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特開2022-120863病原体抑制物、製造方法、方法、及び、製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120863
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】病原体抑制物、製造方法、方法、及び、製造装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 18/38 20060101AFI20220812BHJP
   C23C 18/31 20060101ALI20220812BHJP
   D06M 11/83 20060101ALI20220812BHJP
   A61L 2/238 20060101ALI20220812BHJP
   A61L 101/26 20060101ALN20220812BHJP
【FI】
C23C18/38
C23C18/31 A
D06M11/83
A61L2/238
A61L101:26
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017886
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】720009479
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513057223
【氏名又は名称】公益財団法人日本教育科学研究所
(72)【発明者】
【氏名】大朏 直人
【テーマコード(参考)】
4C058
4K022
4L031
【Fターム(参考)】
4C058AA02
4C058AA03
4C058AA12
4C058BB07
4C058EE26
4C058JJ04
4C058JJ05
4K022AA32
4K022AA36
4K022BA08
4K022CA03
4K022DA01
4K022EA02
4L031AB31
4L031BA04
4L031CB11
4L031DA12
(57)【要約】
【課題】既存の製品に対して、容易に、病原体の抑制効果を付与可能な手段を提供すること。
【解決手段】病原体を抑制する病原体抑制物の製造方法であって、基体を脱脂する脱脂工程と、脱脂工程により脱脂された基体を水洗する第1水洗工程と、第1水洗工程により水洗された基体に銅メッキを施す銅メッキ工程と、銅メッキ工程により銅メッキが施された基体を水洗する第2水洗工程と、第2水洗工程により水洗された基体を乾燥する乾燥工程と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病原体を抑制する病原体抑制物の製造方法であって、
基体に対して、銅メッキを施すことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記基体を脱脂する脱脂工程と、
前記脱脂工程により脱脂された前記基体を水洗する第1水洗工程と、
前記第1水洗工程により水洗された前記基体に銅メッキを施す銅メッキ工程と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記銅メッキ工程により銅メッキが施された前記基体を水洗する第2水洗工程と、
前記第2水洗工程により水洗された前記基体を乾燥する乾燥工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記基体は、シート状の基体であり、
前記シート状の基体を巻き出す巻出工程と、
前記シート状の基体を脱脂する脱脂工程と、
前記脱脂工程により脱脂された前記シート状の基体を水洗する第1水洗工程と、
前記第1水洗工程により水洗された前記シート状の基体に銅メッキを施す銅メッキ工程と、
前記銅メッキ工程により銅メッキが施された前記シート状の基体を水洗する第2水洗工程と、
前記第2水洗工程により水洗された前記シート状の基体を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程により乾燥された前記シート状の基体を巻き取る巻取工程と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記基体は、糸状の基体であり、
前記糸状の基体を巻き出す巻出工程と、
前記糸状の基体を脱脂する脱脂工程と、
前記脱脂工程により脱脂された前記糸状の基体を水洗する第1水洗工程と、
前記第1水洗工程により水洗された前記糸状の基体に銅メッキを施す銅メッキ工程と、
前記銅メッキ工程により銅メッキが施された前記糸状の基体を水洗する第2水洗工程と、
