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特開2022-120831肺静脈におけるバルーン切除カテーテルの位置合わせのためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120831
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】肺静脈におけるバルーン切除カテーテルの位置合わせのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20220810BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20220810BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20220810BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
A61B34/20
A61M25/10
A61B34/30
A61B18/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022016232
(22)【出願日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】17/169,183
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エイド・アダウィ
(72)【発明者】
【氏名】アビグドール・ローゼンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ツビ・デケル
(72)【発明者】
【氏名】ファディ・マサルワ
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK16
4C160MM38
4C267AA06
4C267AA32
4C267BB42
4C267BB44
4C267BB45
4C267BB56
4C267BB62
4C267BB63
4C267CC19
4C267EE01
(57)【要約】
【課題】手順における要素間の線形位置合わせを達成するためのシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】システム及び方法は、手順で利用される複数の要素のうちの口などの第1の要素の軸を決定することと、手順で利用される複数の要素のうちのカテーテルなどの第2の要素の軸を決定することと、第1の要素の決定された軸と第2の要素の決定された軸とを位置合わせすることと、を含む。この方法は、手順で利用される複数の要素のうちの、カテーテルのシースなどの第3の要素の軸を決定することと、第3の要素の決定された軸を、第1の要素の位置合わせされた軸及び第2の要素の位置合わせされた軸と位置合わせすることと、を更に含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手順における要素間の線形位置合わせを達成するための方法であって、
前記手順で利用される複数の要素のうちの第1の要素の軸を決定することと、
前記手順で利用される前記複数の要素のうちの第2の要素の軸を決定することと、
前記第1の要素の前記決定された軸と前記第2の要素の前記決定された軸とを位置合わせすることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記手順で利用される前記複数の要素のうちの第3の要素の軸を決定することと、前記第3の要素の前記決定された軸を、前記第1の要素の前記位置合わせされた軸及び前記第2の要素の前記位置合わせされた軸と位置合わせすることと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第3の要素が外科用ツールのシースを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シースがカテーテルのシースを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の要素が口を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の要素が外科用ツールを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の要素がカテーテルを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の要素がバルーンカテーテルを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ロボット手順における要素間の線形位置合わせを達成するために前記手順を支援する方法であって、
前記手順で利用される複数の要素のうちの第1の要素の軸を決定することと、
前記手順で利用される前記複数の要素のうちの第2の要素の軸を決定することと、
