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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120985
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】回転炉床炉の炉床構造
(51)【国際特許分類】
   F27B 3/06 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
F27B3/06
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018085
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】横井 範之
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 裕之
【テーマコード(参考)】
4K045
【Fターム(参考)】
4K045AA03
4K045RA05
(57)【要約】
【課題】 炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介して設けたリング状の回転炉床を周方向に回転させた際に、回転炉床が内周側壁や外周側壁に衝突するのを簡単に防止する。
【解決手段】 炉体10における内周側壁11と外周側壁12との間に所要間隔を介して設けたリング状の回転炉床20を周方向に回転させるにあたり、回転炉床の下にローラー部材21,22をリング状に設け、回転炉床を支持する設置基盤Gの上にローラー部材を支持するレール部材31,32をリング状に設け、一方のローラー部材21に、回転炉床が内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制する規制部23を設けた。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介するようにしてリング状になった回転炉床を設け、この回転炉床を前記の内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させる回転炉床炉において、前記の回転炉床の下にローラー部材をリング状に設ける一方、この回転炉床を支持する設置基盤の上に回転炉床の下に設けたローラー部材を支持するレール部材をリング状に設け、前記のローラー部材とレール部材との少なくとも一方に、前記の回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制する規制部を設けたことを特徴とする回転炉床炉の炉床構造。
【請求項2】
請求項1に記載の回転炉床炉の炉床構造において、前記のローラー部材の内周側と外周側との少なくとも一方に規制部を設け、前記の回転炉床が半径方向にずれた場合に、この規制部が前記のレール部材と接触して、回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制することを特徴とする回転炉床炉の炉床構造。
【請求項3】
請求項1に記載の回転炉床炉の炉床構造において、前記のレール部材の内周側と外周側との少なくとも一方に規制部を設け、前記の回転炉床が半径方向にずれた場合に、この規制部が前記のローラー部材と接触して、回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制することを特徴とする回転炉床炉の炉床構造。
【請求項4】
内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介するようにしてリング状になった回転炉床を設け、この回転炉床を前記の内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させる回転炉床炉において、前記の回転炉床の下にレール部材をリング状に設ける一方、この回転炉床を支持する設置基盤の上に回転炉床の下に設けたレール部材を支持するローラー部材をリング状に設け、前記のレール部材とローラー部材との少なくとも一方に、前記の回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制する規制部を設けたことを特徴とする回転炉床炉の炉床構造。
【請求項5】
請求項4に記載の回転炉床炉の炉床構造において、前記のローラー部材の内周側と外周側との少なくとも一方に規制部を設け、前記の回転炉床が半径方向にずれた場合に、この規制部が前記のレール部材と接触して、回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制することを特徴とする回転炉床炉の炉床構造。
【請求項6】