前記第2水洗工程により水洗された前記糸状の基体を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程により乾燥された前記糸状の基体を巻き取る巻取工程と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記基体は、シート状の基体であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記基体は、糸状の基体であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記基体は、マスクであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記基体は、カーテンであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記基体は、テーブルクロスであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする病原体抑制物。
【請求項12】
病原体を抑制する病原体抑制物の製造装置であって、
基体に対して、銅メッキを施す銅メッキ部を備えることを特徴とする製造装置。
【請求項13】
前記基体を脱脂する脱脂部と、
前記脱脂部により脱脂された前記基体を水洗する第1水洗部と、
前記第1水洗部により水洗された前記基体に銅メッキを施す前記銅メッキ部と、
を備えることを特徴とする請求項12に記載の製造装置。
【請求項14】
前記銅メッキ部により銅メッキが施された前記基体を水洗する第2水洗部と、
前記第2水洗部により水洗された前記基体を乾燥する乾燥部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の製造装置。
【請求項15】
前記基体は、シート状の基体であり、
前記シート状の基体を巻き出す巻出部と、
前記巻出部により巻き出された前記シート状の基体を脱脂する脱脂部と、
前記脱脂部により脱脂された前記シート状の基体を水洗する第1水洗部と、
前記第1水洗部により水洗された前記シート状の基体に銅メッキを施す前記銅メッキ部と、
前記銅メッキ部により銅メッキが施された前記シート状の基体を水洗する第2水洗部と、
前記第2水洗部により水洗された前記シート状の基体を乾燥する乾燥部と、
前記乾燥部により乾燥された前記シート状の基体を巻き取る巻取部と、
を備えることを特徴とする請求項12に記載の製造装置。
【請求項16】
前記基体は、糸状の基体であり、
前記糸状の基体を巻き出す巻出部と、
前記巻出部により巻き出された前記糸状の基体を脱脂する脱脂部と、
前記脱脂部により脱脂された前記糸状の基体を水洗する第1水洗部と、
前記第1水洗部により水洗された前記糸状の基体に銅メッキを施す前記銅メッキ部と、
前記銅メッキ部により銅メッキが施された前記糸状の基体を水洗する第2水洗部と、
前記第2水洗部により水洗された前記糸状の基体を乾燥する乾燥部と、
前記乾燥部により乾燥された前記糸状の基体を巻き取る巻取部と、
を備えることを特徴とする請求項12に記載の製造装置。
【請求項17】
前記基体は、シート状の基体であることを特徴とする請求項12~14のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項18】
前記基体は、糸状の基体であることを特徴とする請求項12~14のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項19】
前記基体は、マスクであることを特徴とする請求項12~14のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項20】
前記基体は、カーテンであることを特徴とする請求項12~14のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項21】
前記基体は、テーブルクロスであることを特徴とする請求項12~14のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項22】
請求項12~21のいずれか1項に記載の製造装置によって製造されたことを特徴とする病原体抑制物。
【請求項23】
基体を脱脂する脱脂工程と、
前記脱脂工程により脱脂された前記基体を水洗する第1水洗工程と、
前記第1水洗工程により水洗された前記基体に銅メッキを施す銅メッキ工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項24】
前記銅メッキ工程により銅メッキが施された前記基体を水洗する第2水洗工程と、
前記第2水洗工程により水洗された前記基体を乾燥する乾燥工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
シート状の基体を巻き出す巻出工程と、
前記巻出工程により巻き出された前記シート状の基体を脱脂する脱脂工程と、
前記脱脂工程により脱脂された前記シート状の基体を水洗する第1水洗工程と、
前記第1水洗工程により水洗された前記シート状の基体に銅メッキを施す銅メッキ工程と、
前記銅メッキ工程により銅メッキが施された前記シート状の基体を水洗する第2水洗工程と、
