(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120724
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】低水位調整機構付き水耕栽培装置
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20220810BHJP
【FI】
A01G31/00 601B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017817
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】512082484
【氏名又は名称】株式会社 アーバングリーンコンポジション
(74)【代理人】
【識別番号】100102783
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 高明
(72)【発明者】
【氏名】深田 晋一
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA33
2B314NC06
2B314ND02
2B314ND10
2B314PB02
2B314PB30
2B314PB44
2B314PB64
(57)【要約】
【課題】簡素な装置構成でありながら信頼性の高い給排水動作で水位を変動させることのできる水耕栽培装置を提供する。
【解決手段】排水動作の途中で排水ポンプ13を停止させ、以後の排水を排水配管15に形成されるサイフォン管により実施し、所定水位まで排水された時点でサイフォン管が解消されて送水できなくなることで排水を終了させる。排水ポンプ13の外周を仕切板19で囲い、仕切板19の外側のプランター容器1内の培養液を排水させずにサイフォン管を解消して排水を終了させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の出入り可能な培地容器に収納された培地に植物苗が植えられ、前記培地容器がプランター容器内に設置され、前記プランター容器に貯水槽より給水ポンプで培養液を所定の高水位まで給水する給水動作、及び、前記培養液を排水ポンプで排水配管を経て受水槽に排水する排水動作を間歇的に実施することにより、前記培地容器内への前記培養液の供給と通気性の維持とを両立する水位変動式栽培装置において、
前記排水動作中に、前記排水配管にサイフォン管が形成され、前記受水槽に蓄えられた前記培養液の水面が前記プランター容器内の前記培養液の水位より低くなるように前記プランター容器及び前記受水槽の設置位置が設定されていることにより、前記排水動作が前記サイフォン管の作用によっても行われ、
前記排水動作の途中で前記排水ポンプを停止し、以後の排水動作は前記サイフォン管が担い、前記排水配管の入口の周囲の水位が、該入口以下の水位となって前記サイフォン管が解消された時点で、排水されなくなることにより排水動作が終了し、
前記プランター容器内には、所定の低水位の前記培養液が残される
ことを特徴とする低水位調整機構付き水耕栽培装置。
【請求項2】
前記排水動作の初動は、前記排水ポンプの動作により行われ、該排水ポンプの動作により前記排水配管内の空気が追い出されて前記サイフォン管が形成され、
前記サイフォン管が形成された状態のときに、前記排水ポンプが停止され、以後の動作終了までの排水動作が、前記サイフォン管の作用によって行われる
ことを特徴とする請求項1記載の低水位調整機構付き水耕栽培装置。
【請求項3】
前記排水ポンプは、外周が、前記サイフォン管が解消される水位である前記排水配管の入口の高さよりも上まで、仕切板によって囲われており、
前記排水動作において、前記プランター容器内の前記培養液の水位が前記仕切板の上端の高さとなった以降は、前記仕切板の内側の前記培養液だけが前記サイフォン管が解消される水位まで排水され、前記仕切板の外側の前記培養液が排水されずに残り、前記仕切板の上端の高さが、前記所定の低水位となる
ことを特徴とする請求項2記載の低水位調整機構付き水耕栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土の代わりに培地を用いて植物苗を生育する培地利用型の水耕栽培技術に関し、特に、プランター容器内の水位を間歇的に上下動させることで培地の保水と通気を両立させる水位変動型の低水位調整機構付き水耕栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
間歇的に給排水動作する水位変動型の水耕栽培装置については、本出願者の既発明が開示されており(特許文献1)、給排水機構に特化した別発明の開示も存する(特許文献2)。
【0003】
特許文献1の技術によれば、野菜等の草本類に限らず果樹等の樹木まで水耕栽培可能となる。ただし栽培装置としては、高低2個の水位センサーと給排水2台のポンプを使いそれらをコントローラーで制御するかなり大がかりなシステムとなってしまうことが避けられない。
