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  • 特開-電子部品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121038
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
H05K7/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018167
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】日本電産コパル電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大竹 和人
【テーマコード(参考)】
5E348
【Fターム(参考)】
5E348AA13
(57)【要約】

【課題】 厚みに公差が許容された基板を確実に保持することが可能な電子部品を提供する。
【解決手段】 一対の第1係合部11fは、ケース11の平行する側面に対向して配置される。一対の第2係合部11gは、一対の第1係合部にそれぞれ隣接して配置される。第1係合部のそれぞれは、第1アーム11f-1と第1突起11f-2とを含み、第2係合部のそれぞれは、第2アーム11g-1と第2突起11g-2とを含み、第2突起の長さは、第1突起の長さより長い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の開口部を有し、前記開口部が基板により覆われる矩形状のケースと、
前記ケースの平行する側面に対向して配置された一対の第1係合部と、
前記ケースの前記側面で、前記一対の第1係合部にそれぞれ隣接して配置された一対の第2係合部と、
を具備し、
前記一対の第1係合部のそれぞれは、第1アームを含み、前記第1アームは、第1端部と、第2端部とを有し、前記第1端部が前記ケースに設けられ、前記第2端部に前記基板の側面側から表面側に突出された第1突起を有し、
前記一対の第2係合部のそれぞれは、第2アームを含み、前記第2アームは、第3端部と、第4端部とを有し、前記第3端部が前記ケースに設けられ、前記第4端部に前記基板の側面側から表面側に突出された第2突起を有し、
前記第2突起の長さは、前記第1突起の長さより長いことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記ケースに取付けられ、前記基板、前記第1係合部及び前記第2係合部を覆うカバーをさらに具備し、
対向する前記一対の第1突起間の距離をXとし、
前記一対の第1係合部及び前記一対の第2係合部の間に配置された前記基板の幅をYとし、
前記第1係合部及び前記第2係合部と前記カバーの内面との距離をZとすると、これらの関係は次式
(Y-X)/2<Z
であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第1アームは、第1の長さを有し、前記第2アームは、前記第1の長さより長い第2の長さを有することを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第2突起の先端の位置は、前記第1突起の先端の位置より高いことを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば圧力センサなどの電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子部品は、ケースの内部に回路部品が配置された基板が収納される。基板は、ケースの両側に設けられた突起により位置決めされ、保持される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-229682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板の一部をケースに設けられた突起により保持する場合において、基板の厚みに許容誤差としての公差が許されている場合がある。基板の厚みが公差の範囲内で厚い場合、突起が大きく変形するため、突起により基板を十分に保持することができない。しかも、突起が大きく変形する場合、突起の最大の変形量を考慮してケースを大きくする必要がある。一方、基板の厚みが公差の範囲内で薄い場合、基板と突起の間に隙間が生じ、突起により基板を十分に保持することができない。
【0005】
