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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120923
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20220812BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
H05K3/34 502D
H05K3/34 501D
H05K1/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017981
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】林 航平
(72)【発明者】
【氏名】竹本 修一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕嗣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴也
【テーマコード(参考)】
5E319
5E338
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB10
5E319AC02
5E319AC13
5E319AC16
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD29
5E319GG03
5E319GG07
5E338AA02
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB02
5E338BB05
5E338BB13
5E338BB25
5E338BB75
5E338CC08
5E338CD33
5E338EE02
5E338EE51
(57)【要約】
【課題】電子部品を接合するために基板に載置されるはんだの平坦度を容易に確保して、はんだによる電子部品の接合信頼性を高めることができる回路基板を提供する。
【解決手段】導電性材料からなる複数の層を有する基板11と、基板11の一方の面11Aに配置された層である第1層に設けられ、電子部品がはんだ付けされるランド13と、基板11に配置された層であって第1層とは異なる層に設けられる放熱部18と、基板11においてランド13の一部から放熱部18の一部に亘って設けられ、ランド13及び放熱部18に電気的に接続されるビアホール14と、ランド13上にあってビアホール14の全周を囲む絶縁性のレジスト15と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料からなる複数の層を有する基板と、
前記基板の一方の面に配置された前記層である第1層に設けられ、電子部品がはんだ付けされるランドと、
前記基板に配置された前記層であって前記第1層とは異なる層に設けられる放熱部と、
前記基板において、前記ランドの一部から前記放熱部の一部に亘って設けられ、前記ランド及び前記放熱部に電気的に接続されるビアホールと、
前記ランド上にあって前記ビアホールの全周を囲む絶縁性のレジストと、を備える回路基板。
【請求項2】
前記ランドは、前記レジストにより区画された複数の区画ランドから構成されている請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
複数の前記区画ランドの夫々は、少なくとも一部の外縁が前記ランドの全体の外縁と共用されている請求項2に記載の回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板において基板に電子部品を接合する方法としてはんだ付けが用いられている。基板に接合される電子部品には電極を多数有するものが存在するため、基板に電子部品を平坦な状態で接合することは容易ではない。特許文献1には、基板(文献では、「印刷配線板」)に電子部品(文献では、「底面電極部品」)をフローはんだではんだ付けする構成が開示されている。特許文献1に記載の技術では、基板下面からスルーホールに溶融はんだを供給し、溶融はんだをスルーホール全体に充填し且つ基板上面より高い位置まで噴出させることで、電子部品や基板の平坦性に左右されずに、高品質且つ高信頼性なはんだ接合を可能としている。
【0003】