【0004】
一方、特許文献2の技術を利用すれば給排水機構をシンプルな構成とすることが可能だが、給排水の度にサイフォン管の発生と消滅を実現しなければならないという技術的な課題と、サイフォン管に毎回安定した排水能力を確保しなければならないという信頼性、再現性についての不安が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-202009公報
【特許文献2】特開2016-116479公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、排水に排水ポンプを使用することで信頼性の高い排水動作を保証しつつ、新規の低水位調整機構を導入することで装置構成を簡素化した水位変動型の低水位調整機構付き水耕栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
水位変動型水耕栽培の最大の利点は、単純な水耕栽培に比べ圧倒的に良好な通気状態に根を維持できることにある。この利点を活かすため水位の変動パターンとしては、低水位位置に維持して通気を確保し、間歇的に高水位位置まで水位を上げて給水した後すぐに排水することが基本である。この水位変動パターンを安定して実現するには、給水用及び排水用にポンプを配し、給排水動作の際は、給水によりプランター容器水位が上昇し高水位位置に達した時点で給水ポンプを停止し排水ポンプを動作させて排水する、という手順が一番堅実である。
【0008】
特許文献2に記載のように給水ポンプを常時動作させ、その給水能力を上回る排水機構を間歇的に動作させることで水位変動を実現する場合には、排水後の低水位をどう維持するかという課題を解決しなければならない。
【0009】
本発明は、給排水動作のうち、給水ポンプの給水によりプランター容器水位が上昇し高水位位置に達した時点で給水ポンプを停止させ、排水ポンプを動作させて排水する、という過程は残し、その後の低水位位置で排水を停止させる過程を簡略化するものである。具体的には、排水動作の途中で排水ポンプを停止し、以後の排水をサイフォン管により実施し、低水位となった時点でサイフォン管が解消されて送水できなくなることで排水を終了させるものである。
【0010】
すなわち、本発明に係る低水位調整機構付き水耕栽培装置は、以下の構成を有する。
【0011】
〔構成1〕
水の出入り可能な培地容器に収納された培地に植物苗が植えられ、前記培地容器がプランター容器内に設置され、前記プランター容器に貯水槽より給水ポンプで培養液を所定の高水位まで給水する給水動作、及び、前記培養液を排水ポンプで排水配管を経て受水槽に排水する排水動作を間歇的に実施することにより、前記培地容器内への前記培養液の供給と通気性の維持とを両立する水位変動式栽培装置において、
前記排水動作中に、前記排水配管にサイフォン管が形成され、前記受水槽に蓄えられた前記培養液の水面が前記プランター容器内の前記培養液の水位より低くなるように前記プランター容器及び前記受水槽の設置位置が設定されていることにより、前記排水動作が前記サイフォン管の作用によっても行われ、
前記排水動作の途中で前記排水ポンプを停止し、以後の排水動作は前記サイフォン管が担い、前記排水配管の入口の周囲の水位が、該入口以下の水位となって前記サイフォン管が解消された時点で、排水されなくなることにより排水動作が終了し、
前記プランター容器内には、所定の低水位の前記培養液が残される
ことを特徴とする。
【0012】
〔構成2〕
構成1を有する低水位調整機構付き水耕栽培装置において、
前記排水動作の初動は、前記排水ポンプの動作により行われ、該排水ポンプの動作により前記排水配管内の空気が追い出されて前記サイフォン管が形成され、
前記サイフォン管が形成された状態のときに、前記排水ポンプが停止され、以後の動作終了までの排水動作が、前記サイフォン管の作用によって行われる
ことを特徴とする。
【0013】
〔構成3〕
構成2を有する低水位調整機構付き水耕栽培装置において、
前記排水ポンプは、外周が、前記サイフォン管が解消される水位である前記排水配管の入口の高さよりも上まで、仕切板によって囲われており、
前記排水動作において、前記プランター容器内の前記培養液の水位が前記仕切板の上端の高さとなった以降は、前記仕切板の内側の前記培養液だけが前記サイフォン管が解消される水位まで排水され、前記仕切板の外側の前記培養液が排水されずに残り、前記仕切板の上端の高さが、前記所定の低水位となる
ことを特徴とする。
【0014】
〔構成2〕では、サイフォン管が解消される水位は排水ポンプの吸水口(排水配管の入口)の最上点となるが、〔構成3〕では、プランター容器内からの排水が停止される水位を、排水ポンプの吸水口(排水配管の入口)の位置に影響されずに安定的に設定するために、排水ポンプの外周を、サイフォン管が解消される水位である排水配管の入口の高さよりも上まで、仕切板で囲うことにより、排水動作中に仕切板内側の培養液の水面が排水ポンプの吸水口(排水配管の入口)の最上点まで下がりサイフォン管が解消されて排水動作が終了するまで、仕切板に遮らせて仕切板外側のプランター容器内の培養液を排水させずに残し、この仕切板の高さを以て低水位とするものである。
