(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121060
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】熱転写シート
(51)【国際特許分類】
B41M 5/385 20060101AFI20220812BHJP
B41M 5/40 20060101ALI20220812BHJP
B41M 5/44 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
B41M5/385 400
B41M5/40 340
B41M5/44 410
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018201
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】磯和 愛実
【テーマコード(参考)】
2H111
【Fターム(参考)】
2H111AA27
2H111BA03
2H111BA07
2H111BA08
2H111BA14
2H111BA39
2H111BA41
2H111BA49
2H111BA53
2H111BA74
2H111BA75
2H111BA78
(57)【要約】
【課題】高濃度、高彩度、かつ耐光性に優れる印画物が提供可能で、地汚れの発生がないイエロー染料層を有する昇華型の熱転写シートを提供する。
【解決手段】基材2の一方の面に昇華転写層が形成された熱転写シート1であって、昇華転写層は少なくともイエロー染料層4を含み、イエロー染料層が、イエロー染料として、一般式(1)で表される化合物Aとアントラキノン系の化合物Bとを少なくとも含有し、イエロー染料中の固形分重量比が、化合物Aが80%~90%であり、化合物Bが10~20%である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一方の面に昇華転写層が形成された熱転写シートであって、前記昇華転写層は少なくともイエロー染料層を含み、前記イエロー染料層が、イエロー染料として、下記一般式(1)で表される化合物Aとアントラキノン系の化合物Bとを少なくとも含有し、イエロー染料中の固形分重量比が、化合物Aが80%~90%であり、化合物Bが10~20%であることを特徴とする熱転写シートである。
【化1】
〔一般式(1)中のR
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、無置換のアラルキル基、アリール基、アルキル基、シクロアルキル基、または置換基を有するアラルキル基、アリール基、アルキル基、シクロアルキル基を表す。〕
【請求項2】
前記基材の他方の面に耐熱滑性層を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
【請求項3】
前記化合物Bが、ディスパースイエロー201であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写シート。
【請求項4】
前記基材と前記イエロー染料層の間に下引き層を有し、該下引き層が少なくともポリビニルピロリドン樹脂を含むものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の熱転写シート。
【請求項5】
前記昇華転写層が、面順次に配列された複数色の染料層を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の熱転写シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇華型転写記録方式のプリンタに使用される熱転写シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱転写シートは、サーマルリボンとも呼ばれ、感熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンのことであり、典型的には基材の一方の面に感熱転写層、その基材の他方の面に耐熱滑性層を設けたものである。ここで感熱転写層は、インクの層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、そのインクを昇華(昇華転写方式)あるいは溶融(溶融転写方式)させ、被転写体側に転写するものである。
【0003】
現在、感熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化と併せて各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等、広く利用されている。そんな中、用途の多様化と普及拡大に伴い、高濃度、高彩度、かつ高耐光性を有する印画物が提供可能な昇華型熱転写シートを求める声が大きくなっている。
【0004】
これに対し、暗退色、光退色等の画像保存性については、形成された色素そのものを光や酸素、水分等の影響に対し強くすることが考えられるが限界がある。また反応性昇華熱転写法ではポストキレート色素が受像層表面側から転写・拡散されるため、形成された色素は受像層の表面近傍に偏りがちになり、受像層中に均一に分布されるのは困難であった。そのため表面近傍の色素は直接光、酸素、水分等の影響を受けることになり退色が加速されるという問題が生じていた。
【0005】
また、染料や顔料として知られている色素は、色再現上好ましい色相を有すること、最適な分光吸収特性を有すること、耐光性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などの画像堅牢性が良好であること、モル吸光係数が大きいこと等が求められる。特許文献1、2では、耐光性に優れた金属錯体色素が記載されているが、モル吸光係数が小さく、特定の吸収波長のため画像形成用色素等の用途に用いるには不利であり、上記の性質を具備した色素の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭64-44786号公報
