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特開2022-120722粉粒体処理装置および粉粒体処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120722
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】粉粒体処理装置および粉粒体処理方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/10 20060101AFI20220810BHJP
   B29B 13/06 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
F26B17/10 Z
B29B13/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017813
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】帆山 克明
【テーマコード(参考)】
3L113
4F201
【Fターム(参考)】
3L113AB04
3L113AC08
3L113AC29
3L113AC45
3L113AC51
3L113AC67
3L113AC79
3L113BA02
3L113DA07
3L113DA12
4F201AL06
4F201BA04
4F201BN21
4F201BN24
4F201BN25
4F201BN26
4F201BN27
(57)【要約】
【課題】粉粒体の輸送先を低露点化できながら、粉粒体が収容される収容部内の風量を安定化できる、粉粒体処理装置および粉粒体処理方法を提供する。
【解決手段】脱湿および加熱された乾燥エアが乾燥ホッパ11内に供給されることにより、乾燥ホッパ11内に収容されている粉粒体が乾燥する。乾燥した粉粒体を輸送先ホッパ54に輸送するための輸送ライン44は、乾燥ホッパ11内と連通し、輸送先ホッパ54を経由して、輸送先ホッパ54よりも乾燥ホッパ11から輸送用気流が流れる輸送方向の下流側まで延びている。輸送ライン44に輸送方向の輸送用気流を発生させることにより、乾燥ホッパ11内に収容されている粉粒体が輸送先ホッパ54に輸送される。そして、粉粒体の輸送後、輸送ライン44が輸送先ホッパ54よりも輸送方向の下流側で大気に開放され、かつ、輸送用気流の発生が停止された状態が生成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を内部に収容する収容部と、
前記収容部内に脱湿および加熱された乾燥エアを供給する乾燥エア供給部と、
前記収容部内と連通し、前記収容部からの粉粒体の輸送先を経由して、前記輸送先よりも前記収容部から前記輸送先に向かう輸送方向の下流側まで延びる輸送ラインと、
前記輸送ラインに前記輸送方向の輸送用気流を発生させる輸送用気流発生部と、
前記輸送用気流発生部により前記輸送用気流を発生させて、前記収容部内に収容されている粉粒体を前記輸送先に輸送する輸送処理を行った後に、前記輸送ラインが前記輸送先よりも前記輸送方向の下流側で大気に開放され、かつ、前記輸送用気流発生部による前記輸送用気流の発生が停止された状態を生成することにより、前記輸送先を低露点化する低露点化処理を行う制御部と、を含む、粉粒体処理装置。
【請求項2】
前記乾燥エア供給部は、
前記収容部内と連通する乾燥エアラインと、
前記乾燥エアラインに前記収容部に向かう方向の気流を発生させる乾燥用気流発生部と、
前記乾燥エアラインを流通するエアを脱湿する脱湿部と、
前記乾燥エアラインを流通するエアを加熱する加熱部と、を備える、請求項1に記載の粉粒体処理装置。
【請求項3】
前記脱湿部には、乾燥領域および再生領域が設定されており、
前記乾燥エアラインは、前記乾燥領域を経由しており、
前記脱湿部は、
円筒状に形成されて、前記乾燥領域と前記再生領域とに跨がって配置される吸着筒と、
前記吸着筒をその中心線まわりに回転させる回転部と、
前記再生領域に加熱された再生エアを供給する再生エア供給部と、を備える、請求項2に記載の粉粒体処理装置。
【請求項4】
前記輸送ラインは、
前記輸送方向の下流端が前記輸送先に接続される第1輸送管路と、
前記輸送方向の上流端が前記輸送先に接続される第2輸送管路と、を備え、
前記第1輸送管路の前記輸送方向の上流端および前記第2輸送管路の前記輸送方向の下流端が接続され、前記第1輸送管路の前記上流端と前記第2輸送管路の前記下流端とを連通させる循環位置と、前記第1輸送管路の前記上流端を閉鎖し、前記第2輸送管路の前記下流端を大気に開放する開放位置とに切り替えられる切替弁、をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の粉粒体処理装置。
【請求項5】
前記輸送先での露点温度を検出する露点計、をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の粉粒体処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記輸送先での露点温度が0℃以下となるように、前記乾燥エア供給部を制御する、請求項1~5のいずれか一項に記載の粉粒体処理装置。
