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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120657
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】かつら縁部用部材及びかつら
(51)【国際特許分類】
   A41G 3/00 20060101AFI20220810BHJP
【FI】
A41G3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017700
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000126676
【氏名又は名称】株式会社アデランス
(71)【出願人】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】金子 正雄
(72)【発明者】
【氏名】野坂 浩之
(72)【発明者】
【氏名】前川 俊樹
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自然な外観を有し、毛量調整が可能でヘアスタイルに変化を付けることができるとともに、引っ張られたときの強度を高めることができるかつら縁部用部材及びかつらを提供する。
【解決手段】第1の紐状部材20Aの長手方向において、大ループ22Aと、小ループ26Aと、中ループ24Aとが配置され、第2の紐状部材20Bの長手方向において、少なくとも、大ループ22Bと、中ループ24Bとが配置され、大ループが、小ループまたは中ループと交差しており、繋ぎ部28A、28Bは略直線状に延びて、第1の紐状部材及び第2の紐状部材が、帯状部材30の長手方向に沿って延在するとともに、ループが帯状部材の一方の側辺から突出するように配置された状態で、繋ぎ部が帯状部材に接合されているかつら縁部用部材2、及びかつら縁部用部材を備えたかつら。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繋ぎ部を挟んで複数のループが長手方向に沿って形成された第1の紐状部材及び第2の紐状部材と、
前記第1の紐状部材及び前記第2の紐状部材が取り付けられた帯状部材と、
を備え、
前記第1の紐状部材の長手方向において、ループ高が最も高い大ループと、前記ループ高が最も低い小ループと、前記ループ高が前記大ループ及び前記小ループの中間の中ループとが配置され、
前記第2の紐状部材の長手方向において、少なくとも、前記大ループと、前記ループ高が前記大ループ及び前記小ループの中間の中ループとが配置され、
前記大ループが、前記小ループまたは前記中ループと交差しており、
前記繋ぎ部は略直線状に延びて、
前記第1の紐状部材及び前記第2の紐状部材が、前記帯状部材の長手方向に沿って延在するとともに、前記ループが前記帯状部材の一方の側辺から突出するように配置された状態で、前記繋ぎ部が前記帯状部材に接合されていることを特徴とするかつら縁部用部材。
【請求項2】
長手方向において、ループ高が最も高い大ループと、前記ループ高が最も低い小ループと、前記ループ高が前記大ループ及び前記小ループの中間の中ループとが配置された第3の紐状部材が前記帯状部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のかつら縁部用部材。
【請求項3】
前記第2の紐状部材の長手方向において、更に前記小ループが配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のかつら縁部用部材。
【請求項4】
前記第1の紐状部材の長手方向において、前記大ループと前記大ループとの間に、前記中ループ及び前記小ループが配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のかつら縁部用部材。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のかつら縁部用部材を備えたかつら。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かつらベースの縁部に取り付けられるかつら縁部用部材、及びこのかつら縁部用部材を備えたかつらに関する。
【背景技術】
【0002】
かつらでは、縁部において自毛となじんだ自然な外観を呈することが重要であり、かつら縁部には色々の工夫が施されている。例えば、自然な外観を得るため、かつら本体縁部に他部材を取り付けたものがある。その中には、かつらベースの外縁部に自毛が収容される捕捉部と、外縁部の外側に突出したループ状の抑え部を備えたかつらが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-9406号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のかつらでは、ループ状の抑え部に擬毛を植設することができ、かつ捕捉部に収容された自毛となじませて、自然な外観を得ることができる。しかし、このかつらでは、かつらベースの境界部分の露見を効果的に防止すること、かつらのずれを軽減して自然な外観を長時間維持すること目的としているので、多様なスタイルの対応を想定していない。例えば、ループ状の抑え部が間隔をおいて外縁部の外側に突出しているだけなので、かつら縁部への所望の毛量を調整することが難しい。更に、ループ状の抑えが配置されていることで、なじませた自毛が押さえつけられてしまい、自毛を立ち上げるヘアスタイルなどが作りづらく、ヘアスタイルに変化を付けることも困難である。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、自然な外観を有し、毛量調整が可能でヘアスタイルに変化を付けることができるとともに、引っ張られたときの強度を高めることができるかつら縁部用部材及びかつらを提供することを目的とする。
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るかつら縁部用部材は、
繋ぎ部を挟んで複数のループが長手方向に沿って形成された第1の紐状部材及び第2の紐状部材と、
前記第1の紐状部材及び前記第2の紐状部材が取り付けられた帯状部材と、
を備え、