前記第2水洗工程により水洗された前記シート状の基体を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程により乾燥された前記シート状の基体を巻き取る巻取工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項26】
糸状の基体を巻き出す巻出工程と、
前記巻出工程により巻き出された前記糸状の基体を脱脂する脱脂工程と、
前記脱脂工程により脱脂された前記糸状の基体を水洗する第1水洗工程と、
前記第1水洗工程により水洗された前記糸状の基体に銅メッキを施す銅メッキ工程と、
前記銅メッキ工程により銅メッキが施された前記糸状の基体を水洗する第2水洗工程と、
前記第2水洗工程により水洗された前記糸状の基体を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程により乾燥された前記糸状の基体を巻き取る巻取工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病原体を抑制する病原体抑制物、製造方法、方法、及び、製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス等の感染症の流行が問題となっている。感染を防止するためには、感染源となるウイルス・細菌等の病原体の抑制(不活化)が、重要となる。特許文献1には、病原体を不活化する病原体不活化シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3228166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、病原体である細菌・ウイルスを抑制(不活化)する抗菌・抗ウイルスを目的するシート等が存在するが、これらは、既存の製品に対して、抗菌・抗ウイルスの効果を付与するものではない。このため、既存の製品に対して、容易に、恒久的な抗菌・抗ウイルス効果を付与可能な手段の提供が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、既存の製品に対して、容易に、病原体の抑制効果を付与可能な手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の製造方法は、病原体を抑制する病原体抑制物の製造方法であって、基体に対して、銅メッキを施すことを特徴とする。
【0007】
本発明では、基体に対して、銅メッキを施すことで、既存の製品(基体)に対して、容易に、病原体の抑制効果を付与することができる。
【0008】
第2の発明の製造方法は、第1の発明の製造方法において、前記基体を脱脂する脱脂工程と、前記脱脂工程により脱脂された前記基体を水洗する第1水洗工程と、前記第1水洗工程により水洗された前記基体に銅メッキを施す銅メッキ工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
第3の発明の製造方法は、第2の発明の製造方法において、前記銅メッキ工程により銅メッキが施された前記基体を水洗する第2水洗工程と、前記第2水洗工程により水洗された前記基体を乾燥する乾燥工程と、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
第4の発明の製造方法は、第1の発明の製造方法において、前記基体は、シート状の基体であり、前記シート状の基体を巻き出す巻出工程と、前記シート状の基体を脱脂する脱脂工程と、前記脱脂工程により脱脂された前記シート状の基体を水洗する第1水洗工程と、前記第1水洗工程により水洗された前記シート状の基体に銅メッキを施す銅メッキ工程と、前記銅メッキ工程により銅メッキが施された前記シート状の基体を水洗する第2水洗工程と、前記第2水洗工程により水洗された前記シート状の基体を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程により乾燥された前記シート状の基体を巻き取る巻取工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
第5の発明の製造方法は、第1の発明の製造方法において、前記基体は、糸状の基体であり、前記糸状の基体を巻き出す巻出工程と、前記糸状の基体を脱脂する脱脂工程と、前記脱脂工程により脱脂された前記糸状の基体を水洗する第1水洗工程と、前記第1水洗工程により水洗された前記糸状の基体に銅メッキを施す銅メッキ工程と、前記銅メッキ工程により銅メッキが施された前記糸状の基体を水洗する第2水洗工程と、前記第2水洗工程により水洗された前記糸状の基体を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程により乾燥された前記糸状の基体を巻き取る巻取工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
