(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120788
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】磁気消去式イーライター
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20220810BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
G02F1/13 102
G02F1/1334
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022001691
(22)【出願日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】17/168,507
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502144800
【氏名又は名称】ケント ディスプレイズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ダニエルズ, アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】アーンスト, トッド
(72)【発明者】
【氏名】ハート, ネイサン
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
【Fターム(参考)】
2H088EA02
2H088GA03
2H088GA10
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA06
2H088JA15
2H088JA29
2H088MA20
2H189AA04
2H189CA13
2H189HA16
2H189JA15
2H189JA25
2H189LA01
2H189LA03
2H189LA08
2H189MA15
(57)【要約】
【課題】新規なライティング装置又はイーライターを提供すること。
【解決手段】本発明のイーライターは、磁気作動型電子回路を用いて書き込まれた画像が消去されるコレステリック液晶材料を含む。先行技術のイーライターの機械的消去ボタンを取り除くことによって、イーライターは、イーライターのほぼ全面をカバーすることができるディスプレイ占有部分を有するように設計することができる。消去用の磁石は、例えばスタイラスの一部としてハンドヘルド型とすることができるデバイスと共に使用することができる。消去磁石が装置から分離され、機械的消去ボタンが省略されるので、イーライターは、先行技術のイーライターの欠点である意図しない消去を回避することもできる。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレステリック液晶材料を含む液晶層と、
間に前記液晶層が配置される複数の導電層と、
前記導電層及び前記液晶層が間に配置されるフレキシブル基板及び背面基板と
を備えるライティング装置であって、
前記コレステリック液晶材料が、前記フレキシブル基板に圧力を加えることによって反射性テクスチャーを形成し、
当該ライティング装置は、前記コレステリック液晶材料のシースルーテクスチャーを形成するために、前記導電層に電圧を印加するための磁気作動型電子回路を備える、ライティング装置。
【請求項2】
前記フレキシブル基板が透明である、請求項1に記載のライティング装置。
【請求項3】
前記背面基板が不透明又は半透明である、請求項1に記載のライティング装置。
【請求項4】
前記背面基板がフレキシブルである、請求項1に記載のライティング装置。
【請求項5】
前記背面基板が透明である、請求項1に記載のライティング装置。
【請求項6】
前記背面基板に隣接して配置された光吸収層を含む、請求項1に記載のライティング装置。
【請求項7】
前記光吸収層が不透明又は半透明である、請求項6に記載のライティング装置。
【請求項8】
前記磁気作動型電子回路が磁気作動型スイッチを備える、請求項1に記載のライティング装置。
【請求項9】
前記磁気作動型電子回路を作動させる磁石を備える、請求項1に記載のライティング装置。
【請求項10】
前記磁石は、前記フレキシブル基板に対して拘束されておらず、前記フレキシブル基板の外部にある、請求項9に記載のライティング装置。
【請求項11】
前記磁石が取り付けられるハンドヘルドデバイス、又は前記磁石がその一部を形成するハンドヘルドデバイスを含む、請求項10に記載のライティング装置。
【請求項12】
