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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120707
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】障害物検出装置及び障害物検出方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/09 20120101AFI20220810BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B60W30/09
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017786
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 大樹
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BA33
3D241BB01
3D241BB02
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC11
3D241CC17
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA23Z
3D241DA52Z
3D241DC33Z
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】接触や衝突のリスクが少ない車両の領域での障害物の誤判定を抑制し、ブレーキの誤動作を抑制する障害物検出装置を提供する。
【解決手段】障害物検出装置200は、取得した舵角情報及びシフト位置情報に基づき、自車両1Aの進行方向を判定する進行方向判定部235と、所定範囲となる検出範囲300を、自車両1Aの周囲に設定し、センサデータにより検出された物体が検出範囲300の内側に位置する場合に、物体を、自車両1Aの走行の障害となる障害物と判定し、自車両1Aの走行を停止又は自車両1Aを減速させる制御信号を出力する障害物判定部237と、を備える。障害物判定部237は、進行方向判定部235の判定結果に基づいて検出範囲300を変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の装置に接続された入力インターフェイスと、
車両の舵角情報と、シフト装置のシフト位置情報とを前記入力インターフェイスを介して取得する操作情報取得部と、
前記車両の周辺に存在する物体の検出情報を、前記入力インターフェイスを介して取得する検出情報取得部と、
前記舵角情報及び前記シフト位置情報に基づき、前記車両の進行方向を判定する進行方向判定部と、
所定範囲となる検出範囲を前記車両の周囲に設定し、前記検出情報により検出された物体が前記検出範囲の内側に位置する場合に、前記物体を、前記車両の走行の障害となる障害物と判定し、前記車両の走行を停止又は前記車両を減速させる制御信号を出力する障害物判定部と、を備え、
前記障害物判定部は、前記進行方向判定部の判定結果に基づいて前記検出範囲を変更する、ことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
前記障害物判定部は、前記進行方向判定部の判定結果を用いて、前記車両の進行方向に対応する範囲の前記検出範囲よりも、前記進行方向に対応しない範囲の前記検出範囲を小さくする、ことを特徴とする請求項1記載の障害物検出装置。
【請求項3】
前記障害物判定部は、前記進行方向判定部により前記車両の進行方向が前進と判定された場合、前記車両の後方の前記検出範囲を前記車両の前方の前記検出範囲よりも小さく変更する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の障害物検出装置。
【請求項4】
前記障害物判定部は、前記進行方向判定部により前記車両の進行方向が後退と判定された場合、前記車両の前方の前記検出範囲を前記車両の後方の前記検出範囲よりも小さく変更する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の障害物検出装置。
【請求項5】
前記障害物判定部は、前記進行方向判定部により前記車両の進行方向が左後方旋回と判定された場合、前記車両の前方及び左側方の前記検出範囲を前記車両の後方及び右側方の検出範囲よりも小さく変更する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の障害物検出装置。
【請求項6】
前記障害物判定部は、前記進行方向判定部により前記車両の進行方向が右方向旋回と判定された場合、前記車両の前方及び右側方の前記検出範囲を前記車両の後方及び左側方の検出範囲よりも小さく変更する、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の障害物検出装置。
【請求項7】
前記進行方向判定部は、
前記シフト位置情報が示すシフト位置が後退であり、前記舵角情報が示す舵角が第1しきい値より大きい場合に左後方旋回と判定し、
前記シフト位置情報が示すシフト位置が後退であり、前記舵角情報が示す舵角が第2しきい値より大きい場合に右後方旋回と判定し、
前記第1しきい値は、-120度以上、-180度以下の範囲内の値に設定され、
前記第2しきい値は、120度以上、180度以下の範囲内の値に設定される、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の障害物検出装置。
【請求項8】
車両の舵角情報と、シフト装置のシフト位置情報とを取得する情報取得ステップと、
前記車両の周辺に存在する物体の検出情報を取得する検出情報取得ステップと、
取得した前記舵角情報及び前記シフト位置情報に基づき、前記車両の進行方向を判定する方向判定ステップと、