前記第1の要素の前記決定された軸及び前記第2の要素の前記決定された軸の自動位置合わせのために前記第1の要素及び前記第2の要素の制御を提供することによって、前記第1の要素の前記決定された軸と前記第2の要素の前記決定された軸とを位置合わせすることと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記手順で利用される前記複数の要素のうちの第3の要素の軸を決定することと、前記第3の要素の前記決定された軸を、前記第1の要素の前記位置合わせされた軸及び前記第2の要素の前記位置合わせされた軸と位置合わせすることと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第3の要素が外科用ツールのシースを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シースがカテーテルのシースを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の要素が口を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の要素が外科用ツールを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の要素がカテーテルを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の要素がバルーンカテーテルを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の要素は偏向可能なシースであり、前記第2の要素は偏向可能なカテーテルである、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
ロボット手順における要素間の好適な位置合わせを達成するために前記手順を支援する方法であって、
前記手順で利用される複数の要素のうちの第1の要素の軸を決定することと、
前記手順で利用される前記複数の要素のうちの第2の要素の軸を決定することと、
前記第1の要素の前記決定された軸及び前記第2の要素の前記決定された軸の自動位置合わせのために前記第1の要素及び前記第2の要素の制御を提供することによって、前記第1の要素の前記決定された軸と前記第2の要素の前記決定された軸とを位置合わせすることと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記手順で利用される前記複数の要素のうちの第3の要素の軸を決定することと、前記第3の要素の前記決定された軸を、前記第1の要素の前記位置合わせされた軸及び前記第2の要素の前記位置合わせされた軸と位置合わせすることと、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第3の要素は外科用ツールのシースを備え、前記第1の要素は偏向可能なシースを備え、前記第2の要素は偏向可能なカテーテルを備える、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、肺静脈におけるバルーン切除カテーテルの位置合わせのためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バルーン切除カテーテルの位置合わせは、達成困難であると同時に、実施される切除の最終的な成功のために不可欠であり得る。バルーン切除技術(Biosense Webstar社のRF Heliostar、Cryoballoonなど)における主要なオピニオンリーダーによれば、切除バルーンと標的肺静脈(pulmonary vein:PV)との間の相対的な配向は、重要なパラメータであり、効果的なシングルショット切除を行うための主要な予測因子と考えられている。医師は、静脈、カテーテル、及び支持シース間の線形位置合わせ/軸位置合わせを目指す。これは、バルーンカテーテルを使用するための最適な切除アプローチであると理解される。バルーン切除カテーテル及びそのシースを標的肺静脈に対して位置合わせするための誘導技術は、未だ満たされていない臨床的ニーズと考えられている。したがって、カテーテルの位置合わせを改善するため及び/又はカテーテルの位置合わせを簡易化するための位置合わせ技術が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
手順における要素間の線形位置合わせを達成するためのシステム及び方法を開示する。システム及び方法は、手順で利用される複数の要素のうちの口などの第1の要素の軸を決定することと、手順で利用される複数の要素のうちのカテーテルなどの第2の要素の軸を決定することと、第1の要素の決定された軸と第2の要素の決定された軸とを位置合わせすることと、を含む。この方法は、手順で利用される複数の要素のうちの、カテーテルのシースなどの第3の要素の軸を決定することと、第3の要素の決定された軸を、第1の要素の位置合わせされた軸及び第2の要素の位置合わせされた軸と位置合わせすることと、を更に含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0004】