【発明の効果】
【0015】
従来の水位変動式水耕栽培装置の給排水動作は、給水ポンプでプランター容器に給水し、高水位位置を高水位センサーで検出して給水ポンプを停止した後に排水ポンプで排水を開始し、低水位位置を低水位センサーで検出して排水ポンプを停止する、という過程をたどっている。
【0016】
それに対し本発明の水耕栽培装置では、排水ポンプは排水途中で停止し、それ以降は給排水動作中に形成されるサイフォン管により排水し、そのサイフォン管の解消により排水を終了させており、高価な水位センサーとセンサーからの信号でポンプを停止させる制御回路を必要としない。その一方、排水ポンプは安価なタイマー回路等により容易に排水途中で停止させることが可能であり、装置を簡素化できる。
【0017】
また、センサーに着目すると、高水位センサーがごく短時間水に接するだけの高水位位置に設置されるのに対し、低水位センサーは給排水動作中には水没する低水位位置に置かれるため高水位センサーに比べ不具合が発生しやすい傾向がある。そのため従来装置を安定稼働させるためには、低水位センサーの正常動作をチェックする機能やエラー発生時の自動処理機能等を持った制御装置が必要となる。別の対応策として、プランター容器の外部から間接的に水位を検出する機構を設けることで低水位センサーを水没させないようにして不具合の発生を防ぐことも可能だが、その場合は付加する機構も含め装置がより複雑化することが避けられない。すなわち、低水位センサーを使用する場合はそれに伴って新たな機能もしくは機構を付加する必要があり、装置の複雑化やコストアップの要因となってしまうのである。そもそも低水位センサーを使用しない本発明に依れば、そうした機能や機構は必要ないため、装置を簡略化しコストダウンすることが可能である。
【0018】
排水時に用いるサイフォン管として、特許文献2にあるように排水時にサイフォン管が自動形成されるよう機構を付加して利用することも可能だが、わざわざ新たな機構を付加せず、排水配管をサイフォン管状態にして使用することが可能である。排水ポンプの動作中に排水配管内の空気は全て排水に押し出されるので、配管の途中に漏れさえなければサイフォン管は確実に形成できる。ただし、こうして形成されるサイフォン管を流れる水量は多くないので、それを排水動作に利用する際は十分注意しなければならない。
【0019】
また、排水配管をサイフォン管として排水に利用する場合、当然ながら停止した排水ポンプ内を水が通って行くことになるので注意が必要となる。一般的な、横に突き出した給水口から水を吸込み上に伸びる吐出口から水を送り出す形式のポンプを排水ポンプに使用する場合、サイフォン管が解消される水位はポンプの吸水口(排水配管の入口)の最上点である。すなわち、ゴミ等が給水口に引っかかる等で給水口の上側が覆われただけで容易にサイフォン管が解消される水位が変動してしまう危険がある。また、給水口の配置はポンプの機種により様々なので、使用する機種に合わせてポンプの設置高さを調整する手間が発生する。
【0020】
こうした不都合を避けるため、排水ポンプの外周を排水ポンプの吸水口(排水配管の入口)の最上点より上まである仕切板で囲い、低水位位置を排水ポンプの吸水口(排水配管の入口)の位置と無関係に決めるのである。この仕切板により、仕切板の内側水位が排水ポンプの吸水口(排水配管の入口)の最上点まで下がり配管内に空気が侵入してサイフォン管が解消され排水動作が終了しても仕切板の外側水位は仕切板上端に維持されるので、仕切板上端をプランター容器の低水位位置とすることができる。すなわち、サイフォン管の解消される水位を意識せずに低水位位置を設定できるのである。
【0021】
仕切板は低水位位置の設定以外に、排水ポンプを保護する上でも大きな効果を有している。通常、排水ポンプはプランター容器底に設置され、プランター容器底部から貯水槽へと水を送ることになるが、長期間使用したプランター容器の底には上から落ちてきたゴミや腐食物等が堆積しポンプにとっては非常に過酷な使用環境となってしまう。それが仕切板のあることで、低水位位置である仕切板上端より下の領域の水を吸込まずに済むことになり、吸込み異物起因のポンプトラブルを大幅に削減可能となる。
【0022】
なお、ポンプトラブルの削減という面では排水過程の後半をサイフォン管に担わせていることも有効である。すなわち、水の減った排水過程の後半は専らプランター容器底に近い領域の水を排水することになるので吸込み異物も多くなるが、そこをポンプ停止してサイフォン管でゆっくり排水することで異物の吸込みが抑えられる。また、ポンプが稼働していなければ異物がローターに挟まったり巻き付いたりする可能性も低くなり、ポンプを保護しつつ排水過程を終わらせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る低水位調整機構付き水耕栽培装置の構成を説明する図である。
