(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120843
(43)【公開日】2022-08-18
(54)【発明の名称】冷却システム、および冷却システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20220810BHJP
F25B 1/04 20060101ALI20220810BHJP
F25B 41/20 20210101ALI20220810BHJP
F04C 28/10 20060101ALI20220810BHJP
F04C 29/12 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
F25B1/00 361Z
F25B1/04 Y
F25B41/20 Z
F25B1/00 331E
F04C28/10
F04C29/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016853
(22)【出願日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】63/146,309
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591003493
【氏名又は名称】キャリア コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CARRIER CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】レイ センフ
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA02
3H129AA14
3H129AA32
3H129AB03
3H129BB42
3H129CC14
3H129CC24
(57)【要約】
【課題】 容量調節を備えたコンプレッサを有する冷却システムを提供する。
【解決手段】 冷却システムは、一次吸引ポート及び中間吸引ポートを有する高圧側スクロールコンプレッサと、入口及び出口を有する蒸発器と、蒸発器の出口を一次吸引ポート及び中間吸引ポートの両方と流体的に結合する一次コンプレッサ入口流路と、冷却システムの運転モードに応じて一次コンプレッサ入口流路に沿って移動する流体の流れを一次吸引ポート及び中間吸引ポートの少なくとも1つに向けるように動作可能な制御バルブと、を含む。一次吸引ポートに関連付けられたコンプレッサの容量は、中間吸引ポートに関連付けられたコンプレッサの容量よりも大きくなっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却システムであって、
一次吸引ポート及び中間吸引ポートを有する高圧側スクロールコンプレッサであって、前記一次吸引ポートに関連付けられた前記コンプレッサの容量が、前記中間吸引ポートに関連付けられた前記コンプレッサの容量よりも大きい、高圧側スクロールコンプレッサと、
入口と出口を有する蒸発器と、
前記蒸発器の前記出口を前記一次吸引ポート及び前記中間吸引ポートの両方と流体的に結合する一次コンプレッサ入口流路と、
前記冷却システムの運転モードに応じて、前記一次コンプレッサ入口流路に沿って移動する流体の流れを前記一次吸引ポート及び前記中間吸引ポートの少なくとも1つに向けるように動作可能な制御バルブと、を含む、前記冷却システム。
【請求項2】
第1のモードでの前記冷却システムの運転中、前記制御バルブが、第1の構成にあり、前記流体が前記一次吸引ポートに供給される、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
第2のモードでの前記冷却システムの運転中に、前記制御バルブが第2の構成にあり、前記一次コンプレッサ入口流路内の前記流体の少なくとも一部が、前記中間吸引ポートに提供される、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記制御バルブが前記第2の構成にあるとき、前記一次コンプレッサ入口流路内の前記流体のすべてが、前記中間吸引ポートに提供される、請求項3に記載の冷却システム。
【請求項5】
エコノマイザ熱交換器と、
前記エコノマイザ熱交換器を前記中間吸引ポートに流体的に結合する第2のコンプレッサ入口流路と、を含む、請求項3に記載の冷却システム。
【請求項6】
運転の第3のモードでは、前記流体が、前記二次コンプレッサ入口流路を介して前記中間吸引ポートに提供される、請求項5に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記運転の第3のモードでは、前記流体はまた、前記一次コンプレッサ入口流路を介して前記一次吸引ポート及び前記中間吸引ポートのうちの少なくとも1つに提供される、請求項5に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記冷却システムの前記運転のモードが、前記コンプレッサの容量に対する前記冷却システムの需要に応じて選択される、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項9】
冷却システムの運転方法であって、
