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特開2022-12106接続構造、検査方法及び検査プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012106
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】接続構造、検査方法及び検査プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/66 20200101AFI20220107BHJP
【FI】
G01R31/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113679
(22)【出願日】2020-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】301072650
【氏名又は名称】NECスペーステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和輝
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA01
2G014AA14
2G014AB59
2G014AB60
2G014AC08
(57)【要約】
【課題】基板間コネクタを用いて接続された複数の配線基板間の接続の確認に要する手間を軽減する接続構造等の提供。
【解決手段】接続構造は、二つの配線基板の間を接続する基板間コネクタを介して接続された複数の前記配線基板を備え、給電が可能な端部を有し、前記配線基板の各々を少なくとも一回通過し、前記端部の近傍以外は前記配線基板及び前記基板間コネクタのいずれかのみを通過する、検査用電流経路が形成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの配線基板の間を接続する基板間コネクタを介して接続された複数の前記配線基板を備え、
給電が可能な端部を有し、前記配線基板の各々を少なくとも一回通過し、前記端部の近傍以外は前記配線基板及び前記基板間コネクタのいずれかのみを通過する、検査用電流経路が形成されている、
接続構造。
【請求項2】
前記配線基板の各々は前記配線基板の端部近傍に複数の接続端子を備え、複数の前記配線基板の各々が備える前記接続端子は、前記基板間コネクタにより接続され、前記検査用電流経路は、前記配線基板の各々の偶数個の前記接続端子を経由する、請求項1に記載された接続構造。
【請求項3】
前記配線基板の少なくとも一つに、前記検査用電流経路が経由する二つの前記接続端子の間に形成された、前記検査用電流経路が経由する配線が設けられている、請求項2に記載された接続構造。
【請求項4】
二つの前記配線基板が複数の前記基板間コネクタにより接続されており、前記検査用電流経路は、複数の前記基板間コネクタをまたがって形成されている、請求項1乃至請求項3のうちのいずれか一に記載された接続構造。
【請求項5】
前記検査用電流経路は、複数の前記配線基板の間を複数回またがる、請求項1乃至請求項4のうちのいずれか一に記載された接続構造。
【請求項6】
複数の前記検査用電流経路を備える、請求項1乃至請求項5のうちのいずれか一に記載された接続構造。
【請求項7】
前記検査用電流経路に抵抗が挿入されている、請求項1乃至請求項6のうちのいずれか一に記載された接続構造。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のうちのいずれか一に記載された接続構造と、前記給電と双方の前記端部の間の電圧の測定とを行う測定器とを備える、検査システム。
【請求項9】
二つの配線基板の間を接続する基板間コネクタを介して接続された複数の前記配線基板を備え、給電が可能な端部を有し、前記配線基板の各々を少なくとも一回通過し、前記端部の近傍以外は前記配線基板及び前記基板間コネクタのいずれかのみを通過する、検査用電流経路が形成されている、接続構造の前記端部に対し、前記給電を行い、
双方の前記端部の間の電圧を測定する、
検査方法。
【請求項10】
二つの配線基板の間を接続する基板間コネクタを介して接続された複数の前記配線基板を備え、給電が可能な端部を有し、前記配線基板の各々を少なくとも一回通過し、前記端部の近傍以外は前記配線基板及び前記基板間コネクタのいずれかのみを通過する、検査用電流経路が形成されている、接続構造の前記端部に対し、前記給電を行う処理と、
