(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120986
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】回転炉床炉の炉床構造
(51)【国際特許分類】
F27B 3/12 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
F27B3/12
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018086
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】横井 範之
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 裕之
【テーマコード(参考)】
4K045
【Fターム(参考)】
4K045AA03
4K045RA05
(57)【要約】
【課題】 炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介して設けたリング状の回転炉床を周方向に回転させた際に、回転炉床が内周側壁や外周側壁に衝突するのを簡単に防止する。
【解決手段】 炉体10における内周側壁11と外周側壁12との間に所要間隔を介して設けたリング状の回転炉床20を周方向に回転させるにあたり、内周側壁と外周側壁との少なくとも一方に、回転炉床との間の距離を検知する距離検知センサー41を設ける共に、回転炉床を移動させて回転炉床の位置を調整する位置調整手段50を設け、距離検知センサーにより検知された回転炉床との間の距離に基づいて、位置調整手段により回転する回転炉床を内周側壁と外周側壁との何れにも接触しない位置に移動させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介するようにしてリング状になった回転炉床を設け、この回転炉床を前記の内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させる回転炉床炉において、前記の内周側壁と外周側壁との少なくとも一方に、前記の回転炉床との間の距離を検知する距離検知センサーを設けると共に、前記の回転炉床を移動させて回転炉床の位置を調整する位置調整手段として、前記の回転炉床の下に回転炉床の周方向に沿ってリング状になった位置調整用プレートと前記の位置調整用プレートを押して回転炉床を移動させる移動装置とを設け、前記の距離検知センサーにより検知された回転炉床との間の距離に基づいて、前記の位置調整手段により回転する回転炉床を内周側壁と外周側壁との何れにも接触しない位置に移動させることを特徴とする回転炉床炉の炉床構造。
【請求項2】
請求項1に記載の回転炉床炉の炉床構造において、前記の距離検知センサーを、回転炉床の周方向に所要角度を介した位置に複数設けると共に、前記の位置調整手段における前記の移動装置を、回転炉床の周方向に所要角度を介した位置に複数設けることを特徴とする回転炉床炉の炉床構造。
【請求項3】
請求項2に記載の回転炉床炉の炉床構造において、前記の距離検知センサーを、回転炉床の周方向に所要角度を介した位置に少なくとも3つ設けると共に、前記の位置調整手段における前記の移動装置を、回転炉床の周方向に所要角度を介した位置に少なくとも3つ設けることを特徴とする回転炉床炉の炉床構造。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の回転炉床炉の炉床構造において、前記の回転炉床と前記の外周側壁との間、及び前記の回転炉床と前記の内周側壁との間にそれぞれリング状になった水封トラフを設けたことを特徴とする回転炉床炉の炉床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転炉床炉における炉床構造に関するものである。特に、内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介するようにしてリング状になった回転炉床を設け、この回転炉床を前記の内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させるようにした回転炉床炉において、前記の回転炉床を内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させた際に、この回転炉床の回転位置がずれて、回転炉床が炉体における内周側壁や外周側壁に衝突するのを簡単に防止できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1~4に示されるように、内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介するようにしてリング状になった回転炉床を設け、この回転炉床を前記の内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させるようにした回転炉床炉が利用されている。
【0003】
ここで、このような回転炉床炉において、被処理物を前記の回転炉床の上にセットし、前記のように回転炉床を前記のように内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させて、回転炉床の上にセットされた被処理物を回転炉床炉内で熱処理するようにした場合、炉内の温度上昇によって回転炉床等が膨張・収縮し、このような操作を何度も行うと、回転炉床等が次第に変形するようになる。
