(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012067
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】推薦システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20220107BHJP
【FI】
G06Q30/06 330
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113603
(22)【出願日】2020-06-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】518114749
【氏名又は名称】株式会社フライウィール
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】冨田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 侑久
(72)【発明者】
【氏名】何 猛
(72)【発明者】
【氏名】波村 大悟
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザに推薦するアイテムに動的に順位付けをするシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】推薦システム10において、コンテキストを取得するコンテキスト取得部101、コンテキストに応じた、推薦するアイテムの候補である、推薦候補のスコアを取得する推薦候補取得部102、ランキングルールおよび推薦候補をもとに検索クエリを作成する検索クエリ作成部104、検索クエリを実行してアイテムを検索する検索部107、検索したアイテムの取得したスコアを、ランキングルールにしたがって新たなスコアに更新するスコア調整部109および新たなスコアをもとに順位付けをしたアイテムを配信する配信部110を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにアイテムを推薦するシステムであって、
コンテキストを取得するコンテキスト取得部と、
前記コンテキストに応じた推薦候補のスコアを取得し、前記推薦候補は、推薦するアイテムの候補である、推薦候補取得部と、
ランキングルールおよび前記推薦候補をもとに検索クエリを作成する検索クエリ作成部と、
前記検索クエリを実行してアイテムを検索する検索部と、
前記検索したアイテムの前記取得したスコアを、前記ランキングルールにしたがって新たなスコアに更新するスコア調整部と、
前記新たなスコアをもとに順位付けをしたアイテムを配信する配信部と
を備えた推薦システム。
【請求項2】
前記ランキングルールは、前記推薦候補のスコアを増加または減少させるルールである、請求項1に記載の推薦システム。
【請求項3】
前記ランキングルールは、前記推薦候補を絞り込むルールである請求項1または2に記載の推薦システム。
【請求項4】
前記スコア調整部は、前記ランキングルールおよび前記アイテムに付与されたタグに基づいて、前記検索したアイテムのスコアを増加または減少させる、請求項2に記載の推薦システム。
【請求項5】
前記検索部は、前記ランキングルールおよび前記アイテムに付与されたタグに基づいて、前記推薦候補から絞り込まれたアイテムを検索する、請求項3に記載の推薦システム。
【請求項6】
前記ランキングルールは、ウェブページ内の枠であるスロットごとに定められている、請求項1から5のいずれか一項に記載の推薦システム。
【請求項7】
ユーザにアイテムを推薦するシステムが実行する方法であって、
コンテキストを取得するステップと、
前記コンテキストに応じた推薦候補のスコアを取得し、前記推薦候補は、推薦するアイテムの候補である、ステップと、
ランキングルールおよび前記推薦候補をもとに検索クエリを作成するステップと、
前記検索クエリを実行してアイテムを検索するステップと、
前記検索したアイテムの前記取得したスコアを、前記ランキングルールにしたがって新たなスコアに更新するステップと、
前記新たなスコアをもとに順位付けをしたアイテムを配信するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザにアイテムを推薦するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが興味を持つであろうと思われる対象物(以下、アイテムとも呼ぶ)をユーザに推薦する推薦システム(レコメンデーションシステム、レコメンデーションエンジンとも呼ばれる)が知られている。推薦システムの手法として、ユーザが閲覧しているアイテムに関連するアイテムを推薦する手法(内容ベースフィルタリングとも呼ばれる)や、ユーザと嗜好が類似する者の閲覧等の操作履歴に基づいてアイテムを推薦する手法(協調フィルタリングとも呼ばれる)が知られている。
【0003】