前記ハンドヘルドデバイスがスタイラスである、請求項11に記載のライティング装置。
【請求項13】
前記磁石が永久磁石である、請求項9に記載のライティング装置。
【請求項14】
前記磁石が電磁石である、請求項9に記載のライティング装置。
【請求項15】
前記磁気作動型電子回路を封じるハウジングを備える、請求項10に記載のライティング装置。
【請求項16】
前記磁石が前記ハウジングに接触又は接近することによって前記磁気作動型電子回路が作動される、請求項15に記載のライティング装置。
【請求項17】
前記磁石が前記フレキシブル基板に接触又は接近することによって前記磁気作動型電子回路が作動される、請求項15に記載のライティング装置。
【請求項18】
前記コレステリック液晶材料が、ポリマー分散型コレステリック液晶を含む、請求項1に記載のライティング装置。
【請求項19】
当該ライティング装置は、
前記液晶層に対して積層されたコレステリック液晶材料を含む第2の液晶層と、
前記第2の液晶層が間に配置される複数の第2の導電層と
を備え、
前記第2の液晶層の前記コレステリック液晶材料が、前記フレキシブル基板に圧力を加えることによって反射性テクスチャーを形成し、
前記電子回路が、前記第2の導電層に電圧を印加して、前記第2の液晶層の前記コレステリック液晶材料のシースルーテクスチャーを形成する、請求項1に記載のライティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して述べるならば、コレステリック液晶感圧画像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステリック液晶イーライター(eWriter)は、紙の代替品として2010年に商業市場に導入された。ケントディスプレイズインコーポレイテッド(Kent Displays,Inc.)によってブギーボード(BOOGIE BOARD)(登録商標)イーライターという名称で開発され、導入されたこれらの装置は、紙への筆記感や筆記体験を与える。コレステリック液晶イーライターは、かかるイーライターが軽量であり、紙への筆記感を与え、低コストであり、画像を表示するために高価なデジタル電子装置又はバックライトを必要としないという点で、デジタルタブレット技術に対してかなりの改善をもたらす。紙と同様に、イーライターは、電力を印加せずに無限に続く、書かれた画像を作り出す。イーライターは多種多様な用途を見出しており、例えば、リマインダーとしてのメモ書きや、他者、ビジネス及び他の活動へのメッセージのためのメモ書き、玩具等の用途が挙げられる。教育の分野では、イーライターは、年少の子供が描いたり書いたりすることを教えるのに特に有用である。このようなイーライター100が
図1に示されている。コレステリック液晶ディスプレイ101は、ユーザがスタイラス又は指の爪等の尖った硬い物品で画像を書き込むことができる感圧書込み面を提供する。ディスプレイ上に書き込まれた画像は、ボタン103を押すだけで消去され、ライティング装置を何千回も繰り返して再使用することができ、紙を用いて書き込むことに伴う無駄や不便さを回避することができる。ボタン103を押すと、ハウジング102内に隠れている電子回路を作動させる機械的スイッチが閉じ、画像を消去し、別の画像のためにディスプレイを初期化する。
【0003】
イーライターは商業的に成功しているが、ボタン消去機構には問題点がある。機械的消去ボタンスイッチ及び関連する電子装置の設置面積はeWriter上のかなりのスペースを占めるが、そのようなスペースを占めなければ、より大きなディスプレイのために使用することが可能となる。また、消去ボタンは偶然に押されることがあり、これは容易に起こり、しばしば不都合な時に行ってしまう。これは、人が精巧な写真をトレース又は描いている最中であるときや、重要な電話番号、名前、又はアイデアが装置上に書き留められたときに、特にフラストレーションを引き起こす。また、機械的であるため、ボタンスイッチは、何回も使用すると故障しやすい。これらの問題点を解消するために、別の消去機構を有するイーライターを開示する。
【発明の概要】
【0004】
