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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121061
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】熱転写リボン
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/382 20060101AFI20220812BHJP
   B41M 5/395 20060101ALI20220812BHJP
   B41M 5/40 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
B41M5/382 800
B41M5/395 300
B41M5/40 300
B41M5/40 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018202
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】有賀 友紀
【テーマコード(参考)】
2H111
【Fターム(参考)】
2H111AB05
2H111BA03
2H111BA08
2H111BA14
2H111BA53
2H111BA54
(57)【要約】
【課題】クレジットカードやICカードの表面の印刷において、サインパネル以外のところに画像を施し、サインパネル部分でカード基材が露出するように中間転写方式熱転写印刷をする際、二次転写の時に、カードのサインパネル部分にバリが発生しない熱転写リボンを提供することを目的とする。
【解決手段】基材の一方の面上に、インク層およびプライマ層およびマスク層が繰り返し形成された熱転写リボンであって、前記マスク層は、ポリアミド樹脂を含有し、前記ポリアミドイミド樹脂の分子量が、6000以上30000以下であり、前記マスク層膜厚が0.5μm以上5.0μm以下であり、前記マスク層中にポリエチレンワックスをポリアミドイミド樹脂に対して重量比5%以上20%以下含有する熱転写リボン。前記基材の他方の面上に耐熱滑性層を有する熱転写リボン。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一方の面上に、インク層およびプライマ層およびマスク層が繰り返し形成された熱転写リボンであって、
前記マスク層は、ポリアミド樹脂を含有し、前記ポリアミドイミド樹脂の分子量が、6000以上30000以下であり、前記マスク層膜厚が0.5μm以上5.0μm以下であり、前記マスク層中にポリエチレンワックスをポリアミドイミド樹脂に対して重量比5%以上20%以下含有することを特徴とする熱転写リボン。
【請求項2】
前記基材の他方の面上に耐熱滑性層を有することを特徴とする請求項1に記載の熱転写リボン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写方式熱転写プリンタによる被転写体への印刷において、被転写体が露出する部分をもつことができる熱転写リボンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カード基材上に印刷層と透明保護層とを順次設けたカードにおいて、前記カード基材上の一部に印刷層を設けない領域を有し、前記カード基材面が目視可能で、追記可能なサインパネルを有するカードが知られている(図2)。しかし、前記カードでは、サインパネル表面とカードの表面が同じ基材上にあり、平滑であるため、サインパネル表面にボールペン等の筆記具では書きづらく、油性マジックペン等で書くと、字が消えてしまうという問題があった。
【0003】
さらに、熱転写リボンに、筆記用パネルを設け、サインパネル部分に、転写する方法もあるが、サインパネルがカード表面より凸部となるため、傷がつきやすいといった問題やサインパネルの位置合わせのための見当マークを設け、それを読み取る機構が必要になりコスト高となる。
【0004】
そこで、近年、あらかじめサインパネルに筆記しやすい基材を貼り付けたカードを用いて、印刷層と透明保護層を設け、一部に印刷層と保護層を転写させない領域を設けることで、筆記しやすいサインパネルを有するカードが考案された。
【0005】
このカードへの画像印刷として、多くの種類の被転写体に転写が可能な中間転写方式の熱転写印刷が検討された。中間転写方式の熱転写印刷は、熱転写リボンの転写体を中間転写フィルムに転写した(一次転写)後に、被転写体に、中間転写フィルムの転写体を再転写する(二次転写)するという方法である。
【0006】