所定範囲となる検出範囲を前記車両の周囲に設定し、前記検出情報により検出された物体が前記検出範囲の内側に位置する場合に、前記物体を、前記車両の走行の障害となる障害物と判定する障害物判定ステップと、
前記物体が前記障害物を判定された場合に、前記車両の走行を停止又は前記車両を減速させる制御信号を出力する出力ステップと、を有し、
前記障害物判定ステップは、前記方向判定ステップの判定結果に基づいて前記検出範囲を変更する、ことを特徴とする障害物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検出装置及び障害物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周囲に存在する物体を検出し、検出した物体が、駐車経路に沿って走行する車両の障害となる障害物であるか否かを判定する装置が知られている。
例えば、特許文献1に開示の駐車支援装置は、車両を中心として予め定めた範囲を原領域として設定し、設定した原領域中で障害物が存在している障害物領域を検出する。支援を開始すると、駐車支援装置は、原領域から少なくとも障害物領域を除外した領域を支援領域として設定し、車両の移動を案内している間、車両が支援領域の外周端部に接近したか否かを判定する。駐車支援装置は、車両が支援領域の外周端部に接近したと判定された場合、車両が支援領域の端部に接近した場合、すなわち車両と障害物との衝突の危険がある場合、運転者に知らせる警報を発報する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-18167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、障害物領域及び支援領域の設定が適切でないと、車両と障害物との接触判定に誤判定が生じ、ブレーキが誤動作して車両の走行が停止する場合がある。この場合、経路を再計算することになり、車両を目的の駐車位置に駐車させるまでに時間がかかるとの課題がある。
【0005】
本発明は、接触や衝突のリスクが少ない車両の領域での障害物の誤判定を抑制し、ブレーキの誤動作を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の障害物検出装置は、外部の装置に接続された入力インターフェイスと、車両の舵角情報と、シフト装置のシフト位置情報とを前記入力インターフェイスを介して取得する操作情報取得部と、前記車両の周辺に存在する物体の検出情報を、前記入力インターフェイスを介して取得する検出情報取得部と、前記舵角情報及び前記シフト位置情報に基づき、前記車両の進行方向を判定する進行方向判定部と、所定範囲となる検出範囲を前記車両の周囲に設定し、前記検出情報により検出された物体が前記検出範囲の内側に位置する場合に、前記物体を、前記車両の走行の障害となる障害物と判定し、前記車両の走行を停止又は前記車両を減速させる制御信号を出力する障害物判定部と、を備え、前記障害物判定部は、前記進行方向判定部の判定結果に基づいて前記検出範囲を変更する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接触や衝突のリスクが少ない車両の領域での障害物の誤判定を抑制し、ブレーキの誤動作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車載装置の構成を示すブロック図である。
図2】ソナーの設置位置を示す図である。
図3】従来のソナーの検出範囲である固定検出範囲を示す図である。
図4】進行方向が前進である場合の検出範囲を示す図である。
図5】進行方向が後退直進である場合の検出範囲を示す図である。
図6】進行方向が後方左旋回である場合の検出範囲を示す図である。
図7】進行方向が後方右旋回である場合の検出範囲を示す図である。
図8】後方右旋回させた場合の自車両の前方右端部及び前方左端部の軌跡を示す図である。
図9】固定検出範囲に設定した自車両を出庫させた場合を示す図である。
図10】進行方向に応じた検出範囲に設定した自車両を出庫させた場合を示す図である。
図11】縦列駐車させる場合の検出範囲の設定について説明する図である。
図12】障害物検出装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、車両に搭載された車載装置3の構成を示すブロック図である。以下では、車載装置3を搭載した車両を自車両1Aと表示し、自車両1A以外の車両を他車両1Bと表記する。
車載装置3は、位置検出ユニット10、ソナーユニット30、経路生成装置50、運転制御装置100、走行駆動装置150及び障害物検出装置200を備える。位置検出ユニット10、ソナーユニット30、経路生成装置50、運転制御装置100及び障害物検出装置200は、通信バス5により相互にデータ通信可能に接続される。通信バス5は、例えば、イーサネット(登録商標)や、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)等の規格に従ったデータ通信用のバスである。
【0010】
位置検出ユニット10は、自車両1Aの位置を検出する。位置検出ユニット10は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信器と、プロセッサとを備える。GNSS受信部及びプロセッサの図示は省略する。GNSS受信器は、衛星から送信される信号を受信する。プロセッサは、GNSS受信器が受信した信号に基づいて自車両1Aの位置情報である緯度及び経度や、算出した位置情報の差分により自車両1Aの方位を演算する。位置検出ユニット10は、演算により求めた自車両1Aの位置情報及び方位情報を経路生成装置50や障害物検出装置200に出力する。
【0011】
ソナーユニット30は、複数のソナーを備える。これら複数のソナーは、自車両1Aの前方や後方、側方等に配置され、自車両1Aの周辺に存在する物体を検出する。具体的には、各ソナーは、物体までの距離や、自車両1Aを基準とした方位等を超音波により検出する。ソナーユニット30は、検出結果を示すセンサデータを経路生成装置50及び障害物検出装置200に出力する。