前記冷却システムの需要、及び前記冷却システムのコンプレッサの容量に応じて運転のモードを選択することであって、前記コンプレッサが、一次吸引ポート及び中間吸引ポートを有する高圧側スクロールコンプレッサである、前記選択することと、
前記選択したモードに応じて、少なくとも1つのバルブの構成を制御することと、
前記一次吸引ポートと前記中間吸引ポートの両方に並列に流体的に結合された一次コンプレッサ入口流路を介して前記コンプレッサに流体の流れを提供することであって、運転の第1のモードでは、前記一次コンプレッサ入口流路からの前記流体の流れが、前記一次吸引ポートに提供され、運転の第2のモードでは、前記一次コンプレッサ入口流路からの前記流体の流れが、前記中間吸引ポートに提供される、前記流体の流れを提供することと、を含む、前記方法。
【請求項10】
前記第1のモード及び前記第2のモードのうちの少なくとも1つにおいて、前記流体の流れが、前記一次吸引ポート及び前記中間吸引ポートの両方に提供される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記運転の第1のモードにおいて、前記流体の流れが、前記一次吸引ポートにのみ提供される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記運転の第2のモードにおいて、前記流体の流れが、前記中間吸引ポートにのみ提供される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記中間吸引ポートに流体的に結合された二次コンプレッサ入口流路を介して前記コンプレッサに前記流体の流れを提供することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記一次コンプレッサ入口流路を介して前記コンプレッサに前記流体の流れを提供することが、前記二次コンプレッサ入口流路を介して前記コンプレッサに前記流体の流れを提供することと同時に生じる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記二次コンプレッサ入口流路内の前記流体の流れが、エコノマイザ熱交換器から提供される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記吸引ポートに関連付けられた前記コンプレッサの容量が、前記中間吸引ポートに関連付けられた前記コンプレッサの容量よりも大きい、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、一般に、輸送用冷却ユニットに関し、より詳細には、高圧側スクロールコンプレッサを有する輸送用冷却ユニットの制御及び運転に関する。
【背景技術】
【0002】
スクロールコンプレッサは、冷却システムで広く使用されている。システム用スクロールコンプレッサは、必要となり得る最大の圧縮能力など、最も極限的な運転条件に基づいて選択される。しかしながら、これらの最も極限的な、または最悪ケースの条件での運転が生じることは稀である。結果として、コンプレッサは一般に低負荷状態で運転され、時には高い圧縮比で運転され、それによってコンプレッサの運転効率を制限し、従って冷却システムの運転効率を制限する。さらに、可変速度が輸送用冷却システムに組み込まれると、新たな課題が生じる。例えば、吸引ガスの密度は、システムの容量に応じて変化する。ガス密度の変動は、冷却及び温度制御に課題を課し、特に、圧縮流体が比較的大きな吸引ガス密度を有し、かつトレーラへの漏洩による熱増加が最小限である、より高い設定値条件において課題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、通常の運転条件及び極端な運転条件の間に効率的に機能することができる可変容量コンプレッサが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態によれば、冷却システムは、一次吸引ポート及び中間吸引ポートを有する高圧側スクロールコンプレッサと、入口及び出口を有する蒸発器と、蒸発器の出口を一次吸引ポート及び中間吸引ポートの両方と流体的に結合する一次コンプレッサ入口流路と、冷却システムの運転モードに応じて一次コンプレッサ入口流路に沿って移動する流体の流れを一次吸引ポート及び中間吸引ポートの少なくとも1つに向けるように動作可能な制御バルブと、を含む。一次吸引ポートに関連付けられたコンプレッサの容量は、中間吸引ポートに関連付けられたコンプレッサの容量よりも大きくなっている。
【0005】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、第1のモードでの冷却システムの運転中のさらなる実施形態では、制御バルブは第1の構成にあり、流体が一次吸引ポートに提供される。
【0006】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、第2のモードでの冷却システムの運転中のさらなる実施形態では、制御バルブは第2の構成にあり、一次コンプレッサ入口流路内の流体の少なくとも一部が、中間吸引ポートに提供される。
【0007】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、エコノマイザ熱交換器、及びエコノマイザ熱交換器を中間吸引ポートに流体結合する第2のコンプレッサ入口流路を含む。