双方の前記端部の間の電圧を測定する処理と、
をコンピュータに実行させる、
検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的接続の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに接続される複数の配線基板を用いる機器の小型軽量化のために、それらの基板の信号経路や給電経路を互いに接続する基板間コネクタが用いられる(特許文献1参照)。基板間コネクタは、配線基板間に設置され、ねじ止め等による圧力により複数の配線基板の端子間を電気的に接続するものである。
【0003】
基板間コネクタを用いた機器においては、ねじ止めにより加えられる圧力の不足による端子間の接続不良が懸念され、接続確認が行われることがある。
【0004】
しかしながら、基板間コネクタにより接続された配線基板において、電気的接続の良否を目視により確認することは困難である。そのため、基板間コネクタが用いられた機器における配線基板間の接続確認は、電気的な検査方法により行われる。
【0005】
電気的な検査方法としては、実際に使用される出力信号を観測し、動作が正常であるか否かを確認することにより間接的に接続の良否を判定する方法が用いられる。
【0006】
ここで、特許文献2は、第1のプリント板と第2のプリント板とを少なくとも1回跨いで、監視信号出力手段から出力される監視信号を監視信号受信手段に伝達する配線を有する接続検出回路を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-066029号公報
【特許文献2】国際公開第2007/091332号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、背景技術の項で述べた、実際に使用される出力信号を観測し、動作が正常であるか否かを確認する方法は、良否を確認する信号の数が多いので、接続の良否を判定するのに手間を要する。
【0009】
本発明は、基板間コネクタを用いて接続された複数の配線基板間の接続の確認の手間を軽減する接続構造等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の接続構造は、二つの配線基板の間を接続する基板間コネクタを介して接続された複数の前記配線基板を備え、給電が可能な端部を有し、前記配線基板の各々を少なくとも一回通過し、前記端部の近傍以外は前記配線基板及び前記基板間コネクタのいずれかのみを通過する、検査用電流経路が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の接続構造等は、基板間コネクタを用いて接続された複数の配線基板間の接続の確認に要する手間を軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の検査システムの構成例を表す斜視概念図である。
図2】本実施形態の接続構造の構成例を表す概念図である。
図3】接続端子の構成例を表す概念図である。
図4】基板間コネクタ141の構成例を表す概念図である。
図5】配線の第一の例を表す概念図である。
図6】配線の第二の例を表す概念図である。
図7】配線の第三の例を表す概念図である。
図8】三枚の配線基板を基板間コネクタで接続した接続構造の第一の例を表す概念図である。
図9】三枚の配線基板を基板間コネクタで接続した接続構造の第二の例を表す概念図である。
図10】二枚の配線基板を二つの基板間コネクタで接続する場合の検査用電流経路の形成のされ方の変形例(その1)を表す図である。
図11】二枚の配線基板を二つの基板間コネクタで接続する場合の検査用電流経路の形成のされ方の変形例(その2)を表す図である。
図12】二個の抵抗素子を直列に接続させた接続構造の上面図を表す概念図である。
図13】二個の抵抗素子を並列に接続させた接続構造の上面図を表す概念図である。
図14】二枚の配線基板の間を二回またがる検査用電流経路を備える接続構造を表す概念図である。
図15】二枚の配線基板を備え検査用電流経路が二つ形成された接続構造の例を表す概念図である。
図16】5枚の配線基板を備え、二つの検査用電流経路を備える接続構造の例を表す概念図である。
図17】基準電位として電源から供給される電位を用いる接続構造の構成例を表す概念図である。
図18】抵抗素子が複数個所に分散して配置された接続構造の構成例を表す概念図である。
図19】抵抗素子が配線によりコネクタに接続された接続構造の構成例を表す概念図である。