【
図2】本発明から類推可能な低水位調整機構付き水耕栽培装置の構成を説明する図である。
【
図3】本発明から類推可能な別の低水位調整機構付き水耕栽培装置の構成を説明する図である。
【
図4】本発明から類推可能なさらに別の低水位調整機構付き水耕栽培装置の構成を説明する図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態に係る別の低水位調整機構付き水耕栽培装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
〔水耕栽培装置の第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る低水位調整機構付き水耕栽培装置の構成を説明する図である。
【0026】
(基本的構成)
この実施形態では、
図1に示すように、貯水槽11は、受水槽を兼ねており、一つのタンクである。この水耕栽培装置は、水の出入り可能な培地容器3に収納された培地5に植物苗6が植えられ、培地容器3がプランター容器1内に設置され、プランター容器1に貯水槽11より給水ポンプ(水中ポンプ)12で培養液を所定の高水位18まで給水する給水動作、及び、培養液を排水ポンプ13で排水配管15を経て貯水槽11に排水する排水動作を間歇的に実施することにより、培地容器3内への培養液の供給と通気性の維持とを両立する水位変動式栽培装置である。
【0027】
排水動作中に、排水配管15にサイフォン管が形成され、貯水槽11に蓄えられた培養液の水面21がプランター容器1内の培養液の水位より低くなるようにプランター容器1及び貯水槽11の設置位置が設定されていることにより、排水動作がサイフォン管の作用によっても行われる。排水動作の途中で排水ポンプ13を停止し、以後の排水動作はサイフォン管が担い、排水配管15の入口の周囲の水位20が、入口以下の水位となってサイフォン管が解消された時点で、排水されなくなることにより排水動作が終了し、プランター容器1内には、所定の低水位17の培養液が残される。
【0028】
また、この水耕栽培装置は、排水動作の初動は、排水ポンプ13の動作により行われ、排水ポンプ13の動作により排水配管15内の空気が追い出されてサイフォン管が形成されるようにしてもよい。サイフォン管が形成された状態のときに、排水ポンプ13が停止され、以後の動作終了までの排水動作が、サイフォン管の作用によって行われる。
【0029】
さらに、この水耕栽培装置は、排水ポンプ13の外周を、サイフォン管が解消される水位である排水配管15の入口の高さよりも上まで、仕切板19によって囲ってもよい。この場合には、排水動作において、プランター容器1内の培養液の水位18が仕切板19の上端の高さとなった以降は、仕切板19の内側の培養液だけがサイフォン管が解消される水位20まで排水され、仕切板19の外側の培養液が排水されずに残り、仕切板19の上端の高さが、所定の低水位17となる。
【0030】
(具体的構成)
この水耕栽培装置では、
図1に示すように、プランター容器1内にスペーサ9を置き、その上に、培地5を入れた培地容器3が置かれる。本実施形態では、培地5として市販の素焼きセラミック培地を使用している。このプランター容器1は、低水位時の水面17を貯水槽11の水面21より上に設定するため架台2の上に置かれる。すなわち、本実施形態では、貯水槽11が受水槽を兼ねており、貯水槽の水面21は即ち受水槽の水面となっている。培地容器3の下面全体には、排水孔4が設けられている。培地容器3中央に植物苗6が入っており、その周囲には、リング状給水管7が培地5に埋め込まれている。リング状給水管7には、ほぼ等間隔で給水孔8が開けられており、給水時にはこの孔から培地に給水する。
【0031】
プランター容器1とは別に貯水槽11を設け、給水ポンプ12により給水配管14を通じてプランター容器1に液肥が溶け込んだ水を送り、リング状給水管7の給水孔8から培地に給水する。培地5が吸収できなかった水分が排水孔4からプランター容器1に流れ落ちて高水位時の水面18まで水位を上昇させることで、今度は培地容器3底部から水が浸入し培地5に下側からも給水するのである。
【0032】
排水時は、排水ポンプ13により排水配管15を通じ貯水槽11に水を戻すが、排水ポンプ13は仕切板19で囲われている。そのため、排水の結果プランター容器1内の水位が下がり、排水ポンプの仕切板19の上端まで達すると、仕切板19の内側のみが排水されるのである。なお、装置には、水位センサー(高水位検出)10、給水及び排水ポンプ12、13と接続された制御ボックス16が設けられており、給排水動作を制御している。
【0033】
以下、本装置による給排水動作を、順を追って詳細に説明する。