【請求項7】
前記収容部内に不活性ガスを導入する不活性ガス導入部、をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の粉粒体処理装置。
【請求項8】
前記輸送先は、複数設定されており、
複数の前記輸送先の中で前記輸送ラインが経由する前記輸送先を切り替える輸送先切替部、をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の粉粒体処理装置。
【請求項9】
粉粒体を内部に収容する収容部と、前記収容部内と連通し、前記収容部からの粉粒体の輸送先を経由して、前記輸送先よりも前記収容部から前記輸送先に向かう輸送方向の下流側まで延びる輸送ラインとを含む装置において、粉粒体を処理する方法であって、
粉粒体を収容する前記収容部内に脱湿および加熱された乾燥エアを供給して、粉粒体を乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程後、前記輸送ラインに前記輸送方向の輸送用気流を発生させて、前記収容部内に収容されている粉粒体を前記輸送先に輸送する輸送工程と、
前記輸送工程後、前記輸送ラインが前記輸送先よりも前記輸送方向の下流側で大気に開放され、かつ、前記輸送用気流の発生が停止された状態を生成することにより、前記輸送先を低露点化する低露点化工程と、を含む、粉粒体処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂材料などの粉粒体を処理する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、プラスチック製品の製造工程では、プラスチック製品の原料となるプラスチックペレット(樹脂ペレット)が成形機に投入されるまでに、プラスチックペレットから水分を除去するための予備乾燥が行われる。
【0003】
プラスチックペレットが溶融成形される際に一定以上の水分を含有していると、それが不要な熱分解やガスの発生の原因となるため、プラスチックペレットは、好適な水準まで乾燥した状態で溶融成形されることが望ましい。プラスチックペレットが成形機に投入される前に、乾燥機を用いて、プラスチックペレットを乾燥させることができるが、その乾燥したプラスチックペレットが乾燥機から成形機まで輸送される過程で高湿の雰囲気に晒されると再び吸湿するおそれがある。
【0004】
図6は、従来のプラスチック製品の製造設備201の構成を図解的に示す図である。
【0005】
製造設備201には、プラスチックペレットを乾燥させる乾燥装置202と、プラスチックペレットを溶融してプラスチック製品を成型する成形機203と、乾燥装置202から成形機203にプラスチックペレットを輸送する輸送系204とが含まれる。
【0006】
乾燥装置202は、乾燥ホッパ205を備えている。乾燥ホッパ205の下端には、排出口が形成されており、その排出口を開閉するゲートシャッタが設けられている。ゲートシャッタが閉じられて、排出口が閉鎖された状態で、乾燥ホッパ205内にプラスチックペレットを貯留することができる。乾燥ホッパ205内にプラスチックペレットが貯留されている状態から、ゲートシャッタが開かれて、排出口が開放されると、乾燥ホッパ205内のプラスチックペレットが排出口を通して排出される。
【0007】
乾燥ホッパ205には、エア循環ライン206が接続されている。エア循環ライン206は、その一端および他端で乾燥ホッパ205内と連通し、乾燥ホッパ205の外部を引き回されている。エア循環ライン206上には、乾燥ブロワ207および脱湿・加熱機構208が設けられている。乾燥ブロワ207が駆動されると、乾燥ブロワ207から脱湿・加熱機構208に向けてエアが吹き出される。乾燥ブロワ207から吹き出されたエアは、脱湿・加熱機構208を通過し、その際にエアに含まれる水分が脱湿・加熱機構208に奪われて、低露点の乾燥エア(脱湿エア)となり、さらに加熱により加熱された乾燥エアとなって、エア循環ライン206の一端から乾燥ホッパ205内に供給される。そして、乾燥ホッパ205内に供給された乾燥エアは、乾燥ホッパ205内に貯留されているプラスチックペレットから水分を奪って、エア循環ライン206の他端からエア循環ライン206に排出される。これにより、乾燥ホッパ205内のプラスチックペレットが乾燥する。
【0008】
成形機203の上方には、ローダホッパ211が配置されている。成形機203には、ローダホッパ211からプラスチックペレットが投入される。
【0009】
輸送系204には、閉ループ輸送ライン212、輸送ブロワ213、排出ライン214および乾燥エア分岐ライン215が含まれる。閉ループ輸送ライン212は、その一端および他端でローダホッパ211内と連通し、ローダホッパ211の外部を引き回されている。輸送ブロワ213は、閉ループ輸送ライン212上に設けられている。輸送ブロワ213が駆動されると、閉ループ輸送ライン212をエアが循環し、閉ループ輸送ライン212の一端からローダホッパ211内にエアが供給され、閉ループ輸送ライン212の他端からローダホッパ211内のエアが吸い出される。排出ライン214は、一端が乾燥ホッパ205の排出口に接続され、他端が閉ループ輸送ライン212における輸送ブロワ213の吐出側の部分に分岐して接続されている。乾燥エア分岐ライン215は、一端がエア循環ライン206における脱湿・加熱機構208からの乾燥エアが流通する部分に接続され、閉ループ輸送ライン212における輸送ブロワ213の吐出側の部分に分岐して接続されている。乾燥エア分岐ライン215には、乾燥エアバルブ216が介装されている。