【0004】
この結果、内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転される回転炉床の回転位置が次第にずれて回転するようになり、回転する回転炉床が内周側壁や外周側壁と接触してこれらが破損したり、炉内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりするという問題があった。
【0005】
このため、特許文献3に示されるものにおいては、回転炉床を2層以上の耐火物で構成すると共に、その耐火物に特定の特性を持つものを使用することが提案されている。
【0006】
しかし、このように回転炉床を2層以上の耐火物で構成し、特定の特性を持つ耐火物を使用する場合、これらのコストが高くつくと共に、回転炉床炉の使用条件によっては、依然として前記のような問題を解決することができないという問題があった。
【0007】
また、特許文献4に示されるものにおいては、前記の回転炉床の中心をバネによって適切な位置になるように調整するものが提案されている。
【0008】
しかし、このように回転炉床の中心をバネによって調整する場合、次第にバネの力が低下して、回転炉床の中心を適切な位置に維持させることが困難になり、依然として、回転炉床の回転位置が次第にずれて回転し、回転炉床が内周側壁や外周側壁と接触するのを安定して防止することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012-78000号公報
【特許文献2】実公昭58-32122号公報
【特許文献3】特開2006-313060号公報
【特許文献4】特許第5841296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記のように内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介するようにしてリング状になった回転炉床を設け、この回転炉床を前記の内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させるようにした回転炉床炉における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0011】
すなわち、本発明においては、前記のような回転炉床炉において、回転炉床を内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させて、回転炉床の上にセットされた被処理物を熱処理するにあたり、このような操作を何度も行った場合にも、回転炉床が適切な位置で回転されるようにして、回転する回転炉床が内周側壁や外周側壁と接触するのを防止し、これらが破損したり、炉内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりすることがないようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る回転炉床炉の炉床構造においては、前記のような課題を解決するため、内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に所要間隔を介するようにしてリング状になった回転炉床を設け、この回転炉床を前記の内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させる回転炉床炉において、前記の内周側壁と外周側壁との少なくとも一方に、前記の回転炉床との間の距離を検知する距離検知センサーを設ける共に、前記の回転炉床を移動させて回転炉床の位置を調整する位置調整手段として、前記の回転炉床の下に回転炉床の周方向に沿ってリング状になった位置調整用プレートと前記の位置調整用プレートを押して回転炉床を移動させる移動装置とを設け、前記の距離検知センサーにより検知された回転炉床との間の距離に基づいて、前記の位置調整手段により回転する回転炉床を内周側壁と外周側壁との何れにも接触しない位置に移動させるようにした。
【0013】
このように、内周側壁と外周側壁との少なくとも一方に、前記の回転炉床との間の距離を検知する距離検知センサーを設ける共に、前記の回転炉床を移動させて回転炉床の位置を調整する位置調整手段として、前記の回転炉床の下に回転炉床の周方向に沿ってリング状になった位置調整用プレートと前記の位置調整用プレートを押して回転炉床を移動させる移動装置とを設け、前記の距離検知センサーにより検知された回転炉床との間の距離に基づいて、前記の位置調整手段により回転する回転炉床を内周側壁と外周側壁との何れにも接触しない位置に移動させるようにすると、回転炉床を内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させて、回転炉床の上にセットされた被処理物を回転炉床炉内で熱処理する操作を何度も行った場合においても、前記の回転炉床が内周側壁と外周側壁との何れにも接触しない適切な位置で回転されるようになり、回転する回転炉床が内周側壁や外周側壁と接触するのが防止され、これらが破損したり、炉内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりすることがなくなる。