より詳細な理解は、添付の図面と併せて実例として示される下記の説明文より得ることができる。
図1】本システム及び方法の一態様による線形位置合わせの描写である。
図2】本システム及び方法の一態様による位置合わせの欠如の描写である。
図3図1の線形位置合わせを達成するための位置合わせ方法を示す。
図4】静脈の軸が示されている画像の描写である。
図5】バルーンの軸が示されている画像の描写である。
図6】シースの軸が示されている画像の描写である。
図7】静脈の軸及びバルーンの軸が示されている画像の例示的な描写である。
図8】静脈の軸及びバルーンの軸が示されている画像の例示的な描写ある。
図9】本明細書に記載の位置合わせと組み合わせたバルーン位置決めの自動誘導の例示的な描写である。
図10図9の描写に関連するバルーン位置決めの自動誘導方法を示す。
図11】カテーテルベースの心臓マッピングシステムの例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、医師が標的静脈、切除カテーテル、及びシース間の位置合わせを達成することを可能にするための三次元(3D)視覚化アプローチを提供する。カテーテル、シース、及び静脈の解剖学的構造の視覚化を可能にするEPマッピングシステム(例えば、CARTOなど)を使用して、それぞれの空間的な位置及び配向を視覚化することが可能である。したがって、カテーテル、シース、及び静脈の解剖学的構造の配向の関係を計算し、位置合わせを定量化することが可能である。位置合わせのこの定量化は、自動化及びロボットアライメントに役立ち得る。
【0006】
一実施形態によれば、3D空間内の標的静脈、切除カテーテル、及びシースの各々の配向ベクトルを見ることが可能であり、医師が切除戦略に従ってカテーテル及び/又はシースを所望の空間位置及び配向とすることができるように、医師を誘導することが可能である。
【0007】
バルーン切除カテーテル、又は他のタイプの多電極切除カテーテルは、肺静脈(PV)の口の心臓組織を切除して、静脈内から左心房(left atria:LA)に至るあらゆる電気的活動を隔離し、そのような活動が心房の心房細動障害を引き起こすことを防止する心房細動(atrial fibrillation:AFIB)手順で使用される。バルーン切除カテーテル、又は他のタイプの多電極切除カテーテルは、わずかな回数の切除で静脈全周のシングルショット隔離を実行することによって静脈の電気的隔離を実行する場合に効率的である。
【0008】
図1は、本システム及び方法の一態様による線形位置合わせ100の描写である。位置合わせ100は、切除を実行するために口110内にバルーン120が入れられる場合に定義される。バルーン120にシース130が取り付けられている。
【0009】
口110、バルーン120、及びシース130の各々は、関連する軸を有する。口110に関連する軸は、ラベル付けされた口軸矢印115によって示される軸として図示されている。バルーン120に関連する軸は、ラベル付けされたバルーン軸矢印125によって示される軸として図示されている。シース130に関連する軸は、ラベル付けされたシース軸矢印135によって示される軸として図示されている。口軸矢印115、バルーン軸矢印125、及びシース軸矢印135によって示される軸は、近接して位置合わせされている。
【0010】
図2は、本システム及び方法の一態様による、位置合わせ200の欠如の描写である。位置合わせ200の欠如は、切除を実行するために口110内にバルーン120が入れられる場合に定義される。バルーン120は、シース130を通過する。
【0011】
この場合も、口110、バルーン120、及びシース130の各々は、関連する軸を有する。口110に関連する軸は、ラベル付けされた口軸矢印115によって示される軸として図示されている。バルーン120に関連する軸は、ラベル付けされたバルーン軸矢印125によって示される軸として図示されている。シース130に関連する軸は、ラベル付けされたシース軸矢印135によって示される軸として図示されている。
【0012】
図2の口軸矢印115、バルーン軸矢印125及びシース軸矢印135を比較することで分かり得るように、静脈、バルーン、及びシースの軸間の位置合わせが大きくずれている。
【0013】
図3は、図1の線形位置合わせを達成するための位置合わせ方法300を示している。方法300は、ステップ310で静脈の軸を決定すること、ステップ320でバルーンの軸を決定すること、及びステップ330でシースの軸を決定することを含む。方法300は、ステップ310~ステップ330において3つの要素全ての軸を決定することを含むが、当業者は、これが一実施形態にすぎないことを理解し、静脈及びバルーン、並びに3つの要素の他の組み合わせの軸が決定される実施形態を理解するであろう。
【0014】
方法300は、ステップ340で、決定された軸を位置合わせして、図1の線形位置合わせを達成することを更に含む。
【0015】
