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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120700
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】収納容器及び包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20220810BHJP
   A47F 5/00 20060101ALI20220810BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20220810BHJP
   B65D 5/68 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B65D5/52 H
A47F5/00 D
B65D5/54 301P
B65D5/68 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017771
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 陽介
【テーマコード(参考)】
3B118
3E060
【Fターム(参考)】
3B118FA05
3E060AA03
3E060AB02
3E060BA24
3E060CA02
3E060CB02
3E060CB16
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE14
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE23
3E060CF05
3E060DA26
3E060EA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容器を吊り下げるために別部材を準備せずに済む技術を提供する。
【解決手段】収納容器は、底部52と、底部52を挟んで互いに間隔を有して配置される一対の側板56、58と、底部52よりも上方において、後端よりも前方に配置される第1引掛部と、を備え、第1引掛部は、一対の側板56、58の第1側板56と第2側板58の少なくとも一方を構成する板部材が折り曲げられることによって形成されており、第1側板56と第2側板58との間を掛け渡されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、
前記底部を挟んで互いに間隔を有して配置される一対の側板と、
前記底部よりも上方において、後端よりも前方に配置される第1引掛部と、を備え、
前記第1引掛部は、
前記一対の側板の第1側板と第2側板の少なくとも一方を構成する板部材が折り曲げられることによって形成されており、
前記第1側板と前記第2側板との間を掛け渡されている、収納容器。
【請求項2】
前記第1引掛部は、前記一対の側板に対して、前記一対の側板の上端から突出する第1状態と、前記第1状態よりも下方に配置されている第2状態と、に移動可能に配置されている、請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記第1引掛部は、
前記第1側板の上端縁に配置される第1折曲線を介して前記第1側板と連結しており、前記第1側板から上方に突出している第1連結片と、
第2折曲線を介して前記第1連結片と連結しており、前記第1連結片から前記第2側板に向かって延びる第1引掛片と、を備え、
前記第1連結片は、前記第1連結片の中間位置において、前記第2状態において折り畳まれる第3折曲線を有する、請求項2に記載の収納容器。
【請求項4】
前記第1引掛部は、さらに、
前記第2側板の上端縁に配置される第4折曲線を介して前記第2側板と連結しており、前記第2側板から上方に突出している第2連結片と、
第5折曲線を介して前記第2連結片と連結しており、前記第2連結片から前記第1側板に向かって延びる第2引掛片であって、前記第1引掛片に接続されている前記第2引掛片と、を備え、
前記第1引掛片と前記第2引掛片のそれぞれは、前記第5折曲線の下端から前記第1連結片に進むのに従って、上方に傾斜しており、前記第2状態で折り畳まれる第6折曲線を有する、請求項3に記載の収納容器。
【請求項5】
前記第1引掛部は、さらに、
前記第2側板の上端縁よりも下方において、前記第2側板との境界に配置される第7折曲線を介して前記第2側板と連結しており、前記第2側板から前記第1側板に向かって延びる第3連結片と、
前記第3連結片の上端縁に配置される第8折曲線を介して前記第3連結片と連結しており、前記第3連結片から前記第1側板に向かって延びる第3引掛片と、を備え、