【0008】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、エコノマイザ熱交換器、及びエコノマイザ熱交換器を中間吸引ポートに流体結合する第2のコンプレッサ入口流路を含む。
【0009】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、運転の第3のモードでのさらなる実施形態では、流体は、二次コンプレッサ入口流路を介して中間吸引ポートに提供される。
【0010】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、運転の第3のモードでのさらなる実施形態では、流体はまた、一次コンプレッサ入口流路を介して一次吸引ポート及び中間吸引ポートのうち少なくとも1つに供給されている。
【0011】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、冷却システムの運転のモードが、コンプレッサの容量に対する冷却システムの要求に応じて選択される。
【0012】
一実施形態によれば、冷却システムを運転する方法は、冷却システムに対する要求及び冷却システムのコンプレッサの容量に応じて運転モードを選択することを含む。コンプレッサは、一次吸引ポートと中間吸引ポートを有する高圧側スクロールコンプレッサである。本方法はさらに、選択されたモードに応答して少なくとも1つのバルブの構成を制御することと、一次吸引ポート及び中間吸引ポートの両方に並列に流体結合された一次コンプレッサ入口流路を介してコンプレッサに流体の流れを提供することと、を含む。第1の運転モードでは、一次コンプレッサ入口流路からの流体の流れが一次吸引ポートに提供され、第2の運転モードでは、一次コンプレッサ入口流路からの流体の流れが中間吸引ポートに提供される。
【0013】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、第1のモード及び第2のモードの少なくとも1つでのさらなる実施形態では、流体の流れは、一次吸引ポート及び中間吸引ポートの両方に提供される。
【0014】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、運転の第1のモードでのさらなる実施形態では、流体の流れは、一次吸引ポートにのみ提供される。
【0015】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、運転の第2のモードでのさらなる実施形態では、流体の流れは中間吸引ポートにのみ供給される。
【0016】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、中間吸引ポートに流体的に結合された二次コンプレッサ入口流路を介してコンプレッサに流体の流れを提供することを含む。
【0017】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、一次コンプレッサ入口流路を介してコンプレッサに流体の流れを提供することは、二次コンプレッサ入口流路を介してコンプレッサに流体の流れを提供することと同時に生じる。
【0018】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、二次コンプレッサ入口流路内の流体の流れは、エコノマイザ熱交換器から提供される。
【0019】
上述の特徴の1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、吸引ポートに関連付けられたコンプレッサの容量は、中間吸引ポートに関連付けられたコンプレッサの容量よりも大きい。
【0020】
以下の説明は、決して限定的なものと見なされるべきではない。添付の図面を参照すると、同様の要素には、同様の番号が付与されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態による高圧側スクロールコンプレッサの部分的破断図である。
【
図2】一実施形態による高圧側スクロールコンプレッサを含む輸送用冷却ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
開示された装置及び方法の1つ以上の実施形態の詳細な説明が、図面を参照して、限定としてではなく、例示として本明細書に提示される。
【0023】
ここで
図1を参照すると、高圧側スクロールコンプレッサ20の一例が示されている。本明細書で使用する場合、「高圧側スクロールコンプレッサ」という用語は、モータがシェルの吐出圧力領域(高圧領域)に配置されているスクロールコンプレッサを指すことを意図しており、以下でより詳細に説明する。
【0024】
図示されるように、スクロールコンプレッサ20は、実質的に円筒形の本体24と、本体24の上部及び下部にそれぞれ配置されたカバー26、28とを備えたハウジングまたはシェル22を含み、ハウジング12の密閉された内部容積30を画定することができる。スクロールコンプレッサ20は、さらに、ステータ34及びロータ36を含む電気モータ32と、冷媒などの作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構38とを含むことができる。電気モータ32は、駆動シャフト(図示せず)を介して圧縮機構38に動作可能に結合され得る。ステータ34は、ハウジング22に固定され得、ロータ36は、回転軸Xを中心に駆動シャフトを回転させるために使用され得る。