上述した先行技術のイーライターで遭遇する問題を克服する磁気消去式ライティング装置又はイーライターが開示される。機械的ボタンの代わりに、磁気作動型の電子消去回路を作動させるために、磁石がイーライターに接触するか、又はその近傍に配置されると、イーライターは消去される。磁石は、非常に小型のハンドヘルド型(手持ち型)磁石とすることができる。本開示の重要な特徴は、磁石、又は磁石を含むハンドヘルド機器が、イーライター自体から完全に分離され得ることである。本開示は、先行技術のイーライターの機械的消去ボタンを除去し、外部磁石と、消去のために使用されイーライターのハウジング内に配置される磁気作動型電子回路によって置き換えられるものについてであり、これにより、ディスプレイの占有部分が実質的により大きくなることを可能にする。消去用の機械的スイッチを使用せずに、イーライターをより頑丈にすることもできる。さらに、機械的消去ボタンを取り除くことにより、意図しない消去(消去ユーザが誤ってボタンにぶつかったり触れたりして、従来技術のイーライター装置においてしばしば起こる消去であり、イーライターに書き込まれた必要な情報又は図面が消去される)が防止される。さらに、ユーザは、誰かが容易に又は偶然にメッセージを消去することを心配することなく、自分自身又は他者のためにイーライターにメッセージを書き込むことができる。イーライターは、磁石なしでそのままにしておくと、消去することができない。したがって、イーライターは、ビジネス又は他の貴重な書き込まれた情報等のために、より自信を持って確実に使用され得る。磁石は、例えば、イーライター上に書き込むために使用される尖った先端とは反対側のスタイラスの端部上に配置されるのに十分に小さくすることができる。鉛筆と同様に、スタイラスは、スタイラスの一端を使用して画像を書き込み、他端で、イーライター内に収容された磁気作動型スイッチの位置に磁石を接触又は接近させることによって、画像を消去することができる。磁石はスタイラスの一部である必要はなく、別個のユニットであってもよい。
【0005】
本開示の第1の一般的な態様では、ライティング装置は以下の要素を含む。液晶層は、コレステリック液晶材料を含む。液晶層が間に配置される複数の導電層を含む。フレキシブル(可撓性)基板及び背面基板を含み、その間に導電層及び液晶層が配置される。コレステリック液晶材料は、フレキシブル基板に圧力を加えることによって反射性テクスチャーを形成する。磁気作動型電子回路は、コレステリック液晶材料のシースルーテクスチャーを形成するために導電層に電圧を印加する。
【0006】
第1の態様のより具体的な特徴、任意の組み合わせで使用することができる特徴を参照すると、第1の特徴は、フレキシブル基板が透明であることである。
【0007】
別の特徴では、背面基板は不透明又は半透明である。
【0008】
さらに別の特徴では、背面基板はフレキシブルである。
【0009】
さらなる特徴は、背面基板が透明であることである。
【0010】
別の特徴は、背面基板に隣接して配置された光吸収層を含むライティング装置である。別の特徴では、光吸収層は不透明又は半透明である。
【0011】
さらなる特徴は、磁気作動型電子回路が磁気作動型スイッチを含むことである。さらなる特徴は、装置が、磁気作動型電子回路を作動させる磁石を備えることである。さらに別の特徴では、磁石は、フレキシブル基板に対して拘束されておらず、フレキシブル基板に対して外部にある。前記特徴を参照すると、ライティング装置は、磁石が取り付けられるかハンドヘルドデバイス又はその一部を形成するハンドヘルドデバイスを含む。別の特徴では、ハンドヘルドデバイスはスタイラスである。
【0012】
別の特徴では、磁石は永久磁石又は電磁石である。
【0013】
さらに別の特徴において、ライティング装置は、磁気作動型電子回路を隠すないしは封じるハウジングを含む。別の特徴は、磁気作動型電子回路が、外部磁石がハウジングに接触又は接近することによって作動されることである。あるいは、ある特徴では、磁気作動型電子回路は、外部磁石がフレキシブル基板に接触又は接近することによって作動される。
【0014】
別の特徴において、コレステリック液晶材料は、ポリマー分散型コレステリック液晶を含む。
【0015】
第1の態様の別の特定の特徴は、液晶層に対して積層されたコレステリック液晶材料を含む第2の液晶層を含む積層型ライティング装置を対象とする。第2の液晶層が間に配置される複数の第2の導電層を有する。第2の液晶層のコレステリック液晶材料は、フレキシブル基板に圧力を加えることによって反射テクスチャーを形成する。電子回路は、第2の導電層に電圧を印加して、第2の液晶層のコレステリック液晶材料のシースルーテクスチャーを形成する。
【0016】
上記の「発明の概要」は、広い意味で本開示の実施形態を説明するが、以下の「発明を実施するための形態」は、本開示の実施形態をより狭く説明するものであり、特許請求の範囲において広く定義される本開示の必要な限定として解釈されるべきではない特定の実施形態を提示するものであることを理解されたい。本開示の多くの追加の特徴、利点、及びより完全な理解は、添付の図面及び以下の発明を実施するための形態から得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】先行技術のコレステリック液晶イーライターを示す図である。
