(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120763
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/74 20060101AFI20220810BHJP
【FI】
G01N27/74
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021081555
(22)【出願日】2021-05-13
(31)【優先権主張番号】202110164858.1
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】515352847
【氏名又は名称】大連海事大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】張 洪朋
(72)【発明者】
【氏名】李 偉
(72)【発明者】
【氏名】張 雨薇
(72)【発明者】
【氏名】白 晨朝
(72)【発明者】
【氏名】謝 雨財
(72)【発明者】
【氏名】孫 玉清
(72)【発明者】
【氏名】張 存有
(72)【発明者】
【氏名】張 興彪
【テーマコード(参考)】
2G053
【Fターム(参考)】
2G053AA02
2G053AA13
2G053AB21
2G053BA04
2G053BA05
2G053BB03
2G053BC02
2G053BC14
2G053CA03
2G053CA18
2G053CB05
2G053CB17
2G053CB22
2G053DA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】油圧油、潤滑油等の油液中の金属粒子汚染物を検出することに用いられる、機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置を提供する。
【解決手段】新規なブリッジの不平衡性によって油液検出回路の初期状態時の出力電圧が「零位」であることを保証し、金属粒子汚染物が検出コイルを通過すると、回路出力端の出力電圧値が変動し、強磁性と非強磁性の粒子汚染物の検出精度が大幅に高くなり、新規なブリッジの2つの検出コイルをそれぞれ2つの検出ユニットとして、二通路検出を可能にし、油液検出処理量を向上する。検知ユニット、信号処理モジュール及び表示モジュールを組み合わせて第1データ測定ユニットとすることによって、油液検出の携帯性向上を実現でき、検知ユニット、信号処理モジュール、無線データ伝送モジュール及びコンピュータを組み合わせて第2データ測定ユニットとすることによって、油液検出遠隔化を実現できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共に、共用されるマイクロ流体チップ、マイクロ流体チップに嵌入された検知ユニット、信号処理ユニットを備える第1データ測定ユニットと第2データ測定ユニットを含み、
前記マイクロ流体チップは、スライドガラス、スライドガラスに設置されたPDMSベース、PDMSベース内部に設置されたマイクロ流路入口、マイクロ流路出口及びマイクロ流路入口とマイクロ流路出口を連通させた矩形マイクロ流路を含み、
前記検知ユニットは、前記矩形マイクロ流路の両側に対称的に設置され且つ直列接続された第1抵抗器と第2抵抗器、直列接続された第1検出コイルと第2検出コイルを含み、直列接続された第1抵抗器と第2抵抗器及び直列接続された第1検出コイルと第2検出コイルは並列接続されて第1接続ポート、第2接続ポート、第3接続ポート及び第4接続ポートを形成し、
前記信号処理ユニットは、前記第1接続ポートと第3接続ポートに接続されて前記検知ユニットに励起信号を提供するための励起モジュールと、前記第2接続ポートと第4接続ポートに接続されて前記検知ユニットの出力する信号を処理するためのデータ収集モジュールと、通信モジュールとを集積したものであり、
前記第1データ測定ユニットは、更に前記データ収集モジュールに接続されて波形信号を表示するための表示モジュールを含み、
前記第2データ測定ユニットは、更に、前記信号処理ユニットで処理した後の粒子汚染物に対応する波形信号を受信し且つコンピュータに遠隔伝送する、外部から接続される無線データ伝送モジュールと、外部から接続されるコンピュータと、を含むことを特徴とする機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置。
【請求項2】
