ本体を支持する底部と、を含む通蒸型パウチであって、前記パウチ本体は、前記収容空間の圧力が上昇した場合に開口する通蒸部を備え、前記通蒸部を含む第１所定領域において、前記層構造は前記紙層に積層される熱剥離層を含む。
上記通蒸型パウチによれば、通蒸部を含む第１所定領域において、紙層に熱剥離層が積層されている。熱剥離層が形成されることで、紙層と他の層との間に隙間が形成される。この隙間により、通蒸部は収容空間の圧力の上昇に伴って開口できる。このため加熱時に好適な通蒸が実施される。

【0009】

（２）前記通蒸型パウチの一例によれば、前記シートは、第１シートおよび第２シートを含み、前記熱剥離層は、前記第１シートおよび前記第２シートの少なくとも一方に設けられる。
上記通蒸型パウチによれば、加熱時に好適な通蒸が実施される。

【0010】

（３）前記通蒸型パウチの一例によれば、前記層構造は、前記シーラント層および前記紙層と前記シーラント層との間に設けられる中間層を含み、前記熱剥離層は、前記紙層と前記中間層との間に設けられる。
上記通蒸型パウチによれば、中間層を備えるため、通蒸型パウチのユーザビリティが向上する。

【0011】

（４）前記通蒸型パウチの一例によれば、前記通蒸部は、通蒸シール部および未シール部を含む。
上記通蒸型パウチによれば、未シール部を介して好適な通蒸が実施される。

【0012】

（５）前記通蒸型パウチの一例によれば、前記パウチ本体は、前記熱剥離層が形成されていない第２所定領域を含む。
上記通蒸型パウチによれば、熱剥離層が形成されていない第２所定領域を含むため、層構造の紙層と他の層とが完全に剥離されることが抑制される。

【0013】

＜実施形態＞
図１～図７を参照して、実施形態の通蒸型パウチ１０について説明する。図１は、内容物Ｃを収容した通蒸型パウチ１０を示す。内容物Ｃは、加熱されることにより水蒸気を発生する被加熱物である。内容物Ｃの一例は、流動性を有する食品である。通蒸型パウチ１０は、内容物を入れた状態で加熱可能に構成される。通蒸型パウチ１０は、内容物Ｃから発生した水蒸気の排出が可能に構成される。通蒸型パウチ１０は、外部からの空気および微生物などの侵入を抑制し、内容物Ｃの品質を保ちながら長期間保存できるように構成される。通蒸型パウチ１０は、種々の形態を取り得る。通蒸型パウチ１０が取り得る形状の例は、平袋タイプ、スタンディングタイプ、ガゼットタイプ、および、ピラータイプである。図１に例示される通蒸型パウチ１０の形状は、スタンディングタイプである。以下では、通蒸型パウチ１０の正面視における通蒸型パウチ１０の左右方向を標準幅方向ＸＡと称し、標準幅方向ＸＡと直交する方向を標準高さ方向ＸＢと称する場合がある。

【0014】

通蒸型パウチ１０は、パウチ本体１１および底部１２を含む。パウチ本体１１は、収容空間Ｓの主要な部分を構成する部分である。底部１２は、パウチ本体１１から突出するように構成される。底部１２は、標準高さ方向ＸＢにおいてパウチ本体１１の下方に配置され、パウチ本体１１を支持する。

【0015】

パウチ本体１１および底部１２の標準幅方向ＸＡの長さは、収容される内容物Ｃの量、および、通蒸型パウチ１０の持ち運びやすさとの関係から決められることが好ましい。一例では、パウチ本体１１および底部１２の標準幅方向ＸＡの長さは１４０～１７０ｍｍの範囲に含まれる。一例では、パウチ本体１１および底部１２の標準幅方向ＸＡの長さは１５２ｍｍである。

