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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120673
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】電子機器及び情報処理ユニット
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20220810BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220810BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20220810BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20220810BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20220810BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220810BHJP
   H01M 10/623 20140101ALI20220810BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20220810BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20220810BHJP
   H01M 10/647 20140101ALN20220810BHJP
【FI】
G06F1/20 C
H05K7/20 F
H05K7/20 B
H05K9/00 T
G06F1/20 B
G06F1/16 312G
G06F1/16 312Z
H04M1/02 C
H01M10/613
H01M10/623
H01M10/6554
H01M2/10 Y
H01M10/647
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017724
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠山 政利
(72)【発明者】
【氏名】安藤 幸一
【テーマコード(参考)】
5E321
5E322
5H031
5H040
5K023
【Fターム(参考)】
5E321AA23
5E321BB21
5E321GG01
5E321GG05
5E321GH03
5E322AA11
5E322AB11
5E322FA04
5E322FA09
5H031CC01
5H031KK01
5H040AA28
5H040AS11
5H040AT04
5H040AY02
5H040CC28
5H040CC37
5H040NN03
5K023AA07
5K023BB26
5K023LL04
5K023LL06
5K023QQ03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電子機器及び情報処理ユニットの発熱対策をさらに向上させる。
【解決手段】電子機器1において、第1放熱部材33を第1面3Aに有する発熱体ユニット3と、第2放熱部材42を第2面411に有するバッテリー4と、支持体に当接する第3放熱部材5と、第4放熱部材6と、を備える。第4放熱部材6は、少なくとも一部が第1放熱部材33を介して第1面3Aに当接した状態で、第1放熱部材33と第3放熱部材5に挟持され、他部が第2放熱部材42を介してバッテリー4の第2面411に当接する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1放熱部材を第1面に有する発熱体ユニットと、
第2放熱部材を第2面に有するバッテリーと、
支持体に当接する第3放熱部材と、
第4放熱部材と、
を備え、
前記第4放熱部材は、
少なくとも一部が前記第1放熱部材を介して前記第1面に当接した状態で、前記第1放熱部材と前記第3放熱部材に挟持され、
他部が前記第2放熱部材を介して前記第2面に当接する
電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記バッテリーは、前記第2面の反対面に前記第2放熱部材よりも剛性の高い部材を有する、電子機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子機器において、
前記第3放熱部材と前記第4放熱部材との間に少なくとも1つの部材を備える、電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器において、
前記少なくとも1つの部材は、緩衝部材を有する、電子機器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記発熱体ユニットは、中央処理装置を収容する箱体であり、
前記第1放熱部材は、グラファイトシートと電磁シートとが表裏一体に形成され、前記グラファイトシートを前記第1面に有する、電子機器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器において、