第6の発明の製造方法は、第1~第3のいずれかの発明の製造方法において、前記基体は、シート状の基体であることを特徴とする。
【0013】
第7の発明の製造方法は、第1~第3のいずれかの発明の製造方法において、前記基体は、糸状の基体であることを特徴とする。
【0014】
第8の発明の製造方法は、第1~第3のいずれかの発明の製造方法において、前記基体は、マスクであることを特徴とする。
【0015】
本発明では、基体であるマスクに銅メッキを施すことで、既存のマスクに対して、容易に、病原体の抑制効果を付与することができる。
【0016】
第9の発明の製造方法は、第1~第3のいずれかの発明の製造方法において、前記基体は、カーテンであることを特徴とする。
【0017】
第10の発明の製造方法は、第1~第3のいずれかの発明の製造方法において、前記基体は、テーブルクロスであることを特徴とする。
【0018】
第11の発明の病原体抑制物は、第1~第10のいずれかの発明の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
【0019】
第12の発明の製造装置は、病原体を抑制する病原体抑制物の製造装置であって、基体に対して、銅メッキを施す銅メッキ部を備えることを特徴とする。
【0020】
第13の発明の製造装置は、第12の発明の製造装置において、前記基体を脱脂する脱脂部と、前記脱脂部により脱脂された前記基体を水洗する第1水洗部と、前記第1水洗部により水洗された前記基体に銅メッキを施す前記銅メッキ部と、を備えることを特徴とする。
【0021】
第14の発明の製造装置は、第13の発明の製造装置において、前記銅メッキ部により銅メッキが施された前記基体を水洗する第2水洗部と、前記第2水洗部により水洗された前記基体を乾燥する乾燥部と、をさらに備えることを特徴とする。
【0022】
第15の発明の製造装置は、第12の発明の製造装置において、前記基体は、シート状の基体であり、前記シート状の基体を巻き出す巻出部と、前記巻出部により巻き出された前記シート状の基体を脱脂する脱脂部と、前記脱脂部により脱脂された前記シート状の基体を水洗する第1水洗部と、前記第1水洗部により水洗された前記シート状の基体に銅メッキを施す前記銅メッキ部と、前記銅メッキ部により銅メッキが施された前記シート状の基体を水洗する第2水洗部と、前記第2水洗部により水洗された前記シート状の基体を乾燥する乾燥部と、前記乾燥部により乾燥された前記シート状の基体を巻き取る巻取部と、を備えることを特徴とする。
【0023】
第16の発明の製造装置は、第12の発明の製造装置において、前記基体は、糸状の基体であり、前記糸状の基体を巻き出す巻出部と、前記巻出部により巻き出された前記糸状の基体を脱脂する脱脂部と、前記脱脂部により脱脂された前記糸状の基体を水洗する第1水洗部と、前記第1水洗部により水洗された前記糸状の基体に銅メッキを施す前記銅メッキ部と、前記銅メッキ部により銅メッキが施された前記糸状の基体を水洗する第2水洗部と、前記第2水洗部により水洗された前記糸状の基体を乾燥する乾燥部と、前記乾燥部により乾燥された前記糸状の基体を巻き取る巻取部と、を備えることを特徴とする。
【0024】
第17の発明の製造装置は、第12~第14のいずれかの発明の製造装置において、前記基体は、シート状の基体であることを特徴とする。
【0025】
第18の発明の製造装置は、第12~第14のいずれかの発明の製造装置において、前記基体は、糸状の基体であることを特徴とする。
【0026】
第19の発明の製造装置は、第12~第14のいずれかの発明の製造装置において、前記基体は、マスクであることを特徴とする。
【0027】
第20の発明の製造装置は、第12~第14のいずれかの発明の製造装置において、前記基体は、カーテンであることを特徴とする。
【0028】
第21の発明の製造装置は、第12~第14のいずれかの発明の製造装置において、前記基体は、テーブルクロスであることを特徴とする。
【0029】
第22の発明の病原体抑制物は、第12~第21のいずれかの発明の製造装置によって製造されたことを特徴とする。
【0030】
第23の発明の方法は、基体を脱脂する脱脂工程と、前記脱脂工程により脱脂された前記基体を水洗する第1水洗工程と、前記第1水洗工程により水洗された前記基体に銅メッキを施す銅メッキ工程と、を備えることを特徴とする。
【0031】
第24の発明の方法は、第23の発明の方法において、前記銅メッキ工程により銅メッキが施された前記基体を水洗する第2水洗工程と、前記第2水洗工程により水洗された前記基体を乾燥する乾燥工程と、をさらに備えることを特徴とする。
【0032】
第25の発明の方法は、シート状の基体を巻き出す巻出工程と、前記巻出工程により巻き出された前記シート状の基体を脱脂する脱脂工程と、前記脱脂工程により脱脂された前記シート状の基体を水洗する第1水洗工程と、前記第1水洗工程により水洗された前記シート状の基体に銅メッキを施す銅メッキ工程と、前記銅メッキ工程により銅メッキが施された前記シート状の基体を水洗する第2水洗工程と、前記第2水洗工程により水洗された前記シート状の基体を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程により乾燥された前記シート状の基体を巻き取る巻取工程と、を備えることを特徴とする。