前記第1抵抗器と第2抵抗器は、抵抗値が同じであり、且つ固定値抵抗器又は可変抵抗器の一方又は両方の組み合わせを、含むことを特徴とする請求項1に記載の機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置。
【請求項3】
前記第1検出コイルと第2検出コイルは、抵抗値が同じであり、且つシングルソレノイドコイル、デュアルワイヤコイル又は平面インダクタンスコイルのうちの1つを、含むことを特徴とする請求項1に記載の機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置。
【請求項4】
マイクロ流路金型と検知ユニットを所定の位置でスライドガラスに固定するステップS1と、
スライドガラスにモデル材料PDMSを流し込み、且つモデル材料が流れ込まないように検知ユニットの第1接続ポート、第2接続ポート、第3接続ポート及び第4接続ポートをモデル材料外部に分布するステップS2と、
モデル材料を流し込んだチップをオーブンに置いて80℃の温度で1時間ベーキングして、モデル材料を硬化させるステップS3と、
検出通路金型を硬化後のモデル材料から引き出し、せん孔機でマイクロ流路の両端にそれぞれ穴を開けて、マイクロ流路入口とマイクロ流路出口を形成するステップS4と、を含むことを特徴とする請求項1-3のいずれか一項に記載のマイクロ流体チップの製作方法。
【請求項5】
励起モジュールが励起信号を検知ユニットに出力するステップ1と、
被検出油試料が検知ユニットに入るステップ2と、
検知ユニットが粒子汚染物の数量と大きさに関連する電圧信号をデータ収集モジュールに出力するステップ3と、
データ収集モジュールが収集した粒子汚染物の数量と大きさに関連する電圧信号を処理し、更にデジタル・アナログ変換器で処理後の電圧信号をデジタル信号に変換し、ステップ5又はステップ6を実行するステップ4と、
通信モジュールがデジタル信号を取得し、それを粒子汚染物に対応する波形信号に変換し、表示モジュールに出力するステップ5と、
通信モジュールがデジタル信号を取得し、それを粒子汚染物に対応する波形信号と大きさ値に変換し、無線データ伝送モジュールに出力し、無線データ伝送モジュールが信号処理モジュールで処理した後の粒子汚染物に対応する波形信号を受信し、コンピュータに遠隔伝送するステップ6と、を含むことを特徴とする請求項1-3のいずれか一項に記載の機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置のデータ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油液システムの故障検出の技術分野に関し、具体的には、特に機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧システム素子は、建築工事機械、建設車両、鉱山機械、農業機械、プラスチック機械、冶金機械、航空、船舶等の産業の付属製品である。油圧システム中の潤滑油は機械設備の血液として設備の内部を流れて、その正常な稼働を保証する。ただし、潤滑油が汚染されると、与える影響によって、設備の故障速度が加速し、最後に機械部品が失効し、油圧故障が発生してしまう。関連資料によると、油圧システムにおいて約80%の不安定的な動作及び各種の故障の発生は油圧システム中の油圧油の汚染に関連する。その中で、油液中の固体粒子汚染物による故障は汚染の種類全体の80%を占める。従って、磨損粒子における暗黙的な摩擦学情報を分析することは機械設備の健全性の監視制御に非常に重要である。磨損粒子は摩擦学表面の磨損メカニズムを直接反映でき、磨損粒子を分析することによって、磨損状態を検出して、機械設備の稼働状態の監視制御と早期警報を実現することができる。機械システムが正常に動作するときに、油液中の磨損粒子の濃度と大きさが比較的安定的であり、粒径が一般に10~20μmであり、異常磨損が発生した場合に、油液中の磨損粒子の濃度が高まり、その大きさが50~100μmに高まり、潜在的な危険性が存在する。
【0003】