【0012】
図2は、ソナーの設置位置を示す図である。
本実施形態では、自車両1Aに12個のソナーを搭載した場合について説明するが、ソナーの搭載数は12個に限定されるものではない。
自車両1Aの前方には、図2に示すようにソナーS1、ソナーS2、ソナーS3、ソナーS4、ソナーS5及びソナーS6の6つのソナーが設置される。
ソナーS1、ソナーS2及びソナーS3は、自車両1Aの前方左側に設置され、ソナーS4、ソナーS5及びソナーS6は、自車両1Aの前方右側に設置される。
ソナーS7、ソナーS8及びソナーS9は、自車両1Aの後方左側に設置され、ソナーS10、ソナーS11及びソナーS12は、自車両1Aの後方右側に設置される。
【0013】
ソナーS1~ソナーS12の設置位置の一例を説明する。
ソナーS1~ソナーS12の設置位置について説明するため、2次元座標を自車両1Aに設定する。この2次元座標は、自車両1Aの車長方向に平行な方向をX軸とし、車幅方向に平行な方向をY軸とする。X軸の正方向は、自車両1Aの前方の方向であり、負方向は、自車両1Aの後方の方向である。また、Y軸の正方向は、自車両1Aの左側に向かう方向であり、負の方向は、自車両1Aの右側の方向である。また、2次元座標の原点は、自車両1Aの後輪車軸上であって、車幅方向の中心の位置に設定される。
ソナーS1は、座標(2800,850)の位置に、設置角度95°で設置される。
ソナーS2は、座標(3100,700)の位置に、設置角度50°で設置される。
ソナーS3は、座標(3300,250)の位置に、設置角度15°で設置される。
ソナーS4は、座標(3300,-250)の位置に、設置角度345°で設置される。
ソナーS5は、座標(3100,-700)の位置に、設置角度310°で設置される。
ソナーS6は、座標(2800,-850)の位置に、設置角度265°で設置される。
ソナーS7は、座標(-400,850)の位置に、設置角度95°で設置される。
ソナーS8は、座標(-650,700)の位置に、設置角度160°で設置される。
ソナーS9は、座標(-850,250)の位置に、設置角度195°で設置される。
ソナーS10は、座標(-850,-250)の位置に、設置角度165°で設置される。
ソナーS11は、座標(-650,-700)の位置に、設置角度200°で設置される。
ソナーS12は、座標(-400,-850)の位置に、設置角度265°で設置される。
座標値の単位はmmであり、設置角度は、X軸の正方向を0°とする左回りの角度である。
【0014】
本実施形態では、車載装置3がソナーを備える場合について説明するが、車載装置3に搭載可能なセンサは、ソナーに限定されない。例えば、電波や光等を利用して物体との間の距離を測定可能なレーダーやライダー(LiDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)を搭載してもよい。また、カメラを車載装置3に搭載してもよい。
【0015】
経路生成装置50は、入出力インターフェイス(以下、インターフェイスをI/Fと略記する)60、メモリ70及びプロセッサ80を備えるコンピュータ装置である。経路生成装置50は、これらの装置の他に、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージ装置等を備える構成であってもよい。
【0016】
入出力I/F60は、通信バス5に接続され、通信バス5に接続された外部の装置と相互にデータ通信を行う。外部の装置には、位置検出ユニット10や、ソナーユニット30、運転制御装置100、障害物検出装置200が含まれる。
【0017】
メモリ70は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等により構成される。また、メモリ70を、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリにより構成してもよい。メモリ70は、プロセッサ80が実行するコンピュータプログラムや、プロセッサ80がコンピュータプログラムの実行時に処理するデータや処理結果のデータを記憶する。また、メモリ70は、ソナーユニット30から出力されるセンサデータや、位置検出ユニット10により検出された位置情報及び方位情報を記憶する。また、メモリ70は、経路生成装置50が生成した周辺マップや、駐車経路の情報を記憶する。
プロセッサ80は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Microprocessor Unit)等により構成される。
【0018】
経路生成装置50は、機能的構成として、マップ生成部81、駐車経路生成部83及び運転情報生成部85を備える。これらの機能的構成は、プロセッサ80が、コンピュータプログラムに従った演算を行うことで実現される機能である。
【0019】
マップ生成部81は、メモリ70から読み出した位置情報及び方位情報や、センサデータに基づき、自車両1Aの周囲の状況を示す周辺マップを生成する。周辺マップには、自車両1Aの位置や、自車両1Aの周囲に存在する物体の位置や物体までの距離、駐車場の路面にペイントされた白線等の駐車枠の位置等が記録される。周辺マップに記録される物体には、例えば、他車両1Bや、駐車場の柱や壁等の構造物等が含まれる。以下、これらの物体を対象物という。駐車枠は、所定の太さで路面にペイントされているため、白線の太さに相当する間隔が周期的な特徴として検出される。
【0020】
駐車経路生成部83は、マップ生成部81が生成した周辺マップを参照して、自車両1Aを駐車させる駐車枠を決定する。例えば、駐車経路生成部83は、周辺マップに記録された駐車枠の中から、対象物が検出されず、自車両1Aからの距離が予め設定された設定距離以下の駐車枠を選択する。駐車経路生成部83は、選択した駐車枠内に自車両1Aを駐車させる位置や角度を設定して駐車位置を決定する。