【0033】
第26の発明の方法は、糸状の基体を巻き出す巻出工程と、前記巻出工程により巻き出された前記糸状の基体を脱脂する脱脂工程と、前記脱脂工程により脱脂された前記糸状の基体を水洗する第1水洗工程と、前記第1水洗工程により水洗された前記糸状の基体に銅メッキを施す銅メッキ工程と、前記銅メッキ工程により銅メッキが施された前記糸状の基体を水洗する第2水洗工程と、前記第2水洗工程により水洗された前記糸状の基体を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程により乾燥された前記糸状の基体を巻き取る巻取工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、既存の製品に対して、容易に、病原体の抑制効果を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施形態に係る製造装置の構成を示す模式図である。
図2】製造装置の処理動作を示すフローチャートである。
図3】区の設定を説明するための図である。
図4】試験結果を示す図である。
図5】銅繊維シートのSEM像を示す図である。
図6図5の拡大図である。
図7】銅繊維シートの端面形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る製造装置1の構成を示す模式図である。製造装置1は、基体に銅メッキを施し、ウイルス・細菌等の病原体を抑制する病原体抑制物を製造する。基体は、例えば、シート状の基体であり、例えば、ポリプロピレン(PP)、繊維(布)等により形成されている。また、基体は、例えば、糸状の基体であり、多種の繊維・樹脂から形成されている。図1に示すように、製造装置1は、巻出部2、脱脂部3、第1水洗部4、銅メッキ部5、第2水洗部6、乾燥部7、巻取部8等を備える。なお、以下では、基体が、シート状の基体である場合について説明するが、糸状の基体であっても、工程等は同様である。
【0037】
巻出部2は、例えば、シート状の基体が巻き付けられたローラーを有し、ローラーを回転させることで、シート状の基体を巻き出す。脱脂部3は、巻出部2により巻き出されたシート状の基体を脱脂する。脱脂により、シート状の基体上の油脂類が除去される。第1水洗部4は、脱脂部3により脱脂されたシート状の基体を水洗する。銅メッキ部5は、第1水洗部4によって水洗されたシート状の基体に銅メッキを施す。銅メッキの厚さは、例えば、0.3μmである。第2水洗部6は、銅メッキ部5により銅メッキが施されたシート状の基体を水洗する。乾燥部7は、第2水洗部6により水洗されたシート状の基体を乾燥する。巻取部8は、例えば、ローラーを有し、ローラーを回転させることで、乾燥部7により乾燥されたシート状の基体を巻き取る。
【0038】
製造装置1は、図示しないが、製造装置1を構成する各部を制御する制御部(例えば、マイクロコンピューター)を備え、例えば、制御部が製造装置1を構成する各部を制御することで、以下に説明する処理動作が実行される。巻出部2は、シート状の基体を巻き出す巻出工程を実行する(S1)。脱脂部3は、巻出部2によって巻き出されたシート状の基体を脱脂する脱脂工程を実行する(S2)。第1水洗部4は、脱脂部3により脱脂されたシート状の基体を水洗する第1水洗工程を実行する(S3)。
【0039】
銅メッキ部5は、第1水洗部4によって水洗されたシート状の基体に銅メッキを施す銅メッキ工程を実行する(S4)。第2水洗部6は、銅メッキ部5により銅メッキが施されたシート状の基体を水洗する第2水洗工程を実行する(S5)。乾燥部7は、第2水洗部6により水洗されたシート状の基体を乾燥する乾燥工程を実行する(S6)。巻取部8は、乾燥部7により乾燥されたシート状の基体を巻き取る巻取工程を実行する(S7)。巻き取られた、銅メッキが施されたシート状の基体(病原体抑制物)は、適宜、加工され、製品化される。
【0040】
以下、基体である布に銅メッキが施された資材による、ウイルスに対する効果について説明する。資材のウイルスに対する効果を確認することを目的とし、以下に説明する試験を実施した。なお、試験は、ISO18184、及び、ISO21702を参考としている。
・供試ウイルス
Porcine epidemic diarrhea virus P-5V株(以下、「PEDV」という。)
豚感染性のコロナウイルスである。
培養細胞:vero細胞(アフリカミドリザルの腎臓上皮由来株化細胞)
・試験資材
布(銅メッキ)
対照:未処理布
各資材は、2cm大の大きさにカットされ、0.4gとなるよう重ねて試験片とした。
【0041】
・区の設定
図3に示すとおりである。
・ウイルス液調製方法
1)PEDVをvero細胞に接種した。
2)37℃で1時間吸着後、接種ウイルス液を除去し、減菌PBSで2回洗浄した。