前記第3引掛片は、前記第1引掛片に接続されている、請求項3に記載の収納容器。
【請求項6】
前記第1引掛部は、さらに、
前記第2側板の上端縁に配置される第9折曲線を介して前記第2側板と連結しており、前記第2側板から上方に突出している第4連結片であって、第10折曲線を介して前記第1引掛片と連結されている前記第4連結片を備え、
前記第4連結片は、前記第4連結片の中間位置において、前記第2状態で前記第1連結片と同様に折り畳まれる第11折曲線を有する、請求項3に記載の収納容器。
【請求項7】
後端において、前記一対の側板の間に配置される後板をさらに備え、
前記後板から上方に延びており、前後方向において、前記第1引掛部に間隔を有して配置される第2引掛部をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の収納容器。
【請求項8】
前記第1引掛部と前記底部との間に、前記底部を覆う部材が配置されていない、請求項1から7のいずれか一項に記載の収納容器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の収納容器と、
前記収納容器の上端を覆う蓋部材と、を備える、包装容器。
【請求項10】
前記蓋部材は、
前記第1側板の外側で、前記第1側板に重複して配置されている第1外側板と、
前記第2側板の外側で、前記第2側板に重複して配置されている第2外側板と、
前記収納容器の上方において、前記第1外側板と前記第2外側板とを連結する蓋部と、を備え、
前記第1側板と前記第1外側板とは、接着領域で互いに接着されており、
前記第1側板と前記第1外側板との一方の側板は、前記一方の側板の他の部分から切り離し可能な切離部であって、前記接着領域を含む前記切離部を備え、
前記第1側板と前記第1外側板との他方の側板は、前記他方の側板の前記接着領域以外の部分から、前記接着領域を前記切離部とともに移動可能な移動部を備える、請求項9に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、引っ掛けて配置可能な収納容器に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一対の側壁の間に吊り紐を取り付けることによって、トレイを吊り下げて陳列する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-175254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、トレイを吊り下げるために、トレイとは別部材の吊り紐を、トレイに取り付けなければならない。
【0005】
本明細書では、容器を吊り下げるために別部材を準備せずに済む技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、収納容器を開示する。収納容器は、底部と、前記底部を挟んで互いに間隔を有して配置される一対の側板と、前記底部よりも上方において、後端よりも前方に配置される第1引掛部と、を備え、前記第1引掛部は、前記一対の側板の第1側板と第2側板の少なくとも一方を構成する板部材が折り曲げられることによって形成されており、前記第1側板と前記第2側板との間を掛け渡されている。
【0007】
この構成では、一対の側板に掛け渡して配置される第1引掛部が、一対の側板の少なくとも一方の側板の板部材と一体的に形成されている。このため、収納容器を吊り下げるための部材を、収納容器と別部材で準備せずとも、第1引掛部を、例えば吊り下げフック等に引掛けることによって、収納容器を吊り下げて配置することができる。
【0008】
前記第1引掛部は、前記一対の側板に対して、前記一対の側板の上端から突出する第1状態と、前記第1状態よりも下方に配置されている第2状態と、に移動可能に配置されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、収納容器を引っ掛けて配置しなくてもよい場合に、第1引掛部を第1状態から第2状態に移動させることによって、収納容器の寸法を小さくすることができる。
【0010】
前記第1引掛部は、前記第1側板の上端縁に配置される第1折曲線を介して前記第1側板と連結しており、前記第1側板から上方に突出している第1連結片と、第2折曲線を介して前記第1連結片と連結しており、前記第1連結片から前記第2側板に向かって延びる第1引掛片と、を備え、前記第1連結片は、前記第1連結片の中間位置において、前記第2状態において折り畳まれる第3折曲線を有していてもよい。
【0011】
この構成によれば、第1引掛部を第2状態から第1状態に移動させる場合に、第1連結片を第3折曲線で折り曲げることによって、第1連結片を第2状態から第1状態に変形することができる。