【0016】

パウチ本体１１および底部１２の標準高さ方向ＸＢの長さは、収容される内容物Ｃの量、および、通蒸型パウチ１０の持ち運びやすさとの関係から決められることが好ましい。一例によれば、パウチ本体１１および底部１２の標準高さ方向ＸＢの長さは１４０～１７０ｍｍの範囲に含まれる。一例では、パウチ本体１１および底部１２の標準高さ方向ＸＢの長さは１５８ｍｍである。パウチ本体１１の標準高さ方向ＸＢの長さは、底部１２の標準高さ方向ＸＢの長さよりも長いことが好ましい。一例では、パウチ本体１１の標準高さ方向ＸＢの長さは、１１３ｍｍである。一例では、底部１２の標準高さ方向ＸＢの長さは４５ｍｍである。

【0017】

通蒸型パウチ１０を構成する主な要素は、パウチ本体１１および底部１２を構成するシート２０、シート２０をシールすることにより収容空間Ｓを形成するシール部４０、および、収容空間Ｓで発生した水蒸気を外部に放出するための通蒸部５０である。

【0018】

シート２０は、一例では複数で構成される。シート２０は、第１シート２１および第２シート２２を含む。第１シート２１と第２シート２２とが対向するように設けられることにより、第１シート２１と第２シート２２との間に収容空間Ｓが形成される。別の例では、シート２０は一枚で構成される。一枚のシート２０を折りたたむことにより、収容空間Ｓが形成される。

【0019】

シール部４０は、第１シート２１と第２シート２２とが分離しないようにシールする。シール部４０は、収容空間Ｓを形成して通蒸型パウチ１０の外部と区別する。シール部４０は、例えば第１シート２１のシーラント層３３の一部分と第２シート２２のシーラント層３３の一部分とをヒートシールすることで形成される。シート２０は、シール部４０とシール部４０に囲まれた部分(以下「内方部２３」)とを含む。

【0020】

シール部４０は、上部シール部４１、下部シール部４２、第１側部シール部４３、および、第２側部シール部４４を備える。上部シール部４１は、標準高さ方向ＸＢにおいて内方部２３の上側に設けられる。下部シール部４２は、標準高さ方向ＸＢにおいて内方部２３の下側に設けられる。第１側部シール部４３は、標準幅方向ＸＡにおいて内方部２３の右側または左側の一方に設けられる。第２側部シール部４４は、標準幅方向ＸＡにおいて内方部２３の左側または右側の他方に設けられる。

【0021】

上部シール部４１における内方部２３側の縁である内縁４１Ａ、下部シール部４２における内方部２３側の縁である内縁４２Ａ、第１側部シール部４３における内方部２３側の縁である内縁４３Ａ、および、第２側部シール部４４における内方部２３側の縁である内縁４４Ａは内方部２３の内郭を規定する。上部シール部４１における内縁４１Ａとは反対側の縁である外縁４１Ｂ、下部シール部４２における内縁４２Ａとは反対側の縁である外縁４２Ｂ、第１側部シール部４３における内縁４３Ａとは反対側の縁である外縁４３Ｂ、および、第２側部シール部４４における内縁４４Ａとは反対側の縁である外縁４４Ｂは通蒸型パウチ１０の外郭を規定する。

【0022】

各シール部４１～４４の幅は、任意に選択できる。各シール部４１～４４の幅は各シール部４１～４４の中心線の法線における内縁４１Ａ～４４Ａと外縁４１Ｂ～４４Ｂとの間の長さである。各シール部４１～４４の中心線は内縁４１Ａ～４４Ａと外縁４１Ｂ～４４Ｂとの間を通過する仮想の線分である。各シール部４１～４４の幅が部位毎に異なる場合、例えば最大の幅、または、各シール部４１～４４のそれぞれにおける複数の部位の幅の平均がそのシール部の幅を代表する。