図20】信号電流を検査用電流経路に供給しその供給点における基準電位との間の信号電圧を測定する測定器が接続された接続構造の構成例を表す概念図である。
図21】実施形態の接続構造の最小限の構成を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態の検査システムの例である検査システム10の構成を表す斜視概念図である。また、図2は、図1に表される接続構造20を表す概念図である。図2(a)は、接続構造20の、図2(b)の矢印91aの向きの上面図である。図2(b)は、接続構造20の側面図である。図2(c)は、接続構造20の図2(b)の矢印91bの向きの側面図である。
【0014】
検査システム10は、接続構造20における基板101と102との間の電気的接続の良否を検査するシステムである。ここで、接続構造20は、基板101及び102と基板間コネクタ141との組合せである。接続構造20においては、例えば図示されないねじによるねじ止めにより、基板101と基板間コネクタ141、及び、基板102と基板間コネクタ141とが、互いに固定されている。
【0015】
図1及び図2に表されるように接続構造20には、検査用電流経路161が形成されている。検査用電流経路161は、コネクタ131の端子Aから、接続端子181a、基板102、接続端子181b及び抵抗111を経由してグランド端子172に至るまでの電流経路である。ここで、グランド端子は、グランドに接続された端子である。
【0016】
測定器121は、端子Aから、検査用電流経路161及び端子Bを通じてグランドへ、設定された電流値の電流を流す。そして、測定器121は、端子Bのグランド電位を基準電位として、コネクタ131の端子A-B間の電圧を測定する。端子Bは、グランド端子171を介して、グランドに接続されている。そして、測定器121は、測定した電圧値を、検査用電流経路161に供給した電流の電流値により除算した値を抵抗値として表示等の出力を行う。測定器121は、例えば、コンピュータを備えており、記憶装置に格納されたプログラムにより、上記動作を実行する。
【0017】
作業者等は、出力された抵抗値が、設定値に等しいか否かを判定することにより、基板101と102との間の電気的接続の良否を判定する。作業者等は、あるいは、抵抗値ではなく、前述の電圧値が、正常か否かを判定することにより、基板101と102との間の電気的接続の良否を判定しても構わない。
【0018】
作業者等は、基板101と102との間の電気的接続に不良が生じている旨を判断した場合には、基板101と基板間コネクタ141を接続するためのねじ及び基板102と基板間コネクタ141を接続するねじのしめ増しや締め直しを行う。
【0019】
次に、検査用電流経路161の形成され方についての具体例を説明する。
【0020】
基板101には、複数の接続端子181が形成されている。接続端子181のうち図1及び図2の接続端子181a及び181b以外のものは、基板101に形成された図示されない配線に接続されている。当該配線は、基板101に設置された電気部品等に接続されている。当該配線は、基板101の上面又は下面に形成されている場合もあり、基板101の内部に形成されている場合もある。基板101は、例えば、多層基板である。
【0021】
接続端子181は、例えば、図3(a)に表される構成を備える。図3(a)の接続端子181は、基板101の上面に形成された金属パターンであるパッド81aと、基板101の下面に形成された金属パターンであるパッド81bとの間を、金属81cにより電気的に接続したものである。金属81cは、基板101を貫通するように形成された穴に充填されている。図3(a)のような接続端子及びその製造方法は周知であり、ここでは、その詳細説明は省略される。
【0022】
図1及び図2の接続端子181は、すべてが、図3(a)のものである必要はなく、一部が図3(b)乃至図3(f)に表されるものであっても構わない。図3(b)乃至図3(f)の接続端子181の説明は、これらの図から明らかなので、省略される。
【0023】
図1及び図2においては表されていないが、基板102にも、基板101の接続端子181と同様の接続端子が形成されている。
【0024】
基板101の接続端子181のうち、接続端子181a及び181bは、図3(a)の接続端子181である。
【0025】