【0012】
前記第1引掛部は、さらに、前記第2側板の上端縁に配置される第4折曲線を介して前記第2側板と連結しており、前記第2側板から上方に突出している第2連結片と、第5折曲線を介して前記第2連結片と連結しており、前記第2連結片から前記第1側板に向かって延びる第2引掛片であって、前記第1引掛片に接続されている前記第2引掛片と、を備え、前記第1引掛片と前記第2引掛片のそれぞれは、前記第5折曲線の下端から前記第1連結片に進むのに従って、上方に傾斜しており、前記第2状態で折り畳まれる第6折曲線を有していてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、第1連結片を第3折曲線に沿って変形させ、第2連結片を第6折曲線に沿って変形させることによって、第1引掛部を第2状態から第1状態に移動させることができる。
【0014】
前記第1引掛部は、さらに、前記第2側板の上端縁よりも下方において、前記第2側板との境界に配置される第7折曲線を介して前記第2側板と連結しており、前記第2側板から第1側板に向かって延びる第3連結片と、前記第3連結片の上端縁に配置される第8折曲線を介して前記第3連結片と連結しており、前記第3連結片から前記第1側板に向かって延びる第3引掛片と、を備え、前記第3引掛片は、前記第1引掛片に接続されていてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、第1連結片を第3折曲線に沿って変形させ、第3連結片を第8折曲線に沿って変形させることによって、第1引掛部を第2状態から第1状態に移動させることができる。
【0016】
前記第1引掛部は、さらに、前記第2側板の上端縁に配置される第9折曲線を介して前記第2側板と連結しており、前記第2側板から上方に突出している第4連結片であって、第10折曲線を介して前記第1引掛片と連結されている前記第4連結片を備え、前記第4連結片は、前記第4連結片の中間位置において、前記第2状態で前記第1連結片と同様に折り畳まれる第11折曲線を有していてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、第1連結片を第3折曲線に沿って変形させ、及び第4連結片を第11折曲線に沿って変形させることによって、第1引掛部を第2状態から第1状態に移動させることができる。
【0018】
後端において、前記一対の側板の間に配置される後板をさらに備え、前記後板から上方に延びており、前後方向において、前記第1引掛部に間隔を有して配置される第2引掛部をさらに備えていてもよい。
【0019】
この構成によれば、収納容器を第1引掛部と第2引掛部との両方に引掛けて吊り下げることによって、収納容器を安定して支持することができる。
【0020】
前記第1引掛部と前記底部との間に、前記底部を覆う部材が配置されていなくてもよい。
【0021】
この構成によれば、底部に載置されている品物を上方から視認しやすい。このため、例えば、収納容器を商品の陳列に利用する場合、収納容器の外側から底部に載置されている商品を容易に確認することができる。
【0022】
本明細書では、さらに、包装容器を開示する。包装容器は、上記のいずれかの収納容器と、前記収納容器の上端を覆う蓋部材と、を備える。
【0023】
この構成によれば、蓋部材で収納容器を覆うことによって、収納容器に品物を収納している状態で、包装容器を配送、保管等に利用することができる。
【0024】
前記蓋部材は、前記第1側板の外側で、前記第1側板に重複して配置されている第1外側板と、前記第2側板の外側で、前記第2側板に重複して配置されている第2外側板と、前記収納容器の上方において、前記第1外側板と前記第2外側板とを連結する蓋部と、を備え、前記第1側板と前記第1外側板とは、接着領域で互いに接着されており、前記第1側板と前記第1外側板との一方の側板は、前記一方の側板の他の部分から切り離し可能な切離部であって、前記接着領域を含む前記切離部を備え、前記第1側板と前記第1外側板との他方の側板は、前記他方の側板の前記接着領域以外の部分から、前記接着領域を前記切離部とともに移動可能な移動部を備えていてもよい。
【0025】
この構成によれば、接着領域を第1側板と第1外側板との一方から切り離すことによって、第1側板と第1外側板との接着状態を解除することができる。
【0026】
上記した包装容器を作製するための展開体も新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施例の包装容器の正面斜視図。
図2】第1実施例の包装容器の蓋部材の展開図。
図3】第1実施例の収納容器の展開図。