【0010】
輸送ブロワ213が駆動されている状態で、乾燥ホッパ205のゲートシャッタが開かれると、乾燥ホッパ205内のプラスチックペレットが乾燥ホッパ205の排出口および排出ライン214を通して閉ループ輸送ライン212に吸い出され、閉ループ輸送ライン212をローダホッパ211に向けて輸送される。また、その輸送時には、乾燥エアバルブ216が開かれて、エア循環ライン206から乾燥エア分岐ライン215を通して閉ループ輸送ライン212に、脱湿・加熱機構208を通過した後の低露点の乾燥エアが取り込まれる。これにより、閉ループ輸送ライン212およびローダホッパ211内が低湿(低露点)に保たれ、ローダホッパ211内に貯留されたプラスチックペレットが吸湿することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平2-34212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、乾燥エアがエア循環ライン206から乾燥エア分岐ライン215に分岐して流れることにより、エア循環ライン206から乾燥ホッパ205内に供給される乾燥エアの風量が輸送時に一時的に変化する。
【0013】
本発明の目的は、粉粒体の輸送先を低露点化できながら、粉粒体が収容される収容部内の風量を安定化できる、粉粒体処理装置および粉粒体処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る粉粒体処理装置および粉粒体処理方法は、粉粒体を内部に収容する収容部と、収容部内に脱湿および加熱された乾燥エアを供給する乾燥エア供給部と、収容部内と連通し、収容部からの粉粒体の輸送先を経由して、輸送先よりも収容部から輸送先に向かう輸送方向の下流側まで延びる輸送ラインと、輸送ラインに輸送方向の輸送用気流を発生させる輸送用気流発生部と、輸送用気流発生部により輸送用気流を発生させて、収容部内に収容されている粉粒体を輸送先に輸送する輸送処理を行った後に、輸送ラインが輸送先よりも輸送方向の下流側で大気に開放され、かつ、輸送用気流発生部による輸送用気流の発生が停止された状態を生成することにより、輸送先を低露点化する低露点化処理を行う制御部とを含む。
【0015】
この構成によれば、脱湿および加熱された乾燥エアが収容部内に供給されることにより、収容部内に収容されている粉粒体が乾燥する。乾燥した粉粒体を輸送先に輸送するための輸送ラインは、収容部内と連通し、輸送先を経由して、輸送先よりも収容部から輸送先に向かう輸送方向の下流側まで延びている。輸送ラインに輸送方向の輸送用気流を発生させることにより、収容部内に収容されている粉粒体が輸送先に輸送される。そして、粉粒体の輸送後、輸送ラインが輸送先よりも輸送方向の下流側で大気に開放され、かつ、輸送用気流の発生が停止された状態が生成される。この状態では、収容部に乾燥エアが供給されているので、収容部内の静圧が輸送先での静圧よりも高くなる。その静圧差により、収容部内から輸送ラインを通して輸送先に乾燥エアが移動する。その結果、輸送先を低露点化することができる。また、輸送用気流の発生が停止されていることにより、収容部内から輸送ラインに乾燥エアが積極的に吸い出されず、収容部内の乾燥エアに積極的な変動が生じないので、収容部内の風量が不安定になるのを抑制することができる。
【0016】
よって、粉粒体の輸送先を低露点化できながら、粉粒体が収容される収容部内の風量が不安定になることを抑制できる。
【0017】
乾燥エア供給部は、収容部内と連通する乾燥エアラインと、乾燥エアラインに収容部に向かう方向の気流を発生させる乾燥用気流発生部と、乾燥エアラインを流通するエアを脱湿する脱湿部と、乾燥エアラインを流通するエアを加熱する加熱部とを備える構成であってもよい。
【0018】
この構成により、収容部内に脱湿および加熱された乾燥エアを供給することができる。
【0019】
脱湿部には、乾燥領域および再生領域が設定されており、乾燥エアラインは、乾燥領域を経由しており、脱湿部は、円筒状に形成されて、乾燥領域と再生領域とに跨がって配置される吸着筒と、吸着筒をその中心線まわりに回転させる回転部と、再生領域に加熱された再生エアを供給する再生エア供給部とを備える構成であってもよい。
【0020】
この構成によれば、乾燥エアラインが乾燥領域を経由しているので、乾燥エアラインを流通するエアが乾燥領域を通過し、その際に、乾燥領域を通過するエアに含まれる水分が吸着筒に吸着される。これにより、乾燥領域を通過したエアは、脱湿により低露点の乾燥エアとなり、乾燥エアラインを収容部内に向けて流れる。再生領域には、加熱された再生エアが供給されるので、吸着筒を回転させて、吸着筒における乾燥領域でエアから水分を吸着した部分を再生領域に移動させることにより、当該部分から水分を脱離させることができ、当該部分を低湿状態に再生することができる。
【0021】