3)MEM培地を加え、37℃、5%CO2下で培養した。
4)70~80%程度の細胞変性効果(以下、「CPE」という。)が観察された時点で、培養上清を回収した。
5)回収した培養上清を、3000rpmで30分間遠心後、遠心上清を分注し、-70℃以下で保存したものを供試ウイルス液とした。
【0042】
・試験手順、及び、方法
(1)ウイルス液の接種、及び、ウイルス力価測定
試験実施前に、資材を細胞維持培地20mLで洗い出し後、さらに10倍段階希釈し、各希釈液をvero細胞に接種し、37℃、5%CO2下で5日間培養した。vero細胞が正常な形状を示さなかった場合、資材による細胞毒性有りと判定し、本試験では、細胞毒性が確認された希釈倍率を試験から除外した。その結果、洗い出し液原液で細胞毒性は確認されなかったため、本試験における検出限界は洗い出し液中の濃度として100.5TCID50/mLとした。
【0043】
a)試験資材にウイルス液を0.2mL添加し、減菌バイアルに入れて密封した。
b)室温下で4時間静置し感作時間とした。
c)感作時間経過後、ガラスバイアル中に細胞維持培地を20mL添加しよく混合してウイルスを洗い出した。
d)洗い出し液について、さらに細胞維持培地で10倍段階希釈を行い、各希釈液を96wellマイクロプレートの培養細胞に接種し、5%CO2ガス存在下で37℃、5日間培養した。
e)培養後のCPEの有無から、ウイルス力価(TCID50)を測定した。
【0044】
(2)評価
試験結果において、検査時点ごとに、対照区に対する試験区の減少率(%)を算出し、
効果を確認した。なお、本試験において減少率は以下の式で算出した。
減少率(%)=(対照区 - 試験区) / 対照区 * 100
【0045】
・結果
結果を図4に示す。試験開始時においてはウイルス感染価で2 * 104.5(TCID50 / 試験片)であった。4時間後では、対照区では自然減衰がみられ2 * 104.3(TCID50 / 試験片)、試験区では2 * 103.7(TCID50 / 試験片)で75.0%減少となった。減少率は4時間後の対照区の感染価との比較である。
・考察
本試験は、試験資材のPEDウイルスに対する効果を確認するために実施されている。試験の結果、ウイルスと4時間接触させることで、75.0%のウイルス減少効果がみられるものと判定された。
【0046】
以下、従来技術について説明する。従来技術による製品として、銅繊維シート「GUDシート」(https://www.gunma-u.ac.jp/information/83899)がある。図5は、銅繊維シートのSEM像を示す図である。図6は、図5の拡大図である。図7は、銅繊維シートの端面形状を示す図である。銅繊維シートにおける銅糸の製法は、繊維に銅帯を螺旋状に巻き付ける手法である。銅帯の厚みは、約8μm、銅帯を含む糸の太さは、約100μm、織り目は、約150μm、×375μmである。
【0047】
以上説明したように、本実施形態では、基体に対して、銅メッキを施すことで、既存の製品(基体)に対して、容易に、病原体の抑制効果を付与することができる。上述したように、既存の製品に銅メッキを施すことにより、銅メッキが施された基体をウイルスに4時間接触させることで、75%のウイルス減少効果がみられる。これは、銅繊維等で既存製品を置き換えたり、一時的に抗菌、抗ウイルス薬を液体等で吹き付けたりすることに比べて、安易に、低コストでウイルスの減少効果を得られることになる。
【0048】
また、上述の銅繊維シートは、上述したように、銅繊維を既存の繊維に巻き付けているが、この手法では、銅繊維を既存の製品に巻き付けるという難易度の高い工程が必要であるが、本実施形態では、基体に銅メッキを施すので、容易に銅を基体に付着させることができる。また、シート状の基体、すなわち、シートのみならず、糸状の基体、すなわち、糸そのものにも、容易に銅を付着することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0050】
上述の実施形態においては、銅メッキが施される基体として、シート状の基体を例示したが、これに限られない。例えば、基体として、マスク、カーテン、テーブルクロス等、既存の製品(市販品)を用いることも可能である。この場合、基体であるマスク、カーテン、テーブルクロス等に銅メッキを施すことで、既存のマスク、カーテン、テーブルクロス等に対して、容易に、病原体の抑制効果を付与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、病原体を抑制する病原体抑制物、製造方法、方法、及び、製造装置に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0052】
1 製造装置
2 巻出部
3 脱脂部
4 第1水洗部
5 銅メッキ部
6 第2水洗部
7 乾燥部
8 巻取部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7