図4】第1実施例の包装容器の開封途中の正面斜視図。
図5】第1実施例の収納容器の引掛部が折り畳まれている状態での正面斜視図。
図6】第1実施例の収納容器の引掛部が立ち上げられている状態での正面斜視図。
図7】第1実施例の収納容器の引掛部の拡大背面斜視図。
図8】第2実施例の収納容器の引掛部が立ち上げられている状態での正面斜視図。
図9】第2実施例の収納容器の展開図。
図10】第2実施例の収納容器の引掛部が立ち上げられている状態での背面斜視図。
図11】第2実施例の収納容器の引掛部が折り畳まれている状態での正面斜視図。
図12】第3実施例の収納容器の引掛部が立ち上げられている状態での正面斜視図。
図13】第3実施例の収納容器の展開図。
図14】第3実施例の収納容器の引掛部が折り畳まれている状態での正面斜視図。
【0028】
(実施例)
図1に示される包装容器10は、商品を包装して運搬及び保管するために用いられる。なお、包装容器10に収容される対象物は、商品以外であってもよい。図面には、本実施例を通して用いられる上下方向、前後方向、左右方向のそれぞれが示されている。こられの上下方向、前後方向、左右方向は、本実施例の説明を容易にするために用いられるものであり、包装容器10の使用方向を規定するものではない。
【0029】
包装容器10は、直方体形状を有する。変形例では、包装容器10は、立方体形状等の他の形状を有していてもよい。包装容器10は、蓋部材12の蓋板12a、12bによって、開閉可能である。包装容器10は、収納容器50(図6参照)と、収納容器50を覆う蓋部11と、を備える。図1では、蓋部11によって、収納容器50が覆われている。
(蓋部の展開体の構成)
図2に示すように、蓋部11は、一枚の段ボール紙製の展開体BL1を折曲線に沿って折り曲げることによって組み立てられる。なお、包装容器10の材質は、段ボール紙に限られない。折曲線は、細い破線で描画されている。折曲線には、折り曲げやすいように、凹溝が形成されている。なお、折曲線には、その中間位置に、スリットが配置されているものもある。なお、変形例では、折曲線は、他の部分と同様に溝等が設けられていなくてもよい。蓋部11は、一対の外側板16、18と、外前板14と、外後板20と、蓋部材12と、を備える。
【0030】
一対の外側板16、18のそれぞれは、四角形の平板形状を有する。蓋部11では、一対の外側板16、18は、互いに間隔を有して、平行に配置される。外側板16は、移動部30を備える。移動部30は、挿入部32と、接着部34と、を備える。接着部34は、格子模様で示されている接着領域34aを含む。接着領域34aは、外側板16に重ねて配置される収納容器50の内側板56と接着するための接着剤が配置される領域である。接着部34は、接着領域34aを囲む一対のミシン目36、36と、スリット37と、折曲線38と、によって画定される。
【0031】
折曲線38は、接着領域34aの下端に配置されている。折曲線38は、前後方向に平行に延びており、接着部34の下端縁を画定する。折曲線38の前後方向の両端のそれぞれから上方に向かって一対のミシン目36、36のそれぞれが延びている。一対のミシン目36は、接着領域34aの前後方向のそれぞれに配置され、上下方向に延びている。一対のミシン目36は、接着部34の前後端縁を画定する。一対のミシン目36、36の上端には、スリット37が配置されている。スリット37は、一対のミシン目36、36の間で、一方のミシン目36から他方のミシン目36まで連続的に途切れなく延びる切れ目である。スリット37は、接着部34の上端縁を画定する。
【0032】
スリット37の上方には、挿入部32が配置されている。挿入部32は、スリット37と、挿入部32の前後方向に配置されるスリットと、によって、外側板16の他の部分から切り離されている。挿入部32は、包装容器10の外側から包装容器10の内側に向かって手指等で押し込まれることによって、折曲線31を回転軸として、外側板16の他の部分に対して回転可能である。
【0033】
外側板18は、外側板16と同様の構成を有する。外側板18は、外側板16と同様の移動部30を備える。
【0034】
外側板16、18との間には、外前板14が配置されている。外前板14は、折曲線を介して、外側板16、18のそれぞれと、途切れなく連続的に連結されている。外前板14は、四角形の平板形状を有する。外前板14は、包装容器10の前端に配置される。外前板14は、上下方向において、外側板16、18と同一の長さを有する。外前板14と外側板16との間には、境界の折曲線に沿った開口26を有する。開口26は、折曲線に沿って上下方向に延びている。外前板14と外側板18との間には、境界の折曲線に沿った切欠き24を有する。切欠き24は、外前板14及び外側板18の下端縁から折曲線に沿って上方に延びている。