【特許文献2】特開平2-76884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の様な従来技術の課題に鑑み、本発明は、高濃度、高彩度、かつ耐光性に優れる印画物が提供可能で、印画物の未印画部における染料移行、いわゆる地汚れの発生がないイエロー染料層を有する昇華型の熱転写シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、基材の一方の面に昇華転写層が形成された熱転写シートであって、前記昇華転写層は少なくともイエロー染料層を含み、前記イエロー染料層が、イエロー染料として、下記一般式(1)で表される化合物Aとアントラキノン系の化合物Bとを少なくとも含有し、イエロー染料中の固形分重量比が、化合物Aが80%~
90%であり、化合物Bが10~20%であることを特徴とする熱転写シートである。
【0009】
【化1】
〔一般式(1)中のR
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、無置換のアラルキル基、アリール基、アルキル基、シクロアルキル基、または置換基を有するアラルキル基、アリール基、アルキル基、シクロアルキル基を表す。〕
【0010】
上記熱転写シートにおいて、前記基材の他方の面に耐熱滑性層を有するものであっても良い。
【0011】
上記熱転写シートにおいて、前記化合物Bが、ディスパースイエロー201であって良い。
【0012】
上記熱転写シートにおいて、前記基材と前記イエロー染料層の間に下引き層を有し、該下引き層が少なくともポリビニルピロリドン樹脂を含むものであって良い。
【0013】
上記熱転写シートにおいて、前記昇華転写層が、面順次に配列された複数色の染料層を有していても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の熱転写シートによれば、染料の高濃度化が可能で、高彩度で耐光性に優れる印画物が提供可能となり、かつ印画物の未印画部における染料移行、いわゆる地汚れの発生がないイエロー染料層を有する熱転写シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の熱転写シートの第一の実施形態を示す側断面図である。
【
図2】本発明の熱転写シートの第二の実施形態を示す側断面図である。
【
図3】本発明の熱転写シートの構成例を平面視した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態について説明するが、この発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、この発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定はこの発明の必須要件ではない。
【0017】
本発明の一実施形態である感熱転写シート1は、
図1に示すように、基材2の一方の面にイエロー染料層4を少なくとも設け、基材2の他方の面にサーマルヘッドとの滑り性を付与する耐熱滑性層3設けた構成である。さらに好ましくは、
図2に示す第2の実施形態である感熱転写シート1´のように、基材2とイエロー染料層4の間に下引き層5を設けた構成である。
【0018】
基材2としては、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が必要とされ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、およびコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独、又は組み合わされた複合体として使用可能である。中でも、物性面、加工性、コスト面などを考慮するとポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。また、その厚さは、操作性、加工性を考慮し、2μm以上50μm以下の範囲のものが使用可能であるが、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2μm以上9μm以下程度のものが好ましい。
【0019】
また、基材2において、耐熱滑性層3を形成する面、またはイエロー染料層4を形成する面、またはその両方の面に、接着処理を施すことも可能である。接着処理としては、コロナ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、プラズマ処理、プライマー処理等の公知の技術を適用することができ、それらの処理を二種以上併用することもできる。
【0020】
次に、耐熱滑性層3は、従来公知のもので対応でき、例えば、バインダとなる樹脂、離型性や滑り性を付与する機能性添加剤、充填剤、硬化剤、溶剤などを配合して耐熱滑性層形成用の塗布液を調製し、塗布、乾燥して形成することができる。この耐熱滑性層3の乾燥後の塗布量は、0.1g/m2以上2.0g/m2以下程度が適当である。ここで、耐熱滑性層3の乾燥後の塗布量とは、耐熱滑性層形成用の塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことを指す。
【0021】