請求項4に記載の回転炉床炉の炉床構造において、前記のレール部材の内周側と外周側との少なくとも一方に規制部を設け、前記の回転炉床が半径方向にずれた場合に、この規制部が前記のローラー部材と接触して、回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制することを特徴とする回転炉床炉の炉床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転炉床炉における炉床構造に関するものである。特に、内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介するようにしてリング状になった回転炉床を設け、この回転炉床を前記の内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させるようにした回転炉床炉において、前記の回転炉床を内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させた際に、この回転炉床の回転位置がずれて、回転炉床が炉体における内周側壁や外周側壁に衝突するのを簡単に防止できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1~4に示されるように、内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介するようにしてリング状になった回転炉床を設け、この回転炉床を前記の内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させるようにした回転炉床炉が利用されている。
【0003】
ここで、このような回転炉床炉において、被処理物を前記の回転炉床の上にセットし、前記のように回転炉床を前記のように内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させて、回転炉床の上にセットされた被処理物を回転炉床炉内で熱処理するようにした場合、炉内の温度上昇によって回転炉床等が膨張・収縮し、このような操作を何度も行うと、回転炉床等が次第に変形するようになる。
【0004】
この結果、内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転される回転炉床の回転位置が次第にずれて回転するようになり、回転する回転炉床が内周側壁や外周側壁と接触してこれらが破損したり、炉内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりするという問題があった。
【0005】
このため、特許文献3に示されるものにおいては、回転炉床を2層以上の耐火物で構成すると共に、その耐火物に特定の特性を持つものを使用することが提案されている。
【0006】
しかし、このように回転炉床を2層以上の耐火物で構成し、特定の特性を持つ耐火物を使用する場合、これらのコストが高くつくと共に、回転炉床炉の使用条件によっては、依然として前記のような問題を解決することができないという問題があった。
【0007】
また、特許文献4に示されるものにおいては、前記の回転炉床の中心をバネによって適切な位置になるように調整するものが提案されている。
【0008】
しかし、このように回転炉床の中心をバネによって調整する場合、次第にバネの力が低下して、回転炉床の中心を適切な位置に維持させることが困難になり、依然として、回転炉床の回転位置が次第にずれて回転し、回転炉床が内周側壁や外周側壁と接触するのを安定して防止することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012-78000号公報
【特許文献2】実公昭58-32122号公報
【特許文献3】特開2006-313060号公報
【特許文献4】特許第5841296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記のように内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介するようにしてリング状になった回転炉床を設け、この回転炉床を前記の内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させるようにした回転炉床炉における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0011】
すなわち、本発明においては、前記のような回転炉床炉において、回転炉床を内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させて、回転炉床の上にセットされた被処理物を熱処理するにあたり、このような操作を何度も行った場合にも、回転炉床が適切な位置で回転されるようにして、回転する回転炉床が内周側壁や外周側壁と接触するのを防止し、これらが破損したり、炉内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりすることがないようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る第1の回転炉床炉の炉床構造の発明においては、前記のような課題を解決するため、内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介するようにしてリング状になった回転炉床を設け、この回転炉床を前記の内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させる回転炉床炉において、前記の回転炉床の下にローラー部材をリング状に設ける一方、この回転炉床を支持する設置基盤の上に回転炉床の下に設けたローラー部材を支持するレール部材をリング状に設け、前記のローラー部材とレール部材との少なくとも一方に、前記の回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制する規制部を設けた。