【0035】
外側板16は、外前板14とは反対側の端縁において、折曲線を介して、外後板20と途切れなく連続的に連結されている。外後板20は、四角形の平板形状を有する。外後板20は、包装容器10の後端に配置され、外前板14と平行に配置される。外後板20は、上下方向において、外側板16、18と同一の長さを有する。外後板20は、外側板16とは反対側の端縁において、折曲線を介して、接着片22と途切れなく連続的に連結されている。包装容器10において、接着片22は、外側板18の外面に接着される。
【0036】
外側板16、18、外前板14及び外後板20のそれぞれの上端には、蓋部材12が配置されている。蓋部材12は、4個の蓋板12a、12b、12c、12dを備える。蓋板12aは、外側板18の上端縁の折曲線を介して、外側板18に途切れなく連続的に連結されている。蓋板12bは、外側板16の上端縁の折曲線を介して、外側板16に途切れなく連続的に連結されている。蓋板12cは、外前板14の上端縁の折曲線を介して、外前板14に途切れなく連続的に連結されている。蓋板12dは、外後板20の上端縁の折曲線を介して、外後板20に途切れなく連続的に連結されている。
【0037】
包装容器10では、蓋板12c、12dを外前板14と外後板20とのそれぞれに対して折り曲げて、次いで、蓋板12a、12bを外側板16、18のそれぞれに対して折り曲げることによって、蓋板12a、12bを蓋板12c、12dの上側に重ねて配置する。これにより、蓋板12a、12bが外側板16、18、外前板14及び外後板20によって囲まれる包装容器10の上端の開口を閉塞することができる。
【0038】
(収納容器の展開体の構成)
図3に示すように、収納容器50は、一枚の段ボール紙製の展開体BL2を折曲線に沿って折り曲げることによって組み立てられる。なお、収納容器50の材質は、段ボール紙に限られず、蓋部11と同様であってもよいし、異なっていてもよい。収納容器50は、一対の内側板56、58と、内前板54と、内後板60と、底部52と、引掛部80、90と、を備える。
【0039】
内前板54は、四角形の平板形状を有する。内前板54は、左右方向において、収納容器50の全長に亘って配置される。内前板54は、上下方向において、収納容器50の下端から中間位置まで延びている。収納容器50では、内前板54の上端よりも上方は、解放されている。内前板54の左右両端のそれぞれには、一対の内側板56、58のそれぞれが、折曲線を介して、途切れなく連続的に連結されている。
【0040】
一対の内側板56、58は、同一の平板形状を有する。収納容器50では、一対の内側板56、58は、互いに間隔を有して、平行に配置される。上下方向において、内側板56は、前端部分で、内前板54との境界から後方に向かって徐々に長くなるように傾斜する。内側板56は、前端部分よりも後方で、収納容器50の上下方向の長さと同一の長さを有する。
【0041】
包装容器10では、内側板56は、移動部30と重なる位置に、切離部70を備える。切離部70は、開口72と、切離片74と、一対のミシン目76、76と、スリット78と、を備える。切離片74は、格子模様で示されている接着領域74aを含む。接着領域74aは、接着剤を介して接着領域34aに接着される。切離片74は、開口72と一対のミシン目76とスリット78とによって囲まれている。スリット78は、切離片74の下端に位置している。スリット78は、前後方向に連続的に延びる切れ目である。包装容器10において、スリット78は、折曲線38よりも上方に位置している。スリット78の前後方向の両端には、一対のミシン目76、76が配置されている。一対のミシン目76、76は、スリット78の前後方向の両端から上方に延びている。一対のミシン目76、76の前後方向の幅は、一対のミシン目36、36の前後方向の幅よりも短い。包装容器10を右側面から見ると、一対のミシン目76、76は、一対のミシン目36、36の間に配置されている。一対のミシン目76、76の上端には、開口72が配置されている。開口72は、内側板56を貫通している。包装容器10において、開口72は、挿入部32に重なって配置されている。包装容器10を右側面から見ると、開口72は、挿入部32を含んでいる。
【0042】
切離片74は、開口72と、一対のミシン目76、76と、スリット78と、によって、内側板56の他の部分から切離し可能に配置されている。包装容器10を右側面から見ると、切離片74は、接着部34に含まれている。
【0043】
内側板58は、内側板56と同様の構成を有する。内側板58は、内側板56と同様の切離部70を備える。
【0044】
