(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120749
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】除雪機のシュート内の雪除去道具
(51)【国際特許分類】
E01H 5/02 20060101AFI20220810BHJP
E01H 5/09 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
E01H5/02
E01H5/09 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021056191
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】520183472
【氏名又は名称】葉吹 一平
(72)【発明者】
【氏名】葉吹 一平
【テーマコード(参考)】
2D026
【Fターム(参考)】
2D026CA03
2D026CH00
(57)【要約】
【課題】 シュート内から効率よく除雪機の外部へ雪を掻きだすことで雪詰まりの本来的な解消を可能にする耐久性に優れた雪除去道具を提供する。
【解決手段】 本発明の除雪機のシュート内の雪除去道具Aは、一端が雪に挿入可能な突出形状の先端部2を有すると共に他端が作業者の操作用の取手部3を有する金属製の支柱形状の本体部1と、この本体部1の先端部2の近傍個所に内側端が可動状態に固定され本体部1を雪に挿入する際には本体部1の側面に沿いながら前記雪に挿入されると共に前記雪の端面に達したときには外側端が前記側面から離れて前記挿入方向とは略直交する横方向へ展開され前記雪の端面を支持する金属製の略平板状のツメ部4と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が雪に挿入可能な突出形状の先端部を有すると共に他端が作業者の操作用の取手部を有する金属製の支柱形状の本体部と、
この本体部の前記先端部の近傍個所に内側端が可動状態に固定され前記本体部を雪に挿入する際には前記本体部の側面に沿いながら前記雪に挿入されると共に前記雪の端面に達したときには外側端が前記側面から離れて前記挿入方向とは略直交する横方向へ展開され前記雪の端面を支持する金属製の略平板状のツメ部と、
を有することを特徴とする除雪機のシュート内の雪除去道具。
【請求項2】
前記取手部と前記ツメ部の前記外周端とを連結する金属製のワイヤーを架設したことを特徴とする請求項1に記載した除雪機のシュート内の雪除去道具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人、店舗や事務所、中小事業所等で使用されるガソリン駆動によるロータリー式の小形歩行型除雪機(例えば、特開2020-143487号公報参照)のシュート内に詰まった雪を除去する道具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水分量の多い湿った雪を上記除雪機で飛ばす際、当該雪はシュート内壁との摩擦が強まり遠くへ飛ばないため、吐き出す力が不足した当該雪はシュート内に舞い戻りシュート内に落ちて詰まりの原因となる。
【0003】
当該雪の詰まりを解消するためにオーガを再始動しても、インペラ内へ押し戻した当該雪は水分量が多く重いため、オーガの回転力では排出する力が不足してシュート内に付着してしまい詰まりを再発させることもある。
【0004】
従って、当該雪の除去がスムーズに除去出来ず、除去の都度オーガやエンジンを停止させることが必要なため除雪作業効率の低下を招いていた。
【0005】
このため、シュート内に固く詰まった当該雪を除去するための棒やスコップに係るもの(下記特許文献1、2参照)や、当該雪の除去作業の軽減を目的として、シュート内の雪をインペラ内へ効果的に落とす専用の道具(下記特許文献3、4参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭56-21847号公報
【特許文献2】特公平4-30487号公報
【特許文献3】実用新案登録第3093908号公報