耐熱滑性層3のバインダ樹脂を具体的に例示するならば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリルポリオール樹脂、ポリウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ポリエーテルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂およびこれらの変性体(変性樹脂)等を挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
また、熱転写シート1には、基材2と耐熱滑性層3との間に、必要に応じてさらに帯電防止性を備える目的でプライマー層を設けても良い。
【0023】
イエロー染料層4は、イエロー染料、バインダ樹脂、溶剤などを配合して染料層形成用塗布液を調製し、塗布、乾燥することで形成される。このイエロー染料層4の乾燥後の塗布量は、0.3g/m2以上1.0g/m2以下程度が適当である。ここで、イエロー染料層4の乾燥後の塗布量とは、イエロー染料層形成用の塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことを指す。
【0024】
本発明の熱転写シートのイエロー染料層4は、イエロー染料として、前記一般式(1)で表される化合物Aと、樹脂、および溶剤に対する溶解性が高く、優れた耐光性を有するアントラキノン系の化合物Bとを含有し、イエロー染料中の固形分重量比が、化合物Aが80%~90%であり、化合物Bが10~20%であることを必須とする。またアントラキノン系の化合物Bとしては、ディスパースイエロー201が好ましく用いられる。
【0025】
またイエロー染料層4には必要に応じてその他の染料を含有させることができる。例えば、アントラキノン系色素群としては、C.I.ソルベントイエロー163、C.I.バットイエロー3、C.I.ディスパースオレンジ11、C.I.ディスパースオレンジ119、C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ソルベントオレンジ64、C.I.ソルベントオレンジ68、C.I.ソルベントオレンジ71、C.I.ソルベントオレンジ86等がある。キノフタロン系色素群としては、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.C.I.ソルベントイエロー114、C.I.ソルベントイエロー128、C.I.ソルベントイエロー129、C.I.ソルベントイエロー157、C.I.ディスパースイエロー49、C.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースイエロー64、C.I.ディスパースイエロー149、C.I.ディスパースイエロー160、C.I.ディスパースイエロー224等、アクリド系色素群としてはC.I.ディスパースイエロー122等、ニトロ系色素群としてはC.I.ディスパースイエロー1、C.I.ディスパースイエロー9、C.I.ディスパースイエロー33、C.I.ディスパースイエロー42等、ピリドン系色素群としてはC.I.ディスパースイエロー231等、メチン系染料系色素群としてはC.I.ソルベントイエロー93等を挙げることができる。
【0026】
本発明の熱転写シートは、
図2に示す熱転写シート1´のように基材2とイエロー染料層4の間に下引き層5を設けてもよい。下引き層5を設けることで印画時の基材2への染料移行量を抑制し、受像層への染料移行量を多くすることができる。すなわち、印画物にさらに高い印画濃度を付与することができる。
【0027】
下引き層5を構成する樹脂としては、基材2とイエロー染料層4のバインダ樹脂との接着性を向上させ、両方に対して良好な接着性を有するポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニルホルマール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン-アクリル共重合体系樹脂などを例示できる。
【0028】
これにより、イエロー染料層4を、高濃度、高彩度、かつ耐光性に優れる印画物が提供可能で、印画物の未印画部における染料移行、いわゆる地汚れの発生がないものとすることができる。
【0029】
本発明の熱転写シート1は、
図3に示す様に、上述のイエロー染料層のパネルY、マゼンタ染料層のパネルM、シアン染料層のパネルC、ブラック染料層もしくはブラック顔料インク層のパネルBk、を面順次に塗り分けた構成とすることができる。またさらに転写保護層のパネルPを並べ設け、各染料層から受像層に転写された画像等に重畳転写することで、該画像等の耐久性を高められる様にしても良い。またこれらのパネルを、長尺の基材に多数繰り返し設ける様にしても良い。
【0030】
上記の転写保護層は典型的には熱溶融転写層であり、バインダ樹脂としての熱可塑性樹脂やワックス類のほか、必要に応じ紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒促進剤、着色剤、艶調整剤、帯電防止剤、蛍光増白剤等の機能性添加剤を添加することができるが、これらに限定されない。
【0031】
なお、耐熱滑性層3、イエロー染料層4、および下引き層5は、いずれも従来公知の塗布方法にて、塗布、形成することで形成可能であり、例としてグラビアコーティング法、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法、リバースロールコート法等が挙げられる。
【実施例0032】
(実施例1)
<熱転写シートの作製>