内側板56は、内前板54とは反対側の端縁において、折曲線を介して、内後板60と途切れなく連続的に連結されている。内後板60は、四角形の平板形状を有する。内後板60は、収納容器50の後端に配置され、内前板54と平行に配置される。内後板60は、上下方向において、内側板56、58と同一の長さを有する。内側板58は、内前板54とは反対側の端縁において、折曲線を介して、接着片62と途切れなく連続的に連結されている。収納容器50では、接着片62は、内後板60の内面に接着される。
【0045】
内側板56、58、内前板54及び内後板60のそれぞれの下端縁には、底部52が配置されている。底部52は、4個の底板52a、52b、52c、52dを備える。底板52aは、内側板58の下端縁の折曲線を介して、内側板58に途切れなく連続的に連結されている。底板52bは、内側板56の下端縁の折曲線を介して、内側板56に途切れなく連続的に連結されている。底板52cは、内前板54の下端縁の折曲線を介して、内前板54に途切れなく連続的に連結されている。底板52dは、内後板60の下端縁の折曲線を介して、内後板60に途切れなく連続的に連結されている。
【0046】
収納容器50では、底板52aと底板52cとが接着され、底板52bと底板52dとが接着される。底板52aと底板52bとは、互いに係合することによって、収納容器50の底が形成される。収納容器50では、底板52a、52bが底板52a、52bに配置される折曲線に沿って折り曲げられることによって、底板52aと底板52bとの係合が解除され、収納容器50を折り畳むことができる。
【0047】
(引掛部の構成)
収納容器50の上端には、引掛部80、90が配置されている。引掛部90は、内後板60の上端縁で、折曲線を介して、内後板60に途切れなく連続的に連結されている。引掛部90は、陳列用の吊り下げフック等を挿入するための開口90aを有する。
【0048】
引掛部80は、内側板56と内側板58との両者に連結されており、両者の間を掛け渡されている。引掛部80は、連結片84、86と、引掛片82、88と、を備える。連結片84は、内側板56の上端縁から上方に突出している。連結片84は、内側板56の上端縁に位置する折曲線84aを介して、内側板56に連結されている。連結片84は、折曲線84aを介して、内側板56に途切れなく連続的に連結されている。連結片84は、上下方向に平行な前端縁を有する。連結片84は、上方に向かって前方に傾斜する後端縁を有する。
【0049】
連結片84の前端には、折曲線84cを介して、引掛片88が途切れなく連続的に連結されている。引掛片88は、下端縁の左右方向の中央部に切欠き88aを有する四角形の平板形状を有する。展開体BL2において、引掛片88の下端縁は、内側板56の上端縁と隙間無く配置される。収納容器50では、前方から見たときに、切欠き88aの上端縁は、開口90aの上端縁と重複する。即ち、切欠き88aの上端縁は、開口90aの上端縁と同一の高さに配置されている。
【0050】
連結片86は、内側板58の上端縁から上方に突出している。連結片86は、内側板58の上端縁に位置する折曲線86aを介して、内側板56に連結されている。連結片86は、折曲線86aを介して、内側板58に途切れなく連続的に連結されている。連結片86は、上下方向に平行な前端縁及び後端縁を有する。
【0051】
連結片86の前端には、折曲線86cを介して、引掛片82が途切れなく連続的に連結されている。引掛片82は、下端縁の左右方向の中央部に切欠き82aを有する四角形の平板形状を有する。展開体BL2において、引掛片82の下端縁は、内側板58の上端縁と隙間無く配置される。収納容器50では、引掛片82は、切欠き82aが切欠き88aに重なるように、引掛片88の後面に接着されている。
【0052】
引掛片82、88のそれぞれには、連結片86側の端縁の下端から連結片84側に進むのに従って上方に傾斜する折曲線82b、88bが配置されている。
【0053】
(包装容器の開封方法及び収納容器の利用方法)
図4図7を参照して、包装容器10の開封方法及び収納容器50の利用方法について説明する。収納容器50と蓋部11とは、接着領域34aで接着されることによって、互いに固定されている。ユーザは、図1に示す包装容器10において、左右の挿入部32から手指を挿入して、接着部34と切離片74とを包装容器10の外側に引っ張り出す。これにより、一対のミシン目36、36及び一対のミシン目76、76が破断し、切離片74が、内側板56、58から切り離されて離間するとともに、接着部34が折曲線38に沿って折り曲げられ、外側板16、18に対して回転する。これにより、蓋部11と収納容器50とが切り離される。ユーザは、蓋部11を上方に持ち上げることによって、包装容器10を容易に開封することができる。
【0054】