輸送ラインは、輸送方向の下流端が輸送先に接続される第1輸送管路と、輸送方向の上流端が輸送先に接続される第2輸送管路とを備え、粉粒体処理装置は、第1輸送管路の輸送方向の上流端および第2輸送管路の輸送方向の下流端が接続され、第1輸送管路の上流端と第2輸送管路の下流端とを連通させる循環位置と、第1輸送管路の上流端を閉鎖し、第2輸送管路の下流端を大気に開放する開放位置とに切り替えられる切替弁をさらに含む構成であってもよい。
【0022】
また、粉粒体処理装置は、輸送先での露点温度を検出する露点計をさらに含む構成であってもよい。
【0023】
制御部は、輸送先での露点温度が0℃以下、好ましくは-20℃以下となるように、乾燥エア供給部を制御してもよい。
【0024】
輸送先での露点温度が0℃以下、好ましくは-20℃以下であれば、輸送先で粉粒体が吸湿することを良好に抑制できる。
【0025】
粉粒体処理装置は、収容部内に不活性ガスを導入する不活性ガス導入部をさらに含む構成であってもよい。
【0026】
この構成では、処理部内に不活性ガスが導入されることにより、不活性ガス雰囲気中で粉粒体を乾燥させることができる。その結果、粉粒体に酸化性ガスなどが含まれることを抑制でき、酸化性ガスを含む粉粒体が溶融成形されることによるプラスチック製品の黄変などの不具合の発生を抑制できる。
【0027】
輸送先が複数設定されていて、粉粒体処理装置は、複数の輸送先の中で輸送ラインが経由する輸送先を切り替える輸送先切替部をさらに含む構成であってもよい。
【0028】
本発明の他の局面に係る粉粒体処理方法は、粉粒体を内部に収容する収容部と、収容部内と連通し、収容部からの粉粒体の輸送先を経由して、輸送先よりも収容部から輸送先に向かう輸送方向の下流側まで延びる輸送ラインとを含む装置において、粉粒体を処理する方法であって、粉粒体を収容する収容部内に脱湿および加熱された乾燥エアを供給して、粉粒体を乾燥させる乾燥工程と、乾燥工程後、輸送ラインに輸送方向の輸送用気流を発生させて、収容部内に収容されている粉粒体を輸送先に輸送する輸送工程と、輸送工程後、輸送ラインが輸送先よりも輸送方向の下流側で大気に開放され、かつ、輸送用気流の発生が停止された状態を生成することにより、輸送先を低露点化する低露点化工程とを含む。
【0029】
この方法によれば、前述した粉粒体処理装置による作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、粉粒体の輸送先を低露点化できながら、粉粒体が収容される収容部内の風量を安定化できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係る粉粒体処理装置を含む製造設備の構成を図解的に示す図である。
図2】製造設備の要部構成を図1よりも簡略化して示す図である。
図3】乾燥工程後に行われる処理の流れを示すフローチャートである。
図4】他の実施形態に係る粉粒体処理装置の構成を示す図である。
図5】さらに他の実施形態に係る粉粒体処理装置の構成を示す図である。
図6】従来のプラスチック製品の製造設備の構成を図解的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0033】
<プラスチック製品の製造設備>
図1は、本発明の一実施形態に係る粉粒体処理装置1を含む製造設備2の構成を図解的に示す図である。
【0034】
粉粒体処理装置1は、プラスチック製品の製造設備2に含まれて、プラスチック製品の原料となるプラスチックペレットなどの粉粒体を処理する装置であり、具体的には、粉粒体を乾燥させて、その乾燥した粉粒体を成形機3に輸送する装置である。
【0035】
粉粒体処理装置1は、乾燥ホッパ11と、乾燥ホッパ11の上方に配置されるローダホッパ12とを備えている。プラスチック製品の原料となる粉粒体は、ローダホッパ12から乾燥ホッパ11に供給されて、乾燥ホッパ11内に収容(貯留)された状態で乾燥された後、乾燥ホッパ11から成形機3に輸送される。
【0036】
乾燥ホッパ11内には、乾燥エアライン13から粉粒体を乾燥させるための乾燥エアが供給される。乾燥エアライン13の一端は、乾燥ホッパ11内に配置されている。乾燥エアライン13の他端は、乾燥ホッパ11の側壁を貫通して設けられたエア排出管14に接続されて、エア排出管14を介して、乾燥ホッパ11内と連通している。乾燥エアライン13は、乾燥ホッパ11の外部を引き回され、その乾燥ホッパ11の外部を引き回れた部分には、乾燥フィルタ15、アフタクーラ16、乾燥ブロワ17、吸着部18および乾燥ヒータ19が乾燥エアライン13の他端側、つまりエア排出管14側からその順で介装されている。
【0037】
乾燥ブロワ17の吸込口には、排出管路21の一端が接続されている。排出管路21の他端は、エア排出管14に接続されている。乾燥フィルタ15は、排出管路21の途中部に介装されており、排出管路21を流通するエアから異物を除去する。排出管路21は、乾燥フィルタ15と乾燥ブロワ17との間において、アフタクーラ16を経由している。乾燥ブロワ17の吹出口には、第1供給管路22の一端が接続されている。
【0038】
