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特開2022-120856間仕切りユニット及び間仕切りユニットの組立て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120856
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】間仕切りユニット及び間仕切りユニットの組立て方法
(51)【国際特許分類】
   A61G 10/00 20060101AFI20220812BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
A61G10/00 Z
E04B2/74 561A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017873
(22)【出願日】2021-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000107929
【氏名又は名称】セイキ総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 真人
(72)【発明者】
【氏名】竹村 和晃
(72)【発明者】
【氏名】根岸 亨
(72)【発明者】
【氏名】小竹 正寿
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 義機
(72)【発明者】
【氏名】半田 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】村江 行忠
(72)【発明者】
【氏名】栗木 茂
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優
(72)【発明者】
【氏名】岡田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】守谷 博文
(72)【発明者】
【氏名】茅野 充彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 彌
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341KK10
(57)【要約】
【課題】職人を介さずに医療従事者自らが設置や移設ができ、感染症の拡大に対応して迅速な医療体制が構築され、入院患者の増減に合わせて病床数を調整できる間仕切りユニット及び間仕切りユニットの組立て方法を提供すること。
【解決手段】医療施設に設置され、感染症に感染した患者を一般病棟の患者及び医療スタッフから隔離して感染症の拡大を防ぐ間仕切りユニット1であって、間仕切りユニット本体2は、入退場が管理される出入口ドア5と、高さ調整フレームにより天井面6への高さが調整される高さ調整ゾーン10と、からなり、高さ調整後の高さ調整ゾーン10に仕上げ材が貼られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療施設に設置され、感染症に感染した患者を一般病棟の患者及び医療スタッフから隔離して感染症の拡大を防ぐ間仕切りユニットであって、
間仕切りユニット本体は、入退出が管理される出入口ドアと、
高さ調整フレームにより天井面への高さが調整される高さ調整ゾーンと、からなり、
高さ調整後の前記高さ調整ゾーンに仕上げ材が貼られることを特徴とする間仕切りユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の間仕切りユニットであって、間仕切りユニット本体のコーナ支柱内に収納された前記高さ調整フレームは、天井面に向かって延伸され、前記高さ調整フレームの先端部が前記天井面に達するとビスにより前記コーナ支柱に固定されることを特徴とする間仕切りユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の間仕切りユニットであって、前記高さ調整フレームは、ロッド棒と化粧ネジとからなる高さ調整機構を備え、ロッド棒により前記高さ調整フレームの先端部を天井位置まで到達させ、前記天井位置で前記化粧ネジにより前記高さ調整フレームの位置を固定させることを特徴とする間仕切りユニット。
【請求項4】
請求項2に記載の間仕切りユニットであって、前記仕上げ材は、壁面ファスナーにより前記梁材に固定されることを特徴とする間仕切りユニット。
【請求項5】
請求項2に記載の間仕切りユニットであって、前記間仕切りユニット本体の梁材内に収納された幅調整フレームは、両側に向かってそれぞれ延伸され、先端部が壁面に達した位置で前記梁材に固定されることを特徴とする間仕切りユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の間仕切りユニットであって、前記幅調整フレームは、上方幅調整パネルと下方幅調整パネルとに分割され、前記上方幅調整パネルと前記下方幅調整パネルとは、廊下に設置される手摺が貫通する手摺貫通部を挟んで接続されることを特徴とする間仕切りユニット。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の間仕切りユニットであって、前記間仕切りユニット本体のコーナ支柱の下部にはキャスタが設けられ、前記キャスタにより間仕切りユニット本体を上昇させて所定の設置位置に移動させ、前記所定の設置位置に達すると前記キャスタを下降させて前記間仕切りユニット本体を着地させることを特徴とする間仕切りユニット。