本実施形態は、厚みに公差が許容された基板を確実に保持することが可能な電子部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の電子部品は、矩形状の開口部を有し、前記開口部が基板により覆われる矩形状のケースと、前記ケースの平行する側面に対向して配置された一対の第1係合部と、前記ケースの前記側面で、前記一対の第1係合部にそれぞれ隣接して配置された一対の第2係合部と、を具備し、前記一対の第1係合部のそれぞれは、第1アームを含み、前記第1アームは、第1端部と、第2端部とを有し、前記第1端部が前記ケースに設けられ、前記第2端部に前記基板の側面側から表面側に突出された第1突起を有し、前記一対の第2係合部のそれぞれは、第2アームを含み、前記第2アームは、第3端部と、第4端部とを有し、前記第3端部が前記ケースに設けられ、前記第4端部に前記基板の側面側から表面側に突出された第2突起を有し、対向する一対の前記第1突起間の距離は、対抗する一対の前記第2突起間の距離より長い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る電子部品を示す斜視図。
図2図1の一部を取出して示す斜視図。
図3図2の上面図。
図4図3のIV-IV線に沿った部分を示す側面図。
図5図4の動作を示す側面図。
図6図5と異なる動作を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。図面において、同一部分には、同一符号を付している。
【0009】
図1は、本実施形態が適用される電子部品、例えば圧力センサを示している。本実施形態は、圧力センサに限定されるものではなく、様々な電子部品や電子機器に適用することが可能である。
【0010】
図1乃至図3に示すように、矩形状のケース11は、平行する一対の第1側面11-1と、第1側面と直交し、互いに平行する一対の第2側面11-2と、底面11-3とを具備し、底面に対向する上部に開口部11aを有している。一対の第1側面11-1は、それぞれ第1切欠き部11bと、第2切欠き部11cを有している。
【0011】
第1切欠き部11bには、プレート13が装着され、プレート13は、例えば測定対象としてのガスの導入口13aと導出口13bを有している。第2切欠き部11cには、図示せぬコネクタが装着される。コネクタは、図示せぬ複数の端子を有し、複数の端子はケース11の内部に配置された図示せぬ圧力センサや電子回路に接続される。
【0012】
ケース11の開口部11aは、印刷基板(以下、基板と称す)14により覆われる。ケース11の内部には、圧力センサが設けられ、圧力センサは、例えば図示せぬパイプにより、導入口13a及び導出口13bに接続される。
【0013】
さらに、ケース11の第1側面11-1、第2側面11-2、及び基板14は、カバー12により覆われる。カバー12は、ケース11の第2側面11-2に設けられた複数の突起11d、11eに係止される。
【0014】
ケース11の第2側面11-2には、基板14を固定するための一対の第1係合部11fと一対の第2係合部11gが設けられている。一対の第1係合部11fは、平行する第2側面11-2に対向して配置され、一対の第2係合部11gは、第1係合部11fに隣接し、平行する第2側面11-2に対向して配置されている。
【0015】
図1に示すように、第1係合部11fのそれぞれは、第1アーム11f-1と爪状の第1突起11f-2を有し、第2係合部11gのそれぞれは、第2アーム11g-1と爪状の第2突起11g-2を有している。第1アーム11f-1の第1端部は、第2側面11-2の一部に設けられ、第2端部に第1突起11f-2が設けられている。第2アーム11g-1の第1端部は、第2側面11-2の一部に設けられ、第2端部に第2突起11g-2が設けられている。
【0016】
図2に示すように、第1アーム11f-1は第1の長さL1を有し、第2アーム11g-1は、第1の長さL1より長い第2の長さL2を有している。
【0017】
図1図3に示すように、第1突起11f-2は、第1アーム11f-1の長さ方向に対してほぼ直交する方向に突出され、第2突起11g-2も、第2アーム11g-1の長さ方向に対してほぼ直交する方向に突出されている。第1突起11f-2と第2突起11g-2の先端は、例えば略円弧状であり、第2突起11g-2の先端は、第1突起11f-2の先端より突出されている。第1突起11f-2の形状は、第2突起11g-2の形状と類似しているが、異なっていてもよい。
【0018】
図4は、第1突起11f-2と第2突起11g-2を拡大して示している。第1突起11f-2の長さは、L3であり、第2突起11g-2の長さは、L4であり、L4はL3より長い(L3<L4)。
【0019】
また、第1突起11f-2の先端の位置は、第2突起11g-2の先端の位置より低い。第1突起11f-2の先端の位置と、第2突起11g-2の先端の位置との差は、距離L5で示されている。距離L5は、L2-L1に等しい(L5=L2-L1)が、異なっていてもよい。
【0020】
第1アーム11f-1及び第2アーム11g-1と、カバー12の内面との間には、隙間が設けられている。この隙間の距離はZで示されている。第1アーム11h-1及び第2アーム11g-1は、この隙間の範囲内で動くことができる。
