(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012080
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】情報管理システムおよび情報管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20220107BHJP
G16Y 10/60 20200101ALI20220107BHJP
G16Y 20/40 20200101ALI20220107BHJP
【FI】
G06Q50/22
G16Y10/60
G16Y20/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113628
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592019213
【氏名又は名称】学校法人昭和大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻元 洋典
(72)【発明者】
【氏名】中村 明央
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】異なる医療機関の間でユーザの診療情報をユーザに分かりやすく共有させること。
【解決手段】情報管理システムは、ユーザが使用する端末装置と、一の医療機関においてユーザの診療情報を保持する医療機関装置と、サーバ装置とを備える。端末装置は、ユーザから診療情報の受信指示を受け付けた場合に、記憶部に記憶された一の医療機関におけるユーザの識別情報を含む端末IDを医療機関装置へ送信し、端末IDに基づいて医療機関装置から提供される診療情報を取得する。また、端末装置は、ユーザから診療情報のサーバ装置への送信指示を受け付けた場合に、サーバ装置においてユーザを一意に識別するユーザIDとともに診療情報をサーバ装置へ送信する。医療機関装置は、端末装置から端末IDを受け付けた場合に、端末IDに含まれる識別情報に対応する診療情報を端末装置へ提供する。サーバ装置は、端末装置から受信したユーザIDと診療情報とを関連付けて記憶部に格納する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用する端末装置と、一の医療機関において前記ユーザの診療情報を保持する医療機関装置と、サーバ装置とを備え、
前記端末装置は、
前記ユーザから前記診療情報の受信指示を受け付けた場合に、記憶部に記憶された前記一の医療機関における前記ユーザの識別情報を含む端末IDを前記医療機関装置へ送信し、該端末IDに基づいて前記医療機関装置から提供される前記診療情報を取得する取得部と、
前記ユーザから前記診療情報の前記サーバ装置への送信指示を受け付けた場合に、前記サーバ装置において前記ユーザを一意に識別するユーザIDとともに前記診療情報を前記サーバ装置へ送信する送信部と
を備え、
前記医療機関装置は、
前記端末装置から前記端末IDを受け付けた場合に、当該端末IDに含まれる前記識別情報に対応する前記診療情報を前記端末装置へ提供する提供部と
を備え、
前記サーバ装置は、
前記端末装置から受信した前記ユーザIDと前記診療情報とを関連付けて記憶部に格納する格納部と
を備えることを特徴とする情報管理システム。
【請求項2】
前記識別情報は、前記ユーザを前記一の医療機関の患者として一意に識別する患者IDを含み、
前記提供部は、
前記端末IDに含まれる前記患者IDに該当する前記診療情報を前記端末装置へ提供する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記識別情報は、前記一の医療機関における前記ユーザの診察券を一意に識別する診察券IDを含み、
前記提供部は、
前記診察券を読み取ることによって取得される前記診察券IDが前記端末装置から受け付けた前記端末IDに含まれる場合に、当該診察券IDへ関連付けられた患者に該当する前記診療情報を前記端末装置へ提供する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報管理システム。
【請求項4】
前記提供部は、
近距離無線通信によって前記診療情報を前記端末装置へ提供する
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の情報管理システム。
【請求項5】
前記提供部は、
前記診療情報を前記端末装置へ提供する前に、当該診療情報の前記一の医療機関における守秘義務は消失する旨を前記端末装置へ通知する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の情報管理システム。
【請求項6】
前記提供部は、
前記一の医療機関を一意に識別する医療機関IDおよび前記識別情報を組み合わせて前記端末装置により読み取り可能な第1のコード情報を生成し、
前記端末装置の記憶部は、
前記端末装置によって読み取られた前記第1のコード情報に基づいて、前記識別情報、前記医療機関IDおよび前記ユーザIDを関連付けて記憶し、
前記取得部は、
前記記憶部に記憶された前記識別情報に基づいて前記端末IDを生成する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の情報管理システム。
【請求項7】
前記送信部は、
前記一の医療機関以外の他の医療機関によって提供される当該他の医療機関の医療機関IDを含む第2のコード情報を読み取った場合に、前記サーバ装置へ当該他の医療機関の医療機関IDおよび前記ユーザIDを送信することによって、当該ユーザIDへ関連付けられた前記診療情報が前記他の医療機関において閲覧可能となるように前記サーバ装置に前記診療情報のアクセス制御を変更させる
ことを特徴とする請求項6に記載の情報管理システム。
【請求項8】
ユーザが使用する端末装置と、一の医療機関において前記ユーザの診療情報を保持する医療機関装置と、サーバ装置とを用いた情報管理方法であって、
前記端末装置が、
前記ユーザから前記診療情報の受信指示を受け付けた場合に、記憶部に記憶された前記一の医療機関における前記ユーザの識別情報を含む端末IDを前記医療機関装置へ送信し、該端末IDに基づいて前記医療機関装置から提供される前記診療情報を取得し、