前記第1の紐状部材の長手方向において、ループ高が最も高い大ループと、前記ループ高が最も低い小ループと、前記ループ高が前記大ループ及び前記小ループの中間の中ループとが配置され、
前記第2の紐状部材の長手方向において、少なくとも、前記大ループと、前記ループ高が前記大ループ及び前記小ループの中間の中ループとが配置され、
前記大ループが、前記小ループまたは前記中ループと交差しており、
前記繋ぎ部は略直線状に延びて、
前記第1の紐状部材及び前記第2の紐状部材が、前記帯状部材の長手方向に沿って延在するとともに、前記ループが前記帯状部材の一方の側辺から突出するように配置された状態で、前記繋ぎ部が前記帯状部材に接合されている。
【0007】
本発明の一態様に係るかつらは、
縁部に上記のかつら縁部用部材が取り付けられたかつらベースと、
前記かつら縁部用部材及び前記かつらベースに植設された擬毛と、
を備えている。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明では、自然な外観を有し、毛量調整が可能でヘアスタイルに変化を付けることができるとともに、引っ張られたときの強度を高めることができるかつら縁部用部材及びかつらを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係るかつら縁部用部材を模式的に示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係るかつら縁部用部材を模式的に示す図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係るかつら縁部用部材を模式的に示す図である。
図4】本発明の第4の実施形態に係るかつら縁部用部材における、帯状部材に取り付けられる第1の紐状部材、第2の紐状部材及び第3の紐状部材を模式的に示す図である。
図5図4に示す第1の紐状部材、第2の紐状部材及び第3の紐状部材が帯状部材に取り付けられたかつら縁部用部材を模式的に示す図である。
図6】本発明の第4の実施形態に係るかつら縁部用部材における変形例を模式的に示す図である。
図7】本発明の第5の実施形態に係るかつら縁部用部材における、帯状部材に取り付けられる第1の紐状部材、第2の紐状部材及び第3の紐状部材を模式的に示す図である。
図8図7に示す第1の紐状部材、第2の紐状部材及び第3の紐状部材が帯状部材に取り付けられたかつら縁部用部材を模式的に示す図である。
図9】本発明の第5の実施形態に係るかつら縁部用部材の変形例1を模式的に示す図である。
図10】本発明の第5の実施形態に係るかつら縁部用部材の変形例2を模式的に示す図である。
図11】本発明の第5の実施形態に係るかつら縁部用部材の変形例3を模式的に示す図である。
図12】本発明の第5の実施形態に係るかつら縁部用部材の変形例4を模式的に示す図である。
図13】外縁部にかつら縁部用部材が取り付けられたかつらの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態や実施例に分けて示す場合があるが、異なる実施形態や実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態や実施例では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態や実施例ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
【0011】
(第1の実施形態に係るかつら縁部用部材)
はじめに、図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係るかつら縁部用部材の説明を行う。図1は、本発明の第1の実施形態に係るかつら縁部用部材を模式的に示す図である。
本実施形態に係るかつら縁部用部材2は、繋ぎ部28Aを挟んで複数のループ22A、24A、26Aが長手方向に沿って形成された第1の紐状部材20Aと、繋ぎ部28Bを挟んで複数のループ22B、24Bが長手方向に沿って形成された第2の紐状部材20Bを備える。第1の紐状部材20A及び第2の紐状部材20Bは、樹脂材料または天然材料からなるモノフィラメント糸やマルチフィラメント糸で形成される。更に、かつら縁部用部材2は、第1の紐状部材20A及び第2の紐状部材20Bが取り付けられた帯状部材30を備える。
【0012】
第1の紐状部材20Aの長手方向(X軸方向)において、ループ高が最も高い大ループ22Aと、ループ高が最も低い小ループ26Aと、ループ高が大ループ22A及び小ループ26Aの中間の中ループ24Aとが配置されている。第2の紐状部材20Bの長手方向(X軸方向)において、大ループ22Bと、中ループ24Bが配置されている。第2の紐状部材20Bの大ループ22Bのループ高さは、第1の紐状部材20Aの大ループ22Aのループ高さとほぼ同一である。また、中ループ24Bのループ高さは、大ループ22A及び小ループ26Aの中間の高さとなっている。第1の紐状部材20Aの中ループ24A及び第2の紐状部材20Bの中ループ24Bのループ高さは、ほぼ同一の場合もあり得るし、異なる高さの場合もあり得る。
【0013】
更に、大ループ22Aは、中ループ24Bと交差し(矢印S参照)、大ループ22Bは、小ループ26Aと交差している(矢印T参照)。
繋ぎ部28A、28Bは略直線状に延びて、第1の紐状部材20A及び第2の紐状部材20Bが、帯状部材30の長手方向に沿って延在するとともに、ループ22A~26A、22B~24Bが帯状部材30の一方の側辺から突出するように配置された状態で、繋ぎ部28A、28Bが帯状部材30に接合されている。
【0014】
これにより、自然な外観を有するとともに、毛量調整が可能でヘアスタイルに変化を付けることができ、強度も有する。つまり、複数の紐状部材20A、20Bで、大、中、小のループを分散構成することで、一つの紐状部材20A(20B)において、繋ぎ部をバランスよく配置することができ、引っ張られたときの強度を高めることができる。
【0015】
更に、本実施形態では、第1の紐状部材20Aの長手方向において、大ループ22Aと大ループ22Aとの間に、中ループ24A及び小ループ26Aが配置されている。これにより、自然な外観を有するとともに、バランスの取れたヘアスタイルを実現できる。
【0016】
(第2の実施形態に係るかつら縁部用部材)
