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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120983
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】負圧供給システム
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/22 20060101AFI20220812BHJP
   B60T 13/52 20060101ALI20220812BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
B60T17/22 Z
B60T13/52
B60T17/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018083
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】本田 興久
(72)【発明者】
【氏名】坂東 正樹
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
【Fターム(参考)】
3D048BB01
3D048BB05
3D048BB52
3D048CC26
3D048HH09
3D048HH66
3D048KK09
3D048RR06
3D049BB01
3D049BB03
3D049HH09
3D049HH42
3D049KK07
3D049RR04
(57)【要約】
【課題】故障判定の精度が良好で、製造コストを抑制可能な負圧供給システムを提供する。
【解決手段】ブレーキブースタ9の負圧室91に負圧を供給する負圧供給システム2において、負圧ポンプ3(負圧供給源)と、負圧ポンプ3を制御する制御装置4と、大気圧を基準にした負圧室91内の気圧を第1負圧P1として検出する第1気圧センサ5と、負圧室91内の絶対圧を検出する第2気圧センサ6と、大気圧を検出する大気圧センサ7とを備えた。制御装置4は、第2気圧センサ6が検出した絶対圧と大気圧センサ7が検出した大気圧とから第2負圧P2を算出し、第1負圧P1および第2負圧P2に基づいて制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキブースタの負圧室に負圧を供給する負圧供給システムであって、
負圧供給源と、
前記負圧供給源を制御する制御装置と、
大気圧を基準にした前記負圧室内の気圧を第1負圧として検出する第1気圧センサと、
前記負圧室内の絶対圧を検出する第2気圧センサと、
大気圧を検出する大気圧センサと、
を備え、
前記制御装置は、前記第2気圧センサが検出した絶対圧と前記大気圧センサが検出した大気圧とから第2負圧を算出し、前記第1負圧および前記第2負圧に基づいて制御を行う、
負圧供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキブースタに負圧を供給する負圧供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレーキ操作を補助するためのブレーキブースタが知られている。ブレーキブースタは、負圧室に負圧を蓄積しておき、負圧を利用することで、運転者のブレーキペダルの踏力を増幅する。ブレーキ操作によりブレーキブースタが使用されると、負圧室に蓄積された負圧が減少する。ブレーキブースタは、負圧供給システムによって、負圧室内の負圧が所定の範囲内に制御されている。負圧供給システムは、負圧室内の負圧を検出し、検出した負圧が下限閾値まで低下すると負圧供給源に負圧を供給させ、検出した負圧が上限閾値まで上昇すると負圧供給源に負圧の供給を停止させる。なお、本明細書では、負圧が大気圧に近い場合を「負圧が小さい」と表現し、負圧が大気圧から離れている場合を「負圧が大きい」と表現する。
【0003】
負圧を正確に検出できないと負圧を適切に制御できなくなる。負圧を検出するためのセンサを故障に備えて2系統備えている負圧供給システムが提案されている。特許文献1には、2系統の圧力検出部を備えた制動倍力装置が開示されている。当該制動倍力装置は、各圧力検出部が検出した負圧に基づいて、圧力検出部の故障の判定、および、故障した圧力検出部の特定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5799844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
