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  • 特開-LED照明装置 図1
  • 特開-LED照明装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120915
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/00 20220101AFI20220812BHJP
【FI】
H05B45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017967
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】北川 厚
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA03
3K273BA36
3K273BA37
3K273BA38
3K273CA02
3K273EA06
3K273EA22
3K273EA26
3K273EA38
3K273EA43
3K273FA14
3K273FA15
3K273FA33
3K273FA39
3K273GA03
3K273GA06
3K273GA10
3K273GA12
3K273GA14
3K273HA14
3K273HA17
(57)【要約】
【課題】図3の誤5に示す誤配線が発生し、充電媒体34に十分な電力が充電されていない状態では、点消灯スイッチ11に対するオンオフ操作に対応して照明用LED23が点消灯するので、照明用LED23は一見正常に作動する。ただし、停電発生時と同じように非常用回路部3には電力が供給されないので非常用LED37が点灯するはずであるが、充電媒体34の電荷が不足していれば非常用LED37が点灯しない。その場合には施工業者は誤5の誤配線の発生を認識できないという不具合が生じる。
【解決手段】点灯禁止回路4を設けて、ブリッジ41に電力が供給されるとIC5の作動を強制的に停止させて照明用LED23が点灯しないようにした。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の交流電源から供給される電力で常時充電される充電媒体を備え、この充電媒体への充電電力が消失すると充電媒体に充電されている電力で点灯させる非常用LEDと、上記外部の交流電源から点消灯スイッチを介して供給される電力によって点灯する照明用LEDとを備えたLED照明装置であって、上記交流電源の両極に接続される2本のラインと、これら2本のラインの一方から上記点消灯スイッチを介して分岐される1本のラインの、合計3本のラインが接続されるものにおいて、上記交流電源の両極接続される2本のラインのうちの他方のラインと、上記一方のラインから点消灯スイッチを介して分岐されるラインとを相互に逆に接続した際に、点消灯スイッチのオンオフ状態の如何に関わらず上記照明用LEDの点灯を禁止する点灯禁止手段を設けたことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
正常に配線されている状態では、上記非常用LEDを点灯させる充電媒体はダイオードブリッジを介して上記一方のラインのうち点消灯スイッチを介していないラインと上記他方のラインとに接続され、上記照明用LEDを点灯させるための電力はダイオードブリッジを介して上記点灯消灯スイッチを介しているラインと他方のラインとに接続され、上記点灯禁止手段はダイオードブリッジを介して上記一方のラインの双方に接続されており、この点灯禁止手段として、ダイオードブリッジの出力側に電解コンデンサを接続して、この電解コンデンサの電圧が半波整流された際の実効電圧では作動せず、全波整流された際の実効電圧では作動する点灯禁止回路を設け、この点灯禁止回路が作動すると上記照明用LEDへの点灯用の電力供給を停止させることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
上記照明用LEDには作動信号が入力されることによって作動するイネーブル端子(EN端子)を備えたAC/DCコンバータを介して点灯用電力が供給され、上記点灯禁止回路が作動すると、上記イネーブル端子への作動信号の入力を停止させてAC/DCコンバータの作動を停止させることによって上記照明用LEDへの点灯用の電力供給を停止させることを特徴とする請求項2に記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の交流電源に接続され、照明用LEDと非常用LEDとの2系統のLEDを備えており、停電発生時には内蔵する充電媒体に充電しておいた電力によって非常用LEDを点灯させる機能を有するLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部の交流電源からの電力によってLEDを点灯させるLED照明装置では、交流電源から供給される電力で充電媒体に電力を充電しておき、停電が発生すると、その充電媒体に充電されている電力によって非常用LEDを点灯させるように構成されたLED照明装置が知られている。