制御ボックス16内の長時間タイマーがオンすることで給水動作がスタートし、給水ポンプ12を稼働させて貯水槽11よりプランター容器1に給水する。水位が上昇し、高水位時の水面18に達すると水位センサー(高水位検出)10が検知し、制御ボックス16を介して給水ポンプ12を停止させ、排水ポンプ13が稼働して排水動作がスタートする。排水ポンプ13は、制御ボックス16内のタイマー回路により所定時間動作した後、排水動作の終了前に停止するが、排水ポンプ13の動作中に排水配管15内の空気は追い出され、サイフォン管状態が形成されている。そのため、排水ポンプ13が停止した後も送水速度(単位時間当たりの送水量)は落ちるものの、サイフォン管により排水は継続される。水位が低下し排水ポンプ13の仕切板19の上端まで達すると、仕切板19に遮られた内側の水だけが排水されるようになる。仕切板19内の水面が排水ポンプ13の吸水口(排水配管の入口)の上端まで下がると、排水ポンプ13の給水口(排水配管の入口)から空気が侵入し、サイフォン管が解消されて排水が終了される。よって、排水ポンプ13の仕切板19の上端が、低水位時の水面(プランター容器内)17の高さとなり、低水位時の水面(仕切板19内)20だけが排水ポンプ13の吸水口(排水配管の入口)の付近となる。一連の給排水動作終了後、制御ボックス16内の長時間タイマーが十分な時間的余裕を持ってオフし、次回の給排水動作を待つことになる。
【0034】
本発明を最良の形で実施する際には、幾つか重要な点があり、以下詳細に説明する。
本発明は、プランター容器1から貯水槽11への排水動作の一部をサイフォン管に依っていることから、双方の水面の位置関係には十分な注意が必要である。貯水槽11が満杯の時でもその水面がプランター容器1内の低水位時の水面17より下でなければならないのは当然だが、送水速度を考えると、最低でも10センチメートル以上の高低差を設けることが望ましい。特に、本発明では停止中の排水ポンプ13をすり抜けて水を流すため流量を稼ぎにくいので、安定した排水動作を保証する上で十分な高低差を取ることは重要である。
【0035】
サイフォン管の送水速度が小さいことから、排水動作の中でサイフォン管が担う比率をできるだけ小さく設定することも重要である。最低でも排水する総水量の70パーセント以上、望ましくは80パーセント以上を排水ポンプ13に担わせるのが良い。排水ポンプ13で80パーセント程度まで排水してしまえば、残りの20パーセント未満の排水に多少時間を要しても、植えてある植物苗6には殆ど影響はない。あまり排水ポンプ13が担う比率を大きくし過ぎると、植物苗6が成長して根が大きな体積を占めるようになる等でプランター容器1の実質容積が減った場合に、排水ポンプ13だけで低水位位置まで排水してしまう状況が発生する。この場合、給排水動作自体には影響しないが、排水ポンプ13が水を送れず空回りし続けることになり、ポンプを傷める可能性があるので、ある程度の比率でサイフォン管に排水を担わせることが求められる。
【0036】
逆にサイフォン管に担わせる比率を大きくし過ぎることは、植物苗6の生育に悪影響を及ぼす懸念もあり、避けなければならない。本実施形態の栽培装置では、定常時は水面が培地容器3の下方にあるので大変通気性の良い状態にあり、乾燥しない程度の頻度で水位が短時間で上下して培地5に水分を補給している。それが、給排水動作時の排水動作に時間が掛かりすぎてしまえば、水に浸かって通気性を失っている時間が無視できなくなるばかりか、下から水がゆっくり培地5に浸透して培地5の全体を水浸しにするだけの時間を与えることにもなる。すなわち、水耕栽培でありつつも適当な水分量と良好な通気性を保って植物苗6を栽培できる本装置の利点を大きく減じてしまう結果となるのである。よって、送水速度の小さいサイフォン管に担わせる比率は多くても全排水量の30パーセント程度までに抑えなくてはならない。
【0037】
サイフォン管の送水速度が小さいことから、排水配管15についても注意が必要となる。サイフォン管を形成するだけなら貯水槽11側の先端は、貯水槽11が満杯の時の水面と同程度の位置で問題ないはずだが、実際にはその程度の位置では不具合が発生する。もし排水配管15の貯水槽11側の先端が空中に出ていると、プランター容器1と貯水槽11の水位差が小さくなった時に、先端から入って来る空気を排水で押し返すことができずに、流れが途切れてしまう可能性が高いのである。水位差の小さいサイフォン管からの排水では送水速度が小さいので、貯水槽11側の先端からはせいぜいチョロチョロと水が流れ出る程度の勢いでしか水が流れない場合が大半であり、先端から排水配管15内に空気が入って来るのを水流で押し返すことができず、水が流れ落ちる脇から管内に空気が侵入し、水柱が途切れてサイフォン管の流れが滞ってしまう。こうして、配管内の水が貯水槽11側からプランター容器側へゆっくり押し戻されて空になっていく場合もあれば、一気に排水配管15内の水が抜け落ちる場合もあるが、いずれにせよサイフォン管が解消されて排水が途中で終わってしまう。こうした空気の侵入を防止するため、排水配管15の貯水槽11側の先端は十分下方まで伸びていなければならない。サイフォン管で排水を開始する時点で、常に先端が水中に位置するようになっていれば、こうしたサイフォン管の先端からの空気の侵入を心配する必要がなく好都合である。