次に、図2を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係るかつら縁部用部材の説明を行う。図2は、本発明の第2の実施形態に係るかつら縁部用部材を模式的に示す図である。
本実施形態では、第2の紐状部材20Bの長手方向において、更に小ループ26Bが配置されている点で、上記の第1の実施形態と異なる。なお、本実施形態に係る第1の紐状部材20Aでは、大ループ22Aと大ループ22Aとの間に、2つの中ループ24A及び1つの小ループ26Aが配置されている。
第2の紐状部材20Bの小ループ26Bのループ高さは、第1の紐状部材20Aの小ループ26Aのループ高さとほぼ同一である。これにより、より自然な外観を有するとともに、毛量調整が更に容易になる。
【0017】
(第3の実施形態に係るかつら縁部用部材)
次に、図3を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係るかつら縁部用部材の説明を行う。図3は、本発明の第3の実施形態に係るかつら縁部用部材を模式的に示す図である。
本実施形態に係るかつら縁部用部材2では、上記の第1の紐状部材20A及び第2の紐状部材20Bに加えて、第3の紐状部材20Cを備える。第3の紐状部材20Cは、第1の紐状部材20Aまたは第2の紐状部材20Bと略同一の形状を有することができる。つまり、長手方向において、ループ高が最も高い大ループ26Cと、ループ高が最も低い小ループ26Cと、ループ高が大ループ26A及び小ループ26Cの中間の中ループ24Cとが配置された第3の紐状部材20Cが帯状部材30に取り付けられている。
これにより、更に自然な外観を有するとともに、毛量調整を更に容易に行うことができる。
【0018】
(第4の実施形態に係るかつら縁部用部材)
次に、図4及び図5を参照しながら、本発明の第4の実施形態に係るかつら縁部用部材の説明を行う。
【0019】
(第4の実施形態に係るかつら縁部用部材)
次に、図4及び図5を参照しながら、本発明の第4の実施形態に係るかつら縁部用部材の説明を行う。図4は、本発明の第4の実施形態に係るかつら縁部用部材における、帯状部材に取り付けられる第1の紐状部材、第2の紐状部材及び第3の紐状部材を模式的に示す図である。図5は、図4に示す第1の紐状部材、第2の紐状部材及び第3の紐状部材が帯状部材に取り付けられたかつら縁部用部材を模式的に示す図である。
かつら縁部用部材2は、3つの紐状部材である第1の紐状部材20A(実線参照)、第2の紐状部材20B(破線参照)及び第3の紐状部材20C(一点鎖線参照)と、第1~第3の紐状部材10A~Cが取り付けられた帯状部材30とを備える。
【0020】
第1~第3の紐状部材20A~Cは、樹脂材料または天然材料からなるモノフィラメント糸やマルチフィラメント糸で形成され、それぞれ略同一の形状を有する。
第1~第3の紐状部材20A~20Cは、ループ高が最も高い大ループ22A~Cと、ループ高が最も低い小ループ26A~Cと、ループ高が大ループ22A~C及び小ループ26A~Cの中間の中ループ24A~Cとを有する。
そして、第1の紐状部材20Aでは、その長手方向(X軸方向)に沿って、略直線状に延びた繋ぎ部16Aを挟んで、大ループ22A・中ループ24A・小ループ26A・中ループ24Aの順番で配置されたパターンが繰り返し形成されている。同様に、第2の紐状部材20Bでは、その長手方向(X軸方向)に沿って、繋ぎ部28Bを挟んで、大ループ22B・中ループ24B・小ループ26B・中ループ24Bの順番で配置されたパターンが繰り返し形成されている。同様に、第3の紐状部材20Cでは、その長手方向(X軸方向)に沿って、繋ぎ部28Cを挟んで、大ループ22C・中ループ24C・小ループ26C・中ループ24Cの順番で配置されたパターンが繰り返されるように形成されている。
【0021】
各ループ22A~C、24A~C及び26A~Cの間を繋ぐ、略直線状に延びた繋ぎ部28A~28Cは、略一直線上に位置している。また、各ループ22A~C、24A~C及び26A~Cは、繋ぎ部28A~28Cに対して、同一方向に凸となる湾曲形状を有する。
【0022】
このような形状の第1の紐状部材20A、第2の紐状部材20B及び第3の紐状部材20Cは、それぞれ帯状部材30に取り付けられ、これによりかつら用紐状部材2が形成されている。帯状部材30として、樹脂材料や天然材料からなる織物やメッシュ状のシートを例示することができる。
【0023】
第1~第3の紐状部材20A~Cの形状を更に詳細に述べれば、第1~第3の紐状部材20A~Cの何れも、大ループ22A~Cのループ長Lと、中ループ24A~Cのループ長Lと、小ループ26A~Cのループ長Lとが略同一に形成されている。なお、ループ長Lとは、両側の繋ぎ部28A~Cとの境界点となるループの始端及び終端の間の長手方向(X軸方向)における距離を意味する。
略直線状に延びた第1~第3の紐状部材20A~Cの繋ぎ部28A~Cは、それぞれループ長Lの略1/2の長さを有する。
これにより、図4から明らかなように、第1~第3の紐状部材20A~Cでは、その長手方向(X軸方向)に沿って、略直線状に延びた繋ぎ部16A~Cを挟んで、大ループ22・中ループ24・小ループ26・中ループAの順番で配置された全長6Lのパターンが繰り返し形成されることになる。
【0024】
また、第1の紐状部材20Aの大ループ22Aのループ高Hh(a)、第2の紐状部材20Bの大ループ22Bのループ高Hh(b)及び第3の紐状部材20Cの大ループ22Cのループ高Hh(c)は略同一に形成されている。同様に、第1の紐状部材20Aの中ループ24Aのループ高Hm(a)、第2の紐状部材20Bの中ループ24Bのループ高Hm(b)及び第3の紐状部材20Cの中ループ24Cのループ高Hm(c)は略同一に形成されている。同様に、第1の紐状部材20Aの小ループ26Aのループ高Hl(a)、第2の紐状部材20Bの中ループ24Bのループ高Hl(b)及び第3の紐状部材20Cの中ループ24Cのループ高Hl(c)は略同一に形成されている。
そして、大ループ22A~Cのループ高Hh(a)~(c)、中ループ24A~Cのループ高Hm(a)~(c)、及び小ループ26A~Cのループ高Hl(a)~(c)は、
Hh(a)~(c) > Hm(a)~(c) > Hl(a)~(c)
の関係を有する。
【0025】