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の間仕切りユニットであって、前記高さ調整ゾーンと天井面との間隙、及び、幅調整ゾーンと両壁面とのそれぞれの間隙は、隙間封止材により封止されることを特徴とする間仕切りユニット。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の間仕切りユニットであって、前記間仕切りユニット本体は、パネル、カーテン、塩化ビニルシートのうちのいずれかが仕上げ材として取り付けられることを特徴とする間仕切りユニット。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の間仕切りユニットの組立て方法であって、
梁材とコーナ支柱とを組み合わせて前記間仕切りユニット本体を組み立てるステップと、
前記コーナ支柱から前記高さ調整フレームを延伸させて天井面に着くまで持ち上げるステップと、
前記高さ調整フレームを前記コーナ支柱にネジで固定するステップと、
を含むことを特徴とする間仕切りユニットの組立て方法。
【請求項11】
請求項10に記載の間仕切りユニットの組立て方法であって、前記仕上げ材を面ファスナーで前記間仕切りユニットに貼り付けて固定するステップを含むことを特徴とする間仕切りユニットの組立て方法。
【請求項12】
請求項10に記載の間仕切りユニットの組立て方法であって、前記間仕切りユニット本体から両側の幅調整フレームを延伸させて壁面との隙間に着くまで拡げるステップを含むことを特徴とする間仕切りユニットの組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切りユニット及び間仕切りユニットの組立て方法に係り、特に、医療施設の一般入院患者を感染症の感染リスクから回避しながら、感染症患者のベッドを確保するために、フロアの区画を変更するか、又は、新たにフロアの区画を形成する間仕切りユニット及び間仕切りユニットの組立て方法に関する。なお、本発明では、感染症の一例として新型コロナウィルスによる感染症を想定しているが、それに限らず、インフルエンザ等による他の感染症をも対象とする。また、本発明は、感染症患者を収容する病院、診療所、介護老人施設等を対象とするが、これらに限らない。また、これらの施設を総称して「医療施設」と称する。なお、本間仕切りユニットは、家具に該当するので、建築基準法、消防法、医療法の対象外となる。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウィルス等の感染症の拡大を抑制するため、医療施設において、感染症を発症した入院患者と一般の入院患者とは隔離しなければならない。現状、医療施設において入院患者を隔離するには、病棟のフロアに隔離する区画を新たに形成するか、病棟のフロアの区画を変更する必要がある。いずれの場合も、本間仕切りユニットを活用して病棟のフロアを区画することが望ましい。なお、「病棟のフロアに隔離する区画を新たに形成する」には、「病棟のフロアの一部にコロナウィルス病棟の区画を形成する」こと及び「病棟のフロアの総てをコロナウィルス病棟とする」ことが共に含まれる。
【0003】
医療施設の病棟に間仕切りユニットを設置するには、専門の職人が医療施設内に入る必要がある。これら外部の職人は、医療施設に入院している感染症患者から感染症をうつされる可能性が高い。また、そもそも外部の職人自体が感染者である可能性もある。そこで、間仕切りユニットの設置前にPCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応検査)をする必要がある。また、感染症である職人は、医療施設の入院患者に感染させないようにある程度の期間は病院内に隔離する必要がある。このように、外部の職人により間仕切りユニットを設置すると医療施設が感染症の二次感染源となり、感染爆発が発生する虞がある。
【0004】
また、入院患者が増減する状況に合わせたゾーニングにより、専門の職人により設置された間仕切りユニットを移設する必要が生じる。この際にも職人の手配や作業後の職人の隔離が必要となるため、医療施設が感染症の二次感染源となり、感染症の感染爆発が発生する虞がある。さらに、間仕切りユニットに関連する資材は、緊急時に使用するものが多く、費用面での医療施設側の負担が発生してしまう。また感染症のウィルスが付着した資材等の保管場所の問題も発生する。ここで、医療施設におけるゾーニングとは、感染症患者の入院病棟において、病原体によって汚染されている区域 (汚染区域)と汚染されていない区域(清潔区域)を区分けすることを言う。
【0005】
一方、病棟に間仕切りユニットを新たに設置する場合や、設置された間仕切りユニットを入院患者数の増減に合わせて移設する場合に、専門の職人ではなく病院スタッフ自らが間仕切りユニットを設置することが考えられる。これにより、入院患者数の増減等に迅速に対応することは可能となり、感染爆発の恐れも解消できる。しかし、病院スタッフが慣れない作業を行うためコストや時間がかかる。例えば、経験の乏しい、ビニルシート等を使った設置作業の場合は、手探りでの作業となり時間がかかってしまう。また、病院スタッフが本来業務である医療業務に専念できないという問題が発生する。さらに、これらの病院スタッフを病院内に隔離する必要がある場合は、医療業務が停滞するだけではなく医療施設が感染症の院内感染源となる虞がある。また、感染の収束や拡大が発生する度に資材の購入、汚染された資材等の廃棄といった資材管理の保管の問題が発生する。