【0021】
次に、駐車経路生成部83は、決定した駐車位置に自車両1Aを駐車させるための駐車経路を生成する。駐車経路は、自車両1Aを、自車両1Aの位置から駐車位置まで移動させる経路である。自車両1Aの位置とは、メモリ70から読み出した位置情報が示す位置である。駐車経路の生成処理には、公知の手段が用いられる。
【0022】
運転情報生成部85には、駐車経路生成部83が生成した駐車経路の情報が入力される。運転情報生成部85は、入力された駐車経路の情報に基づき、運転制御装置100が走行駆動装置150を制御する情報である運転情報を生成する。運転情報には、例えば、ステアリングホイールや、シフト装置、アクセル、ブレーキ等の操作対象の操作量と、操作対象を操作する位置の情報とを含む。操作量は、例えば、ステアリングホイールの操舵角や、アクセル開度、ブレーキの操作量が含まれる。また、操作位置は、操作対象を、この操作位置に対応づけられた操作量に操作する駐車経路上の位置の情報である。運転情報生成部85は、駐車経路の情報である経路情報と、生成した運転情報とを含む制御情報を運転制御装置100及び障害物検出装置200に出力する。
【0023】
運転制御装置100は、入出力I/F、メモリ及びプロセッサを備えるコンピュータ装置である。入出力I/F、メモリ及びプロセッサの図示は省略する。
運転制御装置100には、経路生成装置50から制御情報が入力される。運転制御装置100は、入力された制御情報に含まれる運転情報に基づいて駆動信号を生成する。この駆動信号は、走行駆動装置150が備える操舵装置151、駆動装置153、制動装置155及び変速装置157を駆動させる信号である。運転制御装置100は、生成した駆動信号を、走行駆動装置150に出力する。
【0024】
また、運転制御装置100には、障害物検出装置200から停止信号が入力される。停止信号は、駐車経路に沿って走行する自車両1Aの走行を停止させる信号である。運転制御装置100は、停止信号が入力されると、駆動装置153の駆動を停止させると共に、制動装置155を駆動させ、自車両1Aの走行を停止させる。
【0025】
走行駆動装置150は、操舵装置151、駆動装置153、制動装置155及び変速装置157を備える。
操舵装置151は、自車両1Aの操舵輪を操舵するアクチュエータを含む装置である。運転制御装置100は、駆動信号によりアクチュエータを駆動し、操舵輪を操舵する。
駆動装置153は、自車両1Aの駆動輪の駆動力を調整するアクチュエータを含む装置である。このアクチュエータには、自車両1Aの動力源がエンジンである場合はスロットルアクチュエータが該当し、動力源がモータである場合には当該モータが該当する。運転制御装置100は、駆動信号によりアクチュエータを駆動し、自車両1Aの駆動輪の駆動力を調整する。
【0026】
制動装置155は、自車両1Aに設けられたブレーキシステムを制御し、自車両1Aの車輪に付与する制動力を制御するアクチュエータを含む装置である。
運転制御装置100は、駆動信号によりアクチュエータを駆動し、自車両1Aの車輪に付与する制動力を制御する。
変速装置157は、変速機及びアクチュエータを含む装置である。また、変速装置157は、変速機を操作するべく運転者によって操作可能なシフト装置を含む。運転制御装置100は、駆動信号によりアクチュエータを駆動し、変速機の変速比や、自車両1Aの前進及び後進を切り替える。
【0027】
障害物検出装置200は、入出力I/F210、メモリ220及びプロセッサ230を備えるコンピュータ装置である。障害物検出装置200は、これらの装置の他に、HDDやSSD等のストレージ装置等を備える構成であってもよい。
【0028】
入出力I/F210は、通信バス5に接続され、通信バス5に接続された外部の装置と相互にデータ通信を行う。外部の装置には、位置検出ユニット10、ソナーユニット30、経路生成装置50及び運転制御装置100が含まれる。入出力I/F210は、入力インターフェイスに相当する。
【0029】
メモリ220は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等により構成される。また、メモリ220を、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリにより構成してもよい。メモリ220は、プロセッサ230が実行するコンピュータプログラムや、プロセッサ230がコンピュータプログラムの実行時に処理するデータや処理結果のデータを記憶する。また、メモリ220は、ソナーユニット30から出力されるセンサデータや、位置検出ユニット10により検出された位置情報及び方位情報を記憶する。さらにメモリ220は、経路生成装置50から入力された制御情報を記憶する。
プロセッサ230は、CPUやMPU等により構成される。
【0030】
障害物検出装置200は、機能的構成として、操作情報取得部231、検出情報取得部233、進行方向判定部235及び障害物判定部237を備える。これらの機能的構成は、プロセッサ230が、コンピュータプログラムに従った演算を行うことで実現される機能である。
【0031】
操作情報取得部231は、舵角情報及びシフト位置情報を取得する。具体的には、操作情報取得部231は、まず、メモリ220から運転情報を読み出し、経路情報が示す駐車経路上に、所定距離ごとに判定地点を設定する。また、操作情報取得部231は、駐車経路に、自車両1Aの進行方向を前進から後退、又は後退から前進に変更する地点が含まれる場合、この地点も判定地点に設定する。
【0032】
操作情報取得部231は、判定地点を設定すると、設定した判定地点におけるステアリングホイールの操作量を示す舵角情報と、判定地点におけるシフト装置のシフト位置を示すシフト位置情報とを運転情報から取得する。操作情報取得部231は、各判定地点における舵角情報及びシフト位置情報を進行方向判定部235に出力する。
【0033】
検出情報取得部233は、検出情報であるソナーユニット30のセンサデータを取得する。検出情報取得部233は、メモリ220からセンサデータを読み出し、読み出したセンサデータを障害物判定部237に出力する。