【0023】

通蒸部５０は、収容空間Ｓの圧力の上昇にともない開口し、収容空間Ｓの水蒸気を通蒸型パウチ１０の外部に排出できるように構成される。好ましい例では、通蒸部５０は、収容空間Ｓの圧力が所定の圧力範囲内の圧力まで上昇した場合に開口するように構成される。通蒸部５０が設けられる通蒸型パウチ１０における場所は、任意に選択できる。第１例では、通蒸部５０は第１側部シール部４３に設けられる。第２例では、通蒸部５０は第２側部シール部４４に設けられる。第３例では、通蒸部５０は第１側部シール部４３および第２側部シール部４４の両方に設けられる。本実施形態の通蒸型パウチ１０は、第２例の通蒸部５０を示す。

【0024】

通蒸部５０は、通蒸シール部５１および未シール部５２を含む。一例では、通蒸シール部５１は、第１側部シール部４３および第２側部シール部４４よりもシール強度が低くなるように構成される。別の例では、通蒸シール部５１は、第１側部シール部４３および第２側部シール部４４よりもシール幅が狭くなるように構成される。好ましくは、通蒸シール部５１は、収容空間Ｓに向けて突出するように構成される。通蒸シール部５１のシールが収容空間Ｓの圧力上昇に伴い剥がれることにより、収容空間Ｓと未シール部５２とが接続される。

【0025】

図２に示されるように、シート２０は、複数の層が積層された層構造３０を備える。シート２０の層構造３０は、第１シート２１と第２シート２２で同じであってもよく、異なっていてもよい。本実施形態において、第１シート２１と第２シート２２とは同様の層構造３０を備える。パウチ本体１１を構成するシート２０と底部１２を構成するシート２０は、それぞれ同じ層構造３０であってもよく、異なっていてもよい。シート２０を構成する複数の層は、例えばドライラミネートにより積層される。

【0026】

層構造３０は、通蒸型パウチ１０の用途に応じて、強度、耐熱性、耐水性、および、ガスバリア性などを考慮して任意の構成を含む。層構造３０は、少なくとも基材層３１およびシーラント層３３を含む。本実施形態では層構造３０は、基材層３１、中間層３２、および、シーラント層３３を含む。

【0027】

基材層３１は、層構造３０の積層方向に沿って設けられる主面を備える。主面は、第１主面３１Ａおよび第２主面３１Ｂを含む。基材層３１を構成する材料は、任意の材料で構成される。一例では基材層３１は、紙で構成される紙層である。紙層は、再生紙または非再生紙で構成される。好ましくは、紙層は非再生紙で構成される。紙層を構成する紙の坪量は、一例では３０ｇ／ｍ^２以上である。好ましくは、紙層を構成する紙の坪量は、５０ｇ／ｍ^２以上である。紙層を構成する紙の坪量は、一例では２００ｇ／ｍ^２未満である。好ましくは、紙層を構成する紙の坪量は１２０ｇ／ｍ^２未満である。

【0028】

中間層３２は、層構造３０の積層方向に沿って設けられる主面を備える。主面は、第１主面３２Ａおよび第２主面３２Ｂを含む。中間層３２を構成する材料は、任意の材料で構成される。一例では、中間層３２を構成する材料は、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素等の無機薄膜が蒸着されたポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、および、ポリアミドの少なくとも１つである。別の例では、ナイロンである。中間層３２は、２つ以上の材料で構成されてもよい。好ましくは、中間層３２の積層方向の厚さは、５～３０μｍの範囲内であることが好ましい。中間層３２を構成する材料に応じて、中間層３２の積層方向の厚さを変更してもよい。

【0029】

シーラント層３３は、層構造３０の積層方向に沿って設けられる主面を備える。シーラント層３３の主面は、第１主面３３Ａと第２主面３３Ｂを含む。シーラント層３３を構成する材料は、熱可塑性樹脂により構成される。熱可塑性樹脂は、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンである。好ましくは、熱可塑性樹脂は、ポリプロピレンの中にポリエチレンが含まれるブロックポリプロピレンである。シーラント層３３の積層方向の厚さは、３０～８０μｍの範囲内であることが好ましい。より好ましくは、４０～６０μｍの範囲内である。