アクリルポリオール樹脂を含む下記組成の耐熱滑性層用インキ組成物を塗布量が1.0g/m2となるように塗布及び乾燥を行った、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる耐熱滑性層付き基材の耐熱滑性層未塗布面に、下記組成の下引き層塗布液をグラビアコーティング法により、乾燥後の膜厚が0.2μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥することで、下引き層を形成した。さらに、その下引き層の上に下記組成のイエロー染料層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の膜厚が0.5μmとなる様に塗布し、80℃で1分間乾燥することで、イエロー染料層を形成し、実施例1のイエロー色の熱転写シートを得た。
【0033】
<耐熱滑性層用インキ>
アクリルポリオール樹脂 70部
2-6,トリレンジイソシアネート 24部
シリコーンフィラー(粒径1.0μm) 1部
アミノ変性シリコーンオイル 5部
メチルエチルケトン 250部
トルエン 250部
<下引き層塗布液>
ポリビニルピロリドン 100部
純水 600部
イソプロピルアルコール 400部
<イエロー染料層塗布液>
ポリビニルアセタール 100部
式(2)の染料 90部
ディスパースイエロー201 10部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 3部
メチルエチルケトン 1000部
トルエン 1000部
【0034】
【0035】
(実施例2)
実施例2の熱転写シートは、イエロー染料の配合量を変更した以外は実施例1と同様にして作製した。配合量等の詳細は表1に記載する。
【0036】
(比較例)
比較例1~4のイエロー色の熱転写シートを、染料の種類、配合量を変更した以外は実施例1と同様にして作製した。詳細は表1に記載する。
【0037】
<熱転写受像シートの作製>
基材として、188μmの白色発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に下記組成の受像層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が5.0g/m2になるように塗布、乾燥することで、熱転写受像シートを作製した。
<受像層塗布液>
塩化ビニル-酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合体 100部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 3部
トルエン 200部
メチルエチルケトン 200部
【0038】
<印画>
実施例1、2および比較例1~4のイエロー色の熱転写シートを、熱転写受像シート上に染料層と受像層が接するように配置し、サーマルシミュレーターにて3cm角の面積のベタ印画を行った。さらに、得られたベタ印画パターン上に、熱転写性保護層シートを保護層と受像層が接するように配置し、5cm角の面積のベタ印画行い、印画物を得た。なお、印画条件は次の通りとした。
<印画条件>
印画環境:23℃50%RH
印加電圧:17V
ライン周期:0.7msec
印画密度:主走査300dpi、副走査300dpi
評価用サーマルプリンタにて転写させた。
【0039】
<印画物の評価>
得られた印画物について、暗退色性、耐光性、地汚れ、濃度特性、および彩度特性を評価
した。各評価項目の詳細な評価方法を以下に記載した。
【0040】
<暗退色性>
85℃に設定したオーブン内に印画物を20日間投入した。投入前後のイエローODを測定し、下式によってOD保持率を算出した。また、得られたOD保持率から暗退色性を以下基準にて判定した。判定結果を表1に記載した。
OD保持率:〔OD投入後〕/〔OD投入前〕×100%
〇:OD保持率が90%以上。
×:OD保持率が90%未満。
【0041】
<耐光性>
東洋精機製作所製アトラス・ウエザオメータCi4000に印画物を24時間投入した。投入前後のイエローODを測定し、下式によってOD保持率を算出した。また、得られたOD保持率から耐光性を以下基準にて判定した。判定結果を表1に記載した。
OD保持率:〔OD投入後〕/〔OD投入前〕×100%
〇:OD保持率が90%以上。
×:OD保持率が90%未満。
【0042】
<地汚れ>
X-rite社製X-rite528を用いて、印画物白地部のイエロー濃度(OD)を測定した。得られたODから地汚れを以下基準にて判定した。判定結果を表1に記載した。
〇:ODが0.07未満。
×:ODが0.07以上。
【0043】
<濃度特性>
X‐rite社製X‐rite528を用いて、ベタ画像形成部のイエロー濃度(OD)を測定した。得られたODから濃度特性を以下基準にて判定した。判定結果を表1に記載した。
〇:ODが2.4以上。
×:ODが2.4未満。
【0044】
<彩度特性>
濃度特性と同様にX‐rite社製X‐rite528を用いて、L*a*b*表色系における色度(L*、a*、b*)を測定し、彩度(C*)を下式によって算出した。また、得られたC*から彩度特性を以下基準にて判定した。判定結果を表1に記載した。
C*=〔(a*)2+(b*)2〕1/2
〇:C*が100以上。
×:C*が100未満。
【0045】
【0046】
イエロー染料中に式(2)の化合物を固形分重量比80~90%の範囲で含有し、アントラキノン系化合物としてディスパースイエロー201を固形分重量比10~20%の範囲で含有する実施例1および実施例2のイエロー色熱転写シートは、地汚れがなく、高濃度、高彩度、かつ高耐光性を示した。
【0047】
これに対して、式(2)の化合物を含まないでイエロー染料層を形成した比較例1は、地汚れはないものの、濃度、彩度、耐光性は不十分であった。また、アントラキノン系化合物を含まないでイエロー染料層を形成した比較例2は、濃度が不十分であった。また、
式(2)の化合物のみでイエロー染料層を形成した比較例3は、濃度、彩度は高く、耐光性も十分であったものの、地汚れの発生が認められた。また、式(2)の化合物とアントラキノン系化合物をそれぞれ固形分重量比50%含む比較例4では、濃度、彩度が不十分であった。