(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120981
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】エレベーターの乗車誘導装置およびエレベーター
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
B66B3/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018079
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】光岡 ほたる
(72)【発明者】
【氏名】桑原 美夏
(72)【発明者】
【氏名】小田 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】李 多揚
【テーマコード(参考)】
3F303
【Fターム(参考)】
3F303CB31
3F303CB46
3F303DB12
3F303DC22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】運搬物をぶつけにくいエレベーターの乗車誘導装置およびエレベーターを提供する。
【解決手段】エレベーターは、かご8と、乗場ドアパネル5と、乗車誘導装置11を備える。かご8は、複数の階床にわたる昇降路2を走行する。乗場ドアパネル5は、いずれかの階床にかご8が停止するときに当該階床の乗場3においてスライドして開閉する。乗車誘導装置11は、取得部と、投影部と、を備える。取得部は、乗場ドアパネル5の開度を取得する。投影部は、取得部が取得する乗場ドアパネル5の開度に対応する幅の映像を、乗場ドアパネル5の前方の床面に投影する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階床にわたる昇降路を走行するかごが前記複数の階床のいずれかに停止するときに当該階床の乗場においてスライドして開閉する乗場ドアパネルの開度を取得する取得部と、
前記取得部が取得する前記乗場ドアパネルの開度に対応する幅の映像を、前記乗場ドアパネルの前方の床面に投影する投影部と、
を備えるエレベーターの乗車誘導装置。
【請求項2】
前記取得部は、エレベーターの制御信号に基づいて前記乗場ドアパネルの開度を取得する
請求項1に記載のエレベーターの乗車誘導装置。
【請求項3】
前記乗場ドアパネルを撮影するカメラ
を備え、
前記取得部は、前記カメラが撮影した画像に基づいて前記乗場ドアパネルの開度を取得する
請求項1に記載のエレベーターの乗車誘導装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の乗車誘導装置
を備えるエレベーター。
【請求項5】
複数の階床のいずれかの乗場に設けられ、前記複数の階床にわたる昇降路を走行するかごが前記乗場の設けられる階床に停止するときにスライドして開閉する乗場ドアパネルと、
前記乗場ドアパネルの出入口側の端部に設けられ、前記乗場ドアパネルの前記端部の位置を示す表示を、前記乗場ドアパネルの前方の床面に投影する投光部と、
を備えるエレベーター。
【請求項6】
複数の階床にわたる昇降路を走行するかごに設けられ、前記複数の階床のいずれかに前記かごが停止するときにスライドして開閉するかごドアパネルと、
前記複数の階床のうち前記かごが停止する階床の乗場に設けられ、前記かごドアパネルに連動してスライドして開閉し、可視光を透過させる透過部を出入口側の端部に有する乗場ドアパネルと、
前記かごドアパネルの出入口側の端部に設けられ、前記乗場ドアパネルの前記端部の位置を示す表示を、前記透過部を通して前記乗場ドアパネルの前方の床面に投影する投光部と、
