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特開2022-12082ブレーキディスクロータ及びブレーキディスクロータの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012082
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ブレーキディスクロータ及びブレーキディスクロータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/12 20060101AFI20220107BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20220107BHJP
   B30B 11/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F16D65/12 E
F16D65/12 M
C09K3/14 520C
C09K3/14 520F
C09K3/14 520G
C09K3/14 520M
C09K3/14 530C
B30B11/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113631
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(71)【出願人】
【識別番号】000100780
【氏名又は名称】アイシン化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 雅仁
(72)【発明者】
【氏名】岡山 勝弥
(72)【発明者】
【氏名】中島 史生
(72)【発明者】
【氏名】八木橋 将
(72)【発明者】
【氏名】清水 剛寛
(72)【発明者】
【氏名】古橋 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】角岡 耕輔
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA41
3J058BA61
3J058CB24
3J058EA03
3J058EA08
3J058EA14
3J058EA17
(57)【要約】
【課題】所望の強度を有するブレーキディスクロータを容易に製造が可能で、製造コストの抑制も可能とする。
【解決手段】実施形態のブレーキディスクロータは、周方向に複数回巻回された線状部材と、線状部材を覆い、ディスク状に形成された無焼成セラミックスと、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に複数回巻回された線状部材と、
前記線状部材を覆い、ディスク状に形成された無焼成セラミックスと、
を備えたブレーキディスクロータ。
【請求項2】
前記無焼成セラミックスは、Fe2+、Fe3+、シリカイオンSi4+、アルミニウムイオンAl3+等の金属カチオンが、シリカ粉末を原料とする活性化セラミックスの表面と結合されている、
請求項1に記載のブレーキディスクロータ。
【請求項3】
前記線状部材は、耐熱繊維部材及び金属繊維部材のうち、少なくともいずれかにより構成されている、
請求項1に記載のブレーキディスクロータ。
【請求項4】
前記線状部材及び前記無焼成セラミックスを支持するハット部材を備えた、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のブレーキディスクロータ。
【請求項5】
無焼成セラミックスの原料となる活性化セラミックスを含む粘性体に含浸し、線状部材の表面を前記粘性体で被覆する工程と、
前記粘性体で被覆された線状部材をディスク状に巻回して予備成形体とする工程と、
前記予備成形体のアルカリ処理を行う工程と、
前記予備成形体をプレス成形する工程と、
前記プレス成形された前記予備成形体における前記活性化セラミックスの結合を促進するために養生する工程と、
前記養生の後の前記予備成形体を乾燥する工程と、
前記乾燥の後の前記予備成形体を研磨する工程と、
を備えたブレーキディスクロータの製造方法。
【請求項6】
黒鉛、炭化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化アンチモン、硫化モリブデン、硫化錫、硫化鉄、コークス、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、鉄粉末、亜鉛粉末、錫粉末から選ばれた1種又は2種以上の摩擦調整材及び前記活性化セラミックスを混練して前記粘性体とする工程を備えた、