【0014】
また、本発明においては、前記の距離検知センサーを、回転炉床の周方向に所要角度を介した位置に複数設けると共に、前記の位置調整手段における前記の移動装置を、回転炉床の周方向に所要角度を介した位置に複数設けることが好ましい。このようにすると、回転炉床が半径方向のどの方向にずれた場合においても、複数設けた何れかの距離検知センサーによって回転炉床のずれを適切に検知して、このようにずれた回転炉床を複数設けた前記の移動装置によって適切な方向に移動させることができるようになる。特に、距離検知センサーを回転炉床の周方向に所要角度を介した位置に少なくとも3つ設けると共に、前記の位置調整手段における前記の移動装置を、回転炉床の周方向に所要角度を介した位置に少なくとも3つ設けるようにすると、回転炉床が半径方向のどの方向にずれた場合においても、前記の各距離検知センサーによって回転炉床のずれを適切に検知して、前記の各移動装置により、回転炉床が内周側壁と外周側壁との何れにも接触しない適切な位置に移動させることが簡単に行えて、回転する回転炉床が内周側壁や外周側壁と接触するのをより簡単に防止できるようになる。
【0015】
ここで、前記のように回転する回転炉床を内周側壁と外周側壁との何れにも接触しない位置に移動させる位置調整手段における前記の移動装置としては、例えば、前記の位置調整用プレートを押して回転炉床を移動させるシリンダー装置を設けるようにすることができる。
【0016】
また、本発明に係る回転炉床炉の炉床構造においては、前記の回転炉床と前記の外周側壁との間、及び前記の回転炉床と前記の内周側壁との間にそれぞれリング状になった水封トラフを設けたものを用いるようにすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における回転炉床炉の炉床構造においては、前記のように内周側壁と外周側壁との少なくとも一方に、前記の回転炉床との間の距離を検知する距離検知センサーを設ける共に、前記の回転炉床を移動させて回転炉床の位置を調整する位置調整手段を設け、前記の距離検知センサーにより検知された回転炉床との間の隙間の距離に基づいて、前記の位置調整手段により回転する回転炉床を内周側壁と外周側壁との何れにも接触しない位置に移動させるようにしたため、回転炉床を内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させて、回転炉床の上にセットされた被処理物を回転炉床炉内で熱処理する操作を何度も行った場合においても、前記の回転炉床を内周側壁と外周側壁との何れにも接触しない適切な位置で安定して回転させることができるようになる。
【0018】
この結果、本発明における回転炉床炉の炉床構造においては、回転炉床を内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させて、回転炉床の上にセットされた被処理物を熱処理する操作を何度も行った場合においても、回転する回転炉床が内周側壁や外周側壁に接触するのが防止され、これらが破損したり、炉内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりすることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態において、内周側壁と外周側壁と天井とが設けられた炉体における内周側壁と外周側壁との間に設けたリング状の回転炉床を、内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させるようにした回転炉床炉における炉体の一部を切断した状態を示した概略斜視図である。
【
図2】
図1に示した回転炉床炉を用いた実施形態において、前記の回転炉床を内周側壁と外周側壁との間で周方向に回転させて、回転炉床の上にセットされた被処理物を熱処理するあたり、前記の外周側壁に回転炉床との間の距離を検知する距離検知センサーを設け、この距離検知センサーにより検知された外周側壁と回転炉床との間の距離に基づいて、制御装置により位置調整手段を制御して、回転する回転炉床を内周側壁と外周側壁とに接触しない位置に移動させる構成を示した概略断面説明図である。
【
図3】前記の実施形態において、外周側壁と回転炉床との間の距離を検知する前記の距離検知センサーを、外周側壁の周方向に90度の角度を介して4つ設けると共に、回転する回転炉床を内周側壁と外周側壁との何れにも接触しない位置に移動させる位置調整手段として、回転炉床の下に回転炉床の周方向に沿ってリング状になった位置調整用プレートを設け、この位置調整用プレートの内周側において前記の各距離検知センサーと対応するように90度の角度を介して4つのシリンダー装置を設けた回転炉床炉の底面側の状態を示した概略説明図である。
【
図4】前記の実施形態の第1の変更例において、外周側壁と回転炉床との間の距離を検知する距離検知センサーを、外周側壁の周方向に120度の角度を介して3つ設けると共に、回転炉床の下に位置調整用プレートを回転炉床の周方向に沿ってリング状に設け、回転する回転炉床を内周側壁と外周側壁との何れにも接触しない位置に移動させる位置調整手段として、前記の位置調整用プレートの内周側において前記の各距離検知センサーと対応するように120度の角度を介して3つのシリンダー装置を設けた回転炉床炉の底面側の状態を示した概略説明図である。