【0030】

各層の間には、接着層３４が形成される。接着層３４は、任意の接着手段により構成される。一例では、接着層３４は２液硬化型ウレタン系樹脂などの接着剤で構成される。別の例では、接着層３４はヒートシール性を備える樹脂により構成される。接着層３４は、基材層３１と中間層３２との間に設けられる第１接着層３４Ａを含む。第１接着層３４Ａは、基材層３１の第２主面３１Ｂと中間層３２の第１主面３２Ａとを接着する。接着層３４は、中間層３２とシーラント層３３との間に設けられる第２接着層３４Ｂを含む。第２接着層３４Ｂは、中間層３２の第２主面３２Ｂとシーラント層３３の第１主面３３Ａとを接着する。

【0031】

層構造３０は、インキ層を含んでいてもよい。インキ層は、文字または図形が表示され通蒸型パウチ１０の内容物Ｃに関する情報を表示する。内容物Ｃに関する情報は、内容物Ｃが食品である場合、適切な調理方法および食品の栄養に関する情報を含む。インキ層は、基材層３１の第１主面３１Ａに設けられる。インキ層は、既知の印刷方法の中から、基材層３１の印刷適性、色調などの意匠性、他の層との密着性、通蒸型パウチ１０としての安全性などを考慮して適宜選択される。印刷方法は、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法である。インキ層にオーバープリントニスをさらに印刷してもよい。

【0032】

通蒸型パウチ１０は、通蒸型パウチ１０の開封時に層構造３０に含まれる構成を剥がしやすくするための熱剥離層６０をさらに備える。熱剥離層６０は、紙層を含む層と接着層３４との間に設けられる。熱剥離層６０は、加熱されることにより紙層を含む層と接着層３４との接着を弱める作用を備える。

【0033】

一例では熱剥離層６０は、ニスを含む。ニスは、紙層の表面に印刷される第１ニスと第１ニスに印刷される第２ニスを含む。第１ニスは、紙層の目止めのために用いられる。第２ニスは、紙層を含む層と接着層３４との易剥離のために用いられる。

【0034】

熱剥離層６０の剥離強度は、JIS Z1707:2019を参照して測定した。好ましい熱剥離層６０の剥離強度は、引張速度を３００ｍｍ／ｍinとした場合に、室温において１Ｎ／１５ｍｍ以上の強度を備える。好ましい熱剥離層６０の剥離強度は、引張速度を３００ｍｍ／ｍinとした場合に、加熱温度において１Ｎ／１５ｍｍ未満の強度を備える。室温は、例えば２５℃である。加熱温度は、例えば８０℃である。

【0035】

通蒸型パウチ１０は、通蒸型パウチ１０の開封時に開封を容易にする易開封部７０をさらに備える。易開封部７０は、切取線７１およびノッチ７２を含む。切取線７１は、標準幅方向ＸＡに沿って第１側部シール部４３から第２側部シール部４４の間の少なくとも一部分に設けられる。本実施形態において、切取線７１は直線状に形成される。切取線７１は、複数のミシン目により構成される。好ましくは、ミシン目は、標準高さ方向ＸＢにおいて複数設けられる。

【0036】

ノッチ７２は、ノッチ７２の先端部７２Ａが切取線７１または切取線７１を延長した仮想線上に位置するように形成される。ノッチ７２は、第１側部シール部４３および第２側部シール部４４の少なくとも一方に形成される。図１では、第１側部シール部４３にノッチ７２が形成された例を示している。