特許文献1に記載されたフローはんだによるはんだ付け(以下、「フローはんだ付け」と称する。)の他に、リフローはんだによるはんだ付け(以下、「リフローはんだ付け」と称する。)を用いて基板に電子部品を固定する技術がある。リフローはんだ付けでは、基板のランドにクリームはんだ(以下、「はんだ」と称する。)を印刷し、その上に電子部品を配置して基板全体を加熱することで溶融したはんだを介して基板に電子部品を接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-258749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フローはんだ付けとは異なり、リフローはんだ付けの場合には、基板に印刷されたはんだによってはんだ量が定まり、その後にはんだを増量することはできない。図9に、基板61の一方の面61Aにランド63、他方の面61Bに放熱パターン68が設けられ、両者の間にビアホールの一例であるスルーホールビア64が形成された従来の回路基板60を示す。ランド63と放熱パターン68は、何れも基板61に貼付された銅箔にメッキを施したものである。スルーホールビア64は、基板61を貫通する孔の内面に例えば銅メッキが施されたものであり、該銅メッキを介してランド63と放熱パターン68とが電気的に接続されている。図9に示される回路基板60では、ランド63上においてスルーホールビア64に近接した位置にクリームはんだ66(以下、「はんだ66」と称する。)が印刷されている。この場合、基板61が加熱されてはんだ66が溶融した際にはんだ66の一部67がスルーホールビア64に流れ込むことがある。そうなると、ランド63上に印刷された一部のはんだ66においてはんだ量が減少するため、はんだ66の全体の平坦度が損なわれる。この結果、はんだ66の上に実装された電子部品の平坦度も損なわれることとなり、はんだ66による電子部品とランド63との接合信頼性が低下する。すなわち、基板61に対してはんだ66を介して電子部品が傾斜した状態で接合された場合には、はんだ66による接合信頼性を確保することができない。また、一部領域においてはんだ66の厚みが小さくなると、加熱等により基板が変形した際に厚みの小さいはんだ66は基板61から応力を受けたときに、当該はんだ66にクラックが発生することがある。その場合には、はんだ66による電子部品の接合信頼性がさらに低下することにもなる。
【0006】
上記実情に鑑み、電子部品を接合するために基板に載置されるはんだの平坦度を容易に確保して、はんだによる電子部品の接合信頼性を高めることができる回路基板が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る回路基板の特徴構成は、導電性材料からなる複数の層を有する基板と、前記基板の一方の面に配置された前記層である第1層に設けられ、電子部品がはんだ付けされるランドと、前記基板に配置された前記層であって前記第1層とは異なる層に設けられる放熱部と、前記基板において、前記ランドの一部から前記放熱部の一部に亘って設けられ、前記ランド及び前記放熱部に電気的に接続されるビアホールと、前記ランド上にあって前記ビアホールの全周を囲む絶縁性のレジストと、を備える点にある。
【0008】
リフローはんだ付けでは、電子部品を基板に接合するはんだとしてクリームはんだ(以下、「はんだ」とも称する。)が用いられる。本構成によれば、絶縁性のレジストがランド上にあってビアホールの全周を囲んでいるので、リフローはんだ付けによって基板に電子部品を接合する際に、ランド上のはんだはレジストによってビアホールに流れ込まない。これにより、基板のランド上のはんだを印刷された当初の量に維持することができるため、電子部品の接合のために基板に印刷されたはんだの平坦度を確保することができる。その結果、基板にはんだを介して接合される電子部品の基板に対する傾きも抑制できるため、回路基板においてはんだによる電子部品の接合信頼性を高めることができる。これにより、第1層に実装された電子部品で発生した熱をランドとビアホールを介して基板に配置された層であって第1層とは異なる層に設けられる放熱部に効率よく伝達して放出することができる。また、ランドに印刷されたはんだの量が維持されることで、ランドにおいて電子部品を接合するためのはんだの厚みも十分に確保できる。これにより、加熱等により基板が変形した際において当該はんだは基板からの応力を受けたとしても、はんだにおけるクラックの発生を抑制することもできる。
【0009】
他の特徴構成は、前記ランドは、前記レジストにより区画された複数の区画ランドから構成されている点である。
【0010】