【0006】
一方、この間仕切りユニットは、感染症対策以外に病院内での個人専用の会議室の利用等に転用が可能な間仕切りユニットの需要がある。例えば、患者自身や患者の親族との相談、感染症対策としてのワクチンの接種、ケアマネージャ等と退院後の打ち合わせの面談室、授乳室等、間仕切りユニットであることを生かし、医療用として幅広く活用できる。
【0007】
例えば、特許文献1には、病室の大部屋や介護・養護施設の多床室のベッド間に設置する間仕切家具であって、電気、通信電波等を供給する接続端子を具備していても、容易に移動が出来る、使い勝手の良い間仕切家具が開示されている。ここでは、室内に配設されたベッド間に設置し、仕切る方向に立設する仕切壁と、天板と、収納装置と、電気、通信電波等を供給する副雌型接続端子とを備え、キャスタを装着し移動可能とした間仕切家具であって、間仕切家具とは別個に配設された電気、通信電波等を供給する主雌型接続端子に隣接する開口部を間仕切家具の側面に設け、副雌型接続端子に接続し引き出された配線コードの先端部の雄型接続端子を、開口部を通じて主雌型接続端子に着脱自在に接続を行う操作口を具備することが記載されている。
【0008】
例えば、特許文献2には、医療用テントに比べて実用性に優れた、移動型の診療所設備としての医療用コンテナが開示されている。ここでは、医療用コンテナは、医療用コンテナの内部に設けられ医療従事者が患者を診療する診療室と、医療用コンテナの内部に設けられ診療室との間に扉を介して診療室と仕切られる前室と、医療用コンテナの外部から診療室に対して患者が入室する診療室扉と、医療用コンテナの外部から前室に対して医療従事者が入室するとともに、診療室扉から入室する一方の動線と前室に入室する他方の動線とが異なるように設けられる前室扉と、を備えることが記載されている。
【0009】
例えば、特許文献3には、インフルエンザ等の感染症の外来として利用でき、病院等において、医療スタッフ、他の患者、そして入院患者への感染症の二次感染の確実な防止が図れる可搬式感染症対策室装置が開示されている。ここでは、可搬式の居室用箱体の内部空間を間仕切壁で仕切って、一端側に医療スタッフ室、他端側に患者待機室を設けると共に、中間側に対処室を構成し、医療スタッフ室と患者待機室の夫々に箱体外との扉付き出入口を設けると共に、医療スタッフ室と対処室及び対処室と患者待機室との間に扉付き出入口を設け、患者待機室にフィルタを備えた室内空気の排気ユニットを設けると共に、医療スタッフ室に外気の給気ユニットを設け、排気ユニットの排気経路から分岐させて対処室に至る還流経路を設けた可搬式感染症対策室装置が記載されている。
【0010】
なお、医療施設では、安全に医療を提供して感染拡大を防止するため、施設内部を病原菌により汚染されている区域(汚染区域)、汚染されていない区域(清潔区域)、及び汚染区域と清潔区域の中間区域に明確にゾーニングしている。そして、医療スタッフ等が把握し易いように汚染区域をレッドゾーン、清潔区域をグリーンゾーン、中間区域をイエローゾーンと呼んで明確に区別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2012-100855号公報
【特許文献2】特許第6787618号
【特許文献3】特開2011-41765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、間仕切りユニットを外部の専門の職人ではなく病院スタッフが自ら行うには、間仕切りユニットに関する種々の問題を解決しなければならない。第1に、既設の医療施設に新たに間仕切りユニットを設置する際の間仕切りユニットの取付け精度の問題を解決しなければならない。既設の医療施設では、元々、医療機関によって天井高さや廊下の幅員に設定が異なる場合がある。それに加えて、天井面の高さや壁面の幅が設計図通りではなく、施工精度や製品精度により狂いが発生している場合が多い。本来、専門の職人による施工が望ましいが、専門の職人の手配等により迅速に対応できないという問題がある点、或いは、コロナウィルスの感染拡大を防止するという点から、極力外部の人間を医療機関内に入れずに間仕切りユニットを設置するのが望ましい。本発明に係る間仕切りユニットは、専門の職人に頼ることなく素人でも精度よく組立て可能であり、取り付け可能であることが課題となる。
【0013】
第2に、間仕切りユニットの取付けの素人である病院スタッフ等が間仕切りユニットを迅速に取付けられるという課題がある。これは、病院スタッフは、既設の医療施設において医療行為をしながら間仕切りユニットを取り付けるため、入院患者に対して迷惑にならないように、短時間で簡易に取り付け可能であるという課題がある。特に、夜間に間仕切りユニットを取付ける場合には、騒音や振動が発生しないように取付けを完了しなければならない。このように、短時間で迅速な医療体制を構築できることが課題となる。
【0014】
第3に、間仕切りユニットを医療施設に設置する際に、工場で組み立てられた間仕切りユニットを病院スタッフにより簡便に搬入でき、また、間仕切りユニットを簡易に移設できることという課題がある。これは、間仕切りユニットの取付けの素人である病院スタッフ等でも簡易に搬入でき、感染患者の受け入れ態勢を素早く構築できるからであり、無駄に空いているベッドの稼働率を高められからである。