【0037】

熱剥離層６０が設けられる第１所定領域Ｒ１について説明する。第１所定領域Ｒ１において、第１シート２１および第２シート２２の少なくとも一方に熱剥離層６０が設けられる。好ましくは、第１シート２１および第２シート２２の両方に熱剥離層６０が設けられる。第１シート２１に設けられる熱剥離層６０の範囲と、第２シート２２に設けられる熱剥離層６０の範囲とが異なっていてもよい。第１所定領域Ｒ１は、通蒸型パウチ１０の正面視において、通蒸部５０の通蒸シール部５１の少なくとも一部分を含む。好ましくは、第１所定領域Ｒ１は通蒸部５０の全体を含む。

【0038】

図３に示される例では、第１所定領域Ｒ１は、濃いドットが形成される部分を示す。第１所定領域Ｒ１は、通蒸部５０を含んだ第２側部シール部４４の標準高さ方向ＸＢの一部分に設けられる。

【0039】

図４に示される例では、第１所定領域Ｒ１は、通蒸部５０を含んだ第２側部シール部４４の標準高さ方向ＸＢの全体に設けられる。さらに、第１所定領域Ｒ１は、上部シール部４１および下部シール部４２の標準幅方向ＸＡにおいて、一部分に設けられる。

【0040】

図５に示される例では、第１所定領域Ｒ１は、第１側部シール部４３の標準高さ方向ＸＢの全体に設けられる。第１所定領域Ｒ１は、通蒸部５０を含んだ第２側部シール部４４の標準高さ方向ＸＢの全体に設けられる。さらに、第１所定領域Ｒ１は、上部シール部４１および下部シール部４２の標準幅方向ＸＡにおいて、一部分に設けられる。

【0041】

図３～図５に示されるように、通蒸型パウチ１０は、熱剥離層６０が形成されない第２所定領域Ｒ２を含む。第２所定領域Ｒ２は、濃いドットが形成されていない部分を示す。第２所定領域Ｒ２において、熱剥離層６０が形成されないため加熱時に層構造３０が剥がれにくい。

【0042】

通蒸型パウチ１０への内容物Ｃの充填方法の一例について説明する。充填前の通蒸型パウチ１０は、各シール部４１～４４のうち、１つがシールされていない状態である。一例では、上部シール部４１が形成されていない状態である。上部シール部４１が形成される部分に開口部（図示略)が形成される。開口部から内容物Ｃを充填し、該部分をヒートシールすることにより、上部シール部４１が形成される。これにより内容物Ｃが通蒸型パウチ１０により保存される。

【0043】

図１、図６および図７を参照して、実施形態の通蒸型パウチ１０の作用について説明する。通蒸型パウチ１０は、内容物Ｃを加熱するための加熱手段により加熱される。加熱手段の一例は、電子レンジである。通蒸型パウチ１０が加熱されることに伴い、内容物Ｃから水蒸気が発生する。通蒸型パウチ１０は、収容空間Ｓがシール部４０により閉じられているため、水蒸気の発生にともない収容空間Ｓの圧力が上昇する。圧力の上昇に伴って、通蒸部５０付近の圧力が上昇する。図６に示されるように、通蒸部５０の通蒸シール部５１を含む第１所定領域Ｒ１に、熱剥離層６０が形成されている。通蒸型パウチ１０の加熱により、熱剥離層６０が剥離することで、基材層３１と中間層３２との間に隙間Ｇが形成される。本実施形態において、第１シート２１および第２シート２２の両方に熱剥離層６０が形成されているため、第１シート２１の基材層３１と中間層３２との間に隙間Ｇ１が形成され、第２シート２２の基材層３１と中間層３２との間に隙間Ｇ２が形成される。隙間Ｇ１および隙間Ｇ２が形成されることにより、通蒸シール部５１を構成する第１シート２１のシーラント層３３と第２シート２２のシーラント層３３とが収容空間Ｓの圧力により膨張して剥がれるための隙間Ｇが形成される。通蒸部５０の通蒸シール部５１が剥がれることにより、未シール部５２を介して収容空間Ｓと外部とが接続される。通蒸部５０から収容空間Ｓで発生した水蒸気が抜けることにより収容空間Ｓの圧力の上昇が抑制される。通蒸型パウチ１０の加熱終了後、ユーザは易開封部７０の切取線７１に沿って通蒸型パウチ１０を開封する。