図4は、基板間コネクタ141の構成例を表す概念図である。図4(a)は、基板間コネクタ141の、図4(b)の矢印91aの向きの上面図である。図4(b)は、基板間コネクタ141の側面図である。図4(c)は、基板間コネクタ141の、図4(b)の矢印91bの向きの側面図である。
【0026】
基板間コネクタ141は、上面14aに形成された金属板又は金属膜であるパッド281の各々と下面14bに形成された金属板又は金属膜であるパッド282の各々を、金属283の各々で接続したものである。図1及び図2の接続構造20においては、パッド281a及び281bは、接続端子181a及び181bにおける図3(a)のパッド81bに接触している。また、パッド282a及び282bは、基板102が備える、接続端子181に相当する図示されない接続部材が備えるパッドに接続されている。
【0027】
基板間コネクタ141としては、例えば、特許文献1が開示するものを用いることができる。
【0028】
図1及び図2に表されるように、接続構造20には、基板101と基板102との間の電気的な接続の良否の検査を可能にするために検査用電流経路161が形成されている。検査用電流経路161は、図2(b)の接続端子181a、図4のパッド281a、金属283a、パッド282a、基板102の、接続端子181aに相当する後述の接続端子、及び基板102に形成される後述の配線を経由する。検査用電流経路161は、さらに、基板102の、接続端子181に相当する後述の接続端子、図4のパッド282b、金属283b、パッド281b、及び図2(b)の接続端子181bを経由する。
【0029】
図1及び図2の検査用電流経路161は、図2(b)のように、例えば、可能な限り外側に(左右の幅が広くなるように)形成されている。
【0030】
次に、基板102に形成される配線の具体例を説明する。
【0031】
図5は、基板102に形成される配線の第一の例である配線292を表す概念図である。図5の接続端子182a、182b及び182dは、基板102における、図2の基板101の接続端子181に相当する接続端子である。接続端子182a、182b及び182dの構成例は、図3の接続端子181と同様である。ただし、接続端子182a及び182bとしては、パッド81aが存在する、図3(a)、図3(b)、図3(c)及び図3(e)の接続端子181のうちのいずれかに相当するものが用いられる。パッド81aの存在が、検査用電流経路161の形成に不可欠なためである。
【0032】
配線292は、接続端子182aと接続端子182bとの間に、接続端子182dのいずれにも接触しないように形成される。図5の配線292は、接続端子182aの上部のパッド(図3のパッド81aに相当)と接続端子182bの上部のパッド(パッド81aに相当)とに接続されるように、基板102の上面に、形成されている。配線292が形成される位置は、接続端子182dの上部のパッド(パッド81aに相当)が形成されていない位置である。
【0033】
配線292は、基板102の内部に形成されても構わない。図6は、基板102の内部に形成された配線の例である配線292を表す概念図である。図6の接続端子182a及び182bには、パッド81a及び金属81cがいずれも存在する、図3(a)又は図3(c)に相当するものが用いられる。金属81cの存在が必要な理由は、基板102の内部で接続端子182a及び182bと配線292とを接続させるためである。配線292は、接続端子182dの金属81cが形成されていない領域の基板102の内部に、接続端子182a及び182bに接続されるように、形成されている。なお、基板102は、例えば、多層配線基板である。多層配線基板の内部に配線を形成する方法は周知であるので、ここでは、その説明は省略される。
【0034】
図5の配線292は、基板102の上面への、接続端子182dに接続された他の配線の形成を制限する。しかし、図6のように基板102の配線292が形成されることにより、接続端子182dに接続された他の配線の基板102の上面への形成は制限されにくくなる。
【0035】
配線292は、基板102の下面に形成されても構わない。図7は、基板102の下面に形成された配線の例である配線292を表す概念図である。図7の接続端子182a及び182bには、パッド81a及び金属81cがいずれも存在する、図3(a)又は図3(c)に相当するものが用いられる。金属81cの存在が必要な理由は、基板102の下面で接続端子182a及び182bと配線292とを接続させるためである。配線292は、接続端子182dの金属81cが形成されていない領域の基板102の下面に、接続端子182a及び182bと接続されるように、形成されている。