表示デバイスである前記支持体をさらに備える、電子機器。
【請求項7】
基板と、
前記基板に実装された演算装置と、
前記演算装置を覆う電磁シートと、
前記演算装置と対向する面とは反対の前記電磁シートの面に設けられ、前記演算装置の熱を拡散するグラファイトシートと、
を備える情報処理ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電子機器及び情報処理ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電池、プロセッサ等を内蔵する電子機器は、発熱対策が行われている。例えば、特許文献1には、発熱部材の熱エネルギーを薄型電池に均一に伝達することで、発熱部品の温度の上昇を抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-123212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、電子機器は、軽量薄型化が望まれており、高速、大容量で情報処理を行うために、発熱対策のさらなる向上が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
態様の1つに係る電子機器は、第1放熱部材を第1面に有する発熱体ユニットと、第2放熱部材を第2面に有するバッテリーと、支持体に当接する第3放熱部材と、第4放熱部材と、を備え、前記第4放熱部材は、少なくとも一部が前記第1放熱部材を介して前記第1面に当接した状態で、前記第1放熱部材と前記第3放熱部材に挟持され、他部が前記第2放熱部材を介して前記第2面に当接する。
【0006】
態様の1つに係る情報処理ユニットは、基板と、前記基板に実装された演算装置と、前記演算装置を覆う電磁シートと、前記演算装置と対向する面とは反対の前記電磁シートの面に設けられ、前記演算装置の熱を拡散するグラファイトシートと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る電子機器の外観図である。
図2図2は、図1に示す電子機器の内部構造を示す図である。
図3図3は、図2に示す電子機器のA-A線に沿った断面及び拡大した一部を示す図である。
図4図4は、図1に示す電子機器の発熱体ユニットとバッテリーと放熱部材との関係を示す断面模式図である。
図5図5は、発熱体ユニットの第1放熱部材の構成例を説明するための図である。
図6図6は、図1に示す電子機器の発熱体ユニットとバッテリーと放熱部材との配置関係を示す模式図である。
図7図7は、実施形態に係る電子機器における熱拡散の一例を説明するための模式図である。
図8図8は、電子機器のケースを支持体とする構成の一例を示す断面模式図である。
図9図9は、図8に示す電子機器を分解した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
本出願に係る電子機器、情報処理ユニット等を実施するための複数の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下の説明において、同様の構成要素について同一の符号を付すことがある。さらに、重複する説明は省略することがある。
【0009】
図1は、実施形態に係る電子機器の外観図である。図2は、図1に示す電子機器の内部構造を示す図である。図3は、図2に示す電子機器のA-A線に沿った断面及び拡大した一部を示す図である。図4は、図1に示す電子機器の発熱体ユニットとバッテリーと放熱部材との関係を示す断面模式図である。図5は、発熱体ユニットの第1放熱部材の構成例を説明するための図である。図6は、図1に示す電子機器の発熱体ユニットとバッテリーと放熱部材との配置関係を示す模式図である。図面は、X軸が電子機器1の幅方向、Y軸が電子機器1の長手方向、Z軸が電子機器1の厚み方向をそれぞれ示している。
【0010】
図1から図3に示す電子機器1は、例えば、スマートフォンである。電子機器1は、例えば、タブレット端末、ノート型のパーソナルコンピュータ、携帯情報端末、ゲーム機、ヘッドマウントディスプレイ等であってもよい。
【0011】
図1及び図2に示すように、電子機器1は、ハウジング20を有する。ハウジング20は、フロントフェイス20Aを有する。フロントフェイス20Aは、ハウジング20の正面である。電子機器1は、タッチスクリーンディスプレイ2をフロントフェイス20Aに有する。
【0012】
タッチスクリーンディスプレイ2は、略長方形状であるが、形状はこれに限定されない。タッチスクリーンディスプレイ2は、図3に示すように、タッチスクリーン2Aと、表示デバイス2Bとを有する。タッチスクリーン2A及び表示デバイス2Bは、重ねて配置されているが、タッチスクリーン2A及び表示デバイス2Bの配置はこれに限定されない。タッチスクリーン2A及び表示デバイス2Bは、例えば、並べて配置されてもよいし、離して配置されてもよい。
【0013】
タッチスクリーン2Aは、タッチスクリーン2Aに対する指、ペン、又はスタイラスペン等の接触を検出する。タッチスクリーン2Aの検出方式は、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式でよい。電子機器1は、タッチスクリーンディスプレイ2と協働することによって操作を検出する。