負圧室内の負圧は、負圧室内の絶対圧(絶対真空を基準とした気圧)と大気圧とから算出される。負圧を2系統で検出する場合、負圧室内の絶対圧を検出する気圧センサが2個必要である。また、1個の大気圧センサを共用した場合、当該大気圧センサが故障すると、算出された負圧が両方とも誤った値になるので、大気圧センサも2個必要になる。つまり、故障に備えるために、正常時の制御には寄与しない2個の気圧センサを追加する必要があり、その分、製造コストが増加する。また、故障判定のための判定閾値の設定において、4個の気圧センサそれぞれの検出誤差を考慮する必要があるので、2個の気圧センサの誤差だけを考慮して判定閾値を設定する場合と比較して、故障判定の精度が悪くなる。
【0006】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、故障判定の精度が良好で、製造コストを抑制可能な負圧供給システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明によって提供される負圧供給システムは、ブレーキブースタの負圧室に負圧を供給する負圧供給システムであって、負圧供給源と、前記負圧供給源を制御する制御装置と、大気圧を基準にした前記負圧室内の気圧を第1負圧として検出する第1気圧センサと、前記負圧室内の絶対圧を検出する第2気圧センサと、大気圧を検出する大気圧センサとを備え、前記制御装置は、前記第2気圧センサが検出した絶対圧と前記大気圧センサが検出した大気圧とから第2負圧を算出し、前記第1負圧および前記第2負圧に基づいて制御を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、第1気圧センサが第1負圧を検出するので、負圧供給システムは、3個の気圧センサで2系統の負圧を検出できる。したがって、4個の気圧センサを備える場合と比較して、製造コストを抑制でき、また、故障判定の精度が良好である。
【0010】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る負圧供給システムが適用された車の構成を示す概略ブロック図である。
図2】第1負圧および第2負圧を説明するための図である。
図3】制御装置の負圧検出部が行う負圧検出処理を説明するためのフローチャートの一例である。
図4】第2実施形態に係る負圧供給システムが適用された車の構成を示す概略ブロック図である。
図5】第3実施形態に係る負圧供給システムが適用された車の構成を示す概略ブロック図である。
図6】第4実施形態に係る負圧供給システムが適用された車の構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る負圧供給システムが適用された車1の構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように、車1は、ブレーキブースタ9、車載バス8、および負圧供給システム2を備えている。なお、車1はその他の構成も備えているが、図1においては記載を省略している。
【0014】
ブレーキブースタ9は、運転者によるブレーキ操作を補助するための装置であり、負圧室91に蓄積した負圧を利用することで、運転者のブレーキペダル95の踏力を増幅する。ブレーキブースタ9は、負圧供給システム2から供給される負圧を利用する。なお、ブレーキブースタ9は、負圧室91に繋がり、負圧を蓄積するための負圧タンクをさらに備えてもよい。
【0015】
車載バス8は、車1に搭載されている各ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)などが通信を行うための通信回線である。各ECUなどは、車載バス8を介して、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルに従って双方向通信を行う。なお、車載バス8で利用される通信プロトコルは限定されない。
【0016】
負圧供給システム2は、ブレーキブースタ9の負圧を調整するための機構である。負圧供給システム2は、負圧ポンプ3、制御装置4、第1気圧センサ5、信号線51、第2気圧センサ6、および大気圧センサ7を備えている。
【0017】