【0036】
図7のように基板102の下面に配線292を形成することにより、接続端子182dに接続された他の配線の基板102の上面及び基板102の内部への形成は制限されにくくなる。
【0037】
検査用電流経路は、三枚以上の配線基板を基板間コネクタにより接続した接続構造にも適用され得る。また、図1及び図2において基板101上に形成されている各配線は、基板101の下面や、多層基板である場合の基板101の内部に形成されても良い。
【0038】
図8は、三枚の配線基板を基板間コネクタで接続した接続構造の第一の例である接続構造20を表す概念図である。図8は、接続構造20の図2(b)と同様の向きの図である。
【0039】
図8の接続構造20の場合、基板101と基板103は基板間コネクタ141により、基板103と基板102とは、基板間コネクタ142により、それぞれ、ねじ止め等により接続されている。基板間コネクタ141及び142は、いずれも、図4に表されるものである。基板103の接続端子183a及び183bには、いずれも、図3(a)に表される接続端子181に相当するものが用いられている。また、基板102における端子や配線は、前述の、図2の基板102の場合と同様である。
【0040】
以上により、図8の検査用電流経路161は形成されている。
【0041】
図9は、三枚の配線基板を基板間コネクタで接続した接続構造の第二の例である接続構造20を表す概念図である。図9の接続構造20の場合、基板101と基板103とは基板間コネクタ141及び143により、基板103と基板102とは、基板間コネクタ142及び144により、それぞれ、ねじ止め等により接続されている。基板間コネクタ141乃至144は、いずれも、図4に表されるものである。基板103の接続端子183b及び183dには、いずれも、図3(a)に表される接続端子181に相当するものが用いられている。また、基板102における検査用電流経路161を含む図示されない二つの接続端子には、図3(a)、図3(b)、図3(c)及び図3(e)のうちのいずれかに相当するものが用いられる。さらに、これらの接続端子間は、基板102の上面、基板内部又は下面に形成される図示されない配線により接続されている。
【0042】
以上により、図9の検査用電流経路161は形成されている。
【0043】
二枚の配線基板を二つの基板間コネクタで接続する場合の検査用電流経路161の形成のされ方には、種々の変形例が想定され得る。図10及び図11は、二枚の配線基板が二つの基板間コネクタで接続される場合の検査用電流経路161の形成のされ方の変形例を表す図である。図10及び図11においては、二つの基板間コネクタである基板間コネクタ141及び143が表され、その上下に存在する基板間コネクタ141及び143により接続される配線基板については図示が省略されている。図10及び図11に表される検査用電流経路161の実現方法は、以上の説明により十分に推測可能と思われるので、省略される。また、二枚の配線基板が三個以上の基板間コネクタで接続され、その二枚の基板とその三個以上の基板間コネクタとを通過する検査用電流経路が形成されても構わない。
【0044】
図2の測定器121により観測される抵抗の素子数は複数であっても構わず、また、それらの接続は、直列であっても並列であっても直列と並列との組合せであっても構わない。図12は、二個の抵抗素子である抵抗111及び112を直列に接続させた接続構造20の上面図を表す概念図である。また、図13は、二個の抵抗素子である抵抗111及び113を並列に接続させた接続構造20の上面図を表す。
【0045】
検査用電流経路161は、二枚の配線基板の間を複数回またがっても構わない。図14は、二枚の配線基板の間を二回またがる検査用電流経路の例である検査用電流経路161を備える接続構造20を表す概念図である。図14の接続構造20においては、接続端子181cと接続端子181dとの間は配線201により接続されている。これにより、検査用電流経路161は、基板101と基板102との間を二回またがる。このように、検査用電流経路が二枚の配線基板の間を複数回またがるようにすることにより、二枚の配線基板間の電気的接続の良否判断の信頼度が向上する。その理由は、検出用電流経路に含まれる接点の数が増えるためである。より多くの接点について通電の良否が確認されることで、二枚の配線基板間の電気的接続についての判定結果の信頼度が向上する。
【0046】