熱転写リボンの構成としてインク層およびプライマ層およびマスク層を設け、中間転写フィルムに一次転写を行ない、中間転写フィルム上の転写体を、カードに二次転写する際に、カードのサインパネルに対応する中間転写フィルムの部分にマスク層を設けることによって、カードには中間転写フィルムから何も転写されない領域を確保する方法が考案された(特許文献1)。この方法では、カードと異なる基材をサインパネルとして採用できるので、筆記しやすくなるだけでなく、サインパネルに意匠性を持たせることが可能であるという長所がある。しかしながら、サインパネル基材の種類、品質によっては、二次転写時の、中間転写フィルム上のマスク層とカードとのタック性が増し、そこで、カードのサインパネル領域内にマスク層の残層であるバリを生ずることが起こりうる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-254834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
クレジットカードやICカードの表面の印刷において、サインパネル以外のところに画像を施し、サインパネル部分でカード基材が露出するように中間転写方式熱転写印刷をする際、二次転写の時に、カードのサインパネル部分にバリが発生しない熱転写リボンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明の請求項1に係る発明は、基材の一方の面上に、インク層およびプライマ層およびマスク層が繰り返し形成された熱転写リボンであって、前記マスク層は、ポリアミド樹脂を含有し、前記ポリアミドイミド樹脂の分子量が、6000以上30000以下であり、前記マスク層膜厚が0.5μm以上5.0μm以下であり、前記マスク層中にポリエチレンワックスをポリアミドイミド樹脂に対して重量比5%以上20%以下含有することを特徴とする熱転写リボンである。
【0010】
本発明の請求項2に係る発明は、前記基材の他方の面上に耐熱滑性層を有することを特徴とする請求項1に記載の熱転写リボンである。
【発明の効果】
【0011】
クレジットカードやICカードの表面の印刷において、サインパネル以外のところに画像を施し、サインパネル部分でカード基材が露出するように中間転写方式熱転写印刷をする際、二次転写の時に、カードのサインパネル部分にバリが発生しない熱転写リボンを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る熱転写リボンの構成を模式的に説明する図である。図1(a)は平面図、図1(b)は断面図である。
図2】サインパネルのあるカードの例の模式的説明図である。
図3】中間転写方式熱転写印刷装置の例を示す概略図である。
図4】一次転写時、インク層を中間転写フィルムに転写するときの工程の一例を説明する概略図。図4(a)はサーマルヘッド上に熱転写リボンと中間転写フィルムを挿入する前、図4(b)はサーマルヘッドで熱転写リボンと中間転写フィルムを圧接する時、図4(c)は熱転写リボンを中間転写フィルムから剥離した直後を説明する概略図である。
図5】一次転写時、インキ層が転写された中間転写フィルムにプライマ層を転写する工程の一例を説明する概略図。図5(a)はサーマルヘッド上に熱転写リボンと中間転写フィルムを挿入する前、図5(b)はサーマルヘッドで熱転写リボンと中間転写フィルムを圧接する時、図5(c)は熱転写リボンを中間転写フィルムから剥離した直後を説明する概略図である。
図6】一次転写時、インキ層、プライマ層が転写された中間転写フィルムにマスク層を転写する工程の一例を説明する概略図。図6(a)はサーマルヘッド上に熱転写リボンと中間転写フィルムを挿入する前、図6(b)はサーマルヘッドで熱転写リボンと中間転写フィルムを圧接する時、図6(c)は熱転写リボンを中間転写フィルムから剥離した直後を説明する概略図である。
図7】二次転写時、インキ層、プライマ層、マスク層が転写された中間転写フィルムの転写体(インキ層、プライマ層)を被転写体に転写する工程の一例を説明する概略図。図7(a)はヒートロール上に中間転写フィルムと被転写体を挿入する前、図7(b)はヒートロールで中間転写フィルムと被転写体を圧接する時、図7(c)は中間転写フィルムを被転写体から剥離した直後を説明する概略図である。
図8】本発明の実施例に係る熱転写リボンを模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
<中間転写方式熱転写プリンタ>
図3は本発明の熱転写リボンを使用する中間転写方式熱転写プリンタの例を示す概略図である。
【0015】
中間転写方式熱転写プリンタ100において、熱転写リボン10の転写体が、中間転写フィルム40に転写(一次転写)され、中間転写フィルム40に転写された転写体を被転写体70への再転写(二次転写)することによって被転写体70への印刷は行われる。
【0016】
熱転写リボン10は熱転写リボン巻出部11から巻き出され、熱転写リボン巻取部で巻き取られる。
【0017】