を備えるエレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターの乗車誘導装置およびエレベーターに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターに適用される報知装置の例を開示する。報知装置は、反射式の光センサーと、放送装置と、を備える。光センサーは、かごに設けられる。放送装置は、光センサーが台車などの物体を検出するときに、注意喚起のメッセージを放送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の報知装置において、光センサーは、かごドアパネルおよび乗場ドアパネルが全開のときにのみ動作する。このため、エレベーターの利用者がかごに台車などの運搬物を乗り入れるときに、開閉動作中の乗場ドアパネルに運搬物をぶつけてしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、運搬物をぶつけにくいエレベーターの乗車誘導装置およびエレベーターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターの乗車誘導装置は、複数の階床にわたる昇降路を走行するかごが前記複数の階床のいずれかに停止するときに当該階床の乗場においてスライドして開閉する乗場ドアパネルの開度を取得する取得部と、前記取得部が取得する前記乗場ドアパネルの開度に対応する幅の映像を、前記乗場ドアパネルの前方の床面に投影する投影部と、を備える。
【0007】
本開示に係るエレベーターは、上記の乗車誘導装置を備える。
本開示に係るエレベーターは、複数の階床のいずれかの乗場に設けられ、前記複数の階床にわたる昇降路を走行するかごが前記乗場の設けられる階床に停止するときにスライドして開閉する乗場ドアパネルと、前記乗場ドアパネルの出入口側の端部に設けられ、前記乗場ドアパネルの前記端部の位置を示す表示を、前記乗場ドアパネルの前方の床面に投影する投光部と、を備える。
本開示に係るエレベーターは、複数の階床にわたる昇降路を走行するかごに設けられ、前記複数の階床のいずれかに前記かごが停止するときにスライドして開閉するかごドアパネルと、前記複数の階床のうち前記かごが停止する階床の乗場に設けられ、前記かごドアパネルに連動してスライドして開閉し、可視光を透過させる透過部を出入口側の端部に有する乗場ドアパネルと、前記かごドアパネルの出入口側の端部に設けられ、前記乗場ドアパネルの前記端部の位置を示す表示を、前記透過部を通して前記乗場ドアパネルの前方の床面に投影する投光部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る乗車誘導装置またはエレベーターであれば、利用者が運搬物をよりぶつけにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るエレベーターの構成図である。
【
図2】実施の形態1に係るエレベーターにおける誘導の例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係るエレベーターにおける誘導の例を示す図である。
【
図4】実施の形態2に係るエレベーターにおける誘導の例を示す図である。
【
図5】実施の形態2に係るエレベーターにおける誘導の例を示す図である。
【
図6】実施の形態3に係るエレベーターの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーター1の構成図である。
【0012】
エレベーター1は、例えば複数の階床を有する建物に適用される。建物において、エレベーター1の昇降路2が設けられる。昇降路2は、複数の階床にわたる上下方向に長い空間である。建物の各々の階床において、昇降路2に隣接する乗場3が設けられる。各々の階床の乗場3において、エレベーター1の乗場ドア4が設けられる。乗場ドア4は、乗場3および昇降路2を区画するドアである。乗場ドア4は、乗場ドアパネル5を有する。乗場ドアパネル5は、スライドして開閉するドアパネルである。ここで、乗場ドアパネル5の乗場3側を前方、および乗場ドアパネル5の昇降路2側を後方とし、乗場ドアパネル5の開閉方向を左右方向とする。
【0013】
エレベーター1は、巻上機6と、主ロープ7と、かご8と、釣合い錘9と、制御盤10と、複数の乗車誘導装置11と、を備える。
【0014】
巻上機6は、駆動力を発生させるモーター、およびモーターが発生させる駆動力によって回転するシーブを備える。巻上機6は、例えば昇降路2の上部または下部などに配置される。あるいは、エレベーター1において例えば昇降路2の上方などに機械室が設けられる場合に、巻上機6は機械室に配置されてもよい。