負圧ポンプ3は、空気を加圧して排出する装置である。負圧ポンプ3は、電動式のポンプであり、図示しないバッテリから電力を供給される。なお、負圧ポンプ3は、車輪や内燃機関から伝達される動力によって駆動する機械式のポンプであってもよい。負圧ポンプ3は、吸気口および排気口を備えている。負圧ポンプ3は、駆動時に、吸気口から吸入した空気を加圧して、排気口から排出する。負圧ポンプ3の吸気口は、配管31を介して、ブレーキブースタ9の負圧室91につながっている。したがって、負圧ポンプ3が駆動すると、負圧室91内の空気が排出されるので、ブレーキブースタ9の負圧が増加する。なお、図示しないが、配管31には、負圧ポンプ3が駆動していないときに、負圧室91に空気が供給されることを防止するためのチェックバルブが配置されている。当該チェックバルブは、負圧室91から負圧ポンプ3の吸気口への空気の供給を許容し、負圧ポンプ3の吸気口から負圧室91への空気の供給を遮断する。負圧ポンプ3の駆動は、制御装置4によって制御される。負圧ポンプ3が、本発明の「負圧供給源」に相当する。
【0018】
第1気圧センサ5は、ブレーキブースタ9の負圧室91に取り付けられており、大気圧を基準にした負圧室91内の気圧(第1負圧)を検出する。第1気圧センサ5は、いわゆる相対圧センサ(ゲージ圧センサ)であり、大気圧を基準にした気圧を検出する気圧センサである。第1気圧センサ5は、第1負圧に応じた検出信号を出力する。当該検出信号は、信号線51を介して、制御装置4に入力される。
【0019】
第2気圧センサ6は、ブレーキブースタ9の負圧室91に取り付けられており、絶対真空を基準にした負圧室91内の気圧(絶対圧)を検出する。第2気圧センサ6は、いわゆる絶対圧センサであり、絶対真空を基準にした気圧を検出する気圧センサである。第2気圧センサ6は、負圧室91内の絶対圧に応じた検出信号を出力する。当該検出信号は、車載バス8を介して、制御装置4に入力される。
【0020】
大気圧センサ7は、ブレーキブースタ9の外部に配置されており、大気圧を検出する。大気圧センサ7の取り付け位置は限定されない。大気圧センサ7は、いわゆる絶対圧センサであり、絶対真空を基準とした気圧を検出する気圧センサである。大気圧センサ7は、大気圧に応じた検出信号を出力する。当該検出信号は、車載バス8を介して、制御装置4に入力される。なお、大気圧センサ7は、負圧供給システム2の専用のものでなくてもよく、例えば標高を推定するために用いられる大気圧センサ7を利用してもよい。この場合、他のECUが大気圧センサ7の検出信号に基づいて取得した大気圧が、制御装置4に入力されてもよい。
【0021】
制御装置4は、負圧供給システム2を制御するECUであり、負圧ポンプ3の駆動を制御することで、ブレーキブースタ9の負圧を制御する。制御装置4は、専用のECUであってもよいし、その他の制御機能も備えたECUであってもよい。
【0022】
制御装置4は、信号線51を介して、第1気圧センサ5が検出した第1負圧に応じた検出信号を入力される。また、制御装置4は、車載バス8を介して、第2気圧センサ6が検出した負圧室91内の絶対圧に応じた検出信号、および、大気圧センサ7が検出した大気圧に応じた検出信号を入力される。制御装置4は、機能構成として、負圧検出部41および負圧制御部44を備えている。
【0023】
負圧検出部41は、ブレーキブースタ9の負圧を検出する。負圧検出部41は、第1気圧センサ5から入力される検出信号に基づいて第1負圧P1を取得する。また、負圧検出部41は、第2気圧センサ6から入力される検出信号と大気圧センサ7から入力される検出信号とに基づいて、第2負圧P2を取得する。第2負圧P2は、大気圧と負圧室91内の気圧(絶対圧)との差圧である。つまり、負圧検出部41は、第2気圧センサ6から入力される検出信号に基づいて、負圧室91内の気圧(絶対圧)を取得し、大気圧センサ7から入力される検出信号に基づいて、大気圧を取得する。そして、負圧検出部41は、大気圧から負圧室91内の気圧(絶対圧)を減算することで、第2負圧P2を算出する。負圧検出部41は、第1負圧P1または第2負圧P2のいずれかを、ブレーキブースタ9の負圧として、負圧制御部44に出力する。
【0024】
図2は、第1負圧P1および第2負圧P2を説明するための図である。第1負圧P1は、第1気圧センサ5が検出した、大気圧を基準にした負圧室91内の気圧である。第2負圧P2は、第2気圧センサ6が検出した、絶対真空を基準にした負圧室91内の気圧(絶対圧)と、大気圧センサ7が検出した大気圧との差圧である。
【0025】
図1に示すように、負圧検出部41は、故障判定部42および故障特定部43を備えている。
【0026】
