IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイハツ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-フットレスト 図1
  • 特開-フットレスト 図2
  • 特開-フットレスト 図3
  • 特開-フットレスト 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120914
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】フットレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/06 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
B60N3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017964
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(72)【発明者】
【氏名】丸山 剛
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088JA01
3B088JB01
(57)【要約】
【課題】簡単な構成により、前方衝突時のダッシュパネルの後退による乗員の下肢傷害を回避または軽減できるフットレストを提供する。
【解決手段】乗員の足Fの踵部f1から爪先部f2までの長さL1を超える前後長さLを有する踏面500を備えるフットレスト10であって、踏面500の前部所定範囲の踏面後部に対する上方への屈曲変形を容易にする変形容易化部600を設けた。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の足の踵部から爪先部までの長さを超える前後長さを有する踏面を備えるフットレストであって、
前記踏面の前部所定範囲の踏面後部に対する上方への屈曲変形を容易にする変形容易化部を設けたことを特徴とする、フットレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の前席乗員のために設けられるフットレストに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転席に着座する乗員の足元には、右足で踏み込み操作されるアクセルペダル、ブレーキペダルに加えて、左足を置くためのフットレストが設けられることがある。
【0003】
フロアに対して踏ん張りを利かして運転をするためには、水平に対するフットレストの踏面角度をある程度大きくしておくことが望ましいが、前方衝突等の非常時におけるダッシュパネルの後退に連動したフットレストの踏面のさらなる立ち上がりにより乗員の下肢、特に足首に傷害が生じることを回避するための手当てをしておく必要がある。
【0004】
特許文献1には、フットレストの先端とダッシュパネルに設けた支持金具との連結を非常時のダッシュパネルの後退時に解除し、フットレストの立ち上がり動作を回避する構成が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、支持金具とフットレストとの連結構造といった複雑な構成が必要となり、コスト上昇と重量増加を招く。また、非常時にフットレストとの連結が解除されて露出した支持金具が乗員の下肢を傷つけるといった懸念もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-164782号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、簡単な構成により、前方衝突時のダッシュパネルの後退による乗員の下肢傷害を回避または軽減できるフットレストを提供すること、をその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0009】
すなわち、本発明によって提供されるフットレストは、乗員の足の踵部から爪先部までの長さを超える前後長さを有する踏面を備えるフットレストであって、前記踏面の前部所定範囲の踏面後部に対する上方への屈曲変形を容易にする変形容易化部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成のフットレストにおいては、変形容易化部が当該変形容易化部より前方部分を当該変形容易化部より後方部分に対して上方に向けて屈曲変形しやすくしている。そのため、非常時に後退するダッシュパネルによるフットレストに対する後方への押圧力は、フットレストの前方部分が上方へ屈曲することにより吸収され、乗員の足が載せられるフットレストの後方部分の変形は回避されるか、もしくは低度に抑制される。その結果、上記構成のフットレストによれば、前方衝突時のダッシュパネルの後退による乗員の下肢傷害を回避または軽減することができる。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態にかかるフットレストの設置状態を示す模式的側面断面図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるフットレストの作用説明図である。
図3】他の実施形態を示す断面図である。
図4】他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。これらの図において、前方をfr,後方をrrで示す。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態にかかるフットレスト10の設置状態を側面断面視において模式的に示す。実際には、フットレスト10の踏面500は乗員の足元に敷かれたカーペットにより覆われるが、このカーペットは図示を省略してある。
【0015】
フットレスト10は、フロアパネル300の前端部からダッシュパネル400に至る位置に設置されている。本実施形態においてフットレスト10は、乗員の足Fの踵部f1が載る第1部材100と、第1部材100の前端に隣接して位置する第2部材200とによって構成されている。
【0016】
第1部材100は、ある程度のクッション性を確保するために、所定厚みを有する発泡樹脂材などにより形成されている。第1部材100は、フロアパネル300に沿う水平部110と、水平部110の前端から斜め上前方に折れ曲がって延びる傾斜部120とを有する。第1部材100は、水平部110の下面を接着するなどしてフロアパネル300に固定されている。傾斜部120の上面121は、第2部材200の上面201と協働して所定の前後長さLの踏面500を形成している。
【0017】
第2部材200は、その上面201が第1部材100の上面121と連続してダッシュパネル400の近傍まで斜め上前方に延びて踏面500を形成しており、例えば樹脂成型品より構成されている。第2部材200は、その後部下面に形成した桁部210がねじ等の固定手段231によりフロアパネル300に固定されているとともに、その前端面がねじ等の固定手段232によりダッシュパネル400に固定されている。
【0018】
踏面500の前後長さLは、乗員の足Fの踵部f1から爪先部f2までの平均的な長さL1を超えた長さに設定されている。踏面500に載せた乗員の足Fは、その踵部f1が踏面500の後端に位置するのが通常であることから、第2部材200は、乗員の足Fの爪先部f2からさらに所定長さ前方に延出する延出部220を有することになる。
【0019】
さて、本発明では、踏面500の前部における、上記延出部220の範囲、すなわち、踏面500における乗員の足Fが載ることがないと想定される範囲内に設定された位置Pにおいて、同位置より前方の部位が上方へ屈曲変形するのを容易にする変形容易化部600が設けられる。本実施形態では、この変形容易化部600として、第2部材200の下面にノッチ601を設けて構成している。
【0020】
次に、上記構成のフットレスト10の作用について説明する。
【0021】
非常時にダッシュパネル400が後退してくると、図2に示すように、ダッシュパネル400がフットレスト10の前端を押圧する。この押圧力は、ノッチ601を支点としてそれより前方が上方に向けて屈曲変形することにより吸収され、踏面500における乗員の足Fが載せられる後方部分が大きく立ち上がり変形することが抑制される。その結果、前方衝突等の非常時のダッシュパネル400の後退による乗員の下肢傷害を回避または軽減することができる。
【0022】
もちろん、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのあらゆる設計変更はすべて本発明の範囲に含まれる。
【0023】
例えば、変形容易化部600としては、ノッチ601を設けるほか、図3に示すように、薄肉部602を設けたり、図4に示すように、貫通孔603を設けたりすることにより構成することもできる。
【0024】
また、実施形態では、踏面500を第1部材100と第2部材200とにわたって形成しているが、フットレスト10全体を単一の発泡樹脂材などの樹脂材で構成してもよい。
【符号の説明】
【0025】
10 フットレスト
100 第1部材
110 水平部
120 傾斜部
121 上面
200 第2部材
201 上面
210 桁部
220 延出部
231 固定手段
232 固定手段
300 フロアパネル
400 ダッシュパネル
500 踏面
600 変形容易化部
601 ノッチ
602 薄肉部
603 貫通孔
L 踏面の前後長さ
L1 足の平均長さ
F 足
f1 踵部
f2 爪先部
図1
図2
図3
図4