【0015】
主ロープ7は、昇降路2においてかご8および釣合い錘9の荷重を支持するロープである。主ロープ7は、巻上機6のシーブに巻きかけられる。主ロープ7は、巻上機6のシーブの一方側においてかご8の荷重を支持する。主ロープ7は、巻上機6のシーブの他方側において釣合い錘9の荷重を支持する。
【0016】
かご8は、昇降路2を上下方向に走行することでエレベーター1の利用者を複数の階床の間で輸送する機器である。かご8は、かごドア12を備える。かごドア12は、利用者が乗車するかご8の内部およびかご8の外部を区画するドアである。かごドア12は、かごドアパネル13を有する。かごドアパネル13は、スライドして開閉するドアパネルである。かごドアパネル13は、かご8がいずれかの階床に停止するときに、当該階床の乗場3に設けられた乗場ドアパネル5を連動させて開閉させる。釣合い錘9は、巻上機6のシーブの両側にかかる荷重の釣合いをかご8との間でとる機器である。かご8および釣合い錘9は、巻上機6のモーターが発生させる駆動力によって上下方向において昇降路2を互いに反対側に走行する。
【0017】
制御盤10は、エレベーター1の動作を制御する機器である。エレベーター1の動作は、例えばかご8の走行およびかごドアパネル13の開閉を含む。制御盤10は、例えば昇降路2の上部または下部などに配置される。あるいは、機械室が設けられる場合に、制御盤10は機械室に配置されてもよい。
【0018】
各々の乗車誘導装置11は、いずれかの乗場ドア4に対応する。乗車誘導装置11は、対応する乗場ドア4が設けられる乗場3に配置される。乗車誘導装置11は、対応する乗場ドア4に設けられてもよい。あるいは、乗車誘導装置11は、対応する乗場ドア4が設けられる乗場3の壁の上部または天井などに設けられていてもよい。乗車誘導装置11は、対応する乗場ドア4を囲う
図1に図示されない三方枠に設けられていてもよい。乗車誘導装置11は、台車14などの運搬物をかご8に乗り入れる利用者の乗車を誘導する装置である。乗車誘導装置11は、取得部15と、投影部16と、を備える。
【0019】
取得部15は、乗場ドアパネル5の開度を取得する部分である。乗場ドアパネル5の開度は、乗場ドアパネル5が開くことによって乗場3およびかご8の内部の間に形成される開口の幅を表す。乗場ドアパネル5の開度は、乗場ドアパネル5が全開のときに最大となる。乗場ドアパネル5の開度は、乗場ドアパネル5が全閉のときに最小となる。乗場ドアパネル5の開度は、乗場ドアパネル5が開動作中のときに増加する。乗場ドアパネル5の開度は、乗場ドアパネル5が閉動作中の時に減少する。取得部15は、例えばエレベーター1の制御信号を受信することで乗場ドアパネル5の開度を取得する。制御信号は、例えばエレベーター1の制御盤10から送信される。制御信号は、乗場ドア4から当該乗場ドア4に対応する乗車誘導装置11に送信されてもよい。制御信号は、例えば乗場ドアパネル5の開度の指令値、検出値、または測定値などを表す信号である。乗場ドアパネル5はかごドアパネル13に連動して開閉するので、制御信号は、かごドアパネル13の開度を表す信号であってもよい。
【0020】
投影部16は、映像を乗場3の床面に投影する部分である。投影部16は、可視光によって床面に映像を投影できるものであれば特に限定されない。投影部16は、例えば液晶プロジェクター、DMD(Digital Micromirror Device)を用いたプロジェクター、反射型液晶プロジェクター、またはレーザープロジェクターなどであってもよい。
【0021】