前記ユーザから前記診療情報の前記サーバ装置への送信指示を受け付けた場合に、前記サーバ装置において前記ユーザを一意に識別するユーザIDとともに前記診療情報を前記サーバ装置へ送信する
処理を実行し、
前記医療機関装置が、
前記端末装置から前記端末IDを受け付けた場合に、当該端末IDに含まれる前記識別情報に対応する前記診療情報を前記端末装置へ提供する
処理を実行し、
前記サーバ装置が、
前記端末装置から受信した前記ユーザIDと前記診療情報とを関連付けて記憶部に格納する
処理を実行することを特徴とする情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理システムおよび情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や診療所等の医療機関を受診したユーザの診療情報を複数の医療機関の間で共有するための技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-018470号公報
【特許文献2】特開2003-076789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、ユーザにとって仕組みが分かりにくいという問題があった。
【0005】
一つの側面では、異なる医療機関の間でユーザの診療情報をユーザに分かりやすく共有させることができる情報管理システムおよび情報管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、情報管理システムは、ユーザが使用する端末装置と、一の医療機関において前記ユーザの診療情報を保持する医療機関装置と、サーバ装置とを備える。前記端末装置は、前記ユーザから前記診療情報の受信指示を受け付けた場合に、記憶部に記憶された前記一の医療機関における前記ユーザの識別情報を含む端末IDを前記医療機関装置へ送信し、該端末IDに基づいて前記医療機関装置から提供される前記診療情報を取得する取得部と、前記ユーザから前記診療情報の前記サーバ装置への送信指示を受け付けた場合に、前記サーバ装置において前記ユーザを一意に識別するユーザIDとともに前記診療情報を前記サーバ装置へ送信する送信部とを備える。前記医療機関装置は、前記端末装置から前記端末IDを受け付けた場合に、当該端末IDに含まれる前記識別情報に対応する前記診療情報を前記端末装置へ提供する提供部を備える。前記サーバ装置は、前記端末装置から受信した前記ユーザIDと前記診療情報とを関連付けて記憶部に格納する格納部を備える。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、異なる医療機関の間でユーザの診療情報をユーザに分かりやすく共有させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1にかかる情報管理システムの概要説明図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係る情報管理システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例1に係る医療機関装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施例1に係る端末装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施例1に係るサーバ装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、診療情報DBの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、端末装置におけるログイン時の画面遷移を示す図である。
【
図16】
図16は、端末装置における取得処理時の画面遷移を示す図である。
【
図17】
図17は、端末装置における検査結果閲覧時の画面遷移を示す図である。
【
図18】
図18は、端末装置における処方内容閲覧時の画面遷移を示す図である。
【
図20】
図20は、端末装置における送信処理時の画面遷移を示す図である。
【
図22】
図22は、端末装置における情報公開処理時の画面遷移を示す図である。
【
図23】
図23は、端末装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する情報管理システムおよび情報管理方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、各実施例は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【実施例0010】
[情報管理システムの概要]
図1は、実施例1に係る情報管理システム1の概要説明図である。なお、本実施例では、「医療機関」は、医療を提供する医療提供施設を指し、病床数等を問わず、病院や、診療所等を広く含むものとする。また、「医療機関」は、薬局や、訪問看護ステーション等を含んでもよい。
【0011】
また、本実施例では、各医療機関において、診察券は、いわゆる非接触型IC(integrated circuit)カードで実現されているものとする。
【0012】
図1に示すように、情報管理システム1は、医療機関装置10と、端末装置100と、サーバ装置200とを含む。医療機関装置10は、一の医療機関においてユーザUの診療情報を保持する装置である。
【0013】
なお、本実施例では、ユーザUが「病院A」を受診し、かかる病院Aに設けられた医療機関装置10-1が、病院AにおけるユーザUの診療情報を診療情報データベース(以下、「DB」という)に保持しているものとする。
【0014】
ところで、近年、このように病院Aで保持するユーザUの診療情報を、他の医療機関(例えば、
図1に示す「病院C」)との間で共有することは一般的になってきている。しかしながら、その仕組みは、ユーザUにとっては自身の診療情報に関するにも関わらず、ユーザUにとって分かりにくいという問題がある。
【0015】
そこで、実施例1に係る情報管理システム1では、ユーザUに分かりやすいユーザインターフェイス(以下、「UI」という)を提供しつつ、かかるUIを介したユーザUの意思に基づき、異なる医療機関の間でユーザUの診療情報を共有させることとした。
【0016】