ステップ310で、静脈の軸を決定する。方法300のこのステップを実施するために、静脈の骨格を生成して、静脈の断面の軸を示すことができる。図4は、静脈の軸410が示されている画像400の描写である。軸410は、以下に記載するように決定され、画像400に表示される。静脈の軸を決定するための多くの可能な方法のうちの1つが記載されている。静脈の中心点は、静脈洞マップのシェルを通る仮想スライス切断を使用して、切断点におけるシェルの最良適合円を計算し、その幾何学的中心を決定することによって決定される。第2の点が、静脈内に移動して第2の仮想スライス切断を実行することによって決定され、その中心は第1の切断と同様に決定される。第3の点が、次のスライスを使用し、上記と同じスライス切断ステップを実行することによって決定される。これらのスライス切断中心は、繰り返し実行されてもよい。静脈の方向を識別するために、中心を最良適合線で接続してもよい。
【0016】
ステップ320で、バルーンの軸を決定する。バルーンの軸は、バルーンのシャフトの磁気位置センサとバルーン電極の位置の最良適合円の中心とを接続するベクトルを決定し、軸ベクトルを提供することによって決定されてもよい。図5は、バルーンの軸510が示されている画像500の描写である。軸510は、バルーン120の電極520の位置の最良適合円の中心550を決定し、バルーン120のシャフト540内の磁気センサ530から中心550へと線を引くことによって決定される。軸510は、図示のように、磁気センサ530の中心と決定された中心550とを接続するベクトルである。軸510は、画像500に表示される。当業者に理解されるように、一組の点から最良適合円を決定するための既知のアルゴリズムが存在する。例えば、電極の位置と円上の最も近い点との間の距離の二乗和を最小化することに基づくアルゴリズムを利用することができる。あるいは、これらの点までの代数的及び/又は幾何学的距離を最小化してもよい。アルゴリズムの組み合わせに加えて重み付けを利用した技法の組み合わせを使用してもよい。
【0017】
ステップ330で、シースの軸を決定してもよい。シースを視覚化し、シースのベクトルを計算するために、シースの軸を磁気センサ又はリングを使用して決定してもよい。図6は、シース130の軸610が示されている画像600の描写である。軸610は、シース130上に配置された遠位リング電極の位置620間を通過する方向ベクトルとして決定される。シース130に沿った位置620へのリング電極の配置は、リングの方向ベクトルを決定することを可能にするいかなる位置にあってもよい。図6に、シース130上の同心の等間隔のリングを使用する一例を示す。あるいは、又は加えて、シース130の遠位縁部の周りに取り付けられた磁気センサの方向を使用してもよい。軸610は、画像600に表示される。
【0018】
リング電極(磁気センサ)の位置620及び方向は、例えば、CARTOなどのナビゲーションシステムの位置を使用して実行することができる。例えば、リング電極620の場合、一連の電流がリング電極を通って伝達されてもよい。患者の身体上の一連のパッチ電極を使用して、受信電流を読み取ってもよい。読み取り後に、分散電流比を使用して位置を計算してもよい。
【0019】
あるいは、又は加えて、磁気位置を利用してもよい。例えば、患者のベッドの下などの静的コイルから磁場を送信し、受信された磁場を、磁気センサを使用して測定してもよい。磁気センサは、一般にはコイルであってもよく、フレキシブルプリント回路基板上に印刷された導線又は巻線コイルのいずれかで構成されてもよい。次いで、ベクトルをナビゲーションシステムのディスプレイ上に表示することができる。
【0020】
方法300のステップ340で決定された軸を位置合わせするために、任意の位置ずれの推定値を提供してもよい。例えば、バルーン軸と静脈軸との間の距離を推定してもよい。バルーンの軸、静脈の軸、及びシースの軸のうちのいずれかの間の角度を推定し、表示内に提供することができる。提供される表示は、ベクトル及び/又はベクトル間の距離を含み得る。
【0021】
図7は、静脈の軸710及びバルーンの軸720が示されている画像の描写である。バルーン120及び静脈110も画像に示されている。静脈の軸710とバルーンの軸720との間の角度が提供される。矢印710は、静脈軸の方向ベクトルであり、矢印720は、バルーン軸の方向ベクトルである。
【0022】
図8は、静脈の軸710とバルーンの軸720とが同じ方向に位置合わせされている画像の描写である。バルーンベクトル720と静脈軸110との間にシフト/変位がある。このシフト/変位は、バルーンから静脈への位置合わせを達成するために補正を必要とし得る。更に、バルーン120及び静脈110も画像に示されている。
【0023】
図7及び図8の画像から分かり得るように、各図のバルーン方向ベクトルと静脈方向ベクトルとの間の角度及びベクトル間のシフト/変位は、ベクトル間の距離がゼロになり、バルーンの軸720と静脈の軸710とが位置合わせされたことを示すまでのベクトル及び/又はベクトル間の距離を図示している。図7及び図8は、静脈及びバルーンを示しているが、同様の構成が、シース並びに、静脈、バルーン及びシースの組み合わせを含んでもよい。