【0003】
このようなLED照明装置では停電の発生を検知する必要があるため、点消灯スイッチによって点消灯する照明用LEDのほかに、点消灯スイッチを介することなく常時上記充電媒体を充電させる電力供給を行っており、充電媒体の充電が停止すると停電発生を検知する。そのため、LED照明装置には外部の商用電源の一方のラインに点消灯スイッチが設けられた2本のラインの他に、点消灯スイッチをバイパスするもう1本のラインを配線する必要があり、LED照明装置には合計3本のラインが接続されることになる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-195470号公報(図4図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような停電発生時に非常用LEDを点灯させる機能を有していないLED照明装置であれば、LED照明装置には2本のラインを接続すればよく、また、いずれのラインに点消灯スイッチが設けられていても、照明用LEDの点消灯を行うことができるので、誤配線という問題は生じない。ところが、上記のように外部の交流電源に対して3本のラインを介して接続されるLED照明装置では、これら3本のラインの誤配線という問題が生じる。LED照明装置を取り付けする現場では配線工事を行った後で点消灯スイッチをオンオフさせて正常に作動するかを確認するが、そのような確認では特定できない誤配線が発生するおそれがある。
【0006】
図3を参照して、1はLED照明装置である。このLED照明装置1には外部の交流電源PSから交流電力が供給される。交流電源PSからの2本の電力供給用のラインには便宜上、「+」と「-」を付して区別する。また、一方のラインであるAC+から点消灯スイッチ11を介して接続されるラインをSWとして、正常に配線された場合、ターミナル1にはAC+が接続され、ターミナル2にはSWが接続され、ターミナル3にはAC-が接続される。
【0007】
一方、LED照明装置1内には点消灯スイッチ11に対する操作によって照明用LED23が点消灯する照明用回路部2と、停電などの発生により交流電源PSからの電力供給が停止すると非常用LED37を連続点灯させるための非常用回路部3とが設けられている。
【0008】
照明用回路部2はターミナル2とターミナル3とに接続されており、点消灯スイッチ11がオンになると照明用回路部2に交流電力が供給され、点消灯スイッチ11がオフになると照明用回路部2への電力供給が停止する。この照明用回路部2に供給された交流電力はダイオードブリッジ(以下、単にブリッジという)21で全波整流され、AC/DCコンバータ22で所定の電圧の直流電力に変換され、照明用LED23に供給される。
【0009】
一方、上記非常用回路部3にはターミナル1とターミナル3とが接続されており、点消灯スイッチ11のオンオフ状態の如何に関わらず、交流電源PSからの交流電力が常に供給される。その供給された交流電力はブリッジ31とAC/DCコンバータ32とで所定の電圧の直流電力に変換された後、DC/DCコンバータ33で充電媒体34を充電するための電圧と電流に変換して、この充電媒体34を充電する。停電などによって充電媒体34に対する充電が停止すると停電検知回路35がその充電停止を検知して、充電媒体34に充電されている電力で非常用LED37を点灯させる。
【0010】
上記充電媒体34は充電可能な2次電池を利用してもよいが、メンテナンス性に優れた電気二重層コンデンサを用いてもよい。ただし、充電媒体34を急速に充電するためには多くの電力が消費される点と、停電が発生する頻度はそれほど多くない点とを考慮して、DC/DCコンバータ33は充電媒体34に充電されている電力がゼロの状態から非常用LED37を点灯させるのに十分な電力が充電されるまでに少なくとも数時間を要するほどの小電力で充電媒体34を充電するように設定されている。従って、LED照明装置1を設置した直後は、充電媒体34が十分に充電されていないため停電が発生しても非常用LED37が点灯しない場合が生じる。
【0011】
上記構成で、交流電源PSからの3本のラインが正常に配線されていればよいが、誤配線が生じた場合に、その誤配線を施工業者がいち早く認識して正常な配線に修正する必要がある。