故障判定部42は、第1気圧センサ5、第2気圧センサ6、および大気圧センサ7のいずれかが故障しているか否かを判定する機能ブロックである。第1気圧センサ5、第2気圧センサ6、および大気圧センサ7のいずれも故障していない場合、第1負圧P1と第2負圧P2とは、ほぼ同じ値になる。このことを利用して、故障判定部42は、第1負圧P1と第2負圧P2とがほぼ同じ値であるか否かによって、故障のあるなしを判定する。具体的には、故障判定部42は、第1負圧P1と第2負圧P2との差の絶対値ΔP(=|P1-P2|)が、判定閾値以下である場合、第1負圧P1と第2負圧P2とがほぼ同じ値であると判定し、いずれも故障していないと判定する。なお、判定閾値は、第1気圧センサ5、第2気圧センサ6、および大気圧センサ7の各検出誤差を考慮して、第1負圧P1と第2負圧P2とがほぼ同じであると判定できる値が適宜設定される。図2(a)においては、ΔPが十分小さく判定閾値以下となっており、いずれも故障していない場合を示している。一方、故障判定部42は、第1負圧P1と第2負圧P2との差の絶対値ΔPが、判定閾値より大きい場合、第1負圧P1と第2負圧P2とが異なっていると判定し、いずれかが故障していると判定する。図2(b)においては、ΔPが大きく、判定閾値より大きくなっており、いずれかが故障している場合を示している。なお、故障判定部42による判定方法は限定されない。
【0027】
故障判定部42がいずれも故障していないと判定した場合、負圧検出部41は、例えば第1負圧P1を、ブレーキブースタ9の負圧として、負圧制御部44に出力する。なお、負圧検出部41は、第2負圧P2を負圧制御部44に出力してもよいし、第1負圧P1と第2負圧P2との平均値、小さい方、および大きい方のいずれかを負圧制御部44に出力してもよい。一方、故障判定部42がいずれかが故障していると判定した場合、故障特定部43は、どちらが故障しているか(第1気圧センサ5が故障しているか、第2気圧センサ6または大気圧センサ7が故障しているか)を特定する。負圧検出部41は、第1負圧P1および第2負圧P2のうち正確な方(故障していないセンサによって検出された方)を負圧制御部44に出力する。故障特定部43による故障の特定方法は限定されない。故障特定部43は、例えば、ブレーキペダル95の操作によるブレーキブースタ9の負圧の減少、または、負圧ポンプ3を稼働させたときのブレーキブースタ9の負圧の増加に対して、第1負圧P1と第2負圧P2とがどのように変化するかで、どちらが正確であるか(どちらのセンサが故障しているか)を特定してもよい。また、負圧検出部41は、故障特定部43によって特定された故障情報を、運転者に報知可能な機器(モニタや表示ランプ)またはこれを制御するECUに出力することで、運転者に報知する。
【0028】
図3は、制御装置4の負圧検出部41が行う負圧検出処理を説明するためのフローチャートの一例である。当該負圧検出処理は、車1のスタートスイッチ(イグニッションキースイッチ)がオンされている間、一定の周期で実行される。
【0029】
まず、大気圧が検出される(S1)。具体的には、負圧検出部41は、大気圧センサ7から入力される検出信号に基づいて大気圧を取得する。次に、負圧室91内の気圧(絶対圧)が検出される(S2)。具体的には、負圧検出部41は、第2気圧センサ6から入力される検出信号に基づいて、負圧室91内の気圧(絶対圧)を取得する。次に、第1負圧P1が検出される(S3)。具体的には、負圧検出部41は、第1気圧センサ5から入力される検出信号に基づいて第1負圧P1を取得する。次に、第2負圧P2が算出される(S4)。具体的には、負圧検出部41は、大気圧から負圧室91内の気圧(絶対圧)を減算することで、第2負圧P2を算出する。
【0030】
次に、故障判定部42によって、第1負圧P1と第2負圧P2との差の絶対値ΔPが算出され、ΔPと判定閾値P0とが比較される(S5)。ΔPがP0以下である場合(S5:YES)、いずれも故障していないと判定され、第1負圧P1が出力されて(S6)、負圧検出処理が終了する。具体的には、負圧検出部41が、ブレーキブースタ9の負圧として、第1負圧P1を負圧制御部44に出力する。
【0031】
一方、ΔPがP0より大きい場合(S5:NO)、いずれかが故障していると判定され、故障特定処理が実行される(S7)。具体的には、故障特定部43が、どちらが故障しているかを特定する。なお、故障特定処理の具体的な処理手順は限定されない。次に、第1負圧P1および第2負圧P2のうち正確な方が出力される(S8)。具体的には、負圧検出部41が、ブレーキブースタ9の負圧として、故障特定部43によって故障していると特定されたのとは異なる方の負圧を、負圧制御部44に出力する。次に、故障特定部43によって特定された故障情報が出力され(S9)、負圧検出処理が終了する。
【0032】
なお、制御装置4の負圧検出部41が行う負圧検出処理は、上述したフローチャートに示すものに限定されない。
【0033】