端末装置100は、かかるユーザUが使用する装置である。端末装置100は、例えばスマートフォンやノート型PC(Personal Computer)等の情報処理端末である。なお、端末装置100は、タブレット端末や、PDA(Personal Digital Assistant)、ユーザUが装着するウェアラブル端末等であってもよい。
【0017】
本実施例では、
図1に示すように、端末装置100はスマートフォンであるものとする。また、以下の説明では、端末装置100のことをユーザUという場合がある。
【0018】
端末装置100は、例えば情報管理システム1における専用アプリが動作することによって、ユーザUに対し、情報管理システム1向けのUIを提供する。
【0019】
サーバ装置200は、情報管理システム1の全体を管理するとともに、異なる医療機関の間で共有する診療情報を診療情報共有DBに保持し、保持する各診療情報のアクセス制御を行う装置である。サーバ装置200は、例えば、インターネットや携帯電話回線網等を介してアクセス可能なクラウドサーバとして実現される。
【0020】
このような構成において、情報管理システム1では、ユーザUを主体として診療情報を異なる医療機関の間で共有させる。以下、より具体的に、病院Aの医療機関装置10-1が保持するユーザUの診療情報を、病院Cの医療機関装置10-2において閲覧可能となる場合を例に挙げて説明する。
【0021】
まず、情報管理システム1では、ユーザUに自身の診療情報を保持させる。具体的には、
図1に示すように、情報管理システム1では、医療機関装置10-1が、ユーザUの診察券および端末装置100を用いてユーザUを認証し(ステップS1)、病院Aの患者としてのユーザUに、当該ユーザUが使用する端末装置100を関連付ける。
【0022】
なお、ステップS1では、医療機関装置10-1が診察券を読み取って生成し、ユーザUへ向けて提示するQRコード(登録商標)等を用いる。かかる点の詳細については、
図13等を用いた説明で後述する。
【0023】
そして、医療機関装置10-1は、かかるユーザUへ関連付けられた端末装置100へ、ユーザUの診療情報を提供する。このとき、医療機関装置10-1は、診療情報を暗号化して提供する。
【0024】
そして、端末装置100は、かかる医療機関装置10-1から提供される診療情報を取得し(ステップS2)、記憶する。このとき、端末装置100は、例えばBluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)等の近距離無線通信によって診療情報を取得する。
【0025】
このように、端末装置100が、暗号化された診療情報を近距離無線通信によって取得することで、携帯電話回線網の基地局等の外部装置を経由することによる情報漏洩のリスクを軽減することができる。
【0026】
なお、
図1の端末装置100の画面上に示すように、診療情報には、例えば基本情報や、検査結果、処方内容、アレルギー等に関する情報が含まれる。
【0027】
そして、情報管理システム1では、端末装置100に保持されたユーザUの診療情報は、サーバ装置200に対し、前述の専用アプリを介して、ユーザUの意思により送信される(ステップS3)。サーバ装置200は、受信した診療情報を、診療情報共有DBへ格納する。
【0028】
すなわち、情報管理システム1では、ユーザUが、自身の意思により、自身の診療情報を異なる医療機関の間での共有対象とする。これにより、異なる医療機関の間でユーザUの診療情報をユーザUに分かりやすく共有させることができる。
【0029】
また、情報管理システム1では、診療情報共有DBへ格納された診療情報は、ユーザUの意思により情報公開される(ステップS4)。すなわち、情報管理システム1では、ユーザUが、自身の意思により、自身の診療情報の公開先を決定する。これにより、異なる医療機関の間でユーザUの診療情報をユーザUに分かりやすく共有させることができる。
【0030】
なお、ステップS2の取得処理、ステップS3の送信処理およびステップS4の情報公開処理における具体的な処理手順や端末装置100の画面遷移等については、
図15~
図22を用いた説明で後述する。
【0031】
[全体構成]
以下、情報管理システム1の構成の一例について、より具体的に説明する。
図2は、実施例1に係る情報管理システム1の全体構成の一例を示す図である。
図2に示すように、情報管理システム1は、1以上の医療機関装置10と、端末装置100と、サーバ装置200とを含む。
【0032】
また、
図2に示すように、医療機関装置10と、端末装置100と、サーバ装置200とは、インターネットや携帯電話回線網等であるネットワークNによって相互に接続され、ネットワークNを介して相互にデータを送受信可能に設けられている。ただし、ユーザUの診療情報の提供元となる医療機関装置10-1と、端末装置100とは、上述したように近距離無線通信を用いた直接通信により相互にデータを送受信する。
【0033】
[機能的構成]
次に、
図3は、実施例1に係る医療機関装置10の機能的構成の一例を示すブロック図である。また、
図4は、実施例1に係る端末装置100の機能的構成の一例を示すブロック図である。また、
図5は、実施例1に係るサーバ装置200の機能的構成の一例を示すブロック図である。なお、
図3~
図5では、本実施例の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0034】
換言すれば、
図3~
図5に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0035】
また、
図3~
図5を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0036】
(医療機関装置)
まず、医療機関装置10から説明する。
図3に示すように、医療機関装置10は、読み取り部11と、表示部12と、近距離無線通信部13と、通信部14と、記憶部15と、制御部16とを備える。
【0037】
読み取り部11は、ユーザUの診察券を読み取る例えばカードリーダである。表示部12は、画像情報の出力デバイスであって、例えばディスプレイ等で実現される。近距離無線通信部13は、例えば、NFC(Near Field Communication)規格に応じたインターフェイスである。近距離無線通信部13は、端末装置100との間で近距離無線通信による直接通信を実現する。なお、読み取り部11および近距離無線通信部13は、統合されてもよい。