【0015】
さらに、感染症対策以外に個人専用の会議室の利用等に転用が可能な間仕切りユニットの需要があり、本間仕切りユニットは、病院内外での幅広い活用法に対応するという課題がある。
【0016】
本願の目的は、係る課題を解決し、職人を介さずに医療従事者自らが設置や移設ができ、感染症の拡大に対応して迅速な医療体制が構築でき、入院患者の増減に合わせてベッド数を調整できる間仕切りユニット及び間仕切りユニットの組立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係る間仕切りユニットは、医療施設に設置され、感染症に感染した患者を一般病棟の患者及び医療スタッフから隔離して感染症の拡大を防ぐ間仕切りユニットであって、間仕切りユニット本体は、入退出が管理される出入口ドアと、高さ調整フレームにより天井面への高さが調整される高さ調整ゾーンと、からなり、高さ調整後の高さ調整ゾーンに仕上げ材が貼られることを特徴とする。
【0018】
上記構成により、本発明に係る間仕切りユニットは、入退出が管理される出入口が設けられて医療施設のフロアに設置される。このように、感染症に感染した入院患者が間仕切りユニット外部に抜け出ることも、一般病棟の入院患者が間仕切りユニット内部に入り込むことも管理される。これにより、感染症患者を一般入院患者から隔離して院内感染を容易に抑制することができる。また、医療施設に勤務する医者、看護士等の医療スタッフを容易に二次感染から防護できる。
【0019】
また、本間仕切りユニットは、感染拡大を抑制するために、間仕切りユニット本体の高さ調整ゾーン及び幅調整ゾーンにおいて、後述する高さ調整手段及び幅調整手段を用いて高さ調整ゾーンと天井面との間隙、及び、幅調整ゾーンと壁面との間隙を最小限にして堅牢な壁のようにすることができる。これにより、入院患者の出入りを管理して感染源からの飛沫感染及び接触感染を防止することができる。
【0020】
また、間仕切りユニット本体のコーナ支柱内に収納された高さ調整フレームが、天井面に向かって延伸され、高さ調整フレームの先端部が天井面に達するとビスによりコーナ支柱に固定されることが好ましい。これにより、職人を介さずに医療従事者自らが間仕切りユニット本体の設置や移設を容易にできる。また、感染症の拡大に対応して迅速な医療体制が構築でき、入院患者の増減に合わせて病床数を容易に調整できる。
【0021】
また、高さ調整フレームが、ロッド棒と化粧ネジとからなる高さ調整機構を備え、ロッド棒により高さ調整フレームの先端部を天井位置まで到達させ、天井位置で化粧ネジにより高さ調整フレームの位置を固定させることが好ましい。これにより、職人の手を借りずに間仕切りユニットの組立てが精度良くできる。
【0022】
間仕切りユニット本体の梁材内に収納された幅調整フレームが、面ファスナーにより梁材に固定される。これにより、パネル等の剛性がある仕上げ材の場合には、幅調整フレームを使用することなく面ファスナーで間仕切りユニット本体に簡易に仕上げ材を取り付けることができる。
【0023】
間仕切りユニット本体の梁材内に収納された幅調整フレームは、両側に向かってそれぞれ延伸され、先端部が壁面に達した位置で梁材に固定される。例えば、塩化ビニルシート等の剛性のない素材の場合には、幅調整フレームを延伸させなければ仕上げ材を取り付けることができない。
【0024】
また、間仕切りユニット本体の梁材内に収納された幅調整フレームは、両側に向かってそれぞれ延伸され、先端部が壁面に達した位置で梁材に固定されることが好ましい。これにより、間仕切りユニット本体の両側の幅調整ゾーンにおいて、仕上げ材を簡易に取付け、又は、取り外しすることができる。
【0025】
また、幅調整ゾーンが、上方幅調整パネルと下方幅調整パネルとに分割され、前記上方幅調整パネルと前記下方幅調整パネルとは、廊下に設置される手摺が貫通する手摺貫通部を挟んで接続されることが好ましい。これにより、医療施設の廊下に設置される手摺を外すことなく間仕切りユニットを設置することができる。
【0026】
また、間仕切りユニット本体のコーナ支柱の下部にはキャスタが設けられ、キャスタにより間仕切りユニット本体を上昇させて所定の設置位置に移動させ、所定の設置位置に達するとキャスタを下降させて間仕切りユニット本体を着地させることが好ましい。これにより、間仕切りユニット本体を容易に移設し、間仕切りユニット本体の底部を床面に対して平坦に設置できる。このように、間仕切りユニット本体に取り付けられたキャスタを用いることで、間仕切りユニット本体を設置位置に搬入して設置位置を変更することができ、専門の職人に代わって医療従事者であっても容易に扱える。
【0027】
また、高さ調整ゾーンと天井面との間隙、及び、幅調整ゾーンと両壁面とのそれぞれの間隙は、隙間封止材により封止されることが好ましい。これにより、高さ調整ゾーンと天井面との間隙、及び、幅調整ゾーンと両壁面とのそれぞれの間隙に生じる隙間を封止してウィルス等の侵入を防止することができる。
【0028】
また、間仕切りユニット本体は、パネル、カーテン、塩化ビニルシートのうちのいずれかが仕上げ材として取り付けられることが好ましい。これにより、間仕切りユニット本体に取り付ける仕上げ材は、パネルだけではなく、カーテンや塩化ビニルシートといったオプションを選択することができる。
【0029】
