(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120982
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】義歯
(51)【国際特許分類】
A61C 13/113 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
A61C13/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018082
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】518173182
【氏名又は名称】高田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100199451
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 隆滋
(72)【発明者】
【氏名】高田 稔
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、製造コストを低く抑えつつも、遺体の口腔の大きさに合せなくても使用できる義歯を提供することである。
【解決手段】遺体の口腔内に装着可能な義歯(10)は、板状部材で構成されている。板状部材の前面側に、少なくとも、上の歯と下の歯を模した絵柄若しくは形状を有している。板状部材は、厚みが1cm以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺体の口腔内に装着可能な義歯であって、
板状部材で構成され、
前記板状部材の前面側に、少なくとも、上の歯と下の歯を模した絵柄若しくは形状を有し、
前記板状部材は、食材で形成されている、義歯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は義歯に関し、特に、遺体の口腔内に装着する義歯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遺体の口元に張りを造り、生前の面影を保つ目的で使用する義歯がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示す義歯は、立体的な造形の上顎義歯と下顎歯を接続部で接続する構成であるため、製造コストが高くなるという問題がある。また、遺体の口腔の大きさに合せた義歯を製造しなければならないという問題がある。
【0005】
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、製造コストを低く抑えつつも、遺体の口腔の大きさに合せなくても使用できる義歯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、
遺体の口腔内に装着可能な義歯であって、
板状部材で構成され、
前記板状部材の前面側に、少なくとも、上の歯と下の歯を模した絵柄若しくは形状を有し、
前記板状部材は、厚みが1cm以下である、義歯
によって達成できる。
【0007】
また、上記目的は、
前記板状部材は、上下の歯茎に沿って装着することが可能となる曲面を有し、
裏面側にリブ部を有している、上記の義歯
によって達成できる。
【0008】
また、上記目的は、
前記板状部材は、
シリコンまたは合成樹脂で形成され、
高さを調整することが可能となる切取線を有している、上記の義歯
によっても達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造コストを低く抑えつつも、遺体の口腔の大きさに合せる必要のない義歯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態による義歯10の斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態による義歯10の正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態による義歯10の背面図である。
【
図4】本発明の実施の形態による義歯10の右面図である。
【
図5】本発明の実施の形態による義歯10の左面図である。
【
図6】本発明の実施の形態による義歯10の平面図である。
【
図7】本発明の実施の形態による義歯10の底面図である。
【
図8】本発明の実施の形態による義歯10の使用前後の状態を示すイメージ図である。
【
図9】本発明の実施の形態による義歯20の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態による義歯10について、
図1~
図8を用いて説明する。なお、以下の全ての図面においては、理解を容易にするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせて図示する場合がある。
【0012】
図1は、義歯10を正面右斜上から見た斜視図である。
図2は、義歯10の正面図であり、
図3は、義歯10の裏面図であり、
図4は、義歯10の右側面図であり、
図5は、義歯10の左側面図であり、
図6は、義歯10の平面図であり、
図7は、義歯10の底面図であり、
図8は、義歯10の使用前後の状態を示すイメージ図である。
【0013】
義歯10は、シリコンまたはプラスチック等の合成樹脂の曲面を有する略方形状の板状部材で構成される。板状部材の厚さは、1cm以下である。好ましくは、5mm以下、更に好ましくは2mm以下である。また、板状部材の縦の長さは、3cmであるが、3cm以外であってもよい。また、板状部材は、口腔内の形状に併せて変形可能な可とう性のある材質を用いるのが好適であり、シリコンまたはプラスチック等の合成樹脂以外でも、皮革、コルク材、紙材、米粉、小麦粉、イモ類等の食材に水を加えてこねたものを所定の型に入れて乾燥させ固化したものやでんぷん粘土を乾燥させたものやバイオプラスチック等を用いてもよいし、剛性の高い金属や木材やセラミックスやプラスチック等を用いてもよい。特に、口に入れるものであるため、米粉、小麦粉、イモ類等の食材で形成される義歯10が好適である。
【0014】
図1、
図2等に示すように、義歯10の表面側には、上の歯5a(6本)と下の歯5b(8本)の絵柄が施された模擬歯部5が設けられる。本例では、模擬歯部5は、歯の絵柄のシール部材を貼付することで構成されるが、これ以外の構成であってもよい。例えば、模擬歯部5は、歯の絵柄を板状部材の表面側に直接印刷する構成であってもよいし、表面に切削加工を施すことで歯を立体的に表す構成であってもよい。
【0015】
図3に示すように、義歯10の裏面側には、5本のリブ7が設けられる。このリブ7によって、厚みを薄くしつつも必要な強度を確保することが可能になる。なお、本例では縦方向の強度を高めるようリブを設ける構成であるが、斜め方向や横方向の強度を高めるようリブを設ける構成であってもよい。
【0016】
また、義歯10の裏面側には、4本の切取線9が設けられる。上端側に2本、下端側に2本を設けることで、遺体の口腔のサイズに併せて、現場で容易に加工することが可能になる。なお、切取線9が5本以上設けられる場合があってもよいし、切取線9が3本以下となる場合があってもよいし、切取り線を設けない場合があってもよい。この場合においても、本例の義歯10は厚みを薄くしているため、ハサミ等で容易に切断することが可能である。
【0017】
図4及び
図5に示すように、義歯10は、左端側及び右端側を狭める形状である。このように、左端側及び右端側を狭めることで、装着容易性を高めている。また、さらに装着容易性を高めるために、義歯10の表面側の左端側及び右端側に、義歯10を遺体口腔内に装着する人の指を引っかけやすくする凸部或いは凹部を設けてもよい。なお、義歯10は、左端側及び右端側の一方のみを狭める形状であってもよい。この場合において、狭められた端側から口に装着することで装着容易性が高まることになる。
【0018】
図6及び
図7に示すように、義歯10は、上顎の歯肉面及び下顎の歯肉面に沿うように、略半円状で構成される。また、本例では、義歯10は硬い材質で構成されるが、上顎の歯肉面及び下顎の歯肉面に併せて変形可能とするように、可とう性のある材質で構成される場合があってもよい。
【0019】
図8の左側のイラストは、義歯10を使用した状態のイメージ図であり、
図8の右側のイラストは、義歯10を使用する前の状態のイメージ図である。このように、本実施形態の義歯10は、遺体の口腔内の上唇と上の歯茎(歯肉)の間と下唇と下の歯茎(歯肉)の間に挿入することで、遺体の口元に張りを造ることが可能となる。
【0020】
本発明の実施の形態による義歯20について、
図9を用いて説明する。
図9は、義歯20を正面右斜上から見た斜視図である。上述の義歯10と異なり、義歯20の両端部分が二股にわかれている。このような構造とすることで、義歯20の装着性が高まることになる。なお、義歯20は、左端側及び右端側の一方のみを狭める形状であってもよい。この場合において、狭められた端側から口に装着することで装着容易性が高まることになる。
【0021】
本発明は、上述の実施の形態に限らず種々の変形が可能である。また、上述の各実施の形態は、本発明の好適な一例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上述の説明によって不当に限定されるものではない。また、上述の各実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、遺体の口腔内に装着する義歯ならず、入歯の人の写真撮影用等に用いる義歯においても広く利用可能である。
【符号の説明】
【0023】
10、20 義歯
5 模擬歯部
5a 上歯部
5b 下歯部
7 リブ
9 切取線