【0014】
表示デバイス2Bは、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro-Luminescence Display)等を有する。表示デバイス2Bは、文字、画像、記号、及び図形当を表示する。
【0015】
図2及び図3に示すように、電子機器1は、発熱体ユニット3と、バッテリー4と、第3放熱部材5と、第4放熱部材6とを、ハウジング20の内部に有する。発熱体ユニット3は、例えば、電子機器1のハウジング20の内部に収容された状態で、熱を放散するユニットである。発熱体ユニット3は、情報処理ユニットの一例である。発熱体ユニット3とバッテリー4とは、電子機器1の長手方向に沿って並べられた状態で、ハウジング20の内部に収容されている。発熱体ユニット3とバッテリー4と第3放熱部材5と第4放熱部材6とは、タッチスクリーンディスプレイ2の裏面側に設けられている。第3放熱部材5は、タッチスクリーンディスプレイ2の裏面側に当接するように設けられている。第4放熱部材6の一部61は、第3放熱部材5の一部に接触した状態で、ハウジング20の内部に設けられている。第4放熱部材6の他部62は、バッテリー4と外装ケース7との間に挟持された状態で、ハウジング20の内部に設けられている。外装ケース7は、バッテリー4の収容箇所を構成する部材である。発熱体ユニット3は、第4放熱部材6の一部61に接触した状態で、ハウジング20の内部に固定されている。バッテリー4は、第4放熱部材6の他部62を外装ケース7と挟持した状態で、ハウジング20の内部に固定されている。バッテリー4は、電子機器1から着脱可能であってもよいし、着脱不可能であってもよい。
【0016】
図4に示すように、発熱体ユニット3は、基板31と、発熱体32と、第1放熱部材33と、支持部34とを有する。発熱体ユニット3は、第1放熱部材33を第1面3Aに有する。第1面3Aは、基板31と対向する面を含む。なお、図4では、第4放熱部材6との周囲の部材との配置関係を明確にするために、接触(当接)する部分に隙間を示している。
【0017】
基板31は、発熱体32、電子部品等が実装されたプリント基板等を有する。基板31は、例えば、略方形の板状に形成されたプリント基板を含む。基板31は、例えば、リジッド基板、フレキシブル基板、リジッドフレキシブル基板等を含む。基板31は、例えば、基板面側がハーフエッチングされた基板等を含む。
【0018】
発熱体32は、基板31に実装されている。発熱体32は、例えば、電子機器1の情報処理を実行する演算装置、電子部品等を含む。発熱体32は、例えば、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、SoC(System-on-a-Chip)、MCU(Micro Control Unit)、及びFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含む。
【0019】
第1放熱部材33は、発熱体ユニット3で発生する熱を発熱体ユニット3の外部に放熱する部材を有する。第1放熱部材33は、基板31と対向する第1面3Aを形成している。第1放熱部材33は、電磁シート331と、グラファイトシート332と、を有する。第1放熱部材33は、電磁シート331が一方の面、グラファイトシート332が他方の面となるように接着されて、表裏一体に形成されている。
【0020】
電磁シート331は、基板31に実装された発熱体32等の電子部品から放射される電磁波をシールド可能な導電性の材料によって形成されている。導電性の部材は、例えば、アルミニウムやその合金、銅やその合金、ステンレス銅等を含む。電磁シート331は、例えば、シールド部材である。電磁シート331は、電磁波をシールドするように、基板31を覆う形状で、シート状に形成されている。電磁シート331は、基板31のグランドと電気的に接続される。
【0021】
グラファイトシート332は、炭素の同素体であるグラファイトをシート状、薄い板状等に形成したシート部材である。グラファイトシート332は、熱伝導率が高い部材であり、発熱体32等の放熱を行う。グラファイトシート332は、例えば、黒鉛層の積層方向によってZ軸方向の熱伝導率が、X軸方向及びY軸方向の熱伝導率よりも高くなるように形成している。これにより、グラファイトシート332は、発熱体32からのZ軸方向の熱の拡散性を向上させている。また、黒鉛は、金属部材とは異なり、温度が上がればそれにつれて強度も上がるので、第1放熱部材33は、電磁シート331のみの構成よりも、発熱体ユニット3の強度を向上させることができる。
【0022】
発熱体ユニット3は、電磁シート331とグラファイトシート332とを表裏一体に形成した第1放熱部材33を有しているので、発熱体32等の基板31から放散する熱の拡散性を、電磁シート331のみの構成よりも向上させることができる。
【0023】
本実施形態では、図5の左図に示す第1放熱部材33は、図5の右図に示すように、グラファイトシート332、電磁シート331及びセパレータ333を順次積層している。グラファイトシート332の接着面332aは、接着剤を介して電磁シート331が接着されている。電磁シート331の接着面331aは、接着剤を介してセパレータ333が接着されている。これにより、発熱体ユニット3は、第1放熱部材33を有することで、電磁シート331で電磁波をシールドし、グラファイトシート332で熱の拡散性を向上することができる。なお、第1放熱部材33は、電磁シート331とセパレータ333との間に絶縁シート等を設ける構成としてもよい。