【0021】
対向する一対の第1突起11f-2の間の距離をXとし、
一対の第1係合部11f及び一対の第2係合部11gの間に配置された基板14の幅をYとし、
第1係合部11f及び第2係合部11gとカバー12の内面との距離をZとすると、これらの関係は次式の通りである。
【0022】
(Y-X)/2<Z
基板14の幅Yは、一対の第1アーム11f-1(一対の第2アーム11g-1)の相互間距離と等しいか、それより僅かに狭い。
【0023】
上記構成において、第1係合部11fと第2係合部11gの動作について説明する。
(薄い基板の場合)
図5に示すように、基板14の厚みが図4に示す標準的な厚みT0に対して公差の範囲内でT1だけ薄い場合、基板14は、基板14の角部に接触した一対の第1係合部11fにより保持される。具体的には、一対の第1係合部11fの第1突起11f-2は、基板14の側面側から基板14の表面上に位置し、第1突起11f-2の基部(下方)が基板14の角部に接触される。このため、第1アーム11f-1は、僅かにカバー12の内面方向に変形し、第1アーム11f-1の弾性により、基板14は、第1突起11f-2により、ケース11の底面方向に押される。
【0024】
一方、第2係合部11gの第2突起11g-2は、基板14の表面に接しない。このため、第2アーム11g-1は、殆ど変形しない。
【0025】
(厚い基板の場合)
図6に示すように、基板14の厚みが図4に示す標準的な厚みT0に対して公差の範囲内でT2だけ厚い場合、基板14は、基板14の角部に接触した一対の第2係合部11gにより保持される。具体的には、一対の第2係合部11gの第2突起11g-2は、基板14の側面側から基板14の表面上に位置し、第2突起11g-2の基部(下方)が基板14の角部に接触される。このため、第2アーム11g-1は、僅かにカバー12の内面方向に変形し、第2アーム11g-1の弾性により、基板14は、第2突起11g-2により、ケース11の底面方向に押される。
【0026】
一方、第1係合部11fの第1突起11f-2の先端は、基板14の角部乃至側面に接している。このため、基板14の厚みが公差の範囲内で厚い場合、第1突起11f-2により基板14をケース11の底面方向に抑えることはできない。このとき、第1アーム11f-1は、カバー12の内面方向に第2アーム11g-1より大きく変形する。しかし、第1突起11f-2の長さL3は、第2突起11g-2の長さL4より短く、さらに第1アーム11f-1の長さL1が第2アーム11g-1の長さL2より短いため、第1アーム11f-1の変形量を基板14が無い場合の第1アーム11f-1及び第2アーム11g-1とカバー12の内面との隙間の距離Zの範囲内に収めることができる。
【0027】
尚、基板14の厚みが公差の範囲内で僅かに厚い場合、基板14は、第1突起11f-2と第2突起11g-2の両方により保持される。
【0028】
(実施形態の効果)
上記実施形態によれば、ケース11は、一対の第1係合部11fと一対の第2係合部11gとを具備し、第1係合部11fのそれぞれは、第1アーム11f-1と第1突起11f-2を有し、第2係合部11gのそれぞれは、第2アーム11g-1と第2突起11g-2を有している。第2アーム11g-1は、第1アーム11f-1より長く、第2突起11g-2は、第1突起11f-2より長い。このため、基板14の厚みが公差の範囲内で薄い場合、基板14は第1突起11f-2より保持され、基板14の厚みが公差の範囲内で厚い場合、基板14は第2突起11g-2により保持される。したがって、上記実施形態によれば、厚みが公差の範囲内で変化した場合においても基板14を確実に保持することができる。
【0029】
しかも、上記実施形態によれば、第1突起11f-2の長さは、第2突起11g-2の長さより短いため、基板14の厚みが公差の範囲内で厚い場合において、第1アーム11f-1の変形量を抑制できる。さらに、第1アーム11f-1の長さは、第2アーム11g-1の長さより短い。このため、第1アーム11f-1及び第2アーム11g-1とカバー12の内面との隙間の距離Zを縮小することができ、カバー12及び電子部品10の大型化を抑制できる。
【0030】
その他、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0031】
10…電子部品、11…ケース、11-1…第1側面、11-2…第2側面、11a…開口部、11f…第1係合部、11f-1…第1アーム、11f-2…第1突起、11g…第2係合部、11g-1…第2アーム、11g-2…第2突起、12…カバー、14…基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6