各々の乗車誘導装置11は、ハードウェアとして、例えばプロセッサおよびメモリを備えた処理回路を有する。プロセッサは、例えばCPU、演算装置、マイクロプロセッサ、またはマイクロコンピュータなどである。メモリは、例えばRAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROMおよびEEPROMなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、もしくはDVDなどが該当する。メモリは、例えばソフトウェアまたはファームウェアとしてのプログラムなどを記憶する。そして、乗車誘導装置11は、メモリに記憶されたプログラムなどをプロセッサが実行することによって予め設定された処理を実施し、ハードウェアとソフトウェアとが協働した結果として各機能を実現する。乗車誘導装置11の各機能は、それぞれ処理回路で実現されてもよい。あるいは、乗車誘導装置11の各機能の一部または全部は、まとめて処理回路で実現されてもよい。また、処理回路は、例えば単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、もしくはFPGA、またはこれらの組み合わせで実現されてもよい。
【0022】
続いて、
図2および
図3を用いて、実施の形態1に係るエレベーター1における誘導の例を説明する。
図2および
図3は、実施の形態1に係るエレベーター1における誘導の例を示す図である。
図2および
図3において、かご8が停止している階床における乗場3の斜視図が示される。
【0023】
図2において、乗場ドアパネル5が開動作中の状態が示される。なお、乗場ドアパネル5が閉動作中の場合においても、乗車誘導装置11は乗場ドアパネル5が開動作中の場合と同様に動作する。
【0024】
この例において、乗場ドア4は、両開きのドアである。すなわち、乗場ドア4は、2枚の乗場ドアパネル5を有する。2枚の乗場ドアパネル5は、左右方向において互いに反対側にスライドすることで開閉する。2枚の乗場ドアパネル5が開くことでこれらの間にかご8の内部への出入口が形成される。出入口の左右方向の幅は、乗場ドアパネル5の開度に対応する。出入口の左右方向の幅は、一方の乗場ドアパネル5の出入口側の端部から他方の乗場ドアパネル5の出入口の端部までの左右方向における距離である。ここで、一方の乗場ドアパネル5の出入口側の端部は、左右方向において他方の乗場ドアパネル5に近い端部である。
【0025】
乗場3に設けられた乗場ドアパネル5は、当該乗場3の階床にかご8が停止しているときに、かごドアパネル13の開動作に連動して開動作する。同様に、乗場3に設けられた乗場ドアパネル5は、当該乗場3の階床にかご8が停止しているときに、かごドアパネル13の閉動作に連動して閉動作する。かごドアパネル13の開動作および閉動作は、例えば制御盤10などからの指令に基づいて行われる。
【0026】
取得部15は、例えば制御盤10などからかごドアパネル13への指令を表す制御信号を受信することによって、乗場ドアパネル5の開度を取得する。あるいは、例えば乗場ドア4が乗場ドアパネル5の開度を計測するセンサーを有する場合に、取得部15は、計測値を表す制御信号を当該センサーから受信することによって乗場ドアパネル5の開度を取得する。取得部15は、取得した乗場ドアパネル5の開度を投影部16に出力する。
【0027】
投影部16は、入力された乗場ドアパネル5の開度に基づいて、乗場ドアパネル5の開き幅を表す映像を乗場ドアパネル5の前方の乗場3の床面に投影する。当該映像の左右方向の幅は、当該開度に対応する幅である。当該映像の左右方向の端部の位置は、2枚の乗場ドアパネル5の出入口側の端部の位置に対応する。投影部16が投影する映像は、例えば文字または画像などによる付加情報を含んでいてもよい。付加情報は、例えば現在時刻またはかご8内の状況などの、乗場3においてかご8の到着を待機している利用者に向けた情報である。この例において、投影部16が投影する映像の前後方向の長さは、かご8の内部の前後方向の長さである。このとき、当該映像の面積は、かご8に乗入れ可能な面積となる。
【0028】
図3において、乗場ドアパネル5が全開している状態が示される。
【0029】
投影部16が投影する映像の左右方向の幅は、乗場ドアパネル5の開度に連動している。このように、投影部16が投影する映像の幅によってかご8の内部への出入口の幅が可視化されるので、利用者は、出入口の幅と台車14などの運搬物の幅とを実際に比較して把握できるようになる。運搬物の幅と出入口の幅との差を視覚的に比較して把握できるようになるので、利用者が出入口の開き幅を見誤ることによって運搬物を乗場ドアパネル5にぶつけることが予防される。