【0012】
誤配線のパターンは図3の上部に示した表に記載したように、誤1から誤5までの5個のパターンが考えられる。
【0013】
誤1であれば、照明用回路部2にはAC+とSWが配線されるが、AC+とSWは同電位であるため電力が供給されず、点消灯スイッチ11をオンオフ操作しても照明用LED23は点灯せず、従って誤配線であることを直ちに認識できる。
【0014】
誤2であれば、照明用回路部2にはAC+とAC-とが配線され、照明用LED23は点灯するが、点消灯スイッチ11をオフにしても照明用LED23は消灯せず、従って誤配線であることを直ちに認識できる。
【0015】
誤3であれば、誤1と同様に点消灯スイッチ11をオンオフ操作しても照明用LED23が点灯しないので誤配線であることを直ちに認識できる。
【0016】
誤4であれば、誤2と同様に点消灯スイッチ11をオフにしても照明用LED23は点灯し続けるので、誤配線であることを直ちに認識できる。
【0017】
誤5であれば、照明用回路部2には点消灯スイッチ11を介して電力が供給されるので、点消灯スイッチ11に対するオンオフ操作に対応して照明用LED23が点消灯するので、照明用LED23は一見正常に作動する。ただし、非常用回路部3には電力が供給されず、停電が発生した場合と同様の状態になるので、本来は点灯しない非常用LED37が点灯するはずである。ところが、上述のように充電媒体34が十分に充電されるために数時間を要するので、LED照明装置1を施工した直後では停電検知回路35が停電発生を検知しても非常用LED37が点灯しない場合が生じ、その場合には施工業者は誤配線の発生を認識できないという不具合が生じる。
【0018】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、交流電源から3本のラインを介して電力供給を受けるLED照明装置であっても、施工時の誤配線の発生を確実に認識できるLED照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために本発明によるLED照明装置は、外部の交流電源から供給される電力で常時充電される充電媒体を備え、この充電媒体への充電電力が消失すると充電媒体に充電されている電力で点灯させる非常用LEDと、上記外部の交流電源から点消灯スイッチを介して供給される電力によって点灯する照明用LEDとを備えたLED照明装置であって、上記交流電源の両極に接続される2本のラインと、これら2本のラインの一方から上記点消灯スイッチを介して分岐される1本のラインの、合計3本のラインが接続されるものにおいて、上記交流電源の両極接続される2本のラインのうちの他方のラインと、上記一方のラインから点消灯スイッチを介して分岐されるラインとを相互に逆に接続した際に、点消灯スイッチのオンオフ状態の如何に関わらず上記照明用LEDの点灯を禁止する点灯禁止手段を設けたことを特徴とする。
【0020】
上記図2に示した誤5の誤配線が生じた場合、すなわち上記交流電源の両極接続される2本のラインのうちの他方のラインと、上記一方のラインから点消灯スイッチを介して分岐されるラインとを相互に逆に接続した場合では、上記点灯禁止手段によって点消灯スイッチのオンオフ状態の如何に関わらず上記照明用LEDの点灯を禁止するので、誤配線の発生を認識することができる。
【0021】
なお、具体的には、正常に配線されている状態では、上記非常用LEDを点灯させる充電媒体はダイオードブリッジを介して上記一方のラインのうち点消灯スイッチを介していないラインと上記他方のラインとに接続され、上記照明用LEDを点灯させるための電力はダイオードブリッジを介して上記点灯消灯スイッチを介しているラインと他方のラインとに接続され、上記点灯禁止手段はダイオードブリッジを介して上記一方のラインの双方に接続されており、この点灯禁止手段として、ダイオードブリッジの出力側に電解コンデンサを接続して、この電解コンデンサの電圧が半波整流された際の実効電圧では作動せず、全波整流された際の実効電圧では作動する点灯禁止回路を設け、この点灯禁止回路が作動すると上記照明用LEDへの点灯用の電力供給を停止させるように構成することができる。
【0022】
さらに具体的には、上記照明用LEDには作動信号が入力されることによって作動するイネーブル端子(EN端子)を備えたAC/DCコンバータを介して点灯用電力が供給され、上記点灯禁止回路が作動すると、上記イネーブル端子への作動信号の入力を停止させてAC/DCコンバータの作動を停止させることによって上記照明用LEDへの点灯用の電力供給を停止させる。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明から明らかなように、本発明は、LED照明装置の施工直後であって、充電媒体に非常用LEDを点灯させるのに十分な電力が充電されていない場合であっても、誤配線の発生を確実に施工業者に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