【0038】
通信部14は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部14は、ネットワークNを介して他の医療機関装置10やサーバ装置200と有線または無線で接続され、これら装置との間で情報の送受信を行う。
【0039】
記憶部15は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図3に示す例では、記憶部15は、認証情報15aと、診療情報DB15bとを記憶する。
【0040】
認証情報15aは、上述したステップS1の認証処理に関する情報である。診療情報DB15bは、一の医療機関における患者ごとの診療情報を格納するDBである。
【0041】
ここで、
図6に認証情報15aの一例を示す。
図6は、認証情報15aの一例を示す図である。
図6に示すように、認証情報15aは、例えば、「IDm」項目と、「患者ID」項目と、「医療機関ID」項目と、「QRコード」項目とを有する。
【0042】
「IDm」項目は、診察券のカード固有番号であるIDmが格納される。IDmは、「診察券ID」の一例に相当する。「患者ID」は、IDmに関連付けられ、ユーザUを一の医療機関における患者として一意に識別する患者IDが格納される。IDmおよび患者IDは、読み取り部11によって読み取られる。
【0043】
「医療機関ID」は、一の医療機関を一意に識別する医療機関IDが格納される。すなわち、病院Aであれば、病院Aを示す医療機関IDが格納される。「QRコード」項目は、「IDm」項目のIDm、「患者ID」項目の患者IDおよび「医療機関ID」項目の医療機関IDを組み合わせて生成されるQRコードが格納される。
【0044】
また、
図7に診療情報DB15bの一例を示す。
図7は、診療情報DB15bの一例を示す図である。
図7に示すように、診療情報DB15bは、例えば、「No.」項目と、「IDm」項目と、「患者ID」項目と、「診療データ」項目とを有する。
【0045】
「No.」項目は、診療情報DB15bの各レコードを識別するレコード番号が格納される。「IDm」項目は、患者ごとの診察券のIDmが格納される。「患者ID」項目は、患者ごとの患者IDが格納される。「診療データ」項目は、「基本情報」、「検査結果」、「処方内容」、「アレルギー」等の各項目を含み、患者ごとのこれら各項目の該当データが格納される。
【0046】
図3の説明に戻る。制御部16は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部15に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部16は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0047】
制御部16は、認証部16aと、取得部16bと、抽出部16cと、提供部16dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0048】
認証部16aは、上述したステップS1の認証処理を実行する。具体的には、認証部16aは、ユーザUによる読み取り部11に対する診察券のかざし操作に基づいて診察券を読み取り、IDmおよび患者IDを取得する。
【0049】
また、認証部16aは、取得したIDmおよび患者IDと、医療機関IDとを組み合わせてQRコードを生成し、例えば表示部12へ表示させる。なお、後述するが、端末装置100は、表示部12に表示されたQRコードを読み取り、情報管理システム1においてユーザUを一意に識別するユーザIDと関連付けて「登録情報」として記憶する。
【0050】
取得部16bは、端末装置100がユーザUから診療情報の受信指示を受け付けた場合に、端末装置100から送信される「端末ID」を取得する。「端末ID」は、前述の「登録情報」と、端末装置100を示す固有文字列とを組み合わせた端末装置100の識別コードである。
【0051】
また、取得部16bは、ユーザUによる読み取り部11に対する診察券のかざし操作に基づいて診察券を読み取り、IDmおよび患者IDを取得する。また、取得部16bは、診察券から取得したIDmおよび端末IDに基づいて診療情報の提供先を特定する。
【0052】
具体的には、取得部16bは、診察券から取得したIDmが端末IDに含まれる場合に、当該端末IDに該当する端末装置100を、診療情報の提供先として特定する。抽出部16cは、端末IDに含まれるIDmに関連付けられた患者IDに該当する診療情報を診療情報DB15bから抽出する。
【0053】
提供部16dは、抽出部16cによって抽出された診療情報を、取得部16bによって特定された端末装置100へ提供する。このとき、提供部16dは、近距離無線通信部13を介した直接通信により、診療情報を端末装置100へ送信する。
【0054】
なお、提供部16dは、診療情報を端末装置100へ提供する前に、当該診療情報の当該医療機関における守秘義務は消失する旨を端末装置100へ通知する。これにより、ユーザUが自身で診療情報を保持することに伴う免責事項を通知することができる。
【0055】
(端末装置)
次に、端末装置100について説明する。
図4に示すように、端末装置100は、読み取り部101と、操作部102と、表示部103と、近距離無線通信部104と、通信部105と、記憶部106と、制御部107とを備える。
【0056】
読み取り部101は、前述のQRコードを読み取る例えばカメラである。操作部102は、ユーザUからの操作を受け付ける入力デバイスである。表示部103は、画像情報の出力デバイスであって、例えばディスプレイ等で実現される。なお、操作部102および表示部103は、例えばタッチパネルディスプレイを用いることにより統合されてもよい。
【0057】
近距離無線通信部104は、上述した近距離無線通信部13と同様に、例えば、NFC規格に応じたインターフェイスである。近距離無線通信部104は、医療機関装置10との間で近距離無線通信による直接通信を実現する。
【0058】
通信部105は、上述した通信部14と同様に、例えば、NIC等によって実現される。通信部105は、ネットワークNを介してサーバ装置200と有線または無線で接続され、サーバ装置200との間で情報の送受信を行う。
【0059】