【0030】
以上に説明したように、実施の形態1に係るエレベーター1は、かご8と、乗場ドアパネル5と、乗車誘導装置11を備える。かご8は、複数の階床にわたる昇降路2を走行する。乗場ドアパネル5は、いずれかの階床にかご8が停止するときに当該階床の乗場3においてスライドして開閉する。乗車誘導装置11は、取得部15と、投影部16と、を備える。取得部15は、乗場ドアパネル5の開度を取得する。投影部16は、取得部15が取得する乗場ドアパネル5の開度に対応する幅の映像を、乗場ドアパネル5の前方の床面に投影する。
【0031】
このような構成により、台車14などの運搬物の幅とかご8の内部への出入口の幅との差を利用者が視覚的に比較して把握できるようになるので、利用者は運搬物をぶつけにくくなる。また、投影部16による映像の幅はドアの開度に連動して変化するので、乗場ドアパネル5が開閉動作中であっても利用者は運搬物をぶつけにくくなる。
【0032】
また、取得部15は、エレベーター1の制御信号に基づいて乗場ドアパネル5の開度を取得する。
【0033】
このような構成により、より正確な乗場ドアパネル5の開度が取得される。このため、利用者は、乗場ドアパネル5などに運搬物をよりぶつけにくくなる。
【0034】
なお、取得部15は、エレベーター1の外部のセンサーなどに基づいて乗場ドアパネル5の開度を取得してもよい。当該センサーは、例えば乗場ドア4に取り付けられる。当該センサーは、非接触距離計などによって乗場ドアパネル5の開度を非接触で計測するものであってもよい。また、乗車誘導装置11は、図示されないカメラを有していてもよい。カメラは、乗場3において乗場ドアパネル5を撮影する。このとき、取得部15は、カメラが撮影する乗場ドアパネル5の画像に基づいて当該乗場ドアパネル5の開度を取得する。
【0035】
このような構成により、取得部15がエレベーター1の制御信号を直接取得できない場合においても、取得部15は乗場ドアパネル5の開度を取得できるようになる。これにより、乗車誘導装置11が適用できるエレベーター1の自由度が高くなる。
【0036】
また、乗車誘導装置11の一部または全部は、制御盤10および乗場ドア4などのエレベーター1の装置に内蔵されていてもよい。あるいは、乗車誘導装置11は、エレベーター1の外部装置であってもよい。このとき、乗車誘導装置11は、既設のエレベーター1に追加で取り付けられる装置であってもよい。
【0037】
また、乗場ドア4は、片開きのドアであってもよい。このとき、乗場ドアパネル5は、左右方向において戸当たりおよび戸袋の間をスライドすることで開閉する。乗場ドアパネル5が開くことで戸当たりおよび乗場ドアパネル5の間にかご8の内部への出入口が形成される。出入口の左右方向の幅は、乗場ドアパネル5の開度に対応する。出入口の左右方向の幅は、乗場ドアパネル5の出入口側の端部から戸当たりまでの左右方向における距離である。ここで、乗場ドアパネル5の出入口側の端部は、左右方向において戸当たりに近い端部である。投影部16が床面に投影する映像の左右方向の端部の位置は、乗場ドアパネル5の出入口側の端部の位置および戸当たりの位置に対応する。乗場ドアパネル5は、複数のパネルからなるものであってもよい。
【0038】
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0039】
図4および
図5は、実施の形態2に係るエレベーター1における誘導の例を示す図である。
図4および
図5において、かご8が停止している階床における乗場3の斜視図が示される。
【0040】
図4において、乗場ドアパネル5が開動作中の状態が示される。なお、乗場ドアパネル5が閉動作中の場合においても、エレベーター1は乗場ドアパネル5が開動作中の場合と同様に誘導を行う。
【0041】
エレベーター1は、2つの投光部17を備える。各々の投光部17は、可視光による表示を乗場3の床面に投影する部分である。投光部17は、可視光によって床面に表示を投影できるものであれば特に限定されない。投光部17は、例えば光源およびマスクなどにより表示を投影する装置、またはレーザー光の走査により表示を投影する装置などであってもよい。各々の投光部17は、2つ乗場ドアパネル5のいずれかに対応する。各々の投光部17は、対応する乗場ドアパネル5の出入口側の端部に設けられる。