【0038】
以下、本発明から容易に類推可能な簡略型の給排水機構を例示し、それと比較しつつ本発明の利点を説明する。
図2は、専らサイフォン管を利用して排水動作を実施する簡略型の低水位調整機構付き水耕栽培装置の構成を説明する図である。
【0039】
この水耕栽培装置では、
図2に示すように、プランター容器31内にスペーサ37を置き、その上に、培地35を入れた培地容器33が置かれる。プランター容器1は、低水位時の水面43を貯水槽39の水面46より上に設定するため架台32の上に置かれる。培地容器33の下面全体に給排水孔34が設けられている。培地容器33中央に植物苗36が入っている。プランター容器31とは別に貯水槽39を設け、給水ポンプ40により給排水配管41を通じてプランター容器31に液肥が溶け込んだ水を送り、培地容器33底部から給排水孔34を通って水が浸入し培地に下側から給水するのである。
【0040】
高水位時の水面44まで水位が上昇すると水位センサー(高水位検出)38が検出し、制御ボックス42を介して給水停止する。給水時に配管内の空気が押し出されて給排水配管41はサイフォン管状態になっているので、給水ポンプ停止後は給排水配管41よりサイフォン管現象で排水するのである。排水の結果プランター容器内の水位が下がり、低水位時の水面43まで達すると給排水配管の下端45より空気が侵入してサイフォン管が解消され排水動作を終了する。
【0041】
この簡略型の変形として、給水ポンプを介さない排水経路を形成する
図3の構造とすることもできる。こちらは、給排水配管61を枝分かれさせて戻り配管66を設けるものである。排水時はこの戻り配管66もサイフォン管となり給水ポンプを通らない排水経路となって排水時間の短時間化を図るものである。
【0042】
どちらの簡易型装置も、本発明と比べ排水ポンプ及び排水配管がないので装置は大幅に簡略化しているが、本発明には以下に説明するような、それを上回る利点が備わっているのである。
【0043】
最大の利点は培地に上方から給水できる点である。簡略型では給排水配管41、61をサイフォン管として排水にも利用するため、その先端45、65はプランター容器31、51の底部になければならず、給水は下側からに限られる。それに対し本発明は、植物苗6の側面からも給水できるので、根の周囲に過剰とならない程度に給水することが可能である。特に、水捌けの良い培地5を用いた場合は、培地5の上から水を流しての給水と培地を水没させての給水では給水後に培地に残る水分の量が全く違ってしまうので、水没させずに給水することで培地の水分量を調整できるメリットは大きい。簡略型の水耕栽培装置においても、上方から給水する機構を組み込むことは不可能ではない。例えば
図4は、給水配管を上方からの給水を担う上部給水配管84とサイフォン管として排水にも利用する底部給水配管85とに、給水ポンプ近傍で枝分かれさせて使用するものである。この構造だと、確かに上方から給水することは可能だが、そちらを増やすために上部給水配管を太くすれば底部給水配管に行く水量が減り、排水時にサイフォン管で底部給水配管から送れる水量が減ってしまう。そのため、思うようには上方からの給水を増やせず、十分な効果を得ることは難しいのである。ただし、この
図4の給排水機構を本発明の給水機構に取り入れ、サイフォン管による排水動作時の補助に役立てることは有効である。その際は、底部給水配管85の下端を排水配管の下端より高い位置に設定して、排水配管より先にサイフォン管が解消するようにしておけば、排水動作の停止過程に影響することはない。
【0044】
本発明のもう一つの利点は、本発明なら短時間でしかもほぼ一定の時間で排水を終えることができる点である。本発明では、そのためにわざわざ排水動作の大部分を排水ポンプ13に担わせ、サイフォン管は最後の低水位検出過程に利用するだけに留めている。それを全面的にサイフォン管に担わせることになる点も簡易型の大きな弱点である。停止中の給水ポンプが障害になり、送水速度を減じられるうえ、装置構成上、サイフォン管の駆動力となる両側水面の高低差を無闇に大きくすることもできない。また、貯水槽39の水位によって送水速度が一定でなく、貯水槽39の水位が上がると送水速度が落ちる点も問題である。排水に要する時間を縮めるにはサイフォン管を太くすることが一番確実だが、その場合は給水時にサイフォン管を形成するためにより大きなポンプが必要になり、むしろコストアップ要因となってしまう。給水ポンプを通らない排水経路を作る
図3の構成においても、水流が二分されるので給水ポンプを大きくしなければならないことに変わりはない。簡易型のそうした弱点を考えれば、むしろ積極的にポンプを2台使って給水に対する自由度を大きくした方が得られるものが大きいのである。
【0045】
〔水耕栽培装置の第2の実施の形態〕
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る別の低水位調整機構付き水耕栽培装置の構成を説明する図である。