従来、一般の油液検出技術は、主に、フェログラフィー分析法及びスペクトル分析法を含む実験室検出法と、音響学検出法、電気容量検出法、インダクタンス検出法及び光学検出法等を含む粒子計数法と、を含む。粒子計数法は、粒子が検出装置を通過する時にパルスが発生し、パルスの数量と幅値の大きさによって油液中の粒子に対して計数、属性判断及び寸法測定を行って、油圧システムの磨損状况を正確に分析するものである。そのうち、音響学検出法と光学検出法は精度が高いが、環境ノイズと油液透光度に影響されやすく、環境ノイズが大きくて油液透光性が悪い大型機械システムの検出に適合しない。電気容量検出法は高い検出精度を有するが、水分の気泡に影響されやすい。比べたところ、インダクタンス検出法は他の要素に影響されにくく、油液中の金属粒子の検出により適合するものとなる。インダクタンス検出法においては、コイル構造の種類によってシングルコイル構造検知チップ、デュアルコイル構造検知チップ及びトリプルコイル構造検知チップに分類可能である。シングルコイル構造検知チップは単独の通電コイルを用いて流体管路において磨損粒子が管路を通過する時にそれに対して発生するインダクタンスの変化量を測定する。信号出力端の基礎インダクタンスが磨損粒子のインダクタンスを大幅に上回るため、この非差動構造のシングルコイル構造検知チップは感度と信頼性が低い。デュアルコイル構造検知チップは基準コイルと検出コイルとを直列接続し、外部から信号処理回路を接続して、初期電位の「零位」を可能にする。しかしながら、外部から接続される信号処理回路は、デュアルコイル構造検知チップの複雑度を増加してしまう。トリプルコイル構造検知チップは3つのコイルを管路に巻き付けることになり、2つのコイルを励起コイルとし、1つのコイルを検出コイルとするようにしてもよいし、2つのコイルを検出コイルとし、1つのコイルを励起コイルとするようにしてもよい。その核心的なところは、初期状態時の磁場が打ち消し合って検出コイルの出力が「零位」になるのを保証することにある。しかしながら、トリプルコイル構造は製作プロセスで、左右両端のコイルの対称性を保証できなく、初期電圧基準値に不平衡電圧が存在して、「零電位」を出力できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の油液検出回路において初期状態の時に「零位」を直接得ることができないため、検出精度が足りなく、回路が複雑で、油液検出装置の携帯性向上や遠隔化に不利であり、更に検出処理量が限られている上記の問題に応じて、機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によって採用される技術的手段は以下のとおりである。
【0006】
本発明の一態様の機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置は、共に、共用されるマイクロ流体チップ、マイクロ流体チップに嵌入された検知ユニット、信号処理ユニットを備える第1データ測定ユニットと第2データ測定ユニットを含み、
前記マイクロ流体チップは、スライドガラス、スライドガラスに設置されたPDMSベース、PDMSベース内部に設置されたマイクロ流路入口、マイクロ流路出口及びマイクロ流路入口とマイクロ流路出口を連通させた矩形マイクロ流路を含み、
前記検知ユニットは、前記矩形マイクロ流路の両側に対称的に設置され且つ直列接続された第1抵抗器と第2抵抗器、直列接続された第1検出コイルと第2検出コイルを含み、直列接続された第1抵抗器と第2抵抗器及び直列接続された第1検出コイルと第2検出コイルは並列接続されて第1接続ポート、第2接続ポート、第3接続ポート及び第4接続ポートを形成し、
前記信号処理ユニットは、前記第1接続ポートと第3接続ポートに接続されて前記検知ユニットに励起信号を提供するための励起モジュールと、前記第2接続ポートと第4接続ポートに接続されて前記検知ユニットの出力する信号を処理するためのデータ収集モジュールと、通信モジュールとを集積したものであり、
前記第1データ測定ユニットは、更に前記データ収集モジュールに接続されて波形信号を表示するための表示モジュールを含み、
前記第2データ測定ユニットは、更に、前記信号処理ユニットで処理した後の粒子汚染物に対応する波形信号を受信し且つコンピュータに遠隔伝送する、外部から接続される無線データ伝送モジュールと、外部から接続されるコンピュータと、を含む。
【0007】
さらに、前記第1抵抗器と第2抵抗器は、抵抗値が同じであり、且つ固定値抵抗器又は可変抵抗器の一方又は両方の組み合わせを含む。
【0008】
さらに、前記第1検出コイルと第2検出コイルは、抵抗値が同じであり、且つシングルソレノイドコイル、デュアルワイヤコイル又は平面インダクタンスコイルのうちの1つを含む。
【0009】
本発明の他の態様の前記に基づく機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置でのマイクロ流体チップの製作方法は、