図2】点消灯スイッチのオンオフによるブリッジ41の整流波形
図3】従来のLED照明装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照して、上記図3と同じ符号を付した構成は図3に示したものと同様であるので、それらについての説明は省略する。
【0026】
本発明によるLED照明装置1の特徴は点灯禁止手段である点灯禁止回路4を設けた点にある。この点灯禁止回路4は上述の図3に示した誤5を認識するためのものである。
【0027】
この点灯禁止回路4はターミナル1とターミナル2に接続されている。従って、正常に配線されていれば点灯禁止回路4に商用電源PSの電圧が印加されることはない。ただし、点灯禁止回路4のブリッジ41は照明用回路部2のブリッジ21を介してターミナル1とターミナル3とに接続されることになり、半波整流してその整流した電力で電解コンデンサ42を充電することになる。また同様にしてブリッジ21も半波整流してコンデンサ24に充電するので、ダイオード44を設けて、コンデンサ24の両端にはコンデンサ24,コンデンサ42,抵抗43による分圧しか印加されないようにして照明用LED23が点消灯スイッチ11がオフであるにもかかわらず意図せず点灯することを防止するようにした。
【0028】
点灯禁止回路4にはチェナーダイオード45およびフォトカプラを構成するLED46がコンデンサ42に対して直列に接続されている。ブリッジ41が半波整流している状態ではコンデンサ42に充電されている実効電圧は商用電源PSの最大値の1/2、すなわち約70ボルトであるのに対して、ブリッジ41が全波整流している状態ではコンデンサ42の実効電圧は100ボルトになる。そこで、ツェナーダイオード45としてコンデンサ42が70ボルトではオンせず、100ボルトでオンするものを選定した。これにより、ブリッジ41が半波整流している状態ではLED46は発光しないが、全波整流している状態ではLED46は発光する。
【0029】
LED46が発光すると、フォトトランジスタ47がオン状態になり、上記照明用回路部2のAC/DCコンバータ22に含まれるIC5のイネーブル端子(EN端子)51をLoに落とす。本実施の形態で採用するIC5はイネーブル端子51を内部でHiに吊っており、フォトトランジスタ47がオン状態にならなければイネーブル端子51はHi状態を保持してIC5は作動し続けるが、フォトトランジスタ47がオンしてイネーブル端子51をLoに落とすと、IC5は作動を停止して照明用LED23に電力が供給されなくなり、照明用LED23は点灯しない。
【0030】
すなわち、ブリッジ41に商用電源PSの電圧が印加されればIC5は作動を停止し、商用電源PSの電圧が印加されなければIC5の作動が強制的に停止されることはない。
【0031】
以上を踏まえて、図2を参照して、上記図1に示す回路における誤配線のパターンの識別を説明する。
【0032】
正常に配線されていれば、点消灯スイッチ11のオンオフ状態にかかわらずブリッジ41は半波整流状態であり、従って、IC5の作動は強制的に停止されることはない。従って、点消灯スイッチ11のオンオフによって照明用LED23は点消灯し、かつ充電媒体34は常に充電される。
【0033】
誤1では照明用回路部2に電力が供給されないし、かつ点消灯スイッチ11のオンオフの如何に関わらずIC5の作動が強制的に停止されるので、照明用LED23は点灯しない。
【0034】
誤2では照明用回路部2に常時電力が供給されているが、点消灯スイッチ11をオンにするとIC5の作動が停止して照明用LED23が消灯する。
【0035】
誤3では照明用回路部2に電力が供給されないので、照明用LED23が点灯しない。
【0036】
誤4では照明用回路部2に常時電力が供給されて照明用LED23は点灯するが、点消灯スイッチ11をオフにしても消灯しない。
【0037】
そして、誤5では、点消灯スイッチ11のオンオフの如何に関わらずIC5の作動が強制的に停止されるので、照明用LED23は点灯しないので誤配線が発生していることを検知することができる。
【0038】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0039】
1 照明装置
2 照明用回路部
3 非常用回路部
4 店等針器回路
11 点消灯スイッチ
23 照明用LED
37 非常用LED
図1
図2
図3