基本構成は先の実施形態と同じだが、プランター容器91と貯水槽101の間に受水槽112が存在する点が異なっており、それに伴い排水動作が先の実施形態とは異なっている。以下では、先の実施形態とは異なる排水動作について説明する。
【0046】
給水により水位が上昇し、高水位時の水面108に達すると水位センサー(高水位検出)100が検知し、制御106ボックスを介して給水ポンプ102を停止し、排水ポンプ103が稼働して排水動作がスタートするところまでは先の実施形態と同一の動作である。ただし本実施形態では、排水の行き先は受水槽112である。受水槽112には中間送水ポンプ113と水位センサー(高水位検出)114が置かれている。流れ込んできた排水により受水槽112の水位が上昇し水位センサー(高水位検出)114が検出すると、制御ボックス106を介して中間送水ポンプ113が稼働して水を貯水槽101に送る。なお、中間送水ポンプには排水ポンプより送水能力の高い大型のポンプが置かれ、中間送水ポンプ113が稼働することでプランター容器側から排水が流入する中でも受水槽112の水位は低下していく。中間送水ポンプ113は制御ボックス106内の中間送水ポンプ用に設けられたタイマー回路の設定時間だけ動作して停止する。その一方、プランター容器側からの排水の流入は続くので、プランター容器内が低水位時の水位(プランター容器内)107に達し、排水動作が終わるまで、中間送水ポンプ113は動作・停止を繰り返す。こうして受水槽内の水面115は安定して水位センサー(高水位検出)114の設置位置より下に維持されるのである。
【0047】
このように、先の実施形態(
図1)での貯水槽の水面21に対する要請を、本実施形態(
図5)では、受水槽の水面115に対する要請に置き換えることで、排水配管105のサイフォン管は、先の実施形態と同様に機能するのである。先の実施形態との違いは、受水槽112は貯水槽101よりはるかに小さな容量でも機能するので、プランター容器91の設置位置を低くすることができる点である。
【0048】
また、本実施形態では、貯水槽の水面111に対する制約はなく、貯水槽101の設置位置を自由に決めることもできる。ただし、サイフォン管を安定して機能させるため、排水配管105の先端が受水槽の水面115より上に出ることのないよう、中間送水ポンプ113の動作時間を決めるタイマー回路の設定には注意が必要である。
【符号の説明】
【0049】
1 プランター容器
2 架台
3 培地容器
4 排水孔
5 培地
6 植物苗
7 リング状給水管
8 給水孔
9 スペーサ
10 水位センサー(高水位検出)
11 貯水槽
12 給水ポンプ
13 排水ポンプ
14 給水配管
15 排水配管
16 制御ボックス
17 低水位時の水面(プランター容器内)
18 高水位時の水面
19 排水ポンプの仕切板
20 低水位時の水面(仕切板内)
21 貯水槽の水面
31 プランター容器
32 架台
33 培地容器
34 給排水孔
35 培地
36 植物苗
37 スペーサ
38 水位センサー(高水位検出)
39 貯水槽
40 給水ポンプ
41 給排水配管
42 制御ボックス
43 低水位時の水面
44 高水位時の水面
45 給排水配管の下端
46 貯水槽の水面
51 プランター容器
52 架台
53 培地容器
54 給排水孔
55 培地
56 植物苗
57 スペーサ
58 水位センサー(高水位検出)
59 貯水槽
60 給水ポンプ
61 給排水配管
62 制御ボックス
63 低水位時の水面
64 高水位時の水面
65 給排水配管の下端
66 戻り配管
67 貯水槽の水面
71 プランター容器
72 架台
73 培地容器
74 給排水孔
75 培地
76 植物苗
77 リング状給水管
78 給水孔
79 スペーサ
80 水位センサー(高水位検出)
81 貯水槽
82 給水ポンプ
83 貯水槽の水面
84 上部給水配管
85 底部給水配管
86 制御ボックス
91 プランター容器
92 架台
93 培地容器
94 排水孔
95 培地
96 植物苗
97 リング状給水管
98 給水孔
99 スペーサ
100 水位センサー(高水位検出)
101 貯水槽
102 給水ポンプ
103 排水ポンプ
104 給水配管
105 排水配管
106 制御ボックス
107 低水位時の水面(プランター容器内)
108 高水位時の水面
109 排水ポンプの仕切板
110 低水位時の水面(仕切板内)
111 貯水槽の水面
112 受水槽
113 中間送水ポンプ
114 水位センサー(高水位検出)
115 受水槽の水面
116 中間送水配管
【手続補正書】
【提出日】2022-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の出入り可能な培地容器に収納された培地に植物苗が植えられ、前記培地容器がプランター容器内に設置され、前記プランター容器に貯水槽より給水ポンプで培養液を所定の高水位まで給水する給水動作、及び、前記培養液を排水ポンプで排水配管を経て受水槽に排水する排水動作を間歇的に実施することにより、前記培地容器内への前記培養液の供給と通気性の維持とを両立する水位変動式栽培装置において、