マイクロ流路金型と検知ユニットを所定の位置でスライドガラスに固定するステップS1と、
スライドガラスにモデル材料PDMSを流し込み、且つモデル材料が流れ込まないように検知ユニットの第1接続ポート、第2接続ポート、第3接続ポート及び第4接続ポートをモデル材料外部に分布するステップS2と、
モデル材料を流し込んだチップをオーブンに置いて80℃の温度で1時間ベーキングして、モデル材料を硬化させるステップS3と、
検出通路金型を硬化後のモデル材料から引き出し、せん孔機でマイクロ流路の両端にそれぞれ穴を開けて、マイクロ流路入口とマイクロ流路出口を形成するステップS4と、を含む。
【0010】
本発明の他の態様の機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置のデータ処理方法は、
励起モジュールが励起信号を検知ユニットに出力するステップ1と、
被検出油試料が検知ユニットに入るステップ2と、
検知ユニットが粒子汚染物の数量と大きさに関連する電圧信号をデータ収集モジュールに出力するステップ3と、
データ収集モジュールが収集した粒子汚染物の数量と大きさに関連する電圧信号を処理し、更にデジタル・アナログ変換器で処理後の電圧信号をデジタル信号に変換し、ステップ5又はステップ6を実行するステップ4と、
通信モジュールがデジタル信号を取得し、それを粒子汚染物に対応する波形信号に変換し、表示モジュールに出力するステップ5と、
通信モジュールがデジタル信号を取得し、それを粒子汚染物に対応する波形信号と大きさ値に変換し、無線データ伝送モジュールに出力し、無線データ伝送モジュールが信号処理モジュールで処理した後の粒子汚染物に対応する波形信号を受信し、コンピュータに遠隔伝送するステップ6と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
従来技術に比べると、本発明は以下のメリットを有する。
【0012】
1、本発明による機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置は、ブリッジの不平衡性を利用し、比較法を用いて測定して、初期状態出力の「零電位」を可能にし、強磁性と非強磁性の検出精度を高くする。
【0013】
2、本発明による機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置は、2つの検出コイルをそれぞれ2つの検出ユニットとして、二通路同期検出を可能にし、油液検出処理量を高くする。
【0014】
3、本発明による機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置は、油液検出の遠隔化監視測定と検出携帯性向上を同時に実現できる。
【0015】
上記理由から、本発明は油液システムの故障検出等の分野に広く普及可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の記述に使用する必要がある図面を簡単に紹介し、下記の図面が本発明の一部の実施例であり、当業者であれば、創造的労動を行わずにこれらの図面に基づいて他の図面を得るのができることはいうまでもない。
【
図2】本発明のマイクロ流体チップと検知ユニットの構造図である。
【
図4】本発明の検知ユニットと信号処理モジュールの接続模式図である。
【
図6】本発明の実施例による45μmの鉄粒子の検出の信号図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
相互に違反しない限り、本発明における実施例及び実施例における特徴を互いに組み合わせてもよいのを説明する必要がある。以下、図面を参照して実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の実施例の目的、技術的手段及びメリットをより明らかにするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的手段を明らか且つ完全に説明し、説明される実施例が全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎないことはいうまでもない。以下の少なくとも1つの例示的実施例に対する説明は実際に説明するためのものに過ぎなく、決して本発明及びその応用や使用に何の制限も加えない。当業者が本発明における実施例に基づいて創造的労動を行うことなく得た他の実施例は、全て本発明が保護する範囲に含まれるものとする。