【
図2A】本開示の磁気消去式イーライター及びその構成要素を示す概略側面図である。
【
図3】本開示の別の実施形態の積層型の磁石消去式イーライターの側面図である。
【
図4A】本開示の磁石消去式イーライター・プロトタイプの正面図である。
【
図4B】
図4Aの磁気消去式イーライターの画像を消去するためのハンドヘルド型磁石である。この例では、磁石はイーライターに書き込むためのスタイラスに取り付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図2Aには、磁気消去式イーライター200が示されている。磁気消去式イーライター200の構成要素は、磁気作動型電子回路220と、磁気作動型電子回路220によって消去される感圧コレステリック液晶ディスプレイ201aとを含む。感圧コレステリック液晶ディスプレイ201aは、2つの基板、すなわちフレキシブル基板210(前面基板)と背面基板214との間に封じ込められた液晶層213のコレステリック液晶材料を含む。両方の基板は、間に挟まれた液晶層213に隣接する導電層又は電極212でコーティングされるか、又は導電層又は電極212を支持する。導電層212は、当技術分野で知られているように、ポリマースペーサを使用して特定のセルギャップに離間されてもよい。液晶層213のコレステリック液晶材料は、当技術分野で知られているポリマー分散コレステリック液晶(米国特許第8139039号明細書又は同第6104448号明細書を参照。これらは全て参照により本明細書に組み込まれる)及び/又は一般的に使用されるポリマー分散コレステリック液晶を含むことができる。背面基板214は、透明であり、この背面基板214の後に配置された光吸収層215を支持し又は露出させるようになっており、光吸収層は不透明であり、ダークバックグラウンドを提供する。別の選択肢としては、背面基板214が透明であり、背面基板214の後に配置された光吸収層215が半透明であるとすることもできる(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9、946106号明細書)。あるいは、背面基板214自体を不透明又は半透明にして、光吸収層215の代わりにディスプレイのバックグラウンドを形成することができる。半透明という用語は、一部の光が反射され、一部の光が透過され、一部の光が吸収されることを意味し、灰色又は有色の光を反射することができる。フレキシブル基板210及び電極212は、液晶層213のコレステリック液晶材料によって生成される画像及び光吸収層215によって形成されるバックグラウンドを観察するために透明である。
【0019】
画像は、米国特許第6、104448号明細書に記載されているように、液晶層213のコレステリック液晶材料の2つの光学的に対照的なテクスチャーによって形成される。これらのテクスチャーの一方は、平面テクスチャー又は反射テクスチャーとして当技術分野で知られている明るい光反射テクスチャーである。他方のテクスチャーは、下にある光吸収層215によって形成されたバックグラウンドを露出させるために透けて見える(シースルーテクスチャー)フォーカルコニックテクスチャーとして知られる光散乱テクスチャーである。光吸収層215は、通常、反射テクスチャーの明るい反射色と対照的な黒色又は暗い色であり、画像を生成する。液晶層213はまた、多色であってもよい(参照により組み込まれる米国特許第9927672号明細書)。
【0020】
感圧コレステリック液晶ディスプレイ201aは、磁気作動型スイッチ211aによって作動される消去電子装置208を含む磁気作動型電子回路220によって消去され、スイッチ及び消去電子装置の両方は電源207によって電力供給される。磁気作動型スイッチ211aは、例えば、テキサスインストルメンツ社(Texas Instruments)製のDRV5032FCとすることができ、これは、磁石(
図2A又は
図2Bに図示せず)が磁気作動型スイッチ211aに近付くと、電気信号を生成して消去電子装置208を作動させる。磁石は、永久磁石、電磁石、又はこれら2つの組み合わせとすることができる。消去電子装置208は、導電層212に消去電圧を供給する。消去電圧は、米国特許第10558065号明細書(本明細書中に参考として組み込まれる)に開示されるような低速放電消去を可能とする電圧であり得るか、又は同特許明細書に開示され、そして当該分野で公知であるようなパルス又は一連のパルスであり得る。消去電子装置208、磁気作動型スイッチ211a、及びバッテリ207は、ハウジング202内に封じられることができる。磁気作動型スイッチ211aは、ハウジング202に対して任意の位置に配置することができ、例えば、