【0024】
発熱体ユニット3は、換言すると、基板31と、基板31に実装された発熱体32(演算装置)と、発熱体32を覆う電磁シート331と、発熱体32と対向する面とは反対の電磁シート331の面に設けられ、発熱体32の熱を拡散するグラファイトシート332と、を備える情報処理ユニットである。該情報処理ユニットは、電磁シート331とグラファイトシート332とが表裏一体に形成されている。
【0025】
図4に戻り、支持部34は、基板31に設けられ、第1放熱部材33と基板31との間に隙間を形成するように、第1放熱部材33を支持する。支持部34は、第1放熱部材33が発熱体32に接近または接触する位置に第1放熱部材33を位置付けて支持する。支持部34は、金属部材等で形成しており、電磁シート331と基板31のグランドとを接続している。
【0026】
バッテリー4は、バッテリー本体41と、第2放熱部材42と、外装部材43とを有する。バッテリー本体41は、扁平型の電池パック等のバッテリー部品である。バッテリー本体41は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池を用いることができる。第2放熱部材42は、バッテリー本体41の一方の第2面411に設けられている。第2面411は、第4放熱部材6と接触する面である。バッテリー4は、バッテリー本体41の一方の第2面411に第2放熱部材42を有する。第2放熱部材42は、伝熱性を有する材料によって形成されている。第2放熱部材42の材料は、例えば、アルミニウム、グラファイトシート等を含む。
【0027】
外装部材43は、バッテリー本体41の他方の第3面412に設けられている。他方の第3面412は、第2面411と反対の面である。外装部材43は、第2放熱部材42よりも伝熱性が低く、かつ第2放熱部材42よりも強度が高い材料で形成されている。外装部材43は、例えば、SUS(Steel Use Stainless)等によって形成されている。外装部材43は、例えば、バッテリー本体41の側面を含んでもよい。
【0028】
本実施形態では、バッテリー4は、第2放熱部材42と外装部材43とによってバッテリー本体41の外装を形成することで、バッテリー4の剛性を確保した状態で、伝熱性を向上させている。バッテリー4は、第2放熱部材42と外装部材43との外装における割合は、バッテリー4の強度等に応じて任意に設定することができる。
【0029】
第3放熱部材5及び第4放熱部材6は、電子機器1の長手方向(Y軸方向)への熱伝導率が厚み方向よりも高いグラファイトシートによって構成されている。第3放熱部材5及び第4放熱部材6は、電子機器1の長手方向(Y軸方向)に沿って延在する略長方形のシート状に形成されている。第3放熱部材5及び第4放熱部材6の厚みは、例えば、発熱体ユニット3の発熱量、電子機器1の厚み等に基づいて任意に設定することができる。
【0030】
第3放熱部材5の一方の面51は、表示デバイス2Bの裏面側に当接するように設けられている。表示デバイス2Bの裏面側は、タッチスクリーンディスプレイ2の表示面とは反対の面側である。第3放熱部材5は、支持体として機能する表示デバイス2Bに当接している。第3放熱部材5の他方の面52は、一部53が第4放熱部材6の発熱体ユニット3と当接する部分に当接し、他部54が外装ケース7に当接する。外装ケース7は、ハウジング20に形成されおり、バッテリー4を収容するケースの一部である。
【0031】
第4放熱部材6の一部61は、第1放熱部材33を介して発熱体ユニット3の第1面3Aに当接した状態で、第1放熱部材33と第3放熱部材5に挟持されている。第4放熱部材6の一部61は、第1放熱部材33に当接することで、第1放熱部材33から発熱体32等の熱が伝達される。第4放熱部材6の他部62は、第2放熱部材を介してバッテリー4の第2面411に当接している。第4放熱部材6の他部62は、バッテリー4の第2放熱部材42に当接することで、第4放熱部材6の一部61からの熱を第2放熱部材42に伝達できる。第4放熱部材6の他部62は、バッテリー4の第2面411の一部に当接する構成にしてもよい。
【0032】
第4放熱部材6は、第4放熱部材6の一部61及び他部62の間の中間部63を有する。中間部63は、発熱体ユニット3の第1面3A及びバッテリー4の第2面411に当接しない、第4放熱部材6の部分である。中間部63は、曲げ部である。中間部63は、第4放熱部材6を曲げることで、ハウジング20の内部に段差が生じていても、他部62をバッテリー4の第2面411と外装ケース7との間に位置付けることを可能としている。第4放熱部材6は、中間部63を設けることで、電子機器1の長手方向における長さを、平面よりも長くでき、熱の拡散性を向上させることができる。
【0033】