【0024】
本明細書で論じられるように、バルーンカテーテルなどのカテーテルの静脈内へのナビゲート及び位置決めは、多くの場合、複雑で時間のかかる可能性のある操作及び経験を必要とする。記載されるように、肺静脈におけるバルーン切除カテーテルの位置合わせのための本システム及び方法は、バルーン位置の自動誘導を含むように拡張され得る。このナビゲーションは、偏向可能なシースによって、及びバルーンの偏向によって実行されてもよい。そのようなナビゲーションは、シース及びバルーンの前後方向の動き、シース及びバルーンの偏向、並びにシース及びバルーンの回転を含み得る。
【0025】
図9は、本明細書に記載の位置合わせと組み合わせたバルーン位置決めの自動誘導の例示的な描写900である。描写900は、偏向可能なバルーンシャフト540と、本明細書に記載のバルーンカテーテル磁気センサ530と、を含むバルーン120を含む。描写900は、本明細書に記載のシース位置特定可能なセンサ620を有するシース130を更に含む。
【0026】
前端部に磁気センサ620及び/又は位置特定可能な電極を含むシース130と、磁気センサ530を含むバルーン120と、CARTO(登録商標)3などのナビゲーションシステムとは、シース130及びバルーン120の回転、偏向及び向き、並びに静脈110に対する各々の関係を認識することによってナビゲーションを可能にする。静脈110を占有するためのシース130及びバルーン120の方向は、シース及びバルーンカテーテルの偏向ノブをねじったり動かしたりすることによって実現できる。
【0027】
心臓の心室の事前に又は同時に取得された3Dマップと、シース130及びバルーン120の現在の位置、回転、偏向状態及び配向は、3Dマップに対するバルーン120の次の位置をシース130及びバルーン120の動きの結果として予測することを可能にする。更に、又は併せて、バルーン120を静脈110内の正しい位置に配置するための最適な軌道を計算することができる。
【0028】
静脈110内に到達するバルーン120の最適軌道を計算することにより、操作者がシース130及びバルーン120の前進を操作するために設定される、回転運動及び偏向運動を含む段階的な方向を提供することができる。これにより、バルーン120を静脈110内に最適かつ迅速に位置決めすることができる。この同じ位置決めアルゴリズム及びセンサを、シース130及びバルーン120の静脈110への自動誘導のためのロボットシステムにも使用することができる。
【0029】
図9に示す例示的な位置合わせにおいて、位置合わせプロセスは、バルーン120を、第1の初期位置から一連の中間位置を通って静脈110内の手順のための所定位置に移動させようと試みる。例示的な図では、バルーン120/シース130は、一連の位置を通って静脈110に到達するように操作される。具体的には、シース130は、バルーン120の初期位置から第2の中間位置に到達するように偏向される。そこから、シース130が再び偏向されて、第3の中間位置に到達する。次いで、シース130を回転させて、第4の中間位置に到達させる。最後に、最終位置合わせステップで、バルーン120を静脈110内に前進させる。バルーン120及びシース130を静脈110へと移動させる例示的な操作は具体的であるが、それらは例示的な操作として提供されたものである。静脈110に到達するために、いかなる数の操作が必要とされてもよい。同様に、特定の操作の順序が変化してもよい。いかなる組み合わせ又は操作の順序を使用してもよいことが理解されるであろう。
【0030】
図10は、図9の描写に関連するバルーン位置決めの自動誘導方法1000を示している。図10に示すように、方法1000は、ステップ1010で、シース130及びバルーン120のうちの少なくとも一方の現在の位置及び軸を決定することを含む。この決定は、本明細書に記載されるように実行され得る。方法1000は、ステップ1020で、静脈110の位置及び軸を決定することを含む。この決定は、本明細書に記載されるように実行され得る。方法1000は、ステップ1030で、バルーン120の現在の位置から静脈110までの自動誘導ステップを決定することを含む。方法は、ステップ1035で、ステップ1030の自動誘導ステップを任意に最適化することを含む。この最適化1035は、必要な操作の数を最小化することを含んでもよい。あるいは、ステップ1035の最適化は、例えば、偏向の優先度などの操作の種類の重み付けを含んでもよい。同様に、最適化は、各操作の持続時間を決定するパラメータを含むことができ、ステップ1035の最適化は、例えば静脈110に到達するのに必要な時間を最小化する。
【0031】
方法1000は、ステップがステップ1030で決定され、必要に応じてステップ1035で最適化された後に、ステップ1040で初期位置合わせ操作を実行することを含む。方法1000は、ステップ1050で、後続の位置合わせ操作を実行することを含む。この後続の操作は、ステップ1030で決定されたステップによって特定される、バルーン120を静脈110内に誘導するための他の操作を順番に実行することによって、ステップ1055でループされてもよい。これらの操作の実行後に、ステップ1060で静脈110内に入ることができる。ステップ1060での静脈110内への構成後に、ステップ1070で切除手順を実行することができる。