本構成によれば、ランドは、レジストにより区画された複数の区画ランドから構成されているので、複数の区画ランド毎に適正量のはんだを分散して印刷して電子部品を基板にはんだ付けすることができる。複数の区画ランドにはんだが印刷されるので、印刷される個々のはんだの面積を小さくしつつ、電子部品に対して広範囲に亘るはんだ領域を確保することができる。これにより、電子部品で発生した熱を効率よくランドに伝達することができる。また、複数の区画ランドに印刷されたはんだは、レジストによって区画されているので区画ランド内に留まり、ビアホールに流入することがない。したがって、複数の区画ランドに印刷されたはんだによって、基板に電子部品を接合する際に用いられるはんだの平坦度を確保し、回路基板においてはんだによる電子部品の接合信頼性を高めることができると共に、電子部品で発生した熱を効率よく放熱部から放出することができる。
【0011】
他の特徴構成は、複数の前記区画ランドの夫々は、少なくとも一部の外縁が前記ランドの全体の外縁と共用されている点である。
【0012】
はんだにはフラックスが含まれることが多く、フラックスははんだの溶融時に揮発してフラックスガスになる。フラックスガスは、はんだの外方に放出されない場合にはボイドとしてはんだの内部に残存する。はんだにボイドが残存していると、はんだによる電子部品とランドとの接合性が低下し、電子部品から発生した熱が、はんだから効率よくランドに伝達されないこととなる。そこで、本構成では、複数の区画ランドの夫々は、少なくとも一部の外縁がランドの全体の外縁と共用されている。これにより、レジストによって区画された区画ランドにおいて、ランドの外縁と共用される外縁は外方に向けて開放された状態になるので、はんだ中のフラックスガスを区画ランドの外縁から外方に放出することができる。その結果、はんだにおいてボイドの発生を低減することができ、区画ランドに印刷されたはんだによる電子部品の接合性及び電子部品で発生した熱のランドへの伝達を適正に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の回路基板の部分平面図であってランドに電子部品が実装された状態を示す図である。
図2】第1実施形態の回路基板におけるランドの部分平面図である。
図3図1のIII-III矢視断面図である。
図4】実施形態と比較例における電子部品の傾きと平均はんだクラック率とを示すグラフである。
図5】第2実施形態の回路基板におけるランドの部分平面図である。
図6】別実施形態の回路基板の部分断面図である。
図7】別実施形態の回路基板の部分断面図である。
図8】別実施形態の回路基板の部分断面図である。
図9】従来の回路基板の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る回路基板の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0015】
〔第1実施形態〕
図1図3に示されるように、回路基板10は、樹脂製の基板11と、ランド13と、ビアホール14と、放熱パターン18(放熱部の一例)と、を備える。本実施形態の回路基板10は、基板11の両面に導電性材料の一例である銅箔パターンが設けられる2層基板(両面基板)である。図3に示されるように、基板11の一方の面11Aに配置された第1層に、電子部品50(図1参照)をクリームはんだ40(以下、「はんだ40」とも称する。)によりはんだ付けするランド13が設けられ、基板11の他方の面11Bに配置された層に電子部品50の放熱を行う放熱パターン18が設けられている。すなわち、放熱パターン18は、基板11に配置された層であって第1層とは異なる層に設けられている。本実施形態のビアホール14は、スルーホールビアであって基板11の厚み方向に形成され、基板11を貫通する孔の内面に例えば銅メッキが施されたものであり、該銅メッキはランド13の一部から放熱パターン18の一部に亘って設けられる。ランド13及び放熱パターン18は、例えばメッキされた銅箔等で構成され、ビアホール14の内面に施された銅メッキを介して、ランド13と放熱パターン18とが電気的に接続されている。電子部品50は、基板11のランド13に対してリフローはんだ付けによって接合される。図1には、基板11のランド13にはんだ40(図3参照)を介して電子部品50を接合した回路基板10が示されている。本実施形態において、電子部品50は、外縁部分に複数の端子51を有し平面視で正方形状である。なお、基板11には、ランド13以外に端子51が接合される端子用ランド(不図示)が別途設けられている。
【0016】
基板11に接合される電子部品50は、例えば、トランジスタ、IC等であって、底面に金属製の放熱パッドが設けられたものである。本実施形態では、図1及び図2に示すように、ランド13が電子部品50の平面視形状と同じく正方形状に形成されている。図3に示すように、ランド13上にははんだ40が印刷されている。リフローはんだ付けでは、はんだ40の上に電子部品50を載置し基板11全体を加熱することで、溶融したはんだ40を介してランド13及び端子用ランドに電子部品50の放熱パッド及び端子51が電気的に接合される。