ユーザに推薦するアイテムは、アイテムごとに定められたスコアをもとに順位付けがなされ、スコアが上位のアイテムほど、よりユーザに推薦すべきアイテムとして取り扱われる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の推薦システムでは、アイテムごとに定められたスコアをもとにアイテムに順位付けをしているため、アイテムの推薦時に、ユーザに推薦するアイテムに動的に順位付けをすることが容易ではなかった。
【0006】
そこで、本発明では、ユーザに推薦するアイテムに動的に順位付けをすることができるシステムの構築を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る推薦システムは、コンテキストを取得するコンテキスト取得部と、前記コンテキストに応じた推薦候補のスコアを取得し、前記推薦候補は、推薦するアイテムの候補である、推薦候補取得部と、ランキングルールおよび前記推薦候補をもとに検索クエリを作成する検索クエリ作成部と、前記検索クエリを実行してアイテムを検索する検索部と、前記検索したアイテムの前記取得したスコアを、前記ランキングルールにしたがって新たなスコアに更新するスコア調整部と、前記新たなスコアをもとに順位付けをしたアイテムを配信する配信部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザに推薦するアイテムに動的に順位付けをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る全体の構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る推薦システムの機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る推薦候補記憶部に記憶されているデータを説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るアイテム情報記憶部に記憶されているデータを説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る検索インデックスの一例である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るアイテムの順位付けの処理を説明するための図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るアイテムの順位付けの処理を説明するための図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るアイテムの順位付けの処理を説明するための図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るアイテムの順位付けの処理を説明するための図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るランキングルールの設定およびアイテムの順位付けの処理のシーケンス図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るランキングルール設定処理のフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態に係るアイテム順位付け処理のフローチャートである。
【
図13】本発明の一実施形態に係る推薦システム、メディア運用者端末、ユーザ端末のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
<用語の説明>
本明細書で使用する用語について説明する。
・「アイテム」は、推薦システムが取り扱う対象物である。例えば、アイテムは、EC(電子商取引)サイトであれば商品、動画配信サイトであれば動画であるが、これらに限定されない。アイテムにはタグ(例えば、在庫数、利益率等)が付与されている。なお、アイテムに付与されたタグをアイテム情報とも呼ぶ。
・「メディア運用者」は、推薦システムを導入するウェブサイト(例えば、ECサイト、動画配信サイト等。メディアとも呼ぶ)の運用者である。
・「ユーザ」は、推薦システムを導入するウェブサイト(例えば、ECサイト、動画配信サイト等。メディアとも呼ぶ)を利用する者である。
【0012】
<全体の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る全体の構成図である。
図1に示されているように、推薦システム10は、メディア運用者端末20およびユーザ端末30と任意のネットワークを介して通信可能に接続されている。以下、それぞれについて説明する。
【0013】
推薦システム10は、ユーザ31にアイテムを推薦するシステムである。具体的には、推薦システム10は、ユーザ31に推薦するアイテムの候補(以下、推薦候補ともいう)に元々付与されていたスコアをランキングルールにしたがって調整し、調整後のスコアをもとにブースティング(以下、順位付けともいう)をしたアイテムをユーザ31に推薦することができる。推薦システム10は、1つまたは複数のコンピュータからなる。後段で、
図2を参照しながら、推薦システム10について詳細に説明する。
【0014】