第1~第3の紐状部材20A~Cを帯状部材30に取り付ける場合、大ループ22A~C、中ループ24A~C及び小ループ26A~Cが、帯状部材30の一方の側辺30Aから外側に突出するように配置される。また、第1の紐状部材20A、第2の紐状部材20B及び第3の紐状部材20Cは、帯状部材30の長手方向(X軸方向)に沿って、順にループ長Lの2倍である2L分だけずれて配置されている。このように第1~第3の紐状部材20A~Cが配置された状態で、帯状部材30の面部に位置する第1~第3の紐状部材20A~Cの繋ぎ部28A~Cが、帯状部材30に接合されている。
【0026】
繋ぎ部28A~Cを帯状部材30に接合する方法としては、縫着で接合することを例示できる。ただし、これに限られるものではなく、編成、接着、溶着をはじめとするその他の任意の接合方法を採用できる。ループ長さLの略1/2の長さの略直線状の繋ぎ部28A~Cを帯状部材30の面部に接合するので、強い強度で、第1~第3の紐状部材20A~Cを帯状部材30に取り付けることができる。
【0027】
このように形成されたかつら縁部用部材2は、かつらベースの外縁部に取り付けられ、かつらベースの外縁部の一部を構成する。その場合、大ループ22A~C、中ループ24A~C及び小ループ26A~Cがかつらベースの外縁から外側に突出するように配置される。そして、かつらベースの面部ともに、第1~第3の紐状部材20A~Cや、帯状部材30に擬毛が植設される。かつらベースの外縁部は、かつらの装着が最も露見し易い領域であるが、かつら縁部用部材2により、下記のようにかつら装着の露見を抑制することができる。
【0028】
かつら縁部用部材2は、高く持ちあげることが可能な大ループ22A~C、低く延びた小ループ26A~C、及びその中間の高さに形成された中ループ24A~Cが形成されるので、擬毛やかつらベースの外縁近傍の自毛の立ち上がり状態を容易に調整することができる。擬毛や自毛を、大ループ22A~Cを用いて高く立ち上がらせることもできるし、小ループ26A~Cを用いて低く抑えることもできし、中ループ24A~Cを用いて高低の中間領域をカバーすることができる。よって、1種類の周期の波形を有する場合に比べて、毛植えにおける毛量調整を行い易く、ヘアスタイルに変化を付けることができる。
【0029】
以上のように、本実施形態に係るかつら縁部用部材2では、
第1の紐状部材20A、第2の紐状部材20B及び第3の紐状部材20Cが、ループ高が最も高い大ループ22A~Cと、ループ高が最も低い小ループ26A~Cと、ループ高が大ループ22A~C及び小ループ26A~Cの中間の中ループ24A~Cと、を有し、
第1の紐状部材20A、第2の紐状部材20B及び第3の紐状部材20Cの長手方向において、大ループ22・中ループ24・小ループ26・中ループ24の順番で配置されたパターンが繰り返され、
第1の紐状部材20A、第2の紐状部材20B及び第3の紐状部材20Cが、帯状部材30の長手方向(X軸方向)に沿って、それぞれループ長Lの2倍だけずれて延在している。
【0030】
これにより、大ループ22A~C、中ループ24A~C及び小ループ26A~Cが組み合わされて、様々な形状、大きさの空間が形成されるとともに、一定のパターンが規則的に繰り返される。第1~第3の紐状部材20A~Cの大ループ22、中ループ24及び小ループ26は、他のループの上側に位置する場合と、他のループの下側に位置する場合に変化しながら、帯状部材30の長手方向(X軸方向)に延在している。
このような様々な空間を形成する大ループ22A~C、中ループ24A~C及び小ループ26A~Cの組み合わせに、擬毛を植設することにより、ヘアスタイルに変化を付けることができるとともに、煩雑な印象を与えることがない自然な外観を得ることができる。
【0031】
更に詳細に述べれば、図5から明らかなように、帯状部材30の長手方向(X軸方向)において、大ループ22A~Cがループ長Lだけ離間して配置され、大ループ22A~Cの略頂点Phの位置が2つ中ループ24A~Cの隣接位置Bmmと略一致している。
例えば、大ループ22Aの略頂点Ph(a)の位置が2つ中ループ24C、Bの隣接位置Bmm(cb)と略一致している。これにより、大ループ22Aの下面側と2つ中ループ24C、Bの上面側とで囲まれた空間Ahが上側に配置され、その下側に、大ループ22A及び中ループ24Cで囲まれた空間と、大ループ22A及び中ループ24Bで囲まれた空間とが形成される。
【0032】
同様に、大ループ22Bの略頂点Ph(b)の位置が2つ中ループ24A、Cの隣接位置Bmm(ac)と略一致している。これにより、大ループ22Bの下面側と2つ中ループ24A、Cの上面側とで囲まれた空間Ahが上側に配置され、その下側に、大ループ22B及び中ループ24Aで囲まれた空間と、大ループ22B及び中ループ24Cで囲まれた空間とが形成される。
同様に、大ループ22Cの略頂点Ph(c)の位置が2つ中ループ24B、Aの隣接位置Bmm(ba)と略一致している。これにより、大ループ22Cの下面側と2つ中ループ24B、Aの上面側とで囲まれた空間Ahが上側に配置され、その下側に、大ループ22C及び中ループ24Bで囲まれた空間と、大ループ22C及び中ループ24Aで囲まれた空間とが形成される。
【0033】
また、中ループ24A~Cは隣接して配置され、中ループ24A~Cの略頂点pmの位置が大ループ22A~C及び小ループ26A~Cの隣接位置Bhl、lhと略一致している。
例えば、中ループ24Bの略頂点Pm(b)の位置が、大ループ22A及び小ループ26Cの隣接位置Bhl(ac)と略一致している。これにより、中ループ24Bの下面側と、大ループ22A及び小ループ26Cの上面側とで囲まれた空間Amが上側に配置され、その下側に、中ループ24B及び小ループ26Cで囲まれた空間が形成される。
【0034】
同様に、中ループ24Aの略頂点Pm(a)の位置が、小ループ26C及び大ループ22Bの隣接位置Blh(cb)と略一致している。これにより、中ループ24Aの下面側と、小ループ26Cの及び大ループ22Bの上面側とで囲まれた空間Amが上側に配置され、その下側に、中ループ24A及び小ループ26Cで囲まれた空間が形成される。
同様に、中ループ24Cの略頂点Pm(c)の位置が、大ループ22B及び小ループ26Aの隣接位置Bhl(ba)と略一致している。これにより、中ループ24Cの下面側と、大ループ22B及び小ループ26Aの上面側とで囲まれた空間Amが上側に配置され、その下側に、中ループ24C及び小ループ26Aで囲まれた空間が形成される。
【0035】
また、小ループ26A~Cの略頂点Plの位置が2つの中ループ24A~Cの隣接位置Bmmと略一致する。