記憶部106は、上述した記憶部15と同様に、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図4に示す例では、記憶部106は、登録情報106aと、端末ID106bと、診療情報106cとを記憶する。
【0060】
登録情報106aは、上述した「登録情報」に相当する情報である。端末ID106bは、上述した「端末ID」に相当する情報である。すなわち、端末ID106bは、登録情報106aの各レコードと、端末装置100を示す固有文字列とを組み合わせた端末装置100の識別コードである。診療情報106cは、医療機関装置10から取得したユーザUの診療情報である。
【0061】
ここで、
図8に登録情報106aの一例を示す。
図8は、登録情報106aの一例を示す図である。
図8に示すように、登録情報106aは、例えば、「IDm」項目と、「患者ID」項目と、「医療機関ID」項目と、「ユーザID」項目とを有する。
【0062】
「IDm」項目と、「患者ID」項目と、「医療機関ID」項目とは、これまでと同様であるため、説明を省略する。「ユーザID」項目は、情報管理システム1においてユーザUを一意に識別するユーザIDが格納される。ユーザIDは、例えばユーザUのメールアドレスである。
【0063】
図8に示すように、登録情報106aは、異なる医療機関ごとに、ユーザUのIDm、患者ID、医療機関IDおよびユーザIDが関連付けられた情報である。
【0064】
また、
図9に端末ID106bの一例を示す。
図9は、端末ID106bの一例を示す図である。
図9に示すように、端末ID106bは、登録情報106aの各レコードと、端末装置100を示す固有文字列とを組み合わせた情報である。なお、
図9には、病院Aから診療情報を取得する場合に生成される端末IDの一例を示している。
【0065】
また、
図10に診療情報106cの一例を示す。
図10は、診療情報106cの一例を示す図である。
図10に示すように、診療情報106cは、上述した診療情報DB15bから抽出された、ユーザUの患者IDに該当するレコードである。
【0066】
図4の説明に戻る。制御部107は、上述した制御部16と同様に、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、記憶部106に記憶されている各種プログラム、例えば上述した専用アプリがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部107は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0067】
制御部107は、登録部107aと、取得部107bと、送信部107cとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0068】
登録部107aは、上述したステップS1の認証処理において、医療機関装置10が表示部12へ表示させたQRコードを読み取り、ユーザIDと関連付けて登録情報106aを生成して、記憶部106に記憶させる。
【0069】
取得部107bは、操作部102を介し、ユーザUから診療情報の受信指示を受け付けた場合に、登録情報106aに基づいて端末ID106bを生成する。そして、取得部107bは、近距離無線通信部104を介し、生成した端末ID106bを医療機関装置10へ送信する。
【0070】
また、取得部107bは、近距離無線通信部104を介し、送信した端末ID106bに基づいて医療機関装置10から提供される診療情報を取得し、診療情報106cとして記憶部106に記憶させる。
【0071】
送信部107cは、操作部102を介し、ユーザUから診療情報の送信指示を受け付けた場合に、通信部105を介し、ユーザIDとともに診療情報106cをサーバ装置200へ送信する。
【0072】
また、送信部107cは、一の医療機関以外の他の医療機関、例えば病院Cによって提供される当該病院Cの医療機関IDを含むQRコードを読み取った場合に、サーバ装置200へ病院Cの医療機関IDおよびユーザIDを送信する。
【0073】
また、送信部107cは、かかる病院Cの医療機関IDおよびユーザIDの送信することによって、当該ユーザIDへ関連付けられた診療情報が病院Cにおいて閲覧可能となるようにサーバ装置200に該当の診療情報のアクセス制御を変更させる。
【0074】
(サーバ装置)
次に、サーバ装置200について説明する。
図5に示すように、サーバ装置200は、通信部201と、記憶部202と、制御部203とを備える。
【0075】
通信部201は、上述した通信部14,105と同様に、例えば、NIC等によって実現される。通信部201は、ネットワークNを介して医療機関装置10および端末装置100と有線または無線で接続され、これら装置との間で情報の送受信を行う。
【0076】
記憶部202は、上述した記憶部15,106と同様に、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図5に示す例では、記憶部202は、ユーザ情報202aと、診療情報共有DB202bとを記憶する。
【0077】
ユーザ情報202aは、情報管理システム1を利用するユーザUのユーザアカウントとユーザIDとを関連付けた情報である。診療情報共有DB202bは、異なる医療機関の間で共有する診療情報をユーザIDごとに格納するDBである。
【0078】
ここで、
図11にユーザ情報202aの一例を示す。
図11は、ユーザ情報202aの一例を示す図である。
図11に示すように、ユーザ情報202aは、例えば、「No.」項目と、「ユーザID」項目と、「ユーザアカウント」項目とを有する。
【0079】
「No.」項目は、ユーザ情報202aの各レコードを識別するレコード番号が格納される。「ユーザID」項目は、各ユーザUのユーザIDが格納される。「ユーザアカウント」項目は、各ユーザUのユーザIDが格納される。
【0080】
図11に示すように、ユーザ情報202aは、ユーザIDごとにユーザアカウントが関連付けられた情報である。なお、
図11では、ユーザIDがメールアドレスであり、ユーザアカウントがユーザUの氏名である例を示しているが、ユーザIDは、情報管理システム1、すなわちサーバ装置200でユーザUを一意に識別できればよく、メールアドレスに限られない。また、ユーザアカウントは、氏名でなくともよく、任意の文字列であってもよい。
【0081】
また、