【0019】
本明細書で使用される技術用語は具体的な実施形態を記述するためのものに過ぎず、本発明による例示的実施形態を限定する意図がないことに注意されたい。例えば、文脈に別に明記しない限り、本明細書で使用される単数形態に複数形態をも含む意図があり、なお、本明細書で技術用語の「含有する」及び/又は「含む」を使用する時に、特徴、工程、操作、デバイス、アセンブリ及び/又はそれらの組合せが存在するのを示すことも理解されたい。
【0020】
別に具体的に説明しない限り、これらの実施例に記載の部材と工程の相対的配置、数式及び数値は本発明の範囲を限定するものではない。また、説明の便宜上、図面に示す各部分のサイズは実際の比例関係に基づいて描かれたものではないことを理解すべきである。当業者に既知の技術、方法及びデバイスについての詳細な検討を省略する場合があるが、適切な場合に、前記技術、方法及びデバイスを授権明細書の一部と見なすべきである。本明細書に示して検討する全ての例において、全ての具体的値は限定するものではなく、例示的なものと解釈すべきである。従って、例示的実施例の他の例は異なる値を有してもよい。類似する符号と文字は下記の図面において類似項目を示すため、ある項目が1つの図面で定義されると、その以降の図面でそれについて更に検討する必要がないことに注意されたい。
【0021】
本発明の記述では、「前、後、上、下、左、右」、「横方向、縱方向、垂直、水平」及び「頂、底」等の方位詞で示す方位又は位置関係は一般に図面に基づいて示す方位又は位置関係であり、その目的はただ本発明を容易に記述し記述を簡単化することにあり、反対に説明しない限り、これらの方位詞は示される装置又は素子が必ず特定の方位を有し又は特定の方位で構成され操作されることを明示、暗示しないため、本発明の保護範囲を限定するものと理解してはならなく、方位詞の「内、外」は各部材自身の輪郭に対する内外を指すことを理解されたい。
【0022】
説明の便宜上、本明細書では、例えば図に示すデバイス又は特徴と他のデバイス又は特徴との空間位置関係を記述するために、例えば、「…の上」、「…の上方」、「…の上面」、「上の」等の空間相対技術用語を用いてよい。空間相対技術用語は、図に記載の方位以外、デバイスの使用又は操作での異なる方位をも含むのを意図することを理解すべきである。例えば、図面におけるデバイスを反対に配置した場合に、「他のデバイス又は構造の上方」又は「他のデバイス又は構造の上」と記述したデバイスはその後で「他のデバイス又は構造の下方」又は「他のデバイス又は構造の下」と位置決めされる。従って、例示的技術用語の「…の上方」は「…の上方」及び「…の下方」といった2種の方位を含むことが可能である。このデバイスを他の異なる方式で位置決めすることもでき(90度回転させ又は他の方位に位置させる)、そしてここで使用する空間相対記載を対応的に解釈する。
【0023】
なお、「第1」、「第2」等の用語を用いて部品を限定する目的は、ただ対応する部品を区別しやすくすることにあり、特に断らない限り、上記用語は特別な意味がないため、本発明の保護範囲を限定するものと理解してはならないことを説明すべきである。
【0024】
図1に示すように、本発明による機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置は、共に、共用されるマイクロ流体チップ、マイクロ流体チップに嵌入された検知ユニット、信号処理ユニットを備える第1データ測定ユニットと第2データ測定ユニットを含み、
図2に示すように、マイクロ流体チップは、スライドガラス7、スライドガラス7に設置されたPDMSベース4、PDMSベース4の内部に設置されたマイクロ流路入口1、マイクロ流路出口3及びマイクロ流路入口1とマイクロ流路出口3を連通させた矩形マイクロ流路を含み、
図3、4に示すように、検知ユニット8は、前記矩形マイクロ流路の両側に対称的に設置され且つ直列接続された第1抵抗器2と第2抵抗器6、直列接続された第1検出コイル5と第2検出コイル16を含み、直列接続された第1抵抗器2と第2抵抗器6及び直列接続された第1検出コイル5と第2検出コイル16は並列接続されて第1接続ポート17、第2接続ポート18、第3接続ポート19及び第4接続ポート20を形成しており、
図1を参照し続け、信号処理ユニット9は、前記第1接続ポート17と第3接続ポート19に接続されて前記検知ユニット8に励起信号を提供するための励起モジュール13と、前記第2接続ポート18と第4接続ポート20に接続されて前記検知ユニット8の出力する信号を処理するためのデータ収集モジュール14と、通信モジュール15とを集積したものであり、