また、梁材とコーナ支柱とを組み合わせて間仕切りユニット本体を組み立てるステップと、コーナ支柱から高さ調整フレームを延伸させて天井面に着くまで持ち上げるステップと、高さ調整フレームをコーナ支柱のネジで固定するステップと、間仕切りユニット本体から両側の幅調整フレームを延伸させて壁面との隙間に着くまで拡げるステップと、幅調整フレームを面ファスナーで貼り付けて固定するステップと、を含むことが好ましい。これにより、容易に区画を形成することができ、感染症に感染した入院患者を一般病棟の入院患者から容易に隔離して院内感染を抑えることができる。また、医療施設に勤務する医者、看護士等のスタッフを容易に感染症から防護できる。さらに、院内感染を抑えるため、高さ調整ゾーンと天井面との間隙、及び、幅調整部と壁面との間隙は隙間封止材により封止される。また、間仕切りユニットを設置することにより入院患者の出入りや通り抜けを防止することができる。
【0030】
また、梁材とコーナ支柱とからなる間仕切りユニット本体を連結するステップを含むことが好ましい。これにより、複数個の間仕切りユニット本体を連結させて間仕切りユニットを拡張することができ、感染対策ゾーンやセーフティゾーン等を設置して感染対策や安全域等の領域が設定きる。
【0031】
また、仕上げ材を面ファスナーで間仕切りユニットに貼り付けて固定するステップを含むことが好ましい。この発明は、間仕切りユニットの第1実施形態で剛な仕上げ材を使う場合に適用することができる。これにより、幅調整フレームを設けることなく、面ファスナーにより仕上げ材を簡易に取り付けたり、取り外したりすることができる。
【0032】
また、間仕切りユニット本体から両側の幅調整フレームを延伸させて壁面との隙間に着くまで拡げるステップを含むことが好ましい。この発明は、間仕切りユニットの第2実施形態で柔らかな仕上げ材を使う場合に適用することができる。例えば、カーテンのような柔らかな仕上げ材を用いる場合でも幅調整フレームにより的確に取り付けたり、取り外したりすることができる。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明に係る間仕切りユニット及び間仕切りユニットの組立て方法によれば、職人を介さずに医療従事者自らが設置や移設ができ、感染症の拡大に対応して迅速な医療体制が構築でき、入院患者の増減に合わせて病床数が調整できる間仕切りユニット及び間仕切りユニットの組立て方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係る間仕切りユニットの一つの実施形態を示す斜視図であり、図1(a)は、間仕切りユニットの全体斜視図であり、図1(b)は、医療機関の廊下に設けられる手摺及び手摺支持材の部分斜視図である。
図2】医療施設の各階における間仕切りユニットの一つの実施例を平面図で示す。図2(a)は、通常の医療施設における各階の実施例であり、間仕切りユニットを使用しない状態を示す。図2(b)は、図2(a)に対して間仕切りユニットによりフロアの一部に防護ゾーンを設けた場合の実施例を示す。
図3】間仕切りユニットの出入口ドア廻りの一つの実施例を示す正面図である。
図4】間仕切りユニットの高さ調整フレームのロッド棒及び化粧ネジの実施例を示す側面図である。
図5】間仕切りユニットにおいて間仕切りユニット本体を拡張する場合の実施例を示す斜視図である。
図6】間仕切りユニットの仕上げ材のバリエ-ションの実施例を示す説明図であり、図6(a)はパネルの場合であり、図6(b)はカーテンの場合であり、図6(c)は塩化ビニルシートの場合である。
図7】間仕切りユニットの組立て手順の一つの実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(間仕切りユニットの実施形態)
以下に、図面を用いて本発明に係る間仕切りユニット1の実施形態につき詳細に説明する。図1に、間仕切りユニット1の一つの実施形態を斜視図で示す。図1(a)は、間仕切りユニット1の全体斜視図であり、図1(b)は、医療機関の廊下に設けられた手摺8及び手摺支持材42の部分斜視図である。なお、本発明では、感染症の一例として新型コロナウィルスの感染症を想定しているが、それに限らず、他のコロナウィルスやインフルエンザ等による感染症も対象とする。また、本発明が対象とする医療施設には、病院、診療所、介護老人施設等があるが、それに限らず、感染症患者を扱う総ての医療施設を対象とする。そして、これらの施設を総称して「医療施設」と称する。また、感染症によるウィルスの飛沫感染及び接触感染等を防止するための隔壁や仕切りを総称して「間仕切りユニット1」と称する。さらに、本明細書では、「間仕切りユニット本体2」にパネル、カーテン、塩化ビニルシート等の仕上げ材が取り付けられたユニットを「間仕切りユニット1」と称する。
【0036】