【0032】
図11は、本発明の実施形態による、超音波式バスケット型カテーテル40を備える、カテーテルに基づく心臓マッピングシステム20の概略的な図である。全体を通してバスケット形状が開示されているが、本明細書に開示される実施形態を実行するには、複数のトランスデューサを備える任意の形状のカテーテルが使用され得ることが理解されるであろう。システム20は、医師30によって台29の上に横になっている患者28の心臓26内にナビゲートされ得る、シャフト22を有するカテーテル21を備える。図11に示されるように、医師30は、カテーテルの近位端部の近くのマニピュレータ32及び/又はシース23からの偏向を使用して、シャフト22の遠位端部を操作しながら、シース23を通してシャフト22を挿入することができる。差し込み図25に示されるように、バスケット型カテーテル40は、シャフト22の遠位端部に取り付けられ得る。バスケット型カテーテル40は、折り畳まれた状態でシース23を通して挿入され得、次いで、心臓26内で拡張され得る。
【0033】
一実施形態では、バスケット型カテーテル40は、広いエコー信号及び狭いエコー信号を送信し、かつ心室表面50から反射した広いエコー信号及び狭いエコー信号を受信することにより、心臓26の心室の空間マッピングを実行するように構成され得、その情報を使用して、カテーテルがナビゲートされることが意図される心室及び静脈のマップを形成することができる。あるいは、心室のマップは、CARTO(登録商標)などの3Dマッピングシステムの使用を通して、バスケット型カテーテル又はバルーンカテーテルの電極の位置を使用して構築され得る。差し込み図45は、心臓26の心室内部の、拡大図でのバスケット型カテーテル40を示している。
【0034】
カテーテル21の近位端は、コンソール24に接続され得る。コンソール24は、カテーテル21との間で信号を送受信するため、並びにシステム20の他の構成要素を制御するための、適切なフロントエンド及びインターフェース回路38を備えた汎用コンピュータなどのプロセッサ41を含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、複数の二周波の(例えば、広い及び狭い)エコー信号を受信し、エコー信号から心室表面のマップを計算するように更に構成され得る。一実施形態では、ディスプレイ27上に、周囲の解剖学的構造の表面が、例えばメッシュ図35のグラフ形式で、医師30に提示され得る。
【0035】
上述のように、プロセッサ41は、汎用コンピュータを含み得、このコンピュータは、本明細書で説明される機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされ得る。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができる、あるいは代替的に又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上に提供及び/又は記憶することができる。図11に示される例示的な構成は、単に概念を明確化する目的で選択される。本開示の技法は、他のシステム構成要素及び設定を使用して、同様に適用されることができる。更に、システム20は、電気生理学的マッピング及び/又は切除用のものなど、追加の構成要素を含んでもよい。図示されている実施形態は、具体的に、心臓マッピング用の超音波式バスケット型カテーテルの使用に関するが、システム20の要素及び本明細書に記載されている方法は、他の多重アーム幾何形状を有するカテーテルを使用する超音波マッピング、又はバスケット、バルーン、若しくは他のカテーテルタイプを使用する非超音波3Dマッピングに代替的に適用されてもよい。
【0036】
現在、医師は、(蛍光透視、ICE、又はマッピングシステムに基づいて)カテーテルをナビゲートし、(誘導ツール又は定量ツールを用いずに)独力で実体間の相対的な配向を理解し、動いている部分を位置合わせしようと試みている。位置合わせの度合いは定量化されていない。
【0037】
本発明は、システムの視覚化能力に基づく。本発明は、実体間の線形位置合わせを目的としている。構成は、位置決め及び切除戦略に従って変更することができる。切除中に特定の位置合わせが必要である場合には、本発明を他のカテーテルタイプ(例えば、焦点カテーテル)に拡張してもよい。
【0038】
本明細書は、バルーン、口、及びシースの線形位置合わせを補正することを詳述しているが、本明細書におけるこの概念は、必要に応じて、医師が切除アプローチのための非線形の切除、斜め方向の切除、横方向の切除、又はバルーン-静脈-シース構成の任意の他の組み合わせを達成することを支援するために使用され得る。切除において線形位置合わせが好まれることが多いために、本明細書では線形位置合わせの例を記載しているが、非線形の切除、斜め方向の切除、横方向の切除などを含むバルーン-静脈-シース構成の他の組み合わせを構成してもよい。