【0017】
図2に示すように、正方形状のランド13は外縁13a~13dを有する。外縁13a~13dは、正方形状のランド13の四辺に相当する。ビアホール14は、ランド13が均等に4分割されるよう、外縁13aの中央と外縁13cの中央とを結ぶ直線上、及び、外縁13bの中央と外縁13dの中間とを結ぶ直線上に、複数設けられている。本実施形態では、図1及び図2に示されるランド13上において、上下方向(外縁13aと外縁13cとの間)、及び、左右方向(外縁13bと外縁13dとの間)にビアホール14が5つずつ(中央のビアホール14は共通)形成されている。図1図3に示されるように、ランド13の上面には、絶縁性のレジスト15が設けられる。レジスト15は基板11に設けられた配線パターンを保護するためのものであり、例えばエポキシ樹脂等によって形成されている。本実施形態では、図1及び図2に示されるように、レジスト15は、ランド13の外縁13aの中央と外縁13cの中央とに亘る直線状の縦部分16と、ランド13の外縁13bの中央部分と外縁13dの中央部分とに亘る直線状の横部分17とを有し、ランド13に十字状に形成されている。また、レジスト15、縦部分16及び横部分17において全てのビアホール14の全周を囲む(覆う)ように設けられている。この結果、電子部品50をはんだ付けするランド13は、レジスト15の縦部分16と横部分17とによって区画されて、正方形状且つ同面積の4つの区画ランド21、区画ランド22、区画ランド23、区画ランド24に区画される。以下、区画ランド21、区画ランド22、区画ランド23、区画ランド24を総称するときは、「ランド13」若しくは「区画ランド21~24」と称する。
【0018】
このように、レジスト15がランド13上にあって全てのビアホール14の全周を囲んでいるので、リフローはんだ付けによって基板11に電子部品50を接合する際に、ランド13に印刷されたはんだ40はレジスト15によってビアホール14に流れ込まない。これにより、基板11のランド13上のはんだ40を印刷された当初の量に維持することができるため、電子部品50の接合のために基板11に印刷されたはんだ40の平坦度を確保することができる。その結果、基板11にはんだ40を介して接合される電子部品50の基板11に対する傾きも抑制できるため、回路基板10においてはんだ40による電子部品50の接合信頼性を高めることができる。これにより、電子部品50で発生した熱をランド13とビアホール14を介して基板11に配置された層であって第1層(ランド13)とは異なる層に設けられる放熱パターン18に効率よく伝達して放出することができる。また、ランド13に印刷されたはんだ40の量が維持されることで、ランド13において電子部品50の接合するはんだ40の厚みも十分に確保できる。これにより、加熱等により基板11が変形した際において当該はんだ40は基板11からの応力を受けたとしても、はんだ40におけるクラックの発生を抑制することもできる。
【0019】
区画ランド21~24の夫々は、少なくとも一部の外縁がランド13の外縁13a~13dと共用されている。具体的には、図2のランド13において左上に位置する区画ランド21は四辺に相当する外縁21a~21dを有する。外縁21a~21dのうち、外縁21aがランド13の外縁13aと共用され、外縁21dがランド13の外縁13dと共用されている。図2のランド13において右上に位置する区画ランド22は四辺に相当する外縁22a~22dを有する。外縁22a~22dのうち、外縁22aがランド13の外縁13aと共用され、外縁22bがランド13の外縁13bと共用されている。図2のランド13において右下に位置する区画ランド23は四辺に相当する外縁23a~23dを有する。外縁23a~23dのうち、外縁23bがランド13の外縁13bと共用され、外縁23cがランド13の外縁13cと共用されている。図2のランド13において左下に位置する区画ランド24は、四辺に相当する外縁24a~24dを有する。外縁24a~24dのうち、外縁24cがランド13の外縁13cと共用され、外縁24dがランド13の外縁13dと共用されている。
【0020】