検査用電流経路が複数形成されても構わない。その場合、測定器は複数の検査用電流経路の各々についての電圧や抵抗値を導出する。そして、作業者等は、それらの電圧や抵抗値のいずれかに異常がある場合に、それらの配線基板間の電気的接続の不良を判断する。
【0047】
図15は、二枚の配線基板を備え検査用電流経路が二つ形成された接続構造の例である接続構造20を表す概念図である。図15は、図2(b)と同様の向きの側面図である。図15の接続構造20においては、接続端子181aと接続端子181cとの間に第一の検査用電流経路である検査用電流経路161が形成されている。また、接続端子181dと接続端子181bとの間には、第二の検査用電流経路である検査用電流経路162が形成されている。
【0048】
図16は、5枚の配線基板を備え、二つの検査用電流経路を備える接続構造の例である接続構造20を表す概念図である。図16の接続構造においては、基板102については、接続端子の表示が省略されている。基板102における端子や配線は、前述の図2の基板102の場合と同様である。基板104においては、接続端子は、最も端部よりの二つである接続端子184a及び184bのみが表されている。接続端子184a及び184bには、例えば、図3(b)の接続端子181に相当するものが用いられる。その場合、接続端子184a及び184bの各々の上側のパッドは、検査用電流経路161の一部を構成する。また、接続端子184a及び184bの各々の下側のパッドは、検査用電流経路162の一部を構成する。
【0049】
検査用電流経路を複数設けることにより、二枚の配線基板間の電気的接続の不良個所の特定が容易になる。その理由は、不良が生じている検査用電流経路が特定されるためである。
【0050】
図1の測定器121は、抵抗値を測定する際に用いる基準電位として、必ずしもグランド電位が用いられる必要はない。図17は、基準電位として電源から供給される電位を用いる接続構造20の構成例を表す概念図である。図17の電源端子173及び174には、図示されない電源から供給される直流電位(グランドとの間の直流電圧)が供給されている。測定器121は、検査用電流経路161を通じて電源端子174へ、設定された電流を流す。当該電流は負の場合もあり得る。そして、測定器121は、測定器121におけるその電流の供給元と電源端子173との間の電圧を測定する。そして、測定器121は、測定した電圧値を、検査用電流経路161に供給した電流の電流値により除算した値を抵抗値として表示等する。作業者等は、表示等された抵抗値が、設定値に等しいか否かにより、基板101と102との間の電気的接続の良否を判定する。
【0051】
抵抗は、検査用電流経路のどこに設置されていてもよい。図18の接続構造20においては、コネクタ131と接続端子181aとの間に抵抗114が、接続端子181bとグランド端子172との間には抵抗111が、それぞれ設置されている。
【0052】
本実施形態の接続構造は、図19に表される接続構造20であっても構わない。図19の接続構造20においては、抵抗111の一方の端子は、配線191により、端子Bに接続されている。図19の接続構造20の場合も、作業者等は、図1の測定器121により端子A-B間の電圧や抵抗を測定することにより配線基板間の電気的接続の良否を判断することができる。
【0053】
図1の測定器121に代えて、図20のように測定器122が用いられても構わない。測定器122は、信号電流を検査用電流経路161に供給し、その供給点における基準電位との間の信号電圧を測定する。作業者等は、その信号電圧の波形や振幅が正常時のものと異なるか否かを調べることにより、配線基板間の電気的接続の良否を判断する。
[効果]
本実施形態の検査システムは、複数の配線基板をまたがって形成された検査用電流経路の抵抗値や電圧を測定する。配線基板間の電気的接続に異常がある場合には、測定された抵抗値や電圧に異常が生じる。そのため、前記検査システムは、作業者等に、配線基板間の電気的接続の異常の有無についての判断を可能にする。前記検査システムにおいては、配線基板において実際に使用される信号を入力して動作状況を確認する必要がないので、前記検査システムは、接続良否確認のための手間を軽減する。
【0054】
前記検査用電流経路は、配線基板に備えられる配線基板間を基板間コネクタにより接続するための接続端子のうち、通電検査用に用いられるもの以外のものに接触しないように形成される。そのため、前記検査システムは、通電検査と、配線基板における通電検査以外の通常の動作と、を両立させる。
【0055】