メディア運用者端末20は、メディア運用者21が操作する端末である。メディア運用者21は、メディア運用者端末20を用いて、ランキングルールを設定することができる。例えば、メディア運用者端末20は、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等である。
【0015】
ユーザ端末30は、ユーザ31が操作する端末である。ユーザ31は、ユーザ端末30を用いて、推薦システム10を導入するウェブサイト(例えば、ECサイト、動画配信サイト等)で、推薦システム10が推薦するアイテムを閲覧等することができる。例えば、ユーザ端末30は、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等である。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態に係る推薦システム10の機能ブロック図である。
図2に示されているように、推薦システム10は、コンテキスト取得部101、推薦候補取得部102、推薦候補記憶部103、検索クエリ作成部104、ランキングルール記憶部105、ランキングルール設定部106、検索部107、アイテム情報記憶部108、スコア調整部109、配信部110を備えることができる。また、推薦システム10は、プログラムを実行することで、コンテキスト取得部101、推薦候補取得部102、検索クエリ作成部104、ランキングルール設定部106、検索部107、スコア調整部109、配信部110として機能することができる。以下、それぞれについて説明する。
【0017】
コンテキスト取得部101は、コンテキストを取得する。以下、コンテキストの例を説明する。
【0018】
ある実施形態では、コンテキストは、推薦システム10を導入するウェブサイト(例えば、ECサイト、動画配信サイト等)でユーザ31が表示しているウェブページに関する情報である。コンテキストは、ウェブページに表示されているアイテムに関する情報等である。
【0019】
別の実施形態では、コンテキストは、推薦システム10を導入するウェブサイト(例えば、ECサイト、動画配信サイト等)のウェブページを表示させているユーザ31に関する情報である。コンテキストは、ユーザ31のID、デモグラフィック(性別、年齢等の属性)、購買履歴等である。
【0020】
推薦候補取得部102は、コンテキスト取得部101が取得したコンテキストに応じた推薦候補(例えば、アイテムごとに定められた推薦候補、ユーザごとに定められた推薦候補等)を取得する。具体的には、推薦候補取得部102は、推薦候補記憶部103を参照して、コンテキスト取得部101が取得したコンテキストに応じた推薦候補のIDおよびスコアを取得する。
【0021】
推薦候補記憶部103には、予め推薦候補が記憶されているものとする。例えば、推薦候補は、アイテムごとに定められた推薦候補、ユーザごとに定められた推薦候補等である。以下、
図3を参照しながら、推薦候補記憶部103に記憶されているデータについて詳細に説明する。
【0022】
図3は、本発明の一実施形態に係る推薦候補記憶部103に記憶されているデータを説明するための図である。
【0023】
例えば、
図3の上部の<アイテム軸推薦候補>に示されるように、推薦候補記憶部103には、"アイテム(推薦するアイテムを選ぶための元となるアイテムである。対象アイテムとも呼ぶ。例えば、推薦システムを導入するウェブサイト(例えば、ECサイト、動画配信サイト等)でユーザが表示しているウェブページに表示されているアイテム)"と、所定の個数の"推薦候補"と、が事前に対応付けられて記憶されている。例えば、"推薦候補"は、"対象アイテム"と特徴が類似するアイテム、"対象アイテム"に関連するアイテム等である。
【0024】
各推薦候補は、事前に算出されたスコアを有する。例えば、スコアは、"対象アイテム"と"推薦候補"との特徴が類似する度合い、"対象アイテム"と"推薦候補"とが関連する度合い等を示す。推薦候補記憶部103には、スコアの値が大きいアイテム(つまり、対象アイテムと特徴が類似するアイテム、対象アイテムに関連するアイテム等)が、推薦候補として記憶されている。
【0025】
例えば、
図3の下部の<ユーザ軸推薦候補>に示されるように、推薦候補記憶部103には、"ユーザ(推薦するアイテムを選ぶための元となるユーザである。対象ユーザとも呼ぶ。例えば、推薦システムを導入するウェブサイト(例えば、ECサイト、動画配信サイト等)のウェブページを表示させているユーザ)"と、所定の個数の"推薦候補"と、が事前に対応付けられて記憶されている。例えば、"推薦候補"は、"対象ユーザ"と嗜好(例えば、操作履歴や属性)が類似する者の操作履歴に基づくアイテム(例えば、その者が閲覧したことがあるアイテム)等である。なお、"対象ユーザ"と嗜好が類似する者は、対象ユーザ自身を含みうる。
【0026】
各推薦候補は、事前に算出されたスコアを有する。例えば、スコアは、"対象ユーザ"と"対象ユーザと嗜好が類似する者"との嗜好が類似する度合いを示す。推薦候補記憶部103には、スコアの値が大きいアイテム(つまり、対象ユーザと嗜好が類似する者の操作履歴に基づくアイテム)が、推薦候補として記憶されている。