吸着部18は、吸着器23を備えている。吸着器23は、略円筒状の吸着筒24の両端に蓋体25が設けられた構成を有している。吸着筒24は、その中心線方向に延びる多数のエア流路を有している。エア流路の内面(エアに接する表面)は、水分を吸着する吸着材(たとえば、ゼオライト)で形成されている。吸着筒24が存在する領域には、第1乾燥領域、第2乾燥領域および再生領域が設定されており、吸着筒24のエア流路には、第1乾燥領域に存在するエア流路(以下、「第1乾燥流路」という。)と、第2乾燥領域に存在するエア流路(以下、「第2乾燥流路」という。)と、再生領域に存在するエア流路(以下、「再生流路」という。)とが含まれる。吸着器23の一端の蓋体25には、第1乾燥流路と連通するポート26A、第2乾燥流路と連通するポート26Bと、再生流路と連通するポート26Cとが設けられている。吸着器23の他端の蓋体25には、第1乾燥流路と連通するポート27Aと、第2乾燥流路と連通するポート27Bと、再生流路と連通するポート27Cとが設けられている。また、吸着部18は、吸着筒24をその中心線まわりに回転させる回転機構28を備えている。回転機構28には、駆動源としてのモータ29が含まれる。
【0039】
また、吸着部18は、再生ブロワ31および再生ヒータ32を備えている。再生ブロワ31の吸込口は、再生フィルタ33を通して大気に開放されている。再生ブロワ31の吹出口には、再生ライン34の一端が接続されている。再生ライン34は、途中部がアフタクーラ16および再生ヒータ32を順に経由して、他端が吸着器23のポート27Cに接続されている。これにより、再生ライン34は、吸着筒24の再生流路と連通している。再生流路と連通する他方のポート26Cは、大気に開放されている。
【0040】
第1供給管路22の他端は、吸着器23のポート26Aに接続されて、第1乾燥流路と連通している。一方、第1乾燥流路と連通するポート27Aには、第2供給管路35の一端が接続されている。第2供給管路35は、途中部が乾燥ヒータ19を経由し、乾燥ホッパ11の側壁を貫通して、その他端部が乾燥ホッパ11内に配置されている。乾燥ホッパ11内において、第2供給管路35の他端部は、下方に屈曲して延びており、下方ほど広がる円錐状に形成されている。また、第2供給管路35には、吸着部18と乾燥ヒータ19との間において、第1還流管路36が分岐して接続されている。第1還流管路36は、吸着器23のポート27Bに接続されて、吸着筒24の第2乾燥流路と連通している。第2乾燥流路と連通する他方のポート26Bには、第2還流管路37の一端が接続されている。第2還流管路37の他端は、アフタクーラ16と乾燥ブロワ17との間において、排出管路21に分岐して接続されている。
【0041】
乾燥ブロワ17が駆動されると、乾燥ブロワ17の吹出口から第1供給管路22にエアが吹き出されて、第1供給管路22に吸着部18に向かう気流が発生する。その気流は、吸着器23のポート26Aから吸着筒24の第1乾燥流路に流入し、第1乾燥流路を通過して、吸着器23のポート26Bから第2供給管路35に流出する。気流が第1乾燥流路を通過する際、その気流に含まれる水分が吸着筒24に吸着され、第1乾燥流路を通過した気流は、低露点の乾燥エアの気流となる。第2供給管路35に流出した気流の一部は、第1還流管路36に流入し、吸着器23のポート27Bから第2乾燥流路に流入し、第2乾燥流路を通過して、吸着器のポート26Bから第2還流管路37に流入する。気流が第2乾燥流路を通過する際、その気流に含まれる水分が吸着筒24に吸着され、第2乾燥流路を通過した気流は、さらに露点温度が低くなって、第2還流管路37から排出管路21を流れるエアに合流する。
【0042】
第2供給管路35を流れる乾燥エアは、乾燥ヒータ19により加熱され、加熱された乾燥ガスとなって、乾燥ホッパ11内に供給される。乾燥ガスの温度は、たとえば、60~180℃である。第2供給管路35の他端から吹き出す乾燥ガスは、乾燥ホッパ11内に貯留されている粉粒体の間を通り、その貯留されている粉粒体の上方に抜ける。これにより、乾燥ガスに粉粒体の水分が奪われて、粉粒体が乾燥する。粉粒体から水分を奪ったガスは、エア排出管14を通して排出管路21に排出され、排出管路21を乾燥ブロワ17に向けて流れる。
【0043】
その一方で、再生ブロワ31が駆動される。再生ブロワ31が駆動されると、再生ブロワ31の吸込口に、外気が再生フィルタ33を通して吸い込まれる。そして、その外気が再生ブロワ31の吹出口から再生ライン34に吹き出され、再生ライン34に吸着部18に向かう気流が発生する。その気流(外気)は、アフタクーラ16および再生ヒータ32を順に経由した後、吸着器23のポート27Cから吸着筒24の再生流路に流入し、再生流路を通過して、吸着器23のポート26Cから大気に放出される。アフタクーラ16では、再生ライン34を流れる外気と排出管路21を流れるエアとの間で熱交換が行われて、再生ライン34を流れる外気が昇温し、排出管路21を流れるエアが降温する。再生ライン34を流れる外気は、再生ヒータ32でさらに加熱されることにより再生ガスとなり、その再生ガスが吸着筒24の再生流路を通過する。一方、吸着筒24における乾燥領域でエアから水分を吸着した部分は、回転機構28による吸着筒24の回転に伴って、再生領域に移動する。これにより、吸着筒24に吸着された水分が吸着筒24から脱離し、吸着筒24が低湿状態に再生される。再生ガスの温度は、吸着筒24から水分を脱離させるため、たとえば、180~250℃に設定される。