例えば、小ループ26Cの略頂点Pl(c)の位置が2つ中ループ24B、Aの隣接位置Bmm(ba)と略一致している。これにより、小ループ26Cの下面側と2つ中ループ24B、Cの上面側とで囲まれた空間Alが形成される。
【0036】
同様に、小ループ26Aの略頂点Pl(a)の位置が2つ中ループ24C、Bの隣接位置Bmm(cb)と略一致している。これにより、小ループ26Aの下面側と2つ中ループ24C、Bの上面側とで囲まれた空間Alが形成される。
同様に、小ループ26Bの略頂点Pl(b)の位置が2つ中ループ24A、Cの隣接位置Bmm(ac)と略一致している。これにより、小ループ26Bの下面側と2つ中ループ24A、Cの上面側とで囲まれた空間Alが形成される。
【0037】
以上のように、本実施形態に係るかつら縁部用部材2では、
大ループ22A~Cがループ長Lだけ離間して配置され、
大ループ22A~Cの略頂点Phの位置が2つ中ループ24A~Cの隣接位置Bmmと略一致し、
中ループ24A~Cが隣接して配置され、
中ループ24A~Cの略頂点Pmの位置が大ループ22A~C及び小ループ26A~Cの隣接位置Bhl、lhと略一致し、
小ループ26A~Cがループ長Lだけ離間して配置され、
小ループ26A~Cの略頂点Plの位置が2つの中ループ24A~Cの隣接位置Bmmと略一致するようになっている。
【0038】
これにより、高さが変動するループの略頂点Ph、Pm、Plの直下に、大ループ12の下面側と2つの中ループ24の上面側で囲まれた空間Ah、中ループ24の下面側と大ループ22及び小ループ26の上面側で囲まれた空間Am、及び小ループ26の下面側と2つの中ループ24の上面側で囲まれた空間Alを形成することができる。更に、空間Ahや空間Amの下側には、紐状部材で囲まれた更なる空間を形成することができる。
このような様々な位置に配置された様々な空間に擬毛を植設したり、擬毛を通すことにより、ヘアスタイルに様々な変化を付けることができる。
【0039】
(第4の実施形態に係るかつら縁部用部材の変形例)
次に、図6を参照しながら、本発明の第4の実施形態に係るかつら縁部用部材における変形例の説明を行う。図6は、本発明の第4の実施形態に係るかつら縁部用部材における変形例を模式的に示す図である。
変形例においては、上記の第1の紐状部材20A、第2の紐状部材20B及び第3の紐状部材20Cに加えて、第1の紐状部材20A、第2の紐状部材20B及び第3の紐状部材20Cと異なる更なる紐状部材20D、20E及び20Fを備える点で、上記に第1の実施形態と異なる。
【0040】
更に詳細に述べれば、更なる紐状部材20Dは、第1の紐状部材20Aの中ループ24Aに沿うように中ループ24Dを形成している。つまり、中ループが、第1の紐状部材20A及び更なる紐状部材20Dの2本の紐状部材で形成されている。ループ長Lの2倍の長さだけ離れて配置された各々の第1の紐状部材20Aの間では、更なる紐状部材20Dは、帯状部材30の長手方向に沿うように延在し、縫着等により帯状部材30に取り付けられている。
同様に、更なる紐状部材20Eは、第2の紐状部材20Bの中ループ24Bに沿うように中ループ24Eを形成している。つまり、中ループが、第2の紐状部材20B及び更なる紐状部材20Eの2本の紐状部材で形成されている。ループ長Lの2倍の長さだけ離れて配置された各々の第2の紐状部材20Bの間では、更なる紐状部材20Eは、帯状部材30の長手方向に沿うように延在し、縫着等により帯状部材30に取り付けられている。
同様に、更なる紐状部材20Fは、第3の紐状部材20Cの中ループ24Cに沿うように中ループ24Fを形成している。つまり、中ループが、第3の紐状部材20C及び更なる紐状部材20Fの2本の紐状部材で形成されている。ループ長Lの2倍の長さだけ離れて配置された各々の第3の紐状部材20Cの間では、更なる紐状部材20Fは、帯状部材30の長手方向に沿うように延在し、縫着等により帯状部材30に取り付けられている。
【0041】
この変形例では、3本の更なる紐状部材20D~Fを用いているので、各々の紐状部材20D~Fが、帯状部材30の長手方向において、紐状部材20A~Cの繋ぎ部28A~Cに沿って延びる距離が長くなる。このため、更なる紐状部材20D~Fが、他の紐状部材20A~Cと絡みあって、紐状部材が抜けにくくなる。ただし、これに限られるものではなく、例えば、1本の更なる紐状部材を用いて、各紐状部材20A~Cの中ループ24A~Cに沿うように中ループを形成することもできる。
本変形例では、2本の紐状部材で中ループ24が形成されているが、3本以上の任意の本数の紐状部材で中ループ24が形成される場合もあり得る。
【0042】
以上のように、本変形例では、第1の紐状部材20A、第2の紐状部材20B及び第3の紐状部材20Cと異なる更なる紐状部材20D~Fを備え、更なる紐状部材20D~Fにより、中ループ24が複数の紐状部材で構成されるようになっている。
これにより、中ループ24が、複数本のモノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸で形成されるので、それぞれの糸に擬毛を植設することができる。これにより、ヘアスタイルに更に様々な変化を付けることができる。
なお、中ループ24だけでなく、大ループ22や小ループ26を複数の紐状部材で形成することもできる。
【0043】
(第5の実施形態に係るかつら縁部用部材)
次に、図7及び図8を参照しながら、本発明の第5の実施形態に係るかつら縁部用部材を説明する。図7は、本発明の第5の実施形態に係るかつら縁部用部材における、帯状部材に取り付けられる第1の紐状部材、第2の紐状部材及び第3の紐状部材を模式的に示す図である。図8は、図7に示す第1の紐状部材、第2の紐状部材及び第3の紐状部材が帯状部材に取り付けられたかつら縁部用部材を模式的に示す図である。
【0044】
本実施形態に係るかつら縁部用部材2も、3つの紐状部材である第1の紐状部材10A(実践参照)、第2の紐状部材10B(破線参照)及び第3の紐状部材10C(一点鎖線参照)と、第1~第3の紐状部材10A~Cが取り付けられた帯状部材30とを備える。
第1の紐状部材10Aは、その長手方向(X軸方向)に沿って、繋ぎ部16Aを挟んで、大ループ12A及び小ループ14Aが長手方向で交互に形成されている。同様に、第2の紐状部材10Bは、その長手方向(X軸方向)に沿って、繋ぎ部16Bを挟んで、大ループ12B及び小ループ14Bが長手方向で交互に形成されている。同様に、第3の紐状部材10Cは、その長手方向(X軸方向)に沿って、繋ぎ部16Cを挟んで、大ループ12C及び小ループ14Cが長手方向で交互に形成されている。