【特許文献4】実用新案登録第3097677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、ブラシ部とヘラ部を有する雪除去具であるが、シュート内の雪詰まりを除去する目的の道具ではなく、特許文献2は、持ち手部分に滑り止めの溝を有する棒状の雪押し棒であり、その一端部にはシュート内面に付着した雪を除去するためのヘラ部を有している。また、特許文献3は、樹脂製の筒状の形状をした雪突き棒であって、先端部に斜面部を有する構造となっており、シュート内に詰まった雪に突き刺した場合、その中空構造に雪が入り込むことによって雪突き棒先端にかかる圧力を低減させ、少ない力でインペラ内に雪を押し込むものであり、特許文献4は、特許文献3と同様にシュート内に詰まった雪をインペラ内へ押し出す為の道具であって片側に先尖り部と反対側にスコップの形状を備えた雪突き棒である。
【0008】
特許文献1、2は、シュート内に詰まった雪をシュートの上部先端から突くのみのため当該雪がインペラ内部へ戻ることから、除雪の目的である除雪機の外部への除去にはならないこと、特許文献3、4は、先端部に斜面を付けた形状かつ中空の筒形状やスコップの形状にすることで雪の圧縮密度を軽減することができ、シュートからインペラ内部へ雪を押し込むことにより詰まった雪の除去を可能とするものの、特許文献1、2と同様に上記目的は得られないという問題がある。
【0009】
斯かる問題に起因して、オーガを再始動した場合にインペラ内の雪が再度詰まりを起こすことが頻繁に生じてしまうので、シュート内の雪を上部先端へ掻きだして除雪機の外部へ除去することが望まれるが、上記各文献には示されていない。
【0010】
本発明は、シュート内から効率よく除雪機の外部へ雪を掻きだすことで雪詰まりの本来的な解消を可能にする耐久性に優れた道具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の除雪機のシュート内の雪除去道具は、一端が雪に挿入可能な突出形状の先端部を有すると共に他端が作業者の操作用の取手部を有する金属製の支柱形状の本体部と、この本体部の前記先端部の近傍個所に内側端が可動状態に固定され前記本体部を雪に挿入する際には前記本体部の側面に沿いながら前記雪に挿入されると共に前記雪の端面に達したときには外側端が前記側面から離れて前記挿入方向とは略直交する横方向へ展開され前記雪の端面を支持する金属製の略平板状のツメ部と、を有することを特徴とするものである。
【0012】
特に、本発明は、前記取手部と前記ツメ部の前記外周端とを連結する金属製のワイヤーを架設したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シュート内に詰まった雪に対して使用者が取手部を持って先端部から本体部を挿入することによりツメ部が本体部に沿って雪の内部へ入り、前記雪の端面に達したときにはツメ部の外側端が本体部の側面から離れて前記挿入方向とは略直交する横方向へ展開され前記雪の端面を支持するので、使用者が取手部を持って本体部をシュート内から引き出すことにより、前記雪を除去することができる。
【0014】
また、前記取手部と前記ツメ部の前記外周端とを連結する金属製のワイヤーを架設することで、本体部の挿入する際に使用者が取手部を操作して本体部を回転させることにより、このワイヤーがシュート内の雪を切断することができ、一回の使用における無理の少ない適度な分量の雪を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】 本発明に係る実施形態の要部斜視図である。
【
図7】 本発明に係る他の実施形態の要部斜視図である。
【
図8】 同上実施形態の一部を断面とした平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1~
図6に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1~
図3に示す通り、除雪機のシュート内の雪除去道具Aは、一端が雪に挿入可能な突出形状の先端部2を有すると共に他端が作業者の操作用の取手部3を有する金属製の支柱形状の本体部1と、この本体部1の先端部2の近傍個所に内側端が可動状態に固定され本体部1を雪に挿入する際には本体部1の側面に沿いながら前記雪に挿入されると共に前記雪の端面に達したときには外側端が前記側面から離れて前記挿入方向とは略直交する横方向へ展開され前記雪の端面を支持する金属製の略平板状にツメ部4とを有する。
【0018】
本体部1の材質としては、雪に耐えうる重量のある金属製が望ましく、例えば、アルミ、ステンレス、鉄が好適であり、本体部1の大きさは、特に限定されるものではないが、例えば、雪に挿入する方向(長手方向)が150~200mm、直径が15~20mmの円筒形状となっている。
【0019】
先端部2は、雪に挿入しやすい形状であれば良く、例えば、直径20~40mm、前記長手方向が10~20mmの三角錐形状となっており、材質は本体部1と同様なものを使用し、本体部1と一体成形または別部材にて形成して本体部1に固定する構成となっている。