中間転写フィルム40は、中間転写フィルム巻出部41で巻き出され、中間転写フィルム巻取部42で巻き取られる。
【0018】
熱転写リボン10と中間転写フィルム40は、走行途中において、重ね合わされて、サーマルヘッド30とプラテンローラ50で挟持され、サーマルヘッド30への熱印加をおこない、熱転写リボン10の転写体を、中間転写フィルム40に転写する(一次転写)。
【0019】
一次転写された中間転写フィルム40は、その後、ヒートローラ60が熱を持ちながら、中間転写フィルム40を被転写体70に押圧することによって、中間転写フィルム40の転写体が、被転写体70に転写される(二次転写)。
【0020】
<熱転写リボンの構成>
図1は本発明の実施形態に係る熱転写リボンの構成を模式的に説明する図である。
【0021】
本発明の係る熱転写リボン10は、基材1の一方の面上に、インク層2およびプライマ層3およびマスク層1が繰り返し形成されたものである。熱転写リボン10は、転写体として、インク層2およびプライマ層3およびマスク層1を有する。転写体と有するものは、これらに限ったものではない。
【0022】
インク層2は、例えば色に対応した顔料を成分として含む層で、シアン(C)層、マゼンタ(M)層、イエロー(Y)層、ブラック(B)層が並ぶ。色数はこれに限ったものではない。
【0023】
マスク層1は、ポリアミド樹脂を含有し、前記ポリアミドイミド樹脂の分子量が、6000以上30000以下であり、マスク層1膜厚が0.5μm以上5.0μm以下である。
【0024】
前記ポリアミドイミドの分子量は、6000以上20000以下が好ましい。
【0025】
また、マスク層1中にポリエチレンワックスをポリアミドイミド樹脂に対して重量比5%以上20%以下含有していてもよい。
【0026】
中間転写方式熱転写プリンタ100において、印刷画像単位の形成において、インク層2およびプライマ層3およびマスク層1がワンセットとなって、各層が、熱転写リボン10の搬送系(不図示)と、中間転写フィルム40の搬送系(不図示)を制御することによって各層の画像を重ね合わせて所望の画像を形成する。その際に、熱転写リボン10において、印刷画像単位の画像を形成するために、ワンセットとなった転写体は、位置合わせのための位置制御用マーク4を有し、位置制御用マーク4を使用して、二次転写時の、熱転写リボン10の各層の、中間転写フィルム40に対する位置合わせが行われる。
【0027】
また、基材1の他方の面上に耐熱滑性層6を有していてもよい。
【0028】
<印刷>
この本発明の実施形態に係る熱転写リボン10を使用して中間転写方式熱転写プリンタ100によって、あらかじめサインパネルに筆記しやすい基材を貼り付けたカードで、サインパネルの場所においてはカード基材の上には何もないカードに印刷することを例示する。本発明は、被転写体はカードに限らず、被転写体に、被転写体基材を露出されるところを部分としてもつものへの印刷にも適用できる。
【0029】
図4から図7は、印刷する工程を説明する図である。被転写体70に印刷する工程は、一次転写時に、インク層2を中間転写フィルム40に転写され(図4)、次に、プライマ層3をインク層2が転写された中間転写フィルム40に転写され(図5)、次に、インク層2とプライマ層3が転写された中間転写フィルム40にマスク層1が転写され、次に、二次転写時に、インク層2とプライマ層3とマスク層1が転写された中間転写フィルム40が、被転写体70に、熱を持ったヒートローラで押圧され、中間転写フィルム40上のインク層2とプライマ層3が被転写体70に転写され、マスク層1とプライマ層3が中間転写フィルム40に残る工程(図7)からなる。
【0030】
図4は一次転写時、インク層2を中間転写フィルム40に転写するときの工程の一例を説明する概略図である。
【0031】
基材5の上にインク層2がある熱転写リボン10と中間転写フィルム40(図4(a))を、サーマルヘッド30とプラテンローラ50で挟持(図4(b))し、熱転写リボン10と中間転写フィルム40をそれぞれの搬送系で搬送する。二次転写時に被転写体70に印刷する画像に応じてサーマルヘッド30を熱印加し、サーマルヘッド30で熱印加されたところのインク層2は、中間転写フィルム40に転写され、その後中間転写フィルム40から熱転写リボン10は剥離される(図4(c))。インク層2であるシアン(C)層、マゼンタ(M)層、イエロー(Y)層、ブラック(B)層それぞれに対して、上記の一次転写を行なう。
【0032】
ここで例示として、中間転写フィルム40には、後の二次転写において、被転写体70に画像を印刷する部分と、被転写体70の基材の上に露出させたい部分があるものとする。
【0033】
次に、図5は、図4で示されたインク層2が転写された中間転写フィルム40に熱転写フィルム10のプライマ層3を転写するときの工程の一例を説明する概略図である。
【0034】