第4放熱部材6は、他部62がバッテリー4の第2面411に当接した状態で、バッテリー4と外装ケース7に挟持されている。第4放熱部材6の他部62は、緩衝部材71を介して外装ケース7に当接している。緩衝部材71は、例えば、弾性部材等によって形成されている。これにより、第4放熱部材6の他部62は、緩衝部材71によってバッテリー4の第2面411に当てつけられるので、密着性を向上させることができる。その結果、第4放熱部材6は、発熱体ユニット3から他部62に伝達された熱を、バッテリー4の第2面411へ効率的に伝達することができる。
【0034】
図6に示す一例では、第4放熱部材6は、発熱体ユニット3で発生した熱を、電子機器1の全体に拡散するように、発熱体ユニット3とバッテリー4とに跨ってハウジング20の内部に収容されている。第4放熱部材6の長さは、例えば、電子機器1の長手方向において、発熱体ユニット3の長さとバッテリー4の長さとの合計よりも長くなるように形成されている。第4放熱部材6は、電子機器1に長手方向において、発熱体ユニット3との当接箇所から電子機器1の一方側に突出し、バッテリー4との当接箇所から電子機器1の他方側に突出する長さとなっている。これにより、電子機器1は、第4放熱部材6を発熱体ユニット3とバッテリー4とに跨ってハウジング20の内部に組み付ける場合に、組み付けしやすくなる。また、第3放熱部材5の長手方向の長さは、第4放熱部材6に基づいて設計したり、表示デバイス2Bのサイズ等に基づいて設計したりすればよい。
【0035】
図4に戻り、本実施形態に係る電子機器1の組付けの一例について説明する。電子機器1は、第3放熱部材5が表示デバイス2Bに当接した状態でハウジング20に収容される。電子機器1は、発熱体ユニット3の第1面3Aと当接する第4放熱部材6の一部61の部分で、第3放熱部材5と第4放熱部材6とが積層され、他の部分で、第3放熱部材5と外装ケース7とが当接するように組付けられる。電子機器1は、バッテリー4の第2面411が外装ケース7と第4放熱部材6を挟持するように、バッテリー4がハウジング20に組付けられる。これにより、電子機器1は、第3放熱部材5及び第4放熱部材6が発熱体ユニット3に当接し、第4放熱部材6がバッテリー4に当接した状態で、第3放熱部材5及び第4放熱部材6がハウジング20に収容される。
【0036】
以上、実施形態に係る電子機器1の構成例について説明した。なお、図1から図6を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る電子機器1の構成は係る例に限定されない。本実施形態に係る電子機器1の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0037】
図7は、実施形態に係る電子機器1における熱拡散の一例を説明するための模式図である。図7は、電子機器1の部品位置と熱分布との関係を示している。図7に示すように、電子機器1は、発熱体ユニット3の発熱体32が発熱すると、熱分布Tにおいて、発熱体32に対応する領域E1の温度が最も高くなる。電子機器1は、グラファイトシート332を介して、発熱体ユニット3の熱が第3放熱部材5及び第4放熱部材6に伝達される。電子機器1は、第3放熱部材5が伝達された熱を長手方向へ拡散する。電子機器1は、第4放熱部材6が伝達された熱を長手方向へ拡散することで、バッテリー4の第2面411の第2放熱部材42へ熱が伝達される。すなわち、電子機器1は、発熱体ユニット3の熱を、第4放熱部材6がバッテリー4の第2放熱部材42へ放熱する。さらに、電子機器1は、発熱体ユニット3の熱を、第3放熱部材5が表示デバイス2Bの裏側及び電子機器1の下方へ拡散する。
【0038】
以上のように、電子機器1は、熱分布Tにおいて、発熱体32に対応する領域E1から、領域E2、領域E3、領域E4、領域E5と離れるにつれて、第3放熱部材5及び第4放熱部材6が伝達する熱の温度が低くなる。これにより、電子機器1は、発熱体ユニット3にグラファイトシート332を設けるだけでなく、第3放熱部材5及び第4放熱部材6をさらに設けることで、発熱体ユニット3の熱の拡散性を向上させることができる。電子機器1は、第4放熱部材が当接するバッテリー4の第2面411に第2放熱部材42を設けることで、発熱体ユニット3からバッテリー4への熱の拡散性をより一層向上させることができる。
【0039】
電子機器1は、バッテリー4の第2面411と対向する第3面412に、第2放熱部材42よりも剛性の高い外装部材43を配置することができる。これにより、電子機器1は、バッテリー4の強度を低下させることなく、発熱体ユニット3からバッテリー4への熱の拡散性を向上させることができる。
【0040】
電子機器1は、第3放熱部材5と第4放熱部材6との間に外装ケース7を介在させることで、発熱体ユニット3が放射した熱を、第3放熱部材5と第4放熱部材6によって分散させることができる。これにより、電子機器1は、発熱体ユニット3の熱を、ハウジング20の様々な方向へ拡散させることができるので、熱の拡散性をより一層向上させることができる。
【0041】
電子機器1は、第3放熱部材5と第4放熱部材6との間に緩衝部材71を設けることで、第4放熱部材6をバッテリー4の第2面411に当てつけられるので、密着性を向上させることができる。これにより、電子機器1は、発熱体ユニット3から他部62に伝達された熱を、バッテリー4の第2面411へより一層効率的に伝達することができる。
【0042】