本実施形態では、ランド13は、レジスト15(16,17)により区画された区画ランド21~24から構成されているので、複数の区画ランド21~24の夫々に適正量のはんだ40を分散して印刷して電子部品50を基板11にはんだ付けすることができる。複数の区画ランド21~24にはんだ40が印刷されるので、印刷される個々のはんだ40の面積を小さくしつつ、電子部品50に対して広範囲に亘るはんだ40の領域を確保することができる。これにより、電子部品50で発生した熱を効率よくランド13に伝達することができる。また、区画ランド21~24に印刷されたはんだ40は、レジスト15によって区画されているので区画ランド21~24内に留まり易い。したがって、複数の区画ランド21~24に印刷されたはんだ40によって、基板11に電子部品50を接合する際に用いられるはんだ40の平坦度を確保し、回路基板10においてはんだ40による電子部品50の接合信頼性を高めることができると共に、電子部品50で発生した熱を効率よく放熱パターン18から放出することができる。
【0021】
基板11に電子部品50を接合する際に用いられるはんだ40(クリームはんだ)にはフラックスが含まれることが多く、フラックスははんだ40の溶融時に揮発してフラックスガスになる。フラックスガスは、はんだ40の外方に放出されない場合にはボイドとしてはんだ40の内部に残存する。はんだ40の内部にボイドが残存していると、はんだ40による電子部品50とランド13との接合性が低下し、電子部品50から発生した熱がはんだ40から効率よくランド13に伝達されないこととなる。これに対し、本実施形態では、上述のように、区画ランド21~24の夫々は、外縁の少なくとも一部がランド13の外縁と共用されている。例えば、区画ランド21の外縁21a~21dのうち外縁21a,21dは、ランド13の外縁13a,13dと共用されている。したがって、レジスト15によって区画された区画ランド21~24において、ランド13の外縁と共用される外縁は外方に向けて開放された状態になるので、はんだ40中のフラックスガスを区画ランド21~24の外縁(例えば外縁21a,21d)から外方に放出することができる。その結果、はんだ40においてボイドの発生を低減することができ、区画ランド21~24に印刷されたはんだ40による電子部品50の接合性及び電子部品50で発生した熱のランド13への伝達を適正に維持することができる。
【0022】
図4は、第1実施形態の効果を示すグラフである。基板11のランド13にはんだ40を介して7mm角の電子部品50と4mm角の電子部品50とを接合し、ビアホールの全周を囲む領域にレジストを設けない形態1(比較例)と、ランド13上にあってビアホール14の全周を囲む領域に十字状のレジスト15を設けた形態2(第1実施形態)とにおいて、電子部品50の傾きとはんだの平均クラック率とを測定した。図4に示されるように、基板11に7mm角の電子部品50を接合した場合、形態1(点A)に比べて形態2(点B)は、電子部品50の傾き及びはんだの平均クラック率が共に大きく低下した。また、基板11に4mm角の電子部品50を接合した場合においても、形態1(点C)に比べて形態2(点D)は電子部品50の傾き及びはんだの平均クラック率が共に大きく低下した。
【0023】
〔第2実施形態〕
本実施形態では、図5に示されるように、ランド13は平面視矩形状に形成されている。ランド13は、平面視矩形状にすることで矩形状の電子部品50をはんだ付けし易くなる。ランド13は、四辺に相当する、長手方向の外縁13a,13cと、短手方向の外縁13b,13dと、を有する。図5に示されるように、ランド13が長手方向において均等に区画されるように複数のビアホール14が配置されている。複数のビアホール14は、ランド13の短手方向の外縁13bから13dに亘って3つずつ長手方向に間隔を空けて2列設けられている。レジスト15は、2列のビアホール14の夫々の外周を囲みつつ、ランド13の外縁13aから外縁13cに亘って設けられた2つの直線部分として設けられる。レジスト15の2つの直線部分によってランド13には3つの区画ランド31~33が区画されて形成されている。
【0024】
図5のランド13において左端の区画ランド31は四辺に相当する外縁31a~31dを有する。外縁31a~31dのうち、外縁31a,31c,31dが、ランド13の外縁13a,13c,13dとそれぞれ共用されている。図5のランド13において中央の区画ランド32は四辺に相当する外縁32a~32dを有する。外縁32a~32dのうち、外縁32a,32cが、ランド13の外縁13a,13cとそれぞれ共用されている。図5のランド13において右端の区画ランド33は四辺に相当する外縁33a~33dを有する。外縁33a~33dのうち、外縁33a,33b,33cが、ランド13の外縁13a,13b,13cとそれぞれ共用されている。
【0025】