【0044】
乾燥ホッパ11の下部は、下方に先細りとなる円錐状に形成されており、その下端には、排出口41が形成されている。乾燥ホッパ11には、排出口41を開閉するゲートシャッタ42が設けられている。ゲートシャッタ42が閉じられて、排出口41が閉鎖された状態で、乾燥ホッパ11内に、ローダホッパ12から供給される粉粒体を貯留することができる。排出口41には、排出分岐管路43が接続されている。排出分岐管路43は、輸送ライン44に介装されている。乾燥ホッパ11内に粉粒体が貯留されている状態から、ゲートシャッタ42が開かれて、排出口41が開放されると、乾燥ホッパ11内の粉粒体が排出口41から排出分岐管路43に排出される。
【0045】
輸送ライン44には、切替弁45、第1輸送管路46および第2輸送管路47が含まれる。
【0046】
切替弁45は、入力ポート51、循環出力ポート52および大気開放ポート53を有している。切替弁45には、循環出力ポート52および大気開放ポート53を個別に開閉する弁体が設けられている。切替弁45は、それらの弁体の位置により、大気開放ポート53を閉鎖し、循環出力ポート52を開放して、弁箱内で入力ポート51と循環出力ポート52とを連通させる循環位置と、循環出力ポート52を閉鎖し、大気開放ポート53を開放して、弁箱内で入力ポート51と大気開放ポート53とを連通させる開放位置とに切り替えられる。
【0047】
第1輸送管路46の一端は、切替弁45の循環出力ポート52に接続されている。成形機3の上方には、成形機3に投入される粉粒体を貯留する輸送先ホッパ54が設けられており、第1輸送管路46の他端は、輸送先ホッパ54の側壁に接続されて、輸送先ホッパ54内と連通している。
【0048】
第2輸送管路47の一端は、輸送先ホッパ54の上壁に接続されて、輸送先ホッパ54内と連通している。第2輸送管路47の他端は、切替弁45の入力ポート51に接続されている。第2輸送管路47には、1次2次切替弁55、集塵サイクロン56、輸送フィルタ57および輸送ブロワ58が輸送先ホッパ54側からこの順に介装されている。
【0049】
1次2次切替弁55は、1次入力ポート61、2次入力ポート62および出力ポート63を有している。1次2次切替弁55には、1次入力ポート61および2次入力ポート62を個別に開閉する弁体が設けられている。1次2次切替弁55は、それらの弁体の位置により、2次入力ポート62を閉鎖し、1次入力ポート61を開放して、弁箱内で1次入力ポート61と出力ポート63とを連通させる1次輸送位置と、1次入力ポート61を閉鎖し、2次入力ポート62を開放して、弁箱内で2次入力ポート62と出力ポート63とを連通させる2次輸送位置とに切り替えられる。
【0050】
第2輸送管路47は、第1管路部71、第2管路部72、第3管路部73、第4管路部74および第5管路部75にさらに細分される。第1管路部71の一端は、第2輸送管路47の一端として輸送先ホッパ54の上壁に接続され、第1管路部71の他端は、1次2次切替弁55の2次入力ポート62に接続されている。第2管路部72の一端は、1次2次切替弁55の出力ポート63に接続され、第2管路部72の他端は、集塵サイクロン56のエア導入部76に接続されている。第3管路部73の一端は、集塵サイクロン56の吸気部77に接続され、第3管路部73の他端は、輸送フィルタ57の入口78に接続されている。第4管路部74の一端は、輸送フィルタ57の出口79に接続され、第4管路部74の他端は、輸送ブロワ58の吸込口に接続されている。第5管路部75の一端は、輸送ブロワ58の吹出口に接続され、第5管路部75の他端は、切替弁45の入力ポート51に接続されている。
【0051】
また、ローダホッパ12の上壁には、1次吸引ライン81の一端が接続されており、1次吸引ライン81は、ローダホッパ12内と連通している。1次吸引ライン81の他端は、1次2次切替弁55の1次入力ポート61に接続されている。ローダホッパ12の側壁には、粉粒体供給ライン82の一端が接続されている。粉粒体供給ライン82は、粉粒体を貯留した原料タンク(図示せず)に向けて延び、その他端は、原料タンク内に配置された吸込管83に接続されている。
【0052】
原料タンクからローダホッパ12に粉粒体が供給される際には、切替弁45が開放位置にされ、1次2次切替弁55が1次輸送位置にされる。輸送ブロワ58が駆動されると、第4管路部74から輸送ブロワ58の吸込口にエアが吸い込まれて、そのエアが輸送ブロワ58の吹出口から第5管路部75に吹き出される。第5管路部75に吹き出されたエアは、切替弁45の入力ポート51から切替弁45の弁箱内に入り、弁箱内から大気開放ポート53を通して大気に放出される。これにより、1次吸引ライン81、第2管路部72、第3管路部73および第4管路部74に負圧が発生し、その負圧により、原料タンク内の粉粒体が吸込管83に吸い上げられ、吸込管83から粉粒体供給ライン82を通してローダホッパ12内に供給される。
【0053】
<輸送・低露点化処理>
図2は、製造設備2の要部構成を図1よりも簡略化して示す図である。
【0054】
輸送先ホッパ54には、輸送先ホッパ54内のエアに含まれる水分量に応じた値である露点温度を検出する露点計91が設けられている。
【0055】