【0013】
このように、回転炉床の下にローラー部材をリング状に設ける一方、この回転炉床を支持する設置基盤の上に回転炉床の下に設けたローラー部材を支持するレール部材をリング状に設け、前記のローラー部材とレール部材との少なくとも一方に、前記の回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制する規制部を設けると、回転炉床を内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させて、回転炉床の上にセットされた被処理物を回転炉床炉内で熱処理する操作を何度も行った場合においても、回転する回転炉床の位置が前記の規制部により規制されて、回転炉床が適切な位置で回転されるようになり、回転する回転炉床が内周側壁や外周側壁に接触するのが防止され、これらが破損したり、炉内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりすることがなくなる。
【0014】
ここで、前記のようにローラー部材とレール部材との一方に、前記の回転炉床の位置が半径方向にずれて前記の内周側壁や外周側壁と接触するのを規制する規制部を設けるにあたっては、前記のローラー部材の内周側と外周側との少なくとも一方に規制部を設け、前記の回転炉床の回転位置がずれた場合に、この規制部が前記のレール部材と接触して、回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制することができる。
【0015】
また、前記のようにローラー部材とレール部材との一方に、前記の回転炉床の位置が半径方向にずれて前記の内周側壁や外周側壁と接触するのを規制する規制部を設けるにあたっては、前記のレール部材の内周側と外周側との少なくとも一方に規制部を設け、前記の回転炉床の回転位置がずれた場合に、この規制部が前記のローラー部材と接触して、回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制することができる。
【0016】
また、本発明に係る第2の回転炉床炉の炉床構造の発明においては、前記のような課題を解決するため、内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介するようにしてリング状になった回転炉床を設け、この回転炉床を前記の内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させる回転炉床炉において、前記の回転炉床の下にレール部材をリング状に設ける一方、この回転炉床を支持する設置基盤の上に回転炉床の下に設けたレール部材を支持するローラー部材をリング状に設け、前記のレール部材とローラー部材との少なくとも一方に、前記の回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制する規制部を設けた。
【0017】
このように、回転炉床の下にレール部材をリング状に設ける一方、この回転炉床を支持する設置基盤の上に回転炉床の下に設けたレール部材を支持するローラー部材をリング状に設け、前記のレール部材とローラー部材との少なくとも一方に、前記の回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁とに接触するのを規制する規制部を設けると、前記の第1の回転炉床炉の炉床構造の発明と同様に、回転炉床を内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させて、回転炉床の上にセットされた被処理物を回転炉床炉内で熱処理する操作を何度も行った場合においても、回転する回転炉床の位置が前記の規制部により規制されて、回転炉床が適切な位置で回転されるようになり、回転する回転炉床が内周側壁や外周側壁と接触するのが防止され、これらが破損したり、炉内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりすることがなくなる。
【0018】
ここで、前記のようにレール部材とローラー部材との少なくとも一方に、前記の回転炉床の位置が半径方向にずれて前記の内周側壁や外周側壁と接触するのを規制する規制部を設けるにあたっては、前記のローラー部材の内周側と外周側との少なくとも一方に規制部を設け、前記の回転炉床の回転位置がずれた場合に、この規制部が前記のレール部材と接触して、回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制することができる。
【0019】