図2Bに示すように、ディスプレイ201aの背後又はディスプレイ201aの横のいずれかに配置することができる。位置211bは、それが消去を行うために磁石が配置されるべき位置であることを示す、ハウジング又はフレキシブル基板上に置かれた印を有するものであってもよい。磁気作動型スイッチ211aは、この磁気作動型スイッチの位置211bに磁石を接触又は接近させることによって作動される。磁石によって提供される磁場は、磁気作動型スイッチ211aを作動させるのに十分である。感圧コレステリック液晶ディスプレイ201aは、
図2Bにスクリーン201bとして示されている。スクリーン201bは、画像を形成するためにフォーカルコニックテクスチャー(シースルーテクスチャー)を通して見られるバックグラウンドに対してコレステリック液晶を平面テクスチャー(反射テクスチャー)に変化させるためにフレキシブル基板210に圧力を加えることができる書込み面を提供する。磁気作動型スイッチ211aを作動させると、感圧コレステリック液晶ディスプレイ201aがフォーカルコニックテクスチャーに初期化され、全ての画像が消去される。典型的には、磁気作動型の消去電子装置220は、上述したように、電圧パルスを導電層212に印加して、液晶層213のコレステリック液晶材料をシースルーテクスチャー又はフォーカルコニックテクスチャーに電気的に駆動することによって、イーライターを初期化する。このテクスチャーでは、例えば光吸収層215によって提供されるディスプレイのバックグラウンドが観察される。バックグラウンドが黒色である場合、初期化されたディスプレイ全体は、
図2Bの画面201bによって示されるように黒色に見える。
【0021】
尖ったスタイラス又は指の爪でフレキシブル基板210(前面基板)を押すと、液晶が局所的に変位して流れ、スタイラスの位置で可視性が高く、明るく、色反射性を有する平面テクスチャーに変化する。圧力が加えられていないスクリーンの領域は、フォーカルコニックテクスチャーのままである。反射色は、フォーカルコニックテクスチャーを通して観察される暗いバックグラウンドに対して良好なコントラストを有し、スタイラス又は指の爪によって書き込まれる画像を生成する。紙に書くのと同様に、画像は無期限に残る。画像は、例えば、
図2Bに図示される印211bによって示されるように、ディスプレイ201aの背後又はディスプレイ201aの側方のいずれかに磁気作動型スイッチ211aが配置された場所に磁石を接触又は接近させることによって消去される。すなわち、スイッチ211aは、位置211bにおいてハウジング202の外面の下に示されるように、ハウジング内に隠すことができる。磁気作動型スイッチ211aは、消去電子装置208を作動させ、電極212に消去電圧を生成し、それによって、画像を消去するとともに、新しい画像のためにディスプレイを初期化する。位置211b(及び
図4Aの411)におけるハウジング表面又は位置211bの近くのハウジング表面からの、磁石を置くことのできる距離は、磁気作動型スイッチを隠しているイーライター装置の部分を通して磁気作動型スイッチ211aを作動させるのに十分な磁石によって生成される磁界の程度に依存する。例えば、磁気作動型スイッチの位置の近くの磁石でフレキシブル基板210に触れると磁気作動型スイッチ211aが作動するように、磁気作動型スイッチ211aを配置することができる。
【0022】
便宜上、磁気作動型スイッチ211aを作動させる磁石は、ハンドヘルド型物品の一部として形成されてもよく、又はハンドヘルド型物品に取り付けられてもよい。物品は、感圧コレステリック液晶ディスプレイ201a上に書き込むための尖った端部又は先端405を有するスタイラス404(
図4B)であってもよく、又は、利便性がよいであろう腕時計上のような任意の他の物品であってもよい。磁石406は、スタイラス404の先端405とは反対側の端部に配置することができる。また、磁石は、独立型であってもよく、任意の物品に取り付けられていなくてもよい(例えば、フレキシブル基板に対して拘束されておらず、フレキシブル基板210の外部にあるものでもよい)。特定の特徴において、スタイラス404の先端部405は、鉛、インク、顔料等を施さず、ポリマーからなるものとしてもよい。
【0023】
コレステリック液晶ディスプレイが、より明るいディスプレイ又は白色などの異なる色のディスプレイを提供するために積層型ディスプレイであってもよい実施形態は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8139039号明細書及び同第8228301号明細書に開示されている。