つまり、第5の実施形態では、第1~第3の紐状部材10A~Cでは、その長手方向(X軸方向)において、大ループ12・小ループ14の順番で配置されたパターンが繰り返されて形成されている。
【0045】
第1~第3の紐状部材10A~Cの繋ぎ部16A~Cは、略直線状に延びている。大ループ12A~C及び小ループ14A~Cの間を繋ぐ各々の繋ぎ部16A~16Cは、略一直線上に位置している。また、大ループ12A~C及び小ループ14A~Cは、繋ぎ部16A~16Cに対して、同一方向に凸となる湾曲形状を有する。
【0046】
このような形状の第1の紐状部材10A、第2の紐状部材10B及び第3の紐状部材10Cは、それぞれ縫着等により帯状部材30に取り付けられ、これによりかつら用紐状部材2が形成されている。
第1~第3の紐状部材10A~Cの形状を更に詳細に述べれば、第1~第3の紐状部材10A~Cの何れも、大ループ12A~Cのループ長Lと小ループ14A~Cのループ長Lとが同一に形成されている
【0047】
また、第1の紐状部材10Aの大ループ12Aのループ高Hh(a)、第2の紐状部材10Bの大ループ12Bのループ高Hh(b)及び第3の紐状部材10Cの大ループ12Cのループ高Hh(c)は同一に形成されている。同様に、第1の紐状部材10Aの小ループ14Aのループ高Hl(a)、第2の紐状部材10Bの小ループ14Bのループ高Hl(b)及び第3の紐状部材10Cの小ループ14Cのループ高Hl(c)も、同一に形成されている。
そして、大ループ12A~Cのループ高Hh(a)~(c)は、何れも、小ループ14A~Cのループ高Hl(a)~(c)よりも高く形成されている。
【0048】
ただし、第1~第3の紐状部材10A~Cの大ループ12A~Cのループ高Hh(a)~(c)は、同一の場合だけでなく、少なくとも一部でループ高Hhが異なっている場合もあり得る。同様に、第1~第3の紐状部材10A~Cの小ループ14A~Cのループ高Hl(a)~(c)は、同一の場合だけでなく、少なくとも一部でループ高Hlが異なっている場合もあり得る。
ただし、何れの場合においても、大ループ12A~Cのループ高Hh(a)~(c)は、常に小ループ14A~Cのループ高Hl(a)~(c)より高く形成されている。
【0049】
略直線状に延びた第1~第3の紐状部材10A~Cの個々の繋ぎ部16A~Cは、ループ長Lの略1/2の長さを有する。よって、第1~第3の紐状部材10A~Cの何れにおいても、長さLの大ループ12A~Cと、長さLの小ループ14A~Cが、長さ略L/2の繋ぎ部16A~Cを挟んで交互に配置された形状を有する。
【0050】
第1~第3の紐状部材10A~Cを帯状部材30に取り付ける場合、大ループ12A~C及び小ループ14A~Cが、帯状部材30の一方の側辺30Aから外側に突出するように配置される。また、第1の紐状部材10A、第2の紐状部材10B及び第3の紐状部材10Cは、帯状部材30の長手方向(X軸方向)に沿って、順にループ長Lの分だけずれて配置されている。このように第1~第3の紐状部材10A~Cが配置された状態で、帯状部材30の面部に位置する第1~第3の紐状部材10A~Cの繋ぎ部16A~Cが、帯状部材30に接合されている。
長さ略L/2の略直線状の状繋ぎ部16A~Cを帯状部材30の面部に接合するので、強い強度で、第1~第3の紐状部材10A~Cを帯状部材30に取り付けることができる。
【0051】
このように形成されたかつら縁部用部材2は、かつらベースの外縁部に取り付けられ、かつらベースの外縁部の一部を構成する。その場合、大ループ12A~C及び小ループ14A~Cがかつらベースの外縁から外側に突出するように配置される。そして、かつらベースの面部ともに、第1~第3の紐状部材10A~Cや、帯状部材30に擬毛が植設される。かつらベースの外縁部は、かつらの装着が最も露見し易い領域であるが、かつら縁部用部材2により、下記のようにかつら装着の露見を抑制することができる。
【0052】
かつら縁部用部材2は、高く持ちあげることが可能な大ループ12A~C及び低く延びた小ループ14A~Cが形成されるので、擬毛やかつらベースの外縁近傍の自毛の立ち上がり状態を容易に調整することができる。擬毛や自毛を、大ループ12A~Cを用いて高く立ち上がらせることもできるし、小ループ14A~Cを用いて低く抑えることもできる。よって、1種類の周期の波形を有する場合に比べて、毛植えにおける毛量調整を行い易く、ヘアスタイルに変化を付けることができる。
【0053】
特に、ループ長Lの半分の長さだけ離間して大ループ12A~C及び小ループ14A~Cが交互に配置された第1~第3の紐状部材10A~Cが、ループ長Lだけ順にずれて配置されているので、大ループ12A~C及び小ループ14A~Cを様々に組み合わせた様々な形状の空間が形成される。このような空間を利用して、ヘアスタイルに様々な変化を付けるとともに、自然な外観を得ることができる。
【0054】
上記のような大小ループを有する第1~第3の紐状部材10A~Cが、ループ長Lだけ順にずれて配置されることにより、帯状部材30は下記のようなループの配置を有する。
第1の紐状部材10A、第2の紐状部材10B及び第3の紐状部材10Cの大ループ12A、12B及び12Cは、帯状部材30の長手方向(X軸方向)に沿って順に隣接して配置されている。同様に、第1の紐状部材10A、第2の紐状部材10B及び第3の紐状部材10Cの小ループ14A、14B及び14Cが、帯状部材30の長手方向(X軸方向)に沿って、順に隣接して配置されている。更に、順に隣接した小ループ14A~14Cの群は、帯状部材30の長手方向(X軸方向)において、順に隣接したループ12A~Cの群に対して、ループ長Lの概ね1/2だけずれた状態で取り付けられている。
【0055】
つまり、長手方向(X軸方向)において、大ループ12A~Cが規則的に順に並んだ波形状の群、及び小ループ14A~Cが規則的に順に並んだ波形状の群が、波のピッチの半分に相当するループ長Lの半分の長さだけずれて配置されている。
これにより、大ループ12A~C及び小ループ14A~Cが組み合わされて、様々な形状、大きさの空間が形成されるとともに、一定のパターンが規則的に繰り返される。このような様々な空間を形成する大ループ12A~C及び小ループ14A~Cが組み合わせに擬毛を植設することにより、ヘアスタイルに変化を付けることができるとともに、煩雑な印象を与えることがない自然な外観を得ることができる。