また、前記のようにレール部材とローラー部材との一方に、前記の回転炉床の位置が半径方向にずれて前記の内周側壁や外周側壁と接触するのを規制する規制部を設けるにあたっては、前記のレール部材の内周側と外周側との少なくとも一方に規制部を設け、前記の回転炉床の回転位置がずれた場合に、この規制部が前記のローラー部材と接触して、回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁とに接触するのを規制させるようにすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明における回転炉床炉の炉床構造においては、前記のように回転炉床の下にローラー部材をリング状に設ける一方、この回転炉床を支持する設置基盤の上に回転炉床の下に設けたローラー部材を支持するレール部材を設けるようにし、或いは回転炉床の下にレール部材をリング状に設ける一方、この回転炉床を支持する設置基盤の上に回転炉床の下に設けたレール部材を支持するローラー部材をリング状に設けるようにし、前記のローラー部材とレール部材との少なくとも一方に、前記の回転炉床が前記の内周側壁と外周側壁との何れにも接触しないように規制する規制部を設けたため、回転炉床を内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させて、回転炉床の上にセットされた被処理物を回転炉床炉内で熱処理する操作を何度も行った場合においても、回転する回転炉床の位置が規制部により規制されて、回転炉床が適切な位置で安定して回転されるようになる。
【0021】
この結果、本発明における回転炉床炉の炉床構造においては、回転炉床を内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させて、回転炉床の上にセットされた被処理物を熱処理する操作を何度も行った場合においても、回転する回転炉床が内周側壁や外周側壁と接触するのが防止され、これらが破損したり、炉内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりすることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態において、内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に設けたリング状の回転炉床を、内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させるようにした回転炉床炉における炉体の一部を切断した状態を示した概略斜視図である。
図2図1に示した回転炉床炉を用いた第1の実施形態において、回転炉床の下にローラー部材をリング状に設ける一方、この回転炉床を支持する設置基盤の上に回転炉床の下に設けたローラー部材を支持するレール部材をリング状に設け、前記のローラー部材の内周側に、前記の回転炉床の回転位置がずれて前記の内周側壁や外周側壁に接触するのを規制する規制部を設けた状態を示した概略断面図である。
図3】前記の第1の実施形態において、前記の回転炉床の位置が半径方向にずれた場合に、前記のローラー部材の内周側に設けた規制部が前記のレール部材と接触して、回転炉床が内周側壁や外周側壁に接触するのが防止される状態を示した回転炉床炉の片側の概略断面図である。
図4】前記の第1の実施形態の変更例において、前記の規制部を、前記のローラー部材の外周側に設けた状態を示した回転炉床炉の片側の概略断面図である。
図5図1に示した回転炉床炉を用いた第2の実施形態において、回転炉床の下にローラー部材をリング状に設ける一方、この回転炉床を支持する設置基盤の上に回転炉床の下に設けたローラー部材を支持するレール部材をリング状に設け、前記のレール部材の内周側に、前記の回転炉床の回転位置がずれて前記の内周側壁や外周側壁に接触するのを規制する規制部を設けた状態を示した回転炉床炉の片側の概略断面図である。
図6】前記の第2の実施形態の変更例において、前記の規制部を、前記のレール部材の外周側に設けた状態を示した回転炉床炉の片側の概略断面図である。
図7図1に示した回転炉床炉を用いた第3の実施形態において、前記の回転炉床の下にレール部材をリング状に設ける一方、この回転炉床を支持する設置基盤の上に回転炉床の下に設けたレール部材を支持するローラー部材をリング状に設け、前記のローラー部材の内周側に、前記の回転炉床の回転位置がずれて前記の内周側壁や外周側壁に接触するのを規制する規制部を設けた状態を示した回転炉床炉の片側の概略断面図である。
図8】前記の第3の実施形態の変更例において、前記の規制部を、前記のローラー部材の外周側に設けた状態を示した回転炉床炉の片側の概略断面図である。
図9図1に示した回転炉床炉を用いた第4の実施形態において、前記の回転炉床の下にレール部材をリング状に設ける一方、この回転炉床を支持する設置基盤の上に回転炉床の下に設けたレール部材を支持するローラー部材をリング状に設け、前記のレール部材の内周側に、前記の回転炉床の回転位置がずれて前記の内周側壁や外周側壁に接触するのを規制する規制部を設けた状態を示した回転炉床炉の片側の概略断面図である。