本実施形態においても、レジスト15によって区画された区画ランド31~33において、外縁(例えば区画ランド31の外縁31a~31d)の少なくとも一部(外縁31a,31c,31d)がランド13の外縁(外縁13a~13dのいずれか)と共用されて外方に向けて開放される。したがって、はんだ40の溶融時に発生するフラックスガスを、区画ランド31~33の外縁(例えば、外縁31a,31c,31d)から外方に放出することができる。その結果、はんだ40においてボイドの発生を低減することができ、区画ランド31~33に印刷されたはんだ40によって基板11に接合される電子部品50との接合性及び電子部品50で発生した熱のランド13への伝達を適正に維持することができる。
【0026】
〔別実施形態〕
(1)第1実施形態では、レジスト15が直交する2本の直線部分(縦部分16及び横部分17)によって形成される例を示したが、レジスト15は複数の直線部分が直交以外で交差する形態でもよい。また、第1実施形態の平面視正方形状のランド13や、第2実施形態の平面視矩形状のランド13において、レジスト15がランド13の対角線上に形成されて交差する2本の直線部分を有する形状であってもよい。
【0027】
(2)第2実施形態では、ランド13に直線状のレジスト15が交差しない形態で設けられる例を示したが、第2実施形態のような矩形状のランド13においてレジスト15が第1実施形態と同じく交差する縦部分16及び横部分17を有する形状であってもよい。
【0028】
(3)第1実施形態では、回路基板10が、基板11の両面に導電性材料の一例である銅箔パターンが夫々配置される2層基板(両面基板)である例を示した。図6に示されるように、回路基板10は、基板11が2つの樹脂層11a,11bによって構成され、樹脂層11a,11bの間に内層19が配置される多層基板であってもよい。内層19は導電性材料によって形成されて導体層を構成する。ビアホール14は、基板11の一方の面11Aから樹脂層11aのみを貫通するように形成され、樹脂層11bには形成されていない。したがって、図6に示される例では、ビアホール14によってランド13と内層19とが電気的に接続されて、内層19が放熱部となる。
【0029】
(4)第1実施形態の回路基板10では、放熱部として基板11の他方の面11Bに放熱パターン18を設ける例を示したが、図7に示されるように、放熱パターンに代えて、基板11の他方の面11Bにおいてビアホール14の全周を囲む領域のみに放熱部として第2ランド18Aを設けてもよい。
【0030】
(5)図8に示されるように、回路基板10は、基板11が3つの樹脂層11a,11b,11cによって構成され、樹脂層11aと樹脂層11bとの間に内層19aが配置され、樹脂層11bと樹脂層11cとの間に内層19bが配置されていてもよい。図8に示される例では、回路基板10において、ビアホール14が樹脂層11a,11b,11cの全てを貫通するスルーホールビアであり、ビアホール14によってランド13と2つの内層19a,19b及び第2ランド18Aとが電気的に接続されている。したがって、この場合は、2つの内層19a,19b及び第2ランド18Aが放熱部となる。図8に示される例において、第2ランド18Aに代えて放熱パターン18を設けてもよい。
【0031】
(6)上記の実施形態では、ランド13の形状が正方形または矩形状である例を示したが、ランド13の形状は上記形状に限定されず、例えば円形状や楕円形状等であってもよい。また、上記の実施形態では、4つの区画ランド21~24が同面積である例、及び、3つの区画ランド31~33が同面積である例を示したが、複数の区画ランドが異なる面積であってもよい。
【0032】
(7)上記の実施形態では、レジスト15が線状に形成されてランド13を複数の区画ランド21~24,31~33に区画される例を示したが、レジスト15はビアホール14の全周を囲む領域のみに設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、回路基板に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
10 :回路基板
11 :基板
11A :一方の面
11B :他方の面
11a,11b,11c:樹脂層
13 :ランド
13a,13b,13c,13d :外縁
14 :ビアホール
15 :レジスト
16 :縦部分
17 :横部分
18 :放熱パターン(放熱部)
18A :第2ランド(放熱部)
19,19a,19b:内層(放熱部)
21 :区画ランド
21a,21b,21c,21d :外縁
22 :区画ランド
22a,22b,22c,22d :外縁
23 :区画ランド
23a,23b,23c,23d :外縁
24 :区画ランド
24a,24b,24c,24d :外縁
31 :区画ランド
32 :区画ランド
33 :区画ランド
40 :はんだ
50 :電子部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9