負圧制御部44は、負圧検出部41から入力されるブレーキブースタ9の負圧に応じて、負圧ポンプ3の駆動を制御する。負圧制御部44には、ブレーキブースタ9の負圧の制御範囲が上限閾値と下限閾値として設定されている。負圧制御部44は、負圧検出部41から入力されるブレーキブースタ9の負圧が下限閾値まで低下すると、負圧ポンプ3を起動させる。これにより、負圧ポンプ3がブレーキブースタ9に負圧を供給するので、ブレーキブースタ9の負圧が上昇する。また、負圧制御部44は、負圧検出部41から入力されるブレーキブースタ9の負圧が上限閾値まで上昇すると、負圧ポンプ3を停止させる。これにより、ブレーキブースタ9の負圧の上昇が停止する。以上のようにして、ブレーキブースタ9の負圧は、上限閾値と下限閾値との間の範囲に制御される。なお、負圧制御部44は、故障判定部42によっていずれかのセンサが故障していると判定された場合、負圧検出部41から入力される負圧を用いることなく、負圧ポンプ3の駆動を制御してもよい。例えば、負圧制御部44は、一定時間間隔での間欠駆動を行わせてもよいし、負圧の消費を推定して、駆動を行わせてもよい。
【0034】
次に、第1実施形態に係る負圧供給システム2の作用効果について説明する。
【0035】
本実施形態によると、第1気圧センサ5が第1負圧P1を検出する。したがって、負圧供給システム2は、3個の気圧センサで2系統の負圧を検出できる。これにより、負圧供給システム2は、4個の気圧センサを備える場合と比較して、製造コストを抑制できる。また、故障判定のための判定閾値は、3個の気圧センサの検出誤差を考慮して設定される。したがって、判定閾値が4個の気圧センサの検出誤差を考慮して設定される場合と比較して、故障判定部42での故障判定の精度が良好である。
【0036】
また、本実施形態によると、第1気圧センサ5からの検出信号は、信号線51を介して、制御装置4に入力される。したがって、車載バス8を介する通信が不調であった場合でも、制御装置4は、第1負圧P1を取得できるので、負圧ポンプ3の駆動の制御が可能である。また、第2気圧センサ6および大気圧センサ7からの検出信号は、車載バス8を介して、制御装置4に入力される。したがって、信号線51を介する通信が不調であった場合でも、制御装置4は、第2負圧P2を取得できるので、負圧ポンプ3の駆動の制御が可能である。負圧供給システム2は、各気圧センサ、車載バス8、および信号線51のいずれかが故障した場合でも、ブレーキブースタ9の負圧を検出でき、負圧ポンプ3の駆動を制御できるので、ブレーキブースタ9の負圧を調整できる。つまり、負圧供給システム2は、様々な故障に対する耐性が強い。また、第1気圧センサ5からの検出信号が信号線51を介して制御装置4に入力されるので、第1気圧センサ5からの検出信号も車載バス8を介して制御装置4に入力される場合と比較して、車載バス8を介する他の通信への影響を抑制できる。
【0037】
なお、本実施形態においては、ブレーキブースタ9が負圧ポンプ3から供給される負圧を利用する場合について説明したが、これに限られない。ブレーキブースタ9は、内燃機関の吸入空気圧による負圧を利用してもよい。この場合、内燃機関が、本発明の「負圧供給源」に相当する。また、ブレーキブースタ9は、負圧ポンプ3から供給される負圧と、内燃機関の吸入空気圧による負圧とを、併せて利用してもよい。
【0038】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係る負圧供給システム2aが適用された車1の構成を示す概略ブロック図である。図4において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。第2実施形態に係る負圧供給システム2aは、第1気圧センサ5と制御装置4との通信方法が第1実施形態に係る負圧供給システム2と異なる。
【0039】
本実施形態では、第1気圧センサ5も、検出した検出信号を、車載バス8を介して制御装置4に出力する。
【0040】
本実施形態においても、第1気圧センサ5が第1負圧P1を検出するので、負圧供給システム2aは、3個の気圧センサで2系統の負圧を検出できる。したがって、負圧供給システム2aは、製造コストを抑制でき、また、故障判定部42での故障判定の精度が良好である。また、本実施形態によると、第1気圧センサ5と制御装置4とを接続する信号線51が不要なので、製造コストをさらに抑制できる。
【0041】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態に係る負圧供給システム2bが適用された車1の構成を示す概略ブロック図である。図5において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。第3実施形態に係る負圧供給システム2bは、第2気圧センサ6および大気圧センサ7と制御装置4との通信方法が第1実施形態に係る負圧供給システム2と異なる。