図10】前記の第4の実施形態の変更例において、前記の規制部を、前記のレール部材の外周側に設けた状態を示した回転炉床炉の片側の概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る回転炉床炉の炉床構造を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る回転炉床炉の炉床構造は下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0024】
ここで、本発明の実施形態においては、回転炉床炉Xとして、図1に示すように、内周側壁11と外周側壁12と天井13とが設けられた炉体10における内周側壁11と外周側壁12との間に、リング状になった回転炉床20を前記の内周側壁11及び外周側壁12と所要間隔を介するように設け、この回転炉床20を前記の内周側壁11と外周側壁12との間で周方向に回転させるようにしたものを用いている。
【0025】
そして、被処理物Wは、例えば、外周側壁12に設けられた入口(図示せず)から炉体10内に搬入されて回転炉床20の上にセットされ、炉体10内をほぼ一周して加熱処理され、外周側壁12に設けられた出口(図示せず)から搬出される。
【0026】
(第1の実施形態)
第1の実施形態においては、前記のような回転炉床炉Xを用い、図2及び図3に示すように、前記の回転炉床20の下に、一対のローラー部材21,22を半径方向に所要間隔を介するようにしてリング状に設けると共に、この回転炉床20を支持する設置基盤Gの上に、回転炉床20の下に設けた前記の一対の各ローラー部材21,22を支持する一対のレール部材31,32をリング状に設けている。
【0027】
また、前記のように炉体10における内周側壁11と外周側壁12との間に、リング状になった回転炉床20を前記の内周側壁11及び外周側壁12と所要間隔を介するように設けた場合に、炉体10内の雰囲気や熱が、回転炉床20と内周側壁11との隙間や回転炉床20と外周側壁12との隙間から外部に漏れ出すのを防止すると共に、炉体10内からの落下物を回収するために、回転炉床20と内周側壁11との間に内周側水封トラフ14aを、回転炉床20と外周側壁12との間に外周側水封トラフ14bを設けている。
【0028】
ここで、この第1の実施形態においては、前記の回転炉床20の下に設けた外周側に位置するローラー部材21におけるローラー21aの内周側に、ローラー21aよりも大径の規制部23を設けている。
【0029】
そして、この第1の実施形態において、前記の回転炉床20の上に被処理物Wをセットし、この回転炉床20を前記のように内周側壁11と外周側壁12との間で周方向に回転させて、回転炉床20の上にセットした被処理物Wを回転炉床炉X内で熱処理するにあたり、熱処理する際の熱により回転炉床20が次第に変形し、回転する回転炉床20の位置が半径方向にずれて偏心して回転すると、図3に示すように、回転炉床20が外周側(図3では左側)にずれた場合には、回転炉床20が前記の外周側壁12に接触する前に、前記のローラー部材21におけるローラー21aの内周側に設けた前記の規制部23が、このローラー部材21を支持している外周側に位置するレール部材31の内周側に接触して、回転する回転炉床20の位置が規制されるようにしている。
【0030】
なお、前記のように回転炉床20の位置がずれて回転した場合に、回転炉床20が前記の内周側壁11や外周側壁12に接触する前に、前記のローラー部材21におけるローラー21aの内周側に設けた前記の規制部23が、このローラー部材21を支持している外周側に位置するレール部材31の内周側に接触して、回転する回転炉床20の位置が規制されるように、図2に示すように、ローラー部材21におけるローラー21aの内周側に設けた規制部23と前記のレール部材31の内周側との隙間dを、回転炉床20と内周側壁11との隙間d1や回転炉床20と外周側壁12との隙間d2に対応させて設計し、前記の隙間dを、隙間d1、隙間d2の狭い方よりも狭くなるようにしている。
【0031】
この結果、この第1の実施形態においては、回転する回転炉床20が前記の内周側壁11や外周側壁12に接触するのが防止され、これらが破損したり、回転炉床炉X内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりするのが防止される。
【0032】
ここで、この第1の実施形態においては、回転炉床20の下に設けた外周側に位置するローラー部材21におけるローラー21aの内周側に、ローラー21aよりも大径の規制部23を設け、この規制部23がこのローラー部材21を支持している外周側に位置するレール部材31の内周側に接触して、回転する回転炉床20の位置が規制されるようにしたが、図4に示す変更例のように、回転炉床20の下に設けた外周側に位置するローラー部材21におけるローラー21aの外周側に、ローラー21aよりも大径の規制部23を設け、この規制部23がこのローラー部材21を支持している外周側に位置するレール部材31の外周側に接触して、回転する回転炉床20の位置が規制されるようにすることも可能である。ここで、図4に示す場合において、ローラー21aの外周側に設けた規制部23がこのローラー部材21を支持している外周側に位置するレール部材31の外周側に接触すると、回転炉床20が内周側(図3では右側)にずれて、内周側壁11に接触するのが防止される。
【0033】