図12に診療情報共有DB202bの一例を示す。
図12は、診療情報共有DB202bの一例を示す図である。
図12に示すように、診療情報共有DB202bは、ユーザUの医療機関ごとの診療情報が、ユーザIDごとに格納されたDBである。
【0082】
また、
図12に示すように、診療情報共有DB202bの各レコードは、「公開先医療機関ID」項目を有する。「公開先医療機関ID」項目には、ユーザUの意思により閲覧を許可された医療機関の医療機関IDが格納される。
【0083】
図5の説明に戻る。制御部203は、上述した制御部16,107と同様に、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、記憶部202に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部203は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0084】
制御部203は、登録部203aと、格納部203bと、アクセス制御部203cと、公開部203dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0085】
登録部203aは、情報管理システム1を利用するユーザUの登録処理を実行し、ユーザIDとユーザアカウントを関連付けて、ユーザ情報202aへ登録する。
【0086】
格納部203bは、端末装置100から受信したユーザIDと診療情報106cとを関連付けて診療情報共有DB202bに格納する。
【0087】
アクセス制御部203cは、診療情報共有DB202bに格納された各診療情報のアクセス制御を行う。例えば、アクセス制御部203cは、ユーザUが公開先として追加した医療機関の医療機関IDおよびユーザIDを受信した場合に、当該ユーザIDへ関連付けられた診療情報が追加された医療機関において閲覧可能となるように、該当の診療情報のアクセス制御を変更する。
【0088】
例えば、アクセス制御部203cは、前述の「公開先医療機関ID」項目に医療機関を追加することによって、該当の診療情報のアクセス制御を変更する。
【0089】
公開部203dは、かかるアクセス制御部203cによる各診療情報のアクセス制御に基づき、公開先として指定された医療機関の医療機関装置10に対し、通信部201を介して診療情報を公開する。
【0090】
[処理手順]
(認証処理)
次に、
図1にステップS1として示した、端末装置100と医療機関装置10-1との間の認証処理の具体的な処理手順について、
図13を用いて説明する。
図13は、認証処理の処理シーケンス図である。また、説明を分かりやすくするために、適宜、
図14を参照する。
図14は、端末装置100におけるログイン時の画面遷移を示す図である。
【0091】
図13に示すように、認証処理では、まず端末装置100で上述の専用アプリが起動された後、ユーザUによる情報管理システム1へのログインが行われる(ステップS101)。
図14に示すように、情報管理システム1のログイン画面では、ユーザUによりユーザIDおよびパスワードが入力される。
【0092】
そして、「ログイン」ボタンB1がタップされると、端末装置100は、情報管理システム1のポータル画面へと遷移する。なお、ポータル画面には、図中のM1部に示すように、QRコードのスキャンボタンが配置されており、ユーザUがかかるスキャンボタンをタップすることにより、QRコードの読み取り画面へ遷移することができる。
【0093】
図13の説明に戻る。そして、ユーザUが、病院Aの診察券を医療機関装置10-1の読み取り部11にかざすと、医療機関装置10-1は、かかるかざし操作に基づいて診察券を読み取り(ステップS102)、IDmおよび患者IDを取得する。
【0094】
そして、医療機関装置10-1は、取得したIDmおよび患者IDと病院Aの医療機関IDを組み合わせ、QRコードを生成して、医療機関装置10-1の表示部12へ表示させる(ステップS103)。なお、ここでのQRコードは、「第1のコード情報」の一例に相当する。
【0095】
そして、端末装置100は、表示されたQRコードを読み取り(ステップS104)、読み取ったIDm、患者IDおよび医療機関IDに基づいて登録情報106aを生成し、記憶する(ステップS105)。
【0096】
(取得処理)
次に、
図1にステップS2として示した、端末装置100と医療機関装置10-1との間の取得処理の具体的な処理手順について、
図15を用いて説明する。
図15は、取得処理の処理シーケンス図である。また、説明を分かりやすくするために、適宜、
図16~
図18を参照する。
【0097】
図16は、端末装置100における取得処理時の画面遷移を示す図である。また、
図17は、端末装置100における検査結果閲覧時の画面遷移を示す図である。また、
図18は、端末装置100における処方内容閲覧時の画面遷移を示す図である。
【0098】
図15に示すように、取得処理では、まず端末装置100が、ユーザUから受信指示を受け付ける(ステップS201)。そして、端末装置100は、受信指示を受け付けると、登録情報106aに基づいて端末ID106bを生成し(ステップS202)、近距離無線通信部104を介して医療機関装置10-1へ送信する(ステップS203)。
【0099】
また、ユーザUが、病院Aの診察券を読み取り部11にかざすと、医療機関装置10-1は、かかるかざし操作に基づいて診察券を読み取り(ステップS204)、IDmおよび患者IDを取得する。
【0100】
そして、医療機関装置10-1は、診察券から読み取ったIDmおよび端末装置100から受信した端末ID106bに基づいて診療情報の提供先を特定する(ステップS205)。
【0101】
また、医療機関装置10-1は、診療情報を端末装置100へ提供する前に、かかる提供に伴って当該診療情報の病院Aにおける守秘義務は消失する旨の免責事項を端末装置100へ通知する(ステップS206)。
【0102】
そして、医療機関装置10-1は、診療情報DB15bからユーザUの患者IDに該当する診療情報を抽出し(ステップS207)、暗号化のうえ、近距離無線通信部13を介して端末装置100へ送信する(ステップS208)。
【0103】
そして、端末装置100は、医療機関装置10-1から送信された診療情報を取得して記憶する(ステップS209)。
【0104】