【0027】
なお、
図3の推薦候補は一例である。例えば、推薦候補は、
図3の上部の<アイテム軸推薦候補>のように内容フィルタリングによる推薦候補であってもよいし、
図3の下部の<ユーザ軸推薦候補>のように協調フィルタリングによる推薦候補であってもよいし、内容フィルタリングと協調フィルタリングとを組み合わせたハイブリッド型の推薦システムによる推薦候補であってもよいし、内容フィルタリングと協調フィルタリングとの少なくとも一方の推薦システムによる推薦候補に検索クエリを用いて検索したアイテムを混ぜ込んだ推薦候補等であってもよい。
【0028】
図2の説明に戻る。検索クエリ作成部104は、検索クエリを作成する。具体的には、検索クエリ作成部104は、ランキングルール記憶部105を参照して、ランキングルール(例えば、コンテキスト取得部101が取得したコンテキストに応じたランキングルール)を特定する。また、検索クエリ作成部104は、ランキングルールおよび推薦候補取得部102が取得した推薦候補をもとに、検索クエリを作成する。検索クエリは、推薦候補のアイテム情報(アイテムに付与されたタグ)の取得と、推薦候補のフィルタリング(絞り込み)と、を同時に行うためのクエリである。後段で、
図6~
図9を参照しながら、検索クエリの作成について具体的に説明する。
【0029】
検索部107は、検索クエリ作成部104が作成した検索クエリを実行する。具体的には、検索部107は、検索クエリ作成部104が作成した検索クエリと、アイテム情報記憶部108に記憶されている検索インデックスとに基づいて、検索クエリの条件を満たすアイテムを検索する。後段で、
図6~
図9を参照しながら、検索クエリの実行について具体的に説明する。
【0030】
アイテム情報記憶部108には、アイテムに付与されたタグ(アイテム情報)が記憶されている。例えば、タグ(アイテム情報)は、アイテムのIDや名称、アイテムの説明、カテゴリのIDや名称、アイテムの価格、粗利、利益率、在庫数(DC(ディストリビューションセンター)ごとの在庫数)、画像に付与された情報、メーカー等である。以下、
図4および
図5を参照しながら、アイテム情報記憶部108に記憶されているデータについて詳細に説明する。
【0031】
本発明の一実施形態では、タグが付与されたアイテムを検索エンジン上で管理することができる。アイテムに付与されたタグが検索インデックスとして用いられる。
【0032】
図4は、本発明の一実施形態に係るアイテム情報記憶部108に記憶されているデータを説明するための図である。アイテム情報記憶部108には、アイテム(
図4の例では、「アイテムID」が"12345"、"5236"、"4615"、"13521"であるアイテム)ごとに、アイテムに付与されたタグ(
図4の例では、「カテゴリ」、「価格」、「粗利」、「利益率」、「在庫数」、「画像に付与された情報」等のタグ)が記憶されている。
【0033】
図5は、本発明の一実施形態に係る検索インデックスの一例である。
図5に示されるように、本発明の一実施形態では、アイテムを検索するためのインデックス(索引)が、キーバリュー(Key-Value)方式で管理される。
【0034】
図2の説明に戻る。スコア調整部109は、検索部107が検索したアイテムのスコアを調整する。具体的には、スコア調整部109は、検索部107が検索したアイテムのスコア(つまり、推薦候補取得部102が取得したスコア)を、検索クエリ作成部104が特定したランキングルールにしたがって新たなスコアに更新する。
【0035】
配信部110は、アイテムを配信する。具体的には、配信部110は、スコア調整部109が調整した後のスコアをもとに順位付けをしたアイテムをユーザ端末30に配信する(例えば、ユーザ端末30に表示させる)。
【0036】
ランキングルール設定部106は、メディア運用者端末20から、メディア運用者21によってメディア運用者端末20に入力されたランキングルールを取得する。また、ランキングルール設定部106は、メディア運用者端末20から取得したランキングルールを登録する。具体的には、ランキングルール設定部106は、メディア運用者端末20から取得したランキングルールをランキングルール記憶部105に記憶させる。
【0037】
ランキングルール記憶部105には、メディア運用者21が指定したランキングルールが記憶されている。
【0038】
<<ランキングルール>>
ここで、ランキングルールについて説明する。なお、メディア運用者21は、ランキングルールを、スロット(推薦するアイテムを表示するためのウェブページ内の枠。トップページのスロット、カテゴリのトップページのスロット等がある)ごとに定めることができる。
【0039】
例えば、ランキングルールは、推薦候補のスコアを増加または減少させるためのルール(具体的には、スコアを調整するアイテムの条件、および、スコアを調整するための関数)である。また、例えば、ランキングルールは、推薦候補をフィルタリングする(絞り込む)ためのルール(具体的には、検索結果から除外するアイテムの条件)である。
【0040】