なお、図2に示した回転炉床炉Xの断面図において、左半分と右半分とは左右対称であり、リンク状になった回転炉床20の左半分の部分が内周側壁11側にずれた場合、右半分の部分は外周側壁12側にずれることになる。
【0034】
さらに、図示していないが、前記の規制部23を、回転炉床20の下に設けた内周側に位置するローラー部材22におけるローラー22aの内周側や外周側に設け、この規制部23を前記のローラー部材22を支持している外周側に位置するレール部材32の内周側や外周側に接触させて、回転する回転炉床20の位置を規制させるようにすることもできる。
【0035】
(第2の実施形態)
第2の実施形態においても、図1に示した回転炉床炉Xを用い、図5に示すように、前記の第1の実施形態と同様に、前記の回転炉床20の下に、一対のローラー部材21,22を半径方向に所要間隔を介するようにしてリング状に設けると共に、この回転炉床20を支持する設置基盤Gの上に、回転炉床20の下に設けた前記の一対の各ローラー部材21,22を支持する一対のレール部材31,32をリング状に設けている。
【0036】
ここで、この第2の実施形態においては、前記の回転炉床20の下に設けた外周側に位置するローラー部材21を支持する外周側に位置するレール部材31において、その内周側の端部に上方に突出した規制部33を設けている。
【0037】
そして、この第2の実施形態において、前記の回転炉床20の上に被処理物Wをセットし、この回転炉床20を前記のように内周側壁11と外周側壁12との間で周方向に回転させて、回転炉床20の上にセットした被処理物Wを回転炉床炉X内で熱処理するにあたり、熱処理する際の熱により回転炉床20が次第に変形し、回転する回転炉床20の位置が半径方向にずれて偏心して回転すると、回転炉床20が前記の内周側壁11や外周側壁12に接触する前に、前記のレール部材31の内周側の端部から上方に突出した規制部33が、このレール部材31に支持されたローラー部材21におけるローラー21aの内周側に接触して、回転する回転炉床20の位置が規制されるようになる。
【0038】
この結果、この第2の実施形態においても、前記の第1の実施形態と同様に、回転する回転炉床20が前記の内周側壁11や外周側壁12に接触するのが防止され、これらが破損したり、回転炉床炉X内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりするのが防止される。
【0039】
なお、この第2の実施形態においては、回転炉床20の下に設けた外周側に位置するローラー部材21を支持する外周側に位置するレール部材31において、その内周側の端部に上方に突出した規制部33を設けるようにしたが、図6に示す変更例のように、回転炉床20の下に設けた外周側に位置するローラー部材21を支持する外周側に位置するレール部材31において、その外周側の端部に上方に突出した規制部33を設け、回転炉床20が前記の内周側壁11や外周側壁12に接触する前に、前記のレール部材31の外周側の端部から上方に突出た規制部33が、このレール部材31に支持されたローラー部材21におけるローラー21aの外周側に接触して、回転する回転炉床20の位置が規制されるようにすることも可能である。
【0040】
さらに、図示していないが、回転炉床20の下に設けた内周側に位置するローラー部材22を支持する内周側に位置するレール部材32において、その内周側の端部や外周側の端部に上方に突出した規制部33を設け、この規制部33を、このレール部材32によって支持された前記の内周側に位置するローラー部材22におけるローラー22aの内周側や外周側に接触させて、回転する回転炉床20の位置を規制させるようにすることもできる。
【0041】
(第3の実施形態)
第3の実施形態においては、図1に示した回転炉床炉Xを用い、図7に示すように、前記の回転炉床20の下に、一対のレール部材24,25を半径方向に所要間隔を介するようにしてリング状に設けると共に、この回転炉床20を支持する設置基盤Gの上に、回転炉床20の下に設けた前記の一対の各レール部材24,25を支持するローラー部材34,35をリング状に設けている。
【0042】
ここで、この第3の実施形態においては、回転炉床20の下に設けた外周側に位置するレール部材24を支持する外周側のローラー部材34におけるローラー34aの内周側に、ローラー34aよりも大径の規制部36を設けている。
【0043】
そして、この第3の実施形態において、前記の回転炉床20の上に被処理物Wをセットし、この回転炉床20を前記のように内周側壁11と外周側壁12との間で周方向に回転させて、回転炉床20の上にセットした被処理物Wを回転炉床炉X内で熱処理するにあたり、熱処理する際の熱により回転炉床20が次第に変形し、回転する回転炉床20の位置が半径方向にずれて偏心して回転すると、回転炉床20が前記の内周側壁11や外周側壁12に接触する前に、外周側のローラー部材34におけるローラー34aの内周側に設けた前記の大径の規制部36が、このローラー部材34に支持された前記の外周側のレール部材24の内周側に接触して、回転する回転炉床20の位置が規制されるようになる。
【0044】