前記排水配管の入口は、前記プランター容器の底部から所定の高さ離間した所定の低水位の位置となっており、
前記排水動作の初動は、前記排水ポンプの動作により行われ、前記排水動作中に、前記排水ポンプの動作により前記排水配管内の空気が追い出されて前記排水配管にサイフォン管が形成され、前記受水槽に蓄えられた前記培養液の水面が前記プランター容器内の前記培養液の水位より低くなるように前記プランター容器及び前記受水槽の設置位置が設定されていることにより、前記排水動作が前記サイフォン管の作用によっても行われ、
前記排水動作の途中で前記サイフォン管が形成された状態のときに前記排水ポンプを停止し、以後の排水動作は前記サイフォン管が担い、前記排水配管の入口の周囲の水位が、該入口以下の水位となって前記サイフォン管が解消された時点で、排水されなくなることにより排水動作が終了し、
前記プランター容器内には、前記所定の低水位の前記培養液が残される
ことを特徴とする低水位調整機構付き水耕栽培装置。
【請求項2】
前記排水動作の途中の前記排水ポンプの停止は、排水する総水量の70パーセント以上が前記排水ポンプにより排水された後に行う
ことを特徴とする請求項1記載の低水位調整機構付き水耕栽培装置。
【請求項3】
水の出入り可能な培地容器に収納された培地に植物苗が植えられ、前記培地容器がプランター容器内に設置され、前記プランター容器に貯水槽より給水ポンプで培養液を所定の高水位まで給水する給水動作、及び、前記培養液を排水ポンプで排水配管を経て受水槽に排水する排水動作を間歇的に実施することにより、前記培地容器内への前記培養液の供給と通気性の維持とを両立する水位変動式栽培装置において、
前記排水動作の初動は、前記排水ポンプの動作により行われ、前記排水動作中に、該排水ポンプの動作により前記排水配管内の空気が追い出されて前記排水配管にサイフォン管が形成され、前記受水槽に蓄えられた前記培養液の水面が前記プランター容器内の前記培養液の水位より低くなるように前記プランター容器及び前記受水槽の設置位置が設定されていることにより、前記排水動作が前記サイフォン管の作用によっても行われ、
前記排水動作の途中で前記サイフォン管が形成された状態のときに、前記排水ポンプが停止され、以後の排水動作は前記サイフォン管が担い、前記排水配管の入口の周囲の水位が、該入口以下の水位となって前記サイフォン管が解消された時点で、排水されなくなることによる動作終了までの前記排水動作が、前記サイフォン管の作用によって行われ、
前記排水ポンプは、外周が、前記サイフォン管が解消される水位である前記排水配管の入口の高さよりも上まで、仕切板によって囲われており、
前記排水動作において、前記プランター容器内の前記培養液の水位が前記仕切板の上端の高さとなった以降は、前記仕切板の内側の前記培養液だけが前記サイフォン管が解消される水位まで排水され、前記仕切板の外側の前記培養液が排水されずに残り、
前記プランター容器内には、前記仕切板の上端の高さである所定の低水位の前記培養液が残される
ことを特徴とする低水位調整機構付き水耕栽培装置。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の出入り可能な培地容器に収納された培地に植物苗が植えられ、前記培地容器がプランター容器内に設置され、前記プランター容器に貯水槽より給水ポンプで培養液を所定の高水位まで給水する給水動作、及び、前記培養液を排水ポンプで排水配管を経て受水槽に排水する排水動作を間歇的に実施することにより、前記培地容器内への前記培養液の供給と通気性の維持とを両立する水位変動式栽培装置において、
前記排水動作の初動は、前記排水ポンプの動作により行われ、前記排水動作中に、該排水ポンプの動作により前記排水配管内の空気が追い出されて前記排水配管にサイフォン管が形成され、前記受水槽に蓄えられた前記培養液の水面が前記プランター容器内の前記培養液の水位より低くなるように前記プランター容器及び前記受水槽の設置位置が設定されていることにより、前記排水動作が前記サイフォン管の作用によっても行われ、
前記排水動作の途中で前記サイフォン管が形成された状態のときに、前記排水ポンプが停止され、以後の排水動作は前記サイフォン管が担い、前記排水配管の入口の周囲の水位が、該入口以下の水位となって前記サイフォン管が解消された時点で、排水されなくなることによる動作終了までの前記排水動作が、前記サイフォン管の作用によって行われ、
前記排水ポンプは、外周が、前記サイフォン管が解消される水位である前記排水配管の入口の高さよりも上まで、仕切板によって囲われており、
前記排水動作において、前記プランター容器内の前記培養液の水位が前記仕切板の上端の高さとなった以降は、前記仕切板の内側の前記培養液だけが前記サイフォン管が解消される水位まで排水され、前記仕切板の外側の前記培養液が排水されずに残り、
前記プランター容器内には、前記仕切板の上端の高さである所定の低水位の前記培養液が残される
ことを特徴とする低水位調整機構付き水耕栽培装置。