【0025】
例えば、潤滑油などの潤滑剤は、ハウジング22内の内部容積の底部に配置されたサンプ40に貯蔵され得る。一実施形態では、駆動シャフトの端部は、ハウジング22の底部でサンプ40内に浸漬されている。そのような実施形態では、駆動シャフトの回転によって生成された遠心力が、サンプ40から駆動シャフトに形成された油路を通って上方に潤滑剤を引き出すために使用され得る。しかしながら、コンプレッサを通して潤滑剤をポンプ輸送するために駆動シャフトとは別のポンプデバイスが使用されている実施形態がまた、本明細書で企図される。
【0026】
圧縮機構38は、例えば、ハウジング22の一部に取り付けられた固定スクロール42と、駆動シャフトに取り付けられ、固定スクロール42にほぼ隣接して配置された可動スクロール44とを含むことができる。コンプレッサ20の運転中、可動スクロール44は、固定スクロール42と半径方向に係合し、そこに対して周回し、スクロール42、44の間に画定された複数の圧縮チャンバ46を形成することができる。
図1に示すように、作動油を受け入れるための第1の流体入口または一次吸引ポート48が、ハウジング22の上部カバー26に、またはその近くに形成され得、圧縮作動流体を排出するための流体出口49が、ハウジング22の本体24の一部に形成され得る。第2の流体入口または中間吸引ポート47は、モータ32と圧縮機構38との間の位置で、ハウジング22の周りに配置され得る。
【0027】
一次吸引ポート48は、典型的には、固定スクロール42に形成された吸引チャンバ50との流体連通のために、圧縮機構38の固定スクロール42に接続されている。吸引チャンバ50内の流体は、次いで圧縮機構38の圧縮チャンバ46に移動される。圧縮チャンバ46から、高圧ガスは、固定スクロール42の排出ポート52から、例えば、ハウジング22の底部とモータ32との間などのハウジング22の内部30内の高圧空間に流れる。中間または第2の吸引ポート47を含むコンプレッサ20の実施形態では、そのような中間吸引ポートは、圧縮機構38の圧縮チャンバ46に流体を送達するように同様に構成され得る。しかしながら、中間吸引ポートを介して提供される流体は、一次吸引ポート48を介して圧縮チャンバ46に提供される流体と比較して、圧縮チャンバ46の下流部分またはより多くの内部領域に提供され得る。結果として、中間吸引ポート47を介して提供される流体は、一次吸引ポート48を介して提供される流体よりも、圧縮機構38での1回転あたりの有効変位が減少している。
【0028】
圧縮された高圧流体または排出ガスが圧縮機構38の排出ポート52から流体出口49に流れるとき、ハウジング22の内部30内の高圧空間が排出ガスにさらされる。結果として、モータ32によって生成された熱の少なくとも一部、及びいくつかの実施形態においては実質的にすべてが、排出ガスによって除去される。この冷却中、排出ガスはコンプレッサ20内で最高温度にある。
【0029】
ここで
図2を参照すると、輸送用冷却ユニット110の例の概略図が示されている。図示されるように、輸送用冷却ユニット110は、コンプレッサ120を含む。一実施形態では、コンプレッサ120は、上述のコンプレッサ20などの高圧側スクロールコンプレッサである。排出ガスなどの高温高圧冷媒蒸気は、コンプレッサ120の排出ポート122を出て、熱除去熱交換器124、例えば、コンデンサまたはガス冷却器への1つ以上の導管の1つを介して提供される。一実施形態では、熱除去熱交換器124は、通常、別の熱除去熱交換器(図示せず)によって吹き付けられる空気を受け入れる複数のコンデンサコイルフィン及びチューブを含む。このステップで潜熱を除去することにより、冷媒蒸気は高圧/高温の液体に凝縮する。熱除去熱交換器124の出口で、冷媒は、ユニット110の低温運転中に過剰な液体冷媒のための貯蔵を提供するように動作可能な受容器126に流れるように構成される。受容器126から、冷媒はサブクーラー128に流れ、これが冷媒のサブクーリングを増加させる。サブクーラー128は、熱除去熱交換器124の近くに、または直接隣接して配置され得、サブクーラー128内の冷媒が、熱除去熱交換器ファン(図示せず)からの空気流によって冷却されるようになっている。しかしながら、別の供給源からの流体によって冷却されるサブクーラー128もまた、本明細書で企図される。
【0030】
図示される非限定的な実施形態では、ユニット110は、冷媒をエコノマイザ熱交換器132の第1の冷媒流路F1に供給する前に、冷媒を洗浄及び乾燥するように構成されたフィルタ乾燥機130を含む。第1の冷媒流路F1内では、冷媒の過冷却が増加する。一実施形態では、エコノマイザ熱交換器132は、プレート型熱交換器であり、以下でより詳細に説明する第1の冷媒流路F1と第2の冷媒流路F2との間で冷媒から冷媒への熱交換をもたらす。
【0031】