電子機器1は、発熱体ユニット3が中央処理装置を収容する箱体である場合、電磁シート331とグラファイトシート332が表裏一体に形成された第1放熱部材33を第1面3Aに有するので、電磁波をシールドし、かつ熱を放熱することができる。これにより、電子機器1は、第1放熱部材33を介して発熱体ユニット3の熱を効率的に第4放熱部材6に伝達できるので、熱の拡散性をより一層向上させることができる。また、電子機器1は、電磁シート331とグラファイトシート332が表裏一体の第1放熱部材33を有することで、電子機器1の厚み及び重量の増加を抑制することができる。
【0043】
電子機器1は、第3放熱部材5を表示デバイス2Bに当接させることができるので、表示デバイス2Bを支持する部材を設ける必要がなくなる。これにより、電子機器1は、発熱体ユニット3の熱の拡散性を向上し、かつ内部構成の簡単化に貢献することができる。
【0044】
発熱体ユニット3は、電磁シート331とグラファイトシート332が表裏一体に形成された第1放熱部材33を第1面3Aに有するので、グラファイトシート332を用いない構成よりも、発熱体32等の熱熱の拡散性を向上させることができる。これにより、発熱体ユニット3は、電子機器1に組み込まれた場合に、該電子機器1における熱の拡散性の向上に貢献することができる。
【0045】
上述した実施形態では、電子機器1は、長手方向において、第4放熱部材6の他部62をバッテリー4の第2放熱部材42の全体に当接させる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、電子機器1は、長手方向において、第4放熱部材6の他部62を、バッテリー4の第2放熱部材42の一部に当接させる構成としてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、電子機器1は、第3放熱部材5を表示デバイス2Bの裏側に当接する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、電子機器1は、第3放熱部材5を支持する支持部材等に当接させてもよい。支持部材は、例えば、ハウジング20の内部のケース、壁等を含む。
【0047】
上述した実施形態では、電子機器1は、第3放熱部材5及び第4放熱部材6を有する構成について説明したが、これに限定されない。電子機器1は、第3放熱部材5を有さずに、第4放熱部材6のみを有する構成としてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、電子機器1は、発熱体ユニット3とバッテリー4とを長手方向に並べる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、電子機器1は、発熱体ユニット3とバッテリー4とを厚み方向に並べる構成としても、第4放熱部材6を発熱体ユニット3とバッテリー4とに当接させることで、熱の拡散性を向上させることができる。
【0049】
上述した実施形態では、電子機器1は、表示デバイス2Bを支持体とする場合について説明したが、これに限定されない。例えば、電子機器1は、表示デバイス2Bを支持する板、表示デバイス2Bを収容するケース等を支持体とする構成としてもよい。
【0050】
図8は、電子機器1のケースを支持体とする構成の一例を示す断面模式図である。図9は、図8に示す電子機器1を分解した断面模式図である。図8及び図9に示す一例では、電子機器1は、ケース21及びケース22等を、第3放熱部材5が当接する支持体としている。ケース21及びケース22は、電子機器1のフロントフェイス20Aと電子機器1のバックフェイス(バックフェイスは、ハウジング20の背面である。)との間に介在するように、ハウジング20に設けられている。ケース21及びケース22は、タッチスクリーンディスプレイ2等を収容するケースとなっている。ケース21及びケース22は、電子機器1の長手方向において、タッチスクリーン2Aの両端に当接している。ケース21の少なくとも一部は、第3放熱部材5の一部53が当接している。ケース22は、上述した外装ケース7が設けられている。ケース22は、外装ケース7を介して、第3放熱部材5の他部54が当接している。第3放熱部材5は、表示デバイス2Bに当接しない状態で、電子機器1に組付けられている。電子機器1は、第3放熱部材5と表示デバイス2Bとの間に隙間を設けている。このように、電子機器1は、表示デバイス2Bの耐熱性、機器の厚み等を考慮して、第3放熱部材5と表示デバイス2Bとを当接する構成としたり、当接しない構成としたりすることができる。
【0051】
添付の請求項に係る技術を完全かつ明瞭に開示するために特徴的な実施形態に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。
【符号の説明】
【0052】
1 電子機器
2 タッチスクリーンディスプレイ
2A タッチスクリーン
2B 表示デバイス
3 発熱体ユニット
3A 第1面
4 バッテリー
5 第3放熱部材
6 第4放熱部材
7 外装ケース
21,22 ケース
31 基板
32 発熱体
33 第1放熱部材
34 支持部
41 バッテリー本体
42 第2放熱部材
43 外装部材
331 電磁シート
332 グラファイトシート
411 第2面
412 第3面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9