また、粉粒体処理装置1は、制御部92を備えている。制御部92には、マイコン(マイクロコントローラユニット)が設けられており、マイコンには、たとえば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。制御部92には、露点計91の検出信号が入力されるようになっている。制御部92は、露点計91により検出される露点温度などに基づいて、粉粒体処理装置1の各部の動作を制御する。
【0056】
図3は、乾燥工程後に行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0057】
乾燥工程では、前述したように、乾燥ホッパ11内に乾燥ガスが供給されて、乾燥ホッパ11内に貯留されている粉粒体が乾燥される。
【0058】
乾燥工程後、制御部92により、閉循環輸送処理が行われる(ステップS1)。
【0059】
閉循環輸送処理では、切替弁45が循環位置にされ、1次2次切替弁55が2次輸送位置にされる。そして、輸送ブロワ58が駆動される。輸送ブロワ58が駆動されると、第4管路部74から輸送ブロワ58の吸込口にエアが吸い込まれて、第4管路部74が負圧となる。その負圧により、輸送先ホッパ54内のエアが第1管路部71に吸い出されて、第1管路部71、第2管路部72、第3管路部73および第4管路部74にエアの気流が生じる。一方、輸送ブロワ58の吹出口から第5管路部75に吹き出されるエアは、切替弁45の入力ポート51から切替弁45の弁箱内に入り、切替弁45の循環出力ポート52から第1輸送管路46に流出する。これにより、切替弁45、第1輸送管路46および第2輸送管路47からなる輸送ライン44にエアが循環することによる輸送用気流が発生する。乾燥ホッパ11のゲートシャッタ42が開かれて、乾燥ホッパ11の排出口41が開放されると、乾燥ホッパ11内の粉粒体が排出口41から輸送ライン44に吸い出され、粉粒体が輸送用気流に乗って輸送ライン44(第1輸送管路46)を輸送先ホッパ54に向けて輸送される。
【0060】
一方、粉粒体が輸送されている間も、乾燥ホッパ11内への乾燥エアの供給が行われる。このとき、露点計91により検出される露点温度が0℃以下、好ましくは-20℃以下となるように、乾燥ブロワ17、吸着部18および乾燥ヒータ19が制御される。
【0061】
輸送用気流に含まれる粉塵などの異物は、輸送用気流が集塵サイクロン56および57を通過する際に捕集される。集塵サイクロン56では、集塵サイクロン56の吸気部77から第3管路部73にエアが吸い出されることにより、集塵サイクロン56内が負圧となる。その負圧により、第2管路部72からエア導入部76を介して集塵サイクロン56内にエア(輸送用気流)が吸い込まれ、集塵サイクロン56内では、そのエアが旋回し、遠心力と重力とにより、エアと異物とが分離して、異物が集塵サイクロン56の下端に接続された捕集ボックスに貯留される。
【0062】
閉循環輸送処理により、乾燥ホッパ11内の粉粒体が輸送先ホッパ54に輸送されて、乾燥ホッパ11内に粉粒体がなくなると、制御部92により、低露点化処理が行われる(ステップS2)。
【0063】
低露点化処理では、輸送ブロワ58の駆動が停止される。そして、切替弁45が循環位置から開放位置に切り替えられる。これにより、輸送ライン44は、切替弁45の大気開放ポート53で大気に開放される。1次2次切替弁55は、2次輸送位置のままである。このとき、乾燥ホッパ11内への乾燥エアの供給は継続されており、露点計91により検出される露点温度が0℃以下、好ましくは-20℃以下となるように、乾燥ブロワ17、吸着部18および乾燥ヒータ19が制御される。
【0064】
乾燥ホッパ11内に乾燥エアが供給されているので、乾燥ホッパ11内の静圧は、輸送先ホッパ54内の静圧よりも高くなる。その静圧差により、乾燥ホッパ11内から輸送ライン44(第1輸送管路46)を通して輸送先ホッパ54に乾燥エアが移動する。その結果、輸送先ホッパ54内が低露点化される。このとき、輸送先ホッパ54側に分岐する乾燥エアはごく少量で構わない。
【0065】
なお、開放により乾燥エアが放出される分は乾燥ホッパ11側で圧力が調整されるように外気が補充され、たとえば、1次側の粉粒体供給ライン82を通じて外気を取り入れることができる。それ以外に、乾燥エアライン13のいずれかにエア(外気)を補充するための供給口を設けてもよく、その場合、脱湿部18の上流側に供給口を設けることが好ましい。また、外気に限らず、予め脱湿された乾燥エアが補充されてもよい。
【0066】
<効果>
以上のように、輸送先ホッパ54内を低露点化することができる。輸送先ホッパ54の低露点化により、輸送先ホッパ54内で粉粒体が吸湿することを抑制できる。輸送先ホッパ54倍の露点温度が0℃以下、好ましくは-20℃以下に制御されることにより、輸送先ホッパ54内で粉粒体が吸湿することを良好に抑制できる。その結果、成形機3による粉粒体の溶融成形時に不要な熱分解やガスが発生することを抑制できる。
【0067】
また、輸送用気流の発生が停止されていることにより、乾燥ホッパ11内から輸送ライン44に乾燥エアが積極的に吸い出されず、乾燥ホッパ11内の乾燥エアに積極的な変動が生じないので、乾燥ホッパ11内の風量を安定させることができ、乾燥ホッパ11内の温度制御が不安定になるのを抑制することができる。
【0068】