【0042】
投光部17は、乗場ドアパネル5の出入口側の端部から、乗場ドアパネル5の出入口側の端部の位置を示す表示を乗場ドアパネル5の前方の乗場3の床面に投影する。投影される表示は、例えば乗場ドアパネル5の出入口側の端部の位置から前後方向に延びる線状の表示である。2枚の乗場ドアパネル5の端部の位置を示す2つの表示の間の左右方向の幅は、乗場ドアパネル5の開度に対応する。この例において、投光部17が投影する表示の前後方向の長さは、かご8の内部の前後方向の長さである。
【0043】
図5において、乗場ドアパネル5の開度が
図4より大きくなった状態が示される。
図5は、例えば
図4の状態より乗場ドアパネル5の開動作が進んだ状態の図などである。
【0044】
2つの投光部17による乗場3の床面の表示の幅は、乗場ドアパネル5の開度に連動している。このように、投光部17の表示によってかご8の内部への出入口の端部の位置が可視化されるので、利用者は、出入口の端部の位置を台車14などの運搬物と実際に比較して把握できるようになる。運搬物の幅と出入口の端部の位置とを視覚的に比較して把握できるようになるので、利用者が出入口の開き幅を見誤ることなどによって運搬物を乗場ドアパネル5にぶつけることが予防される。
【0045】
なお、乗場ドアパネル5が全閉しているときに、投光部17による表示は休止していてもよい。このとき、投光部17は、対応する乗場ドアパネル5が開動作を開始してから閉動作を終了するまでの間に表示を投影する。投光部17は、例えばエレベーター1の制御信号に基づいて開動作の開始および閉動作の終了を検知する。
【0046】
以上に説明したように、実施の形態2に係るエレベーター1は、乗場ドアパネル5と、投光部17と、を備える。乗場ドアパネル5は、複数の階床のいずれかの乗場3に設けられる。乗場ドアパネル5は、当該乗場3の設けられる階床にかご8が停止するときにスライドして開閉する。投光部17は、乗場ドアパネル5の出入口側の端部に設けられる。投光部17は、乗場ドアパネル5の端部の位置を示す表示を乗場ドアパネル5の前方の床面に投影する。
【0047】
このような構成により、台車14などの運搬物の幅とかご8の内部への出入口の端部の位置とを利用者が視覚的に比較して把握できるようになるので、利用者は運搬物をぶつけにくくなる。また、投光部17による表示の位置はドアの開度に連動して変化するので、乗場ドアパネル5が開閉動作中であっても利用者は運搬物をぶつけにくくなる。また、投光部17は、光源およびマスクなどの比較的安価な構成によって実現できる。また、投光部17は、乗場ドアパネル5の開閉と機械的に連動するので、乗場ドアパネル5の開度と表示とのずれが生じにくくなる。なお、エレベーター1は、取得部15および投影部16を有していなくてもよい。
【0048】
なお、乗場ドア4は、片開きのドアであってもよい。このとき、乗場ドアパネル5は、左右方向において戸当たりおよび戸袋の間をスライドすることで開閉する。乗場ドアパネル5が開くことで戸当たりおよび乗場ドアパネル5の間にかご8の内部への出入口が形成される。出入口の左右方向の幅は、乗場ドアパネル5の開度に対応する。出入口の左右方向の幅は、乗場ドアパネル5の出入口側の端部から戸当たりまでの左右方向における距離である。ここで、乗場ドアパネル5の出入口側の端部は、左右方向において戸当たりに近い端部である。投光部17が床面に投影する表示は、乗場ドアパネル5の出入口側の端部の位置に対応する。これにより、利用者は、投光部17による表示によってかご8の内部への出入口の戸袋側の端部の位置を把握できる。また、戸当たりの位置は固定されているため、利用者は、かご8の内部への出入口の戸当たり側の端部の位置を自然に把握できる。これにより、利用者が出入口の開き幅を見誤ることなどによって運搬物を乗場ドアパネル5にぶつけることが予防される。なお、かご8の内部への出入口の戸当たり側の端部の位置をより明確に示すために、エレベーター1は、戸当たり側に固定された投光部を有していてもよい。固定された投光部は、例えば三方枠の戸当たり側などに取り付けられる。
【0049】
実施の形態3.