なお、メディア運用者21は、ランキングルールの有効期間、スロットの有効期間等を定めることができる。例えば、トップページの上部のスロットの有効期限を1年間とし、そのスロット内のランキングルールの有効期限を1か月とし、毎月ランキングルールを変更してチューニングすることができる。
【0041】
以下、ランキングルールの具体例を説明する。
【0042】
例えば、メディア運用者21は、全アイテムのスコアにそれぞれの利益率を乗じるランキングルールを指定することができる。具体的には、スコア調整部109が、全ての推薦候補のスコアに対してアイテムの利益率を乗じてスコアを調整する。例えば、利益率が5パーセントのアイテムのスコアを1.05倍、利益率が20パーセントのアイテムのスコアを1.2倍にするといった処理を行うと、全体的に利益率が高いアイテムを上位に表示することができる。そのため、利益率が高いアイテムを優先的に推薦することができる。
【0043】
このように、メディア運用者21が指定するアイテム(例えば、利益率が高い商品、在庫数が多い商品等)の優先順位を上げて推薦することができる。あるいは、メディア運用者21が指定するアイテム(例えば、利益率が低い商品、在庫数が少ない商品等)の優先順位を下げて推薦することができる。
【0044】
例えば、メディア運用者21は、ユーザ31の最寄りのDCに在庫がないアイテムを推薦しないランキングルールを指定することができる。具体的には、検索部107が、DCごとの在庫数とユーザ31の住所等とを照合して、ユーザ31の最寄りのDCに在庫がないアイテムを検索結果から除外する。
【0045】
このように、メディア運用者21が指定するアイテム(例えば、在庫がない商品)を推薦しないようにすることができる。
【0046】
例えば、メディア運用者21は、特定の期間(例えば、××月××日から××月××日まで、××月××日のみ等)だけ特定のカテゴリのアイテムのスコアを××倍にするランキングルールを指定することができる。そのため、季節のイベントやウェブサイト全体で実施されている特集に連動させて、該イベントや該特集に関連するカテゴリのアイテムを上位に表示することができる。
【0047】
このように、ランキングルールの有効期間の指定が可能なので、推薦するアイテムの順位付けを期間によって柔軟に変更することができる。
【0048】
以下、
図6~
図9を参照しながら、アイテムの順位付けの処理を具体的に説明する。
【0049】
本説明では、以下のようなランキングルールが設定されていたとする。
・stock_quantity=0のアイテム(つまり、在庫数がゼロ(在庫切れ)のアイテム)を推薦しない。
・profit_ratio>=0.1のアイテム(つまり、利益率が10パーセント以上のアイテム)のスコアを2倍にする。
【0050】
本説明では、
図6に示されるアイテムのなかから、アイテムを推薦するとする。すなわち、アイテム情報記憶部108に記憶されているアイテムが、
図6に示される「アイテムID」が"12345"、"5236"、"4615"、"13521"であるアイテムであったとする。
【0051】
まず、
図7に示される推薦候補が取得されたとする。すなわち、推薦候補取得部102が、コンテキストに応じた推薦候補(例えば、ユーザが表示しているウェブページに「アイテムID」が"12345"であるアイテムが表示されているときの推薦候補)として、
図7に示される「アイテムID」が"5236"、"4615"、"13521"であるアイテムを取得したとする。また、推薦候補取得部102が、各推薦候補のスコア(「アイテムID」が"5236"であるアイテムのスコア"0.7"、「アイテムID」が"4615"であるアイテムのスコア"0.6"、「アイテムID」が"13521"であるアイテムのスコア"0.5")を取得したとする。
【0052】
次に、検索クエリが作成される。検索クエリは、以下の内容を含む。
(1)「アイテムID」が"5236"または"4615"または"123521"であるアイテム(つまり、推薦候補)を取得する。
(2)stock_quantityが0であるアイテムを検索結果から除外する(つまり、推薦候補のフィルタリング(絞り込み))。
(3)検索結果には、アイテムID、名称のタグに加えて、スコアの調整で使用するprofit_ratioのタグも含める(つまり、推薦候補のアイテム情報(アイテムに付与されたタグ)の取得)。
【0053】
上記の(1)にて、検索結果に含めるアイテム(つまり、推薦候補)を指定している。また、(2)にて、ランキングルールで指定されたフィルタリング(絞り込み)の条件にしたがい、アイテムを除外している。また、(3)にて、ランキングルールで指定されたスコアの調整の条件にしたがい、スコアの調整で使用するタグを取得している。
【0054】
図8は、検索されたアイテムのタグとスコアを示す。タグは、検索により取得されたものであり、スコアは、推薦候補に付与されていたものである。
図8に示されるように、検索結果は、ランキングルールで指定されたフィルタリング(絞り込み)の条件にしたがい、アイテムが除外されている。このように、フィルタリング(絞り込み)とアイテムのタグの取得が完了しているので、スコアの調整の処理に進むことができる。
【0055】
図9は、スコアが調整された後を示す。