図3は、コレステリック液晶材料の積層された液晶層313a及び313bを含む二層の積層型イーライター300を示し、コレステリック液晶層313a及び313bは、反射性キラリティが異なる(一方が左で他方が右)か、反射性色が異なるか、又はその両方である。コレステリック液晶材料は、ポリマー分散型コレステリック液晶を含む。積層構造では、基板310はすべてフレキシブルであり、液晶層313a及び313bと、光吸収層315又は他の層(黒色、灰色、有色、多色若しくは半透明のバックグラウンドを提供することができる層)を観察するのに十分に透明である。背面基板314は、光吸収層315によって提供されるバックグラウンドを観察するために透明であってもよく、又は他の所望の効果のために半透明であってもよい(米国特許第9946106号明細書)。背面基板314は、不透明又は半透明であることによってバックグラウンドとしての役割を果たし、光吸収層315又は他の層の必要性を回避することができる。導電層312a、312bは、基板310、314上に形成されるか、そうでなければそれらによって支持される。磁気作動型消去電子装置220は、組を構成する導電層312a及び組を構成する導電層312bに消去電圧を印加するために、
図2の単一基板型イーライター200に使用されるものと同一であってもよい。
図2の磁気作動型消去電子回路はまた、トリプルスタックシステムを消去するために使用されてもよく、その場合、消去電子装置208への2つの接続部によって駆動されるように適切に組み合わせられた導電層を有する液晶層のトリプルスタック(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8228301号明細書を参照)をイーライターが含み得る。
【0024】
本開示は、次に、本開示の理解を改善するために提示される実施例を取り上げるが、それは特許請求の範囲に記載される本開示を限定するために使用されるべきではない。
【実施例0025】
作業用磁石で消去を行うイーライター・プロトタイプを組み立てた。プロトタイプは、市販のケントディスプレイズインコーポレイテッド製ブギーボードダッシュ(Boogie Board Dash(商標))(WT18234)イーライターを、磁気作動型スイッチを含むように消去電子装置を作り出すとともに、ボタン及び関連する機械的消去スイッチを取り除くことによって、改造して、作製した。ブギーボードダッシュ(Boogie Board Dash(商標))(WT18234)イーライターの磁気消去回路は、
図2に示されるように改造され、電源207(CR2025電池)と、磁気作動型スイッチ211a(テキサスインストルメンツ社のDRV5032FC)と、消去ボタンを電子装置からタクトスイッチを取り外すことによって無関係なものとし、そのボタンはハウジング内の適所に固定した状態のケントディスプレイズインコーポレイテッド製ブギーボードダッシュ(Boogie Board Dash(商標))(WT18234)イーライターの消去回路208とを備えるものとした。感圧コレステリック液晶ディスプレイ201aは、ケントディスプレイズインコーポレイテッド製ブギーボードダッシュ(Boogie Board Dash(商標))(WT18234)イーライター製品400a(
図4A)のものとした。
図2A及び
図4Aに示されるように、磁気スイッチ211aは、改造されたブギーボードダッシュ(Boogie Board Dash(商標))(WT18234)イーライター製品400a位置411に位置するハウジング402内に封じられている(感圧コレステリック液晶ディスプレイ201aもハウジング内に配置され、スクリーン401は露出されている)。磁気作動型スイッチ211aを作動させるために使用される磁石406は、直径1/4インチ×厚さ1/16インチのN42グレードネオジム永久磁石としたが、同様の磁石又は電磁石を用いることもできる。磁石406を位置411でハウジングに接触させるか、又は磁石を位置411のごく近傍に持ってくると、磁気作動型スイッチ211aが作動し、スクリーン401上で見られるコレステリック液晶ディスプレイ201a上の画像を瞬時に消去することが観察された。磁石のみを使用して、磁気作動型スイッチ211aを作動させ、画像を消去することができるが、その磁石は、便宜上、
図4Bのスタイラス404上に配置されたものとした。磁石406は、スタイラス404の尖った筆記先端405とは反対側の端部に配置された。従来技術とは異なり、改造されたブギーボードダッシュ(Boogie Board Dash(商標))(WT18234)イーライター上に書き込まれた画像は、通常の取扱いによって偶発的に消去することはできなかった。イーライター400aは、磁石を使用しなければ消去することができず、画像をイーライター上に無期限に残すことができる。しかし、磁石をハウジングの位置411にてイーライターに接近又は接触させると、画像は瞬時に消去された。