実施の形態3において、実施の形態1または実施の形態2で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0050】
図6は、実施の形態3に係るエレベーター1の構成図である。
【0051】
エレベーター1の各々の乗場ドアパネル5は、透過部18を有する。透過部18は、乗場ドアパネル5の後方から前方に向けて可視光を透過させる部分である。透過部18は、例えば可視光について透明な樹脂またはガラスなどの材料からなる。あるいは、透過部18は、空洞によって可視光を透過させるものであってもよい。透過部18は、ミラーまたはレンズなどの光学素子を有していてもよい。透過部18は、光ファイバーなどによって可視光を透過させるものであってもよい。透過部18は、乗場ドアパネル5の出入口側の端部に設けられる。
【0052】
エレベーター1は、2つの投光部17を備える。各々の投光部17は、2つのかごドアパネル13のいずれかに対応する。各々の投光部17は、対応するかごドアパネル13の出入口側の端部に設けられる。各々の投光部17は、対応するかごドアパネル13が連動させる乗場ドアパネル5の透過部18に、当該乗場ドアパネル5が設けられた階床にかご8が停止しているときに昇降路2側から対向する位置に配置される。投光部17は、かご8がいずれかの階床に停止しているときに、対向する透過部18を通じて可視光による表示を乗場3の床面に投影する。
【0053】
以上に説明したように、実施の形態3に係るエレベーター1は、かごドアパネル13と、乗場ドアパネル5と、投光部17と、を備える。かごドアパネル13は、かご8に設けられる。かごドアパネル13は、いずれかの階床にかご8が停止するときにスライドして開閉する。乗場ドアパネル5は、複数の階床のうちかご8が停止する階床の乗場3に設けられる。乗場ドアパネル5は、かごドアパネル13に連動してスライドして開閉する。乗場ドアパネル5は、出入口側の端部に透過部18を有する。透過部18は、可視光を透過させる。投光部17は、かごドアパネル13の出入口側の端部に設けられる。投光部17は、乗場ドアパネル5の端部の位置を示す表示を、透過部18を通して乗場ドアパネル5の前方の床面に投影する。
【0054】
このような構成により、台車14などの運搬物の幅とかご8の内部への出入口の端部の位置とを利用者が視覚的に比較して把握できるようになるので、利用者は運搬物をぶつけにくくなる。また、投光部17による表示の位置はドアの開度に連動して変化するので、乗場ドアパネル5が開閉動作中であっても利用者は運搬物をぶつけにくくなる。また、投光部17は、光源およびマスクなどの比較的安価な構成によって実現できる。また、投光部17は、乗場ドアパネル5を連動して開閉させるかごドアパネル13の開閉と機械的に連動するので、乗場ドアパネル5の開度と表示とのずれが生じにくくなる。また、各々の階床に投光部17を設ける必要がなくなるので、より簡易な構成によって利用者の誘導ができるようになる。なお、エレベーター1は、取得部15および投影部16を有していなくてもよい。
【0055】
なお、かごドアパネル13が全閉しているときに、投光部17による表示は休止していてもよい。このとき、投光部17は、対応するかごドアパネル13が開動作を開始してから閉動作を終了するまでの間に表示を投影する。投光部17は、例えばエレベーター1の制御信号に基づいて開動作の開始および閉動作の終了を検知する。
【符号の説明】
【0056】
1 エレベーター、 2 昇降路、 3 乗場、 4 乗場ドア、 5 乗場ドアパネル、 6 巻上機、 7 主ロープ、 8 かご、 9 釣合い錘、 10 制御盤、 11 乗車誘導装置、 12 かごドア、 13 かごドアパネル、 14 台車、 15 取得部、 16 投影部、 17 投光部、 18 透過部