請求項5に記載のブレーキディスクロータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキディスクロータ及びブレーキディスクロータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブレーキディスクロータとして、補強繊維として、炭化ケイ素、炭素繊維等の短繊維を用いたシリコン含浸セラミックス複合材からなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記従来のブレーキディスクロータの製造方法は、セラミック前駆体からセラミック複合材を得る焼成工程と、得られたセラミック複合材に金属ケイ素を含浸する含浸工程が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-156682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のブレーキディスクロータにおいては、補強繊維として、炭化ケイ素、炭素繊維等の短繊維を用いていたため、製造コストがかかっていた。
また、ブレーキディスクロータに求められる熱物性、例えば、熱伝導率等は、補強繊維の分散状態等が大きく影響を与えることとなるが、配合量等の制約を受け調整が容易ではなかった。
【0006】
また、ブレーキディスクロータの製造方法においては、前駆体の成形工程に加えて、それぞれ加熱工程が必要とされる焼成工程及び含浸工程を設ける必要があり、製造コストがかかる原因となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、容易に製造が可能で、製造コストの抑制も可能なブレーキディスクロータ及びブレーキディスクロータの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のブレーキディスクロータは、周方向に複数回巻回された線状部材と、線状部材を覆い、ディスク状に形成された無焼成セラミックスと、を備える。
この構成によれば、所望の強度を有するブレーキディスクロータを、容易に製造が可能で、製造コストの抑制ができる。
【0009】
上記構成において、無焼成セラミックスは、一例として、Fe2+、Fe3+、シリカイオンSi4+、アルミニウムイオンAl3+等の金属カチオンが、例えば、シリカ粉末を原料とする活性化セラミックスの表面と結合されているようにしてもよい。
上記構成によれば、無焼成セラミックスがブレーキディスクロータとして十分な強度を有する。
【0010】
また、線状部材は、耐熱繊維部材及び金属繊維部材のうち、少なくともいずれかにより構成されているようにしてもよい。
上記構成によれば、無焼成セラミックスを確実に保持及び支持し、ブレーキディスクロータの強度をより容易に維持できる。
【0011】
また、前記線状部材及び前記無焼成セラミックスを支持するハット部材を備えるようにしてもよい。
【0012】
実施形態のブレーキディスクロータの製造方法は、無焼成セラミックスの原料となる活性化セラミックスを含む粘性体に含浸し、線状部材の表面を前記粘性体で被覆する工程と、粘性体で被覆された線状部材をディスク状に巻回して予備成形体とする工程と、予備成形体のアルカリ処理を行う工程と、予備成形体をプレス成形する工程と、プレス成形された予備成形体における活性化セラミックスの結合を促進するために養生する工程と、養生の後の予備成形体を乾燥する工程と、乾燥後の予備成形体を研磨する工程と、を備える。
上記構成によれば、高温の熱処理を行うことなく、所望の強度を有するブレーキディスクロータを低コストで確実に製造できる。また、アルカリ処理を行う工程のタイミングは、プレス成形する前であれば特に制約はなく、活性化セラミックスを含む粘性体を作製する段階でもよい。
【0013】
上記構成において、黒鉛、炭化ケイ素、アルミナ等、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化アンチモン、硫化モリブデン、硫化錫、硫化鉄、コークス、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、鉄粉末、亜鉛粉末、錫粉末から選ばれた1種又は2種以上の摩擦調整材及び活性化セラミックスを混練して粘性体とする工程を備えるようにしてもよい。
上記構成によれば、容易に粘性体を得ることができ、ひいては、容易にブレーキディスクロータを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態のブレーキディスクロータの外観正面図である。
図2図2は、ブレーキディスクロータの製造工程の説明図である。
図3図3は、含浸後の線状部材の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に図面を参照して本発明の例示的な実施形態について詳細に説明する。
以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0016】
図1は、実施形態のブレーキディスクロータの外観正面図である。
ブレーキディスクロータ10は、線状部材及び無焼成セラミックス摩擦部材を有するディスク部11と、ブレーキディスクロータ10の回転軸を中心に設けられたハット部材12と、を備えている。
【0017】