【
図5】前記の実施形態の第2の変更例において、前記の内周側壁に回転炉床との間の距離を検知する距離検知センサーを設け、この距離検知センサーにより検知された内周側壁と回転炉床との間の距離に基づいて、制御装置により位置調整手段を制御して、回転する回転炉床を内周側壁と外周側壁との何れにも接触しない位置に移動させる構成を示した概略断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る回転炉床炉の炉床構造を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る回転炉床炉の炉床構造は下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0021】
本発明の実施形態においては、回転炉床炉Xとして、
図1に示すように、内周側壁11と外周側壁12と天井13とが設けられた炉体10における内周側壁11と外周側壁12との間に、リング状になった回転炉床20を前記の内周側壁11及び外周側壁12と所要間隔を介するように設け、この回転炉床20を前記の内周側壁11と外周側壁12との間で周方向に回転させるようにしたものを用いている。
【0022】
そして、被処理物Wは、例えば、外周側壁12に設けられた入口(図示せず)から炉体10内に搬入されて回転炉床20の上にセットされ、炉体10内をほぼ一周して加熱処理され、外周側壁12に設けられた出口(図示せず)から搬出される。
【0023】
ここで、本発明の実施形態においては、
図2に示すように、前記の回転炉床20の下に、一対のローラー部材21,22を半径方向に所要間隔を介するようにしてリング状に設けると共に、この回転炉床20を支持する設置基盤Gの上に、回転炉床20の下に設けた前記の一対の各ローラー部材21,22を支持する一対のレール部材31,32をリング状に設けている。
【0024】
そして、前記のように回転炉床20の上に被処理物Wをセットし、この回転炉床20を、前記のローラー部材21,22を介してレール部材31,32が設けられた設置基盤Gの上で、前記の内周側壁11と外周側壁12との間で周方向に回転させるようにして、回転炉床20の上にセットした被処理物Wを回転炉床炉X内で熱処理するようにしている。
【0025】
また、前記のように炉体10における内周側壁11と外周側壁12との間に、リング状になった回転炉床20を前記の内周側壁11及び外周側壁12と所要間隔を介するように設けた場合に、炉体10内の雰囲気や熱が、回転炉床20と内周側壁11との隙間や回転炉床20と外周側壁12との隙間から外部に漏れ出すのを防止すると共に、炉体10内からの落下物を回収するために、回転炉床20と内周側壁11との間に内周側水封トラフ14aを、回転炉床20と外周側壁12との間に外周側水封トラフ14bを設けている。
【0026】
そして、この実施形態においては、
図2及び
図3に示すように、前記の外周側壁12が回転炉床20と対向する部分において、この外周側壁12を貫通するようにして、外周側壁12と回転炉床20との間の距離を検知する距離検知センサー41を設け、この距離検知センサー41によって検知された外周側壁12と回転炉床20との間の距離を制御装置42に出力し、この制御装置42により位置調整手段50を制御して、回転する回転炉床20を内周側壁11と外周側壁12とに接触しない位置に移動させるようにしている。
【0027】
ここで、この実施形態においては、前記の位置調整手段50として、
図2及び
図3に示すように、前記の回転炉床20の下に、回転炉床20の周方向に沿ったリング状の位置調整用プレート51を設けると共に、このリング状になった位置調整用プレート51の内周側に、移動装置52としてシリンダー装置52を設け、このシリンダー装置52により前記のリング状になった位置調整用プレート51を押して、回転する回転炉床20を内周側壁11と外周側壁12とに接触しないように半径方向に移動させるようにしている。
【0028】
そして、この実施形態においては、
図3に示すように、外周側壁12に回転炉床20との間の距離を検知する前記の距離検知センサー41を、外周側壁12の周方向に90度の角度を介して4つ設けると共に、前記のリング状になった位置調整用プレート51を押して、回転する回転炉床20を内周側壁11と外周側壁12とに接触しないように半径方向に移動させるシリンダー装置52を、前記の距離検知センサー41と対応するようにして、前記の位置調整用プレート51の内周側にその周方向に90度の角度を介して4つ設けている。
【0029】
ここで、この実施形態に示す回転炉床炉Xにおいては、前記のように回転炉床20と内周側壁11との間に内周側水封トラフ14aを、回転炉床20と外周側壁12との間に外周側水封トラフ14bを設けているため、回転炉床20自体をその側面からシリンダー装置52によって直接的に押して移動させることができないが、前記のように回転炉床20の下に、回転炉床20の周方向に沿ったリング状の位置調整用プレート51を設けたため、この位置調整用プレート51をシリンダー装置52によって押すことによって、回転炉床20を半径方向に移動させることができるようになる。
【0030】
そして、各シリンダー装置52においては、先端に車輪を設けたロッド53が油圧等によって伸縮するようになっている。
【0031】