前記第1データ測定ユニットは、更に前記データ収集モジュール14に接続されて波形信号を表示するための表示モジュール10を含み、前記第1データ測定ユニットは、検知チップ8、信号処理モジュール9及び表示モジュール10によって、油液検出の携帯性向上を実現でき(
図1参照)、データ収集モジュール1は検知ユニット8の出力する信号を処理し、デジタル・アナログ変換器で処理後の電圧信号をデジタル信号に変換する。通信モジュール15はデータ収集モジュール14の出力するデジタル信号を取得し、それを粒子汚染物に対応する波形信号に変換する。通信モジュール15は表示モジュール10に接続されており、粒子汚染物に対応する波形信号は表示モジュール10に表示される。
【0025】
前記第2データ測定ユニットは、更に、前記信号処理ユニット9で処理した後の粒子汚染物に対応する波形信号を受信し且つコンピュータ12に遠隔伝送する、外部から接続される無線データ伝送モジュール11と、外部から接続されるコンピュータ12と、を含む。前記第2データ測定ユニットは、検知ユニット8、信号処理モジュール9、無線データ伝送モジュール11及びコンピュータ12によって、油液検出の遠隔化を実現できる。第2データ測定ユニットの信号取得及び信号処理方法は第1データ測定ユニットと同じであり、1つの検知ユニット8と1つの信号処理モジュール9を共用するが、外部から無線データ伝送モジュール11とコンピュータ12が接続される。無線データ伝送モジュール11は信号処理ユニット9で処理した後の粒子汚染物に対応する波形信号を受信し、コンピュータ12に遠隔伝送する。
【0026】
本発明の検出方式は「単独励起、二通路、単独処理、二重監視制御」のモードである。具体的に言えば以下のとおりである。
【0027】
信号処理ユニット9における励起モジュール13は検知ユニット8に励起信号(例えば、交流信号、直流信号)を提供して、単独励起を可能にする。
【0028】
検知ユニット8における第1検出コイル5と第2検出コイル16の両方はそれぞれ検出通路として、油液中の金属粒子汚染物を同時に検出し、金属粒子汚染物に関連する電圧信号を出力することができ、二通路検出を可能にする。
【0029】
金属粒子汚染物が第1検出コイル5又は第2検出コイル16を通過していない時に、抵抗値が同じ第2抵抗器6と第1抵抗器2及び抵抗値が同じ第1検出コイル5と第2検出コイル16が並列接続されているため、第2接続ポート18と第4接続ポート20の出力電圧が0mvである。即ち、検出の初期状態の時に、出力端の出力電圧値が「零位」である。金属粒子汚染物が第1検出コイル5又は第2検出コイル16を通過すると、出力端の出力電圧値に変動が生じる。信号処理ユニット9におけるデータ収集モジュール14、通信モジュール15はこの変動電圧信号を収集し且つ処理し、信号の単独処理を実現する。
【0030】
第1データ測定ユニットと第2データ測定ユニットによってそれぞれ油液検出の携帯性向上と遠隔化監視制御を可能にし、機械磨損状態の二重監視制御を可能にする。
【0031】
本発明における新規なブリッジによる金属粒子汚染物の検出メカニズムは以下のとおりである。
【0032】
磁性金属粒子汚染物が第1検出コイル5を通過する時に、磁性金属粒子汚染物が磁化される強度が第1検出コイル5の発生する渦電流効果より大きいため、第1検出コイル5の占める分圧が第2検出コイル16より大きく、第1抵抗器2と第2抵抗器6の占める分圧が変わらない。従って、電流が高電位から低電位へ流れ、第2接続ポート18と第4接続ポート20の出力電圧ピークが大きくなる。
【0033】
磁性金属粒子汚染物が第2検出コイル16を通過する時に、磁性金属粒子汚染物が磁化される強度が第2検出コイル16の発生する渦電流効果より大きいため、第2検出コイル16の占める分圧が第1検出コイル5より大きく、第1抵抗器2と第2抵抗器6の占める分圧が変わらない。従って、電流が高電位から低電位へ流れ、第2接続ポート18と第4接続ポート20の出力電圧ピークが小さくなる。
【0034】
非磁性金属粒子汚染物が第1検出コイル5を通過する時に、渦電流効果が磁化作用より大きいため、第1検出コイル5の占める分圧が第2検出コイル16より小さく、第1抵抗器2と第2抵抗器6の占める分圧が変わらない。従って、電流が高電位から低電位へ流れ、第2接続ポート18と第4接続ポート20の出力電圧ピークが小さくなる。