図16に示すように、かかる取得処理は、ユーザUが、例えば前述のポータル画面に配置された「取得」ボタンB2をタップすることによって開始される。そして、取得処理が開始されると、
図16の左下に示すように、端末装置100はデータ取得画面へと遷移する。かかるデータ取得画面には、例えば画面を表示したままカードリーダに診察券をかざすようにユーザUを案内するガイダンスが表示される。
【0105】
そして、ユーザUが診察券をカードリーダにかざすと、
図16の右上に示すように、端末装置100には前述の免責事項に関する通知が表示される。そして、ユーザUが、「取得開始」ボタンB3をタップすると、データの取得が開始され、データの取得が完了するまで、例えば
図16の右下に示す「データ取得中」のメッセージおよびインジケータ等が表示される。なお、ユーザUが「取得中止」ボタンB4をタップすると、取得処理は中止される。
【0106】
取得処理が完了すると、
図17に示すように、例えばポータル画面においてユーザUが「検査結果」ボタンB5をタップすれば、端末装置100において、医療機関装置10-1から取得された検査結果(ここでは、「血液検査」の結果)を閲覧することができる。
【0107】
また、
図18に示すように、例えばポータル画面においてユーザUが「処方内容」ボタンB6をタップすれば、端末装置100において、医療機関装置10-1から取得された処方内容を閲覧することができる。
【0108】
(送信処理)
次に、
図1にステップS3として示した、端末装置100とサーバ装置200との間の送信処理の具体的な処理手順について、
図19を用いて説明する。
図19は、送信処理の処理シーケンス図である。また、説明を分かりやすくするために、適宜、
図20を参照する。
図20は、端末装置100における送信処理時の画面遷移を示す図である。
【0109】
図19に示すように、送信処理では、まず端末装置100が、ユーザUから送信指示を受け付ける(ステップS301)。そして、端末装置100は、送信指示を受け付けると、診療情報106cへユーザIDおよび医療機関IDを関連付ける(ステップS302)。そして、端末装置100は、通信部105を介し、関連付けたユーザID、医療機関IDおよび診療情報106cをサーバ装置200へ送信する(ステップS303)。
【0110】
なお、このとき、端末装置100は、記憶部106に複数の医療機関の診療情報106cが存在すれば、それぞれの医療機関に対応する医療機関IDを関連付けて、すべてサーバ装置200へ送信してもよい。
【0111】
そして、サーバ装置200は、端末装置100から送信されたデータを取得して、ユーザIDごとに記憶する(ステップS304)。
【0112】
図20に示すように、かかる送信処理は、ユーザUが、例えば前述のポータル画面に配置された「送信」ボタンB7をタップすることによって開始される。そして、送信処理が開始されると、
図20の左下に示すように、端末装置100は、クラウドへのデータ送信画面へと遷移する。かかるデータ送信画面には、例えば送信対象となる各データ項目が表示されるとともに、「アップロード開始」ボタンB8が配置される。
【0113】
そして、ユーザUが、「アップロード開始」ボタンB8をタップすると、データの送信が開始され、データの送信が完了するまで、例えば
図20の右下に示す「アップロード中」のメッセージおよびインジケータ等が表示される。なお、ユーザUが「アップロード中止」ボタンB9をタップすると、送信処理は中止される。
【0114】
(情報公開処理)
次に、
図1にステップS4として示した、端末装置100と、医療機関装置10-2と、サーバ装置200との間の情報公開処理の具体的な処理手順について、
図21を用いて説明する。
図21は、情報公開処理の処理シーケンス図である。また、説明を分かりやすくするために、適宜、
図22を参照する。
図22は、端末装置100における情報公開処理時の画面遷移を示す図である。
【0115】
なお、
図21のユースケースは、病院Aでの診療情報を端末装置100に取得し、サーバ装置200へ送信済みのユーザUが、初めて病院Cを受診するために、病院Cの例えば受け付け窓口へ訪れた場面を想定する。
【0116】
図21に示すように、情報公開処理では、まず端末装置100で上述の専用アプリが起動された後、ユーザUによる情報管理システム1へのログインが行われる(ステップS401)。
【0117】
そして、ユーザUが、病院Cの診察券を医療機関装置10-2の読み取り部11にかざすと、医療機関装置10-2は、かかるかざし操作に基づいて診察券を読み取り(ステップS402)、IDmおよび患者IDを取得する。
【0118】
そして、医療機関装置10-2は、取得したIDmおよび患者IDと病院Cの医療機関IDを組み合わせ、QRコードを生成して、医療機関装置10-2の表示部12へ表示させる(ステップS403)。なお、ここでのQRコードは、「第2のコード情報」の一例に相当する。
【0119】
そして、端末装置100は、表示されたQRコードを読み取り(ステップS404)、通信部105を介し、サーバ装置200へユーザIDおよび病院Cの医療機関IDを送信する(ステップS405)。
【0120】
そして、サーバ装置200は、端末装置100からユーザIDおよび病院Cの医療機関IDを受信すると、受信したユーザIDに該当の診療情報が病院Cにおいて閲覧可能となるようにアクセス制御を変更する(ステップS406)。
【0121】
なお、かかる時点では、サーバ装置200においては、ユーザIDと病院Cの医療機関IDとの関連付けはなされているものの、病院Cの医療機関装置10-2においては、ユーザIDと、病院Cの患者としての患者IDとの関連付けはなされていない。
【0122】
ただし、医療機関装置10-2は、該当のユーザIDに関し、例えば診療情報の閲覧に際して、サーバ装置200に対しユーザIDをキーとした問い合わせを行うことで、閲覧を行うことが可能である。
【0123】
また、
図22に示すように、情報公開処理は、ユーザUが、例えば前述のポータル画面に配置された「公開先管理」ボタンB10をタップすることによって開始される。そして、情報公開処理が開始されると、
図22の左下に示すように、端末装置100は、公開先管理画面へと遷移する。
【0124】
かかる公開先管理画面には、例えばこれまでユーザUが公開先として許可した医療機関がリスト表示される。また、公開先管理画面には、「公開先の追加」ボタンB11が配置されている。