図1に示すように、医療施設のフロアの廊下26等に間仕切りユニット1を設置し(図2(a)参照)、感染した入院患者や医療従事者を隔離し、出入口ドア5からの人の出入りを制限することで感染症の拡大を防止する。また、間仕切りユニット1により特定の区域(図2(b),(c)参照)を隔離し、ウィルス等の拡散を防いで感染症の感染拡大を抑制する。感染症の感染拡大は、主として飛沫感染、接触感染、及び、空気感染によると言われている。間仕切りユニット1により入院患者や医療従事者の出入りを規制することで、感染症の飛沫感染及び接触感染を防止することができる。本間仕切りユニット1では、感染症の空気感染については、防止の対象としない。これは、間仕切りユニット1により感染者の通行を阻止することでウィルス等の間仕切りユニット1内への拡散を抑えることができるからであり、大気中を浮遊するウィルスによる空気感染そのものを阻止するのは難しいからである。この間仕切りユニット1は、感染症に感染していない一般の内科、外科、皮膚科、小児科等の一般患者が感染症に感染した患者の飛沫を浴びることや接触することで院内感染するのを防止することができる。そのため、例えば、医療施設のフロアの端部に間仕切りユニット1により院内感染を阻止する防護ゾーン20a,20bを設定する。そして、この防護ゾーン20a,20bへの出入りは、病院関係者が所定の出入口ドア5からのみ出入りできるように規制する。すなわち、一般患者が防護ゾーン20a,20b内部に出入りするのを防止し、感染した患者が防護ゾーン20外部に出るのを禁止する。図1(b)に、医療機関の廊下26に設けられた手摺8及び手摺支持材42を示す。本間仕切りユニット1は、この手摺8及び手摺支持材42を取り外すことなく間仕切りユニット1が設置できる。ここに示す手摺8及び手摺支持材42の形状及び構成等の仕様は1つの実施例であり、これに限らない。
【0037】
図2に、医療施設の各階における間仕切りユニット1の一つの実施例を平面図で示す。図2(a)は、通常の医療施設における各階の実施例であり、医療施設における各階に間仕切りユニット1を使用しない状態を示す。図2(b)は、図2(a)に対して間仕切りユニット1によりフロアの一部に防護ゾーン20aを設けた実施例を示す。図2(c)は、フロアのエリアに防護ゾーン20bを設定した実施例を示す。図2(a)、図2(b)及び図2(c)中の矢印に示すように、感染者の増減に対応してゾーニングを変更し、防護ゾーン20a,20bを拡大或いは縮小することができる。一般的に医療施設の各階には、廊下26,感染患者用エレベータ21a,一般患者及び医療スタッフ用エレベータ21b,ナースステーション22,食堂・談話室23,倉庫27,機械室29、トイレ28等が配置される。感染症の感染患者と、一般患者及び医療スタッフとの導線は明確に区別され、二次感染防止が徹底される。また、感染者と、一般患者及び医療スタッフとが他の階へ移動する場合に使用する出入口に関しても、感染者と、一般患者及び医療スタッフとの導線は明確に区別され、二次感染防止が徹底される。このため、エレベータは感染患者用エレベータ21aと一般患者及び医療スタッフ用エレベータ21bとに区別される。また、感染患者用エレベータ21aには、間仕切りユニット1が十分に乗れるサイズになっている。感染者及び一般患者は、大部屋(4人部屋)24や個室25等にそれぞれ配置されるが、感染者と一般患者及び医療スタッフとが同じ病室に配置されないように配慮され、院内感染防止が徹底される。図2(b)は、図2(a)の一般的な配置に対して間仕切りユニット1により防護ゾーン20a(図2(b)中、破線で示す)を設けた場合のゾーニングの実施例である。図2(c)は、図2(a)の一般的な配置に対して間仕切りユニット1により防護ゾーン20b(図2(c)中、破線で示す)を設けた場合のゾーニングの実施例である。このように、感染者数の増減に対し、医療施設の廊下26に間仕切りユニット1を設置するだけで、医療施設の所定の区域に、対応する防護ゾーン20a,20bが設定でき、防護ゾーン20a,20bの位置が変更になっても簡易に防護ゾーン20a,20bを移動することができる。
【0038】
(間仕切りユニットの構成)
図3は、間仕切りユニット1の出入口ドア5廻りの一つの実施形態を正面図で示す。また、図4は、間仕切りユニット1の高さ調整フレーム17aのロッド棒46及び化粧ネジ47の実施例を示す側面図である。図3に示すように、間仕切りユニット1は、間仕切りユニット本体2と、天井面6への高さ間隔が調整可能な高さ調整ゾーン10(図5参照)と、壁面7に対する幅間隔が調整可能な上方幅調整パネル4a,下方幅調整パネル4b(図3参照)とから構成される。但し、上方幅調整パネル4a及び下方幅調整パネル4bは、間仕切りユニット1の柔らかな仕上げ材を用いる第1実施形態の場合には含まれず、剛な仕上げ材を用いる第2実施形態の場合に含まれる。この高さ調整ゾーン10には天井面6までの領域に高さ調整パネル3が設けられる。そして、幅調整ゾーン9には、上方幅調整パネル4aと下方幅調整パネル4bと、廊下26(図2参照)に設置される手摺8が貫通する手摺貫通部15とから構成される。幅調整ゾーン9は、医療施設の廊下26に設けられる患者歩行用の手摺8が貫通する手摺貫通部15により上方幅調整パネル4aと下方幅調整パネル4bとに分割されている。廊下26に設けられる間仕切りユニット1には、出入口ドア5が設けられる。そして、通路幅13には、ドア開口幅12と左右の幅調整域9とが含まれる。天井高さ14には、高さ調整ゾーン10とドア開口高さ11とが含まれる。
【0039】
(出入口ドア)
図3に示すように、間仕切りユニット1の出入口ドア5の一つの実施例は「開き戸」であるが、これに限らず、「引き戸」や「観音開き」の実施例もある。
【0040】
(隙間封止材)
図3に示すように、高さ調整ゾーン10(間仕切りユニット1の頂部と天井面6との間隙)は、隙間封止材(図示せず)により封止される。幅調整ゾーン9と壁面7との間隙も隙間封止材(図示せず)により封止される。この隙間封止材は、例えば、隙間封止テープ等であるが、空気の流通を塞ぐものであれば、これに限らない。これらの隙間封止材により、間仕切りユニット1は、間仕切りによる防護ゾーン20a、20b(図2の符号20参照)内への感染が防止される。