【0035】
非磁性金属粒子汚染物が第2検出コイル16を通過する時に、渦電流効果が磁化作用より大きいため、第1検出コイル5の占める分圧が第2検出コイル16より大きく、第1抵抗器2と第2抵抗器6の占める分圧が変わらない。従って、電流が高電位から低電位へ流れ、第2接続ポート18と第4接続ポート20の出力電圧ピークが大きくなる。
【0036】
出力電圧ピークの変化回数及び変化量の大きさは粒子汚染物の濃度と大きさの情報となり、それによって油液中の強磁性粒子汚染物と非強磁性粒子汚染物の検出が可能になる。
図6は、本発明の実施例による45μmの鉄粒子の検出の信号図を示す。
【0037】
具体的に実施する時に、本発明の好ましい実施形態として、前記第1抵抗器2と第2抵抗器6は、抵抗値が同じであり、且つ固定値抵抗器又は可変抵抗器の一方又は両方の組み合わせを含む。2つの抵抗値が同じ固定値抵抗器であってもよいし、一方が固定値抵抗器であり他方が可変抵抗器である等のような組み合わせであってもよい。
【0038】
具体的に実施する時に、本発明の好ましい実施形態として、前記第1検出コイル5と第2検出コイル16は、抵抗値が同じであり、且つシングルソレノイドコイル、デュアルワイヤコイル又は平面インダクタンスコイルのうちの1つを含む。2つのパラメータが同じシングルソレノイドコイルであってもよいし、2つのパラメータが同じデュアルワイヤコイルであってもよいし、2つの平面インダクタンスコイル等であってもよい。
【0039】
また、本発明は、機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置でマイクロ流体チップの製作方法を提供し、該製作方法は、
マイクロ流路金型と検知ユニットを所定の位置でスライドガラスに固定するステップS1と、
スライドガラスにモデル材料PDMSを流し込み、且つモデル材料が流れ込まないように検知ユニットの第1接続ポート、第2接続ポート、第3接続ポート及び第4接続ポートをモデル材料外部に分布するステップS2と、
モデル材料を流し込んだチップをオーブンに置いて80℃の温度で1時間ベーキングして、モデル材料を硬化させるステップS3と、
検出通路金型を硬化後のモデル材料から引き出し、せん孔機でマイクロ流路の両端にそれぞれ穴を開けて、マイクロ流路入口とマイクロ流路出口を形成するステップS4と、を含む。
【0040】
また、本発明は、
図5に示すように、機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置のデータ処理方法を提供し、該処理方法は、
励起モジュールが励起信号を検知ユニットに出力するステップ1と、
被検出油試料が検知ユニットに入るステップ2と、
検知ユニットが粒子汚染物の数量と大きさに関連する電圧信号をデータ収集モジュールに出力するステップ3と、
データ収集モジュールが収集した粒子汚染物の数量と大きさに関連する電圧信号を処理し、更にデジタル・アナログ変換器で処理後の電圧信号をデジタル信号に変換し、ステップ5又はステップ6を実行するステップ4と、
通信モジュールがデジタル信号を取得し、それを粒子汚染物に対応する波形信号に変換し、表示モジュールに出力するステップ5と、
通信モジュールがデジタル信号を取得し、それを粒子汚染物に対応する波形信号と大きさ値に変換し、無線データ伝送モジュールに出力し、無線データ伝送モジュールが信号処理モジュールで処理した後の粒子汚染物に対応する波形信号を受信し、コンピュータに遠隔伝送するステップ6と、を含む。
【0041】
最後に以下のことを説明すべきである。以上の各実施例は本発明の技術的手段を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではなく、上述した各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、上述した各実施例に記載の技術的手段を修正するか、その技術的特徴の一部又は全部に同等な取り替えを実施することも可能であり、これらの修正や取り替えによって、対応する技術的手段の本質が本発明の各実施例の技術的手段の範囲から逸脱しないことは当業者に自明である。
【0042】
(付記)
(付記1)
共に、共用されるマイクロ流体チップ、マイクロ流体チップに嵌入された検知ユニット、信号処理ユニットを備える第1データ測定ユニットと第2データ測定ユニットを含み、