【0020】
特に、略三角錐形状にして前記長手方向の先端部2側から見たときに本体部1との連結個所であるその底面個所の本体部1の挿入方向とは略直交する横方向の最大寸法は、本体部1を雪に挿入する際に前記底面個所の領域内に本体部1及び本体部1の側面に沿うツメ部4が収まる寸法にすることで、本体部1及びツメ部4への雪の接触や固着を抑えることができ、本体部1を容易に雪へ挿入することができ、雪を切断する際の雪の抵抗を低減することができる。
【0021】
取手部3は、使用者の操作に応じて任意の形状が使用できるが、例えば、使用者が握りやすいように掌や指の形状に沿ったもの、指を入れる穴を設けたもの、濡れても滑りにくいもの等が選択でき、材質は金属に限らない。なお、図面では、長手方向が80~100mm、短手方向が20~40mm、厚さが10~20mmの平板形状を示している。
【0022】
ツメ部4は、材質は本体部1と同様な金属製の略平板状で、本体部1の周囲に沿って2個所に取り付けてあり、夫々本体部1の一端である先端部2の近傍個所に内側端が可動状態に固定されるヒンジ状の回転固定部4aを有しており、この回転固定部4aを止める回転受部1aが本体部1に設けられており、回転固定部4a及び回転受部1aの個所が支点となって本体部1を雪に挿入する際には本体部1の側面に沿いながら前記雪に挿入されると共に前記雪の端面に達したときには使用者が取手部2を回動させることにより外側端が前記側面から離れて前記挿入方向とは略直交する横方向へ展開される構成となっている。
【0023】
斯かる構成により、
図4~
図6に示す通り、使用者は、取手部2を持って本体部1をシューターB内に詰まっている雪Cへ挿入する(図面矢印方向)が、この際にはツメ部4は雪Cによる抵抗を受けて本体部1の側面に沿いながら雪Cに挿入される(
図4)。
【0024】
一定深度挿入後に使用者が取手部2を回動させて本体部1を雪Cの中で動かす雪切断時には、回転力によりツメ部4の外側端が本体部1の側面から離れて雪Cの端面を支持する(
図5)。
【0025】
そして、使用者が取手部2を持って本体部1を雪Cから引き抜く(図面矢印方向)雪除去時には、ツメ部4がシューターB内の一部の雪cを載せながらシューターBの外部へ除去することができる(
図6)。
【0026】
図7、
図8は、本発明に係る他の実施形態を示しており、取手部3の周縁側に設けた挿入穴3a(
図1参照、以下同じ)とツメ部4の外周端に設けた連結穴4b(
図1参照、以下同じ)とを連結する金属製のワイヤー5を架設しており、このワイヤー5の長さは、ツメ部4が開ききるまでの長さに設定してある。
【0027】
そして、本体部1やツメ部4の雪C(
図4~
図6参照、以下同じ)への挿入時には、雪Cの抵抗によりツメ部4が本体部1に沿うようにワイヤー5が撓むか、もしくは、使用者が取手部3でワイヤー5を引くなどして調整することにより長さが変更可能な構成で架設されており、雪Cの抵抗によるツメ部4の本体部1との連結個所の破損を防ぐ構成となっている。
【0028】
なお、ワイヤー5は、太さが均一的な直線状のものに限らず、取手部3からツメ部4へ至る途中に球状等の突出部を有するようなものを用いることにより、後述する雪cの除去に威力を発揮することができる。
【0029】
斯かる構成により、本体部1の挿入する際に使用者が取手部2を操作して本体部1を回転させることにより、このワイヤー5がシュートB内の雪Cを切断することができ、一回の使用における無理の少ない適度な分量の雪cを除去することができる。
【0030】
なお、本発明は、その要旨を変更しない限りで種々の変形や応用が可能であることは言うまでもなく、例えば、ツメ部4の個数は上記2個に限定されるものではなく1個以上で足りるが、個数が増えると雪Cとの抵抗が増加するため6個程度までが望ましい。
【0031】
また、使用者は、利き腕側に取手部3を回すのが通例であるため、ツメ部4の少なくとも除去される雪cを載せる上面(前記長手方向の取手部3側の面)に適宜角度を有する傾斜を設けることが有益であり、右利き又は左利きに合わせてツメ部4の前記上面に回動方向に対して前傾した形状にすると使用者にとって使いやすく、ツメ部4を複数個設ける場合には全ての傾斜方向や角度を揃えることが望ましい。
【符号の説明】
【0032】
A 除雪機のシュート内の雪除去道具
1 本体部
1a 回転受部
2 先端部
3 取手部
3a 挿入穴
4 ツメ部
4a 回転固定部
4b 連結穴
5 ワイヤー
B 除雪機のシュート
C シュート内に詰まった雪
c 除去される雪