よって、輸送先ホッパ54内を低露点化できながら、乾燥ホッパ11内の風量および温度制御が不安定になることを抑制できる。
【0069】
<他の実施形態>
図4は、他の実施形態に係る粉粒体処理装置101の構成を示す図である。図4では、図2に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。また、以下では、図4に示される構成について、図2に示される構成との相違点のみを説明する。
【0070】
図4に示されるように、乾燥エアライン13に、窒素供給ライン102が分岐して接続されて、窒素ガス発生装置103により発生される窒素ガスが窒素供給ライン102を通して導入されてもよい。窒素ガス発生装置103では、エアコンプレッサ104により圧縮された空気が吸着槽105に供給されて、その圧縮された空気に含まれる酸素や水分を吸着槽105が吸着することにより、窒素を高濃度に含む窒素ガスが発生する。
【0071】
この構成では、乾燥エアに窒素ガスが導入されることにより、乾燥ホッパ11内が窒素ガス雰囲気となり、その不活性ガス雰囲気中で粉粒体を乾燥させることができる。その結果、粉粒体に酸化性ガスなどが含まれることを抑制でき、酸化性ガスを含む粉粒体が溶融成形されることによるプラスチック製品の黄変などの不具合の発生を抑制できる。
【0072】
図5は、さらに他の実施形態に係る粉粒体処理装置111の構成を示す図である。図5においても、図2に示される各部に相当する部分にそれらの各部と同一の参照符号を付し、その同一の参照符号を付した部分については、説明を省略する。
【0073】
図2に示される構成では、第1輸送管路46と第2輸送管路47との間に切替弁45が介装されて、切替弁45が循環位置にされた状態では、第2輸送管路47(第5管路部75)が切替弁45を介して第1輸送管路46にされることにより、輸送ライン44が閉ループ輸送ラインになる。
【0074】
図5に示されるように、切替弁45が省略されて、第2輸送管路47における輸送用気流が流れる方向(輸送方向)の下流端に開閉弁112が設けられて、乾燥工程では、開閉弁112が閉じられ、乾燥工程後に粉粒体を乾燥ホッパ11から輸送先ホッパ54に輸送する処理および輸送先ホッパ54内を低露点化する処理では、開閉弁112が開かれてもよい。
【0075】
粉粒体処理装置111の構成によっても、粉粒体処理装置1の構成による作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0076】
<変形例>
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0077】
たとえば、図2に示される構成では、露点計91を用いて測定した露点に基づいて粉粒体処理装置1の動作を制御するが、これに限らず、露点計91を省略してもよい。その場合、たとえば、切替弁41を開放位置に切り替える時間を低露点化が為し得る範囲に予め決めておき、時間制御するのみであってもよい。
【0078】
輸送先ホッパ54を加熱する方法を併用してもよい。加熱機構が無い場合であっても低露点化することができる場合は設備費用が低くなり有利だが、極めて吸湿しやすい原料や、低水分に維持することが厳密に求められるような原料であれば併用することで低露点化の効果を高くすることができる。
【0079】
また、図5に示される構成では、開閉弁112に代えて、外部から第2輸送管路47への外気の取り込みを阻止する逆止弁が設けられてもよい。
【0080】
また、開閉弁112やこれに代わる逆止弁は、輸送先ホッパ54よりも輸送用気流が流れる方向の下流側であれば、輸送ブロワ58よりも上流側に介装されていてもよい。
【0081】
輸送ブロワ58は、第2輸送管路47に限らず、第1輸送管路46に介装されていてもよい。
【0082】
また、図1に破線で示されるように、製造設備2には、複数の成形機3が含まれてもよい。たとえば、2台の成形機3が製造設備2に含まれる構成では、1次2次切替弁55に、2次入力ポート64が追加で設けられて、追加された成形機3の輸送先ホッパ54の側壁には、第1輸送管路46から分岐した分岐管65が接続され、その輸送先ホッパ54の上壁には、第6管路部66の一端が接続され、第6管路部66の他端が2次入力ポート64に接続される。そして、追加された成形機3に粉粒体が輸送される際には、1次2次切替弁55は、1次入力ポート61および2次入力ポート62が閉鎖されて、2次入力ポート64と出力ポートとを連通させる位置に切り替えられる。
【0083】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1,101,111:粉粒体処理装置
11:乾燥ホッパ(収容部)
13:乾燥エアライン
17:乾燥ブロワ(乾燥用気流発生部)
18:吸着部(脱湿部)
19:乾燥ヒータ(加熱部)
24:吸着筒
28:回転機構(回転部)
31:再生ブロワ(再生エア供給部)
32:再生ヒータ(再生エア供給部)
34:再生ライン(再生エア供給部)
44:輸送ライン
45:切替弁
46:第1輸送管路
47:第2輸送管路
58:輸送ブロワ(輸送用気流発生部)
91:露点計
92:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6