第1の冷媒流路F1から、冷媒は、エコノマイザ熱交換器132から蒸発器膨張装置134に流れる。蒸発器膨張装置134は、本明細書では蒸発器とも呼ばれる蒸発器熱交換器136に関連付けられ、蒸発器136への冷媒の流れを制御するように動作可能である。蒸発器膨張装置134は、蒸発器出口温度センサー138及び/または蒸発器出口圧力センサー140からの信号に応答して、MMで概略的に示されているコントローラによって制御され得る。蒸発器ファン(図示せず)は、輸送用冷却ユニット20に関連するコンパートメント内の空気を調整するために使用される蒸発器136上に空気を引き出しまたは押し出すように動作可能である。蒸発器136の出口は、導管143を介してコンプレッサ120の一次吸引ポート142に流体的に接続されて、一次コンプレッサ入口流路の第1の部分を画定する。
【0032】
図示した非限定的な実施形態では、例えば、コンプレッサ吸引調節バルブ(または電磁バルブ)などのバルブ144が、蒸発器熱交換器136の下流、かつ一次吸引ポート142から上流にある一次コンプレッサ入口流路に沿って配置されている。バルブ144は、電子コントローラMMに動作可能に結合され得る。従って、電子コントローラMMは、運転モードまたはユニット110の1つ以上の運転条件に基づいてバルブ144を所望の構成に移動させるように命令する1つ以上の信号を生成することができる。当業者によって理解されるように、輸送用冷却ユニット110は、単純化のために示されていない、熱膨張バルブ及び/または他の構成要素などの追加の特徴及び構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、蒸発器膨張バルブ134は、コンプレッサ吸引調節バルブ144と交換または置換されて、蒸発器熱交換器136を通る流れを制御することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、輸送用冷却ユニット20は、蒸発器膨張バルブ134、吸引調節バルブ(複数可)144、及び/または当技術分野で知られている他のバルブを含むことができる。
【0033】
図示されるように、コンプレッサ120は、第2のまたは中間の吸引ポート146を有し得る。中間吸引ポート146は、一次吸引ポート142とコンプレッサ排出ポート122との間の圧縮経路に沿った中間位置に配置されることができる。さらに一実施形態では、バイパス導管148は、導管143を中間吸引部分146に結合する。バイパス導管148は、一次コンプレッサ入口流路の第2の部分を画定し、第2の部分は、一次コンプレッサ入口流路の第1の部分と並列に配置される。従って、一次コンプレッサ入口流路は、蒸発器熱交換器136からコンプレッサまで延在し、最終的に一次吸引ポート142と中間吸引ポート146のうちの1つに冷媒を送達するように構成されている。一実施形態では、バイパス導管148は、バルブ144から上流の位置で導管143に結合され、バルブ144の構成が制御され、一次コンプレッサ入口流路内の流体流をユニット110の要求に基づいて一次吸引ポート142と中間吸引ポート146の一方または両方に選択的に向けることができるようになっている。
【0034】
図示した非限定的な実施形態では、輸送用冷却ユニット110は、エコノマイザ熱交換器132を通る第2の冷媒流路F2をさらに含む。図示されるように、第2の冷媒流路F2は、第1の冷媒流路F1とコンプレッサ120の中間吸引ポート146との間に延びる。エコノマイザ膨張デバイス150は、エコノマイザ熱交換器132の上流の第2の冷媒流路F2内に配置されている。エコノマイザ膨張デバイス150は、コントローラMMによって制御される電子エコノマイザ膨張デバイスであり得る。エコノマイザ熱交換器132がアクティブであるとき、コントローラMMは、エコノマイザ膨張デバイス150を制御して、冷媒が第2の冷媒流路F2を通過し、エコノマイザ熱交換器132を通過し、中間吸引ポート146に到達することを選択的に可能にする。従って、第2の冷媒流路は、二次コンプレッサ入口流路の少なくとも一部を画定する。エコノマイザ膨張デバイス150は、エコノマイザ向流熱交換器132に進む冷媒を膨張及び冷却するように機能し、それにより、蒸発器膨張デバイス134に進む第1の冷媒流路F1内の液体冷媒を過冷却する。
【0035】
当業者は、
図2に示される概略図及び構成が、輸送用冷却ユニット110の単なる一例であり、限定することを意図するものではないことを理解するであろう。例えば、本開示の範囲から逸脱して、他の構成要素または構成が可能である。例えば、冷却システムは、コントローラ、受容器、フィルタ、乾燥機、追加的バルブ、熱交換器、センサー、インジケータなどを、本開示の範囲から逸脱することなく含み得る。
【0036】
輸送用冷却ユニット110は、複数のモードで運転可能である。ユニット110は、所望の製品貯蔵温度に等しい安定した温度を維持するためにコンプレッサ120の中間容量が必要とされるときなど、ユニット110の通常の負荷状態の間に、第1のモードで運転するように構成される。従って、この運転の第1のモードは、通常、可変コンプレッサの所望の速度がコンプレッサの最大速度よりも低いが、コンプレッサの最小速度よりも高い場合に使用される。この速度は、トレーラの設定点をトレーラの所望の温度と比較することによって判定される温度誤差に部分的に基づいて選択されることができる。
【0037】