前記マイクロ流体チップは、スライドガラス、スライドガラスに設置されたPDMSベース、PDMSベース内部に設置されたマイクロ流路入口、マイクロ流路出口及びマイクロ流路入口とマイクロ流路出口を連通させた矩形マイクロ流路を含み、
前記検知ユニットは、前記矩形マイクロ流路の両側に対称的に設置され且つ直列接続された第1抵抗器と第2抵抗器、直列接続された第1検出コイルと第2検出コイルを含み、直列接続された第1抵抗器と第2抵抗器及び直列接続された第1検出コイルと第2検出コイルは並列接続されて第1接続ポート、第2接続ポート、第3接続ポート及び第4接続ポートを形成し、
前記信号処理ユニットは、前記第1接続ポートと第3接続ポートに接続されて前記検知ユニットに励起信号を提供するための励起モジュールと、前記第2接続ポートと第4接続ポートに接続されて前記検知ユニットの出力する信号を処理するためのデータ収集モジュールと、通信モジュールとを集積したものであり、
前記第1データ測定ユニットは、更に前記データ収集モジュールに接続されて波形信号を表示するための表示モジュールを含み、
前記第2データ測定ユニットは、更に、前記信号処理ユニットで処理した後の粒子汚染物に対応する波形信号を受信し且つコンピュータに遠隔伝送する、外部から接続される無線データ伝送モジュールと、外部から接続されるコンピュータと、を含むことを特徴とする機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置。
【0043】
(付記2)
前記第1抵抗器と第2抵抗器は、抵抗値が同じであり、且つ固定値抵抗器又は可変抵抗器の一方又は両方の組み合わせを、含むことを特徴とする付記1に記載の機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置。
【0044】
(付記3)
前記第1検出コイルと第2検出コイルは、抵抗値が同じであり、且つシングルソレノイドコイル、デュアルワイヤコイル又は平面インダクタンスコイルのうちの1つを、含むことを特徴とする付記1に記載の機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置。
【0045】
(付記4)
マイクロ流路金型と検知ユニットを所定の位置でスライドガラスに固定するステップS1と、
スライドガラスにモデル材料PDMSを流し込み、且つモデル材料が流れ込まないように検知ユニットの第1接続ポート、第2接続ポート、第3接続ポート及び第4接続ポートをモデル材料外部に分布するステップS2と、
モデル材料を流し込んだチップをオーブンに置いて80℃の温度で1時間ベーキングして、モデル材料を硬化させるステップS3と、
検出通路金型を硬化後のモデル材料から引き出し、せん孔機でマイクロ流路の両端にそれぞれ穴を開けて、マイクロ流路入口とマイクロ流路出口を形成するステップS4と、を含むことを特徴とする付記1-3のいずれか一つに記載のマイクロ流体チップの製作方法。
【0046】
(付記5)
励起モジュールが励起信号を検知ユニットに出力するステップ1と、
被検出油試料が検知ユニットに入るステップ2と、
検知ユニットが粒子汚染物の数量と大きさに関連する電圧信号をデータ収集モジュールに出力するステップ3と、
データ収集モジュールが収集した粒子汚染物の数量と大きさに関連する電圧信号を処理し、更にデジタル・アナログ変換器で処理後の電圧信号をデジタル信号に変換し、ステップ5又はステップ6を実行するステップ4と、
通信モジュールがデジタル信号を取得し、それを粒子汚染物に対応する波形信号に変換し、表示モジュールに出力するステップ5と、
通信モジュールがデジタル信号を取得し、それを粒子汚染物に対応する波形信号と大きさ値に変換し、無線データ伝送モジュールに出力し、無線データ伝送モジュールが信号処理モジュールで処理した後の粒子汚染物に対応する波形信号を受信し、コンピュータに遠隔伝送するステップ6と、を含むことを特徴とする付記1-3のいずれか一つに記載の機械設備の健全性を監視制御するための新規なブリッジ油液測定装置のデータ処理方法。
【符号の説明】
【0047】
1 マイクロ流路入口
2 第1抵抗器
3 マイクロ流路出口
4 PDMSベース
5 第1検出コイル
6 第2抵抗器
7 スライドガラス
8 検知ユニット
9 信号処理ユニット
10 表示モジュール
11 無線データ伝送モジュール
12 コンピュータ
13 励起モジュール
14 データ収集モジュール
15 通信モジュール
16 第2検出コイル
17 第1接続ポート
18 第2接続ポート
19 第3接続ポート
20 第4接続ポート
【外国語明細書】