【0056】
更に詳細に述べれば、帯状部材30の長手方向(X軸方向)において、大ループ12Aの略頂点Ph(a)の位置が、2つ小ループ14B及び14Cの隣接位置Bl(bc)と略一致することになる。同様に、大ループ12Bの略頂点Ph(b)の位置が、2つ小ループ14C及び14Aの隣接位置Bl(ca)と略一致することになる。同様に、大ループ12Cの略頂点Ph(c)の位置が、2つ小ループ14A及び14Bの隣接位置Bl(ab)と略一致することになる。
【0057】
また、小ループ14Aの略頂点Pl(a)の位置が、2つの大ループ12B及び12Cの隣接位置Bh(bc)と略一致することになる。同様に、小ループ14Bの略頂点Pl(b)の位置が、2つの大ループ12C及び12Aの隣接位置Bh(ca)と略一致することになる。同様に、小ループ14Cの略頂点Pl(c)の位置が、2つの大ループ12A及び12Bの隣接位置Bh(ab)と略一致することになる。
【0058】
以上のように、本実施形態に係るかつら縁部用部材2では、
帯状部材30の長手方向において、
大ループ12A~Cが隣接して配置され、
大ループ12A~12Cの略頂点Ph(a~c)の位置が2つ小ループ14A~Cの隣接位置Blと略一致し、
小ループ14A~Cの略頂点Pl(a~c)の位置が2つの大ループ12A~Cの隣接位置Bhと略一致する。
【0059】
これにより、かつら縁部用部材2において、大ループ12の下側に小ループ14が配置される領域と、小ループ14の下側に大ループ12が配置される領域とが交互に配置される。つまり、第1~第3の紐状部材10A~Cの大ループ12及び小ループ14は、他のループの上側に位置する場合と、他のループの下側に位置する場合とが交互に生じるように、帯状部材30の長手方向(X軸方向)に延在している。これにより、容易に毛量調整が可能であり、容易にヘアスタイルに変化を付けることができる。
【0060】
特に、大ループ12の下側と小ループ14の上側で囲まれた空間Ahだけでなく、小ループ14の下側と大ループ12の上側で囲まれた空間Alを形成することができる。空間Alは比較的低い位置にあるにも関わらず、その上には他のループが存在しないようになっている。このような空間Alを画定する小ループ14及び大ループ12に擬毛を植設したり、空間Alに擬毛を通すことにより、ヘアスタイルに様々な変化を付けることができる。
【0061】
(第5の実施形態に係るかつら縁部用部材の変形例)
次に、図9から図12を参照しながら、本発明の第5の実施形態に係るかつら縁部用部材の変形例の説明を行う。図9は、本発明の第5の実施形態に係るかつら縁部用部材の変形例1を模式的に示す図であり、図10は、変形例2を模式的に示す図であり、図11は、変形例3を模式的に示す図であり、図12は、変形例4を模式的に示す図である。
【0062】
<変形例1>
図9に示すかつら縁部用部材2の変形例1では、上記の第5の実施形態に比べ、3つの紐状部材10A~10Cのうち、1つの紐状部材10Aが2本のモノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸で形成されている点で異なる。ここでは、第1の紐状部材10Aが2本の糸で形成されている場合を示すが、これに限られるものではなく、他の紐状部材10B、10Cが2本の糸で形成されている場合もあり得る。
【0063】
<変形例2>
図10に示すかつら縁部用部材2の変形例2では、上記の第5の実施形態に比べ、3つの紐状部材10A~10Cのうち、2つの紐状部材10A、10Bが2本のモノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸で形成されている点で異なる。ここでは、第1の紐状部材10A及び第2の紐状部材10Bが2本の糸で形成されている場合を示すが、これに限られるものではなく、他の紐状部材が2本の糸で形成されている場合もあり得る。
【0064】
<変形例3>
図11に示すかつら縁部用部材2の変形例3では、上記の第4の実施形態に比べ、3つ全ての紐状部材10A~10Cが、2本のモノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸で形成されている点で異なる。
【0065】
ここでは、紐状部材10が2本のノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸で形成されている場合を示すが、3本以上のノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸で形成さる場合もあり得る。このように、第1の紐状部材10A、第2の紐状部材10B及び第3の紐状部材10Cの少なくとも一部が、複数本のモノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸で形成さる場合には、それぞれの糸に擬毛を植設することができるので、ヘアスタイルに更に様々な変化を付けることができる。
なお、紐状部材10が複数本の糸で形成される場合、個々の糸の長さは、略同一であり、個々の糸は自由に移動できるので、常に一方の糸が他方の糸の内側または外側に位置するということはない。自由に移動できる個々の糸に擬毛を植設することにより、ヘアスタイルに更に様々な変化を付けることができる。
【0066】
<変形例4>
図12に示すかつら縁部用部材2の変形例4では、第1の紐状部材10A、第2の紐状部材10B及び第3の紐状部材10Cの大ループ12A、12B及び12Cのうち、第2の紐状部材10Bの大ループ12Bのループ高Hh(b)が、他の紐状部材10A、10Cの大ループ12A、12Cのループ高Hh(a)(c)より低くなっている。
【0067】
これにより、かつら縁部用部材2は、3段階に異なる高さのループを有することになり、更に変化に富んだループの組み合わせが得られる。なお、ここでは、第2の紐状部材10Bの大ループ12Bのループ高Hh(b)が他より低い場合を示すが、これに限られるものではない。大ループ12A、12B及び12Cにおいて、その他の任意の態様でループ高Hhを調整することができる。例えば、全ての大ループ12A~Cのループ高Hhが異なるように形成することもできる。
【0068】