図9に示されるように、スコア調整部109は、ランキングルールで指定されたスコアの調整の条件にしたがい、利益率が10パーセント以上のアイテム(つまり、「アイテムID」が"13521"であるアイテム)のスコアを2倍(つまり、0.5の2倍である1.0)に更新する。そして、スコアの値が大きい順(つまり、「スコアID」が"13521"であるアイテム、"5236"であるアイテムの順)に推薦される。
【0056】
なお、全てのタグを検索インデックスに登録することが難しい場合がある。例えば、タグが頻繁に更新されるため、検索インデックスを更新して管理することが現実的ではない場合、タグのデータ量が大きくなりすぎることで検索クエリの実行の速度に影響が出る場合等である。このような場合には、検索インデックスに保持しておくことが困難なタグを別のデータベース(以下、fat documentと呼ぶ)に保持しておく構成とすることもできる。
【0057】
図6~
図9の例であれば、在庫数のタグが、大規模なウェブサイトで在庫数の変動が激しい場合には検索インデックスに含めることが難しい可能性がある。そのような場合、stock_quantityタグ以外のタグを検索インデックスに登録し、stock_quantityタグを含む完全なタグをfat documentにも登録する。
【0058】
この場合、上記の説明では検索クエリで一度に行った「フィルタリング(絞り込み)」と「アイテムのタグの取得」の処理を別途行う必要がある。具体的には、アイテムの順位付けの処理は、以下のようになる。
【0059】
(1)下記の検索クエリを実行する。
・「アイテムID」が"5236"または"4615"または"13521"であるアイテムを取得する。
・検索結果には、アイテムID、名称のタグに加えて、スコアの調整で使用するprofit_ratioのタグも含める。
(2)検索結果に含まれるアイテムに対するフィルタリング(絞り込み)で使用するstock_quantityのタグをfat documentから取得する。
(3)得られたタグを使用してフィルタリング(絞り込み)とスコアの調整を行う。
【0060】
なお、上記の例には含まれていないが、検索クエリで検索インデックスに対するフィルタリングを行う場合には、検索インデックスに含まれているタグで1回目のフィルタリングを行ったのち、fat documentにしか含まれていないタグで2回目のフィルタリングを行い、最終的にスコアの調整を行う流れとなる。
【0061】
<処理方法>
以下、
図10~
図12を参照しながら、処理方法について説明する。
【0062】
図10は、本発明の一実施形態に係るランキングルールの設定およびアイテムの順位付けの処理のシーケンス図である。<ランキングルールの設定>と<アイテムの順位付け>に分けて説明する。
【0063】
<ランキングルールの設定>
ステップ11(S11)において、メディア運用者21は、メディア運用者端末20を用いて、ランキングルールを指定する。具体的には、メディア運用者端末20が、メディア運用者21によってメディア運用者端末20に入力されたランキングルールを推薦システム10へ送信する。
【0064】
ステップ12(S12)において、推薦システム10は、S11で取得したランキングルールを登録する。具体的には、推薦システム10は、S11で取得したランキングルールをランキングルール記憶部105に記憶させる。
【0065】
<アイテムの順位付け>
ステップ21(S21)において、推薦システム10は、コンテキストを取得する。
【0066】
ステップ22(S22)において、推薦システム10は、S21で取得したコンテキストに応じた推薦候補を取得する。具体的には、推薦システム10は、推薦候補記憶部103を参照して、S21で取得したコンテキストに応じた推薦候補のIDおよびスコアを取得する。
【0067】
なお、推薦候補は、内容フィルタリングによる推薦候補であってもよいし、協調フィルタリングによる推薦候補であってもよいし、内容フィルタリングと協調フィルタリングとを組み合わせたハイブリッド型の推薦システムによる推薦候補であってもよいし、内容フィルタリングと協調フィルタリングとの少なくとも一方の推薦システムによる推薦候補に検索クエリを用いて検索したアイテムを混ぜ込んだ推薦候補等であってもよい。
【0068】
ステップ23(S23)において、推薦システム10は、検索クエリを作成する。具体的には、推薦システム10は、ランキングルール記憶部105を参照して、ランキングルールを特定する。次に、推薦システム10は、ランキングルールおよびS22で取得した推薦候補をもとに、検索クエリを作成する。
【0069】
ステップ24(S24)において、推薦システム10は、S23で作成した検索クエリを実行する。具体的には、推薦システム10は、S23で作成した検索クエリと、アイテム情報記憶部108に記憶されている検索インデックスとに基づいて、検索クエリの条件を満たすアイテムを検索する。
【0070】
ステップ25(S25)において、推薦システム10は、S24で検索したアイテムのスコアを調整する。具体的には、推薦システム10は、S24で検索したアイテムのS22で取得したスコアを、S23で特定したランキングルールにしたがって新たなスコアに更新する。