【0034】
進行方向判定部235には、操作情報取得部231から各判定地点における舵角情報及びシフト位置情報が入力される。進行方向判定部235は、入力されたシフト位置情報及び舵角情報に基づいて、各判定地点における自車両1Aの進行方向を判定する。進行方向判定部235は、判定した各判定地点における自車両1Aの進行方向を示す情報を障害物判定部237に出力する。
【0035】
進行方向判定部235が判定する進行方向は、前進、後退直進、後方右旋回及び後方左旋回の4つの方向である。前進には、直進、前方右旋回、前方左旋回の3つが含まれるが、進行方向判定部235は、これら3つの進行方向を区別せずに前進と判定する。
【0036】
例えば、進行方向判定部235は、シフト装置のシフト位置情報がドライブである場合、自車両1Aの進行方向を前進と判定する。
また、進行方向判定部235は、シフト装置のシフト位置情報が後退である場合、舵角情報が示す操舵角を第1しきい値及び第2しきい値と比較する。本実施形態では、第1しきい値は-120度に設定され、第2しきい値は120度に設定される。
進行方向判定部235は、シフト位置情報が後退であり、操舵角が-120度よりも小さい場合、自車両1Aの進行方向を後方左旋回と判定する。また、進行方向判定部235は、シフト位置情報が後退であり、操舵角が120度よりも大きい場合、自車両1Aの進行方向を後方右旋回と判定する。本実施形態では、ステアリングホイールを右回転させた場合を正回転と仮定して説明する。
【0037】
本実施形態では、第1しきい値を-120度に設定し、第2しきい値を120度に設定した場合について説明するが、第1しきい値は-120度に限定されず、第2しきい値は120度に限定されない。第1しきい値は、-120度以下、-180度以上、第2しきい値は、120度以上、180度以下の範囲内で設定することが好ましい。第1しきい値及び第2しきい値には、上限、下限の制約はなく、自車両1Aの舵角特性、旋回特性及び形状等に合わせて設定することができる。
【0038】
障害物判定部237には、進行方向判定部235から各判定地点における自車両1Aの進行方向の情報が入力され、検出情報取得部233からセンサデータが入力される。
障害物判定部237は、センサデータにより検出された対象物が、自車両1Aの走行の障害となる障害物であるか否かを判定する。自車両1Aの走行の障害となるとは、駐車経路に沿って自車両1Aを走行させた場合に、対象物が自車両1Aに接触又は衝突することを意味する。障害物判定部237は、自車両1Aの周囲に、所定範囲となる検出範囲300を設定し、ソナーユニット30により検出された対象物の位置が、検出範囲300の内側に位置するのか、外側に位置するのかを判定する。障害物判定部237は、検出範囲300の内側に位置する対象物を検出した場合、この対象物を障害物と判定する。
【0039】
また、障害物判定部237は、進行方向判定部235が判定した自車両1Aの進行方向に基づいて検出範囲300を変更する。障害物判定部237は、進行方向判定部235の判定結果を用いて、自車両1Aの進行方向に対応する方向の検出範囲300よりも、進行方向に対応しない方向の検出範囲300を小さくする。
具体的には、障害物判定部237は、検出範囲300を狭めても、対象物との接触又は衝突の判定に支障が生じない自車両1Aの範囲を判定する。すなわち、障害物判定部237は、安全性が高い自車両1Aの範囲を判定する。障害物判定部237は、判定した自車両1Aの範囲に対応する検出範囲300の幅を狭く変更する。自車両1Aの進行方向と、検出範囲300の幅との関係について図3図7を参照しながら説明する。
【0040】
図3は、従来のソナーの検出範囲である固定検出範囲20を示す図である。
従来の検出範囲である固定検出範囲20は、自車両1Aの進行方向が変更されても、範囲は変更せず、常に一定の範囲内で障害物となる対象物を検出する。固定検出範囲20の場合、各ソナーの探索距離は、すべてのソナーで一律に距離D1に設定される。探索距離は、ソナーの設置角度の方向において、ソナーが探索する距離である。例えば、ソナーS1の場合、ソナーS1の設置角度の方向である95°の方向において、対象物を検出する距離である。
【0041】
図4は、自車両1Aの進行方向が前進である場合の検出範囲300Aを示す図である。
障害物判定部237は、自車両1Aの進行方向が前進である場合、前進用の検出範囲300Aを設定する。具体的には、障害物判定部237は、自車両1Aの後方に設置されたソナーS7~ソナーS12の検出距離を距離D1から距離D2に変更する。また、障害物判定部237は、自車両1Aの前方に設置されたソナーS1~ソナーS6の検出距離は、距離D1のまま変更しない。距離D2は、距離D1よりも短い距離に設定される。距離D1は、予め設定された設定距離に相当する。
自車両1Aの進行方向が前進である場合、ソナーS1~S6の検出範囲300は、自車両1Aの進行方向に対応する範囲に相当する。また、自車両1Aの進行方向が前進である場合、ソナーS7~S12の検出範囲300は、自車両1Aの進行方向に対応しない範囲に相当する。
【0042】
図5は、自車両1Aの進行方向が後退直進である場合の検出範囲300Bを示す図である。
障害物判定部237は、自車両1Aの進行方向が後退直進である場合、後退用の検出範囲300Bを設定する。具体的には、障害物判定部237は、自車両1Aの前方に設置されたソナーS1~ソナーS6の検出距離を、距離D1から距離D2に変更する。また、障害物判定部237は、自車両1Aの後方に設置されたソナーS7からソナーS12の検出距離は、距離D1のまま変更しない。
自車両1Aの進行方向が後退直進である場合、ソナーS7~S12の検出範囲300は、自車両1Aの進行方向に対応する範囲に相当する。また、自車両1Aの進行方向が後退直進ある場合、ソナーS1~S6の検出範囲300は、自車両1Aの進行方向に対応しない範囲に相当する。
【0043】