基材5の上にプライマ層3がある熱転写リボン10と、インク層2パターンが転写された中間転写フィルム40(図5(a))を、サーマルヘッド30とプラテンローラ50で挟持(図5(b))し、熱転写リボン10と中間転写フィルム40をそれぞれの搬送系で搬送する。サーマルヘッド30を熱印加し、サーマルヘッド30で熱印加されたところのプライマ層3は、インク層2が転写されているところと、インク層2がないところの中間転写フィルム40に転写され、その後中間転写フィルム40から熱転写リボン10は剥離される(図5(c))。ここではプライマ層3は、中間転写フィルム40上で画像に応じたインク層2パターンがあるところと、インク層パターンが転写されていないところに一様に転写されることとする。
【0035】
次に、図6は、図5で示されたインク層2とプライマ層3が転写された中間転写フィルム40に熱転写フィルム10のマスク層1を転写するときの工程の一例を説明する概略図である。
【0036】
基材5の上にマスク層1がある熱転写リボン10と、インク層2とプライマ層3が転写
された中間転写フィルム40(図6(a))を、サーマルヘッド30とプラテンローラ50で挟持(図6(b))し、熱転写リボン10と中間転写フィルム40をそれぞれの搬送系で搬送する。二次転写時に被転写体70には画像を印刷せず、被転写体70の表面を露出するエリアに応じて、サーマルヘッド30を熱印加し、サーマルヘッド30で熱印加されたところのマスク層1は、インク層2とプライマ層3が転写された中間転写フィルム40で、インク層2がないエリアに転写され、その後中間転写フィルム40から熱転写リボン10は剥離される(図6(c))。
【0037】
次に、図7は、二次転写時、インキ層、プライマ層、マスク層が転写された中間転写フィルムの転写体(インキ層、プライマ層)を被転写体に転写する工程の一例を説明する概略図である。
【0038】
インク層2とプライマ層3とマスク層1が転写された中間転写フィルム40(図7(a))が、被転写体70とヒートローラ60の間で挟持され、被転写体70に中間転写フィルム40が熱を持ったヒートローラで押圧され(図7(b))、その後中間転写フィルム40から熱転写リボン10は剥離されると、中間転写フィルム40上のインク層2とプライマ層3が被転写体70に転写されており、マスク層1とプライマ層3が中間転写フィルムに残る(図7(c))。
【0039】
本発明に係る熱転写リボン10のマスク層1は、被転写体70に対してインヒビット性をもっており、二次転写時において、中間転写フィルム40を被転写体70から剥離するときに、被転写体70にマスク層1は残存することなしに、中間転写フィルム40に密着したままである。本発明に係る熱転写リボン10のマスク層1の使用によって、二次転写時にマスク層1があたった被転写体70の部分は、二次転写剥離後、マスク層1が残らず、被転写体70が露出することがない。カードにおいて、サインパネルの部分にマスク層をあてるようにすれば、サインパネルの部分は、カード基材がバリなく露出し、署名する上で支障なきことを実現できる。
【実施例0040】
以下、実施例(実施例1、比較例1と2)を用いて、本発明の熱転写リボンによる被転写体への印刷によって、被転写体の所望露出部分にバリが生じていないかの効果を検証する。また、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
被転写体は図2で示されるようなカードであり、カードの所望露出部分はサインパネル箇所である。
【0042】
マスク層1が各種ある熱転写リボン10を作製し、マスク層1各種の熱転写リボン10それぞれを用いて、中間方式熱転写プリンタ100で、熱転写リボン10から中間転写フィルム40へ転写体(インク層、プライマ層、マスク層)を一次転写し、中間転写フィルム40からカード70への二次転写を実施した。各実施例において一次転写において転写不良と、二次転写を被転写体でのサインパネル部にバリがあるかないかの評価を行なった。
【0043】
マスク層は耐熱滑性層が片面にある基材に、耐熱滑性層がない基材の面に、下記各種組成のマスク層塗液を塗布し、各種膜厚になるように乾燥することで基材の上にマスク層を作製した。図8で示されるように、従来の熱転写リボンにおけるマスク層がある部分7に、本実施例で作製したマスク層が塗工された基材の切り貼りを行なうことで本実施例のマスク層1とし、実施例の熱転写リボン10を作製した。以降の説明で「部」と記載されている場合、特に断りのない限りは、質量基準を示す。
【0044】
(実施例1)
熱転写リボン10で使用するマスク層1を作製する。耐熱滑性層6が片面にある基材5に、耐熱滑性層がない基材5の面に、下記組成のマスク層塗液を乾燥後の膜厚が0.5μmとなるように塗布し、80℃1分乾燥することで基材の上にマスク層1を作製した。
<実施例1のマスク層塗液>