【0125】
そして、ユーザUが「公開先の追加」ボタンB11をタップすると、
図22の右上に示すように、端末装置100は例えばQRコードの読み取り画面へと遷移する。かかる読み取り画面には、例えば、カードリーダに診察券をかざした後、QRコードが表示されたらスキャンするようにユーザUを案内するガイダンスがあわせて表示される。
【0126】
そして、ユーザUがQRコードを読み取ると、
図22の右下に示すように、端末装置100は、QRコードに含まれる医療機関IDに該当する医療機関である病院Cが診療情報の公開先として追加されたことを示す画面へと遷移する。かかる画面には、公開データの一覧と、例えば「公開を停止」ボタンB12が配置されている。ユーザUは、かかる「公開を停止」ボタンB12をタップすることにより、任意に公開を停止することができる。
【0127】
[効果]
上述してきたように、情報管理システム1は、ユーザUが使用する端末装置100と、一の医療機関においてユーザUの診療情報を保持する医療機関装置10と、サーバ装置200とを備える。端末装置100は、ユーザUから診療情報の受信指示を受け付けた場合に、記憶部106に記憶された上記一の医療機関におけるユーザUの識別情報を含む端末IDを医療機関装置10へ送信し、端末IDに基づいて医療機関装置10から提供される診療情報を取得する取得部107bを備える。また、端末装置100は、ユーザUから診療情報のサーバ装置200への送信指示を受け付けた場合に、サーバ装置200においてユーザUを一意に識別するユーザIDとともに診療情報をサーバ装置200へ送信する送信部107cを備える。医療機関装置10は、端末装置100から端末IDを受け付けた場合に、端末IDに含まれる上記識別情報に対応する診療情報を端末装置100へ提供する提供部16dを備える。サーバ装置200は、端末装置100から受信したユーザIDと診療情報とを関連付けて記憶部202に格納する格納部203bを備える。したがって、情報管理システム1によれば、異なる医療機関の間でユーザUの診療情報をユーザUに分かりやすく共有させることができる。
【0128】
具体的には、病院Aを受診したユーザUは、自身の意思により、病院Aから診療情報を取得し、自身の意思により、取得した診療情報をクラウドサーバへアップロードし、そしてやはり自身の意思により、診療情報の公開先に例えば病院Cを加えることができる。すなわち、ユーザにとっては分かりやすい仕組みで、医療機関にとっては、守秘義務から解放された使いやすい形で、診療情報を異なる医療機関の間で共有させることができる。
【0129】
また、上記識別情報は、ユーザUを上記一の医療機関の患者として一意に識別する患者IDを含み、提供部16dは、上記端末IDに含まれる患者IDに該当する診療情報を端末装置100へ提供する。したがって、情報管理システム1によれば、患者IDにより診療情報の提供先となる端末装置100を特定したうえで、適切に診療情報を提供することができる。
【0130】
また、上記識別情報は、上記一の医療機関におけるユーザUの診察券を一意に識別するIDm(「診察券ID」の一例に相当)を含み、提供部16dは、診察券を読み取ることによって取得されるIDmが端末装置100から受け付けた端末IDに含まれる場合に、当該IDmへ関連付けられた患者に該当する診療情報を端末装置100へ提供する。したがって、情報管理システム1によれば、非接触型ICカードの診察券を用いる場合に、IDmおよび患者IDにより診療情報の提供先となる端末装置100を特定したうえで、適切に診療情報を提供することができる。
【0131】
また、提供部16dは、近距離無線通信によって診療情報を端末装置100へ提供する。したがって、情報管理システム1によれば、基地局等の外部装置を経由することによる情報漏洩のリスクを軽減し、安全に端末装置100へ診療情報を提供することができる。
【0132】
また、提供部16dは、診療情報を端末装置100へ提供する前に、当該診療情報の上記一の医療機関における守秘義務は消失する旨を端末装置100へ通知する。したがって、情報管理システム1によれば、ユーザUが自身で診療情報を保持することに伴う医療機関側の免責事項を通知することができる。
【0133】
また、提供部16dは、上記一の医療機関を一意に識別する医療機関IDおよび上記識別情報を組み合わせて端末装置100により読み取り可能な第1のコード情報を生成する。端末装置100の記憶部106は、端末装置100によって読み取られた第1のコード情報に基づいて、上記識別情報、医療機関IDおよびユーザIDを関連付けて記憶する。取得部107bは、記憶部106に記憶された上記識別情報に基づいて端末IDを生成する。したがって、情報管理システム1によれば、第1のコード情報を用いた所定の認証処理を介して容易にかつ安全に、端末装置100へ診療情報を提供することが可能となる。
【0134】
また、送信部107cは、上記一の医療機関以外の他の医療機関によって提供される当該他の医療機関の医療機関IDを含む第2のコード情報を読み取った場合に、サーバ装置200へ当該他の医療機関の医療機関IDおよびユーザIDを送信することによって、当該ユーザIDへ関連付けられた診療情報が他の医療機関において閲覧可能となるようにサーバ装置200に診療情報のアクセス制御を変更させる。したがって、情報管理システム1によれば、第2のコード情報を用いた所定の認証処理を介して容易に、他の医療機関へ診療情報を共有させることが可能となる。
ところで、実施例1では、非接触型ICカードの診察券を用いる例を挙げたが、診察券が非接触型ICカードでない医療機関も多い。そこで、実施例2では、かかる場合を例に挙げる。
具体的には、診察券が非接触型ICカードでない場合、医療機関装置10は、IDmおよび患者IDの読み取りができないこととなる。ただし、診療機関においては通常、患者には、患者を一意に識別する患者IDが割り振られており、診察券にはその患者IDが記載されていることが多い。
そこで、実施例2では、認証処理において、ユーザUに患者IDを例えば手入力してもらい、かかる患者IDに基づいて仮想のIDmを生成する。かかる仮想のIDmの生成には、例えばハッシュ関数等を用いたアルゴリズムを用いることができる。
そのうえで、医療機関装置10は、生成したIDm、患者IDおよび医療機関IDを組み合わせてQRコードを生成し、生成したQRコードを表示部12へ表示させて、ユーザUに読み取らせればよい。