図6は、自車両1Aの進行方向が後方左旋回である場合の検出範囲300Cを示す図である。
障害物判定部237は、自車両1Aの進行方向が後方左旋回である場合、後方左旋回用の検出範囲300Cを設定する。具体的には、障害物判定部237は、自車両1Aの前方に設置されたソナーS1~ソナーS5の検出距離を距離D1から距離D2に変更する。また、障害物判定部237は、自車両1Aの右側方の検出距離を距離D1に維持するため、ソナーS6の検出距離は、距離D1のまま変更しない。また、障害物判定部237は、自車両1Aの後方に設置されたソナーS7からソナーS12の検出距離は、距離D1のまま変更しない。
自車両1Aの進行方向が後方左旋回である場合、ソナーS6~S12の検出範囲300は、自車両1Aの進行方向に対応する範囲に相当する。また、自車両1Aの進行方向が後方左旋回である場合、ソナーS1~S5の検出範囲300は、自車両1Aの進行方向に対応しない範囲に相当する。
【0044】
図7は、自車両1Aの進行方向が後方右旋回である場合の検出範囲300Dを示す図である。
障害物判定部237は、自車両1Aの進行方向が後方右旋回である場合、後方右旋回用の検出範囲300Dを設定する。具体的には、障害物判定部237は、自車両1Aの前方に設置されたソナーS2~ソナーS6の検出距離を距離D1から距離D2に変更する。また、障害物判定部237は、自車両1Aの左側方の検出距離を距離D1に維持するため、ソナーS1の検出距離は、距離D1のまま変更しない。また、障害物判定部237は、自車両1Aの後方に設置されたソナーS7からソナーS12の検出距離は、距離D1のまま変更しない。
自車両1Aの進行方向が後方右旋回である場合、ソナーS1、及びS7~S12の検出範囲300は、自車両1Aの進行方向に対応する範囲に相当する。また、自車両1Aの進行方向が後方右旋回である場合、ソナーS2~S6の検出範囲300は、自車両1Aの進行方向に対応しない範囲に相当する。
【0045】
図8は、自車両1Aを後方右旋回させた場合の自車両1Aの前方右端部pと、前方左端部qとの軌跡を示す図である。
自車両1Aを後方右旋回させる場合、自車両1Aの前方右端部pに設置されたソナーS6の検出距離は、距離D1から距離D2に変更され、自車両1Aの前方左端部qに設置されたソナーS1の検出距離は、距離D1のまま変更されない。この理由について図8を参照しながら説明する。
時刻t1のときに前方右端部pはp1に位置し、前方左端部qはq1に位置する。
時刻t2のときに前方右端部pはp2に位置し、前方左端部qはq2に位置する。
時刻t3のときに前方右端部pはp3に位置し、前方左端部qはq3に位置する。
時刻t4のときに前方右端部pはp4に位置し、前方左端部qはq4に位置する。
【0046】
自車両1Aを後方右旋回させた場合、時刻t2における前方右端部pの位置p2は、時刻t1における前方右端部pの位置p1よりも左側、すなわち、時刻t1のときに自車両1Aの車体が位置していた方向に移動する。同様に、時刻t3における位置p3は、時刻t2における位置p2よりも左側、すなわち、時刻t2のときに自車両1Aの車体が位置していた方向に移動する。
これに対して、時刻t2における前方左端部qの位置q2は、時刻t1における前方左端部qの位置q1よりも左側、すなわち、時刻t1のときに位置していた自車両1Aの車体よりも外側に移動する。同様に、時刻t3における位置q3は、時刻t2における位置q2よりも左側、すなわち、時刻t2のときに位置していた自車両1Aの車体よりも外側に移動する。
このように、自車両1Aが後方右旋回する場合、前方右端部pは、障害物となる対象物が存在しないことが明らかな方向に移動し、前方左端部qは、障害物となる対象物が存在するか否かが明らかではない方向に移動する。
このため、自車両1Aを後方右旋回させる場合、自車両1Aの前方右端部pに設置されたソナーS6の検出距離をt2に変更し、前方左端部qに設置されたソナーS1の検出距離は距離D1のまま変更しない。
【0047】
同様の理由により、自車両1Aを後方左旋回させる場合、自車両1Aの前方左端部に設置されたソナーS1の検出距離をt2に変更し、前方左端部に設置されたソナーS6の検出距離は距離D1のまま変更しない。
【0048】
図9は、検出範囲300を固定検出範囲20に設定し、自車両1Aを出庫させた場合を示す図である。図10は、進行方向に応じた検出範囲300Aに設定した自車両1Aを出庫させた場合を示す図である。
自車両1Aを駐車位置から出庫させるため、自車両1Aを直進させた後に、左旋回させる場合について説明する。
検出範囲300を固定検出範囲20に設定した場合、自車両1Aを左旋回させるタイミングが早いと、図9に示すように自車両1Aの左側に駐車していた他車両1Bを障害物として検出し、自車両1Aの走行が停止してしまう場合がある。
これに対して、前進用の検出範囲300Aを設定した場合、車両後端の左端部に設置されたソナーS7の検出距離が距離D1から距離D2に変更される。このため、自車両1Aの後端側に行くほど、検出距離が小さくなるため、自車両1Aの左側に駐車していた他車両1Bを障害物として検出する事象の発生を抑制することができる。
【0049】
図11は、縦列駐車させる場合の検出範囲300の設定について説明する図である。
縦列駐車とは、自車両1Aと他車両1Bとが、自車両1Aにおける車長方向に沿って配列するように、自車両1Aを駐車する駐車態様である。
図11に示す縦列駐車の場合、位置P1~位置P2の区間で、自車両1Aを後方右旋回させ、位置P2~位置P3の区間で、自車両1Aを後方左旋回させる。
位置P1~位置P2の区間では、後方右旋回用の検出範囲300Dが設定される。つまり、ソナーS6の検出距離がt2に変更され、自車両1Aの前方右側の検出距離が短く設定される。このため、位置P1~位置P2の区間で、他車両1Bとの接触の誤判定を抑制し、自車両1Aの誤判定による停車を抑制することができる。
【0050】
また、位置P2~位置P3の区間では、後方左旋回用の検出範囲300Cが設定される。