以上のように、第1の紐状部材10A、第2の紐状部材10B及び第3の紐状部材10Cの大ループ12A、B及びCのちの少なくとも一部のループ高Hhが異なっている場合には、様々に異なる高さのループを組み合わせることができるので、ヘアスタイルに更に様々な変化を付けることができる。
【0069】
なお、図12に示す実施形態では、第2の紐状部材10Bが2本のノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸で形成されている場合を示すが、これに限られるものではなく、糸の本数については、上記の実施形態を適宜採用することができる。
また、大ループ12A~Cでだけでなく、小ループ14A~Cのちの少なくとも一部のループ高Hlが異なるように形成することもできる。
【0070】
(全般的記載)
上記の第1の実施形態に係るかつら縁部用部材2では、
繋ぎ部28A、28Bを挟んで複数のループが長手方向に沿って形成された第1の紐状部材20A及び第2の紐状部材20Bと、
第1の紐状部材20A及び第2の紐状部材20Bが取り付けられた帯状部材30と、
を備え、
第1の紐状部材20Aの長手方向において、ループ高が最も高い大ループ22Aと、ループ高が最も低い小ループ26Aと、ループ高が大ループ22A及び小ループ26Aの中間の中ループ24Aとが配置され、
第2の紐状部材20Bの長手方向において、少なくとも、大ループ22Bと、ループ高が大ループ22A、22B及び小ループ26Aの中間の中ループ24Bとが配置され、
大ループ22A、22Bが、小ループ26A(26B)または中ループ24B(24A)と交差しており、
繋ぎ部28A、28Bは略直線状に延びて、
第1の紐状部材20A及び第2の紐状部材20Bが、帯状部材30の長手方向に沿って延在するとともに、ループ22A~26A、22B~24Bが帯状部材30の一方の側辺から突出するように配置された状態で、繋ぎ部30が帯状部材30に接合されている。
【0071】
これにより、自然な外観を有するとともに、毛量調整が可能でヘアスタイルに変化を付けることができ、強度も有する。つまり、複数の紐状部材20A、20B、で、大、中、小のループを分散構成することで、一つの紐状部材20A(20B)において、繋ぎ部をバランスよく配置することができ、引っ張られたときの強度を高くすることができる。
【0072】
上記の第4の実施形態に係るかつら縁部用部材2では、第1の紐状部材20A、第2の紐状部材20B及び第3の紐状部材20Cが、それぞれループ長の2倍だけずれて延在して配置されている。上記の第2実施形態に係るかつら縁部用部材2では、第1の紐状部材20A、第2の紐状部材20B及び第3の紐状部材20Cが、ループ長Lだけ、つまりループ長Lの1倍だけずれて延在して配置されている。ただし、これに限られるものではなく、第1の紐状部材20A、第2の紐状部材20B及び第3の紐状部材20Cが、ループ長Lの3倍以上の整数倍だけずれている場合もあり得る。
【0073】
よって、本発明の実施形態に係るかつら縁部用部材2は、
繋ぎ部28(16)A~Cを挟んで複数のループが長手方向に沿って形成された略同一形状の第1の紐状部材20(10)A、第2の紐状部材20(10)B及び第3の紐状部材20(10)Cと、
第1の紐状部材20(10)A、第2の紐状部材20(10)B及び第3の紐状部材20(10)Cが取り付けられた帯状部材30と、
を備え、
第1の紐状部材20(10)A、第2の紐状部材20(10)B及び第3の紐状部材20(10)Cの長手方向において、少なくとも一部でループ高が異なる複数のループ22、24、26(12、14)が所定の順番で配置されたパターンが繰り返されるように形成され、
ループ22、24、26(12、14)のループ長Lは略同一に形成され、
繋ぎ部28(16)A~Cは略直線状に延びて、ループ長Lの略1/2の長さを有し、
第1の紐状部材20(10)A、第2の紐状部材20(10)B及び第3の紐状部材20(10)Cが、帯状部材30の長手方向に沿って、それぞれループ長Lの整数倍だけずれて延在するとともに、ループ22、24、26(12、14)が帯状部材30の一方の側辺30Aから突出するように配置された状態で、繋ぎ部28(16)A~Cが帯状部材30に接合されている。
【0074】
これにより、ループ高が異なるループ22、24、26(12、14)を含み、ループのループ長Lが略同一に形成され、繋ぎ部28(16)A~Cがループ長Lの略1/2の長さを有し、第1~3の紐状部材20(10)A~Cが長手方向に沿ってループ長Lの整数倍だけずれて延在するので、所定の紐状部材のループの頂点位置に他の紐状部材のループの隣接位置が配置される。これにより、ループ高が異なるループを様々に組み合わせた様々な形状の空間が形成される。
【0075】
このような空間を利用して、ヘアスタイルに様々な変化を付けるとともに、自然な外観を得ることができる。以上のように、本発明では、自然な外観を有するとともに、毛量調整が可能でヘアスタイルに変化を付けることができるかつら縁部用部材2を提供することができる。
【0076】
(かつら縁部用部材が取り付けられたかつら)
次に、図13を参照しながら、外縁部にかつら縁部用部材が取り付けられたかつらの説明を行う。図13は、外縁部にかつら縁部用部材が取り付けられたかつらの一例を示す模式図である。
図13に示す例では、湾曲した形状のかつら縁部用部材2がかつらベース40の前縁部に取り付けられ、かつらベース40及びかつら縁部用部材2に擬毛50が植設されて、かつら60が形成されている。
【0077】
このようなかつら縁部用部材2を備えたかつら60においても、上記と同様な作用効果が得られる。つまり、自然な外観を有するとともに、毛量調整が可能でヘアスタイルに変化を付けることができるかつらを提供することができる。
【0078】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0079】
2 かつら縁部用部材
10、10A~C 紐状部材、第1~第3の紐状部材面部
12、12A~C 大ループ
14、14A~C 小ループ
16、16A~C 繋ぎ部
20、20A~C 紐状部材、第1~第3の紐状部材
20D~F 更なる紐状部材
22、22A~C 大ループ
24、24A~C 中ループ
26、26A~C 小ループ
28、28A~C 繋ぎ部
30 帯状部材
30A 側辺
40 かつらベース
50 擬毛
60 かつら
図1
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