【0041】
(高さ調整フレーム)
図4に、間仕切りユニット本体2の高さ調整フレーム17aのロッド棒46及び化粧ネジ47の実施例を側面図で示す。間仕切りユニット本体2は、コーナ支柱31と梁材30とが接続されて柱梁フレームを形成する。そして、コーナ支柱31内に収納された高さ調整フレーム17aの縦枠の上端部に固定されたロッド棒46は、化粧ネジ47を回転させて緩めることで上方に延伸される。そして、高さ調整フレーム17aの上端が天井面6に達するまで持ち上げる。この高さ調整フレーム17aの持上げは、例えば、2名の作業員が間仕切りユニット本体2の左右から同時に持ち上げる。このように持上げられた高さ調整フレーム17aが天井面6に接したら緩めたネジを締め上げて高さ調整フレーム17aを固定する。
【0042】
(キャスタ)
間仕切りユニット本体2の底部には、間仕切りユニット本体2を上下させるキャスタ33が設けられ、間仕切りユニット本体2は、このキャスタ33を上昇させた状態でエレベータ21等により各階に運ばれ、所定の位置に移動される。そして、所定の位置に到達した際にキャスタ33を下降させてその位置に固定される。この取り付けたキャスタ33を上下させることで、職人を介さずに医療従事者自らが間仕切りユニット本体2の設置や移設を素早く実行することができる。そして、感染症の拡大に対応して迅速な医療体制が構築でき、入院患者の増減に合わせて病床数を容易に調整できる。
【0043】
(防護ゾーン)
医療施設の感染症患者の入院病棟等では、病原体により汚染されている区域を汚染区域と呼び、病原体により汚染されていない区域を清潔区域と呼んで明確に区別している。また、汚染区域をレッドゾーンと称し、清潔区域をグリーンゾーンと呼ぶなど、各区域を色で表現している。これにより、安全に医療を提供すると共に、汚染区域と清潔区域とを明確に区別して感染拡大を防止している。本間仕切りユニット1は、病院内の汚染区域と清潔区域とを防護ゾーン20a、20bにより区別し、防護ゾーン20a、20bへの患者や医療従事者の出入りは出入口ドア5に制限して管理している。
【0044】
(間仕切りユニットの拡張)
図5に、間仕切りユニット1において間仕切りユニット本体2を拡張する場合を斜視図で示す。「間仕切りユニット1を拡張する」とは、図5に示すように、1つの間仕切りユニット本体Aの裏面(又は表面)と、他の間仕切りユニット本体Bの表面(又は裏面)とを連結させて「2連」にすることを言う。拡張しない一つの間仕切りユニット本体2の場合は「1連」と称する。「2連」の場合の間仕切りユニット本体2は、作業員2名が入って作業服に着替えること等ができる。さらに、この間仕切りユニット本体2の拡張により、感染対策ゾーンやセーフティゾーン等に入る前室が設置でき、感染対策の一環とすることができる。なお、間仕切りユニット1は、「1連」又は「2連」のいずれであっても通常のエレベータに乗り込めるようなサイズとなっている。間仕切りユニット1を「2連」とすることでスペースに余裕ができるだけでなく、間仕切りユニット1の内部をイエロゾーン(中間区域)としてその左右のいずれか一方をレッドゾーン(汚染区域)とし、他方をグリーンゾーン(清潔区域)とし、明確にゾーン分けすることができる。言い換えると、1連の間仕切りユニット1は、レッドゾーン(汚染区域)とグリーンゾーン(清潔区域)とを明確に区分するものである。一方、1連の間仕切りユニット1は、レッドゾーン(汚染区域)とグリーンゾーン(清潔区域)との間にイエロゾーン(中間区域)という境界を設けたものと言える。なお、「2連」の場合には、間仕切りユニット本体A、及びBの重なるそれぞれの面の出入口5及び柱材は不要となる。
【0045】
図5に示すように、間仕切りユニット本体2は、例えば、アクリル板等の素材が嵌め込まれたアルミサッシからなる梁材30とコーナ支柱31とが柱梁フレームを形成する。そして、間仕切りユニット本体2の出入口ドア5は、図5に示すように、2箇所に設けられ、その出入口ドア5の間は、感染者を隔離する感染対策ゾーンとなる。一方の出入口ドア5から進入した間仕切りユニット1の通過者は、感染対策ゾーン(前室)を通過する間に、汚れた防護具を脱いできれいな状態でグリーンゾーンに出ることができる。
【0046】
(仕上げ材のバリエーション)
図6に間仕切りユニット1の仕上げ材のバリエ-ションを説明図で示す。間仕切りユニット1は、間仕切りユニット本体2にパネル43、カーテン44、又は塩化ビニルシート45等の仕上げ材が取り付けられる。図6(a)はパネル43の場合であり、図6(b)はカーテン44の場合であり、図6(c)は塩化ビニルシート45の場合である。但し、これらの仕上げ材に限らず、他の仕上げ材であっても良い。これらの仕上げ材のうち、カーテン44や塩化ビニルシート45等は柔らかい素材であり硬い下地材が必要である。従って、幅調整フレーム17bを必要とする。一方、パネル43等の硬い素材の場合は、幅調整フレーム17bは不要となり、面ファスナー等により仕上げ材が取り付けられる。
【0047】
これらの材料のうちパネル43は、アクリル板、スチレンボード、ポリカーボネイト、アルミ複合板等であり、パネル43内部が確認し易いように透明又は半透明のパネル43が望ましい。或いは、薄く着色したボードであっても良い。また、カーテン44は、遮音性に劣るものの換気が可能であり、病室内の間仕切りと同じ材料であるため患者は馴染みがあり、看護士が介護し易いという特徴を有する。また、塩化ビニルシート45は、長期間にわたり強度が維持でき劣化しにくい耐久性等の特徴を有する。また、他のプラスチックが可燃性であるのに対し、塩化ビニル45は例外的に、燃えにくい難燃性であるという特徴を有する。これらの特徴を考慮して材料が選択される。