図5に示すように、包装容器10では、収納容器50の引掛部80、90は、蓋部11内に収まるように折り畳まれている。具体的には、引掛部90は、内後板60との境界に位置する折曲線で折り畳まれている。引掛部80は、連結片84が折曲線84a、84b、84cのそれぞれで折り曲げられて折り畳まれており、引掛片82、88のそれぞれが折曲線82b、88bのそれぞれで折り曲げられて折り畳まれており、連結片86が折曲線86aで折り曲げられて折り畳まれている。
【0055】
図5に示す状態から、ユーザは、引掛部80、90が折り畳まれている状態から立ち上げて、図6図7に示す使用状態に変形させる。これにより、例えば、商店の陳列棚に設置されている吊り下げフック100に、収納容器50を引っ掛けて、吊り下げることができる。この結果、包装容器10で配送され、保管されている状態から、包装容器10を開封し、引掛部80、90を立ち上げるだけで、包装容器10に包装されていた品物を陳列することができる。
【0056】
図7に示すように、使用状態では、連結片84の折曲線84a、84b及び連結片86の折曲線86a、引掛片82、88の折曲線82b、88bは、折り畳まれた状態から展開されている。また、使用状態では、連結片84の折曲線84c及び連結片86の折曲線86cは、直角に折り曲げられている。
【0057】
(効果)
収納容器50では、一対の内側板56、58に掛け渡して配置される引掛部80には、一対の内側板56、58のそれぞれと一体的に形成されている引掛片82、88が配置されている。このため、収納容器50を吊り下げるための部材を、収納容器50と別部材で準備せずに済む。
【0058】
また、引掛部80、90を収納容器50の前後方向において、間隔を置いて配置することによって、収納容器50を安定して吊り下げることができる。これにより、収納容器50を前後方向に長く形成することができる。
【0059】
引掛部80と底部52との間には、蓋部材のように、底部52を覆う部材が配置されていない。このため、収納容器50に収納されている商品を、収納容器50の外側から容易に視認することができる。
【0060】
(第2実施例)
次いで、図8図11を参照して、本実施例の包装容器を説明する。。本実施例では、第1実施例と異なる点を説明する。本実施例の包装容器は、第1実施例の包装容器10と比較して、収納容器250が、収納容器50と異なる。収納容器250では、引掛部280が引掛部80と異なり、内側板258が内側板58と異なる。
【0061】
図9に示すように、引掛部280は、連結片286と、引掛片282、288と、第1実施例と同様の連結片84と、を備える。引掛片288は、連結片84の前端に、折曲線84cを介して途切れなく連続的に連結されている。引掛片288は、下端縁の左右方向の中央部に開口288aを有する四角形の平板形状を有する。開口288aは、開口90aと同一の形状を有する。開口288aは、前方から見たときに、開口90aと重複する。
【0062】
連結片286は、内側板258の上端縁よりも下方に配置されている。展開体BL202では、連結片286は、内側板258の上端縁よりも下方において、内側板258と同一平板上に配置される。内側板258は、内側板58と比較して、連結片286だけ欠けた形状を有している。内側板258のその他の構成は、内側板58と同様である。連結片286は、内側板258の上端縁から下方に延びる折曲線286aを介して、内側板258に連結されている。連結片286は、折曲線286aを介して、内側板258に途切れなく連続的に連結されている。折曲線286aは、上下方向に平行に伸びている。連結片286は、略扇状形状有する。
【0063】
連結片286の上端縁は、内側板258の上端縁と一致する。連結片286の上端縁には、折曲線286cを介して、引掛片282が途切れなく連続的に連結されている。引掛片282は、引掛片288と重ねて配置される場合に、開口288aと重ねて配置される開口282aを有する。展開体BL202において、引掛片282の下端縁は、内側板258の上端縁と隙間無く配置される。図8に示すように、収納容器250では、引掛片282は、開口282aが開口288aに重なるように、引掛片288の後面に接着されている。
【0064】
図11に示すように、包装容器では、収納容器250の引掛部280、90は、蓋部11内に収まるように折り畳まれている。引掛部280は、連結片84が折曲線84a、84b、84cのそれぞれで折り曲げられて折り畳まれており、引掛片282、288が折曲線286aで折り曲げられて折り畳まれている。
【0065】
図11に示す状態から、ユーザによって、図10に示す使用状態に変形されると、連結片84の折曲線84a、84b及び連結片286の折曲線286cは、折り畳まれた状態から展開されている。また、使用状態では、連結片84の折曲線84c及び連結片286の折曲線286aは、直角に折り曲げられている。