【0044】

実施形態の通蒸型パウチ１０によれば以下に示される効果がさらに得られる。
（１）紙層を構成する紙の坪量が３０ｇ／ｍ^２以上であるため、基材層３１および中間層３２を構成する樹脂材料が少ない場合でも、好適に通蒸型パウチ１０の強度が維持できる。紙層を構成する紙の坪量が２００ｇ／ｍ^２未満であるため、通蒸型パウチ１０を製造する際の種々のコストが低減される。

【0045】

（２）通蒸型パウチ１０は、第１所定領域Ｒ１を通蒸部５０以外の部分を含んで形成される。通蒸後の通蒸型パウチ１０は、第１所定領域Ｒ１に対応する部分で紙層を含む基材層３１と中間層３２との間に空気層が形成される。このため、通蒸後の通蒸型パウチ１０の断熱性を向上させることができる。

【0046】

（変形例）
実施形態に関する説明は本発明に従う通蒸型パウチが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う通蒸型パウチは、実施形態以外に例えば以下に示される実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも２つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。

【0047】

層構造３０は、任意に変更される。一例では、中間層３２は、シーラント層３３と熱接着が可能な材料により構成される。図８に示される中間層３２は、シーラント層３３を構成する材料と熱溶着が可能なポリエチレン樹脂により構成される。このため、第２接着層３４Ｂの構成を省略できる。ポリエチレン樹脂は、例えば密度が０．９０～０．９６ｇ／ｍ^３に含まれる。好ましくは、ポリエチレン樹脂は密度が０．９１～０．９３ｇ／ｍ^３の範囲内に含まれる。このようなポリエチレン樹脂で構成される場合、積層方向の厚みは例えば５～３０μｍの範囲内に含まれる。

【0048】

・変形例の通蒸型パウチ１０は、中間層３２が紙層で構成される。この場合、少なくとも第２接着層３４Ｂに熱剥離層６０が形成される。基材層３１は、実施形態の中間層３２を構成する材料で構成される。酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素等の無機薄膜が蒸着されたポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、および、ポリアミドの少なくとも１つである。別の例では、ナイロンである。

【0049】

・熱剥離層６０は、ニス６１以外で構成されていてもよい。一例では、熱剥離層６０は、接着層３４を構成する接着剤よりも弱い接着剤で構成される。好ましくは、熱剥離層６０は、通蒸型パウチ１０の加熱により接着性が弱まる熱剥離作用を備える。

【0050】

・パウチ本体１１を構成するシート２０と底部１２を構成するシート２０との構成がそれぞれ異なるように構成してもよい。底部を構成するシート２０をガゼットシートとして構成してもよい。

【0051】

・基材層３１または中間層３２の少なくとも一方は、紙層および紙以外の材料で構成される層で構成されていてもよい。紙以外の材料は、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素等の無機薄膜が蒸着されたポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、および、ポリアミドの少なくとも１つである。別の例では、ナイロンである。この場合、基材層３１の紙層は第２主面３１Ｂ側に形成される。第２主面３１Ｂ側の紙層と第１接着層３４Ａとの間に熱剥離層６０が設けられる。

【符号の説明】

【0052】

１０…通蒸型パウチ
１１…パウチ本体
１２…底部
２０…シート
２１…第１シート
２２…第２シート
３０…層構造
３１…基材層
３２…中間層
３３…シーラント層
４０…シール部
５０…通蒸部
６０…熱剥離層
Ｓ …収容空間
Ｒ１…第１所定領域
Ｒ２…第２所定領域

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】