以上の説明では、電流の供給と基準電位との間の電圧の測定とが行われる端子A(第一端子)と、前記基準電位が供給される端子B(第二端子と)は、一つの配線基板に設置される場合について説明した。しかしながら、これらの端子が設置される位置は、配線基板と基板間コネクタとの組合せにおけるいずれの位置であっても構わない。また、端子Aと端子Bとの各々が、二つのコネクタの各々に備えられていても構わない。
【0056】
図21は、実施形態の接続構造の最小限の構成である、接続構造20xの構成を表す概念図である。接続構造20xは、二つの配線基板の間を接続する基板間コネクタを介して接続された複数の前記配線基板を備える。接続構造20xには、給電が可能な端部を有し、前記配線基板の各々を少なくとも一回通過し、前記端部の近傍以外は前記配線基板及び前記基板間コネクタのいずれかのみを通過する、検査用電流経路が形成されている。
【0057】
接続構造20xは、複数の配線基板をまたがって形成された検査用電流経路の通電試験を可能にする。前記検査システムにおいては、配線基板において実際に使用される信号を入力して動作状況を確認する必要がないので、前記検査システムは、接続良否確認のための手間を軽減する。
【0058】
そのため、接続構造20xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0059】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0060】
また、前記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
二つの配線基板の間を接続する基板間コネクタを介して接続された複数の前記配線基板を備え、
給電が可能な端部を有し、前記配線基板の各々を少なくとも一回通過し、前記端部の近傍以外は前記配線基板及び前記基板間コネクタのいずれかのみを通過する、検査用電流経路が形成されている、
接続構造。
(付記2)
前記配線基板の各々は前記配線基板の端部近傍に複数の接続端子を備え、複数の前記配線基板の各々が備える前記接続端子は、前記基板間コネクタにより接続され、前記検査用電流経路は、前記配線基板の各々の偶数個の前記接続端子を経由する、付記1に記載された接続構造。
(付記3)
前記検査用電流経路は、前記配線基板の各々における、互いに最も離れた二つの前記接続端子を経由する、付記2に記載された接続構造。
(付記4)
前記配線基板の少なくとも一つに、前記検査用電流経路が経由する二つの前記接続端子の間に形成された、前記検査用電流経路が経由する配線が設けられている、付記2又は付記3に記載された接続構造。
(付記5)
前記配線は、前記少なくとも一つの、上面、下面又は内部に形成されている、付記4に記載された接続構造。
(付記6)
前記配線は、前記検査用電流経路が経由しない前記接続端子に接続されないように形成されている、付記4又は付記5に記載された接続構造。
(付記7)
前記配線基板のうちの少なくとも一つは多層配線基板である、付記1乃至付記6のうちのいずれか一に記載された接続構造。
(付記8)
二つの前記配線基板が複数の前記基板間コネクタにより接続されており、前記検査用電流経路は、複数の前記基板間コネクタをまたがって形成されている、付記1乃至付記7のうちのいずれか一に記載された接続構造。
(付記9)
前記検査用電流経路は、複数の前記配線基板の間を複数回またがる、付記1乃至付記8のうちのいずれか一に記載された接続構造。
(付記10)
複数の前記検査用電流経路を備える、付記1乃至付記9のうちのいずれか一に記載された接続構造。
(付記11)
前記検査用電流経路に抵抗が挿入されている、付記1乃至付記10のうちのいずれか一に記載された接続構造。
(付記12)
前記抵抗は、直列、並列又は直列と並列の組合せで互いに接続された複数の抵抗素子を備える、付記11に記載された接続構造。
(付記13)
付記1乃至付記12のうちのいずれか一に記載された接続構造と、前記給電と双方の前記端部の間の電圧の測定とを行う測定器とを備える、検査システム。
(付記14)
一方の前記端部の電位は、グランドの電位、又は、電源から供給される直流電位である、付記13に記載された、検査システム。
(付記15)
前記給電は、直流電流又は信号電流の供給である、付記13又は付記14に記載された、検査システム。
(付記16)
二つの配線基板の間を接続する基板間コネクタを介して接続された複数の前記配線基板を備え、給電が可能な端部を有し、前記配線基板の各々を少なくとも一回通過し、前記端部の近傍以外は前記配線基板及び前記基板間コネクタのいずれかのみを通過する、検査用電流経路が形成されている、接続構造の前記端部に対し、前記給電を行い、