このように、外周側壁12と回転炉床20との間の距離を検知する前記の距離検知センサー41と、リング状になった位置調整用プレート51を押して回転する回転炉床20を移動させるシリンダー装置52とを対応するようにして、それぞれ周方向に90度の角度を介して4つ設けると、前記のように回転炉床20を内周側壁11と外周側壁12との間で周方向に回転させて、回転炉床20の上にセットされた被処理物Wを熱処理する操作を行った場合に、回転炉床20が半径方向のどのような方向にずれたとしても、90度の角度を介して設けた各距離検知センサー41によって回転炉床20のずれが適切に検知されるようになる。
【0032】
そして、このように各距離検知センサー41により、回転炉床20がずれて内周側壁11や外周側壁12に近づいてきたことを検知した場合には、これを前記の制御装置42に出力して、この制御装置42により前記の各シリンダー装置52を制御し、各シリンダー装置52によってリング状になった位置調整用プレート51を押して回転する回転炉床20を移動させる方向や距離を調整すると、回転する回転炉床20を内周側壁11と外周側壁12との何れにも接触しない位置に適切に移動させることができ、回転する回転炉床20が内周側壁11や外周側壁12に接触して、これらが破損したり、炉内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりするのが適切に防止されるようになる。
【0033】
ここで、この実施形態においては、
図3に示すように、外周側壁12と回転炉床20との間の距離を検知する前記の距離検知センサー41と、リング状になった位置調整用プレート51を押して回転する回転炉床20を移動させるシリンダー装置52とを、それぞれ周方向に90度の角度を介して4つ設けるようにしたが、前記の距離検知センサー41やシリンダー装置52を設ける数は特に限定されない。
【0034】
例えば、
図4に示すように、外周側壁12と回転炉床20との間の距離を検知する距離検知センサー41と、リング状になった位置調整用プレート51を押して回転する回転炉床20を移動させるシリンダー装置52とを、それぞれ周方向に120度の角度を介して3つ設けるようにすることもできる。
【0035】
そして、このように距離検知センサー41とシリンダー装置52とを、それぞれ周方向に120度の角度を介して3つ設けた場合においても、前記の場合と同様に、回転炉床20が半径方向のどのような方向にずれたとしても、120度の角度を介して設けられた3つの距離検知センサー41によって回転炉床20のずれが適切に検知することができ、前記の制御装置42により120度の角度を介して設けられた3つのシリンダー装置52を制御して、リング状になった位置調整用プレート51を押して回転する回転炉床20を移動させる方向や距離を適切に調整することができ、回転する回転炉床20を内周側壁11や外周側壁12に接触しないように移動させて、これらが破損したり、炉内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりするのを適切に防止することができる。
【0036】
また、この実施形態においては、前記のように外周側壁12が回転炉床20と対向する部分において、この外周側壁12を貫通するようにして外周側壁12と回転炉床20との間の距離を検知する距離検知センサー41を設け、この距離検知センサー41により外周側壁12に回転炉床20との間の距離を検知し、この検知結果に基づいて、制御装置42により位置調整手段50を制御して、回転する回転炉床20を内周側壁11と外周側壁12とに接触しない位置に移動させるようにしたが、
図5に示すように、内周側壁11が回転炉床20と対向する部分において、内周側壁11を貫通するようにして内周側壁11と回転炉床20との間の距離を検知する距離検知センサー41を設け、この距離検知センサー41により内周側壁11と回転炉床20との間の距離を検知し、この検知結果に基づいて、制御装置42により位置調整手段50を制御して、回転する回転炉床20を内周側壁11と外周側壁12とに接触しない位置に移動させるようにすることもできる。
【0037】
このようにした場合においても、前記の実施形態と同様に、回転する回転炉床20を内周側壁11や外周側壁12に接触しないように移動させ、これらが破損したり、炉内の雰囲気や熱が外部に漏れ出したりするのを適切に防止することができる。
【0038】
また、前記の実施形態においては、位置調整手段50として、前記の回転炉床20の下に、回転炉床20の周方向に沿ったリング状の位置調整用プレート51を設けると共に、このリング状になった位置調整用プレート51の内周側に、移動装置52としてシリンダー装置52を設けるようにしたが、このシリンダー装置52を、図示していないが、位置調整用プレート51の外周側に設けるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 :炉体
11 :内周側壁
12 :外周側壁
13 :天井
14a :内周側水封トラフ
14b :外周側水封トラフ
20 :回転炉床
21 :ローラー部材
22 :ローラー部材
31 :レール部材
32 :レール部材
41 :距離検知センサー
42 :制御装置
50 :位置調整手段
51 :位置調整用プレート
52 :シリンダー装置(移動装置)
53 :ロッド
G :設置基盤
W :被処理物
X :回転炉床炉