【0042】
本実施形態では、第2気圧センサ6が、検出した検出信号を、信号線61を介して、制御装置4に出力する。また、大気圧センサ7が、検出した検出信号を、信号線71を介して、制御装置4に出力する。
【0043】
本実施形態においても、第1気圧センサ5が第1負圧P1を検出するので、負圧供給システム2bは、3個の気圧センサで2系統の負圧を検出できる。したがって、負圧供給システム2bは、製造コストを抑制でき、また、故障判定部42での故障判定の精度が良好である。また、本実施形態によると、第1気圧センサ5からの検出信号は、信号線51を介して制御装置4に入力される。また、第2気圧センサ6からの検出信号は、信号線61を介して、制御装置4に入力される。また、大気圧センサ7からの検出信号は、信号線71を介して、制御装置4に入力される。信号線51,61,71を介する通信のいずれかが不調であった場合でも、制御装置4は、第1負圧P1および第2負圧P2のいずれかを取得できるので、負圧ポンプ3の駆動の制御が可能である。したがって、本実施形態においても、負圧供給システム2bは、様々な故障に対する耐性が強い。また、第1気圧センサ5、第2気圧センサ6、および大気圧センサ7からの検出信号は、いずれも車載バス8を利用しないので、車載バス8を介する他の通信へ影響を及ぼさない。
【0044】
<第4実施形態>
図6は、第4実施形態に係る負圧供給システム2cが適用された車1の構成を示す概略ブロック図である。図6において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。第4実施形態に係る負圧供給システム2cは、第1気圧センサ5、第2気圧センサ6、および大気圧センサ7と制御装置4との通信方法が第1実施形態に係る負圧供給システム2と異なる。
【0045】
本実施形態では、第1気圧センサ5は、検出した検出信号を、車載バス8を介して制御装置4に出力する。また、第2気圧センサ6は、検出した検出信号を、信号線61を介して、制御装置4に出力する。また、大気圧センサ7は、検出した検出信号を、信号線71を介して、制御装置4に出力する。
【0046】
本実施形態においても、第1気圧センサ5が第1負圧P1を検出するので、負圧供給システム2cは、3個の気圧センサで2系統の負圧を検出できる。したがって、負圧供給システム2cは、製造コストを抑制でき、また、故障判定部42での故障判定の精度が良好である。また、本実施形態によると、第2気圧センサ6からの検出信号は、信号線61を介して、制御装置4に入力される。また、大気圧センサ7からの検出信号は、信号線71を介して、制御装置4に入力される。したがって、車載バス8を介する通信が不調であった場合でも、制御装置4は、第2負圧P2を取得できるので、負圧ポンプ3の駆動の制御が可能である。また、第1気圧センサ5からの検出信号は、車載バス8を介して、制御装置4に入力される。したがって、信号線61,71を介する通信が不調であった場合でも、制御装置4は、第1負圧P1を取得できるので、負圧ポンプ3の駆動の制御が可能である。負圧供給システム2cは、各気圧センサ、車載バス8、および信号線61,71のいずれかが故障した場合でも、ブレーキブースタ9の負圧を検出でき、負圧ポンプ3の駆動を制御できるので、ブレーキブースタ9の負圧を調整できる。つまり、負圧供給システム2cは、様々な故障に対する耐性が強い。また、第2気圧センサ6からの検出信号が信号線61を介して制御装置4に入力され、大気圧センサ7からの検出信号が信号線71を介して制御装置4に入力されるので、これらの検出信号も車載バス8を介して制御装置4に入力される場合と比較して、車載バス8を介する他の通信への影響を抑制できる。
【0047】
本発明に係る負圧供給システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る負圧供給システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0048】
1 :車
2,2a,2b,2c:負圧供給システム
3 :負圧ポンプ
31 :配管
4 :制御装置
41 :負圧検出部
42 :故障判定部
43 :故障特定部
44 :負圧制御部
5 :第1気圧センサ
51 :信号線
6 :第2気圧センサ
61 :信号線
7 :大気圧センサ
71 :信号線
8 :車載バス
9 :ブレーキブースタ
91 :負圧室
95 :ブレーキペダル
図1
図2
図3
図4
図5
図6