第1の標準運転モードの間、エコノマイザ膨張デバイス150は閉位置にある。エコノマイザ膨張デバイス150が閉じた状態では、例えば、冷媒の約2%または1%未満などの冷媒は、第2の冷媒流路F2を通ってほとんど流れない。むしろ、例えば、冷媒の 少なくとも約98%などのほぼすべての冷媒は、第1の冷媒流路F1を通って蒸発器膨張デバイス134に流れ、また、一次コンプレッサ入口流路を介して蒸発器熱交換器136からコンプレッサ120に流れる。運転の第1のモードでは、コンプレッサ吸引調節バルブ144は、第1の構成にあり、一次コンプレッサ入口流路内の冷媒が一次吸引ポート142に提供されるようになっている。一実施形態では、バイパス導管148によって画定される一次コンプレッサ入口流路の第2の部分を通る流れは、バルブ144が第1の構成にあるときに遮断される。しかしながら、バルブ144が第1の構成にあるときに冷媒流の一部が中間吸引ポート146に提供される実施形態もまた、本明細書で企図されている。
【0038】
輸送用冷却ユニット110は、例えば、所望の製品貯蔵温度に等しい安定した温度を維持するためにコンプレッサ120の低減した容量が必要とされる場合、第2のモードでさらに運転可能である。一実施形態では、輸送用冷却ユニット110は、運転条件が最小の冷却能力を必要とする場合、第2のモードで運転可能である。このような運転条件には、周囲温度と設定点温度との温度差が小さい場合、及びトレーラに非呼吸貨物または医薬品タイプの積荷が含まれている場合が含まれるが、これらに限定されない。さらに、コンプレッサが最小許容回転速度にあり、過剰な冷却能力が依然として存在する場合、ユニット110は第2のモードで運転され得る。
【0039】
第2のモードでのユニット110の運転は、第1のモードでの運転と実質的に同様であり得る。しかしながら、第2のモードでは、バルブ144は第2の構成にある。第2の構成では、蒸発熱交換器136から一次圧縮入口流路に出力される流体の少なくとも一部は、バイパス導管148に向けられ、中間吸引ポート146に提供される。運転の第2のモードでは、バルブ144が第2の構成にあるとき、一次圧縮入口流路からの流れの一部はまた、一次吸引ポート142に供給され得、流れが一次吸引ポート142と中間吸込口146の両方に同時に提供されるようになっている。しかしながら、他の実施形態では、第2の構成では、バルブ144は、一次吸引ポート142への冷媒の流れを遮断するように動作可能であり得る。
【0040】
輸送用冷却ユニット110が大容量で運転しているとき、例えば、容器の温度が所望の製品貯蔵温度を超えているとき、輸送用冷却ユニット110は、第3の運転モードで運転可能である。第3の運転モードでは、コントローラMMは、エコノマイザ膨張デバイス150を開位置に変換し、それにより、冷媒が第1の冷媒流路F1と第2の冷媒流路F2の両方を通って流れることを可能にする。第1の冷媒流路F1内の冷媒は、一次吸引ポート142の1つに戻される前に、エコノマイザ熱交換器132及び蒸発器136を通って流れる。同時に、第2の冷媒流路F2内の冷媒は、二次コンプレッサ入口流路を介してエコノマイザ熱交換器132から中間吸引ポート146に直接通過し、それにより、蒸発器膨張デバイス134及び蒸発器熱交換器136をバイパスする。
【0041】
本明細書に記載の高圧側コンプレッサを含む輸送用冷却ユニット110は、吸引ポート142、146または吸引ポートの組み合わせのうちどれが、圧縮される流れを受け入れるように構成されているかに基づいて容量の著しい低減を可能にすることでコンプレッサ120の最適な動作を可能にする。この容量の低減により、より良い温度制御が可能になる。また、高圧側コンプレッサを使用することにより、コンプレッサの潤滑に影響を与えることなく、容量調整が達成され得る。さらに、高圧側スクロールコンプレッサ内の油の流路は、冷媒が中間吸引ポート146の一次吸引ポート142に供給されるかどうかに関係なく、実質的にすべての油を、例えば、特定の場合には少なくとも約98%のオイルをサンプに戻すことを可能にする。
【0042】
「約」という用語は、出願時に利用可能である器具に基づいた特定の量の測定値に関連付けられた誤差の程度を含むことが意図されている。
【0043】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のみであり、本開示を限定するようには意図されていない。本明細書で使用されるように、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈が別段に明確に示さない限り、複数形も含むことが意図されている。用語「備える(comprise)」及び/または「備えている(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素及び/またはそれらのグループの存在または追加を排除する訳ではないことがさらに理解されよう。
【0044】
本開示は一例示的な実施形態を参照して説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われてもよく、また均等物がその要素の代わりをする場合もあることは、当業者によって理解されるであろう。加えて、本開示の必須の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために多くの修正が行われる場合もある。したがって、本開示は、本開示を実施するために企図された最適な態様として開示される特定の実施形態に限定されるのではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲内に収まる全ての実施形態を含むことが意図されている。