この結果、この第3の実施形態においても、前記の第1及び第2の実施形態と同様に、回転する回転炉床20が前記の内周側壁11や外周側壁12に接触するのが防止され、これらが破損したり、回転炉床炉X内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりするのが防止される。
【0045】
ここで、この第3の実施形態においては、回転炉床20の下に設けた外周側に位置するレール部材24を支持する外周側のローラー部材34におけるローラー34aの内周側に、ローラー34aよりも大径の規制部36を設け、この規制部36がこのローラー部材34に支持された外周側のレール部材24の内周側に接触して、回転する回転炉床20の位置が規制されるようにしたが、図8に示す変更例のように、前記の外周側のローラー部材34におけるローラー34aの外周側に、ローラー34aよりも大径の規制部36を設け、この規制部23が前記の外周側のレール部材24の外周側に接触して、回転する回転炉床20の位置が規制されるようにすることも可能である。
【0046】
さらに、図示していないが、前記の規制部36を、回転炉床20の下に設けた内周側に位置するレール部材25を支持する内周側のローラー部材35におけるローラー35aの内周側や外周側に設け、この規制部36を前記のローラー部材35に支持された前記の内周側に位置するレール部材25の内周側や外周側に接触させて、回転する回転炉床20の位置を規制させるようにすることもできる。
【0047】
(第4の実施形態)
第4の実施形態においても、図1に示した回転炉床炉Xを用い、図9に示すように、前記の第3の実施形態と同様に、前記の回転炉床20の下に、一対のレール部材24,25を半径方向に所要間隔を介するようにしてリング状に設けると共に、この回転炉床20を支持する設置基盤Gの上に、回転炉床20の下に設けた前記の一対の各レール部材24,25を支持するローラー部材34,35をリング状に設けている。
【0048】
ここで、この第4の実施形態においては、回転炉床20の下に設けた外周側に位置するレール部材24の内周側の端部に、このレール部材24を支持するローラー部材34に向けて下方に突出した規制部26を設けている。
【0049】
そして、この第4の実施形態において、前記の回転炉床20の上に被処理物Wをセットし、この回転炉床20を前記のように内周側壁11と外周側壁12との間で周方向に回転させて、回転炉床20の上にセットした被処理物Wを回転炉床炉X内で熱処理するにあたり、熱処理する際の熱により回転炉床20が次第に変形し、回転する回転炉床20の位置が半径方向にずれて偏心して回転すると、回転炉床20が前記の内周側壁11や外周側壁12に接触する前に、前記のレール部材24の内周側の端部から下方に突出た規制部26が、このレール部材24を支持するローラー部材34におけるローラー34aの内周側に接触して、回転する回転炉床20の位置が規制されるようになる。
【0050】
この結果、この第4の実施形態においても、前記の第1~第3の実施形態と同様に、回転する回転炉床20が前記の内周側壁11や外周側壁12に接触するのが防止され、これらが破損したり、回転炉床炉X内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりするのが防止される。
【0051】
なお、この第4の実施形態においては、回転炉床20の下に設けた外周側に位置するレール部材24の内周側の端部に、このレール部材24を支持するローラー部材34に向けて下方に突出した規制部26を設けるようにしたが、図10に示す変更例のように、回転炉床20の下に設けた外周側に位置するレール部材24の外周側の端部に、このレール部材24を支持するローラー部材34に向けて下方に突出した規制部26を設け、回転炉床20が前記の内周側壁11や外周側壁12に接触する前に、前記のレール部材24の外周側の端部に設けた規制部26が、このレール部材24を支持するローラー部材34におけるローラー34aの外周側に接触して、回転する回転炉床20の位置が規制されるようにすることも可能である。
【0052】
さらに、図示していないが、前記の規制部26を、回転炉床20の下に設けた内周側に位置するレール部材25の内周側や外周側に設け、この規制部26を、このレール部材25を支持するローラー部材35におけるローラー35aの内周側や外周側に接触させて、回転する回転炉床20の位置を規制させるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0053】
10 :炉体
11 :内周側壁
12 :外周側壁
13 :天井
14a :内周側水封トラフ
14b :外周側水封トラフ
20 :回転炉床
21 :ローラー部材
21a :ローラー
22 :ローラー部材
22a :ローラー
23 :規制部
24 :レール部材
25 :レール部材
26 :規制部
31 :レール部材
32 :レール部材
33 :規制部
34 :ローラー部材
34a :ローラー
35 :ローラー部材
35a :ローラー
36 :規制部
G :設置基盤
W :被処理物
X :回転炉床炉
d :ローラーの内周側に設けた規制部とレール部材の内周側との隙間
d1 :回転炉床と内周側壁との隙間
d2 :回転炉床と外周側壁との隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10