【0039】
特徴及び要素が特定の組み合わせで上に記載されるが、当業者であれば、特徴又は要素の各々を単独で又は他の特徴及び要素と組み合わせて使用することができることを理解するであろう。加えて、本明細書に記載される方法は、コンピュータ又はプロセッサで実行するために、コンピュータ可読媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアにおいて実装され得る。
【0040】
〔実施の態様〕
(1) 手順における要素間の線形位置合わせを達成するための方法であって、
前記手順で利用される複数の要素のうちの第1の要素の軸を決定することと、
前記手順で利用される前記複数の要素のうちの第2の要素の軸を決定することと、
前記第1の要素の前記決定された軸と前記第2の要素の前記決定された軸とを位置合わせすることと、
を含む、方法。
(2) 前記手順で利用される前記複数の要素のうちの第3の要素の軸を決定することと、前記第3の要素の前記決定された軸を、前記第1の要素の前記位置合わせされた軸及び前記第2の要素の前記位置合わせされた軸と位置合わせすることと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記第3の要素が外科用ツールのシースを備える、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記シースがカテーテルのシースを備える、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記第1の要素が口を備える、実施態様1に記載の方法。
【0041】
(6) 前記第2の要素が外科用ツールを備える、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記第2の要素がカテーテルを備える、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記第2の要素がバルーンカテーテルを備える、実施態様1に記載の方法。
(9) ロボット手順における要素間の線形位置合わせを達成するために前記手順を支援する方法であって、
前記手順で利用される複数の要素のうちの第1の要素の軸を決定することと、
前記手順で利用される前記複数の要素のうちの第2の要素の軸を決定することと、
前記第1の要素の前記決定された軸及び前記第2の要素の前記決定された軸の自動位置合わせのために前記第1の要素及び前記第2の要素の制御を提供することによって、前記第1の要素の前記決定された軸と前記第2の要素の前記決定された軸とを位置合わせすることと、
を含む、方法。
(10) 前記手順で利用される前記複数の要素のうちの第3の要素の軸を決定することと、前記第3の要素の前記決定された軸を、前記第1の要素の前記位置合わせされた軸及び前記第2の要素の前記位置合わせされた軸と位置合わせすることと、を更に含む、実施態様9に記載の方法。
【0042】
(11) 前記第3の要素が外科用ツールのシースを備える、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記シースがカテーテルのシースを備える、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記第1の要素が口を備える、実施態様9に記載の方法。
(14) 前記第2の要素が外科用ツールを備える、実施態様9に記載の方法。
(15) 前記第2の要素がカテーテルを備える、実施態様9に記載の方法。
【0043】
(16) 前記第2の要素がバルーンカテーテルを備える、実施態様9に記載の方法。
(17) 前記第1の要素は偏向可能なシースであり、前記第2の要素は偏向可能なカテーテルである、実施態様9に記載の方法。
(18) ロボット手順における要素間の好適な位置合わせを達成するために前記手順を支援する方法であって、
前記手順で利用される複数の要素のうちの第1の要素の軸を決定することと、
前記手順で利用される前記複数の要素のうちの第2の要素の軸を決定することと、
前記第1の要素の前記決定された軸及び前記第2の要素の前記決定された軸の自動位置合わせのために前記第1の要素及び前記第2の要素の制御を提供することによって、前記第1の要素の前記決定された軸と前記第2の要素の前記決定された軸とを位置合わせすることと、
を含む、方法。
(19) 前記手順で利用される前記複数の要素のうちの第3の要素の軸を決定することと、前記第3の要素の前記決定された軸を、前記第1の要素の前記位置合わせされた軸及び前記第2の要素の前記位置合わせされた軸と位置合わせすることと、を更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記第3の要素は外科用ツールのシースを備え、前記第1の要素は偏向可能なシースを備え、前記第2の要素は偏向可能なカテーテルを備える、実施態様10に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】