以下の説明においては、ブレーキディスクロータ10の回転軸方向をロータ軸方向、ブレーキディスクロータ10の径方向をロータ径方向、ブレーキディスクロータ10の周方向をロータ周方向と称するものとする。ロータ周方向は、ロータ径方向と交差する。
【0018】
ディスク部11は、線状部材、無焼成セラミックス及び摩擦調整材を含んでいる。
ディスク部11において、線状部材は、ブレーキディスクロータ10の強度を確保するために用いられている。線状部材は、後述するようにロータ周方向に巻回されている。
線状部材は、ディスク部11において、5~10[vol%]含まれている。
線状部材の材料としては、耐熱性の高い材料及び熱伝導性の高い材料の少なくともいずれか一方が用いられる。例えば、線状部材の材料として、長繊維としての無機繊維、金属繊維等が挙げられる。
【0019】
無機繊維としては、例えば、バサルト繊維やアルミナ繊維、シリカ繊維などが挙げられる。
バサルト繊維は、火成岩の一種である玄武岩(basalt, basalt rock)を溶融押出(遠心)紡糸して得られるものである。
【0020】
例えば、バサルト繊維の成分としては以下の通りとなっている。
SiO(40~60%)、Al(10~20%)、CaO(5~15%)、MgO(5~15%)、Fe+Fe(5~15%)、KO(0~3%)、NaO(0~5%)。
【0021】
金属繊維としては、例えば、鉄繊維、ステンレス繊維等が挙げられる。
【0022】
また、無焼成セラミックスとしては、一例ではあるが、Fe2+、Fe3+、シリカイオンSi4+、アルミニウムイオンAl3+等の金属カチオンが、例えば、シリカ粉末を原料とする活性化セラミックス粉体(表面活性シリカ粉末)の表面と強固に結合されたものを用いている。
無焼成セラミックスは、ディスク部11において、40~60[vol%]含まれている。
【0023】
摩擦調整材としては、例えば、黒鉛、炭化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化アンチモン、硫化モリブデン、硫化錫、硫化鉄、コークス、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、鉄粉末、亜鉛粉末、錫粉末等が挙げられる。
摩擦調整材は、ディスク部11において、25~50[vol%]含まれている。
【0024】
図2は、ブレーキディスクロータの製造工程の説明図である。
含浸工程(ステップS11)
まず、ボビン21A~21Cのそれぞれに巻回された単一、もしくは複数種類の線状部材22A~22Cを用意する。
【0025】
そして、結合材としての無焼成セラミックスの原料となる上述の活性化セラミックス粉末及び摩擦調整材を均一になるように混合し、活性化セラミックス粘性体を調製する。
【0026】
また、ブレーキディスクロータに占める線状部材、活性化セラミックス粉末及び摩擦調整剤の含有割合をまとめると以下の通りとなる。
線状部材 : 5~10vol%
活性化セラミックス粉末: 40~60vol%
(粘結材) : 5vol%以下
摩擦調整材 : 25~50vol%
【0027】
まず活性化セラミックス粘性体を構成する活性化セラミックス粉末について説明する。
活性化セラミックス粉末は、表面活性セラミックス粉末であり、表面がメカノケミカル的に非晶質化された非晶質活性層を有している。
【0028】
非晶質活性層は、後述のアルカリ処理におけるアルカリ水溶液によって侵食され易い状態となっている。
【0029】
活性化セラミックス粉体は、例えばシリカ(SiO)等のセラミックス粉末をメカノケミカル処理により表面を活性化させることにより得られ、メカノケミカル処理としては、例えば、遊星ボールミルで15分間摩砕する。
【0030】
ところで、上述したメカノケミカル作用を行うためには、衝撃、摩擦、圧縮、剪断等の各種の力を複合的に作用させることが効果的である。
具体的には、上述した遊星ボールミルの他、ボールミル、振動ミル、媒体攪拌型ミル等の混合装置ボール媒体ミル、ローラーミル、乳鉢等の粉砕機などを用いればよい。
【0031】
しかしながら、衝撃、摩擦、圧縮、剪断等の各種の力を全て複合的に作用させる必要はなく、例えば、被粉砕物に対し、主として衝撃、摩砕等の力を作用させることができるジェット粉砕機等も用いてメカノケミカル処理を行うことも可能である。
【0032】
また、メカノケミカル処理を行うにあたっては、粒度分布の経時変化がなくなるまで摩砕するのが好ましい。
これらの結果、後のアルカリ処理において、アルカリ水溶液による溶解も進みやすくなり、得られるセラミックス固化体は緻密で機械的な強度の高いものとなる。
【0033】
図3は、含浸後の線状部材の説明図である。
一方、線状部材22A~22Cのそれぞれの表面に粘結剤41を塗布する。
図3においては、線状部材22Aを例として図示しているが、線状部材22B、22Cであっても同様である。
【0034】
この場合において、粘結剤41は、線状部材を構成している繊維材料に活性化セラミックス粘性体42、ひいては、活性化セラミックス粉末及び摩擦調整材を所定の厚さ以上の厚みを持って付着し、被覆させることができれば、特定の粘結剤を用いる必要はない。
【0035】