【0026】
開示された実施形態の多くの修正及び変形ができることは、前述の開示に照らして当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、具体的に示され、説明されたものとは別の方法で実施することができることを理解されたい。
200…イーライター(ライティング装置)、201a…液晶ディスプレイ、201b…スクリーン(画面)、202…ハウジング、207…電源、208…消去電子装置(消去回路)、210…フレキシブル基板、211a…磁気作動型スイッチ、211b…位置、212…導電層(電極)、213…液晶層、214…背面基板、215…光吸収層、220…磁気作動型電子回路(磁気作動型消去電子装置)、300…積層型イーライター、310…フレキシブル基板、312a、312b…導電層、313a、131b…液晶層、314…背面基板、315…光吸収層、400a…イーライター製品、401…スクリーン、402…ハウジング、404…スタイラス、405…先端、406…磁石
開示された実施形態の多くの修正及び変形ができることは、前述の開示に照らして当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、具体的に示され、説明されたものとは別の方法で実施することができることを理解されたい。
[発明の項目]
[項目1]
コレステリック液晶材料を含む液晶層と、
間に前記液晶層が配置される複数の導電層と、
前記導電層及び前記液晶層が間に配置されるフレキシブル基板及び背面基板と
を備えるライティング装置であって、
前記コレステリック液晶材料が、前記フレキシブル基板に圧力を加えることによって反射性テクスチャーを形成し、
当該ライティング装置は、前記コレステリック液晶材料のシースルーテクスチャーを形成するために、前記導電層に電圧を印加するための磁気作動型電子回路を備える、ライティング装置。
[項目2]
前記フレキシブル基板が透明である、項目1に記載のライティング装置。
[項目3]
前記背面基板が不透明又は半透明である、項目1に記載のライティング装置。
[項目4]
前記背面基板がフレキシブルである、項目1に記載のライティング装置。
[項目5]
前記背面基板が透明である、項目1に記載のライティング装置。
[項目6]
前記背面基板に隣接して配置された光吸収層を含む、項目1に記載のライティング装置。
[項目7]
前記光吸収層が不透明又は半透明である、項目6に記載のライティング装置。
[項目8]
前記磁気作動型電子回路が磁気作動型スイッチを備える、項目1に記載のライティング装置。
[項目9]
前記磁気作動型電子回路を作動させる磁石を備える、項目1に記載のライティング装置。
[項目10]
前記磁石は、前記フレキシブル基板に対して拘束されておらず、前記フレキシブル基板の外部にある、項目9に記載のライティング装置。
[項目11]
前記磁石が取り付けられるハンドヘルドデバイス、又は前記磁石がその一部を形成するハンドヘルドデバイスを含む、項目10に記載のライティング装置。
[項目12]
前記ハンドヘルドデバイスがスタイラスである、項目11に記載のライティング装置。
[項目13]
前記磁石が永久磁石である、項目9に記載のライティング装置。
[項目14]
前記磁石が電磁石である、項目9に記載のライティング装置。
[項目15]
前記磁気作動型電子回路を封じるハウジングを備える、項目10に記載のライティング装置。
[項目16]
前記磁石が前記ハウジングに接触又は接近することによって前記磁気作動型電子回路が作動される、項目15に記載のライティング装置。
[項目17]
前記磁石が前記フレキシブル基板に接触又は接近することによって前記磁気作動型電子回路が作動される、項目15に記載のライティング装置。
[項目18]
前記コレステリック液晶材料が、ポリマー分散型コレステリック液晶を含む、項目1に記載のライティング装置。
[項目19]
当該ライティング装置は、
前記液晶層に対して積層されたコレステリック液晶材料を含む第2の液晶層と、
前記第2の液晶層が間に配置される複数の第2の導電層と
を備え、
前記第2の液晶層の前記コレステリック液晶材料が、前記フレキシブル基板に圧力を加えることによって反射性テクスチャーを形成し、
前記電子回路が、前記第2の導電層に電圧を印加して、前記第2の液晶層の前記コレステリック液晶材料のシースルーテクスチャーを形成する、項目1に記載のライティング装置。