【0071】
ステップ26(S26)において、推薦システム10は、アイテムを配信する。具体的には、推薦システム10は、S25で調整した後のスコアをもとに順位付けをしたアイテムをユーザ端末30に配信する。
【0072】
図11は、本発明の一実施形態に係るランキングルール設定処理のフローチャートである。
【0073】
ステップ101(S101)において、ランキングルール設定部106は、メディア運用者端末20から、メディア運用者21によってメディア運用者端末20に入力されたランキングルールを取得する。
【0074】
ステップ102(S102)において、ランキングルール設定部106は、S101で取得したランキングルールを登録する。具体的には、ランキングルール設定部106は、S101で取得したランキングルールをランキングルール記憶部105に記憶させる。
【0075】
図12は、本発明の一実施形態に係るアイテム順位付け処理のフローチャートである。
【0076】
ステップ201(S201)において、コンテキスト取得部101は、コンテキストを取得する。
【0077】
ステップ202(S202)において、推薦候補取得部102は、S201で取得されたコンテキストに応じた推薦候補を取得する。具体的には、推薦候補取得部102は、推薦候補記憶部103を参照して、S201で取得されたコンテキストに応じた推薦候補のIDおよびスコアを取得する。
【0078】
なお、推薦候補は、内容フィルタリングによる推薦候補であってもよいし、協調フィルタリングによる推薦候補であってもよいし、内容フィルタリングと協調フィルタリングとを組み合わせたハイブリッド型の推薦システムによる推薦候補であってもよいし、内容フィルタリングと協調フィルタリングとの少なくとも一方の推薦システムによる推薦候補に検索クエリを用いて検索したアイテムを混ぜ込んだ推薦候補等であってもよい。
【0079】
ステップ203(S203)において、検索クエリ作成部104は、検索クエリを作成する。具体的には、検索クエリ作成部104は、ランキングルール記憶部105を参照して、ランキングルールを特定する。次に、検索クエリ作成部104は、ランキングルールおよびS202で取得された推薦候補をもとに、検索クエリを作成する。
【0080】
ステップ204(S204)において、検索部107は、S203で作成された検索クエリを実行する。具体的には、検索部107は、S203で作成された検索クエリと、アイテム情報記憶部108に記憶されている検索インデックスとに基づいて、検索クエリの条件を満たすアイテムを検索する。
【0081】
ステップ205(S205)において、スコア調整部109は、S204で検索されたアイテムのスコアを調整する。具体的には、スコア調整部109は、S204で検索されたアイテムのS202で取得されたスコアを、S203で特定されたランキングルールにしたがって新たなスコアに更新する。
【0082】
ステップ206(S206)において、配信部110は、アイテムを配信する。具体的には、配信部110は、S205で調整された後のスコアをもとに順位付けをしたアイテムをユーザ端末30に配信する。
【0083】
<効果>
本発明の一実施形態では、ユーザに推薦するアイテムの候補(つまり、推薦候補)に元々付与されていたスコアをランキングルールにしたがって調整することによって、ユーザに推薦するアイテムに動的に順位付けをすることが可能となる。言い換えると、柔軟に、ユーザに推薦するアイテムのランキングを生成することができる。
【0084】
<ハードウェア構成>
図13は、本発明の一実施形態に係る推薦システム10、メディア運用者端末20、ユーザ端末30のハードウェア構成図である。推薦システム10、メディア運用者端末20、ユーザ端末30は、CPU(Central Processing Unit)1001、ROM(Read Only Memory)1002、RAM(Random Access Memory)1003を有する。CPU1001、ROM1002、RAM1003は、いわゆるコンピュータを形成する。
【0085】
また、推薦システム10、メディア運用者端末20、ユーザ端末30は、補助記憶装置1004、表示装置1005、操作装置1006、I/F(Interface)装置1007、ドライブ装置1008を有することができる。
【0086】
なお、推薦システム10、メディア運用者端末20、ユーザ端末30の各ハードウェアは、バスBを介して相互に接続されている。
【0087】
CPU1001は、補助記憶装置1004にインストールされている各種プログラムを実行する演算デバイスである。
【0088】
ROM1002は、不揮発性メモリである。ROM1002は、補助記憶装置1004にインストールされている各種プログラムをCPU1001が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する主記憶デバイスとして機能する。具体的には、ROM1002はBIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラム等を格納する、主記憶デバイスとして機能する。