つまり、ソナーS1~S5の検出範囲300がt2に変更され、自車両1Aの前方の検出距離が短く設定される。このため、駐車位置の前方に駐車した他車両1Bとの接触の誤判定を抑制し、自車両1Aの誤判定による停車を抑制することができる。
また、ソナーS6及びS12は、検出距離が距離D1に維持されるため、右側方の検出距離は距離D1のまま維持される。例えば、駐車位置の右側が壁であった場合、右側方の検出距離は距離D1のまま維持することで、この壁を障害物として正しく検出することができる。
【0051】
図12は、障害物検出装置200の動作を示すフローチャートである。図12に示すフローチャートを参照しながら障害物検出装置200の動作について説明する。
まず、障害物検出装置200は、経路生成装置50から制御情報が入力されたか否かを判定する(ステップS1)。障害物検出装置200は、制御情報が入力されていない場合(ステップS1/YES)、経路生成装置50から制御情報が入力されるまで処理の開始を待機する。
【0052】
障害物検出装置200は、制御情報が入力されると(ステップS1/YES)、制御情報に含まれる経路情報、舵角情報及びシフト位置情報を取得する(ステップS2)。ステップS2は、情報取得ステップに相当する。次に、障害物検出装置200は、取得した経路情報が示す駐車経路上に、所定距離ごとに判定地点を設定する(ステップS3)。
【0053】
次に、障害物検出装置200は、舵角情報及びシフト位置情報に基づき、自車両1Aの進行方向が前進であるか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4は、方向判定ステップに相当する。障害物検出装置200は、舵角情報及びシフト位置情報に基づいて、自車両1Aの進行方向が前進であると判定した場合(ステップS4/YES)、ソナーユニット30の検出範囲300として、前進用の検出範囲300Aを設定する(ステップS5)。
【0054】
また、障害物検出装置200は、自車両1Aの進行方向が前進ではない場合(ステップS4/NO)、舵角情報が示すステアリングホイールの舵角が120°よりも大きいか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6は、方向判定ステップに相当する。障害物検出装置200は、ステアリングホイールの舵角が120°よりも大きい場合(ステップS6/YES)、ソナーユニット30の検出範囲300として、後方右旋回用の検出範囲300Dを設定する。
【0055】
また、障害物検出装置200は、ステアリングホイールの舵角が120°以下である場合(ステップS6/NO)、ステアリングホイールの舵角が-120°よりも小さいか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8は、方向判定ステップに相当する。障害物検出装置200は、ステアリングホイールの舵角が-120°よりも小さい場合(ステップS8/YES)、ソナーユニット30の検出範囲300として、後方左旋回用の検出範囲300Cを設定する(ステップS9)。
【0056】
また、障害物検出装置200は、ステアリングホイールの舵角が-120°よりも小さくない場合(ステップS8/NO)、すなわち、ステアリングホイールの舵角が-120°以上、120°以下である場合、ソナーユニット30の検出範囲300として、後退直進用の検出範囲300Bを設定する(ステップS10)。
【0057】
次に、障害物検出装置200は、ソナーユニット30のセンサデータを取得する(ステップS11)。ステップS11は、検出情報取得ステップに相当する。障害物検出装置200は、取得したセンサデータにより検出された対象物の位置が、ステップS5、S7、S9又はS10のいずれかで設定した検出範囲300の範囲内であるか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12は、障害物判定ステップに相当する。
障害物検出装置200は、対象物の位置が検出範囲300の内側であると判定した場合(ステップS12/YES)、対象物を障害物と判定し、自車両1Aの走行を停止させる停止信号を運転制御装置100に出力する(ステップS13)。ステップS13は、出力ステップに相当する。本実施形態では、障害物検出装置200は、自車両1Aの走行を停止させる停止信号を運転制御装置100に出力する場合について説明するが、自車両1Aの速度を減速させる信号を運転制御装置100に出力し、自車両1Aの速度を減速させてもよい。
【0058】
また、障害物検出装置200は、対象物の位置が検出範囲300の外側であると判定した場合(ステップS12/NO)、位置検出ユニット10により検出された位置情報に基づき、自車両1Aが次の判定地点に移動したか否かを判定する(ステップS14)。障害物検出装置200は、自車両1Aが判定地点に移動したと判定した場合(ステップS14/YES)、ステップS4の判定に戻り、検出範囲300を再度、設定する。
【0059】
また、障害物検出装置200は、自車両1Aの位置が判定地点ではない場合(ステップS14/NO)、自車両1Aが駐車位置に到着したか否かを判定する(ステップS15)。障害物検出装置200は、自車両1Aが駐車位置に到着した場合(ステップS15/YES)、この処理フローを終了させる。また、障害物検出装置200は、自車両1Aが駐車位置に到着していない場合(ステップS15/NO)、ステップS14の判定に戻る。
【0060】
以上説明したように本実施形態の障害物検出装置200は、入出力I/F210と、操作情報取得部231と、検出情報取得部233と、進行方向判定部235と、障害物判定部237と、を備える。
【0061】
入出力I/F210は、外部の装置であるソナーユニット30及び経路生成装置50に接続される。
操作情報取得部231は、自車両1Aの舵角情報と、シフト装置のシフト位置情報とを入出力I/F210を介して取得する。
検出情報取得部233は、自車両1Aの周辺に存在する物体の検出情報であるソナーユニット30のセンサデータを、入出力I/F210を介して取得する。