・ポリアミドイミド樹脂(分子量6×10g/mol) 50部
・ポリエチレンワックス 4部
・エタノール 23部
・トルエン 23部
【0045】
(比較例1)
熱転写リボン10で使用するマスク層1を作製する。耐熱滑性層が片面にある基材に、耐熱滑性層がない基材の面に、下記組成のマスク層塗液を乾燥後の膜厚が0.5μmとなるように塗布し、80℃1分乾燥することで基材の上にマスク層を作製した。
<比較例1のマスク層塗液>
・ポリアミドイミド樹脂(分子量6×10g/mol) 46部
・ポリエチレンワックス 12部
・エタノール 21部
・トルエン 21部
【0046】
(比較例2)
熱転写リボンを作製する。耐熱滑性層が片面にある基材に、耐熱滑性層がない基材の面に、下記組成のマスク層塗液を乾燥後の膜厚が5.5μmとなるように塗布し、80℃1分乾燥することで基材の上にマスク層を作製した。
<比較例2のマスク層塗液>
・ポリアミドイミド樹脂(分子量15×10g/mol) 50部
・ポリエチレンワックス 4部
・エタノール 23部
・トルエン 23部
<評価>
実施例1、比較例1と2で作製したマスク層1を、組み込んだ熱転写リボン10を使用して、中間転写方式熱転写プリンタで、熱転写リボン10から中間転写フィルム40へ転写体(インク層、プライマ層、マスク層)の一次転写をおこない、そして転写体が転写された中間転写フィルム40を、被転写体70であるカードとヒートローラ60の間に挟持し、ヒートローラ60で中間転写フィルム40を押圧しながら、中間転写フィルム40の転写体を、被転写体70であるカードに転写する二次転写を行なった。
【0047】
次に、一次転写の転写不良が起きていないかどうかの評価(一次転写評価)を下記で示される方法で行い、そして二次転写によって、マスク層が、被転写体70であるカードの所望露出部分であるサインパネル部分に残存しないかかどうか、すなわちバリを生じていないかどうか(二次転写におけるバリが生じていないか評価)を下記で示される方法で評価を行った。実施例と比較例のマスク層の条件と評価結果を表1に記す。
【0048】
<一次転写評価>
一次転写において、熱転写リボンから転写されるべき層が、中間熱転写フィルムに全て転写されたかどうかを評価するために、一次転写後の、熱転写リボン10の状態を目視で以下の基準にて評価した。
【0049】
○:一次転写後の熱転写リボンで転写されるべき層の部分が、全て無くなっている
×:一次転写後の熱転写リボンで転写されるべき層の部分が、一部あるいは全て残っている
<二次転写におけるバリが生じていないか評価>
二次転写によって、マスク層1が、被転写体70であるカードの所望露出部分であるサインパネル部分に残存しないかかどうか、すなわちバリを生じていないかどうか(二次転写におけるバリが生じていないか評価)を目視で以下の基準にて評価を行った。
【0050】
○:バリ発生無し
△:半分程度バリ有り
×:全面にバリ有
【0051】
【表1】
【0052】
表1に示す結果から、請求範囲にある条件で作製された実施例1のマスク層1(を用いた中間転写方式熱転写プリンタ100によるカードへの印刷において、一次転写において転写不良なく、二次転写においてもカードのサインパネルにバリがない印刷を行なわれていることが確認された。
【0053】
比較例1においては、一次転写においても転写不良なくも、二次転写において、カードのサインパネル全面にバリが発生していた。
【0054】
比較例1ではポリアミドイミド樹脂の分子量が6×10g/molであり、マスク層厚が0.5μmであり、ポリエチレンワックスの対ポリアミドイミド樹脂の重量比が25%である。ポリエチレンワックスの対ポリアミドイミド樹脂の重量比が請求範囲外の値である。
【0055】
比較例2では、一次転写においても転写不良が生じており、二次転写においてもカードのサインパネルにバリがないかの評価を行なうことができなった。
【0056】
比較例2ではポリアミドイミド樹脂の分子量が15×10g/molであり、マスク層厚が5.5μmであり、ポリエチレンワックスの対ポリアミドイミド樹脂の重量比が8%である。マスク層厚が、請求範囲外の値である。
【符号の説明】
【0057】
1・・・マスク層
2・・・インク層
3・・・プライマ層
4・・・位置制御用マーク
5・・・基材
6・・・耐熱滑性層
7・・・実施例で従来の熱転写リボンに切貼りをおこなったマスク層部分
10・・・熱転写リボン
11・・・熱転写リボン巻出部
12・・・熱転写リボン巻取部
20・・・カード
21・・・サインパネル
30・・・サーマルヘッド
40・・・中間転写フィルム
41・・・中間転写フィルム巻出部
42・・・中間転写フィルム巻取部
50・・・プラテンローラ
60・・・ヒートローラ
70・・・被転写体
100・・・中間転写方式熱転写プリンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8