双方の前記端部の間の電圧を測定する、
検査方法。
(付記17)
二つの配線基板の間を接続する基板間コネクタを介して接続された複数の前記配線基板を備え、給電が可能な端部を有し、前記配線基板の各々を少なくとも一回通過し、前記端部の近傍以外は前記配線基板及び前記基板間コネクタのいずれかのみを通過する、検査用電流経路が形成されている、接続構造の前記端部に対し、前記給電を行う処理と、
双方の前記端部の間の電圧を測定する処理と、
をコンピュータに実行させる、
検査プログラム。
なお、上記付記における、「配線基板」は、例えば、図1図2図14又は図15の基板101又は102、図5乃至図7の基板102、図8又は図9の基板101乃至103、図12又は図13の基板101、あるいは、図15の基板101乃至105である。
【0061】
また、「基板間コネクタ」は、例えば、図1図2図4図14又は図15の基板間コネクタ141、図8の基板間コネクタ141又は142、図9又は図16の基板間コネクタ141乃至144、図10又は図11の基板間コネクタ141又は143である。
【0062】
また、「端部」は、例えば、図1図2図12図13、又は、図17乃至図20の端子A又はBである。また、「検査用電流経路」は、例えば、図1図2図8乃至図11又は図14の検査用電流経路161、図15又は図16の検査用電流経路161又は162、あるいは、図21の検査用電流経路161xである。
【0063】
また、「接続構造」は、例えば、図1図2図8図9又は図12乃至図20の接続構造20、あるいは、図21の接続構造20xである。また、「接続端子」は、例えば、図1図2図12図13又は図17乃至図20の接続端子181(接続端子181a又は181bを含む。)、図3の接続端子181、図5乃至図7の接続端子182a、182b又は182d、あるいは、図8の接続端子181a、181b、183a又は183bである。「接続端子」は、あるいは、例えば、図9の接続端子181b、181d、183b又は183d、図14又は図15の接続端子181a、181b、181c又は181d、あるいは、図16の接続端子181a、181b、184a又は184bである。
【0064】
また、「互いに最も離れた二つの前記接続端子」は、例えば、図1図2図12図13又は図17乃至図20の接続端子181a及び181bである。また、「配線」は、例えば、図5乃至図7の、配線292である。また、「二つの前記配線基板が複数の前記基板間コネクタにより接続されており、前記検査用電流経路は、複数の前記基板間コネクタをまたがって形成されている」は、例えば、図9乃至図11の場合である。
【0065】
また、「前記検査用電流経路は、複数の前記配線基板の間を複数回またがる」は、例えば、図10図11又は図14の場合である。また、「複数の前記検査用電流経路を備える」は、例えば、図15又は図16の場合である。また、「抵抗」は、例えば、図1図2又は図17の抵抗111、図12の抵抗111及び112、図13の抵抗111及び113、図18又は図20の抵抗111及び114である。
【0066】
また、「測定器」は、例えば、図1の測定器121である。また、「検査システム」は、例えば、図1の検査システム10である。また、「コンピュータ」は、例えば、図1の測定器121が備えるコンピュータである。また、「検査プログラム」は、例えば、図1の測定器121が備えるコンピュータに処理を実行させるプログラムである。
【符号の説明】
【0067】
10 検査システム
14a 上面
14b 下面
20、20x 接続構造
20ax 組合せ
81a、81b、281、281a、281b、282、282a、282b パッド
81c、283a、283b 金属
91a、91b 矢印
101、102、103 基板
111、112、113、114 抵抗
121、122 測定器
131 コネクタ
141、142、143、144 基板間コネクタ
161、161x、162 検査用電流経路
171、172 グランド端子
173、174 電源端子
181、181a、181b、181d、182a、182b、182d、183a、183b、183d、184a、184b 接続端子
191、201、292 配線
A、B 端子
Ax 第一端子
Bx 第二端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21