進行方向判定部235は、舵角情報及びシフト位置情報に基づき、自車両1Aの進行方向を判定する。
障害物判定部237は、自車両1A周囲に所定範囲となる検出範囲300を設定する。障害物判定部237は、センサデータにより検出された物体が検出範囲300の内側に位置する場合に、物体を、自車両1Aの走行の障害となる障害物と判定する。障害物判定部237は、物体を障害物と判定した場合、自車両1Aの走行を停止又は自車両1Aを減速させる制御信号を出力する。
また、障害物判定部237は、進行方向判定部235の判定結果に基づいて検出範囲300を変更する。
【0062】
自車両1Aの進行方向に基づいて検出範囲300を変更することで、例えば、自車両1Aの走行の障害となる障害物が存在する確率が低い領域の検出範囲300を、自車両1Aに近い位置に設定することができ、障害物の誤検出を防止することができる。このため、接触や衝突のリスクが少ない車両の領域での障害物の誤判定を抑制し、ブレーキの誤動作を抑制することができる。
【0063】
また、障害物判定部237は、進行方向判定部235の判定結果を用いて、自車両1Aの進行方向に対応する方向の検出範囲300よりも、進行方向に対応しない方向の検出範囲300を小さくする。
従って、自車両1Aの走行の障害となる障害物が存在する確率が低い領域の検出範囲300を、自車両1Aに近い位置に設定することで、障害物の誤検出を防止することができる。
【0064】
障害物判定部237は、進行方向判定部235により自車両1Aの進行方向が前進と判定された場合、自車両1Aの後方の検出範囲300を設定距離よりも小さく変更する。
従って、自車両1Aの進行方向が前進である場合に、自車両1Aの後方の検出範囲300を設定距離よりも小さく変更し、障害物の誤検出を抑制することができる。
【0065】
障害物判定部237は、進行方向判定部235により自車両1Aの進行方向が後退と判定された場合、自車両1Aの前方の検出範囲300を設定距離よりも小さく変更する。
従って、自車両1Aの進行方向が後退である場合に、自車両1Aの前方の検出範囲300を設定距離よりも小さく変更し、障害物の誤検出を抑制することができる。
【0066】
障害物判定部237は、進行方向判定部235により自車両1Aの進行方向が左後方旋回と判定された場合、自車両1Aの前方及び左側方の検出範囲300を設定距離よりも小さく変更する。
従って、自車両1Aの進行方向が左後方旋回である場合に、自車両1Aの前方及び左側方の検出範囲300を設定距離よりも小さく変更し、障害物の誤検出を抑制することができる。
【0067】
障害物判定部237は、進行方向判定部235により自車両1Aの進行方向が右方向旋回と判定された場合、自車両1Aの前方及び右側方の検出範囲300を設定距離よりも小さく変更する。
従って、自車両1Aの進行方向が右方向旋回と判定された場合、自車両1Aの前方及び右側方の検出範囲300を設定距離よりも小さく変更し、障害物の誤検出を抑制することができる。
【0068】
進行方向判定部235は、シフト位置情報が示すシフト位置が後退であり、舵角情報が示す舵角が第1しきい値より大きい場合に左後方旋回と判定する。また、進行方向判定部235は、シフト位置情報が示すシフト位置が後退であり、舵角情報が示す舵角が第2しきい値より大きい場合に右後方旋回と判定する。
また、第1しきい値は、-120度以上、-180度以下の範囲内の値に設定され、第2しきい値は、120度以上、180度以下の範囲内の値に設定される。
従って、自車両1Aの左後方旋回及び右後方旋回を精度よく判定することができる。
【0069】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、図1に示すように経路生成装置50と障害物検出装置200とを別々のコンピュータ装置により構成してもよいし、1つのコンピュータ装置により構成してもよい。
【0070】
また、図1に示す障害物検出装置200の構成を示すブロック図は、本願発明を理解容易にするために、構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0071】
また、本発明の障害物検出方法を、コンピュータを用いて実現する場合、このコンピュータに実行させるプログラムを記録媒体、又はこのプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。記録媒体には、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、上記記録媒体は、経路生成装置50が備えるROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。
【0072】
また、図12に示すフローチャートの処理単位は、障害物検出装置200の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。障害物検出装置200の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割してもよい。また、障害物検出装置200の処理は、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1A 車両
1B 他車両
3 車載装置
5 通信バス
10 位置検出ユニット
20 固定検出範囲
30 ソナーユニット
50 経路生成装置
60,110 入出力I/F
70,220 メモリ
80,230 プロセッサ
81 マップ生成部
83 駐車経路生成部
85 運転情報生成部
100 運転制御装置
150 走行駆動装置
151 操舵装置
153 駆動装置
155 制動装置
157 変速装置
200 障害物検出装置
231 操作情報取得部
233 検出情報取得部
235 進行方向判定部
237 障害物判定部
300,300A,300B,300C,300D 検出範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12