【0089】
RAM1003は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM1003は、補助記憶装置1004にインストールされている各種プログラムがCPU1001によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0090】
補助記憶装置1004は、各種プログラムや、各種プログラムが実行される際に用いられる情報を格納する補助記憶デバイスである。
【0091】
表示装置1005は、推薦システム10、メディア運用者端末20、ユーザ端末30の内部状態等を表示する表示デバイスである。
【0092】
操作装置1006は、推薦システム10、メディア運用者端末20、ユーザ端末30を操作する者が推薦システム10、メディア運用者端末20、ユーザ端末30に対して各種指示を入力する入力デバイスである。
【0093】
I/F装置1007は、ネットワークに接続し、他の装置と通信を行うための通信デバイスである。
【0094】
ドライブ装置1008は記録媒体1009をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体1009には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体1009には、EPROM (Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0095】
なお、補助記憶装置1004にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体1009がドライブ装置1008にセットされ、該記録媒体1009に記録された各種プログラムがドライブ装置1008により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置1004にインストールされる各種プログラムは、I/F装置1007を介して、ネットワークよりダウンロードされることでインストールされてもよい。
【0096】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0097】
10 推薦システム
20 メディア運用者端末
21 メディア運用者
30 ユーザ端末
31 ユーザ
101 コンテキスト取得部
102 推薦候補取得部
103 推薦候補記憶部
104 検索クエリ作成部
105 ランキングルール記憶部
106 ランキングルール設定部
107 検索部
108 アイテム情報記憶部
109 スコア調整部
110 配信部
1001 CPU
1002 ROM
1003 RAM
1004 補助記憶装置
1005 表示装置
1006 操作装置
1007 I/F装置
1008 ドライブ装置
1009 記録媒体
【手続補正書】
【提出日】2021-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにアイテムを推薦するシステムであって、
コンテキストを取得するコンテキスト取得部と、
前記コンテキストに応じた推薦候補のスコアを取得し、前記推薦候補は、推薦するアイテムの候補である、推薦候補取得部と、
ランキングルールおよび前記推薦候補をもとに検索クエリを作成する検索クエリ作成部と、
前記検索クエリを実行してアイテムを検索する検索部と、
前記検索したアイテムの前記取得したスコアを、前記ランキングルールにしたがって新たなスコアに更新するスコア調整部と、
前記新たなスコアをもとに順位付けをしたアイテムを配信する配信部と
を備え、
前記ランキングルールは、ウェブページ内の枠であるスロットごとに定められている、推薦システム。
【請求項2】
前記ランキングルールは、前記推薦候補のスコアを増加または減少させるルールである、請求項1に記載の推薦システム。
【請求項3】
前記ランキングルールは、前記推薦候補を絞り込むルールである請求項1または2に記載の推薦システム。
【請求項4】
前記スコア調整部は、前記ランキングルールおよび前記アイテムに付与されたタグに基づいて、前記検索したアイテムのスコアを増加または減少させる、請求項2に記載の推薦システム。
【請求項5】
前記検索部は、前記ランキングルールおよび前記アイテムに付与されたタグに基づいて、前記推薦候補から絞り込まれたアイテムを検索する、請求項3に記載の推薦システム。
【請求項6】
ユーザにアイテムを推薦するシステムが実行する方法であって、
コンテキストを取得するステップと、
前記コンテキストに応じた推薦候補のスコアを取得し、前記推薦候補は、推薦するアイテムの候補である、ステップと、
ランキングルールおよび前記推薦候補をもとに検索クエリを作成するステップと、
前記検索クエリを実行してアイテムを検索するステップと、
前記検索したアイテムの前記取得したスコアを、前記ランキングルールにしたがって新たなスコアに更新するステップと、
前記新たなスコアをもとに順位付けをしたアイテムを配信するステップと
を含み、
前記ランキングルールは、ウェブページ内の枠であるスロットごとに定められている、方法。