【0066】
この構成によっても、第1実施例と同様の効果を奏することができる。
【0067】
(第3実施例)
次いで、図12図14を参照して、本実施例の包装容器を説明する。本実施例では、第1実施例と異なる点を説明する。本実施例の包装容器は、第1実施例の包装容器10と比較して、収納容器350が、収納容器50と異なる。収納容器350では、引掛部380が引掛部80と異なり、内側板356、358が内側板56、58と異なる。
【0068】
図12に示すように、内側板356は、上端において、上下方向の中間位置よりも前方に突出している。内側板356のその他の構成は、内側板56と同様である。内側板358は、内側板356と同様の構成を有する。
【0069】
図13に示すように、引掛部380は、連結片384、386と、引掛片382、388と、を備える。連結片384は、内側板356の前端において、上端縁から上方に突出している。連結片384は、内側板356の上端縁に位置する折曲線384aを介して、内側板356に連結されている。連結片384は、折曲線384aを介して、内側板356に途切れなく連続的に連結されている。連結片384は、上下方向に平行な前端縁を有する。連結片384は、上方に向かって前方に傾斜する後端縁を有する。連結片384は、前端縁に位置する折曲線384cの延長線と折曲線384aの延長線との交差点から後方に進むのに従って上方に傾斜する折曲線384bを有する。
【0070】
連結片384の前端には、折曲線384cを介して、引掛片388が途切れなく連続的に連結されている。引掛片388は、下端縁の左右方向の中央部に、切欠き88aと同様の切欠き388aを有する四角形の平板形状を有する。引掛片388は、収納容器350の前端に配置される。引掛片388の上端縁には、折曲線を介して、引掛片382が途切れなく連続的に連結されている。引掛片382は、引掛片388に重ねて配置される。引掛片382は、切欠き388aに重ねる切欠き382aを有する。
【0071】
引掛片388の連結片384と反対側の端縁には、折曲線386cを介して、連結片386が途切れなく連続的に連結されている。連結片386は、連結片384と同様の構成を有する。連結片386は、内側板358の上端縁上の折曲線386aを介して、内側板358と途切れなく連続的に連結されている。
【0072】
図14に示すように、包装容器では、収納容器350の引掛部380、90は、蓋部11内に収まるように折り畳まれている。引掛部380は、連結片384が折曲線384a、384b、384cのそれぞれで折り曲げられて折り畳まれており、連結片386が折曲線386a、386b、386cのそれぞれで折り曲げられて折り畳まれている。
【0073】
図12に示す使用状態では、連結片384の折曲線384a、384b及び連結片386の折曲線386a、386bは、折り畳まれた状態から展開されている。また、使用状態では、連結片384の折曲線384c及び連結片386の折曲線386aは、直角に折り曲げられている。
【0074】
この構成によっても、第1実施例と同様の効果を奏することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0076】
例えば、収納容器50、250、350は、引掛部90を有していなくてもよい。
【0077】
例えば、引掛片82、88の形状は、実施例の形状に限定されず、連結片84、86に掛け渡されており、連結片84、86の少なくとも一方に途切れなく連続的に連結されていればよい。引掛片282、288、382、388も同様である。
【0078】
また、外側板16、18の移動部30の接着部34は、外側板16、18のそれぞれから切り離し可能に配置されていてもよい。例えば、接着部34の下端縁が、折曲線38に替えて、スリット及びミシン目のいずれか一方が配置されていてもよい。この場合、側板56、58の切離部70は、側板56、58から切り離し可能に配置されていなくてもよい。
【0079】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0080】
10 :包装容器
11 :蓋部
16、18 :外側板
22 :接着片
34 :接着部
34a :接着領域
50 :収納容器
52 :底部
56、58 :内側板
62 :接着片
70 :切離部
72 :開口
74 :切離片
74a :接着領域
76 :ミシン目
78 :スリット
80 :引掛部
82 :引掛片
84、86 :連結片
88 :引掛片
90 :引掛部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14