続いて表面に粘結剤41が塗布された線状部材22A~22Cを活性化セラミックス粘性体に浸漬して線状部材22A~22Cの表面に粘結剤41を介して活性化セラミックス粘性体42で被覆する。
【0036】
図3においては、線状部材22Aの周囲に粘結剤を介して、活性化セラミックス粉末及び摩擦調整材を含む活性化セラミックス粘性体42を所定の厚さ以上に付着させている。
この場合において、所定の厚さは、例えば、線状部材22A~22Cの半径と同程度以上の厚みとされている。
【0037】
乾燥工程(ステップS12)
そして、活性化セラミックス粘性体42について必要に応じて次段の巻取成形に好適な含水量となるように乾燥を行う。したがって、初期状態において次段の巻取成形に好適な含水量となっている場合には、この乾燥工程を省略することが可能である。
【0038】
巻取成形工程(ステップS13)
所定の含水量とされた活性化セラミックス粘性体42により被覆された一又は複数の繊維を所定の巻き取り装置WDにより、中心部分にハット部材取付用の孔を形成するための孔を有する略円盤状に巻き取って予備成形体51とする巻取成形を行う。
【0039】
アルカリ処理/プレス工程(ステップS14)
ホットプレス機HPMに円盤状の予備成形体51をセットし、アルカリ水溶液を添加する。そしてプレス成形を行って、予備成形体51全体にアルカリ水溶液を浸透させる。
また、通常、成形温度は常温で良いが、成形促進のため適宜加熱をしてもよい。
【0040】
このアルカリ処理/プレス工程により、非晶質活性層は溶解し、脱水縮合されることで固化が始まる。
【0041】
この場合において、非晶質活性層に含まれる鉄イオンFe2+、Fe3+、シリカイオンSi4+、アルミニウムイオンAl3+等の金属カチオンは、負に帯電しやすい非晶質活性層に含まれる、例えば、ヒドロキシル基(OH基)及びシラノール基(Si-OH基)とイオン結合を形成しやすい状態となる。
【0042】
この場合において、プレス型には、ハット部材を内挿する取付用の孔(固定用のボルト孔を除く)をプレス時に成形するための突起が設けられている。
したがって、所定時間プレス状態を維持することで、ハット部材を内挿する取付用の孔が形成されたディスク部11となるプレス成形体を得ることができる。
【0043】
養生・乾燥工程(ステップS15)
まず、ディスク部11となるプレス成形体を密閉し、所定温度(例えば、80℃)で、所定時間(例えば、5時間)以上、保持することで養生を行う。
【0044】
プレス成形体の養生方法としては、個々のプレス成形体を密閉して水分を保持した状態で行う方法と、所定の湿度を保った(湿潤状態)の炉内に複数のプレス成形体を放置して行う方法(バッチ単位処理)が考えられる。
養生を行うことにより、無焼成セラミックスとして結合固化の促進を図り、ひいては、ブレーキディスクロータ本体としてのディスク部11に所望の強度を持たせることができる。
【0045】
続いて、密閉状態を解放し、100℃以下で所定時間乾燥させる。
この場合において、100°以下で乾燥させるのは、水分の急激な蒸発を抑制して、亀裂などが入りにくくしてブレーキディスクロータの強度を維持するためである。
【0046】
研磨工程(ステップS16)
乾燥後、無焼成セラミックスが結合固化されたディスク部11のバリ取りを行い、研磨装置によりディスク部11を所定の平面度および厚さを有するように研磨する。
【0047】
組立工程(ステップS17)
次に、ハット部材取付用のボルト孔をドリルにより穿孔し、ハット部材本体12Aをブレーキディスクロータ本体の一方の面に配置し、締結用リング部材12Dを他方の面に配置して、互いに嵌合させるとともに、ボルト12B及びナット12Cにより、両者を締結して、ブレーキディスクロータ10とする。
【0048】
以上の説明のように本実施形態によれば、所望の強度を有し、容易に製造が可能で、製造コストの抑制も可能なブレーキディスクロータ及びブレーキディスクロータの製造方法を提供できる。
【0049】
以上の説明においては、アルカリ水溶液をアルカリ処理/プレス工程において添加していたが、含浸工程において、アルカリ粉末を混合し、プレス工程において、水を添加することによりアルカリ処理を行うようにすることも可能である。あるいは、上述した、ステップ11において活性化セラミックス粉末及び摩擦調整材を均一になるように混合し活性化セラミックス粘性体を調整する工程であらかじめ添加しておいても良い。
【0050】
以上の説明においては、ハット部材取付用のボルト孔をドリルにより穿孔していたが、プレス型にボルト孔形成用の突起を設けるように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0051】
10…ブレーキディスクロータ、11…ディスク部、12…ハット部材、12A…ハット部材本体、12B…ボルト、12C…ナット、12D…締結用リング部材、21A~21C…ボビン、22A~22C…線状部材、41…粘結剤、42…活性化セラミックス粘性体、51…予備成形体、HPM…ホットプレス機、WD…巻き取り装置。
図1
図2
図3