【0048】
(高さ調整ゾーンと幅調整ゾーン)
図1に示す、高さ調整ゾーン10及び幅調整ゾーン9は、医療施設の天井面6と壁面7の内部に間仕切りユニット本体2を容易に設置するための調整部分である。すなわち、高さ調整ゾーン10には、間仕切りユニット本体2から天井面6に向かい上向きに延伸する高さ調整フレーム17aに、選択された仕上げ材が取り付けられる。幅調整ゾーン9には、柔らかい仕上げ材の場合に限り、幅調整フレーム17aが用いられる。硬い仕上げ材の場合には、面ファスナー等により仕上げ材が取り付けられる。
【0049】
(隙間封止材)
高さ調整ゾーン10と天井面6との間隙、及び、幅調整ゾーン9と壁面7との間隙は隙間封止材により密封される。すなわち、医療施設の廊下26に設置される間仕切りユニット1は、感染症に感染した入院患者を一般病棟の入院患者及び医療関係者から隔離し、感染症のウィルスが間仕切りユニット本体2から外部の一般病棟に流通しないようにする。そのため、出入口ドア5の廻りの空隙である高さ調整ゾーン10と天井面6との間隙、及び幅調整ゾーン9と壁面7との間隙は、隙間封止材により密封させる必要がある。但し、これらの間隙を封止するものであれば、隙間封止材に限らず他の材料又は手段であっても良い。この隙間封止材は、例えば、隙間防止テープなどである。
【0050】
(間仕切りユニットの組立て方法)
図7に、間仕切りユニット1の組立て方法の手順をステップ1(S1)からステップ4(S4)まで斜視図で示す。まず、梁材30とコーナ支柱31とを組み合わせて(S1)間仕切りユニット本体2を組み立てる。キャスタを上げて設置場所まで移動させ、キャスタを下げて間仕切りユニット1を着地させる(S2)。この間仕切りユニット本体2は、梁材30とコーナ支柱31から構成されるフレームである。そして、コーナ支柱31内に収納された高さ調整フレームの縦枠の上端部に固定されたロッド棒46を、化粧ネジ47を回転させて緩めることにより上方に延伸させる(S3)。そして、高さ調整フレーム17aの上端が天井面6に着くまでロッド棒46で持ち上げる。持上げられた高さ調整フレーム17aが天井に接したら緩めたネジを締め上げて高さ調整フレーム17aを固定し、面ファスナー(図示せず)により壁面7に貼り付け、固定する(S4)。ここで、面ファスナーとは、面的に着脱できる接続部材であり、布に特殊な加工をして脱着可能な状態で結合する。マジックテープ(商標)とも呼ばれる。そして、両面の幅調整ゾーン9に仕上げ材であるパネル43が取り付けられる。このように、間仕切りユニット本体2には、高さ調整ゾーン10及び幅調整ゾーン9に仕上げ材が取り付けられて間仕切りユニット本体2が完成する。なお、間仕切りユニット本体2は、梁材、コーナ支柱、壁仕上げ材、ドア、キャスタ、高さ調整フレーム、高さ調整部材をあらかじめ工場で組み立てて一体化したものを、施設に搬入する。
【0051】
(幅調整フレーム)
カーテンのような柔らかな素材を仕上げ材として用いる場合は、第2実施形態として、図7(S3)に破線で示す幅調整フレーム17bが必要になる。この幅調整フレーム17bは、高さ調整フレーム17aから左右の壁面7に向かって延伸され、幅調整フレーム17bが左右の壁面7に達するとビスにより高さ調整フレーム17aに固定される。そして、この幅調整フレーム17bにカーテンレールのランナー等が取り付けられ、カーテンがランナーから吊り下げられる。
【0052】
また、間仕切りユニットの組立て方法は、仕上げ材を面ファスナーで間仕切りユニット1に貼り付けて固定するステップを含む。これは、剛な仕上げ材を取付ける第1実施形態の場合に用いられる。
【0053】
また、間仕切りユニット本体2から両側の幅調整フレーム17bを延伸させて壁面7との隙間に着くまで拡げるステップを含む。これは、柔らかな仕上げ材を取付ける第2実施形態の場合にもちいられる。
【0054】
以上の実施形態で説明された間仕切りユニット1、及び、間仕切りユニット1の組立て方法の構成、形状、大きさ、及び配置関係については、本発明が理解、実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 間仕切りユニット、2 間仕切りユニット本体、3 高さ調整パネル、4a 上方幅調整パネル,4b 下方幅調整パネル、5 出入口ドア、6 天井面、7 壁面、8 手摺、9 幅調整ゾーン、10 高さ調整ゾーン、11 ドア開口高さ、12 ドア開口幅、13 通路幅、14 天井高さ、15 手摺貫通部、17a 高さ調整フレーム,17b 幅調整フレーム、20a,20b 防護ゾーン、21 エレベータ,21a 感染患者用エレベータ,21b 一般患者及び医療スタッフ用エレベータ、22 ナースステーション、23 食堂・談話室、24 大部屋(4人部屋)、25 個室、26 廊下、27 倉庫、28 トイレ、29 機械室、30 梁材、31 コーナ支柱、33 キャスタ、42 手摺支持材、43 パネル、44 カーテン、45 塩化ビニルシート、46 ロッド棒、47 化粧ネジ、A 一つの間仕切りユニット本体、B 他の間仕切りユニット本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7